JP3733823B2 - 空気調和機の配管清浄用物品および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機を据え付ける施工時の配管の清浄に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セパレート型エアコンでは、冷凍圧縮機、熱交換器を有する室外ユニットと、冷凍空調がなされる部位に設置される熱交換器を有する室内ユニットを銅管等の接続配管にて接続して構成される。このような冷凍サイクルでは、予め室外ユニット側に冷媒の一部あるいは全部と潤滑油組成物を充填し室外ユニットのバルブを閉じておき、施工時に接続配管を用いて室内ユニットと接続したのち冷媒を室内外ユニットに流通させて冷凍サイクルを形成するのが一般的である。
【0003】
近年、地球環境保護の観点からエアコン用の冷媒がHCFCからHFCへと転換が進んでいる。HCFCを用いたエアコンをHFCの冷媒を用いたエアコンに入れ替える場合、接続配管も新しくすることが多い。しかしながら接続配管が予め建物の壁内に埋め込まれているような場合には従来用いていた接続配管を使用した方が建物の美観を損ねることなく好ましい。このような既設配管内には従来設置されていたエアコンによるオイルやスラッジ等で汚れている場合がある。このような既設配管を用いて、HCFC系冷媒を用いたエアコンからHFC系冷媒を用いたエアコンに入れ替える場合には次のような問題が生じる。
【0004】
HFC系冷媒を使用した空気調和機では冷凍機油としてエステル油やエーテル油が用いられている。これらの油は従来のHCFC系冷媒を用いた空調機の冷凍機油としてよく用いられる鉱油に比べ吸湿性が高く水分により劣化しやすく冷凍機油の劣化の結果、スラッジが発生し圧縮機への負荷が増大し最終的にはエアコンの停止にいたる。そのためHFC冷媒を用いた空調装置は従来にもまして厳しい水分管理が必要となる。
【0005】
これらの汚れを取り除くために従来はフロン等の溶剤をポンプを有する配管洗浄装置で配管内に循環させるようなスラッジ除去作業が必要であった。
【0006】
また新築住宅でも建物の美観を目的に接続配管を予め建物の壁内に埋め込まれているような場合が多くなってきているが、住宅完成の数ヵ月前に配管施工されるため、空気調和機を設置するまでの保管状況によっては雨水や結露により配管内に水分が侵入する可能性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の配管洗浄装置は大型であり洗浄時間も長いため、コストもかかり施工時間の増大にもつながっていた。また新設配管でも配管施工後に侵入した水分をほとんど確認されずに空気調和機を設置されているため、性能低下や故障の心配があった。
【0008】
本発明は、配管の清浄を短時間で実現し、HFC系冷媒を使用した空調機に対して既設配管を利用しても長期信頼性を得られ、また新設配管でも配管施工後に侵入した水分を空気調和機の性能に影響しないくらいまで充分除去する事が可能な空気調和機の清浄方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明のうちで請求項1に記載の空気調和機の配管清浄用物品は、空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から略円柱形状の物質をシートで巻き付けた物品を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において前記シートの少なくとも一端を紐状物質で巻いて固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の本発明の空気調和機の配管清浄用物品は、請求項1に記載の空気調和機の配管清浄方法において、略円柱形状の物質が複数個、シートに巻かれてあることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明の空気調和機の配管清浄用物品は、請求項1に記載の空気調和機の配管清浄方法において、物品の挿入方向に対して同方向に物質に穴をあけてあることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の本発明の空気調和機の配管清浄用物品は、請求項1に記載の空気調和機の配管清浄方法において、略円柱形状の物質の外側が中心部より硬いことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の本発明の空気調和機の配管清浄用物品は、請求項1〜4のいずれか1項記載の空気調和機の配管清浄方法において、物品の挿入方向に対し、後方側の不織布シートがスカート状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の本発明の空気調和機の配管清浄方法は、請求項1〜5記載の空気調和機の配管清浄用物品を用いて、配管清浄を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の本発明の空気調和機の配管清浄用物品は、空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から略円柱形状の物質をシートで巻き付けた物品を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において前記配管に挿入する物品の少なくとも一端のシートをを融着し、前記融着端面を斜めカットしたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の本発明の空気調和機の配管清浄方法は、空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から物品を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留するオイルおよび水分を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