JP3730775B2 - テルライトガラス、該テルライトガラスを用いた光増幅器および光源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバまたは光導波路用の材料ガラスであるテルライトガラス、該テルライトガラスを用い、特に1.5μmから1.7μmの波長域でも動作可能な広帯域の光増幅媒体、該光増幅媒体を用いた広帯域かつ低雑音特性を有する光増幅器、レーザ装置、および光源に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムの伝送容量の拡大および機能向上のために、1本の光ファイバの中に複数の波長の光信号を合波して伝送したり、逆に1本の光ファイバを伝搬してきた複数の波長の光信号を各波長ごとに分波したりする波長多重伝送技術(WDM:Wavelength Division Multiplexing)の研究開発が現在行われている。この伝送方式では、1本の光ファイバで複数の異なる波長の光信号を伝送し、伝送距離に応じて従来と同じように中継増幅する必要がある。そこで、光信号波長を増し伝送容量を上げるには、広い増幅波長帯を持つ光増幅器が必要になる。
【0003】
また、光通信システムを保守、監視するためのシステムの波長には1.61μmから1.66μmの間の波長が考えられており、保守、監視システムのための光源や光増幅器の開発が望まれている。
【0004】
近年、光通信分野への応用を目的として、コアに希土類元素を添加した光ファイバを光増幅媒体とした光ファイバ増幅器、例えばEr(エルビウム)添加光ファイバ増幅器(EDFA)の研究開発が進められ、光通信システムへの応用が盛んに進められている。このEDFAは、シリカ系光ファイバの損失が最低となる1.5μm帯で動作し、30dB以上の高利得、低雑音、広い利得帯域、利得が偏波無依存、高い飽和出力などの優れた特徴を有することが知られている。
【0005】
上記EDFAをWDM伝送に応用するときに要求される性能の一つは、上記したように、増幅帯域が広いことである。これまで、増幅帯域の広いEDFAとして、フッ化物ガラスをEr添加光ファイバ増幅器のホストとして用いたフッ化物EDFAが開発されている。
【0006】
ところで、テルライトEDFAを用いると、従来の石英系EDFAやフッ化物系EDFA増幅帯域よりも2倍以上広い1.53μmから1.56μmまでの波長増幅帯域よりも2倍以上広い1.53μmから1.61μmまでの波長帯域での一括増幅が可能となる。したがって、将来の超大容量WDMシステム用EDFAとして注目されている。
【0007】
ところで、WDMシステム用EDFAとして要求される性能は、(1)増幅の広帯域性および(2)増幅の平坦性である。まず、増幅の広帯域性について述べる。
【0008】
このEr添加テルライト光ファイバを増幅媒体としたとき、増幅帯域が拡がるのは、テルライトガラス中では1.5μm帯の光増幅をひき起こすErの 13/3準位と 15/2準位の誘導放出断面が他のガラス中よりも大きくなり、特に、1.6μm帯の長波長域では他のガラス中より約2倍程の値を取るからである。従って、テルライトEDFAでは、他のEDFAに比べて長波長域で大きな利得が得やすくなっている。
【0009】
ところで、短波長域での増幅度は、基底準位の 15/2準位のErの占有率と 13/3準位の占有率との差で決まる。すなわち、 15/2準位が全く占有されていなければ、利得は1.50μmのような短波長まで得ることができる。
【0010】
しかし、長波長域(例えば、1.60μm付近)で高い利得を得ようとして、ファイバ長を長くすると、 15/2準位のファイバ全体での占有率が上がり、短波長域での利得は得られなくなり、また、1.54μm付近の雑音指数(NF:Noise Figuve)も上ってしまうことになる。従って、テルライト光ファイバであっても、1本の光ファイバでカバーできる増幅帯域は限られたものになってしまう。実際、1本のテルライト光ファイバを用いて得られる低NFで高利得な動作波長域は、1.55μmから1.61μmの60nm程度である。
【0011】
つぎに、WDMシステム用EDFAとして要求される第2の性質である増幅の平坦性について述べる。
【0012】
ところで、WDMシステム用EDFAとして要求される性能は、(1)増幅の広帯域性および(2)増幅の平坦性である。テルライトEDFAは増幅の広帯域性には優れているけれども、増幅の平坦性は劣る。例えば、利得ピーク波長1.56μmと1.60μmとでの利得偏差は、15dB以上である(A. Mori et al. 前掲)。したがって、利得の平坦化を図るには、ファイバブラックグレーティング等の利得等化器をEDFAに適用する必要がある。しかし、利得偏差が大き過ぎる場合には平坦化するための利得等化器の設計が困難となったり、また複数の利得等化器を用いなければ利得等化ができなかったりするのが現状である。実際、テルライトEDFAの場合、利得偏差が15dB以上あるために、WDMシステムに適用される利得偏差が1dB以下のものが利得等化器を用いても実現されていない。
【0013】
EDFAの本来の増幅スペクトルの形状を変化させるには、誘導放出断面積スペクトルの形状を変える必要がある。
【0014】
テルライトEDFAの場合、その利得スペクトルを平坦化し、利得等化しやすくするには、1.6μm帯付近の誘導放出断面積が大きくなるようなファイバホストを用いると良い。これは、その場合、1.53μmから1.56μmまでの波長帯と1.6μm帯との利得偏差を低下させることができるためである。
【0015】
従来のテルライトEDFAのファイバホストとしてはTeO −ZnO−Na O−Bi 系ガラス(特願平9−30430号)がTeO −ZnO−Li O−Bi (特願平9−226890号)などのガラスが用いられている。これらのガラス系では利得偏差は15dB以上になる。
【0016】
ここで現在までの開発状況について簡単に説明する。
【0017】
米国特許第3,836,868号ないし第3,836,871号および第3,883,357号においてCooley等は希土類元素を添加したテルライトガラスでレーザ発振が可能なことを示している。しかし、Cooley等はファイバ化までは行っておらず、ファイバ化に必要な屈折率の調整およびガラスの熱安定性には言及していない。
【0018】
一方、米国特許第5,251,062号においてSnitzer 等はテルライトガラスを用いればEDFAの増幅帯域が拡大し、さらに光増幅にはファイバ化が不可欠であるとして、光学活性元素である希土類元素を含み、かつファイバ化が可能なテルライトガラスの組成範囲を具体的に開示した。そのガラスはTeO ,R OおよびQO(RはLi以外の一価金属、Qは二価金属)よりなる3元系である。すなわち熱安定性の低下などのため、Liは一価金属として除外されている。
【0019】
米国特許第5,251,062号でSnitzer 等は前記テルライトガラス中および石英系ガラス中でのエルビウムイオンの蛍光スペクトルを比較し、テルライトガラス中の方がスペクトル幅が広いことから前記テルライトガラスを用いればEDFAの広帯域増幅が可能であり、さらに、プラセオジム、ネオジム等の添加が可能であることを示し、これら光学活性物質の添加により、前記3元系テルライトガラスを用いた光ファイバで光増幅が可能であるとしている。しかし、米国特許第5,251,062号には光増幅を実際に行ったことを示す利得、励起波長および信号波長などの具体的な記載は一切ない。すなわち、米国特許第5,251,062号は、単にファイバ化可能な3元系テルライトガラスの組成範囲を示し、光学活性な希土類元素を添加することが可能であることを示したにすぎない。
【0020】
さらにSnitzer 等はJ. S. Wang et. al, Optical Materials, 3(1994), pp.187-203 (以下、この文献をオプティカル・マテリアルズと呼ぶ。)において米国特許第5,251,062号に記載された以外の組成を含む種々のテルライトガラスの熱的および光学的特性を示している。しかし、ここでも光増幅およびレーザ発振についての具体的な記載はない。
【0021】
さらに、Snitzer 等は前記文献の直後に発行されたJ. S. Wang et. al, Optics Letters, 19(1994), pp.1448-1449 (以下、この文献をオプティックス・レターズと呼ぶ。)において初めてネオジム添加テルライトガラスの単一モードファイバを用いたレーザ発振に関して初めて報告している。
【0022】
前記単一モードファイバはコアが76.9%TeO −6.0%Na O−15.5%ZnO−1.5%Bi −0.1%Nd 、クラッドが75%TeO −5.0%Na O−20.0%ZnOで示される組成からなり、818nm励起で1061nmのレーザ発振を行っている。この文献中にファイバの損失は記載されていないが、前記オプティカル・マテリアルズ中にコア組成Nd −77%TeO −6.0%Na O−15.5%ZnO−1.5%Bi 、クラッド組成75%TeO −5.0%Na O−20.0%ZnOのファイバ(オプティックス・レターズ記載のものと同一と推定される)の損失が1.55μmにおいて1500dB/km、励起光波長(0.98μm)において3000dB/kmであることが記載されている(図1を参照。この図は後述するテルライトガラス中のEr3+13/215/2発光およびフッ化物ガラス中のEr3+13/215/2発光を比較したものである)。
【0023】
このファイバのコア組成はBi が加わっている点で前記米国特許第5,251,062号の3元系と異なるが、前記3元系にBi が加わった組成のガラスの熱安定性に関する記載は、このオプティックス・レターズにも、また前記オプティカル・マテリアルズ、米国特許第5,251,062号にも一切ない。
【0024】
しかし、前述のフッ化物EDFAは増幅帯域が30nm程度であり、WDMの帯域拡大のためにファイバ増幅器の帯域拡大を行うためには、これだけではまだ不十分である。
【0025】
一方、これまで述べてきた通り、テルライトガラスは蛍光スペクトルの幅が広いことからEDFAのホストとすれば増幅帯域を拡げられる可能性があることが示された。また、TeO ,R OおよびQO(RはLi以外の一価金属、Qは二価金属)よりなる3元系でファイバ化が可能であることも示され、前記組成を基本とするネオジム添加単一モードファイバで1061nmのレーザ発振が実現された。
【0026】
しかし、テルライトガラスを用いたEDFAはまだ実現されていない。以下にテルライトEDFA実現のための課題を示す。
【0027】
そのためにはまず、目的とするEDFAとこれまでに実現されたネオジム添加ファイバレーザとの相違、すなわちガラス中のエルビウムの1.5μm帯の発光とネオジムの1.06μm帯の発光の相違を示す必要がある。
【0028】
前者の光学遷移は模式的に図2で示される。すなわち目的としている準位2から準位1への誘導放出を得るために、準位1から準位3(準位2よりエネルギーの高い準位)に励起して、準位3から準位2への緩和により準位1・2間の反転分布を形成している。これを3準位系という。一方、図3に示すように、誘導放出の終準位が基底準位ではなく、基底準位の上位準位である準位1のとき、これを4準位系という。3準位系は4準位系と比較して誘導放出の終準位が基底状態であるため反転分布を形成しにくい。したがって3準位系のEDFAでは励起光強度を強めるとともに、ファイバ自体も低損失化および高Δn化が必要である。高Δn化は効率的な励起のためである。
【0029】
ここで、ファイバの損失が大きいとたとえ光増幅は行えても増幅帯域が拡げられないことを簡単に示す。
【0030】
図4に石英系EDFAとテルライトEDFAの利得の波長依存性の模式図を示す。テルライトEDFAはこの図のように石英系EDFAより広帯域な光増幅が期待できる。しかし、石英系ガラス以外のガラスでは石英系ガラスと比較して通信波長帯での損失は大きい。そのため、光ファイバ増幅器ではこの損失が利得を実質的に低下させる。
【0031】
図5に模式的に示す通り、損失が小さい場合はテルライトガラスの増幅帯域は前記のものに近いが、損失が大きくなると増幅帯域が小さくなる。
【0032】
ところで、最近のWDM伝送では、伝送容量の増大を図るために1チャネル当りの伝送速度の高速化が進められている。そのためには、伝送路の一部を構成しているEr添加光ファイバ自体の波長分散特性の最適化を図る必要があるが、これまで、このようなEr添加光ファイバ自体の波長分散に関して注意が払われていなかった。
【0033】
テルライトガラスの場合、材料分散値が零となる波長は、2μmよりも長波長帯に位置し、EDFAに使用する高NA(Numerical Aperture)ファイバの波長分散値は、1.55μm帯において、通常、−100ps/km/nm以下の値を取ることになる。このため、ファイバを10m程度の短尺で用いた場合でも、このファイバの波長分散値は−1ps/nm以下の大きな値となる。
