JP3731884B2 - 車両の空調システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドリングストップ時において車室内の快適性を確保するための車両の空調システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジンを備えた従来の車両においては、エアコンディショナのコンプレッサをエンジンで駆動して得られる冷風と、エンジンの冷却水の熱を利用して得られる温風とで車室内の空調を行っている。ところが、近年では、燃料消費を少なくするために、停車時にエンジンを停止するアイドリングストップ車両が開発されている。また、エンジンとモータとの両方で車両を駆動するいわゆるハイブリッド車両においても、同様に、停車時にアイドリングストップするようにエンジンが制御されている。このようなアイドリングストップ車両では、エアコンディショナの使用中に車両を停止させると、アイドリングストップ中にコンプレッサが駆動できなくなる。その結果、外気温度が高い場合や、陽射しが強い場合には、車室内の温度が上昇してユーザが不快に感じることがある。逆に、外気温度が低い場合には、乗員の呼気によりガラスが曇ったりするという不都合がある。
【0003】
そこで、車室内の温度に応じて一時的にエンジンを起動させることによってコンプレッサを駆動させ、車室温度を適温に調整した後に再びアイドリングストップさせる空調システム(例えば、特許文献1)が提案されている。また、いわゆるマイルドハイブリッド車両では、エンジンの回転速度がゼロになってから、モータでコンプレッサを駆動させる空調システムが使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−179374号公報(図4等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの空調システムでは、コンプレッサが起動してもすぐにはエアコンディショナが所要の能力を発揮しない。その結果、エアコンディショナが所要の能力を発揮するまでの間は、送風機のみによって空調を行うことになる。したがって、この間は、車室内の不快感が解消されない。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、例えばハイブリッド車両といったアイドリングストップ車両において、エンジンの作動状態に関わりなく車室内を一定の快適度に維持することができる車両の空調システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明の車両の空調システムは、エンジンと、コンプレッサ用モータと、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータの少なくともいずれかで駆動されて冷凍サイクルを作動させるコンプレッサと、前記エンジンが自動停止する前に、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータで前記コンプレッサを駆動させて冷凍サイクルを作動させる空調制御手段とを備える車両の空調システムであって、前記空調制御手段は、前記エンジンの自動停止時期を車速またはエンジン回転速度の減速特性に基づいて予測するとともに、この予測した自動停止時期から遡った時期にエンジン及びコンプレッサ用モータの両方が前記コンプレッサを駆動させて冷凍サイクルを作動させるように制御することを特徴とする。
【0008】
この車両の空調システムでは、エンジンが自動停止する前にエンジン及びコンプレッサ用モータの両方がコンプレッサを駆動させる。したがって、この車両の空調システムによれば、コンプレッサはアイドリングストップを開始する前からアイドリングストップ中にかけて切れ目なく所定のパワーで空調を行うことができるので、エンジンの作動状態にかかわらず車室内を一定の快適度に維持することができる。
【0009】
明の車両の空調システムにおいて、前記コンプレッサは、前記エンジンで駆動する第1のコンプレッサと、前記コンプレッサ用モータで駆動する第2のコンプレッサとを備えたハイブリッドコンプレッサであってもよい。
【0010】
この車両の空調システムでは、エンジンで駆動する第1のコンプレッサとコンプレッサ用モータで駆動する第2のコンプレッサとを備えており、エンジンが自動停止する前にエンジン及びコンプレッサ用モータは、第1及び第2のコンプレッサとを同時に駆動させることができる。この車両の空調システムによれば、アイドリングストップを開始する前からアイドリングストップ中にかけて少なくともコンプレッサ用モータで第2のコンプレッサを駆動させることができるので、エンジンの作動状態にかかわらず車室内を一定の快適度に維持することができる。
【0011】
そして、これら車両の空調システムは、前記エンジンの自動停止後は、前記コンプレッサ用モータのみによって前記第2のコンプレッサを駆動させることを特徴とする空調システムであってもよい。
【0012】
このような車両の空調システムでは、アイドリングストップ中はコンプレッサ用モータが第2のコンプレッサのみを作動させる。この車両の空調システムによれば、アイドリングストップ中の車室内の環境を快適に維持することができる。
【0014】
この車両の空調システムでは、エンジンを自動停止させてアイドリングストップを開始する時期を予測することによって、前記エンジンの自動停止前にエンジン及びコンプレッサ用モータでコンプレッサを駆動させることができる。したがって、この車両の空調システムによれば、エンジン及びコンプレッサ用モータの両方でコンプレッサを駆動させる時期をアイドリングストップに関連付けて特定することができる。
【0015】
また、これら車両の空調システムは、前記エンジンの自動停止を実行するタイミングは、アクセル開度及び車速を検知することによって決定することを特徴とする空調システムであってよい。
【0016】
この車両の空調システムでは、アクセル開度(変化率)や車速(減速率)により予測される前記したエンジンの自動停止時期によってエンジンの自動停止または開始のタイミングを決定することができる。したがって、この車両の空調システムによれば、コンプレッサ用モータのみでコンプレッサを駆動させるタイミングを決定することができる。
