JP3731811B2 - 合成樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は合成樹脂成形品の製造方法に関し、詳しくは、例えば絵柄や文字等の印刷意匠を表面に持った合成樹脂成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車のメータパネル(計器盤)や電気機器の表示パネル等のように、絵柄や文字等の印刷意匠が表面に施されると共に立体形状に成形された合成樹脂成形品を用いて、立体的な意匠効果をだすようにしたものがある。
このような印刷意匠や立体形状を備えた合成樹脂成形品を製造する方法としては、例えば特公平5−21051号公報等に開示された「合成樹脂成形品及びその製造方法」が知られている。
【0003】
上記特公平5−21051号公報等に開示された合成樹脂成形品の製造方法では、例えば図8(a)に示したように、所望の凹凸形状(キャビティ表面形状)に応じた凹型面1aが形成された成形用金型200の雌型1に、ポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックから成る合成樹脂シート2がセットされる。尚、合成樹脂シート2は、文字や目盛り等の印刷意匠が予め印刷されると共に、金型内に装填することができる形状に予め加工されている。
【0004】
次に、図8(b)に示したように、前記凹型面1aに対応する凸型面3aを有する雄型3を雌型1に接近させて型締めした後、図8(c)に示したように、合成樹脂シート2と雄型3の凸型面3aとの間のキャビティ6内に、雌型1のゲート4から溶融した成形用樹脂5が射出されると、該成形用樹脂5の射出圧力により合成樹脂シート2が雌型1の型面1aに押し付けられ、該型面1aの凹凸形状に沿って成形される。
【0005】
かかる成形後、前記雄型3を離間移動させて金型を開き、雌型1の型面1aから合成樹脂シート2と一体となった成形用樹脂5の成形品を離型することにより、異質な表面層を有する立体的な合成樹脂成形品が得られる。
ところが、上述した如き合成樹脂成形品の製造方法では、図8(b)に示したように、合成樹脂シート2の絞り量(雌型1の凹型面1aの深さ)が大きいと、雄型3を雌型1に接近させて型締めする際に、該雄型3の凸型面3aが合成樹脂シート2に当たって該合成樹脂シート2に傷つき等の不良が発生するため、合成樹脂シート2の絞り量が浅い形状に限定されてしまう。
【0006】
そこで、例えば図9及び図10に示したように、合成樹脂シートを圧空成形用300により所定形状に予備成形した後、該合成樹脂シートに成形用樹脂をインサート成形用金型400により裏打ち成形することにより、合成樹脂シートの絞り量が深い形状に成形された合成樹脂成形品を製造する方法がある。
【0007】
この方法では、図9(a)に示したように、先ず、所望の凹凸形状(キャビティ表面形状)に応じた型面41aが形成された下型41に、ポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックから成る合成樹脂シート42がセットされる。尚、合成樹脂シート42には、文字や目盛り等の印刷意匠が予め印刷されている。
【0008】
次に、図9(b)に示したように、上型43を下降させて上下型43,41で合成樹脂シート42を挟み込み、該合成樹脂シート42をガラス転移点以下の低い温度で予熱する。
更に、前記合成樹脂シート42と上型43との間の空間43aに、上型43の供給口45を介して高圧エアポンプ48から高圧空気が供給されると、合成樹脂シート42が下型41の型面41aに押し付けられ、該型面41aの凹凸形状に沿って成形される。
【0009】
この際、前記合成樹脂シート42と前記下型41との間の空気は、下型41の底部に穿設されたエア抜き用の穴44から金型外へ排出される。
かかる成形後、上型43を上昇させて金型を開き、図9(c)に示したように、下型41の型面41aから成型後の合成樹脂シート42を離型することにより、所定の凹凸形状に仕上げられた合成樹脂シート42が得られる。
【0010】
そして、このようにして圧空成形用金型装置300により合成樹脂シート42を予備成形した後、図10に示したように、インサート成形用金型400により合成樹脂シート42に成形用樹脂55を裏打ち成形する。
即ち、図10(a)に示したように、先ず、予備成形後の前記合成樹脂シート42の形状に対応する型面51aを有する雌型51に、該合成樹脂シート42がセットされる。
【0011】
次に、図10(b)に示したように、雄型53を雌型51に接近させて型締めした後、前記合成樹脂シート42と前記雄型53との間のキャビティ内に、雄型53のゲート54から溶融した成形用樹脂55が射出成形されると、該成形用樹脂55の射出圧力により、合成樹脂シート42が雌型51の型面51aに押し付けられ、該型面51aの凹凸形状に沿って成形される。
【0012】
かかる成形後、図10(c)に示したように、雄型53を離間移動させて金型を開き、雌型51の型面51aから合成樹脂シート42と一体となった成形用樹脂55の成形品50を離型することにより、異質な表面層を有する立体的な合成樹脂成形品が得られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の図9及び図10に示したような圧空成形と裏打ち成形により合成樹脂成形品を製造する方法では、合成樹脂シート42の絞り量は大きくできるものの、圧空成形用金型装置300及びインサート成形用金型400といった2種類の成形金型が必要になるため、金型コストが高くなる。