【0034】
従って、テルライトEDFAを長距離、高速WDM伝送に使用するためには、その波長分散値をできるだけ零に近づける必要がある。ところが、上述したように、テルライトガラスの材料分散値は2μm以上の波長域で零となるため、テルライトガラスファイバでは、石英ファイバで行われているようなファイバの構造パラメータを最適化することによって1.55μm帯での波長分散値を零に近づけるという手法が取れないのが現実である。
【0035】
また、テルライト光ファイバは、1.3μm帯増幅用のPr(プラセオジム)のホストとしても使用できる。ところが、前述のように、テルライト光ファイバは、1.3μm帯において、絶対値で大きな波長分散値を持つ。そのため、テルライト光ファイバを使用して高速光信号を増幅する場合には、パルス波長のひずみが誘起されるので、波長分散値の補正をしないと、光通信システム中での使用が困難になる。
【0036】
つぎに、非石英系光ファイバと石英系光ファイバとの接続について説明する。
【0037】
上記のような非石英系光ファイバを実際に増幅用あるいは非線形光学用として使用する場合、石英系光ファイバと低損失でかつ低反射で接続する必要がある。しかし、非石英系光ファイバと石英系光ファイバとはそれぞれのコア屈折率が異なり、両者を図6および図7に示すように接続した場合、残留反射が存在し、実用的な使用に適用できる接続が実現できない。これらの図において、参照符号1は非石英系光ファイバ、2は石英系光ファイバ、5は光学接着剤、6は接着剤を示し、図6ではファイバ接続面に光学接着剤が介在しない。このため、図8に示すように、石英系光ファイバ2a,2bと非石英系光ファイバ1間に存在する残留反射によって、出力信号には両接続部の反射によって生じるゴースト(雑音として作用する)が発生し、信号の品質を著しく劣化する。このため、接続部の残留反射率としては、−60dB以上が要求(光ファイバ増幅器の場合)される(文献「武井他,“光増幅器モジュール”,沖電気開発,vol.64, No.1, pp.63-66, 1997」を参照)。例えば、Zr系フッ化物ファイバ、In系フッ化物ファイバ、カルコゲナイド系ガラスファイバ(ガラス組成As−S)、およびテルライトガラスファイバのコア屈折率はそれぞれ、1.48〜1.55(ガラス組成により変化)、1.45〜1.65(ガラス組成により変化)、2.4、および2.1であり、石英ファイバ(コア屈折率〜1.50)と接続した場合の反射減衰量R(単位はdB、残留反射率との関係は、残留反射率が負の値を示すのに対して、反射減衰量は残留反射率の絶対値を示し正の値を有する。)は下式(2)で求められる。
【0038】
【数1】
Figure 0003730775
【0039】
ただし、nNS,n はそれぞれ、石英系ファイバおよび非石英系ファイバのコア屈折率である。Zr系フッ化物ファイバ、In系フッ化物ファイバ、カルコゲナイド系ガラスファイバ(ガラス組成As−S)、およびテルライトガラスファイバと石英系ファイバ間の反射減衰量は、それぞれ、∞〜35dB、∞〜26dB、13dB、および16dBである。なお、Zr系フッ化物ファイバ、In系フッ化物ファイバに関しては、ガラスの組成を調整して石英系ファイバのコア屈折率と近づけることにより、反射減衰量を増加(残留反射率は低減)できる。しかし、これは、実用的なファイバを作製する上で大きな制約(例えば、ファイバ作製時のガラス組成の精密制御、低損失ファイバ作製に適したガラス組成との整合性を考慮)を受けることになる。また、石英系光ファイバと非石英系光ファイバ間の接続は、
1)両ファイバの軟化温度の差(石英系光ファイバの軟化温度1400度、非石英系光ファイバの軟化温度500度)により従来の融着接続が適用できないこと、
2)非石英系光ファイバに適した光コネクタ作製技術がないため、光コネクタ接続技術が適用できないこと等の理由により、両者を接続するのにも大きな課題があった。このため、Zr系フッ化物光ファイバ、In系フッ化物光ファイバに関してはガラス組成に依存なく、また、カルコゲナイド系ガラス光ファイバ、テルライトガラス光ファイバと石英系光ファイバとを確実にかつ低損失、低反射で接続する汎用的な接続技術が求められていた。
【0040】
この課題を解決するために開発された従来の接続技術の一つ(特開平6−27343号公報)を図9および図10に示す。この技術では、まず非石英系光ファイバ1および石英系光ファイバ2をそれぞれ光ファイバ保持筐体7aおよび7bで保持する。ここで、各々の光ファイバ1および2は、それぞれV溝基板8a,8bにより位置決めされ、接着剤10a,10bと光ファイバ固定板9a,9bにより光ファイバ保持筐体7aおよび7bに固定されている。また、光ファイバを保持した一方の光ファイバ保持筐体(図9では光ファイバ2を保持した光ファイバ保持筐体7b)の接続端面には、それぞれのファイバが接続された時に生じる反射を抑える目的であらかじめ誘電体膜18が設けられている。石英系光ファイバ2と非石英系光ファイバ1との接続は、図10に示すように、光ファイバ1と2の光軸が一致するように光ファイバ保持筐体7a,7b同士を調整後、紫外線硬化樹脂系の光学接着剤5を用いて接続する。この時、光ファイバ保持筐体7a,7bの接続端面は、それぞれ、非石英系ファイバおよび石英系ファイバ2の光軸に対して垂直であるため、接続点で反射が生じるとそのまま逆方向へ戻り、反射減衰量を劣化させる。そこで、この従来技術は、誘電体膜18によって接続点における反射を低下させようとするものである。しかし、この従来の接続では光学接着剤5の屈折率と誘電体膜18の屈折率および膜厚とを精密に調整する必要がある。すなわち、非石英系光ファイバ1のコア屈折率をn 、石英系ファイバ2のコア屈折率をn とすると、光学接着剤5の屈折率はn に調整し、また、誘電体膜18の屈折率n および膜厚t は下式(3)および(4)の条件を満足する必要がある。
【0041】
【数2】
Figure 0003730775
【0042】
【数3】
Figure 0003730775
【0043】
ただし、λは信号波長(使用する波長)である。
【0044】
以上述べたように、この従来接続技術では誘電体膜を用いて低反射・低損失の接続部を構成するため、光学接着剤5の屈折率と誘電体膜18の屈折率および膜厚とを精密に調整する必要があり、特性の優れる接続部を再現良く、歩留り良く実現する上で大きな問題があった。
【0045】
また、第2の従来技術としては、図11に示すように、光ファイバ19aおよび19bを保持した光ファイバ保持筐体7a,7bのそれぞれの接続端面を、光ファイバの光軸と垂直な方向に対してθだけ傾斜するようにし、光ファイバ19aおよび19bの光軸が一致するように光ファイバ保持筐体7a,7b同士を位置調整した後に、光学接着剤5を用いて接続し、低反射で低損失な接続部を実現する斜め接続法があるが、この接続は光ファイバ19aのコア屈折率と光ファイバ19bのコア屈折率とがほぼ一致する場合に適用できる方法であり、非石英系光ファイバと石英系光ファイバのように、コア屈折率が互いに異なる場合には適用できなかった。
【0046】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、Erの1.5μm帯の誘導放出断面積がより平坦になるファイバホストとして光増幅用テルライトガラスを提供するとともに、該ガラスを光増幅媒体とした利得平坦化したテルライトEDFAを提供することにある。また、従来のテルライトEDFAの動作波長帯域を拡大して、より広帯域な領域の低雑音動作するテルライトEDFAを提供することである。さらに、光学活性な希土類元素を添加してたとえば広帯域EDFAのような従来のガラスでは実現不可能だった機能を発現できるテルライトファイバを提供することを課題とする。また、該テルライトガラスを用い、特に1.5μmから1.7μmの波長域でも動作可能な広帯域の光増幅媒体、該光増幅媒体を用いた広帯域かつ低雑音特性を有する光増幅器、レーザ装置、および光源を提供することも課題とする。
【0047】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明にもとづくテルライトガラス、該テルライトガラスを用いた光増幅器および光源は、以下のような構成からなるものとした。
【0048】
(1) テルライトガラスは、光ファイバまたは光導波路用の材料ガラスであって、
<Bi ≦20(モル%)、
Na O≦35(モル%)、
ZnO≦35(モル%)、および
55≦TeO ≦90(モル%)
からなる組成を持つことを特徴とする。
【0049】
(2) (1)に記載のテルライトガラスにおいて、好ましくは、前記テルライトガラスにおけるBi の添加量は、
<Bi ≦15(モル%)
の範囲にある。
【0050】
(3) テルライトガラスは、光ファイバまたは光導波路用の材料であって、
<Bi ≦20(モル%)、
0<Li O≦25(モル%)、
0<ZnO≦25(モル%)、および
55≦TeO ≦90(モル%)
からなる組成を持つことを特徴とする。
【0051】
(4) テルライトガラスは、光ファイバまたは光導波路用の材料ガラスであって、
<Bi ≦20(モル%)、
O≦35(モル%)、
0<ZnO≦35(モル%)、および
55≦TeO ≦90(モル%)
からなる組成を持ち、さらに、前記MはNa、Li、K、Rb、Csからなる群から選択される少なくとも2種以上の一価金属であることを特徴とする。
【0052】
(5) (4)に記載のテルライトガラスは、好ましくは、前記テルライトガラスにおけるBi の添加量が、
4<Bi ≦15(モル%)
である。
【0053】
(6) テルライトガラスは、光ファイバまたは光導波路用の材料ガラスであって、
<Bi ≦20(モル%)、
0<Li O≦25(モル%)、
0<Na O≦15(モル%)、
0<ZnO≦25(モル%)、および
60≦TeO ≦90(モル%)
からなる組成を持つことを特徴とする。
【0054】
) 光増幅媒体は、コアガラスとクラッドガラスとを有する光ファイバまたは光導波路からなる光増幅媒体であって、コアガラスおよび/またはクラッドガラスが(1)ないし()のいずれか一つに記載のテルライトガラスからなることを特徴とする。
【0055】
) 光増幅媒体は、コアガラスとクラッドガラスとを有する光ファイバまたは光導波路からなる光増幅媒体であって、
前記コアガラスは、
4<Bi ≦20(モル%)、
0<Na O<15(モル%)、
ZnO≦35(モル%)、および
60≦TeO ≦90(モル%)
からなる組成を持つテルライトガラスであり、また
前記クラッドガラスは、
第1の組成:5<Na O<35(モル%)、0≦ZnO<10(モル%)、および55<TeO <85(モル%)と、
第2の組成:5<Na O<35(モル%)、10<ZnO≦20(モル%)、および55<TeO <85(モル%)と、
第3の組成:0≦Na O<25(モル%)、20<ZnO≦30(モル%)、および55<TeO <75(モル%)からなる群から選択される一つの組成を持つテルライトガラスからなることを特徴とする。
(10) (9)に記載のコアガラスのBi の添加量は、 好ましくは
4<Bi ≦15(モル%)である。
【0056】
11) (8)ないし(10)のいずれか一項に記載の光増幅媒体において、好ましくは、前記コアガラスのテルライトガラスまたは前記クラッドガラスのテルライトガラスの少なくとも一つは、エルビウムまたはエルビウムおよびイッテルビウムが添加されている。
【0057】
12) ()ないし(11)のいずれか一つに記載の光増幅媒体において、好ましくは、前記コアガラスのテルライトガラスまたは前記クラッドガラスのテルライトガラスの少なくとも一つは、ホウ素、リン、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0058】
13) ()ないし(12)のいずれか一つに記載の光増幅媒体において、好ましくは、前記コアガラスのテルライトガラスまたは前記クラッドガラスのテルライトガラスの少なくとも一つは、Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Gd,Eu,Dy,Ho,Tm、およびYbからなる群から選択される元素が添加されている。
14) ()ないし(13)のいずれか一つに記載の光増幅媒体において、好ましくは、カットオフ波長が0.4μmから2.5μmである。
【0059】
15) レーザ装置は、光共振器と、励起光源とを持つレーザ装置であって、前記光共振器に備わる光増幅媒体の少なくとも一つは、()ないし(14)のいずれか一つに記載の光増幅媒体からなることを特徴とする。
【0060】
