JP3732722B2 - 電話用情報重畳装置および電話機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話用情報重畳装置および電話機に関し、電話を用いて送信する情報に他の情報を重畳する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電話は、家庭や職場などで用いられる固定タイプの電話から、使用者が携帯する携帯電話まで、社会生活の広範な場面で用いられており、情報を遠隔地に伝達する機器として、広く利用されている。特に近年では、PHSや携帯電話などの移動体通信機が、何時でも何処でも遠隔地の他の通信者と通信できる利便性から、その利用が急増している。
【0003】
また、半導体技術や通信技術の向上により、例えば特開平8−294030号公報などに開示されているように、音声ばかりでなく映像までも同時に通信するビデオカメラ一体型携帯電話機さえも提案されている。このように、携帯型の移動体通信機の利便性の向上は目覚ましく、一般的な通信手段として用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、携帯電話を初めとするこうした電話機は、使用する使用者にとって、非所望の情報まで送信してしまう可能性があり、個人情報やプライバシを十分に守ることができないおそれがあった。特に、携帯電話などの携帯型の通信機の利便性は、何時でも何処でも通信できることにあり、しかも携帯型の通信機の通信性能の向上は、携帯電話を例に取るならば、通信したい会話情報ばかりでなくその送話口に届く様々な音情報までも通信相手に鮮明に通信してしまうからである。
【0005】
例えば、緊急の要件で着信し会話せざる得ない状況で、周囲の音声が、会話の内容に著しくふさわしくないような場合、通話の相手を不愉快にしたり、いたずらな詮索の対象となってしまうことがあり得た。こうした状況を緩和するために、駅の雑踏の音などをテープレコーダなどから再生して、擬似的な背景音を作り出して電話するといったことも提案されてはいるが、単純な背景音の再生にとどまり、逆にいつも同じ背景音であるため、通話の相手に不審がられたりすることもあり得た。総じて、こうした対応では、通話状況を改善するところまでは到達できていない。
【0006】
かかる問題は、通話の場所・状況が多様であり得る携帯型の通信機の場合に顕在化するが、家庭用や業務用の固定タイプの電話機でも生じ得る。また、通信できる情報密度が高まり、単なる音の情報に限らず使用者の映像までもが通信できるビデオカメラ一体型携帯電話機においては、携帯電話機を使用する使用者の表情ばかりでなく、服装や周囲の映像情報までも通信相手に通信されてしまうので、上記の問題は一層看過することができない。
【0007】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、電話の利便性はそのまま享受しつつ、電話の使用者の個人情報やプライバシを保護することができる電話用情報重畳装置および電話機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した課題を解決する本発明の電話用情報重畳装置は、
電話を用いて送信する情報に他の情報を重畳する電話用情報重畳装置であって、
複数種類の生活環境の情報を、仮想的な状況と対応付けた複数のカテゴリに予め分類して記憶している記憶手段と、
前記仮想的な状況が指定されたとき、該仮想的な状況に対応付けられた前記カテゴリに含まれる前記生活環境の情報を一覧表示し、該一覧の中から前記生活環境の情報を、前記電話の使用に先立って指定する仮想状況指定手段と、
使用者が前記電話を使用する際、前記記憶手段から、使用者が指定した生活環境の情報を選択する選択手段と
前記電話の使用時に、該選択された情報を前記使用者が前記電話によって送信する情報に重畳して通信する重畳通信手段と
を備えることを要旨としている。
【0009】
また、この電話用情報重畳装置に対応した本発明の電話機は、
電話を用いて送信する情報に他の情報を重畳可能な電話機であって、
複数種類の生活環境の情報を、仮想的な状況と対応付けた複数のカテゴリに予め分類して記憶している記憶手段と、
前記仮想的な状況が指定されたとき、該仮想的な状況に対応付けられた前記カテゴリに含まれる前記生活環境の情報を一覧表示する表示手段と、
該一覧表示された中から前記生活環境の情報を、前記電話の使用に先立って指定する仮想状況指定手段と、
使用者が前記電話を使用する際、前記記憶手段から、使用者が指定した生活環境の情報を選択する選択手段と
前記電話の使用時に、該選択された情報を再生し、前記使用者が前記電話によって送信する情報に重畳して通信する重畳通信手段と
を備えることを要旨とする。
【0010】
かかる電話用情報重畳装置および電話機は、仮想的な状況を使用者が予め指定しておき、この指定された状況における仮想的な情報を生成して、これを電話によって送信される情報に重畳する。即ち、通話用の情報に他の情報、例えば音楽、雑踏の音や映像など一般的な生活状況での音や映像、山や海などの特定場所に固有の音や映像などを重畳するだけにとどまらず、例えば「○○に出張」とか「××でコンサート」といった仮想的な状況を指定しておくことで、かかる仮想的な状況に沿って情報を生成し、これを重畳するのである。仮想的な情報は、シュミレーションにより生成しても良いし、実際にその場所で録音、録画しておいたものを用いて生成しても良い。例えば、「お台場でデート」という仮想的な状況を指定しておけば、予めお台場でその環境音を集録しておいたものを重畳しても良いし、お台場に設けたマイクを用いてリアルタイムに音声を入手して、これを電話の通話音声に重畳しても差し支えない。しかも、かかる電話用情報重畳装置において、数種類の生活環境の情報を仮想的な状況と対応付けた複数のカテゴリに予め分類して記憶しておき、使用者が指定した生活環境の情報を選択して、重畳する。従って、同じ状況が仮想的に指定されても、さらに複数の選択肢の中の一つが重畳されしることになり、同じ「出張」といった状況が指定されていると、いつも同一の情報が重畳されるということがない。
【0012】
