JP3731419B2 - 転写ブレード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導電現象を利用した電子写真プロセスにおいてトナー像の転写手段として用いられる転写ブレードであって、そのゴム製ブレード本体における少なくとも相手部材との接触部及びその近傍部にプライマー層を介してコーティング層を形成したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、連続式の電子写真プロセスは、例えば転写用ベルトを利用するタイプのものにおいて、図1のように行われる。
【0003】
即ち、まず帯電器1で回転ドラム状の感光体2の表面を均一に帯電させ、次に露光器3で感光体2表面の画像部以外の部分に光を当てて電荷を除去することにより、画像相当の静電潜像を形成する。現像部4では静電潜像と逆特性の帯電トナーが静電潜像のパターン通りに付着し、可視像(トナー像)を構成する。
【0004】
一方、感光体2の僅か下方では無端状の転写用ベルト5が循環移動し、このベルト5上を適宜なタイミングで搬送されて来た記録材(図示省略)が、ベルト5の裏側から当接された転写手段6を介して、トナーの帯電極性とは逆特性の電荷を与えられる。従って、感光体2の表面に構成されたトナー像は、下側の回転位置に達した時、搬送されて来た記録紙等の記録材の表面に転写される。その後、トナー像は定着器7で定着され、又、転写後の感光体2表面は除電器8とクリーナ9の作用により初期状態に戻されて、電子写真プロセスの1サイクルを完了する。
【0005】
かかる電子写真プロセスにおける上記転写手段6の代表的な一例として、図2に示すように、ブレード本体10aを支持体10bで支持した転写ブレード10が、ベルト5の裏側から図示のように当接する状態で用いられている。そして従来、上記ブレード本体10aをヒドリンゴム,ウレタンゴム,ニトリルゴム等のゴム材料を用いて構成し、あるいは該ゴム製ブレード本体10a上に樹脂材料を用いたコーティング層を形成していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のブレードにコーティングされている樹脂材料は、ゴム製ブレード本体との剥がれ防止のために柔軟性と密着力を確保することが必要で、低摩擦材の使用は困難であった。このためベルトの駆動に大きな力を必要とする問題点や、ひいては転写ブレードのベルトに接するエッジ部分の磨耗量が大きくなると言う問題点があった。更に一般的には体積抵抗率が1×108〜1×1010Ω・cm程度と低く、必要放電部の先端カット面(ゴム露出部)以外のコート層からの放電が発生し、画像の悪化を招いた。
【0007】
本願発明者は、コーティング層に関して多様な材料を用いて試行錯誤する過程で、フッ素系樹脂,シリコン系樹脂あるいはこれらを含む組成物を用いてコーティング層を形成することが、体積抵抗率の向上,摩擦係数の低減のために極めて有効であることを実験的に究明した。
【0008】
一方、これらのコーティング層においては、上記課題を解消できる反面、特に転写ブレードの形状を整える切断加工の際に、コーティング層とブレード本体との剥離や、コーティング層における「しわ」の発生(切断時にブレード本体の伸びにコーティング層が追従できずに、しわ状に塑性変形することが原因と考えられる)等を伴い易いと言う新規な技術的課題を生じた。
【0009】
図3に誇張して示すように、このようなコーティング層10cのブレード本体10aからの剥離は、ベルト5(あるいは転写用ドラム)に対する転写ブレード10の良好な接触を妨げると言う懸念があり、この懸念はコーティング層における「しわ」の発生においても同様である。
【0010】
本願発明者は、これらの課題についても、ブレード本体上に所定の材料からなるプライマー層を介してコーティング層を形成することにより、解消できることを見出した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、電子写真プロセスにおいて、感光体上のトナー像を記録材に転写させるために用いる転写ブレードであって、前記転写ブレードのブレード本体における少なくとも相手部材との接触部にはプライマー層を介してコーティング層を形成し、前記コーティング層をフッ素系樹脂,シリコン系樹脂あるいはこれらを含む組成物を用いて構成すると共に、前記プライマー層はブレード本体の構成材料とコーティング層の構成材料との中間の伸び特性を示す材料を以て構成した、転写ブレードである。
【0012】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係るコーティング層が、フッ素化オレフィン樹脂あるいはこれを含む組成物を用いたものである、転写ブレードである。
【0013】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第2発明に係るプライマー層がポリアミド樹脂を用いたものである、転写ブレードである。
【0014】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第2発明又は第3発明に係るコーティング層が、フッ素化オレフィン樹脂,フッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂の配合物あるいはこれを含む組成物を用いたものである、転写ブレードである。