16) レーザ装置は、少なくともコアにエルビルムを添加した光ファイバよりなる光増幅媒体を複数直列に配置したレーザ装置であって、前記光増幅媒体の少なくとも一つは、()ないし(14)のいずれか一つに記載の光増幅媒体からなることを特徴とする。
【0061】
17) レーザ装置は、光増幅媒体と励起光源とを有するレーザ装置であって、前記光増幅媒体は、()ないし(14)のいずれか一つに記載の光増幅媒体からなることを特徴とする。
【0062】
18) 光増幅器は、光増幅媒体と、該光増幅媒体を励起する励起光および信号光を前記増幅媒体に入力する入力手段とを備えた光増幅器であって、前記光増幅媒体は、()ないし(14)のいずれか一つに記載の光増幅媒体からなることを特徴とする。
【0063】
19) 光増幅器は、少なくともコアにエルビウムを添加した光ファイバよりなる光増幅媒体を複数直列に配置した光増幅器であって、前記光増幅媒体の少なくとも一つは、()ないし(14)のいずれか一つに記載の光増幅媒体からなることを特徴とする。
【0064】
20) 光源は、Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路を光増幅媒体とし、該光増幅媒体の両端に光カップラを配置し、該光カップラの少なくとも一つの端子に反射体を具備したことを特徴とし、前記Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路の材料ガラスが(1)ないし(7)のいずれか一つに記載されたテルライトガラスからなることを特徴とする
【0065】
21) 光増幅器は、Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路を光増幅媒体とし、該光ファイバまたは該光導波路の少なくとも一方の端に光カップラを配置し、該光カップラの少なくとも一つの端子に反射体を具備したことを特徴とし、前記Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路の材料ガラスが(1)ないし(7)のいずれか一つに記載されたテルライトガラスからなることを特徴とする。
【0066】
22) (20)に記載の光源において、好ましくは、反射体が誘電体多層膜フィルタまたはファイバブラックグレーティングからなる。
【0067】
23) (21)に記載の光増幅器において、好ましくは、反射体が誘電体多層膜フィルタまたはファイバブラックグレーティングからなる。
【0068】
【発明の実施の形態】
まずはじめに、本発明にもとづくBi −Na O−ZnO−TeO 組成のテルライトガラスついて説明する。このテルライトガラスは、
第一の組成(A):<Bi ≦20(モル%)、
Na O≦35(モル%)、
ZnO≦35(モル%)、および
55≦TeO ≦90(モル%)、または
第二の組成(B):<Bi ≦15(モル%)、
Na O≦35(モル%)、
ZnO≦35(モル%)、および
55≦TeO ≦90(モル%)、
第三の組成(C):<Bi ≦20(モル%)、
LiO≦25(モル%)、
ZnO≦25(モル%)、および
55≦TeO ≦90(モル%)
からなる組成を持つ。
【0069】
ガラスの安定化をもたらす上記A(B);Bi =5mol%の場合、C;Bi =5mol%の場合の組成領域を図12および図13に示す。
【0070】
ファイバ化に対するガラスの熱安定性はDSC(differential scanning calor imetry :示差走査熱量測定)の測定により評価でき、そのTx−Tgの値(Tx:結晶化温度、Tg:ガラス転移温度)が、大きい値をもつガラスがより安定なガラスである。すなわち、単一モードファイバ作製時には、母材延伸と線引き工程の2回にわたってTg以上の温度にガラス母材を熱するため、TxがTgに近い温度であれば結晶核が次々に成長し、ファイバの散乱損失が増大する。逆にTx−Tgの値が大きければ低損失なファイバが作製できる。上記組成領域内のガラスは、Tx−Tgの値が120℃以上の値を持ち、低損失なファイバ作製に使用できる。しかし、上記組成からはずれた組成のガラスをコアおよびクラッド両方に使用すると、低損失なファイバは作製できない。これらの組成のうち、特にBi の添加はガラスの安定性に対して大きな効果をもたらす。図14にNa Oの入った系のBi =0、1.5、5mol%の場合のDSCの測定結果を示す。測定はガラスの一部を粉砕し、一片30mgのバルクガラスを、銀製金メッキのシール容器に充填し、アルゴンガス雰囲気中、昇温速度10℃/分で行った。この図から明らかなように、Tx−Tgの値はBi =0のガラスでは119.2℃、Bi =1.5mol%では121.6℃であるのに対し、Bi =5mol%の場合では167.5℃となり、特にBの組成では40℃以上熱安定性が向上していることがわかる。図15にLi Oのはいった系のBi =0または5mol%の場合のDSCの同様な測定結果を示す。この図から明らかなように、Tx−Tgの値はBi =0のガラスでは54.6℃であるのに対し、Bi =5mol%の場合では結晶化の発熱ピークの見られないすなわちTx−Tgが無限大となり熱安定性は飛躍的に向上する。このような効果は、3価の金属酸化物(Al ,La ,Er ,Nd など)を添加した場合にも同様に見られた。
【0071】
また、Bi の添加は屈折率制御の面からも重要な効果をもたらす。図16にTeO 系ガラスの屈折率(n )のBi 添加量依存性を示す。図のように、Bi 添加量を0から20モル%まで変化させると添加量に比例してn は2.04から2.22まで増加する。
【0072】
この特性を利用して、Bi 添加量を変化させることによって、比屈折率差の0.2%程度の小さなものから6%程度の大きなものまで容易にファイバの設計を行うことができる。
【0073】
つぎに、本発明の光増幅媒体の一例について説明する。
【0074】
この光増幅媒体は、コアガラスが、
:0<Bi ≦20(モル%)、
0<Na O<15(モル%)、
5≦ZnO≦35(モル%)、および
60≦TeO ≦90(モル%)
の組成領域のテルライトガラスであり、
クラッドガラスが、
:5<Na O<35(モル%)、
0≦ZnO<10(モル%)、
55<TeO <85(モル%);または
:5<Na O<35(モル%)、
10<ZnO≦20(モル%)、
55<TeO <85(モル%);または
:0≦Na O<25(モル%)、
20<ZnO≦30(モル%)、および
55<TeO <75(モル%)
の組成領域のテルライトガラスからなる光ファイバまたは導波路を希土類のホストとする。ガラス安定化をもたらす上記B 〜D の組成領域を図17に示す。
【0075】
上記組成領域内のガラスは、そのTx−Tgの値(Tx:結晶化温度、Tg:ガラス転移温度)(ガラスの熱安定性を表す尺度であり、大きい値をもつガラスがより熱的に安定なガラスである。)が100℃以上の値をもち、ファイバ製造工程、たとえば、線引き工程などでも結晶化せず、低損失なファイバ製造に使用できる。しかし上記組成領域からはずれた組成のガラスでは、低損失なファイバ製造はできない。
【0076】
本発明の光増幅媒体の実施形態は、前記ファイバまたは光導波路の実施形態において、前記コアガラスのテルライトガラスまたは前記クラッドガラスのテルライトガラスの少なくとも一つに、エルビウムまたはエルビウムおよびイッテルビウムが添加されていることを特徴とする。
【0077】
本発明にもとづくレーザ装置は、光増幅媒体と励起光源とを有するレーザ装置であって、Er(エルビウム)を添加したテルライトガラスを用いた光ファイバを光増幅媒体として用い、Erの 13/2準位から 15/2準位への誘導放出遷移を利用することを最も主要な特徴とする。
【0078】
図18はEr3+のエネルギー準位図である。この図では、上準位 13/2から基底準位 15/2への遷移により発光することが示されている。
【0079】
また、図1に示すように、Er3+13/2 15/2発光は、フッ化物ガラス中では他のガラス、例えば、石英ガラス中などよりも幅広い 13/2 15/2発光帯を有することが知られている。しかし、図1からわかるように、1.6μmより長波長側では発光強度は小さくなり、Erはフッ化物ガラス中にあっても1.6μm以上の長波長での光増幅やレーザ発振は起こりにくくなる。
【0080】
しかし、Erはテルライトガラス中に添加されると他のガラス中よりも強い電場を受け、その結果、 13/215/2準位等の受けるスターク効果による準位中の拡がりが大きくなり、より長波長域でも誘導放出断面積を持ち、図1で見られるように1.65μm以上の長波長でも蛍光が存在する。
【0081】
従って、Erを少なくともコアに添加したテルライトファイバを光増幅媒体とすれば、Er添加石英ファイバやEr添加フッ化物ファイバでは実現できなかった1.5μmから1.7μmにかけての光増幅やレーザ装置が可能になる。
【0082】
テルライトガラスがホウ素、リンまたは水酸基のうち少なくとも1つを含むと、0.98μm光により 11/2準位を励起した場合も利得係数向上および雑音指数が改善される。すなわち、B−O,P−O,O−Hの振動エネルギーは、それぞれ約1400cm−1、1200cm−1、3700cm−1であり、これらを含まないテルライトガラスのフォノンエネルギーは600〜700cm−1であるので、倍以上大きくなる。このため、波長0.98μm付近の光でErの 11/2準位を直接励起して 13/2 15/2遷移による1.5μmの光増幅を起こすと多音子放出よる緩和を受け易く、 13/2準位の励起効率が低下しにくいからである(図18)。また、 11/2準位から 13/2準位への緩和が起き易いと 13/2準位を1.48μm付近の光で直接励起するよりも 11/2準位を励起したのち 13/2準位を励起した方が 13/2準位および 15/2準位間の反転分布が得易く、従って雑音特性も優れるという利点がある。
【0083】
以下、図面を参照して本発明にもとづく光増幅媒体と該光増幅媒体を用いた広帯域光増幅器およびレーザ装置の実施例を詳細に説明する。
【0084】
(実施例1)
溶融後にTeO (75mol%)−ZnO(20mol%)−Na O(5mol%)、TeO (77mol%)−ZnO(15.5mol%)−Na O(6mol%)−Bi (1.5mol%)、TeO (73.5mol%)−ZnO(15.5mol%)−Na O(6mol%)−Bi (5mol%)となるようにTeO 、ZnO、Na NO 、Bi の原料を調合したものを20gるつぼに充填し、電気炉内で酸素雰囲気下、800℃で2時間溶融した。その後、200℃に予加熱したプレート上にキャストし、得られたガラスを250℃で4時間アニールした。このガラスの一部を破砕し、一片30mgのバルクガラスとめのう乳鉢で粉々にしたパウダー30mgの2種類のサンプルを銀製金メッキのシール容器に充填し、アルゴンガス雰囲気中、昇温速度10℃/分でDSC測定を行った。バルクガラスではTx−Tgの値はBi =0のガラスでは119.2℃、Bi =1.5mol%では121.6℃であるのに対し、Bi =5mol%の場合では167.5℃となり、特に前記Bの範囲の組成では40℃以上熱安定性が向上していた。次に、パウダー状の試料の場合では、Tx−Tgの値はBi =0のガラスでは80.2℃、Bi =1.5mol%では76.3℃であるのに対し、Bi =5mol%の場合では110.2℃となり、バルクで測定した場合よりTx−Tgの値が小さくなるが、そのガラスの熱安定性がより精密に測定でき、どちらの測定においてもBi =5mol%添加することによって熱安定性が飛躍的に向上していたことがわかった。
【0085】
本明細書中では特筆しない限りガラスの熱安定性に関するTx−Tgの値はバルクガラスでの測定値をもとに議論する。
【0086】
バルクガラスでのDSC測定値を基準にTx−Tg≧120℃となるガラスの使用で低損失なファイバの作製が可能であると述べたが、この範囲のガラスで得られる損失は概ね1dB/km以下である。3準位系の光学遷移を用いて高効率な光増幅を行うために、これより約1桁低損失なファイバを得ようとすればより安定なガラスが必要になる。その際の評価基準としては前記パウダー状ガラスでのDSCの測定値が有効で、この測定Tx−Tg≧100℃となるガラスを用いれば〜0.1dB/kmのファイバを得ることができる。
【0087】
(実施例2)
コアガラスおよびクラッドガラスとして上記AまたはBで示したガラス組成のものを用いる。これらの組成物を、白金ルツボ、または金ルツボを用いて酸素雰囲気で溶融し、吸引成形(サクション・キャスティング)法によりプリフォームを作製した。また、同じく上記Aのガラス組成を用いて、ジャケット管を回転成形(ローテーショナル・キャスティング)法で作製した。これらプリフォム、ジャケット管を用いてファイバ線引きした結果、最低損失が0.1dB/m以下、カットオフ波長が0.5μmから2.5μm、コア・クラッド間の比屈折率差が0.2%から6%のテルライト・ファイバを作製することができた。