【0017】
また、これら車両の空調システムは、前記エンジンの自動停止後における前記エンジンの再始動時は、前記エンジンと前記コンプレッサ用モータにより、前記第1及び第2のコンプレッサのそれぞれを駆動することを特徴とする空調システムであってもよい。
【0018】
この車両の空調システムでは、エンジンの再始動時にエンジンとコンプレッサ用モータが第1及び第2のコンプレッサを同時に作動させる。したがって、この車両の空調システムによれば、エンジンの再始動時に空調のパワーを高めることができる。
【0019】
また、これら車両の空調システムは、前記エンジンの自動停止中に車室内温度が所定値以上になった場合に、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータが第1及び第2のコンプレッサを駆動させることを特徴とする空調システムであってもよい。
【0020】
この車両の空調システムによれば、車室内の温度が高いときには、第1及び第2のコンプレッサの両方を駆動させるので、車室内の温度を速やかに快適温度にすることができる。
【0021】
また、これら車両の空調システムは、前記コンプレッサ用モータが正常に動作しない場合にエンジンの自動停止を禁止することを特徴とする空調システムであってもよい。
【0022】
この車両の空調システムでは、コンプレッサ用モータに代えてエンジンを使用することによってコンプレッサを駆動させることができる。したがって、この車両の空調システムによれば、コンプレッサ用モータが使用できない状態にあっても、車室内の環境を快適に維持することができる。
【0023】
また、これら車両の空調システムは、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータで前記第1及び第2のコンプレッサを同時に駆動させる際に、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータのいずれか一方の出力パワーを大きくする場合には他方の出力パワーを小さくすることを特徴とする空調システムであってもよい。
【0024】
この車両の空調システムでは、エンジン及びコンプレッサ用モータの出力パワーの合計を一定にすることができる。したがって、この車両の空調システムによれば、コンプレッサによる空調パワーを一定に維持しつつ、エンジン及びコンプレッサ用モータで消費される燃料や電力を低減させることができる。
【0025】
また、これら車両の空調システムは、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータのいずれか一方の前記出力パワーを大きくするとともに、他方の前記出力パワーを小さくするにあたって、両出力パワーの加減は徐々に行うことを特徴とする空調システムであってもよい。
【0026】
この車両の空調システムでは、前記両出力パワーの加減を徐々に行うと、コンプレッサに無理な負担がかからない。さらに、トータルの出力パワーを必要最小限に抑制することができるので、空調システムの省エネルギー化を図ることができる。
【0027】
また、これら車両の空調システムは、前記エンジンの再始動時において、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータで前記第1及び第2のコンプレッサを同時に駆動させる時間帯は、タイマによって設定することを特徴とする空調システムであってもよい。
【0028】
この車両の空調システムによれば、第1及び第2のコンプレッサが同時に駆動する時間帯を任意に設定することができる。
【0029】
また、これら車両の空調システムは、前記エンジンの再始動時において、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータで前記第1及び第2のコンプレッサを同時に駆動する時間帯は、蒸発器の温度及び車室内温度の少なくともいずれかに基づいて決定されることを特徴とする空調システムであってもよい。
【0030】
この車両の空調システムでは、第1及び第2のコンプレッサを同時に駆動させる時間帯を蒸発器の温度や車室内温度などの外的要因によって適宜変更することができる。したがって、この車両の空調システムによれば、車室内の環境を常に快適に維持することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
参照する図面において、図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る車両の空調システム(以下、単に「空調システム」という)の構成を示す概略図、図3は、図1の空調システムに使用されるECU(Electronic Control Unit)の構成を示すブロック図、図4(a)及び図4(b)は、ECUを構成する自動停止再始動制御手段における論理回路図である。
【0032】
図1に示すように、空調システム1は、車両の駆動源であるエンジン3及びモータ/ジェネレータ(以下、単に「モータ」という)4と、空調システム1の冷凍サイクルを作動させるための第1のコンプレッサであるエンジン駆動コンプレッサ7及び第2のコンプレッサである電動コンプレッサ8と、車両用制御装置であるECU2とを備えている。
【0033】
エンジン3とモータ4とは、回転軸5で直結されることによってハイブリッド型の構成を有しており、エンジン3及びモータ4の回転力は、変速機6を経て回転軸5の一端側に連結された駆動輪Wに伝達されるようになっている。そして、回転軸5の他端側には、エンジン駆動コンプレッサ7が接続されており、エンジン駆動コンプレッサ7は、エンジン3で駆動するようになっている。モータ4には、PDU(Power Drive Unit)13を介して蓄電手段10が接続されている。電動コンプレッサ8は、この蓄電手段10に接続されており、蓄電手段10からの電力供給によって駆動するようになっている。
【0034】
これら各種機器についてさらに詳しく説明する。
エンジン3は、ガソリンなどを燃料とする内燃機関であり、図示しない燃料噴射弁を介して噴射される燃料とスロットル弁を介して吸入される空気を吸気弁から吸い込んで、点火プラグにより点火して燃焼する。燃焼ガスは、図示しない排気弁及び排気管を介して触媒処理されて排出される。このエンジン3は、駆動輪Wを回転させる役割や、モータ4を回転させて蓄電手段10に電気エネルギを蓄積させる役割、そしてエンジン駆動コンプレッサ7を駆動させる役割を有している。
