JP3733276B2 - N−置換−N’−置換−ウレア誘導体及びTNF−α産生阻害剤としてのその使用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なN−置換−N’−置換−ウレア誘導体、該化合物を含有する医薬組成物、TNF−α産生阻害剤及び自己免疫性疾患治療剤に関するものである。
【従来の技術】
TNF−α(Tumor Necrosis Factor- α:腫瘍壊死因子)は、現在、生体防御・免疫機構に広く係わるサイトカインとして認識されているが、TNF−αの持続的かつ過剰の産生は組織障害を起こしたりして、さまざまな病気の原因や増悪をもたらす要因となっている。例えば、TNF−αが関係する病態例として、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、悪液質、急性感染症、アレルギー、発熱、貧血、糖尿病などがあげられている(山崎、臨床免疫、27、1270、1995)。又、TNF−αが自己免疫性疾患である慢性リウマチ及びクローン病の発症に重要な役割を果していることが報告されている(Andreas Eigler et al., Immunology Today, 18、487、1997)。
従って、TNF−αの産生を阻害又はその作用を抑制できる化合物は、上記疾患の治療に有用であろうと期待され、種々の研究が行われてきている(上記文献山崎、臨床免疫、27及び Andreas Eigler et al., Immunology Today, 18)。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、TNF−α産生阻害活性を有する新規化合物を提供することを目的とする。
本発明は、該化合物を製造するのに有用な中間体を提供することを目的とする。
本発明は、又、該化合物を含有する医薬組成物、TNF−α産生阻害剤及び自己免疫性疾患治療剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、従来ほとんど薬物としての研究がなされていないウレア構造を基本構造とする化合物の合成研究を鋭意行い、数多くの新規化合物を創製し、このうち下記一般式Iで表されるN−置換−N’−置換−ウレア誘導体が、優れたTNF−α産生阻害活性を有するとの知見に基づいてなされたのである。
すなわち、本発明は、下記一般式Iで表されるN−置換−N’−置換−ウレア誘導体及びその医薬上許容される塩を提供する。
【0003】
【化4】
【0004】
(式中、
R1 は、水素原子、低級アルキル基、アリール基、又は式IIで表される基を表し、
【0005】
【化5】
【0006】
R2 は、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、カルボキシル基又はエステル基を表し、又R1 と一緒になって環を形成してもよく、
R3 とR4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、
R5 は、水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基又はアリール基を表し、
R6 とR7 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、
A1 とA2 は、同一でも異なっていてもよく、低級アルキレン基を表すが、
但し、R5 とR6 若しくはR7 のいずれかが一緒になって、又はR6 とR7 が一緒になって、5〜7員環を形成し、かつR3 とR4 のいずれか一方が、シクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基又はアリールアルキル基である。)
本発明は、又、下記一般式III で表されるN−置換−N’−置換−ウレア誘導体及びその塩を提供する。
【0007】
【化6】
【0008】
本発明は、又、上記N−置換−N’−置換−ウレア誘導体又はその医薬上許容される塩を含有する医薬組成物、TNF−α産生阻害剤及び自己免疫性疾患治療剤を提供する。
【発明の実施の形態】
本明細書において、低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、イソヘキシルなどの炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基があげられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどの炭素数3〜10のシクロアルキル基があげられ、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基、特に好ましくはシクロヘキシル基である。低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルコキシ基があげられ、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、特に好ましくは1〜3のアルコキシ基である。
【0009】
これらの低級アルキル基、シクロアルキル基及び低級アルコキシ基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子、臭素原子など)、ヒドロキシル基などで置換されていてもよい。又、シクロアルキル基は、低級アルキル基や低級アルコキシ基で置換されていてもよい。
低級アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、メチルメチレン、テトラメチレン、2−メチルトリメチレン、ヘキサメチレンなどの炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基があげられ、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基、特に好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基である。
又、アリール基として、置換又は未置換の炭素数6〜12のフェニル基、ナフチル基及び芳香族複素環基があげられ、好ましくは置換又は未置換のフェニル基、特に好ましくは未置換のフェニル基及びビフェニリル基である。ここで、置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子、臭素原子など)、ヒドロキシル基、アミノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、フェニル基などがあげられる。
シクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基及びアリールアルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはエチル基に、上記シクロアルキル基、アダマンチル基又はアリール基が結合したものがあげられる。
【0010】
エステル基としては、低級アルキルエステル、ベンジルエステル、フェニルエステルなどがあげられる。
R2 とR1 が一緒になって形成する環としては、R1 が結合するイオウ原子を環内に取り込んでなる5又は6員の非芳香族複素環、例えば、テトラヒドロチオフェン、チオラクトン及びジチオランなどがあげられる。
R5 とR6 若しくはR7 のいずれかが一緒になって、又はR6 とR7 が一緒になって形成する5〜7員環としては、環内に窒素原子、又は窒素原子と酸素原子若しくはイオウ原子を有する非芳香族複素環があげられ、1つ又は2つの窒素原子を有するもの、1つの窒素原子と1つの酸素原子を有するものがより好ましい。具体的には、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾリン環、オキサゾリジン環、チアゾリン環、チアゾリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ビラゾリン環、ピラゾリジン環、ジヒドロピリジン環、テトラヒドロピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ホモピペラジン環、ホモピペリジン環などがあげられる。これらのうち、ピロリン環、ピロリジン環、テトラヒドロピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ホモピペリジン環が好ましく、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロピリジン環及びホモピペリジン環がより好ましい。特に好ましいのは、ピロリジン環、ピペリジン環及びホモピペリジン環である。これらの5〜7員環は、低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、アミノ基やヒドロキシル基などの置換基を有していてもよく、又ベンゼン環が縮合していてもよい。