また、仮想的な状況を、時系列的に指定するものとしても良い。例えば、「12時まで会社」「その後、営業に出て6時帰社」「同僚と飲み会に行き10時帰途」といったように複数の状況を時系列的に指定するものとしても良い。この場合、仮想的な情報は、指定された状況の時系列に基づいて生成すればよい。時系列は、さらに長期のものであっても短期のものであっても良い。例えば、「来月日まで沖縄でバカンス」「年末まで失業中」といった状況の指定などを可能としても差し支えない。
【0013】
なお、時系列的な状況の指定は、一つの状況の中に含まれていても良い。例えば、「東京から札幌に、航空機で日帰り出張」という状況を一の指定で指定可能にしておいても良いし、「午前中に東京から札幌に航空機で移動」+「札幌に出張」+「夕方の便で東京に戻る」といった複数の状況の時系列的な指定として,扱うものとしてもよい。
【0014】
こうした情報の重畳をどこで行なうかは、種々の手法が存在する。例えば、電話機の内部に情報の生成手段を設けても良いし、電話網のどこかにおいてもよい。後者の場合、電話網側で重畳を行なっても良いし、電話機側にストリーミングして、電話機側で重畳しても良い。後者の例としては、マルチコールといった機能を用い、電話網側の仮想的な環境音を蓄積したホストに同時に電話をつなぎ、ここからリアルタイムで送られる音声を、電話機が側で、送話用音声に重畳するという手法で実現することが簡便である。インターネット電話などのように所定のプロトコルにより音声データを含む各種データを配信するシステムの場合には、インターネットなどのネットワーク上のサーバで音声の重畳を行なっても良い。いずれの場合でも、仮想的な状況の指定は、電話を用いて行なうことが簡便である。もとより、インターネット電話などの場合には、インターネットのサーバにブラウザや専用のソフトによりアクセスして、自分の電話番号を指定して、仮想的な状況の指定を行なうことも可能である。重畳する情報を電話機内部で生成する場合には、電話機のテンキーを用いて番号で指定するといったことができる。
【0015】
電話機に液晶ディスプレイなどの表示部を設け、これを利用してして指定を行なうこともできる。この場合は、さほど大きくない表示装置を利用して指定を簡便に行なうために、予めいくつかの選択肢を用意して指定を行なわせることは、使い勝手の面から好適である。指定は、階層構造のメニューを辿るといつた構成にすれば、数多くの状況を効率よく指定することができる。もとより、音声認識などを利用して指定することも差し支えない。情報の生成を電話網側で行なう場合には、一旦特定の装置に電話を掛けて、ここで番号や音声認識などの手法により指定すればよい。
【0016】
重畳する情報としては、種々の生活環境音でも良いし、テレビ電話の機能を有する電話を用いる場合には、映像(静止画や動画)であっても良い。重畳される情報は、送信される情報、例えば送話音声に重畳されるが、これに加えて受信する側(例えば受話音声)にも重畳するものとしても良い。背景音については、相手側から尋ねられる場合も想定されるからである。また、例えば「ニューオリンズでジャズフェスティバルに参加」という状況を指定すると、相手にジャズライブの音声が聞こえるだけでなく、電話している本人にもその音声が聞こえることになり、電話の使用者も仮想的な状況を楽しむことが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成及び作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の携帯を実施例を通して説明する。第1実施例は、音声の重畳をネットワーク側で行なう例を、第2実施例は、音声の重畳を携帯電話機側で行なう例を、それぞれ示している。
【0018】
図1は、インターネット電話のシステムを示す概略構成図である。インターネット電話は、音声情報を一旦ディジタルな情報に変換し、これをパケット化して、TCP/IPのプロトコルで送信し、受信側で音声情報に逆変換することで、音声の送話・受話を行なう仕組みを備える。この仕組みを実現するために、図1に示したように、ネットワークNTに電話機11,12・・・等を接続する接続装置21,22・・・を有する。ある電話機11から特定の電話機(例えば電話機18)を発呼(呼出に至る一連の処理)する場合には、通常の電話と同じように、送受話器を取り上げ、予め割り当てられた電話番号をプッシュボタンにより指定する。このプッシュボタンの信号を受け取ると、接続装置21は、指定された電話番号をキーにしてドメインネームサーバDNSを参照する。ドメインネームサーバを参照して、相手先の電話のアドレスを取得すると、接続装置21は、呼び出し用のパケットを、ネットワークを介して送出する。
【0019】
パケットは、TCP/IPのプロトコルに従って、ネットワーク上を転送され、やがて目的のIPアドレスを有する接続装置28にたどり着く。接続装置28は、このパケットを受け取って、内部のデータを参照し、このパケットが、その接続装置28に接続された電話機に対する発呼であることを認識する。そこで、接続装置28は、該当する電話番号を有する電話機18に対して着信の信号を出力し、電話機18を鳴動させる。鳴動音を聞いて、送受話器をとれば、会話が可能となる。これで被呼(着信を受けて呼び出す一連の処理)動作が完了する。なお、一つの接続装置には、一つの電話機だけが対応している訳ではなく、一つの接続装置に複数の電話機を接続しても差し支えない。この場合、電話機毎に電話番号を割り当てることは勿論である。
【0020】
なお、インターネット電話から通常の電話機に電話する場合には、該当する市外局番の地域におおむね対応して、通常の電話網と接続するための網接続装置30,31・・・を設ければ良い。かかる網接続装置30,31・・は、電話番号による呼出のための情報の変換と、インターネット側のパケットと電話網側の音声情報との相互変換を行ない、インターネット電話と通常の電話とを接続可能とするものである。
【0021】