【0035】
モータ4は、駆動手段としての機能、つまりエンジン3を駆動させたり、運転状態に応じてエンジン3の出力補助を行ったりする役割、また、エンジンを始動する際にエンジンを回転させる役割に加えて、発電電動機としての機能、つまり、車両の制動時に発電して回生エネルギを発生させる役割、ならびに車両の運転状態に応じてエンジン3の出力で発電する役割を有している。
【0036】
モータ4に接続されているPDU13は、モータ4の駆動及び回生動作をECU2からの指令値に基づいて行うように構成されている。このPDU13としては、例えば、複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたブリッジ回路を備えるパルス幅変調によるPWM(Pulse Width Modulation)インバータを使用することができる。
【0037】
蓄電手段10は、高圧バッテリ11と、DC−DCコンバータ14と、このDC−DCコンバータ14を介して高圧バッテリ11に接続された低圧バッテリ12とで構成されている。高圧バッテリ11は、ニッケル水素電池を多数本まとめて直列に接続した組電池になっている。DC−DCコンバータ14は、PDU13または高圧バッテリ11から供給される電圧を補機9の稼動に適した電圧(例えば12V)まで降下させるためのものである。
【0038】
エンジン駆動コンプレッサ7は、回転軸5の回転力が伝達されることで駆動するようになっている。回転伝達機構としては、エンジン駆動コンプレッサ7の回転軸16に取り付けられたプーリ17と、エンジン3側の回転軸5の他端に取り付けられたプーリ18と、両プーリ17,18の間に巻き掛けられたベルト19とからなる。また、エンジン駆動コンプレッサ7側の回転軸16は電磁クラッチ20で断続可能になっている。
【0039】
電動コンプレッサ8は、エンジン駆動コンプレッサ7とともに駆動し、あるいはエンジン3を自動停止させているときにエンジン駆動コンプレッサ7に代わって駆動するようになっている。この電動コンプレッサ8は、コンプレッサ用モータ8aと接続されており、コンプレッサ用モータ8aは、例えばPWMインバータといったインバータ15を介して高圧バッテリ11と接続されている。そして、電動コンプレッサ8は、高圧バッテリ11から電力を供給されたコンプレッサ用モータ8aによって駆動するようになっている。また、図2に示すように、エンジン駆動コンプレッサ7及び電動コンプレッサ8のそれぞれの吐出ポートは合流しており、これらエンジン駆動コンプレッサ7及び電動コンプレッサ8は、1つの冷凍サイクル50を共有している。この冷凍サイクル50としては、公知の冷凍サイクルでよく、例えば凝縮機51、受液器52、温度式膨張弁53及び蒸発器54で構成されるものが挙げられる。
【0040】
なお、本実施の形態では、エンジン駆動コンプレッサ7と、電動コンプレッサ8とは、それぞれ別個のスクロールを有するものとして構成しているが、二種類の駆動源で駆動可能な一つのコンプレッサユニットであってもよい。
【0041】
次に、本発明における特徴的な制御を行うECU2について説明する。ECU2は、電気・電子回路と所定のプログラムとからなっており、再び図1を参照すると明らかなように、自動停止再始動制御手段21と、空調制御手段22とを備えている。
【0042】
自動停止再始動制御手段21は、エンジン3の自動停止や自動再始動によるアイドリングストップの可否を判断し、この判断に基づいてエンジン3への燃料の供給や供給の停止を行うとともに、蓄電手段10への充放電の切り替えを主に行うものである。
【0043】
この自動停止再始動制御手段21には、図3に示すように、車両速度を検出するとともに検出した車両速度に基づいて車速検出信号を出力する車速センサ31と、アクセル開度を検知するとともに、検知したアクセル開度に基づいてアクセル開度検知信号を出力するアクセル開度検知センサ35と、蓄電手段10(図1参照)に残存する電力量を検出するとともに、その電力量に基づいてバッテリ残容量信号SOC(Status Of Charge)を出力するバッテリ残容量センサ34とが接続されている。また、自動停止再始動制御手段21には、燃料供給停止部23及び再始動駆動部24が接続されている。そして、自動停止再始動制御手段21は、クロック回路からなる図示しないタイマを備えている。
【0044】
この自動停止再始動制御手段21は、次の所定の条件を満たすことを前提に、アクセル開度検知センサ35(図3参照)から出力されたアクセルを閉じた旨を表すアクセル開度検知信号を受けてから、予め設定されたタイマ時間経過後に、燃料供給停止部23(図3参照)に向けて停止許可フラグF1(図3参照)を出力するように構成されている。そして、停止許可フラグF1を受けた燃料供給停止部23は、エンジン3への燃料供給を停止して、エンジン3を自動停止させるとともに、車両が停止するまでの間、所定のルーチンによってエンジン3に代えてモータ4(図1参照)で車両を駆動させるように、あるいは回生制動させるようになっている。また自動停止再始動制御手段21は、このように車両の駆動手段をエンジン3からモータ4に代えた際に、空調制御手段22に向けて駆動手段変更信号CS(図3参照)を出力するようになっている。
【0045】
前記した所定の条件、すなわちエンジン3の自動停止条件は、図4(a)に示すように、例えば、「車両が予め設定された基準速度、例えば時速20km/h以下の低車速になったこと」、「ブレーキスイッチ(SW)が[ON]になっていること」、「エンジン3の冷却水の温度が所定値以上であること」、「車両のシフトポジションがR(リバース)・L(ロウ)レンジ以外になっていること」及び「バッテリ残容量信号SOC(図3参照)に基づいて自動停止再始動制御手段21が判断した結果、バッテリに残存する電力の容量が所定値以上であること」からなる要素を少なくとも備えるとともに、これらの要素がすべて満たされていることを要する。
【0046】