本発明の一般式Iで表される化合物がチオール基、ヒドロキシル基、アミノ基や複素環窒素原子を有する場合には、これらの基は、汎用の保護基によって保護されていてもよい。
【0011】
チオール基の保護基としては、アシル基、置換チオ基等のチオール基の保護基として汎用されるものがあげられる。具体的には、低級アルカノイル基、フェニルカルボニル基、テノイル基、ニコチノイル基、低級アルコキシカルボニル基、置換低級アルコキシカルボニル基、置換カルバモイル基等のアシル基;低級アルキルチオ基、フェニルチオ基等の置換チオ基が挙げられる。なお、上記フェニルカルボニル基およびフェニルチオ基のフェニル環はハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されていてもよい。
これらのうち、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テノイル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のアシル基;エチルチオ基、t−ブチルチオ基、フェニルチオ基等の置換チオ基が好ましく、より好ましくは低級アルキルカルボニル基(特に炭素数2〜5)である。
【0012】
ヒドロキシル基の保護基としては、アシル基、置換低級アルキル基、置換シリル基等のヒドロキシル基の保護基として汎用されるものがあげられる。具体的には、ホルミル基、低級アルカノイル基、ハロゲノ低級アルカノイル基、フェニルカルボニル基、低級アルコキシカルボニル基、フェニル低級アルコキシカルボニル基等のアシル基;アリル基、低級アルコキシ低級アルキル基、置換低級アルコキシ低級アルキル基、フェニル低級アルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の置換低級アルキル基;低級アルキルシリル基、フェニルシリル基等の置換シリル基が挙げられる。なお、上記フェニルカルボニル基、フェニル低級アルコキシカルボニル基、フェニル低級アルキル基およびフェニルシリル基のフェニル環はハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されていてもよい。
これらのうち、保護基として、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、モノクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のアシル基;アリル基、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、2−メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、トリチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基等の置換アルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等の置換シリル基が好ましく、より好ましくは、トリ低級アルキルシリル基である。
【0013】
アミノ基及び複素環窒素原子の保護基としては、アシル基、置換低級アルキル基、置換スルホニル基等のアミノ基や複素環窒素原子の保護基として汎用されるものがあげられる。具体的には、ホルミル基、低級アルカノイル基、ハロゲノ低級アルカノイル基、フェニルカルボニル基、低級アルコキシカルボニル基、置換低級アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアシル基;アリル基、フェニル低級アルキル基、ベンゾイル低級アルキル基等の置換低級アルキル基;低級アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基等の置換スルホニル基が挙げられる。なお、上記フェニルカルボニル基、フェノキシカルボニル基、フェニル低級アルキル基、ベンゾイル低級アルキル基およびフェニルスルホニル基のフェニル環はハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されていてもよい。
これらのうち、保護基として、ホルミル基、アセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ジフェニルメトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアシル基;アリル基、ベンジル基、トリチル基、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル基等の置換アルキル基;ベンゼンスルホニル基、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等の置換スルホニル基が好ましく、より好ましくは、低級アルコキシカルボニル基である。
【0014】
本発明の一般式Iにおいて、R1 としては、水素原子、低級アルキル基、又は式IIで表される基であるのが好ましく、又R1 が水素原子の場合、チオール保護基によって保護されているものも好ましい。さらに、R1 としては、水素原子又は低級アルキル基であるのが好ましく、又、R1 が水素原子の場合、必ずチオール保護基によって保護されているのが好ましい。又、R1 が低級アルキル基の場合、無置換のものが好ましい。
R2 としては、水素原子又はアリール基であるのが好ましく、特に水素原子であるのが好ましい。R2 がアリール基である場合、A1 のS原子に結合している炭素原子を1番目の炭素原子と数えて、2番又は3番目の炭素原子に結合しているのが好ましく、2番目の炭素原子に結合しているのがより好ましい。
R3 とR4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基又はアリールアルキル基であるのが好ましい。さらに、R3 が、シクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基又はアリールアルキル基であるのが好ましく、特にシクロアルキルアルキル基又はアダマンチルアルキル基であるのが好ましい。R4 は、水素原子、低級アルキル基又はアリールアルキル基であるのが好ましく、特に水素原子であるのが好ましい。
【0015】
上記R3 とR4 は、特に両者が異なったものを表すのが好ましく、なかでも一方が水素原子を表すのが好ましく、R4 が水素原子を表すのが好ましい。又、R3 とR4 における低級アルキル基としては、炭素数4〜8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
R5 は、水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシル基又はアリール基を表すのが好ましく、より好ましくは水素原子、低級アルキル基又はアリール基である。R5 がヒドロキシル基を表す場合、ヒドロキシ保護基によって保護されていてもよい。R5 が水素原子以外の置換基である場合、R5 は、尿素を構成するN原子に結合しているA2 の炭素原子を1番目の炭素原子と数えて、1番、2番又は3番目の炭素原子に結合しているのが好ましく、1番又は2番目の炭素原子に結合しているのがより好ましい。
R6 とR7 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基又はアリール基を表すのが好ましく、より好ましくは低級アルキル基ある。