【0088】
また、コアまたはクラッド・ガラスにEr,Pr,Yb,Nd,Ce,Sm,Tm,Eu,Tb,HoまたはDy等の希土類を10重量%以下添加することができた(プリフォーム、ジャケット管の作製法については、カナモリらの文献:Kanamori et al., Proceeding of 9th International Symposium on Nonoxide Glasses, P.74, 1994を参照)。
【0089】
(実施例3)
コアガラスとして上記A で示したガラス組成のものを、またクラッドガラスとして上記B 、C またはD で示したガラス組成のものを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてテルライトファイバを作成した。その結果、最低損失が0.1dB/m以下、カットオフ波長が0.5μmから2.5μm、コア・クラッド間の比屈折率差が0.2%から6%のテルライト・ファイバを作製することができた。
【0090】
また、コアまたはクラッド・ガラスにEr,Pr,Yb,Nd,Ce,Sm,Tm,Eu,Tb,HoまたはDy等の希土類を10重量%以下添加することができた。
【0091】
(実施例4)
TeO (68.6モル%)−Na O(7.6モル%)−ZnO(19.0モル%)−Bi (4.8モル%)ガラスをコア材としてErを1000ppm添加し、TeO (71モル%)−Na O(8モル%)−ZnO(21モル%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.3μm、コア・クラッド屈折率差2%の光ファイバを形成し、これを光増幅媒体とした。この光増幅媒体を用い、1.5μmから1.7μmの波長帯の光増幅器を作製し、増幅実験を行った。励起波長として0.98μmを選び、1.5μmから1.7μm帯の信号光源としてDFBレーザを用いた。
【0092】
図19は、本実施例の光増幅器の概略的構成を示す図である。信号光源101および励起光源102は光カップラ103を介して増幅用光ファイバ104の一端に接続され、増幅用光ファイバ104の他端には光アイソレータ105が接続されている。なお、各部品の接続は光ファイバ106で行われている。
【0093】
このような構成からなる光増幅器を用いた増幅実験により、1.5μmから1.7μmの間の波長で増幅利得を得ることができた。
【0094】
また、同じ光増幅媒体を用いて、図20で示すチューナブルな狭帯域バンドパスフィルタを挿入したリングレーザを構成した。かかるリングレーザは、図19の信号光源1の代りに、光アイソレータ105の出力側を光カップラ103に接続してリング状の光共振器を形成し、このリング状光共振器の途中に狭帯域バンドパスフィルタ107を挿入したものである。そして、狭帯域バンドパスフィルタ7の透過域を1.5μmから1.7μmの間で変動させ、励起光源102から光を入射してレーザ発振実験を行った。その結果、出力端108から上記波長帯でのレーザ発振を確認することができた。
【0095】
以上の実施例では励起波長として0.98μmを使い、 11/2準位を励起したが、1.48μm帯の波長を用い 13/2準位を直接励起しても良いことは言うまでもない。また、0.98μmより短波長の光で 11/2準位よりエネルギの高い準位を励起しても良い。
【0096】
(実施例5)
図19に示す光増幅器を用い、1.5μm帯の光増幅実験を行った。励起波長は0.98μmであった。その結果、1.53μm以上の波長域で雑音指数が7dB以下で増幅することができた。
【0097】
(実施例6)
Erの代りにErおよびYbを共添加したガラスをコアとした以外は実施例3と同様な光ファイバを作製し、光増幅媒体とした。
【0098】
この光増幅媒体を用い、実施例4および実施例5の構成で、光増幅実験およびレーザ発振実験を行った。励起波長として1.029μm(Yb添加YAGレーザ)、1.047μm(Nd添加YLFレーザ)、1.053μm(Nd添加YAGレーザ)、1.064(Nd添加YAGレーザ)等を使った。このようにYbをErと共添加した場合、YbからErへのエネルギ移動を利得することにより、上述したような波長で励起しても1.5μmから1.7μmの間でのレーザ発振および1.5μm帯の広帯域光増幅を確認することができた。
【0099】
以上の実施例1〜6では光ファイバの組成として一例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、Cs O,Rb O,K O,Li O,BaO,SrO,CaO,MgO,BeO,La ,Y ,Sc ,Al ,ThO ,HfO ,ZrO ,TiO ,Ta O5 ,Nb O5 ,Wo ,Tl O,CdO,PbO,In ,Ga のいずれかひとつ以上をTeO2 とともに含むガラスであってもよい(参照:ガラスハンドブック(第8編)、作花済夫他編集、朝倉書店、昭和50年発行)。また、ErまたはErおよびYbは、コアのみでなく、クラッドにも添加してもよい。
【0100】
さらに、光増幅器は、本発明の光増幅媒体と、この光増幅媒体を励起する励起光源と、信号光の入力および出力手段を有するものであれば上述した構成に限定されるものではない。
【0101】
また、レーザ装置は、光ファイバで構成された光共振器の途中に本発明の光増幅媒体を挿入し、さらに、この光増幅媒体を励起する励起光源を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0102】
(実施例7)
増幅用ファイバとしてEr1000ppmをコアに添加したファイバ4mを用いて1.5μm帯の増幅特性を測定した。コアガラス組成をTeO (68.6モル%)−ZnO(19モル%)−Na O(7.6モル%)−Bi (4.8モル%)としてこれにP を5重量%を添加し、クラッドガラス組成をTeO (71モル%)−Na O(8モル%)−ZnO(21モル%)とした。コア・クラッド屈折率差は2.5%であり、カットオフ波長を0.96μmとした。0.98μmの光(光源は半導体レーザ)を励起光として1.5μm帯の小信号利得を測定したところ、リンを添加しないものに比較し利得効率は5倍増加して2dB/mWに達した。また、入力信号レベルを−10dBmとして飽和領域での利得スペクトルを測定したところ、1530nmから1620nmまで90mm幅で利得がフラットになった(励起強度は200mWであった)。また、雑音指数はリンを添加しない場合は7dBであったが、リンを添加することにより4dBに低下した。このようにコアガラスとしてリンを添加することにより、利得係数および雑音指数が大幅に改善した。
【0103】
また、P の代りにB を添加しても利得係数および雑音指数の改善が確認できた。
【0104】
(実施例8)
TeO (68.6モル%)−ZnO(19モル%)−Na O(7.6モル%)−Bi (4.8モル%)をコアガラスとしてこれにOH基を5000ppm、Erを1000ppm添加したところ、利得係数はOH基を添加しないときと比較して3倍増加することが確認できた。
【0105】
リンを添加した場合より利得係数の増加の程度が低いのはOH基の信号エネルギーが3700cm−1という大きな値を持つため、増幅の始準位である 13/2準位もわずかに多音子放出により緩和されるためである。
【0106】
図21は本発明にもとづくレーザ装置の一例を示す図であり、図中、参照符号111,111′は励起用半導体レーザ(波長:1480nm)、112,112′は信号光と励起光とを結合させる光カップラ、113,115は増幅用光ファイバ、114は光アイソレータであり、信号光はAのポートより入射したのちBのポートより出射する構成となっている。
【0107】
参照符号113の増幅用ファイバとしてErを1000ppm添加したZrF 系のフッ化物ファイバ( 参考文献:Kanamori et al, Proceeding of 9th Intern ational Synposium on Non-Oxide Glasses, P.74, 1994) を用い、増幅用ファイバ115としてErを1000ppm添加したTeO −Na O−Bi −ZnO系の酸化テルライトファイバを用いた。
【0108】
それぞれのファイバともコア・クラッド屈折率差は2.5%であり、カットオフ波長は1.35μm、ファイバ長はそれぞれ10m、および7mであった。参照符号111,111′の励起用半導体レーザの出力光強度を150mWとして1.5μm帯の利得スペクトルを測定した。得られた利得スペクトルを図22に示す。
【0109】
図22に示した利得スペクトルによれば、信号波長1530nmから1610nmまでの80nm幅で信号利得を値の変化を示す曲線はフラットな状態となる。すなわち、そのような波長帯で信号利得は30dB近傍の値に維持されていることがわかる。したがって、このような波長帯でゲインチルトも小さく抑えられることになる。Er添加フッ化物ファイバを用いた場合の利得がフラットになる波長幅は1530nmから1560nmの30nmであるので、利得がフラットになる波長幅は2倍以上に広がった。またEr添加石英ファイバの場合は、フラットな波長幅はたかだか10nmであるので、8倍にも広がったことになる。
【0110】
本実施例では、Er添加ZrF 系フッ化物ファイバを前段に用い、Er添加テルライトファイバを後段に使用したが、この逆でも良いし、InF 系のフッ化物ファイバでも良い。また、Er添加酸化物多成分ガラスファイバを増幅用ファイバに加えても良い。要するに、増幅用光ファイバのひとつとしてEr添加テルライトファイバを用いることが重要である。
【0111】
また、テルライトファイバの組成としては本実施例で使用されたものに限定されるものではない。
【0112】
また、増幅用光ファイバの励起法としては、前方励起、後方励起、双方向励起のいずれかを取っても良いことは言うまでもない。
【0113】
(実施例9)
図23は本発明にもとづくレーザ装置の他の実施例の概略的構成を示す図である。この実施例では、実施例1で用いた増幅用ファイバ113,115を直列に波長可変バンドパスフィルタ117(バンド幅3nm)を介して接続し、1480nmで透過率が99%、1500nmから1630nmで反射率が100%のミラー116を設け、また、他端に1500nmから1630nmで透過率20%のミラー118を設けてレーザ発振を行った。その結果、信号波長1500nmから1630nmの広い範囲でレーザ発振を確認することができ、1.5μmで使用できる広帯域チューナブルレーザとして使用できることがわかった。
【0114】
以上説明したように、本発明の光増幅媒体を用いれば、これまで光ファイバ増幅器では不可能であった1.5μmから1.7μmにかけての光増幅器やレーザ装置の構成が可能になり、1.55μm帯の光通信システムに用いられる保守・監視システムの高性能化が達成でき、光通信システムの安定な運用が可能になる。
【0115】
また、増幅波長域が広い特性を利用すれば、フェムト秒のような短光パルスも効率良く増幅することもできるし、波長多重光伝送システム中に用いる光増幅器としても有効である。
【0116】
(実施例10)
本実施例では、実施例4で用いたファイバを使い、スーパールミネッセントレーザの動作を実施した。励起光源として1.48μmのレーザダイオードを用い、該テルライトファイバの一端に入射した。ファイバの他端をファイバ端面でのフレネル反射を抑えるため、角度10°で斜カットし、出射スペクトルを測定したところ、1.46μmから1.64μmの幅広い発光スペクトルが観測され、ブロードバンドのスーパールミネッセントレーザ装置として使用できることがわかった。
【0117】
(実施例11)
図19に示す光増幅器の構成において、光アイソレータの後に、利得を等化するためのフィルタ(チャープドファイバブラッグクレーティング、プログラマブルフィルタ、ファブリーペローエタロン型フィルタ、マッハツエンダー型フィルタ等)を挿入して光増幅特性を測定した。−30dBmの信号強度の光を入射し、1.48μmで(200mW)励起したとき、フィルタを挿入しないと1530〜1580nmにかけて利得の山が観測されたが、フィルタを挿入し、その損失を調整することによりその利得の山を打ち消すことができ、1530nmから1610nmの波長域にかけてのWDM信号に対し、利得偏差0.2dB以下で動作できることが確認できた。
【0118】
(実施例12)
Aの領域のガラスをコア、およびクラッドとしてコアにCe,Pr,Gd,Nd,Eu,Sm,Tb,Tm,Dy,Ho,YbまたはErを添加し導波路レーザおよび導波路型光増幅器として動作させた。その結果、それぞれ0.3μm、1.3μm、0.31μm、1.07μm、0.61μm、0.59μm、0.54μm、1.48μm、3.0μm、1.49μm、1μm、1.55μm帯で動作する広帯域レーザ発振および広帯域光増幅が確認できた。