ここで、「ブレーキSW[ON]」とは運転者の意思によりブレーキがかけられている状態をいう。また、「エンジン3の冷却水の温度が所定値以上」とは、水温が低いと再始動できないこともあり、必要に応じて、すぐにエンジン3を再始動できるようにするために設けられた条件である。「R・Lレンジ以外」とは、例えば、D(ドライブ)レンジのように、シフトポジションがR(リバース)レンジ、またはL(ロウ)・レンジ以外であることを意味する。そして、「バッテリ容量所定値以上」は高圧バッテリ11の残容量が所定値、例えばフル充電時の25%以上であることを意味する。
【0047】
ただし、次の条件が満たされる場合には、自動停止再始動制御手段21は、停止許可フラグF1(図3参照)を出力せず、エンジン3は自動停止しない。この条件、すなわちエンジン3の自動停止禁止条件としては、図4(b)に示すように、例えば「コンプレッサ用モータ8a(図1及び図2参照)が故障していること」、「バッテリに残存する電力の容量が例えば前記所定値未満であること」、「コンプレッサ用モータ8aに電力を供給するインバータ15(図1及び図2参照)の温度が所定値以上であること」及び「エンジン3の冷却水の温度が所定値未満であること」からなる要素が少なくとも挙げられ、自動停止禁止条件は、これら要素のうちの少なくとも一つが満たされればよい。なお、前記した「コンプレッサ用モータ8aの故障」としては、例えば、コンプレッサ用モータ8aに対する過負荷、過電流、過電圧、電圧低下及びコンタクタの溶着等が挙げられる。
【0048】
また、この自動停止再始動制御手段21は、アクセルが踏み込まれて作動する所定のルーチンによってモータ4(図1参照)を駆動させると同時に、再始動駆動部24(図3参照)に向けて再始動許可フラグF2(図3参照)を出力するように構成されている。そして、再始動許可フラグF2を受けた再始動駆動部24は、エンジン3に対する燃料供給及び燃料点火を行い、エンジン3を再始動するようになっている。また、自動停止再始動制御手段21は、エンジン3を再始動させてから所定の時間の経過後に、モータ4に代えてエンジン3で車両を駆動させるとともに、車両の駆動手段をモータ4からエンジン3に代えた際に、空調制御手段22に向けて駆動手段変更信号CS(図3参照)を出力するようになっている。
【0049】
なお、モータ4を駆動させて停止している車両を発進させるにあたり、自動停止再始動制御手段21は、バッテリ残容量信号SOC(図3参照)に基づいてバッテリに残存する電力の容量が所定値未満であると判断した場合には、エンジン3を駆動させて車両を発進させるようになっている。また、自動停止再始動制御手段21は、空調制御手段22から出力された後記する車室温上昇信号TS(図3参照)を受けて、再始動駆動部24に向けて再始動許可フラグF2を出力することによって、エンジン3を再始動するようになっている。
【0050】
次に、空調制御手段22について説明する。
空調制御手段22は、自動停止再始動制御手段21と協動することにより主にエンジン駆動コンプレッサ7及び電動コンプレッサ8の動作を制御するようになっている。
再び図3を参照すると明らかなように、空調制御手段22には、車速センサ31と、アクセル開度検知信号を出力するアクセル開度検知センサ35と、エンジン3の回転速度を検出するとともに、検出した回転速度に基づいてエンジン回転速度信号Neを出力するエンジン回転速度センサ33(ENGNeセンサ33)と、車室内の温度を検出するとともに、検出した温度に基づいて温度検出信号を出力する車室温度センサ32とが接続されている。そして、空調制御手段22は、クロック回路からなる図示しないタイマを備えている。
【0051】
空調制御手段22は、冷凍サイクル50(図2参照)を作動させるにあたり、エンジン3のみが駆動している場合には、エンジン駆動コンプレッサ駆動命令信号を出力するようになっている。このエンジン駆動コンプレッサ駆動命令信号によって電磁クラッチ20(図1参照)が繋がれてエンジン駆動コンプレッサ7は駆動するようになっている。また、空調制御手段22が、モータ4のみが駆動している場合及びエンジンの自動停止中(アイドリングストップ中)には、電動コンプレッサ駆動命令信号を出力するようになっている。この電動コンプレッサ駆動命令信号でインバータ15(図1参照)からコンプレッサモータ8aに電力が供給されることによって電動コンプレッサ8が駆動するようになっている。
【0052】
また空調制御手段22は、エンジン3が自動停止する前に、エンジン3でエンジン駆動コンプレッサ7を駆動させるとともに、電動コンプレッサ駆動命令信号(図3参照)を出力することによって、電動コンプレッサ8を駆動させるように構成されている。そして、空調制御手段22は、電動コンプレッサ8を駆動させる時期を、車速検出信号(図3参照)に基づいて時間当たりの減速率(dv/dt)を演算するとともに、この減速率に基づいてエンジン3の自動停止までの時間を予測し、この予測時間から所定時間分を遡って決定するようになっている。なお、このエンジン3の自動停止までの時間を空調制御手段22に予測させるにあたって、エンジン回転速度信号Ne(図3参照)に基づいて時間当たりの回転速度の減少率(de/dt)を空調制御手段22に演算させてもよい。
【0053】
また空調制御手段22は、エンジン3が自動停止した際に、エンジン駆動コンプレッサ停止命令信号(図3参照)を出力するようになっている。このエンジン駆動コンプレッサ停止命令信号で電磁クラッチ20(図1参照)が切断されることによって、エンジン駆動コンプレッサ7は停止し、電動コンプレッサ8のみが駆動するようになっている。
【0054】
このようにしてエンジン駆動コンプレッサ7を停止させるにあたって、空調制御手段22は、自動停止再始動制御手段21から出力された前記駆動手段変更信号CSを受信することによってエンジン3の自動停止時期を判断するが、アクセル開度検知信号(図3参照)によってアクセルが閉じられたことを検知するとともに、車速センサ31(図3参照)で検出する車速から演算した減少率(de/dt)、あるいはエンジン回転速度センサ33で検出する回転速度の減少率(de/dt)に基づいて求めたエンジン3の自動停止の予測時期をエンジン3の自動停止時期とみなしてエンジン駆動コンプレッサ7を停止させるように空調制御手段22を構成してもよい。
【0055】