又、合成樹脂シート42を圧空成形用金型装置300から取り出したり、取り出した合成樹脂シート42をインサート成形用金型400に取り付けたりする作業が必要となるので、加工工程が2工程となって加工費が高くなる共にリードタイムも長くなり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0014】
更に、前記圧空成形用金型装置300から取り出した予備成形後の合成樹脂シート42には、形状不良や剛性不足、反り変形等があり、インサート成形用金型400に良好にセットできないことが多く、不安定な状態でインサート成形が行われてしまう。
すると、前記合成樹脂シート42には、傷つき等の不良が発生しやすく、特に、大型成形品ほど顕著に不良が発生して損失コストが大きくなるという問題もあった。
【0015】
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、絞り量を大きくすることができると共に合成樹脂シートに傷つき等の不良が発生することがなく、安定した品質の合成樹脂成形品を製造することができる良好な合成樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、雄型に雌型が外嵌することによりキャビティ内を密封可能なインロー構造の金型装置の該キャビティ内に合成樹脂シートを装填した後、これら雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気の圧力によって、前記合成樹脂シートを前記雄雌型の一方のキャビティ表面形状に沿って加圧成形し、
その後、前記キャビティ内の圧縮空気を排出した後、他方のキャビティ表面に対応する前記キャビティ内に成形用樹脂を射出することによって、前記合成樹脂シートが表面に溶着された合成樹脂成形品を射出成形することを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法により達成される。
【0017】
上記構成によれば、インロー構造の雄雌型を型締めすることによりキャビティ内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により合成樹脂シートを加圧成形した後、同一の金型装置内で成形用樹脂を射出成形することによって、該成形用樹脂の射出圧力により合成樹脂シートが高精度に押圧成形される。
そこで、型締め時に型面が合成樹脂シートに当接することがなく、合成樹脂シートの絞り量を大きくとることができると共に、型締め時に合成樹脂シートに傷つき等の不良や歪み不良が発生するのを防止できる。
【0018】
更に、同一の金型装置内で合成樹脂シートの予備成形と成形用樹脂の裏打ち成形とができるため、予備成形後の合成樹脂シートの取り出しや、インサート成形用金型への取り付け作業が不要となり、加工費が安くなると共にリードタイムも短くなり、製造コストの低減を図ることができる。又、同一の金型装置内での一貫加工であり、予備成形後の合成樹脂シートの形状不良や剛性不足、反り変形等があっても安定した状態で該合成樹脂シートに成形用樹脂の裏打ち成形を行うことができ、安定した高品質の合成樹脂成形品を得ることができる。
【0019】
又、前記合成樹脂シートは、圧縮空気の圧力により高精度に加圧成形された後に、取り外されることなく同一金型内で成形用樹脂の熱量と射出圧力により押圧成形されるので、押圧される一方のキャビティ表面形状の再現性が良く、高精度の凹凸形状を得ることができる。
【0020】
尚、好ましくは前記雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気が、1MPa未満の低圧に予圧される。
この場合、雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気の圧力を簡単により高圧にすることができる。又、キャビティ内を予圧する為のエアポンプは、1MPa未満の低圧を発生すれば良いので、高圧エアポンプに比べて安価で、取り扱いも容易である。
【0021】
又、好ましくは前記合成樹脂シートには、予め印刷意匠が印刷されている。
この場合、印刷意匠の位置や所望の凹凸形状が高精度に仕上げられた合成樹脂シートを得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法を詳細に説明する。
図1乃至図7は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法を説明するための金型装置の概略断面図である。尚、本実施形態における合成樹脂シート30は、絵柄や文字等の印刷意匠が予め印刷されたポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックから成る合成樹脂シートである。
【0023】
本実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法に使用する金型装置100は、図1に示したように、雄型10に雌型20が外嵌することによりキャビティ内を密封可能なインロー構造を備えている。