【0015】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第4発明に係るコーティング層が、フッ素化オレフィン樹脂,フッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂の配合物あるいはこれを含む組成物を用い、かつ、イソシアネート系架橋剤によって架橋されたものである、転写ブレードである。
【0016】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第5発明に係るコーティング層の体積抵抗率が、1×1010Ω・cm以上である、転写ブレードである。
【0017】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
フッ素系樹脂,シリコン系樹脂あるいはこれらを含む組成物からなる材料は、転写ブレードのブレード本体を構成するゴム材料や、従来のコーティング層形成に用いられるナイロン系樹脂材料に比較して、著しく体積抵抗率が高く、かつ摩擦係数が小さい。
【0018】
第1発明においては、転写ブレードのブレード本体における少なくとも相手部材との接触部に、フッ素系樹脂,シリコン系樹脂あるいはこれらを含む組成物を用いてなるコーティング層を形成しているので、コーティング層の摩擦係数が小さいため相手部材である転写用ベルトや転写用ドラムの駆動に大きな力を必要としないし、ひいては転写ブレードのエッジ部分の磨耗量が大きくなると言う不具合もない。
【0019】
更に、コーティング層は、ブレード本体の構成材料とコーティング層の構成材料との中間の伸び特性を示す材料を以て構成したプライマー層を介して、ブレード本体上に形成される。このため、転写ブレードの切断加工時において、プライマー層がブレード本体の弾性変形をより有効に規制し、コーティング層がプライマー層の弾性変形をより有効に規制する関係になり、各層間の密着性も改善される。従って、コーティング層における切断時の「しわ」の発生や剥離を防止することができる。
【0020】
(第2発明の作用・効果)
第2発明のように、コーティング層がフッ素化オレフィン樹脂あるいはこれを含む組成物を用いたものである場合、上記第1発明の作用・効果の内、体積抵抗率の向上と、摩擦抵抗の低減とが、より有効に達成される。
【0021】
(第3発明の作用・効果)
第3発明のように、コーティング層を第2発明に係るフッ素化オレフィン樹脂等で構成したもとで、プライマー層にポリアミド樹脂を用いた場合、フッ素化オレフィン樹脂等とポリアミドとの具体的な伸び特性の関係から、コーティング層における切断時の「しわ」の発生や剥離がとりわけ有効に防止される。
【0022】
(第4発明の作用・効果)
第4発明においては、コーティング層の構成材料として、フッ素化オレフィン樹脂に対してフッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂を加えた配合物あるいはこれを含む組成物を用いるので、コーティング層のプライマー層に対する密着力をより向上させ、転写ブレードの切断加工時におけるコーティング層の剥離をより有効に防止することができる。
【0023】
(第5発明の作用・効果)
第5発明においては、コーティング層が、フッ素化オレフィン樹脂,フッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂の配合物あるいはこれを含む組成物を用い、かつ、イソシアネート系架橋剤によって架橋されたものであるため、コーティング層のプライマー層に対する密着力が更に向上し、コーティング層の剥離が更に起こり難い。
【0024】
(第6発明の作用・効果)
第6発明のように、コーティング層の体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上であることにより、前記従来技術における体積抵抗率の不足に基づく画像不良の不具合を特に良好に防止することができる。なお、上記第1発明〜第4発明に係るコーティング層の構成材料は、一般的に1×1010Ω・cm以上の体積抵抗率を示すが、これらの材料についてフッ素化オレフィンポリマー種の変更や各種フッ素化オレフィンポリマーの混合比の変更を行うことにより、更に体積抵抗率を向上させることも可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第6発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言うときは、第1発明〜第6発明を一括して指している。
【0026】
〔転写ブレード〕
本発明に係る転写ブレードは、転写用導電ブレード、即ち、電子写真プロセスにおいて感光体上に形成されたトナー像を記録材に転写するために用いるブレードである限りにおいて限定がない。
【0027】
転写ブレードの形状や構成及び使用形態については別段の限定がないが、代表的な構成例を図4に側面断面図として示す。即ち、転写ブレード11はブレード本体11aと支持体11bとからなり、ブレード本体11aの所定部分にはコーティング層11cが、プライマー層11dを介して形成されている。
【0028】
〔ブレード本体〕