また空調制御手段22は、車室温度センサ32(図3参照)から出力される温度検出信号(図3参照)に基づいて、エンジン3の自動停止中に車内温度が予め設定した基準温度を超える場合には、自動停止再始動制御手段21に向けて車室温上昇信号TS(図3参照)を出力するようになっている。そして、前記したようにこの車室温上昇信号TSを受信して自動停止再始動制御手段21がエンジン3を自動再始動させると、空調制御手段22は、エンジン駆動コンプレッサ駆動命令信号(図3参照)を出力することによってエンジン駆動コンプレッサ7を駆動するようになっている。
【0056】
エンジン3が自動再始動するにあたって、空調制御手段22は、モータ4によって車両が発進すると同時に、エンジン駆動コンプレッサ駆動命令信号(図3参照)を出力し、エンジン駆動コンプレッサ7を駆動するようになっている。そして、自動停止再始動制御手段21によってモータ4からエンジン3に車両の駆動手段が切り替わった際に、空調制御手段22は、電動コンプレッサ停止命令信号(図3参照)を出力することによって、電動コンプレッサ8を停止し、エンジン駆動コンプレッサ7のみを駆動するようになっている。
【0057】
このようにして電動コンプレッサ8の停止時期(エンジン駆動コンプレッサ7及び電動コンプレッサ8を同時に駆動させるのを終了させる時期)を決定するにあたって、空調制御手段22は、自動停止再始動制御手段21から出力された前記駆動手段変更信号CSを受信することによってモータ4からエンジン3への駆動手段の切り替え時期を判断するが、タイマによって電動コンプレッサ8の停止時期を予め設定するように空調制御手段22を構成してもよい。また、電動コンプレッサ8を停止させる時期は、冷凍システム50(図2参照)の蒸発器54の温度及び車室温度の少なくともいずれかで決定してもよい。また、電動コンプレッサ8を停止させる時期は、燃料の消費量及び蓄電手段10(図1参照)の電力消費量のそれぞれを勘案して適宜に決定することもできる。
【0058】
次に、空調システムの動作について説明する。
図5(a)〜(f)は、本発明における車両の空調システムを実現するための動作モードを示すタイムチャート、図5(g)は、本実施の形態の空調システムを動作させたときの空調レベルと、比較例の空調システムを動作させたときの空調レベルとを示すタイムチャート、図6は、空調システムにおいて、車両の減速特性に基づいてアイドリングストップの開始時刻を予測して空調動作を行う処理の流れを示すフローチャート、図7は、ECU等の判断に基づいて空調動作を行う処理の流れを示すフローチャートである。なお、タイムチャートは、横軸に時間を示すとともに、縦軸にそれぞれの機能の動作状態を示している。そして、タイムチャートの時間軸は同一レンジで表している。
【0059】
まず、タイムチャートを参照しながら、空調システム1の動作を説明する。
図5に示すように、(a)「アクセル開度」を閉にした時刻T1において、(b)「ブレーキ動作」を行うと(c)「車速」が減速し始め、同時に(d)「エンジン回転速度」も減少し始める。そして、(c)「車速」が減速中(つまり、(d)「エンジン回転速度」が減少中)の所定の時刻T2において、(e)「電動コンプレッサ8」を所定の回転速度で駆動させるとともに、(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」も所定の回転速度で駆動させる。
【0060】
さらに、時刻T1〜T2の間において(c)「車速」の減速特性よりアイドリングストップが開始される時刻T3を予測する。そして、アイドリングストップ開始の予測時刻より前の時刻において、(c)「車速」が減速中の所定の時刻T3(但し、T2≦T3)に到達するまで、つまり、時刻T2とT3の間の斜線で示す時間帯において、(e)「電動コンプレッサ8」と(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」を同時に駆動させる。さらに、時刻T3以降の時間帯においては(d)「エンジン回転速度」がゼロになるので、(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」を停止して、(e)「電動コンプレッサ8」のみを駆動する。これによって、アイドリングストップが開始される直前の時刻T2と時刻T3との間の時間帯においても(g)「空調レベル」を所定の値に維持することができるので、車室内の乗員は不快感を受けることはない。もちろん、アイドリングストップ中においては(e)「電動コンプレッサ8」が駆動しているので、車室内の空調は所定のレベルに維持されている。
【0061】
次に、車両の発進時においても、時刻T4において(a)「アクセル開度」が開になる際には、(b)「ブレーキ動作」が解除されている。そして、制御上及びメカニカル上のタイムラグの後、時刻T5において(c)「車速」が上昇し始める。この際は、(d)「エンジン回転速度」が上昇してエンジン3が始動している。車速上昇中の所定の時刻T6に到達するまでの斜線で示す時間帯(T5〜T6)においては、(e)「電動コンプレッサ8」と(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」を同時にオーバーラップして駆動させる。すなわち、エンジン3の始動と同時にエンジン駆動コンプレッサ7を駆動させる。これによって、アイドリングストップ終了時の過渡期においても、(e)「電動コンプレッサ8」と(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」が同時駆動するので車室内の空調は所定のレベルに保たれている。ただし、車両の状態によって(e)「電動コンプレッサ8」と(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」の駆動形態を任意に変更することができる。
【0062】
なお、車両の発進時において、(e)「電動コンプレッサ8」と(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」とを同時に駆動する時間帯(T5〜T6)は、蒸発器の温度や車室内温度などの外的要因によって適宜に変更することもできる。あるいは、同時駆動する時間帯(T5〜T6)をタイマによって任意に設定することもできる。なお、バッテリの消耗を防いで省電力を行いたいときは、適宜に同時駆動する時間帯(T5〜T6)を短くすればよい。