前記雄型10の凸部11の上面には、所望の凹凸形状に応じた型面(一方のキャビティ表面)10aが形成されている。この凸部11の上面には、印刷面が下向きと成るようにセットされた合成樹脂シート30の周縁を押える環状のシート押え部材(図示せず)が、ボルト等により固定される。
【0024】
更に、前記凸部11の外周壁には、雄型10と雌型20との開閉により摺動する凸部11と凹部21の嵌合面をシールするOリング等のシール部材12が装着されている。また、前記雄型10の底部には、前記型面10aに連通するエア抜き用の穴13が穿設されている。
一方、図示しない油圧プレス等により上下駆動される可動型である前記雌型20における凹部21の一側部には、エア供給穴22が穿設されており、該エア供給穴22に接続された供給管23には、開閉バルブ24を介して図示しないエアポンプから1MPa未満の比較的低圧(例えば、0.7MPa程度)の圧縮空気を供給することができる。
【0025】
前記型面10aの凹部に対応する凸部21aを有する雌型20の凹部21の底部(他方のキャビティ表面)には、ゲート26及びエア排出穴27がそれぞれ貫通して設けられている。
前記ゲート26は、図示しない射出成形機のノズルに連通しており、溶融した成形用樹脂31を雄雌型10,20により形成されるキャビティ内に射出する。
一方、前記エア排出穴27に接続された供給管28には、開閉バルブ29を介して図示しない吸引ポンプが接続されており、キャビティ内の空気を排出することができる。
【0026】
次に、上述した金型装置100を用いて、絵柄や文字等の印刷意匠が表面に施されると共に所望の立体形状に成形される合成樹脂成形品の製造方法を説明する。
先ず、図1に示したように、前記雄型10の凸部11の上面に合成樹脂シート30を装填し、周縁を図示しないシート押え部材により押えてセットする。このとき、開閉バルブ24,29はいずれも閉じられている。
【0027】
次に、図2に示したように、前記雌型20を下降させ、該雌型20の凹部21を前記雄型10の凸部11に外嵌することによりキャビティ25内を密封状態とする。この状態で開閉バルブ24を開いて、図3に示したようにキャビティ25内に圧縮空気を供給し、キャビティ25内を1MPa未満の比較的低圧に予圧する。
【0028】
そして、前記開閉バルブ24を閉じた後、図4に示したように、前記雌型20を更に下降させて雄雌型10,20を型締めすることにより、前記キャビティ25内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により前記合成樹脂シート30を前記雄型10の型面10aに押し付け、該型面10aに沿って加圧成形する。
この際、前記合成樹脂シート30と前記型面10aとの間の空間14内の空気は、雄型10の底部に穿設されたエア抜き用の穴13から金型外へ排出される。又、前記合成樹脂シート30をガラス転移点以下の低い温度で適宜予熱しても良い。
【0029】
次に、前記開閉バルブ29を開いて、前記キャビティ25内の圧縮空気をエア排出穴27に接続された供給管28から金型外へ排出した後、図5に示したように、該キャビティ25内に、前記ゲート26から溶融した成形用樹脂(アクリル樹脂等)31を射出(射出圧力:300〜800kg/cm2)することによって、前記合成樹脂シート30が前記成形用樹脂31の熱量と射出圧力により前記雄型10の型面10aに押し付けられて押圧成形(予備成形)される。
【0030】
かかる射出成形時においては、溶融した成形用樹脂31の熱量により合成樹脂シート30の残留応力が分散されて反りや変形が少なくなり、この状態で合成樹脂シート30と成形用樹脂31とが接着する。
次に、図6に示したように、前記雌型20を上昇させて雄雌型10,20を型開きした後、図7に示すように前記雄型10の型面10aから合成樹脂シート30と一体に接着された成形用樹脂31の射出成形品を離型することにより、印刷意匠の位置や凹凸形状が高精度に仕上げられ、且つ、異質な表面層を有する合成樹脂成形品40が得られる。
【0031】
即ち、本実施形態の金型装置100を用いた合成樹脂成形品の製造方法によれば、インロー構造の雄雌型10,20を型締めすることによりキャビティ25内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により合成樹脂シート30を加圧成形した後、同一の金型装置100内で成形用樹脂31を射出成形することによって、該成形用樹脂31の熱量と射出圧力により合成樹脂シート30が高精度に押圧成形される。
【0032】
そこで、型締め時に雌型20の凸部21aが合成樹脂シート30に当接することがなく、合成樹脂シート30の絞り量を大きくとることができると共に、型締め時に合成樹脂シート30に傷つき等の不良や歪み不良が発生するのを防止できる。
【0033】
更に、同一の金型装置100内で合成樹脂シート30の予備成形と成形用樹脂31の裏打ち成形とができるため、図9及び図10に示した従来の合成樹脂成形品の製造方法のように、予備成形後の合成樹脂シート42の圧空成形用金型装置300からの取り出しや、インサート成形用金型400への取り付け作業が不要となり、加工費が安くなると共にリードタイムも短くなり、製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
又、同一の金型装置100内での一貫加工であり、予備成形後の合成樹脂シート30の形状不良や剛性不足、反り変形等があっても安定した状態で該合成樹脂シート30に成形用樹脂31の裏打ち成形を行うことができ、安定した高品質の合成樹脂成形品40を得ることができる。