本実施例では、接続装置21,22・・・に、仮想的な状況に沿った音声情報を重畳する仕組みが設けられている。代表例として、接続装置21の内部構成を図2に示す。図示するように、接続装置21は、アナログ信号とディジタル信号の変換を行なう信号変換部40、装置全体の制御を司るCPU41、ディジタル信号の高速演算を行なうデジタルシグナルプロセッサ(DSP)43、種々の情報を一時的に記憶するメモリ44、自走式のタイマ45、大量のデータを保存するハードディスク47を制御するハードディスクコントローラ(HDC)46、ネットワークNTとのデータのやり取りを司るネットワークカード49などを備える。
【0022】
各部の働きについては、後で詳しく説明するが、この接続装置21のハードディスク47には、様々な仮想的な状況とこれに対応づけられた音声情報が記録されている。音声情報は、MP3などの効率的なフォーマットにより記録されており、図3に示すように、大きくは8のカテゴリ(家庭、仕事、旅行、移動、遊び、緊急、ジョーク、その他)に分けられ、さらに各カテゴリの中に、数十のアイテムとして分類されている。例えば、「仕事」のカテゴリには、「出勤」「朝礼」「会議」などのアイテムがある。また、「○○に電話中」「○○に出張」「○○工場」・・・といったアイテムを設けても良い。「○○」はオプションとして、更に細かい設定が可能なことを示している。また、アイテム数が多い場合には、アイテムを階層化している。「旅行」を例に取ると、図3に例示したように、直接「九州」「四国」といった地域を指定するものとしても良いし、「国内」「アメリカ」「ドイツ」といった国名がを上位の階層に配置し、その下に、例えば「札幌」「青森」「仙台」といった更に細かい地域名を配置するものとしても良い。なお「○○に出張」などの場合の「○○」が地域である場合には、「旅行」のカテゴリに用意されたアイテムと同一の音声情報が用いられることがある。
【0023】
DSP43は、ディジタル信号に変換された音声情報に対して、専用の半導体素子を用いて、高速な演算を実現するものである。ここでは、通話用の音声に対して、ハードディスク47内に記録されていた所定の音声を読み出し、これを伸張する処理と、伸張後の音声情報を通話用の音声情報に重畳するのに用いている。本実施例では、専用のハードウェアを用意することで、処理の高速化を図っているが、CPU41の演算速度が十分に速ければ、CPU41よりソフト的に、上記の伸張処理および重畳処理を行なえばよい。もとより、ハードディスク47の容量が十分にあり、音声情報を圧縮することなく記録している場合には、伸張の処理は必要ない。
【0024】
信号変換部40は、電話機11の送受話器52に設けられたマイク53からの音声信号を受け取ってディジタル信号に変換するA/D変換部40a、DSP43から受け取ったディジタル信号を元に音声信号を再現して、送受話器52のスピーカ54から出力するD/A変換部40b、電話機11のテンキー56の操作を読み取ったり、着信音を生成する鳴動部58を駆動する電話制御部40c等を備える。
【0025】
本実施例では、仮想的な状況の指定は、ネットワークに接続されたコンピュータ60から、このコンピュータ60上で動作しているブラウザを介して行なう。即ち、コンピュータ60から、接続装置21のIPアドレスを指定すると、コンピュータ60上で動作しているブラウザにより、接続装置21内の接続専用の頁が参照可能となる。この頁には、図3に示した各アイテムが階層構造の携帯で参照可能となっており、これを選択することで、仮想的な状況の指定が可能となる。以下、これらの処理について、詳しく説明する。
【0026】
図4は、接続装置21が実行する処理の概要を示すフローチャートである。この処理ルーチンは、接続装置21のCPU41が実行するものであり、電話機11の送受話器52を取り上げたといった処理を判断して(ステップS100)、ステップS200ないしS500の処理を実行する。まず、仮想的な状況の設定処理が指示された場合には、状況を指定する処理(ステップS200)を行なう。この処理は、実際には、ネットワークNTを介してコンピュータ60から、設定用のファイルがアクセスされた場合に起動される。処理の内容については、後で詳しく説明する(これは他の処理S300ないしS500も同様である)。
【0027】
一方、CPU41は、所定のインターバルで、時系列的に状況の進行を処理する作業を行なう(ステップS300)。これは、指定された状況を、時間に応じて更新していく作業である。また、電話機11の送受話器52が取り上げられたり、この電話機11に対する被呼が行なわれた場合には、発呼・被呼処理を行なう(ステップS400)。この発呼処理の概要は、上述した通りである。更に、実際に通話が始まれば、通話用の音声に、仮想的な状況に応じて生成した音声を重畳する重畳通話処理(ステップS500)を行なう。
【0028】
そこで、まず仮想的な状況の設定を行なう状況設定処理(ステップS200)について、図5を参照しつつ説明する。図5は、CPU41の処理と、これに対応するコンピュータ60側の処理を示すフローチャートである。これらの処理は、コンピュータ60からブラウザを介して接続装置21の内部の所定のファイルをアクセスすることにより行なわれる。ブラウザ上ではJAVAアプレットが動作しており、単にブラウズするだけでなく、図5に示した情報のやり取りを行なう。
【0029】
まず、コンピュータ60側から、電話番号の指定を行なう(ステップS202)。この電話番号に対応したIPアドレスを特定することで、接続装置21,22,・・・の一つが特定され、アクセスが開始される。次にコンピュータ60は、その電話番号に対応した接続装置21に、指定可能な仮想的な状況を読み出すコマンドを送信する(ステップS204)。接続装置21のCPU41は、これを受信し(ステップS252)、コマンドを解析して、ハードディスク47に記憶されている仮想的な状況を読み出し、一覧出力する処理を行なう(ステップS254)。一覧出力の様子は、図3に示したように、表形式のものであっても良いし、プルダウンメニューなどから選択できるものでも良い。
【0030】
出力された一覧のデータは、コンピュータ60により受信され(ステップS206)、実際には、コンピュータ60のモニタ上に表示される(ステップS208)。使用者は、この一覧を見ながら、仮想的な状況、例えば「出張」などを選択する(ステップS210)。この選択の結果は、ネットワークNTを介して、接続装置21に出力され、接続装置21のCPU41はこれを受信する(ステップS256)。受信した仮想的な状況を解析し(ステップS258)、必要なオプションの問い合わせを出力する(ステップS260)。ここで、オプションとは、例えば仮想的な状況が「出張」であれば、「出張の日時」「出張先」「出張のルート」などである。