A1 とA2 は、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4の低級アルキレン基を表すのが好ましく、特にA1 は炭素数2又は3の低級アルキレン基を表すのがより好ましい。
【0016】
さらに、一般式Iにおいて、R5 とR6 (又はR7 )とで形成する5〜7員環としては、上記のものがあげられるが、このうち、ピロリジン環とピペリジン環が特に好ましい。R6 とR7 が一緒になって、形成する5〜7員環のうち、好ましいものは上記の通りである。
本発明の一般式Iにおいて、又、次のものが好ましい。
(i) 一般式I中、R1 が、水素原子又は低級アルキル基、
R2 が、水素原子又はアリール基、
R3 とR4 が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基又はアリールアルキル基、
R5 が、水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシル基又はアリール基、
R6 とR7 が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基又はアリール基、
A1 とA2 が、同一でも異なっていてもよく、炭素数2又は3のアルキレン基を表す場合。
【0017】
(ii)一般式Iにおいて、又は上記(i) において、さらにR6 とR7 が、水素原子又は低級アルキル基、
A1 が炭素数2のアルキレン基、
A2 が炭素数2又は3のアルキレン基を表す場合。
(iii) 上記(i) 又は(ii)において、R3 が、シクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基又はアリールアルキル基、
R4 が、水素原子である場合。
(iv)上記(i) 〜(iii) において、R5 が、水素原子、低級アルキル基又はアリール基、R6 とR7 が一緒になって、5〜7員環を形成している場合。
(v) 上記(iv)において、R6 とR7 が一緒になって形成する5〜7員環が、さらに窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有してもよく、又二重結合を有していてもよい場合。
(vi)上記(i) 〜(iii) において、R5 とR6 若しくはR7 のいずれかが一緒になって、5〜7員環を形成し、R6 若しくはR7 のうち環の形成に寄与していない基が、低級アルキル基である場合。
(vii) 上記(i) 〜(vi)において、R1 が水素原子である場合、低級アルキルカルボニル基で保護されている場合。
【0018】
本発明の化合物として、具体的には、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[3−(1−ピロリジニル)プロピル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[3−(1−ピペリジル)プロピル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−3−[(1S)−1−ベンジル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1−フェネチルウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ホモピペリジル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[[(2RS)−1−エチル−2−ピロリジニル]メチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジル]エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[(1−メチル−4−ピペリジル)メチル]ウレア、1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−[2−(メチルチオ)エチル]−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレアよりなる群から選ばれる化合物及びその医薬上許容される塩が好ましい。
【0019】
本発明における塩類とは医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸との塩、また、ナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩などが挙げられる。また、本発明化合物に幾何異性体または光学異性体が存在する場合には、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。尚、本発明化合物は水和物の形態をとっていてもよい。
本発明の一般式Iで表される化合物は、例えば、以下の代表的な方法により又はこの方法に準じて合成することができる。
【0020】
【化7】
【0021】
上記方法には、次の2通りの合成方法が含まれている。
合成方法A:式〔IV〕の化合物→式〔III 〕の化合物→一般式Iで表される化合物
合成方法B:式〔IV〕の化合物→一般式Iで表される化合物
これらの合成方法を次に具体的に説明する。
合成方法A
【0022】
【化8】
【0023】
式〔IV〕の化合物をアミノアルコール誘導体〔VI〕と縮合剤(例えば、1,1'−カルボニルジイミダゾール〔VII 〕)の存在下で反応させて、式〔III 〕の化合物を得、次いで、得られた式〔III 〕の化合物をチオール誘導体〔VIII〕とMitsunobu 反応を用いて縮合させて本発明の一般式Iで表される化合物を得る。
合成方法B
【0024】
【化9】
【0025】
式〔IV〕の化合物を式〔IX〕の化合物と縮合剤(例えば、1,1'−カルボニルジイミダゾール〔VII 〕)の存在下で反応させて、直接本発明の一般式Iで表される化合物を得る。ここで、式〔IV〕の化合物と式〔IX〕の化合物は、特願平10−79154号明細書に記載の方法により容易に合成することができる。
上記式〔III 〕の化合物は、新規化合物であり、本発明の一般式Iで表される化合物の有用な製造中間体である。式中、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、A1 とA2 は、一般式Iにおけると同じ意味を有し、又、好ましいものなども一般式Iにおけると同様である。
上記合成方法において、反応物質が分子内にチオール基、ヒドロキシル基、アミノ基又は複素環窒素原子を有する場合、それらの基は必要に応じて適当な保護基で保護していてもよく、またそれらの保護基は反応後常法により除去することもできる。また、反応物質が分子内にカルボキシル基を有する場合、カルボキシル基は必要に応じてエステル化してもよく、またエステルは加水分解によりカルボン酸にすることもできる。
【0026】
本発明化合物において、R2 がA1 に隣接する硫黄原子と連結してチオラクトン環を形成する場合は、上記経路以外に次の様な方法によって合成することもできる。即ちチオラクトン環は、式[I]において、R2 がカルボキシル基を、R1 が水素原子を示す場合に、それらの基を縮合させ合成することもできる。
上記の方法によって得られた化合物は、常法により前述の様な塩類とすることができる。
本発明化合物のTNF−α産生阻害作用を後述の薬理試験の項で示すが、リポポリサッカライド(LPS)の刺激によって引き起こされたTNF−αの遊離に対する抑制効果をin vitro及びin vivo で検討した結果、本発明化合物は優れたTNF−α産生阻害作用を示した。
TNF−αの産生は慢性関節リウマチ、クローン病、全身エリテマトーデス等の自己免疫性疾患、悪液質、急性感染症、アレルギー、発熱、貧血、糖尿病等の発症と深く関わり合いがあることが知られているので、本発明化合物の様に、その産生を阻害する化合物はそれらの幅広い疾患の治療に有用であると期待される。
【0027】
本発明化合物は経口でも、非経口でも投与することができる。投与剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤等が挙げられ、汎用されている技術を用いて製剤化することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤であれば、乳糖、結晶セルロース、デンプン、植物油等の増量剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロース カルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂等のコーティング剤、ゼラチン皮膜等の皮膜剤などを必要に応じて加えればよい。