【0063】
このようにして、アイドリングストップの開始前と車両の発進後、所定の時間内は、(e)「電動コンプレッサ8」と(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」とを同時に駆動することによって、図5(g)の「同時駆動有り」で示す本発明の空調システムの特性曲線に示すように、車室内の空調レベルをほぼ一定の値に維持することができるので、この空調システムは、乗員に不快感を与えない。これに対し「同時駆動無し」(図5(g)中、破線で表す)で示す比較例は、時間帯(T2〜T3)においてピーク的な温度上昇が観測されるとともに、時刻T2以降において本発明の空調システムと比較し、常に温度が高くなっている。
【0064】
なお、図5の時間帯(T2〜T3)及び時間帯(T5〜T6)において、(e)「電動コンプレッサ8」と(f)「エンジン駆動コンプレッサ7」を同時に駆動させる場合には、何れか一方の駆動源の出力パワーを大きくしたら、他方の駆動源の出力パワーを小さくなるような制御が行われる。つまり、両方のコンプレッサが作動しているので、トータルのコンプレッサ出力が一定であれば、それぞれの駆動源の出力パワーは、それぞれの駆動源で分担することができる。また、電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に駆動する場合には、出力パワーは徐々に加減することが望ましい。このとき、何れか一方の駆動源の出力パワーを徐々に小さくする場合には、他方の駆動源の出力パワーを徐々に大きくすることが望ましい。さらに、このようなパワー制御を行うことによってトータルの出力を抑制することができるので、空調システムの省電力化を実現することができる。
【0065】
次に、フローチャートを用いて本発明における車両の空調システムの動作を説明する。
図6に示すように、この空調システム1では、まずアクセルがOFFされたか否かを判断し(ステップS1)、OFFされていれば(ステップS1でYESの場合)、ブレーキスイッチがONされたか否かを判断する(ステップS2)。ここで、アクセルがONまたはブレーキスイッチがOFFの場合(ステップS1でNOの場合、またはステップS2でNOの場合)は、スタートの状態に戻ってアクセル及びブレーキスイッチの動作状態の監視を続ける。一方、ステップS2でブレーキスイッチがONの場合は(ステップS2でYESの場合)、減速率(dv/dt)を計算し(ステップS3)、アイドリングストップの開始時刻を予測する(ステップS4)。
【0066】
さらに、計算した時刻からアイドリングストップまでの時間を予測して、予測時間の範囲内における設定時刻から所定の時間に亘って電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に作動させるか否かを判断する(ステップS5)。ここで、電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に作動させると判断した場合は(ステップS5でYESの場合)、アイドリングストップ開始前の所定の時間に亘って電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に作動させる(ステップS6)。その後、アイドリングストップを開始して電動コンプレッサ8のみをONする(ステップS7)。なお、ステップS5でコンプレッサ用モータ8aの故障やバッテリの残容量の不足等で電動コンプレッサ8に異常が発生した場合は、アイドリングストップを禁止する(ステップS8)。
【0067】
つまり、図6のフローチャートから分かるように、アイドリングストップを実施する前または燃料カット時(つまり、車速V≧0、回転速度Ne≧0のとき)に、アクセル開度及び車速を検知してアイドリングストップを開始するときの設定車速もしくは設定回転速度に到達する時刻を予測する。そして、その予測到達時刻の設定時間前からコンプレッサ用モータ8aとエンジン3を同時駆動させて電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7とを同時に動作させる。その後、車両の停止中(つまり、アイドリングストップ中)は電動コンプレッサ8のみを駆動させる。
【0068】
このようにして、アイドリングストップ前または燃料カット時(車速V≧0、回転速度Ne≧0のとき)からアイドリングストップ中に至るまで冷媒を絶えず流すことにより、アイドリングストップもしくは燃料カットの直後においても乗員に違和感を与えることなく車室内の快適性を確保することができる。なお、コンプレッサ用モータ8aとエンジン3とを同時駆動させる設定時刻は車両の状態によって任意に設定することができる。また、車両の発進直後は電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に駆動させることにより、アイドリングストップ中に上昇した車室内温度を素早く快適値にすることができる。
【0069】
次に、空調システムにおいて、ECU等の判断に基づいて空調動作を行う処理の流れについて説明する。
図7の左側のフローチャートに示すように、この空調システムでは、アクセルがOFFされたか否かを判断し(ステップS11)、OFFされていれば(ステップS11でYESの場合)、ブレーキスイッチがONされたか否かを判断する(ステップS12)。ここで、アクセルがONまたはブレーキスイッチがOFFの場合(ステップS11でNOの場合、またはステップS12でNOの場合)は、スタートの状態に戻ってアクセル及びブレーキスイッチの動作状態の監視を続ける。一方、ステップS12でブレーキスイッチがONの場合は(ステップS12でYESの場合)、ECU、タイマまたはバッテリ(BATT)等によってアイドリングストップが可能であるか否かを判断し(ステップS13)、アイドリングストップが不可能な状態のときは(ステップS13でNOの場合)、スタートの状態に戻ってアクセル及びブレーキスイッチの動作状態の監視を続ける。
【0070】