ブレード本体の構成材料は、転写ブレードとしての必要な機能及び弾性もしくは柔軟性を示す限りにおいて限定されないが、代表的にはゴム製であり、特にヒドリンゴム,ウレタンゴム,ニトリルゴム等のゴム材料が好ましく用いられる。図4においてはブレード本体を側断面として示すが、通常の場合、ブレード本体は図示する断面形状を持ち、かつ奥行き方向に長細い板状体として形成される。ブレード本体の厚さ、図の縦方向及び奥行き方向の長さ等の寸法諸元は何ら限定されず、必要に応じて任意に設定すれば良い。図4における上端部の片側のエッジが相手部材(転写ベルトや転写ドラム)との接触部である。
【0029】
転写ブレードの先端部分には、後述のブレード本体,プライマー層及びコーティング層を含めて、ブレードの片側面(相手部材と接触するエッジを含む側の面)が斜めにカットされたテーパ面を形成しても良い。
【0030】
〔プライマー層〕
プライマー層は、ブレード本体上の所定部に設けられる後述のコーティング層とブレード本体との間に介在する状態で設けられる。プライマー層の構成材料は、ブレード本体の構成材料とコーティング層の構成材料との中間の伸び特性を示す材料であることが必要条件として求められ、基本的にはそれ以外の限定条件はないが、プライマー層の構成材料の伸びがブレード本体の構成材料の伸びとコーティング層の構成材料の伸びとのちょうど中間値に近いこと、プライマー層がコーティング層及びブレード本体と密着すること等の条件を満たす場合は、更に好ましい。
【0031】
特に、ブレード本体が各種のゴム材料からなり、コーティング層が前記第2、第4又は第5発明に係る材料からなる場合には、これらの材料との主として伸び特性の関係から、ポリアミド樹脂を以てプライマー層を構成することが、とりわけ好ましい。
【0032】
プライマー層の形成方法やその厚さは特段に限定されないが、例えばその形成方法として粉体塗装や、ディッピングによるコティングを採用することができ、プライマー層の厚さとして3〜20μm程度とすることができる。
【0033】
〔コーティング層〕
コーティング層は、転写ブレード(あるいはそのブレード本体)における少なくとも相手部材との接触部に、好ましくは該接触部及びその近傍部に、上記プライマー層を介して形成されるものである。通常の場合、転写ブレードは転写用ベルトや転写用ドラムに対してそれらの幅方向(各図の奥行き方向)を横断するように、かつ、図2や図3に示すように片側にある程度傾斜して当接される。
【0034】
コーティング層は、少なくともこのような相手部材との接触部に、あるいは該接触部及びその近傍部に形成されておれば良く、従ってブレード本体における前記片側のエッジ部が属する表面だけに、かつエッジ部に近い先端側部分だけに形成されていれば足りる。しかし、ブレード本体におけるそれ以外の部分にもコーティング層が形成されていても、別段構わない。例えば、プライマー層の形成完了後、ブレード本体をコーティング液にディッピングしてコーティング層を形成する場合には、必然的にブレード本体の両側面にコーティング層が形成される。コーティング層の厚さは必要に応じて任意に設定することができるが、例えば、5〜30μm程度に設定することができる。
【0035】
〔フッ素系樹脂,シリコン系樹脂〕
本発明におけるコーティング層の構成材料は、フッ素系樹脂,シリコン系樹脂あるいはこれらを含む組成物である。ここに「組成物」とは、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂を主成分とし、本発明の作用・効果を阻害しない限りで他の任意の成分を含む組成物を言う。ここで言う「他の任意の成分」として、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を好ましく例示できる。
【0036】
フッ素系樹脂、あるいはこれを含む組成物として特に好ましいものは、フッ素化オレフィン樹脂又はこれを含む組成物、フッ素化オレフィン樹脂に対してフッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂が配合されたもの又はこれらを含む組成物、フッ素化オレフィン樹脂とフッ素変性アクリレート系樹脂とアクリレート系樹脂との配合物又はこれらを含む組成物に対して更にイソシアネート系架橋剤が配合されて架橋がなされたもの、等である。
【0037】
これらの内、フッ素化オレフィン樹脂を用いる技術的意味は前記の通りであるが、このフッ素化オレフィン樹脂に対してフッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂を配合することで、プライマー層との密着性を更に向上させることができる。又、イソシアネート系架橋剤を加えることで、コーティング層のブレード本体への密着力を更に向上させることができ、特にアクリレート系樹脂のOH基を架橋席として効果的に架橋させることができる点で好ましい。
【0038】
上記シリコン系樹脂の種類は特段に限定されないが、例えばシリコン変性ポリエステル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂等を好ましく用いることができる。
【0039】
〔フッ素化オレフィン樹脂〕