【0119】
(実施例13)
TeO (70モル%)−ZnO(18モル%)−Na O(6モル%)−Bi (6モル%)ガラスをコア材にしてErを2000ppm添加し、TeO (68モル%)−ZnO(22モル%)−Na O(7モル%)−Bi (3モル%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.1μm、コアクラッド比屈折率差1.8%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。1.3μmにおけるファイバ損失は40dB/kmであった。このファイバを4m用いて光増幅器を構成し、増幅実験を行った。励起波長は前方が0.98μm、後方が1.48μmの双方向励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを使用した。増幅実験の結果、1500〜1630nmの110nm帯域で、5dB以上の小信号利得が得られた。このとき、1530nm以上の波長で雑音指数は5dB以下であった。
【0120】
(実施例14)
実施例13と同様のファイバを15m用いて光増幅器を構成し、増幅実験を行った。励起波長は前方後方とも1.48μmの双方向励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを使用した。増幅実験の結果、特に1580〜1630nmの50nm帯域で、35dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dBであった。
【0121】
(実施例15)
実施例13と同様のファイバを15m用いてレーザを構成した。キャビティは、全反射ミラーと1625nmで3%の反射率をもつファイバブラッググレーティングを用いて構成した。励起波長は前方後方とも1.48μmの双方向励起を採用した。入射励起強度が300mWのとき、これまで石英ファイバやフッ化物ファイバで得ることのできなかった1625nmにおいて150mWの高出力が得られた。
【0122】
(実施例16)
TeO (68モル%)−ZnO(13モル%)−Na O(4モル%)−Bi (15モル%)ガラスをコア材にしてErを3wt%添加し、TeO2 (69モル%)−ZnO(21モル%)−Na O(8モル%)−Bi (2モル%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.4μm、コアクラッド比屈折率差5%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。このファイバを3cm用いて小型の光増幅器を構成し、増幅実験を行った。
【0123】
励起波長は1.48μmの前方励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを使用した。増幅実験の結果、1530〜1610nmの80nm帯域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は7dB以下であった。
【0124】
(実施例17)
TeO −ZnO−Li O−Bi の4元系ガラスをBi =5mol%に固定し、その他の組成を変えて50個作製し、実施例1のバルクガラスの場合と同様にDSCにより熱特性が測定した。その結果を図24に示す。この図に示すように、Aの領域でTx−Tgが120℃以上の安定なガラスが得られた。さらにBの領域では、結晶化の発熱ピークが現れない飛躍的に安定なガラスが得られた。このような熱的に安定なガラスを用いてファイバを作製すれば、ファイバ損失が低いだけでなく、歩留り率の高いファイバを大量に生産することができ、低価格化を実現することができる。そこで、Bの領域から選んだTeO (80モル%)−ZnO(5mol%)−Li O(10mol%)−Bi (5mol%)ガラスをコア材としてErを2000ppm添加し、TeO (75mol%)−ZnO(5mol%)−Li O(15mol%)−Bi (5mol%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.1μm、コアクラッド比屈折率差2.5%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。1.2μmにおけるファイバ損失は20dB/kmであった。このファイバを3m用いて光増幅器を構成し、増幅実験を行った。
【0125】
励起波長は前方が0.98μm、後方が1.48μmの双方向励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを使用した。増幅実験の結果、1530〜1610nmの80nm帯域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dB以下であった。
【0126】
また、Aの領域から選んだTeO (70mol%)−ZnO(10mol%)−Li O(15mol%)−Bi (5mol%)ガラスをコア材としてErを2000ppm添加し、TeO (70mol%)−ZnO(7mol%)−Li O(18mol%)−Bi (5mol%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.1μm、コアクラッド比屈折率差1.5%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。1.2μmにおけるファイバ損失は60dB/kmであった。このファイバを3m用いて光増幅器を構成し、同様に増幅実験を行った。その結果、1530〜1610nmの80nm帯域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dB以下であった。以上からAの領域のガラスからでも実用的な広帯域EDFAができることが示された。
【0127】
(実施例18)
実施例17に記載のファイバを15m用いて光増幅器を構成し、増幅実験を行った。励起波長は前方後方とも1.48μmの双方向励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを使用した。増幅実験の結果、特に1580〜1630nmの50nm帯域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dB以下であった。
【0128】
(実施例19)
実施例17に記載のファイバを15m用いてレーザを構成した。キャビティは、全反射ミラーと1625nmで3%の反射率をもつファイバブラッググレーティングを用いて構成した。励起波長は前方後方とも1.48μmの双方向励起を採用した。入射励起強度が300mWのとき、これまで石英ファイバやフッ化物ファイバで得ることのできなった1625nmにおいて150mWの高出力が得られた。
【0129】
(実施例20)
TeO (68mol%)−ZnO(13mol%)−Na O(4mol%)−Bi (15mol%)ガラスをコア材にしてErを3wt%添加し、TeO (69mol%)−ZnO(21mol%)−Na O(8mol%)−Bi (2mol%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.4μ m、コアクラッド比屈折率差5%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。このファイバを3cm用いて小型の光増幅器を構成し、増幅実験を行った。
【0130】
励起波長は1.48μmの前方励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを使用した。増幅実験の結果、1530〜1610nmの80nm帯域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dBであった。
【0131】
参考例21)
溶融後にTeO (73.5mol%)−ZnO(20mol%)−Na O(5mol%)−Bi (1.5mol%)、TeO (73mol%)−ZnO(20mol%)−Na O(5mol%)−Bi (2mol%)となるようにTeO 、ZnO、Na CO 、Bi の原料を調合したものを90gるつぼに充填し、電気炉内で酸素雰囲気した、800℃で2時間溶融した。その後、250℃に予加熱した円筒中空鋳型内に融液をキャストし、直ちに蓋を融液注入口にした後、この鋳型を2000rpmで回転させながら水平に寝かせ3分間保った。その後室温まで徐冷した。得られたテルライトガラスは外形15mmφ、内径5mmφ、長さ130mmで下部に底を有する円筒状の管であった。得られた2本のガラス管全体を顕微鏡を用いて詳細に検討したところ、Bi を1.5mol%添加したものは外壁近くに多数の結晶化が見られたのに対し、Bi を2mol%添加した物はこのような結晶化は見られなかった。この2つのガラスの一部を粉砕し、めのう乳鉢で粉々にしたパウダー30mgの2種類のサンプルを銀製金メッキのシール容器に充填し、アルゴンガス雰囲気中、昇温速度10℃/分でDSC測定を行った。図25に測定結果を示す。
【0132】
図25は、組成73.5TeO −20ZnO−5Na O−1.5Bi ガラス(図中、a線)および73TeO −20ZnO−5Na O−2Bi ガラス(図中、b線)を用いた場合のそれぞれのDSCの測定図である。Bi を1.5mol%添加したガラスでは350℃付近から結晶化のピークが始まり、Tx−Tgの値は69.2℃であった。一方、Bi を2mol%添加したガラスでは390℃付近から結晶化のピークが始まり、Tx−Tgの値は110.4℃であった。すなわち、Bi を1.5mol%添加した場合に比べて、2mol%添加したガラスの方が熱安定性が飛躍的に向上した。
【0133】
以上の実施例1〜20および参考例21のテルライトガラスはBi を含む4元系であることを最大の特徴としている。このようなテルライトガラスは熱安定性が高く、ファイバ化した際の損失を低く抑えることができ、さらに屈折率制御が容易であるため高Δnのファイバが作製できることにより、効率の低い3準位系のEDFAの増幅帯域の拡大を可能とした。
【0134】
従来知られているファイバ化可能なテルライトガラスとしては従来の技術で述べたSintzer 等のテルライトガラス(米国特許第5,251,062号)があるが、米国特許第5,251,062号のテルライトガラスとは、Bi の有無すなわち3元系か4元系かという点で異なる。
【0135】
これまで述べてきたように米国特許第5,251,062号に記載の3元系テルライトガラスは本願発明の4元系テルライトガラスと比較して熱安定性が低く、そのため1.55μmにおける損失を1500dB/kmにまでしか低減することができないのに対して、本願発明では損失の低減を目的に種々の組成を検討した結果Bi を含む4元系が損失の低減に有効であることを見出した。さらにこの4元系ガラスは屈折率制御が容易なため、高Δnのファイバが作製可能であり、低い損失と合わせて初めてテルライトEDFAの実現に至った。米国特許第5,251,062号の3元系テルライトガラスでは効率の悪い3準位系のEDFAの実現が難しいことは米国特許第5,251,062号明細書中のみならず、その後に提出された前記オプティクス・レターズおよび前記オプティカル・マテリアルズにもEDFA実現に関する具体的記載が一切ないことからも明らかである。
【0136】
さらに詳細に述べれば、米国特許第5,251,062号明細書において、Snitzer 等はレーザはバルクガラスでも実現できるのに対して光増幅にはコアおよびクラッドを有するファイバ構造が必要であることを述べ、ファイバ化が可能であるテルライトガラスとして3元系テルライトガラスの組成範囲を示した。したがって目的は光増幅の実現であることは明らかであるが、これらの3件の文献においては前記オプティクス・レターズにおけるネオジムを用いたファイバレーザの記載があるのみである。しかも、光増幅の分野において、ネオジムは当初1.3μm帯の増幅への適用が有望視されていたが、前記オプティカル・マテリアルズ中にも記載されているように励起状態吸収のため1.3μm帯の増幅への適用は困難であることは周知の事実である。
【0137】
Bi を含有するテルライトガラスは、前記オプティカル・マテリアルズ中に72%Te −18%Bi および80%Te −10%Bi −10%TiO の記載であるが、これらは本願発明の4元系とは全く異なる組成であり、さらに前記オプティカル・マテリアルズ中にこれらのガラスの熱安定性、損失に関する記載は一切ない。
【0138】