【0028】
本発明化合物の投与量は症状、年令、剤型等によって適宜選択できるが、経口剤であれば通常1日当り0.1〜5000mg、好ましくは1〜1000mgを1回または数回に分けて投与すればよい。
以下に、本発明化合物の製造例、製剤例および薬理試験の結果を示すが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
[製造例]
参考例1
(1S)−1−ベンジル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチルアミン(参考化合物1−1)
【0029】
【化10】
【0030】
窒素雰囲気下、氷冷しながら水素化リチウムアルミニウム(531mg)を無水エーテル(14ml)に懸濁し、1−〔(2S)−2−アミノ−3−フェニルプロピオニル〕−4−メチルピペラジン(1.48g)の無水テトラヒドロフラン(7ml)溶液を滴下した。室温で4時間撹拌した。氷冷下、反応液に酢酸エチルを発泡しなくなるまで徐々に滴下した。次いで2N水酸化ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、標記化合物(参考化合物1−1、1.25g)を得た。
(参考化合物1−1)
[α]D20 +9.1°(c=1.0,クロロホルム)
IR(Film,cm-1)3288,2936,2795,1601,1495,1455,1374,1283,1166,1013
参考例2
3−(1−ピロリジニル)プロピルアミン(参考化合物2−1)
【0031】
【化11】
【0032】
N−[3−(1−ピロリジニル)プロピル]フタルイミド(729mg)及びヒドラジン一水和物(284mg)をメタノール(9ml)に溶解し、2時間加熱還流した。冷却後反応液を減圧濃縮し、残留物に4N水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、標記化合物(参考化合物2−1、216mg)を得た。
(参考化合物2−1)
IR(Film,cm-1)3283,2932,2874,2786,1584,1460,1386,1350,1293,1203,1145,877
参考例2と同様の方法を用いて以下の化合物を得た。
・3−(1−ピペリジル)プロピルアミン(参考化合物2−2)
IR(Film,cm-1)3286,2933,2853,1592,1469,1442,1124
・[(3RS)−1−メチル−3−ピペリジル]メチルアミン(参考化合物2−3)
IR(Film,cm-1)3286,2931,2848,2775,1655,1598,1465,1446,1094
・(2RS)−2−(t−ブチルジメチルシロキシ)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピルアミン(参考化合物2−4)
mp 35.0〜40.0℃
IR(KBr,cm-1)3363,3290,2934,2855,2800,1594,1459,1359,1284,1247,1166,1115,1012,965,877,834,776
参考例3
2−(1−ホモピペリジル)エチルアミン 2塩酸塩(参考化合物3−1)
【0033】
【化12】
【0034】
窒素雰囲気下、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−(1−ホモピペリジル)エチルアミン(2.31g)のエーテル(5ml)溶液に4N塩化水素酢酸エチル溶液(24ml)を加えた。室温で15分間撹拌したのち、析出物を濾取して、標記化合物(参考化合物3−1、1.59g)を結晶として得た。
(参考化合物3−1)
mp 162〜173℃
IR(KBr,cm-1)3510,3384,2938,2624,2045,1604,1572,1463
参考例3と同様の方法を用いて以下の化合物を得た。
・2−(4−メチル−1−ピペリジル)エチルアミン 2塩酸塩(参考化合物3−2)
mp 155〜161℃
IR(KBr,cm-1)3477,3395,2956,2630,1600,1566,1502,1455,1054,962
・2−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジル]エチルアミン 3塩酸塩(参考化合物3−3)
mp 250℃以上
IR(KBr,cm-1)3566,2991,2546,1578,1515,1468
【0035】
・2−(3−ピロリン−1−イル)エチルアミン 2塩酸塩(参考化合物3−4)
IR(Film,cm-1)3400,2958,1607,1454,1040,694
・2−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)エチルアミン 2塩酸塩(参考化合物3−5)
mp 82〜98℃
IR(KBr,cm-1)3450,2981,2587,1596,1477,1035,939
・2−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル)エチルアミン2塩酸塩(参考化合物3−6)
IR(Film,cm-1)3396,2960,1608,1455,1161,1026,754
参考例4
[1−(ベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル]メチルアミン 塩酸塩(参考化合物4−1)
【0036】
【化13】
【0037】
窒素雰囲気下、4−アミノメチルピペリジン(7.19g)の無水塩化メチレン(80ml)溶液に、ドライアイス−メタノールで冷却しながら、塩化ベンジルオキシカルボニル(3.0ml)の無水塩化メチレン(25ml)溶液を滴下した。滴下終了後20分間ドライアイス−メタノールで冷却しながら撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物にエーテル及びクエン酸水溶液を加えた。水層をエーテルで2回洗浄した。水層にクロロホルムを加えたのち、室温で撹拌しながら炭酸ナトリウムを加え塩基性にした。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた油状物をエーテルに溶解し、氷冷下、4N塩化水素酢酸エチル溶液(10ml)を加えた。析出物を濾取し、標記化合物(参考化合物4−1、1.86g)を結晶として得た。
(参考化合物4−1)
mp 130.0〜135.0℃
IR(KBr,cm-1)2926,1699,1604,1468,1436,1366,1282,1245,1170
参考例5
2−[4−(t−ブチルジメチルシロキシ)−1−ピペリジル]エチルアミン(参考化合物5−1)
【0038】
【化14】
【0039】
窒素雰囲気下、N−(ベンジルオキシカルボニル)−2−[4−(t−ブチルジメチルシロキシ)−1−ピペリジル]エチルアミン(1.47g)のテトラヒドロフラン(37ml)溶液に、20%水酸化パラジウムオンカーボン(100mg)を加えた。水素雰囲気下、2日間撹拌した。セライト濾過により水酸化パラジウムオンカーボンを除去し、濾液を減圧濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(参考化合物5−1、0.28g)を得た。
(参考化合物5−1)
IR(Film,cm-1)3788,3357,2950,2857,1582,1551,1531,1470,1254,1098,874,835
参考例5と同様の方法を用いて以下の化合物を得た。
・2−[(2S)−2−(t−ブトキシジメチルシロキシメチル)−1−ピロリジニル]エチルアミン(参考化合物5−2)
[α]D20 −33.7°(c=1.0,メタノール)
IR(Film,cm-1)2952,1471,1254,1099,839
実施例1
1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物1−1)
【0040】
【化15】
【0041】