【0031】
コンピュータ60は、オプションの問い合わせを受け取り(ステップS212)、これらの問い合わせに対する入力処理を行なう(ステップS214)。例えば、上記の例であれば、「出張の日時」として「○○年××月△△日から□□日まで」「札幌」「空路」などである。実際には、コンピュータ60のモニタに表示されたブラウザの画面で、使用者にこれらの入力を促すことになる。オプションの問い合わせに対する入力が全て済むと、これを出力する(ステップS216)。
【0032】
接続装置21のCPU41は、オプションの問い合わせに関する回答を受信し(ステップS262)、指定された電話番号について、仮想的な状況の選択およびオプションの指定を、ハードディスク47の所定の領域に記憶する(ステップS264)。以上で、仮想的な状況の設定ルーチンを終了する。
【0033】
次に、こうして仮想的な状況が設定された後に、所定のインターバルで実行される仮想状況の更新処理(ステップS300)について説明する。この処理の概要を図6に示した。この処理は、接続装置21に設けられたタイマ45から指定のインターバルで割込が生じたときに起動され実行される。この割込が発生すると、図6に示した処理が起動され、接続装置21のCPU41は、電話番号毎に、先に指定され、ハードディスク47の所定の領域に記憶された仮想的な状況を読み出す処理を行なう(ステップS310)。次に、この状況の現在の進行状態を読み出す処理を行なう(ステップS320)。進行状態とは、仮想的な状況が、例えば「札幌に○○年××月△△日に出張」というものであれば、現在の状況が、出張日前なのか、当日か、出張後かといったものであり、更に詳細には、出張日当日について、「空路で移動中か」「札幌で会議に参加か」「会議後に飲んでいるか」「帰路か」といった進行状況である。これらの情報は、ハードディスク47の所定の領域に記録されている。そごで、これを読み出した後、前回設定してからの経過時間をタイマ45内部の時計などを参照して演算し(ステップS330)、経過時間に基づいて、進行状態を更新する処理を行なう(ステップS340)。こうして更新された進行状況は、ハードディスク47の所定の領域に書き戻される(ステップS350)。
【0034】
上記の処理を所定のインターバルで行なうことにより、使用者によって指定された仮想的な状況は、電話の使用の有無にかかわらず、接続装置21の内部では、いわば自律的に進行する。従って、予め設定した当日になれば、ハードディスク47内部の所定の領域に保存された進行状態は、時間と共に更新され、いわば時系列的なデータとして扱われる。上記の例では、例えば時系列的に、
9時:空路、札幌に、
10時:空港着、車で移動、
11時:会議開始、
12時:昼食、
13時:会期再開、
17時:会議終了、移動、
18時:飲み会、
21時:タクシーで空港へ、最終便搭乗、
22時:成田空港着、
といったように更新される。
【0035】
次に、発呼・被呼処理(ステップS400)について簡略に説明する。この処理は、電話機11の送受話器52を取り上げてテンキー56から発呼先の電話番号を入力したときに実行される。まず、上述した発呼処理を行ない(ステップS410)、相手先と接続できたかを判定する(ステップS420)。送受話器52をおかない限り、つながるまで上記処理と判断を繰り返す。
【0036】
電話が接続されたと判断した場合には(ステップS420)、ハードディスク47の所定の領域から、発信した電話の電話番号について設定された仮想的な状況を読み出す処理を行なう(ステップS430)。続いて、その仮想的な状況の下での進行状態を、ハードディスク47の所定の領域から読み出す処理を行なう(ステップS440)。以上の処理により、発呼している電話番号の持ち主の現在の仮想的な状況が特定される。例えば、上記の例で、現在、札幌に向かう航空機の中であると特定することができる。このとき、CPU41は現在時を特定している訳ではなく、ステップS300の処理において設定された進行状況を読み出しているに過ぎない。従って、発呼動作の直後に、現在の仮想的な状況の進行状態をいちいち演算して求める必要がなく、発呼動作時に、素早く現在の進行状態を読み出すことができる。
【0037】
続いて、生成する音声についての初期条件を設定する処理を行なう(ステップS450)。この初期条件は、ハードディスク47に記憶されているデータを再生する上での条件(パラメータ)である。ハードディスク47には、現在の進行状況に対応する音のデータとして、5分程度分の基礎的なデータが記憶されている。再生する音声については、容量の関係で、5分の長さの基礎データとこれに混合するサブデータの形態でハードディスク47に保存している。従って、基礎データに対して、サブデータをどのように混合して音声を再生するかといった条件を初期条件として設定し、その初期条件で再生を開始するのである(ステップS460)。かかるデータの持ち方は、通話が長くなった場合、再生音が繰り返しにならないようにするために採用されている。通話中に初期条件を変更して再生を継続する処理については、後述する。
【0038】
以上の処理により、発呼時において、音声の再生条件が整えられたことになる。なお、被呼時(着信時)の動作もほぼ同一だが、通信相手によって仮想的な状況に沿った音声の重畳を行なうか、否かを使い分けることがある。こうした使い分けは、使い分ける相手方の電話番号を予め登録しておき、着信時の相手方電話番号を取得して判断すればよい。もとより、着信直後に、使用者が、テンキー56の「*」を二度押すといった操作により、仮想的な状況に沿った音声の重畳を行なうか否かを判断しても良い。使い分けの例は、第2実施例で説明する。第1実施例では、着信時は、仮想的な音声の重畳は行なわないか、常に行なうか、いずれかに設定されている。
【0039】