、配管を所定の温度に加熱した後で物品を通過させることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の本発明の空気調和機の配管清浄方法は、配管内部に30〜60℃で融解する無機水和化合物を融解した状態で充填し、配管を充分暖めた後で圧縮気体で排除した後、物品を通過させることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の本発明の空気調和機の配管清浄方法は、空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から物品を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留するオイルおよび水分を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、物品を配管内に通過させるとき、配管に振動を与えることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態における空気調和機の配管清浄用物品は少なくとも一端を紐状物質で巻いて固定したものである。このように両端面を紐状物質で巻くことで物品の先端が曲面となり配管の偏平部分でも詰まったりすることなくスムーズに通過する。また、配管内に残留付着していたオイルや水分は物品が圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって配管外に排出される。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0020】
本発明の第2の実施の形態における空気調和機の配管清浄用物品は、略円柱形状物質が複数個、シートに巻かれたものである。これにより変形自由度が増し、配管の偏平部分でもスムーズに通過し、圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって配管内に残留付着していたオイルや水分も配管外に排出される。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0021】
本発明の第3の実施の形態における空気調和機の配管清浄用物品は、物品の挿入方向に対して同方向に略円柱形状物質に穴をあけてシートに巻かれたものである。これにより物品の中心部分が空洞であり変形自由度が増し、配管の偏平部分でもスムーズに通過し、圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって配管内に残留付着していたオイルや水分も配管外に排出される。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0022】
本発明の第4の実施の形態における空気調和機の配管清浄用物品は、略円柱形状物質の外側が中心部より硬く構成されている。これにより物品の中心部分の変形自由度が増し偏平部分でもスムーズに通過し、且つ物品の外側が硬いため配管内壁面に付着のオイルや水分を掻き取る効果もある。また配管の圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって配管内に残留付着していたオイルや水分も配管外に排出される。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0023】
本発明の第5の実施の形態における空気調和機の配管清浄用物品は、物品の挿入方向に対し、後方側のシートがスカート状に形成されている。これによりシートのスカート状部分にオイルや水分が吸収され易くなり除去率が向上し、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0024】
本発明の第6の実施の形態における空気調和機の配管清浄方法は、請求項1〜5に記載の配管清浄用物品を用いた配管清浄方法である。これによりオイルや水分が容易に除去され空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0025】
本発明の第7の実施の形態における空気調和機の配管清浄用物品は、略円柱形状の物質に熱融着可能なシートを巻き、少なくとも一端ののシートを融着し前記融着端面を斜めカットしたものである。これにより融着し硬くなった端面部分の変形自由度が増し、配管の偏平部分でもスムーズに通過し、圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって配管内に残留付着していたオイルや水分も配管外に排出される。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0026】
本発明の第8の実施の形態における空気調和機の配管清浄方法は、配管を所定の温度に加熱した後で物品を通過させるものである。これにより配管内部のオイルの粘度が下がり冬季でも外気温に左右されることなく安定した状態で配管内の残留付着しているオイルを除去することが可能となる。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0027】
本発明の第9の実施の形態における空気調和機の配管清浄方法は、配管内部に30〜60℃で融解する無機水和化合物を融解した状態で配管内に充填し、配管が充分暖まってから気体ガスブローで無機水和化合物を排除した後、物品を通過させるものである。これにより配管内部のオイルの粘度が下がり冬季でも外気温に左右されることなく安定した状態で配管内の残留付着しているオイルを除去することが可能となる。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0028】