【0035】
又、前記合成樹脂シート30は、圧縮空気の圧力により高精度に加圧成形された後に、取り外されることなく同一金型装置100内で成形用樹脂31の熱量と射出圧力により押圧成形されるので、押圧される型面41a(一方のキャビティ表面形状)の再現性が良く、高精度(最小曲げR加工=シート材厚まで可能)の凹凸形状を得ることができる。
【0036】
又、前記雄雌型10,20を型締めすることにより圧縮されるキャビティ25内の空気が、1MPa未満の低圧に予圧されるため、型締めすることにより圧縮されるキャビティ25内の空気の圧力を簡単により高圧にすることができる。
又、前記金型装置100としては、汎用設備である射出成形機を用いることができ、1MPa以上の高圧空気を供給する高圧エアポンプ等の高価な設備は必要なくなる。
【0037】
従って、上述した合成樹脂成形品の製造方法によれば、高圧の圧縮空気と成形用樹脂31によって合成樹脂シート30に対し大きい絞り量で高精度の立体化加工を安定して行えると共に、汎用設備を用いて加工設備費の低減を図ることができる。
【0038】
尚、本発明に係る合成樹脂成形品の製造方法における雄雌型の構成や合成樹脂シートの種類は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、印刷面を有する合成樹脂シート30を例に採ったが、印刷面を有していない合成樹脂シートにも本発明を適用できることは勿論である。
【0039】
又、上記実施形態の金型装置100では、駆動ストロークの比較的短い雌型20に対応すべく、雄雌型10,20を型締めしてキャビティ25内の空気を圧縮する前に、エアポンプによりキャビティ25内に比較的低圧の空気を供給して予圧しているが、可動型の駆動ストロークが十分とれる金型装置では、予圧を行わずに型締めするだけでキャビティ25内の空気を圧縮するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上、上述した本発明の合成樹脂成形品の製造方法によれば、インロー構造の雄雌型を型締めすることによりキャビティ内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により合成樹脂シートを加圧成形した後、同一の金型装置内で成形用樹脂を射出成形するので、型締め時に型面が合成樹脂シートに当接することがなく、合成樹脂シートの絞り量を大きくとることができると共に、型締め時に合成樹脂シートに傷つき等の不良や歪み不良が発生するのを防止できる。
【0041】
更に、同一の金型装置内で合成樹脂シートの予備成形と成形用樹脂の裏打ち成形とができるため、加工費が安くなると共にリードタイムも短くなり、製造コストの低減を図ることができる。
又、同一の金型装置内での一貫加工であり、予備成形後の合成樹脂シートの形状不良や剛性不足、反り変形等があっても安定した状態で該合成樹脂シートに成形用樹脂の裏打ち成形を行うことができ、安定した高品質の合成樹脂成形品を得ることができる。
【0042】
又、前記合成樹脂シートは、圧縮空気の圧力により高精度に加圧成形された後に、取り外されることなく同一金型内で成形用樹脂の熱量と射出圧力により押圧成形されるので、押圧される一方のキャビティ表面形状の再現性が良く、高精度の凹凸形状を得ることができる。
従って、絞り量を大きくすることができると共に合成樹脂シートに傷つき等の不良が発生することがなく、安定した品質の合成樹脂成形品を製造することができる良好な合成樹脂成形品の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法を説明するための金型装置の概略断面図である。
【図2】図1に示した金型装置のの雌型を下降させた状態を示す。
【図3】図2に示した金型装置のキャビティ内に低圧空気を供給した状態を示す。
【図4】図3に示した金型装置の雄雌型を型締めした状態を示す。
【図5】図4に示した金型装置のキャビティ内の圧縮空気を排出した後、該キャビティ内に溶融した成形用樹脂を射出した状態を示す。
【図6】図5に示した金型装置の雄雌型を型開きした状態を示す。
【図7】図6に示した雄型から合成樹脂シートが一体となった合成樹脂成形品を離型した状態を示す。
【図8】従来の合成樹脂成形品の製造方法を説明するための成形型の概略断面図である。
【図9】従来の他の合成樹脂成形品の製造方法を説明するための圧空成形用金型装置の概略断面図である。
【図10】従来の他の合成樹脂成形品の製造方法を説明するためのインサート成形用金型の概略断面図である。
【符号の説明】
10 雄型
10a 型面(一方のキャビティ表面)
20 雌型
21a 凸部(他方のキャビティ表面)
25 キャビティ
27 エア排出穴
30 合成樹脂シート
31 成形用樹脂
100 金型装置
【発明の属する技術分野】
本発明は合成樹脂成形品の製造方法に関し、詳しくは、例えば絵柄や文字等の印刷意匠を表面に持った合成樹脂成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車のメータパネル(計器盤)や電気機器の表示パネル等のように、絵柄や文字等の印刷意匠が表面に施されると共に立体形状に成形された合成樹脂成形品を用いて、立体的な意匠効果をだすようにしたものがある。