次に、通話時の処理(図4、ステップS500)について、図8を用いて説明する。通話が開始されると、接続装置21は、DSP43を動作させて、電話機11の送受話器52のマイク53がとらえた音声を、ディジタル信号に変換した後、これに対して以下の処理を行なう(図8、ステップS510)。まず、ハードディスク47の所定の領域に記憶された現在の進行状況(図7、ステップS440)に沿って、かつ設定された再生の初期条件(同図、ステップS450)により、背景音声を生成する処理を行ない(ステップS520)、これを上記の通話音声に重畳する処理を行なう(ステップS530)。例えば、航空機の機内の音声、例えばエンジン音、ざわめき、機長のアナウンスらしい音声などが、連続的に再生され、使用者の通話音声に重畳される。この結果、電話を受けている人は、相手が現在航空機で移動中であるという仮想的な状況を素直に受け取ることができる。
【0040】
次に、通話が継続しているかを検出し(ステップS540)、通話が終了していれば、電話回線の接続状態を切断する処理を行ない(ステップS545)、本ルーチンを終了する。一方、通話が継続していれば(ステップS540)、次に再生音声が終了するか否かの判断を行なう(ステップS550)。予め用意した基本のデータは、5分程度で終了するので、通話が長引いた場合にこれを検出するのである。再生音声が継続している限りは、ステップS520に戻って上述した処理を繰り返す。これに対して、再生音声が終了しそうであれば、再生条件を変更する処理を行ない(ステップS560)、その後、ステップS520に戻って上記の処理を継続する。ここで、再生条件を変更すると、基礎データ(例えばエンジン音とする)に対して、サブデータ(例えば乗客のざわめきとアナウンス)を混合する状態が変更される。この結果、通話が長くなっても、同一の背景音が繰り返されることがない。なお、サブデータの混合の割合などは、1/fのゆらぎを与えれば、極めて自然に聞こえることが知られている。また、条件を変えて再生する場合に、音声のつなぎ目が不自然にならないように、なまし処理やフィルタを利用した遷移処理などを行なってもよい。
【0041】
通話が完了して、何時間か経過した後に、再度この電話機11から通話を行なうと、その間にも図6に示したように、所定のインターバルで、仮想的な状況における進行状態は更新されているから、使用者が特に意識しなくても、通話音声に混合される背景音は、切り替わっていく。例えば、先の電話から時間が経過して、仮想的な状況下における進行状態が会議中になっていれば、電話をかけた場合の背景音は、もはや航空機の機内騒音ではなく、会議室内らしい静かなものとなる。仮想的な状況下における進行状態が宴会になっていれば、電話をかけた場合の背景音は、飲み屋などの喧噪に切り替わっている。これらは、同じ電話機11から接続装置21を用いて電話をかける限り、自動的に行なわれる。なお、電話を受ける時は、この実施例では、電話機11が固定電話であることから、背景音声の重畳は行なっていない。
【0042】
以上説明した第1実施例によれば、仮想的な状況は、発呼者の特別な指示がなくとも、予め設定した進行状態に沿って自動的に進行していき、電話をかけるたびに、進行していく仮想的な状況に沿った音声を重畳していくことができる。従って、この接続装置21を用いて重畳される音声は、バックグランドに駅の喧噪や音楽などを流すという単純なものではなく、実際に使用者が出かけている出張や旅行などの状況に即したものとなる。この結果、使用者は、「この時間なら○○ではさっきの電話の音声と矛盾しないか」などをいちいち考える必要がない。
【0043】
また、本実施例では、送信する音声に重畳される音声は、送話者の送受話器52のスピーカ54からも流されるので、背景音などについて話し相手から質問されても、すぐに対応することが可能となる。更に、本実施例では、多数の状況をいくつかのカテゴリに分けて指定できるようにしているので、状況の設定が容易である。また、様々なオプションを指定することができるので、きめ細かい状況とその進行状態の設定が可能となっている。
【0044】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図9は、第2実施例としての電話システムの概略構成図である。この例では、電話機として携帯電話を用いるものとしている。図9は、携帯電話の基地局100,200のエリア内に携帯電話機300ないし500が存在する場合を示している。図示するように基地局100、200の通信エリアは一部が重複するように設計されている。このため携帯電話機300ないし500は、情報通信中に複数の基地局を跨った移動が発生しても、通信相手との通信を継続することができる。
【0045】
図10は、携帯電話機300の機能ブロック図である。図示するように携帯電話機300は、通常の携帯電話機としての機能部であるテンキーなどの入力部302,送話を電気信号に変換するマイク304,受話信号を音声に変換するスピーカー306,電話番号や電波受信強度の表示を行なう表示部308を備えている。入力部302により入力された電話番号やマイク304から入力された送話者の音声信号は、送信制御部310を介して信号処理部312へ伝送される。信号処理部312は、送信制御部310から入力された信号に所定の信号処理を施して次段の送受信部314へ信号を伝達する。そして、この送受信部314にて送信情報は所定の搬送波に重畳されてアンテナ316から送信される。また、アンテナ316にて受信された受信情報は、送受信部314にて検波、復調されて信号処理部312へ伝送されて信号の振り分けなどが行なわれる。振り分けられた信号により、表示部308に着信表示などを行なう処理や、通信相手の音声をスピーカー306で再生する処理などが行なわれる。
【0046】
第2実施例の携帯電話機300に特有の構成は、上記一般的な携帯電話の構成に付加されている模擬情報混合部350にある。この模擬情報混合部350は、携帯電話機300の入力部302からの入力に従って動作するものであり、その混合制御部352により入力部302からの入力情報を検出し、混合制御部352はその入力指示に従って以下の各部を制御する。
【0047】