一方、ステップS13で、アイドリングストップが可能であると判断したときは(ステップS13でYESの場合)、電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に作動させるか否かを判断し(ステップS14)、同時駆動させると判断した場合は(ステップS14でYESの場合)、さらに、コンプレッサ用モータ8aの動作条件は正常であるか否かを判断する(ステップS15)。なお、コンプレッサ用モータ8aの動作条件は、SOC(Status Of Charge:充電状態)が低下していないか(つまり、バッテリの残容量が少なくないか)、過負荷・過電流の状態ではないか、過電圧・低電圧の状態ではないか、インバータの温度上昇は高くないか、又はコネクタの接点は溶着していないかなどの作動不許可要素からなる。
【0071】
ここで、コンプレッサ用モータ8aの動作条件が正常であれば(ステップS15でYESの場合)、コンプレッサ用モータ8aの故障判断が正常であるか否かを判定し(ステップS16)、この故障判断が正常であれば(ステップS16でYESの場合)、アイドリングストップ開始前の所定の時間に亘って電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に作動させる(ステップS17)。その後、アイドリングストップを開始して電動コンプレッサ8のみをONする(ステップS18)。なお、ステップS15でSOCが小さかったり(つまり、バッテリの充電量が少なかったり)インバータ温度が高いなどの理由でコンプレッサ用モータ8aの動作条件が正常でない場合(ステップS15でNOの場合)またはコンプレッサ用モータ8aの故障判断が正常でない場合は(ステップS16でNOの場合)、アイドリングストップを禁止する(ステップS19)。
【0072】
つまり、図7の左側のフローチャートに示すように、アイドリングストップを実施する前または燃料カット時(つまり、車速V≧0、回転速度Ne≧0のとき)に、ECUやタイマの設定時間やバッテリの充電状態などによってアイドリングストップが可能であるか否かを判断する(S13)。ここで、ECUなどがアイドリングストップは可能であると判断した場合には、アイドリングストップ開始前の所定の時間に亘って電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に駆動させる。そして、車両の自動停止中(アイドリングストップ中)は電動コンプレッサ8のみを駆動させる。
【0073】
このようにして、アイドリングストップ前または燃料カット時(車速V≧0、回転速度Ne≧0のとき)からアイドリングストップ中に至るまで冷媒を絶えず流すことにより、アイドリングストップまたは燃料カットの直後においても乗員に違和感を与えることなく車室内の快適性を確保することができる。また、車両の発進後は電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に駆動させることにより、アイドリングストップ中に上昇した室内温を素早く快適にすることができる。
【0074】
また、図7の右側のフローチャートに示すように、別な空調処理の方法として、まず、アクセルがOFFされたか否かを判断し(ステップS21)、OFFされていれば(ステップS21でYESの場合)、ブレーキスイッチがONされたか否かを判断する(ステップS22)。ここで、アクセルがONまたはブレーキスイッチがOFFの場合(ステップS21でNOの場合、またはステップS22でNOの場合)は、スタートの状態に戻ってアクセル及びブレーキスイッチの動作状態の監視を続ける。
【0075】
一方、ステップS22でブレーキスイッチがONの場合は(ステップS22でYESの場合)、ECU、タイマ、またはバッテリ等によってアイドリングストップが可能であるか否かを判断し(ステップS23)、アイドリングストップが不可能な状態のときは(ステップS23でNOの場合)、スタートの状態に戻ってアクセル及びブレーキスイッチの動作状態の監視を続ける。また、ステップS23で、アイドリングストップが可能であると判断したときは(ステップS23でYESの場合)、電動コンプレッサ8はONでエンジン駆動コンプレッサ7はOFFとなっているか否かを判断し(ステップS24)、電動コンプレッサ8がONで、エンジン駆動コンプレッサ7がOFFと判断した場合は(ステップS24でYESの場合)、そのままアイドリングストップを開始して電動コンプレッサ8のみをONする(ステップS25)。このようにして、アイドリングストップ開始前にはエンジン駆動コンプレッサ7を使用しないで電動コンプレッサ8のみを使用することによって、省電力モードの状態で車室内の温度を最小限の快適度に保つこともできる。また、ステップ24でNOの場合、つまり電動コンプレッサ8がOFFの場合は、電動コンプレッサ8等に異常が発生したと判断されるので、アイドリングストップを禁止する。そして、エンジン3を駆動させてエンジン駆動コンプレッサ7のOFFを禁止して、エンジン駆動コンプレッサ7を駆動する(ステップS26)。
【0076】
なお、ステップS23で、ECU等の判断でアイドリングストップは可能であると判定されたとき、エアコンが、車室温度を現在値より高く(又は低く)するなどの車室温度の変更要求を出している場合には、左側のフローチャートにおけるステップS14の処理に移行し、前記したと同様に電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に作動させるか否かを判断し(ステップS14)、以下、前記のステップS15以降の処理を行い、アイドリングストップ開始前に電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時に作動させた後、アイドリングストップ中は電動コンプレッサ8のみを作動させる。
【0077】
つまり、図7の右側のフローチャートに示すように、アイドリングストップを実施する前または燃料カット時(つまり、車速V≧0、回転速度Ne≧0のとき)に、ECUやタイマの設定時間やバッテリの充電状態などによってアイドリングストップが可能であるか否かを判断し、アイドリングストップが可能なときは、車両の状態に応じてエンジン駆動コンプレッサ7を停止し(又はクラッチをOFFし)、電動コンプレッサ8のみを駆動する。この場合でも、アイドリングストップ(もしくは燃料カット)の開始前からアイドリングストップ中にかけては電動コンプレッサ8が絶えず駆動しているので、車室内の快適性を最小限維持することができ、乗員への違和感の発生を低減することができる。また、この場合、エンジン駆動コンプレッサ7は駆動していないのでエンジンに対する負荷を軽減することができる。これにより、回生制動時におけるエネルギ変換効率を、ベルトを駆動させて回生する場合に比べて、大幅に向上させることができる。