このような印刷意匠や立体形状を備えた合成樹脂成形品を製造する方法としては、例えば特公平5−21051号公報等に開示された「合成樹脂成形品及びその製造方法」が知られている。
【0003】
上記特公平5−21051号公報等に開示された合成樹脂成形品の製造方法では、例えば図8(a)に示したように、所望の凹凸形状(キャビティ表面形状)に応じた凹型面1aが形成された成形用金型200の雌型1に、ポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックから成る合成樹脂シート2がセットされる。尚、合成樹脂シート2は、文字や目盛り等の印刷意匠が予め印刷されると共に、金型内に装填することができる形状に予め加工されている。
【0004】
次に、図8(b)に示したように、前記凹型面1aに対応する凸型面3aを有する雄型3を雌型1に接近させて型締めした後、図8(c)に示したように、合成樹脂シート2と雄型3の凸型面3aとの間のキャビティ6内に、雌型1のゲート4から溶融した成形用樹脂5が射出されると、該成形用樹脂5の射出圧力により合成樹脂シート2が雌型1の型面1aに押し付けられ、該型面1aの凹凸形状に沿って成形される。
【0005】
かかる成形後、前記雄型3を離間移動させて金型を開き、雌型1の型面1aから合成樹脂シート2と一体となった成形用樹脂5の成形品を離型することにより、異質な表面層を有する立体的な合成樹脂成形品が得られる。
ところが、上述した如き合成樹脂成形品の製造方法では、図8(b)に示したように、合成樹脂シート2の絞り量(雌型1の凹型面1aの深さ)が大きいと、雄型3を雌型1に接近させて型締めする際に、該雄型3の凸型面3aが合成樹脂シート2に当たって該合成樹脂シート2に傷つき等の不良が発生するため、合成樹脂シート2の絞り量が浅い形状に限定されてしまう。
【0006】
そこで、例えば図9及び図10に示したように、合成樹脂シートを圧空成形用300により所定形状に予備成形した後、該合成樹脂シートに成形用樹脂をインサート成形用金型400により裏打ち成形することにより、合成樹脂シートの絞り量が深い形状に成形された合成樹脂成形品を製造する方法がある。
【0007】
この方法では、図9(a)に示したように、先ず、所望の凹凸形状(キャビティ表面形状)に応じた型面41aが形成された下型41に、ポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックから成る合成樹脂シート42がセットされる。尚、合成樹脂シート42には、文字や目盛り等の印刷意匠が予め印刷されている。
【0008】
次に、図9(b)に示したように、上型43を下降させて上下型43,41で合成樹脂シート42を挟み込み、該合成樹脂シート42をガラス転移点以下の低い温度で予熱する。
更に、前記合成樹脂シート42と上型43との間の空間43aに、上型43の供給口45を介して高圧エアポンプ48から高圧空気が供給されると、合成樹脂シート42が下型41の型面41aに押し付けられ、該型面41aの凹凸形状に沿って成形される。
【0009】
この際、前記合成樹脂シート42と前記下型41との間の空気は、下型41の底部に穿設されたエア抜き用の穴44から金型外へ排出される。
かかる成形後、上型43を上昇させて金型を開き、図9(c)に示したように、下型41の型面41aから成型後の合成樹脂シート42を離型することにより、所定の凹凸形状に仕上げられた合成樹脂シート42が得られる。
【0010】
そして、このようにして圧空成形用金型装置300により合成樹脂シート42を予備成形した後、図10に示したように、インサート成形用金型400により合成樹脂シート42に成形用樹脂55を裏打ち成形する。
即ち、図10(a)に示したように、先ず、予備成形後の前記合成樹脂シート42の形状に対応する型面51aを有する雌型51に、該合成樹脂シート42がセットされる。
【0011】
次に、図10(b)に示したように、雄型53を雌型51に接近させて型締めした後、前記合成樹脂シート42と前記雄型53との間のキャビティ内に、雄型53のゲート54から溶融した成形用樹脂55が射出成形されると、該成形用樹脂55の射出圧力により、合成樹脂シート42が雌型51の型面51aに押し付けられ、該型面51aの凹凸形状に沿って成形される。
【0012】
かかる成形後、図10(c)に示したように、雄型53を離間移動させて金型を開き、雌型51の型面51aから合成樹脂シート42と一体となった成形用樹脂55の成形品50を離型することにより、異質な表面層を有する立体的な合成樹脂成形品が得られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の図9及び図10に示したような圧空成形と裏打ち成形により合成樹脂成形品を製造する方法では、合成樹脂シート42の絞り量は大きくできるものの、圧空成形用金型装置300及びインサート成形用金型400といった2種類の成形金型が必要になるため、金型コストが高くなる。
又、合成樹脂シート42を圧空成形用金型装置300から取り出したり、取り出した合成樹脂シート42をインサート成形用金型400に取り付けたりする作業が必要となるので、加工工程が2工程となって加工費が高くなる共にリードタイムも長くなり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0014】
更に、前記圧空成形用金型装置300から取り出した予備成形後の合成樹脂シート42には、形状不良や剛性不足、反り変形等があり、インサート成形用金型400に良好にセットできないことが多く、不安定な状態でインサート成形が行われてしまう。