記憶管理部354は、大容量の半導体メモリから構成される情報の記憶部であり、複数種類の生活環境の情報を記憶している。ここで、生活環境の情報とは、列車内の音、居酒屋の音、空港の音、会議室内の音などの日常生活一般の音、山の小鳥のさえずり、海岸の細波の音などの特定場所の音など、一般の生活環境で聞かれる音の情報である。特に、本実施例の記憶管理部354は、携帯電話機300の生産時に複数の生活環境の音を記憶している以上の十分な記憶容量を有しており、マイク304から入力した使用者に固有の生活環境の音を複数記憶することができるよう構成されている。こうした大容量の記憶管理部354は、実施例では、コンパクトフラッシュなどの半導体メモリにより構成したが、マイクロドライブなどの超小型ハードディスクなどにより、構成することも可能である。また、この実施例では、記憶管理部354は、携帯電話機300に内蔵したが、模擬情報混合部350を携帯電話機用の交換機側に、携帯電話機300の電話番号に対応づけて用意することも可能である。
【0048】
スケジュール管理部356は、実時間を計測する時計機構を内蔵すると共に、入力部302及び混合制御部352を介して入力される携帯電話機300の使用者によるスケジュールを記憶、管理する機能を有する。ここで、使用者により入力されるスケジュールとは、記憶管理部354に記憶されている生活環境の音を再生するスケジュールであり、第1実施例おける仮想的な状況と進行状態に相当する。一例を挙げると、午前零時〜午前8時までがホテル個室、その後、午前9時までがホテルレストラン、午前10時までが電車内、午前11から正午までが会議、その後、午後1時までがレストラン、午後6時までが講演会、午後8時までが料亭、午後11までが宴会というように実時間とその実時間に応じて記憶管理部354に記憶される生活環境の音の何れを選択するかを予め指定するものである。これらの予定の指定は、表示部308への表示と入力部302の操作により、行なう。
【0049】
混合部358は、混合制御部352からの混合指令を入力すると、スケジュール管理部356に記憶されているスケジュールに基づいた生活環境の音を記憶管理部354から読み出し、その内容を送信制御部310の送話信号に混合する機能を有する。なお、本実施例のスケジュール管理部356は、混合部358から読み出されたスケジュールをも記憶する機能を有しており、通信相手に対して再生した生活環境の音を通信相手の電話番号と共に記憶、管理することができるように構成されている。
【0050】
表示指示部360は、記憶管理部354に記憶されている生活環境の音の情報、スケジュール管理部356が記憶し管理している情報、模擬情報混合部350の動作状況などを、携帯電話機300の表示部308に表示させる機能を有する。携帯電話機300の使用者は、入力部302及び混合制御部352を介して表示指示部360に所望の表示指令を出すことで、あるいは混合制御部352に予め組み込まれている表示タイミング、例えば通話開始の時点などのタイミングて゜、表示部308に所望の情報を視覚的に確認することができる。なお、表示指示部360の構成として、表示部308の表示内容に応じた音をスピーカー306へ出力するようにして聴覚にも訴える表示を行なうこともできる。また、記憶管理部354に記憶されている生活環境の音をスピーカー306からモニタできるようにしてもよい。
【0051】
以上のように構成される本実施例の携帯電話機300が、任意の時刻に着信し、通話する場合について、図11のフローチャートに沿って説明する。携帯電話機300が着信して通話モードになると、受信制御部318からの入力信号を受けた混合制御部352が作動を開始し、図11の通話ルーチンの処理が開始される。通話ルーチンでは初めに、スケジュール管理部356にスケジュールが記憶されているか否かを判断し(ステップS600)、スケジュールが存在しなければ模擬情報混合部350は一切作動せず、通常の通話の処理を実行する。
【0052】
一方、スケジュール管理部356にスケジュールが記憶されている場合には、スケジュール管理部356からその内容を読み出し、そのスケジュールと実時間に応じた生活環境の音を記憶管理部354から読み出して混合部358へ順次送信する混合処理を実行する(S602)。これにより、第1実施例と同様、携帯電話機300を利用して通話している相手側には、予めスケジュールされた生活環境の音とマイク304を通じて入力される使用者の送話とが混合されて聞こえることになる。すなわち、携帯電話機300の使用者は、自らの居場所という個人情報を通話相手に知らせることなく、携帯電話機300を用いて利便性の高い通話を行なうことができる。この混合処理の後には、表示指示部360に対して現在再生されている生活環境の音に応じた表示を行なうべく表示処理(ステップS604)を行ない、次いで通話相手の電話番号と再生された生活環境の音とその時間とをスケジュール管理部356に記憶する処理(ステップS606)を行ない、通話が切断されない限り、以上の処理を繰り返す(ステップS608)。
【0053】
図11と同様の通話処理は、携帯電話機300の使用者が電話を掛けた場合にも実行される。この場合には、送信制御部310からの送話信号を入力することで混合制御部352が作動し、前述同様にスケジュールの存在確認(ステップS600)からの一連の処理を開始する。
【0054】
以上のように構成される第2実施例の携帯電話機300は、携帯電話機300の利便性はそのまま享受しつつ、携帯電話機300の使用者の個人情報やプライバシーを保護することができる。しかも、記憶管理部354には携帯電話機300の使用者による生活環境の音を記憶し、これを適宜再生することができるため、使用者の生活環境に応じた多彩な使い勝手を与える優れた携帯端末となる。また、予め定めたスケジュールに基づいて送話信号に混合する生活環境の音が自動的に選択されるため、何時でも簡便に通話を行なえるという携帯電話機の利便性を最大限に発揮することができる。さらに、こうして送話信号に混合された生活環境の音は、電話番号と共に記憶、管理されるため、過去の通信内容に及ぶ情報交換が必要となるときにも迅速に対応することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない各種態様により具現化されることは勿論である。例えば、上記携帯電話機300は、一つのスケジュールのみ記憶しているものとして説明したが、通話相手毎に混合する生活環境の音を変化させるなど、その性能を一層向上させることもできる。