また、前記オプティカル・マテリアルズおよび前記オプティクス・レターズ中にコア組成77%TeO −6.0%Na O−15.5%ZnO−1.5%Bi の4元系テルライトガラスが記載され、特に前記オプティカル・マテリアルズ中にはその損失まで記載されているが、損失は1.55μm帯において1500dB/kmという高値であり、ましてやBi 添加による熱安定性向上に関する記載や、熱安定性向上を想起させる記載は一切ない。光ファイバの分野では屈折率制御のためにガラスに屈折率制御材を添加することは公知であり、前記ファイバにおけるBi の添加はまさしくそのためであるものと考えられる。
【0139】
実施例などで詳しく記載した通り、本願発明ではテルライトガラスの損失低減をめざしてテルライトガラスの組成を種々検討した結果、Bi を添加した4元系テルライトガラスが有効であることを解明した。これも実施例に記載済であるが、特にBi 濃度が1.5%を超えると熱安定性は飛躍的に向上し、テルライトガラスファイバの低損失化に成功した。さらに副次的にコアとクラッドのBi 添加量の調整によりファイバのΔnを自由に制御できることから高Δnファイバを作製でき、これらの相乗効果により低効率な3準位系EDFAの増幅帯域拡大に成功した。
【0140】
つぎに、テルライトEDFAの利得スペクトルがより平坦になるようなガラス組成について検討する。以下の参考例ではテルライトガラスまたはファイバにAlをホストとして添加することを主要な特徴とする。SiO 系ガラスにAlを添加した場合、SiO 系ガラスに添加されたErの誘導放出断面積の1.53μmと1.56μmとの間のへこみが無くなり、1.54μmから1.56μmにかけて平坦な利得が得られることが知られている(“Erbium-Doped Fiber Amplifiers(エルビウム添加ファイバ増幅器)、Emmanuel Desurvire著(エマニエル デサヴィア著)、出版社John Wiley & Sons、1994年)。
【0141】
しかしながら、これは石英系ファイバに対するAlの添加効果であり、テルライト系ファイバに対してはその効果は不明である。以下の実施例に示されるように、本発明者らは、テルライトガラスへのAl添加により、1.53μmと1.56μmの誘導放出断面積のへこみを無くすとともに1.6μm帯の誘導放出断面積を変化させる(増大させる)ことができ、結果として、1.55μm帯と1.6μm帯との利得偏差を減少させることができることを見い出した。
【0142】
参考例22)
図26に(74)TeO −(16)ZnO−(6)Na O−(4モル%)Bi ガラス、および(73)TeO −(15)ZnO−(6)Na O−(3)Bi −(3モル%)Al ガラスおよび(79)TeO −(3)ZnO−(12)Li O−(3)Bi −(3モル%)Al ガラス中のErの1.5μm発光スペクトルを示す。図から明らかなようにAl を含有したガラスの発光スペクトルの1.6μm付近の強度はAl を含有しないものに比べ強く、また、1.53μmと1.56μmとの間の谷の深さも浅くなっている。
【0143】
このAl 含有ガラス(TeO −ZnO−Na O−Bi 系ガラス)をコア組成としてEr添加テルライトファイバ(カットオフ波長:1.3μm、Er濃度:4000ppm、長さ:0.9m)を作製し、1.48μmで励起(200mW)したところ、1.56μmと1.69μmとの利得偏差が10dB以下に低減できた。
【0144】
このファイバを増幅媒体として、ファイバブラッググレーティングを利得等化器としてEDFAを構成したところ、1.53μmから1.60μmにわたり利得偏差が1dB以下のEDFAを実現することができた。Al を含有しないファイバを用いた場合では、1.53μmと1.60μmの利得偏差が15dB以上あり、利得等化器を用いて利得の補正をしても利得偏差を帯域70nmにわたり、1dB以下にすることは困難であった。この参考例のAl 含有ガラスをファイバホストに用いて始めて可能になった。
【0145】
このAl の利得特性への添加効果は、特願平9−226890号に記載のTeO −ZnO−Na O−Bi の組成(55≦TeO ≦90、0≦ZnO≦35、0≦Na O≦35、0<Bi ≦20、単位モル%)に対して確認することができた。
【0146】
参考例23)
Al の利得特性に対する添加効果をTeO −ZnO−Li O−Bi 系ガラスに対して確認した。すなわち、(80)TeO −(3)ZnO−(12)Li O−(5モル%)Bi ガラスおよび(79)TeO −(3)ZnO−(12)Li O−(3)Bi −(3モル%)Al ガラス中のErの1.5μm帯の発光スペクトルを比較したところ実施例1の場合と同様、Al を含有したガラスでは1.6μm帯の発光強度が含有しないものに比べ強くなり、また1.53μmと1.56μmの間にできている谷がなくなっていた。
【0147】
このAl 含有ガラスをコア組成としてEr添加テルライトファイバ(カットオフ波長:1.3μm、Er濃度:4000ppm、長さ:0.9m)を作製し、1.48μmで励起(200mW)したところ、1.56μmと1.60μmとの利得偏差が10dB以下に低減できた。
【0148】
このファイバを増幅媒体として、マッハーツェンダ型のフィルタ(損失媒体)を利得等化器としてEDFAを構成したところ、1.53μmから1.60μmにわたり利得偏差が1dB以下のEDFAを実現することができた。Al を含有しないファイバを用いた場合では、1.56μmと1.60μmの利得偏差が15dB以上あり、利得等化器を用いて利得の補正をしても利得偏差を帯域70nmにわたり、1dB以下にすることは困難であった。
【0149】
また、Er添加濃度1000ppmのファイバで2m長のファイバを用いて増幅スペクトルを測定したところ、Al を含有していないファイバで見られた1.53μmと1.56μmとの間の利得の変動がなくなり、1.53μmから1.56μmにかけて利得の均一性の良いものが得られ、同波長域でのWDM伝送の応用に有利なことがわかった。また、この現象はTeO −ZnO−Na O−Bi −Al 系のファイバにおいても確認できた。
【0150】
このAl の利得特性への添加効果は、TeO −ZnO−Li O−Bi の組成(70≦TeO ≦90,0≦ZnO≦24、0≦Li O≦30、0<Bi ≦10、単位モル%)、すなわち安定してファイバが形成できる組成に対して確認することができた。
【0151】
以上の参考例ではAl の濃度を3モル%としたが、これに限定されるわけではなく、0モル%よりも大きな濃度であれば、Al の添加効果は確認できた。
【0152】
参考例24)
しかし、必要以上に濃度を大きくすることは、上記の安定してファイバ化できる組成条件を無視することになるので好ましくない。
【0153】
参考例では、TeO −ZnO −M O−Bi (MはLi、Na以外のアルカリ元素)系ガラスに対するAl の利得特性への添加効果を確認した。すなわち、MがK、Cs、Rbのとき、参考例22〜23と同様、Al を添加することにより1.56μmと1.60μmとの利得偏差を10dB以下にすることができ、また利得等化器を用いてEDFAを構成し、1.53μmから1.60μmの70nmにわたり、利得偏差1dB以下のEDFAを実現すること、また1.53μm〜1.56μmの利得を均一にすることができた。
【0154】
参考例25)
参考例では、TeO −ZnO −M O−Bi (Mはアルカリ元素で2種類以上を含む)系ガラスに対するAl の利得特性への添加効果を確認した。すなわち、Mとして2種類以上のアルカリ元素を含む場合も、参考例22〜23と同様、Al を添加することにより、1.56μmと1.60μmとの利得偏差を10dB以下にすることができ、また、利得等化器を用いてEDFAを構成し、1.53μmから1.60μmの70nmにわたり、利得偏差1dB以下のEDFAを実現すること、また1.53μm〜1.56μmの利得を均一にすることができた。
【0155】
参考例26)
以上の参考例では、TeO −ZnO−R O−Bi (Rはアルカリ元素)系ガラスに対するAl の利得特性に対する添加効果を述べた。しかし、Al の添加効果はこれらのガラス系に対してのみ有効であるのみならず、TeO 、Al 以外の組成によらず、TeO −WO 系などの他のテルライトガラス系(例えば、TeO −WO −La −Bi 系ガラスに対しても広帯域・利得平坦型EDFAを実現するために有効であることを確認した。
【0156】
以下、5元系のガラスについてさらに検討する。
【0157】
(実施例27)
TeO −ZnO−Li O−Na O−Bi の5元系ガラスにおいて、TeO =75モル%、Bi =5モル%に固定した場合と、TeO =80モル%、Bi =5モル%に固定した場合で、その他の組成を変えて100個のガラスを作成した。これらのガラスの一をめのう乳鉢で粉々にしたパウダー30mgのサンプルを金メッキされた銀製シール容器に充填し、アルゴンガス雰囲気中、昇温速度10℃/分でDSC測定を行った。その結果、図27および図28に見られるB領域でTx−Tgが120℃以上の安定なガラスが得られた。このような熱的に安定なガラスを用いてファイバを大量に生産することができ、低価格化を実現することができる。そこで、図27のA(ファイバ最適領域)の領域から選んだTeO (75モル%)−ZnO(5モル%)−Li O(12モル%)−Na O(3モル%)−Bi (5モル%)ガラスをコア材料にしてErを2000ppm添加し、TeO (75モル%)−ZnO(2モル%)−Li O(15モル%)−Na O(3モル%)−Bi (5モル%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.1μm、コアクラッド比屈折率差1.6%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。1.2μmにおけるファイバ損失は0.015dB/mであった。このファイバを3m用いて光増幅器を構成し、増幅実験を行った。
【0158】
増幅実験では、励起波長は前方が0.98μm、後方が1.48μmの双方向励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを用いた。増幅実験の結果、1530〜1610nmの80nm帯で20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dB以下であった。また、図28(ファイバ可能領域)の領域から選んだTeO (80モル%)−ZnO(6モル%)−Li O(4モル%)−Na O(5モル%)−Bi (5モル%)ガラスをコア材にしてErを2000ppm添加し、TeO (80モル%)−ZnO(2モル%)−Li O(6モル%)−Na O(7モル%)−Bi (5モル%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.1μm、コアクラッド比屈折率差1.5%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。1.2μmにおけるファイバ損失は0.07dB/mであった。このファイバを3m用いて光増幅器を構成し、同様に増幅実験を行った。その結果、1520〜1620nmの80nm帯域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は4dBであった。以上からBの領域のガラスからでも問題なく、実用的な広帯域EDFAができることが示された。
【0159】
(実施例28)
実施例27と同様のファイバを15m用いて光増幅器を構成し、増幅実験を行った。励起波長は前方後方とも1.48μmの双方向励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変DFBレーザを使用した。増幅実験の結果、特に1560〜1630nmの70nm帯域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dB以下であった。
【0160】
(実施例29)
実施例27と同様のファイバを15m用いてレーザを構成した。キャビティは全反射ミラーと1625nmで3%の反射率を持つファイバブラッググレーティングを用いて構成した。励起波長は前方後方とも1.48μmの双方向励起を採用した。入射励起強度が300mWのとき、これまで石英ファイバやフッ化物ファイバで得ることのできなかった1625nmにおける150mWの高出力が得られた。
【0161】
参考例30)