本発明の第10の実施の形態における空気調和機の配管清浄方法は、物品を配管内に通過させるとき、配管に振動を与えるものである。これにより配管内壁のオイルやごみを浮き上がらせる効果と物品が配管の偏平部分を通過し易くする効果が付与されオイルやごみを除去しやすくすることが可能となる。したがって、空気調和機の配管として長期信頼性が得られる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の配管清浄方法を適用する空気調和機の設置状況の一例のモデル図である。空気調和機は室外機1に対してたとえば3台の室内機2,3,4が分岐ユニット5を経由して備えられている。銅配管6は住宅の外観を配慮して住宅壁の内部に埋め込んだ状態で引きまわされ、室外機から離れた室内機の場合、長い銅配管では30mにもおよぶ場合がある。本発明の配管清浄方法は室外機1、室内機2を接続する前に銅配管6のみに対して実施するものである。
【0030】
この清浄方法について図2を用いて説明する。まず銅配管6の一方から物品7を配管に挿入する。ここで物品7を挿入する銅配管6の開口端は室外側、室内側のどちらでも構わない。しかし挿入した物品は銅配管の他端から出てくる際に配管内部に含有されていたオイルや水分を排出する。そのためこれらオイルなどの排出による室内の汚染を防ぐために物品7は銅配管の室内側の開口端から導入する方が好ましい。挿入する物品7は略円柱形状であり、表面にシートを配置するものである。
【0031】
以下に具体的な実施例を示す。なお、残水分量の測定は本発明の清浄方法実施後の配管を加熱しながら乾燥窒素を通しカールフィッシャ微量水分測定装置を用いて測定した。残存している鉱油量の測定は本発明の清浄方法実施前後の重量変化と水分除去量から差をとって算出した。
【0032】
(実施例1)
図3を用いて物品の構成を説明する。物品10は、外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレン11にポリプロピレンシート12を1周巻き、両端を糸13で結んだ。
【0033】
ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。25℃の雰囲気で銅配管内部に物品10を圧縮しながら挿入した。さらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.35MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は85%、水分は99%除去することができた。
【0034】
(実施例2)
図4を用いて物品の構成を説明する。物品10は、外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレン11を2個1組でポリプロピレンシート12を1周巻き、糸13で両端を結んだ。
【0035】
ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。25℃の雰囲気で銅配管内部にこの物品を圧縮しながら挿入した。さらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.35MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は89%、水分は99%除去することができた。
【0036】
(実施例3)
図5を用いて物品の構成を説明する。物品10は、外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレン11の中心に貫通穴14をあけ、ポリプロピレンシート12を1周巻き、両端を糸13で結んだ。ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。25℃の雰囲気で銅配管内部にこの物品を圧縮しながら挿入した。さらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.35MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は88%、水分は99%除去することができた。また発泡ポリエチレンの中心にあけた穴が貫通穴でなくても同様の結果が得られた。
【0037】
(実施例4)
図6を用いて物品の構成を説明する。物品10は、外径5mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレン11の外周に発泡ポリエチレンより硬いNBRゴム15を配設しトータル外形10mm、長さ20mmの略円柱状の物品としポリプロピレンシート12を1周巻き、両端を糸13で結んだ。ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。25℃の雰囲気で銅配管内部にこの物品を圧縮しながら挿入した。さらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.35MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は88%、水分は99%除去することができた。
【0038】
(実施例5)
図7を用いて物品の構成を説明する。物品10は、外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレン11にポリプロピレンシート12を1周巻き、端部の片方のシート長さが端面から20mmとなるようにし両端を糸13で結んだ。ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。25℃の雰囲気で銅配管内部の進行方向に端面のシートの短い方から圧縮しながら挿入した。この物品をさらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.35MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は86%、水分は99%除去することができた。
【0039】
(実施例6)