【0056】
また、模擬情報混合部350を基地局100,200に備えることもできる。この様に基地局に模擬情報混合部350を備える構成であれば、携帯電話機300をより小型化したり、より多数の生活環境の音を提供することもできる。また、携帯電話機300の図示しないバッテリの消耗も少なくなり、長時間使用が可能となる。
【0057】
本実施例では、携帯電話を用いているので、仮想的な背景音とは矛盾したりそぐわない音声が、受話器から入ってしまうこともあり得る。こうした場合に備えて、携帯電話の使用者の声の帯域以外の音声を除去するフィルタを設けてもよい。こうすれば、使用者の音声に、仮想的な状況の背景音をクリアに重畳することができる。フィルタを用いた場合には、使用者の声と帯域の似ている音声は通過してしまう。そこで、受話用のマイク以外に、背景音を中心に音を拾うマイクを設け、二つのマイクがピックアップした音声を利用して、ノイズキャンセラを構成しても良い。こうすれば、使用者の音声だけをクリアに拾い出すことができ、背景音に重畳したとき、余分な音声を抑制することができる。
【0058】
また、模擬情報混合部350の記憶、再生機能を拡充し、生活環境の情報として音ばかりでなく映像までも扱えるように構成すれば、ビデオカメラ一体型携帯電話機やその基地局に対しても、本発明を適用することができる。即ち、携帯電話機300に小型のCCDカメラを取り付け、これにより撮像した映像に、予め用意した背景画像を重畳するよう構成するのである。この場合は、手前の画像(通常は通話者の画像)と、背景画像(風景など)とを自然に合成する必要がある。こうした処理は、例えばCCDカメラとして、焦点深度の極めて浅いものを採用し、合焦の位置にある人物像以外の画像、例えば背景などの画像をぼけた画像として撮像し、この部分をクロマキ機能などを用いて透明化することにより、予め用意した動画像と合成するといった手法により実現することができる。もとより、画像合成を行なおうとする使用者が、特定色のパネルなどの前で撮像すれば、合成は一層簡単に行なうことができる。
【0059】
この他、仮想的な状況の選択を携帯電話を用いて行なう場合には、仮想的な状況を予め分類して記憶し、簡単なキー操作で選択できるようにすることも好ましい。また、音声認識機能を搭載し、携帯電話機の受話用マイクに向かってしゃべることで、仮想的な状況やその進行状態などを設定可能としてもよい。音声認識は、単に選択肢の選択を「A(えい)」や「B(びい)」のように音声で行なっても良いし、仮想的な状況の設定を「11時まで新幹線車中」というように自然言語により設定するものとしても良い。後者の場合には、音声認識の機能に加えて、言語解析用のエンジンを搭載すればよい。言語解析用のエンジンが、形態電話に搭載できない場合には、携帯電話の交換機側にこの機能を持たせればよい。この場合には、使用者は特定の認識用電話番号に架電し、自分の電話番号を音声入力し、加えて設定しようとする仮想的な状況を喋ることにより、設定は完了する。
【0060】
また、上記の実施例以外に、マルチコールといった技術を用いて送話用音声と仮想的な環境音との重畳を行なうこともできる。携帯電話の場合、IPプロトコルを利用したパケット通信を行なうものがあり、この場合には、両音声ともパケットの形態で送り、これを携帯電話側で重畳すれば良い。重畳する仮想的な環境音の指定は、携帯電話側にJavaアプレットをロードし、ブラウザに必要な機能を組み込んだもので行なうことが簡便である。携帯電話の場合は、特に表示部が小さいことが予測されるので、小さな画面で指定が行ないやすいように支援するアプレットを用意することが望ましい。
【0061】
更に、以上の実施例では、仮想的な状況の設定は、基本的に使用者の電話番号について行なうものとしたが、電話をかけようとしている相手方の電話番号毎に設定可能とすることも可能である。この場合には、通話相手毎に仮想的な状況を設定することができる。また、本人ではなく、通話相手の仮想的な状況を自分向けに設定という構成を採ることも可能である。この場合には、通話相手は、本人の知らないうちに、例えば、遠隔地に旅行していることに設定され、その人に電話するたびに、その人の仮想的なスケジュールに沿って、旅行先の背景音などを、通話音声に重畳して聞くことができる。こうした機能は、例えば単身赴任する夫を、妻が仮想的に、外国に赴任したことにし、遠く離れた夫を想って電話するといった状況を仮想的に作り出すことができ、人の心の癒やしなどに適用することができる。
【0062】
この他、本発明の電話用音声重畳装置をゲーム機に適用することもできる。例えば、現実の10日間に、予め指定した複数の外国を回って帰国するという状況を仮想的に指定する。ゲームが開始されると、仮想的には、ゲームの参加者は、スケジュールに沿って旅行を開始する。旅行の途中で様々な障害が待ち受けており、例えば入国(イミグレーション)、通関、ホテルとの交渉、事故への巻き込まれ、などに遭遇した参加者は、電話を通して喋ることになっているものとする。このとき、送話される音声には、仮想的な状況での環境音、例えば入国管理局の雑音、通関時の荷ほどき音、等が重畳される。ゲームの参加者は、それらの音声を聞きながら、自ら送話し、様々な障害をクリアしてゲームを進行する。こうしたゲームは、対局型にして、互いに競う形でも実現できるし、仮想的な状況の中で自分がどう振る舞い、どう状況を切り抜けていくか、といったこと自体を楽しむようなゲームとしても構成することができる。この場合、予め入力したスケジュールが守れない場合も生じるので、スケジュールを再調整する機能を設けても良い。例えば、3日目に米国を出国する予定が、出国手続きに失敗した場合にはもう一泊する、などである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の概略構成図である。
【図2】第1実施例における電話機11と接続装置21の内部構成を示すブロック図である。
【図3】設定可能な仮想的な状況の分類の様子を示す説明図である。
【図4】第1実施例における処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】仮想的な状況の指定処理を示すフローチャートである。