【0078】
また、車室内温度が予め設定した基準温度より高い場合など、エアコン側が車室温度の変更を要求する場合には、車両状態に基づくエアコン側の要求の度合に応じて回生効率が低下することを承知した上で、車室内の快適性を確保するために電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時駆動してもよい。さらに、電動コンプレッサ8の回転速度については、車両の状態、車室温度、外気温度などの諸条件によって任意の回転速度に設定してコントロールすることもできる。また、車両の発進時については、車両状態によって電動コンプレッサ8とエンジン駆動コンプレッサ7を同時駆動しないで電動コンプレッサ8のみを作動させることによって、発進時のエンジン負荷を軽減させることもできる。
【0079】
以上述べた本実施の形態は、本発明を説明するための一例であり、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。本実施の形態ではハイブリッド車両における空調システムの動作モードについて説明したが、ガソリン車両などの一般車両においてもエンジン駆動コンプレッサの他に電動コンプレッサを備えていれば、アイドリングストップ時において前記の実施の形態と同様な動作モードを適用することもできる。
また、本実施の形態では、エンジンの自動停止中に、コンプレッサ用モータ8aでモータ電動コンプレッサ8のみを駆動させているが、本発明では、モータ4でエンジン駆動コンプレッサ7を駆動させる空調システムであってもよい。この場合、電動コンプレッサ8及びエンジン駆動コンプレッサ7が特許請求の範囲にいう「第2のコンプレッサ」に相当する。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空調システムによれば、コンプレッサがアイドリングストップを開始する前からアイドリングストップ中にかけて切れ目なく所定のパワーで空調を行うことができるので、エンジンの作動状態にかかわらず車室内を一定の快適度に維持することができる。
【0081】
また、本発明の車両の空調システムによれば、第1のコンプレッサ(エンジン駆動コンプレッサ)と第2のコンプレッサ(電動コンプレッサ)をそれぞれ個別に作動させたり、または同時に作動させたりすることによって、車両の走行中やアイドリングストップ中(若しくは燃料カット時)などのエンジンの動作状態に関係なく、車室内の快適性を確保することができる。さらに、アイドリングストップ(若しくは燃料カット時)の前後における車室内の快適性も確保される。また、アイドリングストップ(若しくは燃料カット)を実施するにあたり、エンジンの状態や車両の状態などによって、適宜に電動コンプレッサとエンジン駆動コンプレッサの動作選択を行うことによって、一層効率のよいコンプレッサの作動形態を選択することが可能となる。この結果、回生制動時におけるエネルギ変換効率をさらに向上させることができる。
【0082】
また、本発明の車両の空調システムによれば、エンジンを自動停止させてアイドリングストップを開始する時期を予測することによって、前記エンジンの自動停止前にコンプレッサ用モータでコンプレッサを駆動させることができる。したがって、この車両の空調システムによれば、エンジン及びコンプレッサ用モータの両方でコンプレッサを駆動させる時期を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両の空調システムの概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両の空調システムの概略図である。
【図3】図1の空調システムに使用するECUの構成を示すブロック図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、ECUを構成する自動停止再始動制御手段における論理回路図である。
【図5】図5(a)〜(f)は、本発明における車両の空調システムを実現するための動作モードを示すタイムチャート、図5(g)は、本実施の形態の空調システムを動作させたときの空調レベルと、比較例の空調システムを動作させたときの空調レベルとを示すタイムチャートである。
【図6】本発明の空調システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の空調システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 駆動装置
3 エンジン
7 エンジン駆動コンプレッサ(第1のコンプレッサ)
8 電動コンプレッサ(第2のコンプレッサ)
8a コンプレッサ用モータ
22 空調制御手段
50 冷凍サイクル
COMP コンプレッサ

Claims (2)

  1. エンジンと、コンプレッサ用モータと、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータの少なくともいずれかで駆動されて冷凍サイクルを作動させるコンプレッサと、前記エンジンが自動停止する前に、前記エンジン及び前記コンプレッサ用モータで前記コンプレッサを駆動させて冷凍サイクルを作動させる空調制御手段とを備える車両の空調システムであって、
    前記空調制御手段は、前記エンジンの自動停止時期を車速またはエンジン回転速度の減速特性に基づいて予測するとともに、この予測した自動停止時期から遡った時期にエンジン及びコンプレッサ用モータの両方が前記コンプレッサを駆動させて冷凍サイクルを作動させるように制御することを特徴とする車両の空調システム。
  2. 前記コンプレッサは、前記エンジンで駆動する第1のコンプレッサと、前記コンプレッサ用モータで駆動する第2のコンプレッサとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の空調システム。
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