窒素雰囲気下、1,1′−カルボニルジイミダゾール(740mg)を2−(1−ピペリジル)エチルアミン(0.50ml)の無水テトラヒドロフラン(18ml)溶液に溶解し、室温で20分間撹拌した。反応液に、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−シクロヘキシルエチルアミン塩酸塩(875mg)を加え、3時間加熱還流した。氷冷下、反応液にエーテルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化合物1−1、1.01g)を得た。
(化合物1−1)
IR(Film,cm-1)3342,2923,2850,1626,1536,1127,1064
実施例1と同様の方法を用いて以下の化合物を得た。
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]ウレア(化合物1−2)
IR(Film,cm-1)3351,2922,2851,1747,1633,1538,1447,1408,1372,1268,1147,1055,754
【0042】
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[3−(1−ピロリジニル)プロピル]ウレア(化合物1−3)
IR(Film,cm-1)3330,2922,2850,2799,1626,1537,1448,1406,1372,1270,1143,1056,872,764
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[3−(1−ピペリジル)プロピル]ウレア(化合物1−4)
IR(Film,cm-1)3324,2924,2851,1624,1538,1447,1124,1062
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]ウレア(化合物1−5)
IR(Film,cm-1)3353,2922,2849,1629,1536,1448,1285,1165,1053,1012,753
【0043】
・1−[(1S)−1−ベンジル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−3−(2−ヒドロキシエチル)−3−フェネチルウレア(化合物1−6)
[α]D20 +9.8°(c=0.94,クロロホルム)
IR(Film,cm-1)3305,2938,2805,1630,1496,1454,1405,1373,1285,1167,1011
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(4−モルホリニル)エチル]ウレア(化合物1−7)
mp 98.5〜100.7℃
IR(KBr,cm-1)3356,3119,2920,2846,1640,1538,1494,1298,1119,1054,1007,864,764
【0044】
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[3−(4−モルホリニル)プロピル]ウレア(化合物1−8)
IR(Film,cm-1)3325,2922,2851,1626,1537,1118,1066
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1−ホモピペリジル)エチル]ウレア(化合物1−9)
IR(Film,cm-1)3338,2922,2851,1626,1537,1448,1268,1167,1132,1054
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(4−メチル−1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物1−10)
IR(Film,cm-1)3339,2922,2850,1626,1536,1448,1261,1064,753
【0045】
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジル]エチル]ウレア(化合物1−11)
IR(Film,cm-1)3118,2923,2851,1626,1538,1448,1256,1063
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(3−ピロリン−1−イル)エチル]ウレア(化合物1−12)
IR(Film,cm-1)3340,2922,2850,1628,1540,1448,1270,1055
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)エチル]ウレア(化合物1−13)
IR(Film,cm-1)3350,2922,2850,1629,1536,1268,1054,754
【0046】
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル)エチル]ウレア(化合物1−14)
IR(Film,cm-1)3354,2922,2850,1633,1520,751
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−[(2RS)−1−メチル−2−ピロリジニル]エチル]ウレア(化合物1−15)
IR(Film,cm-1)3329,2922,2850,2786,1626,1536,1448,1407,1375,1227,1124,1055
【0047】
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[[(3RS)−1−メチル−3−ピペリジル]メチル]ウレア(化合物1−16)
IR(Film,cm-1)3326,2922,2850,2782,1626,1538,1448,1268,753
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[[(2RS)−1−エチル−2−ピロリジニル]メチル]ウレア(化合物1−17)
IR(Film,cm-1)3338,2923,2851,1633,1538,1448,1406,1374,1246,1056,754
【0048】
・1−[[1−(ベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル]メチル]−3−(2−シクロヘキシルエチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ウレア(化合物1−18)
mp 94.5〜95.5℃
IR(KBr,cm-1)3247,2923,2850,1700,1618,1557,1477,1452,1435,1365,1318,1282,1254,1244,1220,1149
,
・1−[(2RS)−2−(t−ブチルジメチルシロキシ)−3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−3−(2−シクロヘキシルエチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ウレア(化合物1−19)
IR(Film,cm-1)3340,2926,2852,2803,1633,1530,1460,1405,1360,1283,1251,1167,1097,1012,836,810,777,754
・1−[2−[4−(t−ブチルジメチルシロキシ)−1−ピペリジル]エチル]−3−(2−シクロヘキシルエチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ウレア(化合物1−20)
IR(Film,cm-1)3339,2926,2853,1630,1536,1471,1449,1407,1375,1360,1252,1098,1056
【0049】
・1−[2−[(2S)−2−[(t−ブチルジメチルシロキシ)メチル]−1−ピロリジニル]エチル]−3−(2−シクロヘキシルエチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)ウレア(化合物1−21)
IR(Film,cm-1)3340,2925,2853,1631,1530,1471,1448,1255,1088