すると、前記合成樹脂シート42には、傷つき等の不良が発生しやすく、特に、大型成形品ほど顕著に不良が発生して損失コストが大きくなるという問題もあった。
【0015】
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、絞り量を大きくすることができると共に合成樹脂シートに傷つき等の不良が発生することがなく、安定した品質の合成樹脂成形品を製造することができる良好な合成樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、雄型に雌型が外嵌することによりキャビティ内を密封可能なインロー構造の金型装置の該キャビティ内に合成樹脂シートを装填した後、これら雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気の圧力によって、前記合成樹脂シートを前記雄雌型の一方のキャビティ表面形状に沿って加圧成形し、
その後、前記キャビティ内の圧縮空気を排出した後、他方のキャビティ表面に対応する前記キャビティ内に成形用樹脂を射出することによって、前記合成樹脂シートが表面に溶着された合成樹脂成形品を射出成形することを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法により達成される。
【0017】
上記構成によれば、インロー構造の雄雌型を型締めすることによりキャビティ内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により合成樹脂シートを加圧成形した後、同一の金型装置内で成形用樹脂を射出成形することによって、該成形用樹脂の射出圧力により合成樹脂シートが高精度に押圧成形される。
そこで、型締め時に型面が合成樹脂シートに当接することがなく、合成樹脂シートの絞り量を大きくとることができると共に、型締め時に合成樹脂シートに傷つき等の不良や歪み不良が発生するのを防止できる。
【0018】
更に、同一の金型装置内で合成樹脂シートの予備成形と成形用樹脂の裏打ち成形とができるため、予備成形後の合成樹脂シートの取り出しや、インサート成形用金型への取り付け作業が不要となり、加工費が安くなると共にリードタイムも短くなり、製造コストの低減を図ることができる。又、同一の金型装置内での一貫加工であり、予備成形後の合成樹脂シートの形状不良や剛性不足、反り変形等があっても安定した状態で該合成樹脂シートに成形用樹脂の裏打ち成形を行うことができ、安定した高品質の合成樹脂成形品を得ることができる。
【0019】
又、前記合成樹脂シートは、圧縮空気の圧力により高精度に加圧成形された後に、取り外されることなく同一金型内で成形用樹脂の熱量と射出圧力により押圧成形されるので、押圧される一方のキャビティ表面形状の再現性が良く、高精度の凹凸形状を得ることができる。
【0020】
尚、好ましくは前記雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気が、1MPa未満の低圧に予圧される。
この場合、雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気の圧力を簡単により高圧にすることができる。又、キャビティ内を予圧する為のエアポンプは、1MPa未満の低圧を発生すれば良いので、高圧エアポンプに比べて安価で、取り扱いも容易である。
【0021】
又、好ましくは前記合成樹脂シートには、予め印刷意匠が印刷されている。
この場合、印刷意匠の位置や所望の凹凸形状が高精度に仕上げられた合成樹脂シートを得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法を詳細に説明する。
図1乃至図7は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法を説明するための金型装置の概略断面図である。尚、本実施形態における合成樹脂シート30は、絵柄や文字等の印刷意匠が予め印刷されたポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックから成る合成樹脂シートである。
【0023】
本実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法に使用する金型装置100は、図1に示したように、雄型10に雌型20が外嵌することによりキャビティ内を密封可能なインロー構造を備えている。
前記雄型10の凸部11の上面には、所望の凹凸形状に応じた型面(一方のキャビティ表面)10aが形成されている。この凸部11の上面には、印刷面が下向きと成るようにセットされた合成樹脂シート30の周縁を押える環状のシート押え部材(図示せず)が、ボルト等により固定される。
【0024】
更に、前記凸部11の外周壁には、雄型10と雌型20との開閉により摺動する凸部11と凹部21の嵌合面をシールするOリング等のシール部材12が装着されている。また、前記雄型10の底部には、前記型面10aに連通するエア抜き用の穴13が穿設されている。
一方、図示しない油圧プレス等により上下駆動される可動型である前記雌型20における凹部21の一側部には、エア供給穴22が穿設されており、該エア供給穴22に接続された供給管23には、開閉バルブ24を介して図示しないエアポンプから1MPa未満の比較的低圧(例えば、0.7MPa程度)の圧縮空気を供給することができる。