図8-aを用いて物品の構成を説明する。物品10は、外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレン11にポリプロピレンシート12を1周巻き、両端を融着16し、斜めカット17したものである。
【0040】
ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。25℃の雰囲気で銅配管内部にこの物品を圧縮しながら挿入した。さらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.35MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は82%、水分は99%除去することができた。
【0041】
図8-bを用いて物品の構成を説明する。物品10は、外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレン11をポリプロピレンシート12を1周巻き、両端を融着16により固定したものでありカット17する前の状態である。前記同様の実験を行ったところ、鉱油は81%、水分は99%除去することができたが、配管中央部の扁平部で溶着部16が物品10の外径よりも大きく引っかかり易い傾向が見られた。そのため、斜めカットをおこったなった方が良いことがわかった。
【0042】
(実施例7)
ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。配管に挿入する物品として外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレンに、ポリエチレンシートを1周巻き、両端を糸で結んだ。鉱油の粘度は約30℃以上になると低下し流動しやすくなるため、銅配管を40℃雰囲気中で1時間放置し暖めた後、銅配管内部に圧縮しながらこの物品を挿入した。この物品をさらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.3MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は86%、水分は99%除去することができた。
【0043】
(実施例8)
ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。次に鉱油の粘度は約30℃以上になると低下し流動しやすくなるため、配管内部に30〜60℃で融解する無機水和化合物であるCaCl・6H2Oを電気炉で融解後ビーカーで銅配管に充填し、潜熱温度以下になり充填物が固化する前に窒素ガスブローで排除した。銅配管は窒素ガスブローで銅配管温度が下がるため、銅配管表面の温度が30℃以下にならないように、潜熱温度の高い無機水和化合物を充填する方が良い。そこへ、配管に挿入する物品として外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレンに、ポリエチレンシートを1周巻き、両端を糸で結んだ物品を圧縮しながら挿入した。さらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し0.3MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は83%、水分は99%除去することができた。
【0044】
なお、他の無機水和化合物として、Na2SO4・10H2O、Na2CO3・10H2O、Na2HPO4・12H2O、(NO3)2・4H2O、Na2S2O3・5H2O、NaCH3COO・3H2O等を用いても良い。
【0045】
(実施例9)
ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。銅配管に挿入する物品として外径10mm、長さ20mmの略円柱状の発泡ポリエチレンに、ポリエチレンシートを1周巻き、両端を糸で結んだ物品を圧縮しながら挿入した。さらに窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し銅配管に超音波振動を与えながら、0.3MPaの圧力をかけて挿入部品を搬送する操作を3回繰り返し実施した。その結果、鉱油は85%、水分は99%除去することができた。
【0046】
(比較例1)
ここでは1本の配管で代表し外径9.525mmの銅配管(内径7.925mm)5mの中央部に偏平率70%の曲げ部分をつくったものを用意し、内部に予め鉱油50gと水分16gを封入した。窒素ボンベと銅配管を耐圧ホースにて接続し出口圧力0.1Mpaとして3分間配管内に窒素を流した。その結果、鉱油は10%、水分は15%しか除去できなかった。
【0047】
(信頼性試験)
上記結果を踏まえ劣化した鉱油(全酸価0.04)を使用して信頼性試験をおこなった。劣化した鉱油10gをエステル油260gに混入させR410A冷媒850gを充填した空気調和機について冷房過負荷条件、室外機40℃室内機40℃で吐出温度115℃設定にして2000時間運転した。その結果、圧縮機の摺動部に不具合はなかった。本発明のこの配管を用いて信頼性試験をおこなった。
【0048】
したがって、本発明による既設配管清浄化を行う前に残留しているオイルの状態および絶対量によるが、本発明による既設配管清浄化を実施すればほとんど全ての場合において次に取り付ける空気調和機の信頼性を保証できると推定される。
【0049】
なお、本発明の清浄方法は配管内に残存する冷凍機油として鉱油を除去する実施例を示したが鉱油だけでなく、アルキルベンゼン油、エステル油、エーテル油など他のオイルを用いた空気調和機に対しても適応可能である。また、本実施例ではオイルおよび水分についてのみの実験結果を示したが、本発明の清浄方法により塵埃などの固形物も除去できることは容易に推定できる。
【0050】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、請求項1記載の発明によれば物品をシートで巻き、紐状物質で両端面のシートを結び固定し、端面を曲面にすることで偏平部分で詰まったりすることなくスムーズに通過し、圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって挿入物品とともに配管内に残留付着していたオイルや水分を効果的に配管外に除去することが可能になった。