・1−[2−(1−アダマンチル)エチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物1−22)
実施例2
1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[(1−メチル−4−ピペリジル)メチル]ウレア(化合物2−1)
【0050】
【化16】
【0051】
窒素雰囲気下、氷冷しながら水素化リチウムアルミニウム(117mg)を無水エーテル(10ml)に懸濁し、3−(2−シクロヘキシルエチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)−1−[[1−(ベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル]メチル]ウレア(化合物1−18、454mg)の無水テトラヒドロフラン(5ml)溶液を滴下した。室温で45分間撹拌した。氷冷下、反応液に酢酸エチル及び1N塩酸を発泡しなくなるまで徐々に滴下し、更に1N塩酸を加えた。次いでエーテルを加えて洗浄した。水層に2N水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性とし、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮すると標記化合物(化合物2−1、361mg)を得た。
(化合物2−1)
IR(Film,cm-1)3328,2922,2850,2784,1629,1540,1448,1406,1374,1276,1154
実施例3
1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物3−1)
【0052】
【化17】
【0053】
窒素雰囲気下、1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物1−1、0.94g)およびトリフェニルホスフィン(1.52g)を無水テトラヒドロフラン(14ml)に溶解し、塩化ナトリウム−氷冷却下で30分間撹拌した。液温を5℃以下に保ちながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル(1.14ml)、さらにチオ酢酸(0.44g)の無水テトラヒドロフラン(1ml)溶液を滴下した。1時間撹拌したのち、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40ml)を加え、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化合物3−1)を得た。
(化合物3−1)
IR(Film,cm-1)3392,2923,2850,1692,1633,1532,1250,1222
【0054】
実施例3と同様の方法を用いて以下の化合物を得た。
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]ウレア(化合物3−2)
IR(Film,cm-1)3350,2923,2851,2794,1693,1634,1537,1447,1404,1354,1294,1138,951,753
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[3−(1−ピロリジニル)プロピル]ウレア(化合物3−3)
IR(Film,cm-1)3324,2922,2598,2484,1691,1633,1531,1448,1295,1135,951,753
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[3−(1−ピペリジル)プロピル]ウレア(化合物3−4)
IR(Film,cm-1)3350,2923,2851,1693,1632,1537,1446,1133
【0055】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]ウレア(化合物3−5)
IR(Film,cm-1)3396,2923,2848,2795,1691,1636,1535,1450,1293,1165,1014,950,760
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−3−[(1S)−1−ベンジル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1−フェネチルウレア(化合物3−6)
[α]D20 −12.2°(c=1.0,メタノール)
IR(Film,cm-1)3391,2936,2796,1681,1643,1530,1496,1455,1286,1140,1013,750,701
【0056】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(4−モルホリニル)エチル]ウレア(化合物3−7)
IR(Film,cm-1)3400,2921,2850,1691,1639,1531,1447,1356,1296,1140,1118,949,865
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[3−(4−モルホリニル)プロピル]ウレア(化合物3−8)
IR(Film,cm-1)3360,2922,2851,1693,1632,1532,1293,1118
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ホモピペリジル)エチル]ウレア(化合物3−9)
IR(Film,cm-1)3367,2922,2850,1693,1634,1532,1448,1402,1355,1294,1219,1135
【0057】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(4−メチル−1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物3−10)
IR(Film,cm-1)3400,2922,2850,1693,1633,1531,1448,1293,1132,951,753
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジル]エチル]ウレア(化合物3−11)
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(3−ピロリン−1−イル)エチル]ウレア(化合物3−12)
IR(Film,cm-1)3368,2923,2851,2789,1692,1634,1535,1137,754
【0058】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)エチル]ウレア(化合物3−13)
IR(Film,cm-1)3400,2922,2850,1691,1637,1531,1137,754
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル)エチル]ウレア(化合物3−14)
IR(Film,cm-1)3398,2922,2850,1692,1644,1531,1136,747
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−[(2RS)−1−メチル−2−ピロリジニル]エチル]ウレア(化合物3−15)
IR(Film,cm-1)3350,2922,2850,2780,1694,1633,1538,1448,1355,1295,1214,1136,1019
【0059】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[[(3RS)−1−メチル−3−ピペリジル]メチル]ウレア(化合物3−16)
IR(Film,cm-1)3350,2923,2850,2777,1693,1632,1537,1448,1293,1139,950,753
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[[(2RS)−1−エチル−2−ピロリジニル]メチル]ウレア(化合物3−17)