フッ素化オレフィン樹脂は、テトラフルオロエチレン,フッ化ビニリデン,ヘキサフルオロプロピレン,フッ化ビニルエーテル等のフッ素化オレフィンモノマーを重合又は共重合させて得られるものであるが、例えば、ポリフッ化ビニリデン,フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体,フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体,フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を好ましく用いることができる。
【0040】
〔フッ素変性アクリレート系樹脂〕
フッ素変性アクリレート系樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂であって、アクリル酸もしくはメタクリル酸のパーフルオロアルキルエステル又は部分フッ素化アルキル基等を有機連結基で連結させた構造のエステル等からなるフッ素化アクリレートあるいはフッ素化メタアクリレートと、フッ素変性されていないアクリレートあるいはメタアクリレートとを重合させて得られる重合体を好ましく用いることができる。
【0041】
〔アクリレート系樹脂〕
アクリレート系樹脂としては、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸についての、メチル,エチル,ブチル,オクチル,ドデシル等のアルキルエステル類、ヒドロキシエチル,ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキルエステル類、グリシジルエステル等の、通常のアクリレート系モノマーの単独重合体又は共重合体であり、特にメチルメタクリレートの単独重合体又は共重合体が好ましく用いられる。
【0042】
上記アクリレート系樹脂は、架橋剤添加との関係で、その分子中に複数のOH基を備えることが好ましい。そのためには、例えば、モノマーとしてアクリル酸もしくはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルを用いたり、重合体鎖中の反応性基にOH基を有する化合物を反応させたり、OH基を生成可能(又はOH基をブロックさせた)モノマーを重合させた後にOH基を生成(又はブロックを解除)させたりすることができる。
【0043】
〔架橋剤〕
架橋剤は、イソシアネート系架橋剤、特に2官能以上のポリイソシアネート化合物が特に好ましく用いられる。例えば、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートやそのカーボンジイミド変性体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリック・ポリイソシアネート等を単独であるいは併用下で、好ましく用いることができる。
【0044】
【実施例】
(転写ブレードの作製)
前記図2に示した従来の構成の転写ブレード(プライマー層,コーティング層を有しない転写ブレード)であって、ブレード本体が伸び800%であるヒドリンゴムからなり、断面の厚さが2mmであるものを常法に従って作製し、これを比較例1とした。
【0045】
次に、上記比較例1と同一のブレード本体に対し、伸び110%であるナイロン系樹脂材料(具体的にはN−メトキシメチル化ナイロン)のコーティング液を用いてディッピングを行い、かつコーティング液の固化後に必要な切断を加えて、厚さが15μmのコーティング層を前記図4に示す状態で形成した転写ブレードを作製し、これを比較例2とした。
【0046】
一方、比較例3として、比較例2と同様にして、伸び0.8%である溶剤可溶性フッ素化オレフィン樹脂(具体的にはフッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体)の厚さ12μmのコーティング層を形成した転写ブレードを作製した。
【0047】
又、比較例4として、比較例2と同様にして、フッ素化オレフィン樹脂(具体的にはフッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体)と、フッ素変性アクリレート系樹脂(具体的にはアクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルとメチルメタクリレートとを主成分とする共重合体)と、アクリレート系樹脂(具体的にはヒドロキシエチルメタクリレートを共重合させたメチルメタクリレート系樹脂)との重量部比率80:10:10の配合物(伸び5%)からなる厚さが11μmのコーティング層を形成した転写ブレードを作製した。
【0048】
更に、比較例5として、比較例2と同様にして、比較例4と同じ配合物に対してポリイソシアネート架橋剤(具体的にはヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)を1.5phr配合して架橋させた材料(伸び2%)からなる厚さ11μmのコーティング層を形成した転写ブレードを作製した。
【0049】
次に、実施例1として、上記比較例1と同一のブレード本体に対し、まずディッピングによって、伸び110%のナイロン樹脂(具体的にはN−メトキシメチル化ナイロン)の厚さ13μmのプライマー層を形成し、その上に比較例4と同一の配合物からなる厚さが10μmのコーティング層を形成した転写ブレードを作製した。