【0051】
また、請求項2〜4記載の発明によれば物品の中心部分を柔らかくすることにより物品の中心部分の変形自由度が増し、配管の偏平部分で詰まったりすることなくスムーズに通過し、圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって挿入物品とともに配管内に残留付着していたオイルや水分を効果的に配管外に除去することが可能になった。
【0052】
また、請求項5記載の発明によれば物品の挿入方向に対し、後方側のシートがスカート状に形成されていることでスカート状部分にオイルや水分が吸収され易くなり除去率が向上し圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって挿入物品とともに配管内に残留付着していたオイルや水分を効果的に配管外に除去することが可能になった。
【0053】
また、請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5に記載の配管清浄用物品を用いることによりオイルや水分が容易に除去され空気調和機の配管として長期信頼性を得ることが可能となった。
【0054】
また、請求項7記載の発明によれば物品は熱融着可能なシートを巻き、両端を融着し、前記物品と前記シートを固定し、融着端面を斜めカットしたものである。これにより融着固定し硬くなった物品の端面部分の変形自由度が増し、配管の偏平部分に対し直角に進入した場合でもスムーズに通過し、圧縮気体で搬送される時に生じる排除体積効果とあいまって挿入物品とともに配管内に残留付着していたオイルや水分を効果的に配管外に除去することが可能になった。
【0055】
また、請求項8、9記載の発明によれば配管を加熱して清浄にできるため特に低外気温の時の作業時に効果的にオイルや水を除去することが可能になった。
【0056】
また、請求項10記載の発明によれば配管に振動を与えるためオイルやごみなどを浮き上がらせる効果あり物品を挿入し通過させることで効果的に配管外に除去することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配管清浄方法を適用する空気調和機の設置状況の一例のモデル図
【図2】本発明の配管清浄方法の概略図
【図3】本発明の実施例1において銅配管内を搬送清浄する物品の断面構成図
【図4】本発明の実施例2において銅配管内を搬送清浄する物品の断面構成図
【図5】本発明の実施例3において銅配管内を搬送清浄する物品の断面構成図
【図6】本発明の実施例4において銅配管内を搬送清浄する物品の断面構成図
【図7】本発明の実施例5において銅配管内を搬送清浄する物品の断面構成図
【図8】(a) 本発明の実施例6において銅配管内を搬送清浄する物品の断面構成図
(b) 本発明の実施例6において銅配管内を搬送清浄する物品の融着部をカットする前の断面構成図
【符号の説明】
1 室外機
2 室内機
3 室内機
4 室内機
5 分岐ユニット
6 銅配管
7 物品
8 圧縮気体ボンベ
9 耐圧ホース
10 物品
11 発砲ポリエチレン
12 ポリプロピレンシート
13 糸
14 貫通穴
15 NBRゴム
16 融着
17 カット
Claims (10)
- 空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から略円柱形状の物質にシートを巻き付けた物品を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、前記シートの少なくとも一端を紐状物質で巻き付けたことを特徴とする空気調和機の配管清浄用物品。
- 前記シート内に前記物質が複数個巻かれていることを特徴とする請求項1記載の空気調和機の配管清浄用物品。
- 前記物品の挿入方向に対して同方向に前記物質に穴を設けていることを特徴とする請求項1記載の空気調和機の配管清浄用物品。
- 前記物質の外側が中心部より硬いことを特徴とする請求項1記載の空気調和機の配管清浄用物品。
- 前記物品は、挿入方向に対し後方側の前記シートがスカート状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4記載の空気調和機の配管清浄用物品。
- 請求項1〜5記載の空気調和機の配管清浄用物品を用いて、配管清浄を行うことを特徴とする空気調和機の配管清浄方法。
- 空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から略円柱形状の物質にシートを巻き付け少なくとも一端のシートを融着し固定した物品を配管口から圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、前記融着の端面を斜めカットしたことを特徴とする空気調和機の配管清浄用物品。
- 空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から物品を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、前記配管を所定の温度に加熱した後で前記物品を通過させることを特徴とする空気調和機の配管清浄方法。
- 配管内部に、30〜60℃で融解する無機水和化合物を融解した状態で充填することを特徴とする請求項8記載の空気調和機の配管清浄方法。
- 空気調和機の室内機と室外機の間で作動媒体を流通させるために接続される配管の一方の配管口から物品を圧縮気体で搬送することによって配管内部に残留する異物を他方の配管口から排除する空気調和機の配管清浄方法において、前記物品で配管内を通過させるとき、前記配管に振動を与えることを特徴とする空気調和機の配管清浄方法。
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