IR(Film,cm-1)3368,2923,2851,1693,1640,1530,1448,1402,1355,1293,1220,1137,950,753
【0060】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[(1−メチル−4−ピペリジル)メチル]ウレア(化合物3−18)
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−3−[(2RS)−2−(t−ブチルジメチルシロキシ)−3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)ウレア(化合物3−19)
IR(Film,cm-1)3411,2926,2852,2795,1693,1644,1520,1456,1403,1359,1294,1250,1166,1111,1014,836,777
【0061】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−3−[2−[4−(t−ブチルジメチルシロキシ)−1−ピペリジル]エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)ウレア(化合物3−20)
IR(Film,cm-1)3407,2926,2854,1692,1640,1531,1448,1293,1100,1056
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−3−[2−[(2S)−2−[(t−ブチルジメチルシロキシ)メチル]−1−ピロリジニル]エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)ウレア(化合物3−21)
[α]D20 −23.8°(c=1.0,メタノール)
IR(Film,cm-1)3401,2925,2854,1692,1641,1530,1448,1357,1292,1253,1103,1006
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−[2−(1−アダマンチル)エチル]−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物3−22)
実施例4
1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−[2−(メチルチオ)エチル]−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物4−1)
【0062】
【化18】
【0063】
窒素雰囲気下、2−(1−ピペリジル)エチルアミン(151mg)の無水テトラヒドロフラン(5.9ml)溶液に1,1′−カルボニルジイミダゾール(228mg)を加え、室温で15分間撹拌した。次いで2−シクロヘキシル−N−[2−(メチルチオ)エチル]エチルアミン塩酸塩(309mg)を加え、45分間加熱還流した。氷冷下、反応液に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化合物4−1)を得た。
実施例5
1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[(2RS)−2−ヒドロキシ−3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]ウレア(化合物5−1)
【0064】
【化19】
【0065】
窒素雰囲気下、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−3−[(2RS)−2−(t−ブチルジメチルシロキシ)−3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)ウレア(化合物3−19、748mg)を無水テトラヒドロフラン(1.4ml)に溶解し、室温で撹拌しながら、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムの1Mテトラヒドロフラン溶液(1.45ml)を加え、2.5日間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化合物5−1、89mg)を得た。
【0066】
(化合物5−1)
IR(Film,cm-1)3350,2923,1691,1630,1532,1449,1355,1292,1244,1166,1139,1104,1012,950,818,755
実施例5と同様の方法を用いて以下の化合物を得た。
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物5−2)
IR(Film,cm-1)3388,2923,2850,1693,1632,1537,1448,1406,1356,1294,1137,1074
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジニル]エチル]ウレア(化合物5−3)
[α]D20 −23.2°(c=1.0,メタノール)
IR(Film,cm-1)3390,2922,2850,1692,1631,1536,1448,1406,1355,1294,1246,1137,1042
実施例6
1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア 塩酸塩(化合物6−1)
【0067】
【化20】
【0068】
窒素雰囲気下、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア(化合物3−1、618mg)のエーテル溶液に4N塩化水素酢酸エチル溶液(0.4ml)を加えた。析出物を濾取し、標記化合物(化合物6−1、401mg)を結晶として得た。
(化合物6−1)
mp 131.5〜133.5℃
IR(KBr,cm-1)3391,2923,2852,2619,2585,2498,2409,1684,1633,1538,1485,1453,1414,1403,1354,1297,1247,1222,1197,1137,1112
実施例6と同様の方法を用いて以下の化合物を得た。
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジル]エチル]ウレア 2塩酸塩(化合物6−2)
mp 170℃(分解)
IR(KBr,cm-1)3442,2922,2851,2653,1694,1631,1536,1449,1409,1294
【0069】
・1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[(1−メチル−4−ピペリジル)メチル]ウレア 塩酸塩(化合物6−3)
mp 178.5〜179.3℃
IR(KBr,cm-1)3331,2922,2850,2692,2576,2528,1699,1630,1539,1481,1449,1432,1409,1354,1314,1292,1255,1214,1136
・1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−[2−(メチルチオ)エチル]−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア 塩酸塩(化合物6−4)
mp 68.9〜70.8℃
IR(KBr,cm-1)3384,3298,2924,2851,2641,2585,2551,1657,1626,1560,1496,1448,1408,1360,1325,1298,1254,1224,1204,1185,1152,1101,1083
【0070】
[製剤例]
本発明化合物の経口剤および注射剤の一般的な製剤例を以下に示す。
1)錠剤
処方1 100mg中
本発明化合物 1 mg
乳糖 66.4mg
トウモロコシデンプン 20 mg
カルボキシメチルセルロース カルシウム 6 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4 mg
ステアリン酸 マグネシウム 0.6mg