【図6】仮想的な状況の進行処理を示すフローチャートである。
【図7】発呼時の処理を示すフローチャートである。
【図8】通話時の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施例である携帯電話機300と基地局の通信エリアの説明図である。
【図10】第2実施例で用いる携帯電話機300のブロック図である
【図11】携帯電話機300に内蔵される模擬情報混合装置350の動作フローチャートである。
【符号の説明】
11〜18…電話機
21〜28…接続装置
30,31…網接続装置
40…信号変換部
40a…A/D変換部
40b…D/A変換部
40c…電話制御部
41…CPU
43…DSP
44…メモリ
45…タイマ
47…ハードディスク
49…ネットワークカード
52…送受話器
53…マイク
54…スピーカ
56…テンキー
58…鳴動部
60…コンピュータ
100,200…基地局
300…携帯電話機
302…入力部
304…マイク
306…スピーカー
308…表示部
310…送信制御部
312…信号処理部
314…送受信部
316…アンテナ
318…受信制御部
350…模擬情報混合部
352…混合制御部
354…記憶管理部
356…スケジュール管理部
358…混合部
360…表示指示部
Claims (14)
- 電話を用いて送信する情報に他の情報を重畳する電話用情報重畳装置であって、
複数種類の生活環境の情報を、仮想的な状況と対応付けた複数のカテゴリに予め分類して記憶している記憶手段と、
前記仮想的な状況が指定されたとき、該仮想的な状況に対応付けられた前記カテゴリに含まれる前記生活環境の情報を一覧表示し、該一覧の中から前記生活環境の情報を、前記電話の使用に先立って指定する仮想状況指定手段と、
使用者が前記電話を使用する際、前記記憶手段から、使用者が指定した生活環境の情報を選択する選択手段と
前記電話の使用時に、該選択された情報を前記使用者が前記電話によって送信する情報に重畳して通信する重畳通信手段と
を備える電話用情報重畳装置。 - 請求項1記載の電話用情報重畳装置であって、
前記仮想状況指定手段は、
前記指定された生活環境の情報にオプションが含まれている場合には、当該オプションについて問い合わせを行ない、前記生活環境の情報の日時などのオプション情報の指定を受け付ける手段と、
該受け付けたオプション情報を、前記指定された生活環境の情報と共に記憶する手段と
を備えた電話用情報重畳装置。 - 請求項1記載の電話用情報重畳装置であって、
前記仮想状況指定手段は、前記生活環境の情報を、時間順に複数指定する手段であり、
前記選択手段は、該時間順に指定された複数の生活環境の情報を時間の経過に合わせて選択する手段である
電話用情報重畳装置。 - 前記仮想状況指定手段は、電話を用いて仮想的な状況を指定する請求項1記載の電話用情報重畳装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか記載の電話用情報重畳装置であって、
前記記憶手段および重畳通信手段の少なくとも一方が、電話機に内蔵されている電話用情報重畳装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか記載の電話用情報重畳装置であって、
前記記憶手段および重畳通信手段の少なくとも一方が、複数の電話を接続するための電話網に設けられた交換機に備えられた電話用情報重畳装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか記載の電話用情報重畳装置であって、
前記電話は、所定のプロトコルにより音声データを含む各種データを配信可能なネットワークを介して接続されるネットワーク電話であり、
前記記憶手段および重畳通信手段の少なくとも一方が、前記ネットワークに接続された機器に内蔵されている電話用情報重畳装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか記載の電話用情報重畳装置であって、
前記電話を用いて送信される情報は、通話用の音声であり、
前記重畳される生活環境の情報は、生活環境音である
電話用情報重畳装置。 - 前記生成した生活環境音を電話使用者の受話音声にも重畳する手段を有する請求項8記載の電話用情報重畳装置。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか記載の電話用情報重畳装置であって、
前記電話を用いて送信される情報は、電話機に設けられたテレビカメラにより撮像された映像であり、
前記重畳される生活環境の情報は、生活環境映像であり、
該生活環境映像は、前記テレビカメラにより撮像された映像の背景画像として重畳される
電話用情報重畳装置。 - 電話を用いて送信する情報に他の情報を重畳可能な電話機であって、
複数種類の生活環境の情報を、仮想的な状況と対応付けた複数のカテゴリに予め分類して記憶している記憶手段と、
前記仮想的な状況が指定されたとき、該仮想的な状況に対応付けられた前記カテゴリに含まれる前記生活環境の情報を一覧表示する表示手段と、
該一覧表示された中から前記生活環境の情報を、前記電話の使用に先立って指定する仮想状況指定手段と、
使用者が前記電話を使用する際、前記記憶手段から、使用者が指定した生活環境の情報を選択する選択手段と
前記電話の使用時に、該選択された情報を再生し、前記使用者が前記電話によって送信する情報に重畳して通信する重畳通信手段と
を備える電話機。 - 請求項11記載の電話機であって、
前記重畳通信手段は、通話中に、前記記憶手段に記憶された生活環境の情報が最後まで再生された場合には、該生活環境の情報の初期条件を変更して再度再生する電話機。 - 請求項11記載の電話機であって、
前記仮想状況指定手段は、前記生活環境の情報を、時間順に複数指定する手段であり、
前記選択手段は、該時間順に指定された複数の生活環境の情報を時間の経過に合わせて選択する手段である
電話機。 - 前記生成した情報が音声である場合に、該音声を電話機の受話音声にも重畳する手段を有する請求項11記載の電話機。
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