【0050】
更に、実施例2として、上記比較例1と同一のブレード本体に対し、実施例1と同一のプライマー層を形成したもとで、その上に比較例5と同一の材料からなる厚さが12μmのコーティング層を形成した転写ブレードを作製した。
【0051】
(転写ブレードの物性及び評価)
比較例2〜5及び実施例1,実施例2の転写ブレードについて、そのコーティング層の体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。その結果を末尾の表1及び表2に示すが、比較例2に対して、比較例3〜5、及び実施例1,2の体積抵抗率が高いことが分かる。
【0052】
次に、前記各例の転写ブレードについて、それらの厚さ約2mmブレード本体部分から10×10×2mmの試料断片12を切り取り、適当な基材13上にPET(ポリエチレンテレフタレート)のシート14を積層させたものの上に自由状態で載置した。そして基材13を次第に傾け、試料断片12がシート14上から滑落を開始する角度(θ)を測定した。その結果を末尾の表1及び表2に示すが、比較例1は角度θが非常に大きく、比較例2は角度θがやや小さいが比較例3〜5や実施例1,2に比べるとかなり大きい。この角度θの大小は、試料断片12(即ち、ブレード本体)の摩擦係数の大きさに対応しているものと考えられる。
【0053】
又、比較例2〜5、及び実施例1,2の転写ブレードについて、上記転写ブレード作製過程における、コーティング層形成後の切断刃による切断加工時の、ブレード本体/プライマー層/コーティング層間の剥離の有無(コーティング層の密着力)を目視観察した。なお、切断加工としては、切断速度0.5mm/sec.と言う剥離の生じ難い加工法(A法)と、切断速度2mm/sec.と言う剥離の生じ易い加工法(B法)とを各例について行った。
【0054】
上記評価の結果を、A法,B法のいずれにおいても剥離を生じた例を×、B法の場合にのみ剥離を生じた例を△、A法,B法のいずれにおいても剥離を生じなかった例を○として表1及び表2に示したが、比較例2,5と実施例1,2は○であり、比較例3が×、比較例4が△であった。
【0055】
最後に、比較例2〜5、及び実施例1,2の転写ブレードについて、通常の切断加工におけるコーティング層のしわの発生を目視観察した。その結果を、しわが発生したものを×、発生しなかったものを○として表1及び表2に示したが、比較例2,実施例1,2では○、その他の例では×であった。
【0056】
以上の結果から総合的に判定されるように、コーティング層の体積抵抗率の向上及び摩擦抵抗の低減については、比較例3〜5、実施例1,2において効果が見られるが、これらの例では切断加工時におけるコーティング層のしわや剥離の発生と言う新規な技術的課題を生じており、かつ、実施例1,2においてはこの課題が解消されている。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真プロセスの一例を概念的に示す図である。
【図2】従来の転写ブレードと、その使用状態を示す図である。
【図3】コーティング層の剥離状態を示す図である。
【図4】コーティング層を有する転写ブレードの構成を示す図である。
【図5】転写ブレードの摩擦抵抗の試験方法を示す図である。
【符号の説明】
5 転写用ベルト
10,11 転写ブレード
11a ブレード本体
11c コーティング層
11d プライマー層
Claims (6)
- 電子写真プロセスにおいて、感光体上のトナー像を記録材に転写させるために用いる転写ブレードであって、
前記転写ブレードのブレード本体における少なくとも相手部材との接触部には、プライマー層を介してコーティング層を形成し、前記コーティング層をフッ素系樹脂,シリコン系樹脂あるいはこれらを含む組成物を用いて構成すると共に、前記プライマー層はブレード本体の構成材料とコーティング層の構成材料との中間の伸び特性を示す材料を以て構成したことを特徴とする転写ブレード。 - 前記コーティング層が、フッ素化オレフィン樹脂あるいはこれを含む組成物を用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の転写ブレード。
- 前記プライマー層がポリアミド樹脂を用いたものであることを特徴とする請求項2に記載の転写ブレード。
- 前記コーティング層が、フッ素化オレフィン樹脂,フッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂の配合物あるいはこれを含む組成物を用いたものであることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の転写ブレード。
- 前記コーティング層が、フッ素化オレフィン樹脂,フッ素変性アクリレート系樹脂及びアクリレート系樹脂の配合物あるいはこれを含む組成物を用い、かつ、イソシアネート系架橋剤によって架橋されたものであることを特徴とする請求項4に記載の転写ブレード。
- 前記コーティング層の体積抵抗率が、1×1010Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の転写ブレード。
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