【0025】
前記型面10aの凹部に対応する凸部21aを有する雌型20の凹部21の底部(他方のキャビティ表面)には、ゲート26及びエア排出穴27がそれぞれ貫通して設けられている。
前記ゲート26は、図示しない射出成形機のノズルに連通しており、溶融した成形用樹脂31を雄雌型10,20により形成されるキャビティ内に射出する。
一方、前記エア排出穴27に接続された供給管28には、開閉バルブ29を介して図示しない吸引ポンプが接続されており、キャビティ内の空気を排出することができる。
【0026】
次に、上述した金型装置100を用いて、絵柄や文字等の印刷意匠が表面に施されると共に所望の立体形状に成形される合成樹脂成形品の製造方法を説明する。
先ず、図1に示したように、前記雄型10の凸部11の上面に合成樹脂シート30を装填し、周縁を図示しないシート押え部材により押えてセットする。このとき、開閉バルブ24,29はいずれも閉じられている。
【0027】
次に、図2に示したように、前記雌型20を下降させ、該雌型20の凹部21を前記雄型10の凸部11に外嵌することによりキャビティ25内を密封状態とする。この状態で開閉バルブ24を開いて、図3に示したようにキャビティ25内に圧縮空気を供給し、キャビティ25内を1MPa未満の比較的低圧に予圧する。
【0028】
そして、前記開閉バルブ24を閉じた後、図4に示したように、前記雌型20を更に下降させて雄雌型10,20を型締めすることにより、前記キャビティ25内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により前記合成樹脂シート30を前記雄型10の型面10aに押し付け、該型面10aに沿って加圧成形する。
この際、前記合成樹脂シート30と前記型面10aとの間の空間14内の空気は、雄型10の底部に穿設されたエア抜き用の穴13から金型外へ排出される。又、前記合成樹脂シート30をガラス転移点以下の低い温度で適宜予熱しても良い。
【0029】
次に、前記開閉バルブ29を開いて、前記キャビティ25内の圧縮空気をエア排出穴27に接続された供給管28から金型外へ排出した後、図5に示したように、該キャビティ25内に、前記ゲート26から溶融した成形用樹脂(アクリル樹脂等)31を射出(射出圧力:300〜800kg/cm2)することによって、前記合成樹脂シート30が前記成形用樹脂31の熱量と射出圧力により前記雄型10の型面10aに押し付けられて押圧成形(予備成形)される。
【0030】
かかる射出成形時においては、溶融した成形用樹脂31の熱量により合成樹脂シート30の残留応力が分散されて反りや変形が少なくなり、この状態で合成樹脂シート30と成形用樹脂31とが接着する。
次に、図6に示したように、前記雌型20を上昇させて雄雌型10,20を型開きした後、図7に示すように前記雄型10の型面10aから合成樹脂シート30と一体に接着された成形用樹脂31の射出成形品を離型することにより、印刷意匠の位置や凹凸形状が高精度に仕上げられ、且つ、異質な表面層を有する合成樹脂成形品40が得られる。
【0031】
即ち、本実施形態の金型装置100を用いた合成樹脂成形品の製造方法によれば、インロー構造の雄雌型10,20を型締めすることによりキャビティ25内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により合成樹脂シート30を加圧成形した後、同一の金型装置100内で成形用樹脂31を射出成形することによって、該成形用樹脂31の熱量と射出圧力により合成樹脂シート30が高精度に押圧成形される。
【0032】
そこで、型締め時に雌型20の凸部21aが合成樹脂シート30に当接することがなく、合成樹脂シート30の絞り量を大きくとることができると共に、型締め時に合成樹脂シート30に傷つき等の不良や歪み不良が発生するのを防止できる。
【0033】
更に、同一の金型装置100内で合成樹脂シート30の予備成形と成形用樹脂31の裏打ち成形とができるため、図9及び図10に示した従来の合成樹脂成形品の製造方法のように、予備成形後の合成樹脂シート42の圧空成形用金型装置300からの取り出しや、インサート成形用金型400への取り付け作業が不要となり、加工費が安くなると共にリードタイムも短くなり、製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
又、同一の金型装置100内での一貫加工であり、予備成形後の合成樹脂シート30の形状不良や剛性不足、反り変形等があっても安定した状態で該合成樹脂シート30に成形用樹脂31の裏打ち成形を行うことができ、安定した高品質の合成樹脂成形品40を得ることができる。
【0035】
又、前記合成樹脂シート30は、圧縮空気の圧力により高精度に加圧成形された後に、取り外されることなく同一金型装置100内で成形用樹脂31の熱量と射出圧力により押圧成形されるので、押圧される型面41a(一方のキャビティ表面形状)の再現性が良く、高精度(最小曲げR加工=シート材厚まで可能)の凹凸形状を得ることができる。
【0036】
又、前記雄雌型10,20を型締めすることにより圧縮されるキャビティ25内の空気が、1MPa未満の低圧に予圧されるため、型締めすることにより圧縮されるキャビティ25内の空気の圧力を簡単により高圧にすることができる。