TeO −ZnO−Li O−Al −Bi の5元系ガラスにおいて、Al =2モル%、Li O=12モルに固定し、その他の組成を変えて50個のガラスを作製した。これらのガラスの一部をめのう乳鉢で粉々にしたパウダー30mgのサンプルを銀製金メッキのシール容器に充填し、アルゴンガス雰囲気中、昇温速度10℃/分でDSC測定を行った。その結果、図29に見られるAの領域でTx−Tgが120℃以上の安定なガラスが得られた。このような熱的に安定なガラスを用いてファイバを作製すれば、0.1dB/m以下の低損失化が実現できる。また、Al の添加の効果から、誘導放出断面積が広がることにより、EDFAの増幅帯域を広げることができる。そこで、図29の領域から選んだTeO (82モル%)−ZnO(1モル%)−Li O(12モル%−Al (2モル%)−Bi (3モル%)ガラスをコア材にしてErを2000ppm添加し、TeO (75モル%)−ZnO(3モル%)−Li O(18モル%)−Bi (4モル%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.1μm、コアクラッド比屈折率差1.6%のファイバを形成し、これを増幅媒体とした。1.2μmにおけるファイバ損失は0.07dB/mであった。このファイバを3m用いて光増幅器を構成し、増幅実験を行った。
【0162】
励起波長は前方が0.98μm、後方が1.48μmの双方向励起を採用した。信号光源として1.5μmから1.7μm帯の波長可変レーザを使用した。増幅実験の結果、1530〜1610nmの80nm帯領域で、20dB以上の小信号利得が得られた。このとき、雑音指数は5dB以下であった。
【0163】
参考例31)
参考例30と同様のファイバを4m用いて波長可変リングレーザを構成した。フィルタは1.5μmから1.7μm帯の波長可変フィルタを用いた。励起波長は前方後方とも1.48μmの双方向励起を採用した。入射励起強度が300mWのとき、これまで石英ファイバやフッ化物ファイバで得ることのできなかった1500〜1635nmの135nm帯域において5mW以上の広帯域レーザ特性を観測した。
【0164】
(実施例32)
TeO (79.5−xモル%)−ZnO(14.5モル%)−Na O(6モル%)−Bi (xモル%)(x=4、4.2、5.4、6.8、7)ガラスをコア材にしてErを500ppm添加し、TeO (75モル%)−ZnO(19モル%)−Na O(5モル%)−Bi (2.5モル%)ガラスをクラッド材とし、カットオフ波長1.1μm、コアクラッド比屈折率差1.3〜2.2%のファイバをそれぞれ長さ800mのものを5本作製した。x=4および7モル%のファイバでは散乱点(結晶などの異物により、光が散乱され、損失が著しく増大する点)の間隔が15m以下であり、散乱点を含まない部分の1.2μmにおけるファイバ損失は0.07dB/mであった。一方、x=4.2、5.4、6.8モル%のファイバでは散乱点の間隔が100m以上であり、散乱点を含まない部分の1.2μmにおけるファイバ損失は0.02dB/km以下であった。EDFAを構成する上でファイバ長は10m前後必要である。x=4および7モル%のファイバでは800mのファイバから10mのファイバが20本以下しか採れなかったのに対し、x=4.2、5.4、6.8モル%のファイバでは800mから10mのファイバが70本以上採れ、飛躍的に歩留まり率が向上した。
【0165】
以下の応用例33〜40では、前述のような本発明のテルライトガラスを用いたテルライト光ファイバの特性を鑑み、これまでのテルライトEDFAの波長分散特性を改善した低波長分散特性を有するテルライトEDFAを説明する。
【0166】
テルライトガラスを増幅媒体として用いた光増幅器において、増幅媒体であるテルライトEDFAの前方または後方にテルライトEDFAの持つ波長分散値とは異符号の波長分散値によって分散を補償する分散媒体を挿入した構造を取ることを最も主要な特徴とする。波長分散を制御する媒体としては、光ファイバやファイバ・ブラッグ・グレーティング等がある。
【0167】
従来のテルライトEDFAでは、テルライトEDFAの波長分散を補償する媒体を具備していないため、光増幅器内の波長分散が大きくなり、その結果、高速光信号の増幅を行うとエラーレートが上がってしまうという問題があった。これに対して、以下の実施例の構造を取ることにより増幅器内の波長分散値を下げることができ、高速光信号の増幅を行っても、エラーレートが上がることはなく、通信の品質は保つことができる。
【0168】
応用例33)
図30は、応用例に係る光増幅器の一構成例を示す図である。図に示した光増幅器では、光信号は左側から入射して右側に出射する構成になっている。入射信号光は、光アイソレータ201aを通過した後、光カップラ203により励起光源202からの励起光と合波される。励起光と合波された信号光は、分散媒質204を透過し、増幅用光ファイバ205に入射されて増幅される。光ファイバ205にて増幅された信号光は、光アイソレータ201bを通過し出力される。
【0169】
応用例の光増幅器では、信号波長を1.55μmとし、励起光源202として発振波長が1.48μmの半導体レーザを用いた。また、増幅用光ファイバ205としては、Erのコア中への添加濃度が200ppm、カットオフ波長が1.3μm、コア/クラッド間の光屈折率差(Δh)が1.4%であり、ファイバ長を10mとしたテルライト光ファイバを使用した。この光ファイバ205の1.55μmでの波長分散値は、−1.3ps/nmであった。また、分散媒質204としては、1.55μmでの波長分散値が17ps/km/nmの1.3μm零分散石英単一モード光ファイバ(いわゆるスタンダード単一モード光ファイバ)を使用した。この単一モード光ファイバの長さは、76mであった。
【0170】
この構成において、分散媒質204および増幅用光ファイバ205全体の波長分散を測定したところ、0.1ps/nm以下の値であった。
【0171】
このような光増幅器を用いて、波長1.55μmの40Gbit/sの高速光信号を増幅したところ、波長分散に起因するパルス波長のひずみは観測されなかった。従って、この構成の光増幅器を、ブースターアンプ、中継増幅器、またはプリアンプとして、高速光通信システムの中で用いても、通信の品質を著しく劣化することなく使用できることがわかった。これに対して、比較のために、分散媒質204を挿入しないで、波長1.55μmの40Gbit/sの高速パルスの増幅を行ったところ、パルス波形のひずみが観測され、高速光通信システムに応用することが困難なことがわかった。
【0172】
応用例では、分散媒質204を光カップラ203と増幅用のEr添加テルライト光ファイバ205の間に設置したが、設置場所はここに限定されることはない。例えば、光アイソレータ201aの前段、光アイソレータ201aと光カップラ203との間、増幅用光ファイバ205と光アイソレータ201bとの間、または光アイソレータ201bの後段であっても良い。
【0173】
また、本応用例では、分散媒質204として、スタンダード単一モード光ファイバを用いたが、これに限定されることはなく、テルライト光ファイバ205の波長分散と異符号の波長分散値を持つ光ファイバであれば、使用することができる。
【0174】
また、分散媒質204として、光ファイバに限らず、チャープト・ファイバ・グレーティング(K.O.Hill CLEO/PACIFIC RIM SHORT COURSE '97“Photosensitivity and Bragg Gratings in Optical Waveguide”)を、用いても良い。
【0175】
なお、以上の説明では、分散媒質204を増幅用光ファイバ205の前後のいずれか一箇所に挿入するとしたが、分散媒質204の設置構成はこれに限定されるものではない。つまり、分散媒質204として光ファイバを用いる場合、光ファイバを分断して増幅用光ファイバ205の前後の適当な位置に設置しても良いし、また複数の異なる特性を持つ光ファイバを適当な位置に設置しても良い。また、光ファイバとチャープト・ファイバ・グレーティングとを、それぞれ複数個併用しても良い。
【0176】
応用例34)
応用例では、図30における増幅用光ファイバ205として、コア中にPr(プラセオジム)が500ppm添加され、カットオフ波長が1.0μm、Δnが1.4%であり、ファイバ長を15mとしたテルライト光ファイバを用いた。また、励起光源2として、Nd(ネオジム)添加YLFレーザを用いた。さらに、分散媒質4として、チャープト・ファイバ・グレーティングを用いた。
【0177】
このとき、テルライト光ファイバの1.31μmでの波長分散は、−3.15ps/nmあった。そこで、チャープト・ファイバ・グレーティングの波長分散値を3.15ps/nmに設定し、この構成の増幅器により1.31μmの波長の高速光信号の増幅を行った。
【0178】
その結果、波長1.31μmの40Gbit/sの高速光信号を増幅した場合でも波長分散によるパルス波形のひずみは観測されず高速光通信システムへの応用が可能であることが確認された。これに対して、比較例として、分散媒質4を用いない増幅器構成の場合では、高速光信号を増幅すると、パルス波形のひずみが起こり、高速光通信システムの応用は困難であった。
【0179】
応用例35)
応用例では、増幅用光ファイバ205として、TeO −ZnO−M O−Bi 系ガラス(ここで、Mは1種類以上のアルカリ金属元素)を母材とし、コアにEr,Pr、Tm(1.48μmまたは1.65μm帯増幅用)、またはNd(1.06μmまたは1.33μm帯増幅用)を添加して構成した光ファイバを用いた。分散媒質204として、石英光ファイバまたはチャープト・ファイバ・グレーティングを用い、上記光ファイバの波長分散、特に、各希土類元素の増幅波長での波長分散を補償して、高速光パルスの増幅を行ったところ、分散媒質204のないときに起こっていた光パルス波形のひずみは抑えられ、高速光通信システム中で使用できることが確認できた。
【0180】
応用例36)
応用例では、増幅用光ファイバ205として、上記TeO −ZnO−Na O−Bi の組成(55≦TeO ≦90,0≦ZnO≦35,0≦Na O≦35,0<Bi ≦20、単位モル%)のガラスを母材とし、コアにEr,Pr,TmまたはNdを添加して構成した光ファイバを用いた。また、分散媒質204として、石英光ファイバまたはチャープト・ファイバ・グレーティングを用いて、各増幅波長での波長分散を補償して、高速光パルスの増幅を行ったところ、分散媒質204のないときに起こっていた光パルス波形のひずみは抑えられ、高速光通信システム中で使用できることが確認できた。
【0181】
応用例37)
応用例では、増幅用光ファイバ205として、上記TeO −ZnO−Li O−Bi の組成(55≦TeO ≦90,0≦ZnO≦25,0≦Li O≦25,0<Bi ≦20、単位モル%)のガラスを母材とし、コアにEr,Pr,TmまたはNdを添加して構成した光ファイバを用いた。分散媒質204として、光ファイバまたはチャープト・ファイバ・グレーティングを用いて、各増幅波長での波長分散を補償して、高速光パルスの増幅を行ったところ、分散媒質204のないときに起こっていた光パルス波形のひずみは抑えられ、高速光通信システム中で使用できることが確認できた。
【0182】
また、増幅用光ファイバ5として、TeO −ZnO−M O−Bi −Al 系ガラス(ここで、Mは1種類以上のアルカリ金属元素)から構成した光ファイバを用いた場合でも、上記の効果を確認することができた。
【0183】
応用例38)
応用例は、前記応用例37におけるガラス系を母材とし、希土類元素も遷移金属元素も添加せずに構成したテルライト単一モード光ファイバ(カットオフ波長1.3μm、Δn1.4%、長さ1km)を用いて、ラマン増幅を行った。励起波長は1.48μmであり、1.5μm帯の光増幅を行った。
【0184】
このとき、テルライト単一モード光ファイバの信号波長での波長分散は、−130ps/nmであった。分散媒質204として、スタンダード石英単一モード光ファイバを用いた。
【0185】
この分散媒質204をテルライト単一モード光ファイバ(増幅用光ファイバ)205の後段に配置して、光増幅を行った。この増幅用のスタンダード石英単一モード光ファイバ205を7.6kmの長さ使用したとき、(テルライト単一モード光ファイバの波長分散による)1.5μm帯の光パルスの波形ひずみを抑制することができた。
【0186】
応用例39)
応用例では、Cr,Ni,またはTiを、前記応用例35,36の組成のテルライト光ファイバのコアに添加して構成した増幅用光ファイバ205を用いて、それぞれ、1.5μm帯,1.5μm帯,1μm帯の光増幅を行った。分散媒質204としてスタンダード石英単一モード光ファイバを前記増幅用光ファイバ205の後段に接続し、高速光パルスの増幅を行ったところ、光パルスの波形ひずみ無しに光増幅をすることができた。
【0187】
以上の応用例では、光導波路が光ファイバである場合について説明したが、光導波路は、光ファイバばかりでなく平面型光導波路をも含むものである。光導波路が平面型光導波路の場合でも、前記各応用例にて確認したと同様の効果が、実現される。
【0188】