上記処方の錠剤に、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂等通常のコーティング剤)2mgを用いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を得る(以下の処方の錠剤も同じ)。また、本発明化合物および添加物の量を適宜変更することにより、所望の錠剤を得ることができる。
2)カプセル剤
処方1 150mg中
本発明化合物 5 mg
乳糖 145 mg
【0071】
本発明化合物および乳糖の混合比を適宜変更することにより、所望のカプセル剤を得ることができる。
3)注射剤
処方1 10ml中
本発明化合物 10〜100mg
塩化ナトリウム 90 mg
水酸化ナトリウム(又は塩酸) 適量
滅菌精製水 適量
本発明化合物および添加物の混合比を適宜変更することにより、所望の注射剤を得ることができる。
【0072】
[薬理試験]
McGeehanらの方法(Nature,370,558-561(1994))に準じて、リポポリサッカライド(LPS)刺激により引き起こされたTNF−αの産生に対する抑制効果をin vitroまたはin vivo 試験で検討した。
1)in vitro試験
アッセイは、LPSの刺激によるヒト単球細胞系THP−1からのTNF−αの産生量を測定することによった。
培地は、ウシ胎児血清(10%)、L−グルタミン(2mM)、2−メルカプトエタノール(50μM)、ペニシリン( 50units/ml )およびストレプトマイシン(50μg/ml )を含むRPMI1640培地を使用した。
細胞は、上記培地で培養されたヒト由来単球細胞株THP−1細胞を100×gで5分間遠心分離して上清を除いたのち、培地に再懸濁して使用した。LPSは、 S.Typhimurium由来のものを精製水に溶解後、培地で希釈して使用した。被験化合物はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、培地で希釈して使用した。
【0073】
上記のように調製した細胞(106 個/ml)、LPS(2μg/ml)および被験化合物(10-5M)を混合し、37℃で2時間インキュベートした後、1000×gで5分間遠心分離した。培養上清液中のTNF−αレベルについてヒトTNF−α特異ELISAキットで測定した。なお、LPS不在下(コントロール)では培養上清中にTNF−αの産生を認めなかった。
被験化合物のTNF−αの産生抑制率は、下記の式により求めた。
【式1】
抑制率(%)=100×(A−B)/A
A:被験化合物不在下での培養液上清中のTNF−αレベル
B:被験化合物存在下での培養液上清中のTNF−αレベル
(結果)
表1に試験結果の一例として、10-5M濃度におけるTNF−αの抑制率(%)を示した。
【0074】
【表1】
表1
【0075】
表1に示されるように、本発明化合物は低濃度でTNF−αの産生を抑制する作用が認められた。
2)in vivo 試験
動物は体重約20g 、7週齢前後の雌性マウス(一群5匹)を使用した。LPSはサルモレラ菌由来のものをリン酸緩衝生理食塩液に溶解して使用した(20μg/ml)。被験化合物を2%ジメチルスルホキシド含有生理食塩水で溶解または均一な懸濁液に調製した(1mg/ml )。
マウスに上記調製したLPS溶液(10ml/kg )を腹腔内投与した。LPS投与後直ちに、被験化合物調製液(10ml/kg 、10mg/kg の被験化合物を含む)を皮下投与した。LPS投与1時間後、断頭採血し、4℃、3000rpm で5分間遠心分離した。得られた血漿中のTNF−αレベルをマウスTNF−α特異ELISAキットで測定した。なお、LPS−非投与群(コントロール群)では血漿中にTNF−αの産生を認めなかった。
被験化合物のTNF−αの産生抑制率は、下記の式により求めた。
【式2】
抑制率(%)=100×(A−B)/A
A:被験化合物非投与群の血漿中のTNF−αレベル
B:被験化合物投与群の血漿中のTNF−αレベル
(結果)
表2に10mg/kg 皮下投与によるTNF−αの産生抑制率(%)を示した。
【0076】
【表2】
表2
以上のことから、本発明化合物は優れたTNF−α産生阻害作用を有しており、TNF−αが関与する疾患、例えば慢性関節リウマチ、クローン病、全身エリテマトーデス等の自己免疫性疾患、悪液質、急性感染症、アレルギー、発熱、貧血、糖尿病等の治療剤として広い医薬用途を有することは明らかである。
Claims (7)
- 下記一般式Iで表されるN−置換−N’−置換−ウレア誘導体またはその医薬上許容される塩。
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、
R2は水素原子を表し、
R3はシクロアルキルアルキル基、アダマンチルアルキル基又はアリールアルキル基を表し、
R4は水素原子を表し、
R5は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表し、
R6とR7は一緒になってピロリン環、ピロリジン環、テトラヒドロピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環又はモルホリン環を表すか、
R5とR6若しくはR7のいずれかが一緒になって、ピロリジン環又はピペリジン環を表し、
A1とA2は同一でも異なっていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
但し、R5とR6若しくはR7のいずれかが一緒になって、ピロリジン環又はピペリジン環を表す場合、R6とR7のうち、環の形成に寄与していない基は炭素数1〜8のアルキル基を表す。) - 一般式I中、R1 が水素原子である場合、炭素数2〜5のアルキルカルボニル基で保護されている、請求項1記載のウレア誘導体またはその医薬上許容される塩。
- 1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピロリジニル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[3−(1−ピロリジニル)プロピル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[3−(1−ピペリジル)プロピル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−3−[(1S)−1−ベンジル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1−フェネチルウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ホモピペリジル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[[(2RS)−1−エチル−2−ピロリジニル]メチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[2−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジル]エチル]ウレア、1−[2−(アセチルチオ)エチル]−1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−[(1−メチル−4−ピペリジル)メチル]ウレア、1−(2−シクロヘキシルエチル)−1−[2−(メチルチオ)エチル]−3−[2−(1−ピペリジル)エチル]ウレアよりなる群から選ばれる化合物またはその医薬上許容される塩。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のN−置換−N’−置換−ウレア誘導体又はその医薬上許容される塩を含有する医薬組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のN−置換−N’−置換−ウレア誘導体又はその医薬上許容される塩を含有するTNF−α産生阻害剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のN−置換−N’−置換−ウレア誘導体又はその医薬上許容される塩を含有する自己免疫性疾患治療剤。
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