又、前記金型装置100としては、汎用設備である射出成形機を用いることができ、1MPa以上の高圧空気を供給する高圧エアポンプ等の高価な設備は必要なくなる。
【0037】
従って、上述した合成樹脂成形品の製造方法によれば、高圧の圧縮空気と成形用樹脂31によって合成樹脂シート30に対し大きい絞り量で高精度の立体化加工を安定して行えると共に、汎用設備を用いて加工設備費の低減を図ることができる。
【0038】
尚、本発明に係る合成樹脂成形品の製造方法における雄雌型の構成や合成樹脂シートの種類は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、印刷面を有する合成樹脂シート30を例に採ったが、印刷面を有していない合成樹脂シートにも本発明を適用できることは勿論である。
【0039】
又、上記実施形態の金型装置100では、駆動ストロークの比較的短い雌型20に対応すべく、雄雌型10,20を型締めしてキャビティ25内の空気を圧縮する前に、エアポンプによりキャビティ25内に比較的低圧の空気を供給して予圧しているが、可動型の駆動ストロークが十分とれる金型装置では、予圧を行わずに型締めするだけでキャビティ25内の空気を圧縮するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上、上述した本発明の合成樹脂成形品の製造方法によれば、インロー構造の雄雌型を型締めすることによりキャビティ内の空気を圧縮し、該圧縮空気の圧力により合成樹脂シートを加圧成形した後、同一の金型装置内で成形用樹脂を射出成形するので、型締め時に型面が合成樹脂シートに当接することがなく、合成樹脂シートの絞り量を大きくとることができると共に、型締め時に合成樹脂シートに傷つき等の不良や歪み不良が発生するのを防止できる。
【0041】
更に、同一の金型装置内で合成樹脂シートの予備成形と成形用樹脂の裏打ち成形とができるため、加工費が安くなると共にリードタイムも短くなり、製造コストの低減を図ることができる。
又、同一の金型装置内での一貫加工であり、予備成形後の合成樹脂シートの形状不良や剛性不足、反り変形等があっても安定した状態で該合成樹脂シートに成形用樹脂の裏打ち成形を行うことができ、安定した高品質の合成樹脂成形品を得ることができる。
【0042】
又、前記合成樹脂シートは、圧縮空気の圧力により高精度に加圧成形された後に、取り外されることなく同一金型内で成形用樹脂の熱量と射出圧力により押圧成形されるので、押圧される一方のキャビティ表面形状の再現性が良く、高精度の凹凸形状を得ることができる。
従って、絞り量を大きくすることができると共に合成樹脂シートに傷つき等の不良が発生することがなく、安定した品質の合成樹脂成形品を製造することができる良好な合成樹脂成形品の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る合成樹脂成形品の製造方法を説明するための金型装置の概略断面図である。
【図2】図1に示した金型装置のの雌型を下降させた状態を示す。
【図3】図2に示した金型装置のキャビティ内に低圧空気を供給した状態を示す。
【図4】図3に示した金型装置の雄雌型を型締めした状態を示す。
【図5】図4に示した金型装置のキャビティ内の圧縮空気を排出した後、該キャビティ内に溶融した成形用樹脂を射出した状態を示す。
【図6】図5に示した金型装置の雄雌型を型開きした状態を示す。
【図7】図6に示した雄型から合成樹脂シートが一体となった合成樹脂成形品を離型した状態を示す。
【図8】従来の合成樹脂成形品の製造方法を説明するための成形型の概略断面図である。
【図9】従来の他の合成樹脂成形品の製造方法を説明するための圧空成形用金型装置の概略断面図である。
【図10】従来の他の合成樹脂成形品の製造方法を説明するためのインサート成形用金型の概略断面図である。
【符号の説明】
10 雄型
10a 型面(一方のキャビティ表面)
20 雌型
21a 凸部(他方のキャビティ表面)
25 キャビティ
27 エア排出穴
30 合成樹脂シート
31 成形用樹脂
100 金型装置
Claims (3)
- 雄型に雌型が外嵌することによりキャビティ内を密封可能なインロー構造の金型装置の該キャビティ内に合成樹脂シートを装填した後、これら雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気の圧力によって、前記合成樹脂シートを前記雄雌型の一方のキャビティ表面形状に沿って加圧成形し、
その後、前記キャビティ内の圧縮空気を排出した後、他方のキャビティ表面に対応する前記キャビティ内に成形用樹脂を射出することによって、前記合成樹脂シートが表面に溶着された合成樹脂成形品を射出成形することを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。 - 前記雄雌型を型締めすることにより圧縮されるキャビティ内の空気が、1MPa未満の低圧に予圧されていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
- 前記合成樹脂シートには、予め印刷意匠が印刷されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂成形品の製造方法。
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