以下、光導波路が平面型光導波路である場合の応用例を示す。
【0189】
応用例40)
応用例では、TeO −ZnO−M O−Bi O系ガラス(ここで、Mは1種類以上のアルカリ金属元素)を母材とし、コアにErの添加された平面型光導波路を図30の光ファイバ205の代わりに用いて、増幅媒体とした。分散媒質204として、光ファイバやファイバ・ブラッグ・グレーティングを用いて該光導波路の分散を補正した。その結果、分散媒質204を用いない場合に比べ、パルス波形のひずみを小さくなるように1.5μm帯の光増幅をすることができた。
【0190】
上記光導波路に添加したドーパントとしてPr,Tm,Nd,Ni,Ti,Crを用いた場合でも、パルス波形のひずみを小さく光増幅をすることができた。
【0191】
以上説明したように、テルライト光ファイバを増幅媒体として用いた光増幅器において、上記応用例33〜40の光増幅器構造を取ることにより、増幅媒体であるテルライトファイバ自体の持つ波長分散による光パルス波形のひずみの発生を抑えることができる。
【0192】
以下の応用例41〜45では、従来のテルライトEDFAの増幅帯域を1.53μmより短波長側にかつ1.56μmより長波長側に拡大することを目的としている。
【0193】
それを実現するため、以下の応用例では、Er添加テルライト光ファイバを、連結された少なくとも一つの光ファイバとして用い、該Er添加テルライト光ファイバの前段にそれよりも短尺(または、Er濃度およびファイバ長積の小さい)なEr添加テルライト光ファイバもしくは、異種素材をホストとするEr添加光ファイバを連結し、増幅媒体としている。異種素材としては、フッ化物ガラス(Er添加ZrF 系フッ化物ガラス又はInF 系フッ化物ガラス)や石英系ガラス,フツリン酸ガラス,リン酸ガラス,カルコゲナイトガラスが使用できる。
【0194】
このような増幅器構造をとることにより、従来のテルライトEDFAよりも広い波長域で低雑音で動作できるEDFAを実現することができる。
【0195】
応用例41)
図31は、応用例に係る光増幅器の一構成例を示す図である。図中、201a,201b,201cは光アイソレータであり、202a,202bは励起光を導入するための光カップラであり、203a,203bは励起光源であり、204,205は増幅用光ファイバである。
【0196】
応用例では、増幅用光ファイバ204として、Erの濃度100ppmのAl(アルミニウム)添加石英光ファイバ(長さ25m,カットオフ波長1.2μm,濃度ファイバ長積2500m・ppm)を用いた。また、励起光源203aとして、発振波長1.48μmの半導体レーザを用いた。さらに、増幅用光ファイバ205として、TeO −ZnO−Na O−Bi の組成(55≦TeO ≦90,0≦ZnO≦35,0≦Na O≦35,0<Bi ≦20、単位モル%)のガラスを母材とし、Er添加濃度500ppmで、カットオフ波長が1.3μm(濃度ファイバ長積6000m・ppm)で、長さを12mとしたテルライト光ファイバを用いた。また、励起光源203bとして、発振波長1.48μmの半導体レーザを用いた。
【0197】
光源203aの励起光量を70mWとし、光源203bの励起光量を150mWとしたとき、波長1.525μmから1.610μmの85nmの帯域で20dB以上の利得および5dB以下の雑音指数を確認することができた。
【0198】
このような広帯域で低雑音動作するEDFAは従来の構成では実現されていない。
【0199】
増幅用光ファイバ204を用いない場合は、1.54μmより短波長では、雑音指数は5dBより高く、1.525μmでは10dB以上の値となっており、また、20dB以上の利得は1.53μmから1.61μmの80nm帯でのみ得られた。
【0200】
応用例において、低雑音帯が短波長に伸び、結果としてEDFAの動作波長帯が拡がったのは、Er濃度ファイバ長積の小さな増幅用光ファイバをテルライト光ファイバの前段に配置し、高利得低雑音で1.525μmから1.54μmの波長を増幅した後、テルライト光ファイバの増幅を起こさせているためである。
【0201】
つぎに、本応用例の一変形例について説明する。
【0202】
増幅用光ファイバ204として、Erの濃度1000ppmのAl(アルミニウム)添加石英光ファイバ(長さ12m,カットオフ波長1.2μm,濃度ファイバ長積12,000m・ppm、この積はエルビウム添加テルライトファイバのものよりも大きい)を用いた。
【0203】
光源203aの励起光量を70mWとし、光源203bの励起光量を150mWとしたとき、波長1.535μmから1.610μmの75mmの帯域で20dB以上の利得および5dB以下の雑音指数を確認することができた。
【0204】
このような広帯域で低雑音動作するEDFAは従来の構成では実現されていない。
【0205】
応用例42)
応用例では、増幅用光ファイバ204として、Er濃度100ppmファイバ長3.5mのZrF 系フッ化物光ファイバ(カットオフ波長1.2μm,Er濃度ファイバ長積3500m・ppm)を用い、励起光源203として、発振波長1.48μmの半導体レーザを用いた。また、増幅用光ファイバ205として、上記TeO −ZnO−Li O−Bi の組成(55≦TeO ≦90,0≦ZnO≦25,0≦Li O≦25,0<Bi ≦20、単位モル%)のガラスを母材とし、Er添加濃度が500ppmで、長さ12m、カットオフ波長が1.3μm(Er濃度ファイバ長積6000m・ppm)のテルライト光ファイバを用いた。さらに、励起光源203bとして発振波長1.48μmの半導体レーザを用いた。
【0206】
光源203aの励起光量を70mWとし、光源203bの励起光量を150mWとしたとき、波長1.525μmから1.610μmの85nmの帯域で20dB以上の利得および5dB以下の雑音指数を確認することができた。増幅用光ファイバ304を用いない場合は、1.54μmより短波長では、雑音指数は5dBより高く、1.525μmでは10dB以上の値となっており、また、20dB以上の利得は1.53μmから1.61μmの80nm帯でしか得られなかった。
【0207】
応用例43)
応用例では、増幅用光ファイバ204,205とも上記TeO −ZnO−Na O−Bi の組成(55≦TeO ≦90,0≦ZnO≦35,0≦Na O≦35,0<Bi ≦20、単位モル%)のガラスを母材とし、Er添加濃度が500ppmで、カットオフ波長が1.3μmであるテルライト光ファイバを用いた。増幅用光ファイバ4ではファイバ長を3mとし、増幅用光ファイバ205ではファイバ長を12mとした。励起光源203aとしては、発振波長0.98μmの半導体レーザを用い、光源203bとしては、発振波長1.48μmの半導体レーザを用いた。
【0208】
光源203の励起光量を100mWとし、光源203bの励起光量を150mWとしたとき、波長1.525μmから1.610μmの85nmの帯域で20dB以上の利得および5dB以下の雑音指数を確認することができた。増幅用光ファイバ304を用いない場合は、1.54μmより短波長では、雑音指数は5dBより高く、1.525μmでは10dB以上の値となっており、また、20dB以上の利得は1.53μmから1.61μmの80nm帯でしか得られなかった。
【0209】
以上の応用例では、全て増幅用光ファイバ204,205をそれぞれ前方励起および後方励起としたが、励起法は特にこれらに限定されるものではなく、双方向励起を含めたいずれの励起法を取っても良い。
【0210】
応用例44)
応用例では、増幅用光ファイバ4としては、応用例41〜43のものを用い、増幅用光ファイバ205として、TeO −ZnO−M O−Bi −Al (Mは1種類以上のアルカリ元素)系ガラスを母材としたEr添加テルライト光ファイバ(Er濃度500ppm、長さ14m)を使用した。この場合も、増幅用光ファイバ4を用いることにより、用いないときよりも低雑音な増幅帯域の拡大を確認することができた。
【0211】
応用例45)
応用例では、増幅用光ファイバ204として、Erが添加されたフツリン酸光ファイバ,リン酸光ファイバ,カルコゲナイト光ファイバを用いた。増幅用光ファイバ204のEr濃度ファイバ長積が、増幅用光ファイバ205のテルライト光ファイバより小さいとき、低雑音な増幅帯域の拡大を確認することができた。つまり、増幅用光ファイバ204の素材は、本発明の効果を発現させるためには、大きな問題にはならず、Er濃度ファイバ長積が重要なパラメータとなる。
【0212】
以上の応用例40〜45では、Er添加濃度ファイバ長積の異なる2つの光ファイバを増幅媒体としたが、3つ以上であっても良い。このとき、Er添加濃度光ファイバ長積の最小の光ファイバは最も後段以外はいずれの位置でも良いが、好ましくは最前段が良い。
【0213】
つぎに、非石英系光ファイバと石英系光ファイバとを、あるいはコア屈折率が互いに異なる非石英系光ファイバ同士を確実にかつ低損失、低反射で接続するための構造について説明する。
【0214】
図32は、非石英系光ファイバと石英系光ファイバとの接続部の構成を説明するための模式図である。図中、参照符号301は非石英系光ファイバ、302は石英系光ファイバ、303a,303bは、それぞれ非石英系光ファイバおよび石英系光ファイバ2の端部を保持する光ファイバ保持筐体、304aおよび304bは光ファイバ保持筐体303aおよび303bの接続端面、305は光学接着剤を示し、非石英系光ファイバ301および石英系光ファイバ302は、それぞれの接続端面304a,304bの垂直軸に対してそれぞれ異なる角度θ ,θ で保持される。この場合、非石英系光ファイバ301と石英系光ファイバ302間の低損失な接続は、角度θ ,θ [rad]が式(1)に示すスネルの公式を満足することにより実現できる。また、非石英系光ファイバ301と石英系光ファイバ302の接続部における反射減衰量R およびR は、それぞれ、下記の式(5),(6)で表される。
【0215】
【数4】
Figure 0003730775
【0216】
【数5】
Figure 0003730775
【0217】
(上式は文献[H. M. Presby, et. al, "Bevelled-microlensed taper connector s for laser and fiber back-reflections", Electron. Lett., vol.24, pp.1162-1163, 1988]による。)ここで、nUVは光学接着剤305の屈折率、λは信号波長(使用する波長)、ω ,ω は各々非石英系光ファイバ301と石英系光ファイバ302のモードフィールド半径を示す。従って、上記(5),(6)式より、角度θ ,θ を調整することにより、所望の反射減衰量以上の低反射接続が実現できる。例えば、非石英系光ファイバ301(Zr系フッ化物ファイバ:コア屈折率1.55、In系フッ化物ファイバ:コア屈折率1.65、カルコゲナイド系ガラスファイバ(ガラス組成As−S):コア屈折率2.4、テルライトガラスファイバ:コア屈折率2.1)に対して所望の反射減衰量R を実現するために必要な角度θ 、および石英系光ファイバ302に対して所望の反射減衰量を実現するために必要な角度θ は、式(5)および(6)を変形した次の式(7)および(8)で計算できる。
【0218】
【数6】
Figure 0003730775
【0219】
【数7】
Figure 0003730775
【0220】
光学接着剤5の屈折率nUVを1.5、信号波長λを1.3μm、非石英系光ファイバ1と石英系光ファイバ2のスポットサイズ(半径)ω ,ω を5μmとした場合、R =40dB、50dB、60dBおよびR =40dB、50dB、60dBを実現するためのθ およびθ を表1に示す。ここで、石英系光ファイバ2に対して、反射減衰量R =40dB、50dB、60dBを実現するために必要な角度θ が0となっているが、これは、光学接着剤の屈折率nUVが石英系光ファイバ2のコア屈折率と同じものを採用したためである。この結果、例えば、テルライトガラス光ファイバと石英系光ファイバ間における低損失で反射減衰量50dBの接続は、θ を3.2[deg]、θ を4.5[deg]にすれば実現できる(θ の角度は式(1)より導出)。
【0221】
【表1】
Figure 0003730775
【0222】
以上説明したように、本接続部は、
1)非石英系光ファイバと石英系光ファイバとの光軸が同一直線上になく、両者の光軸の関係がスネルの公式を満足する関係にあること、
2)従来技術必要とされた反射防止用の誘電体膜を必要としないこと、
3)非石英系光ファイバの光軸の光ファイバ保持筐体・接続端面の垂直軸に対する傾き角度と石英系光ファイバの光軸の光ファイバ保持筐体・接続端面の垂直軸に対する傾き角度が異なることによって従来のものと大きく異なる。
【0223】
なお、上記説明では、非石英系光ファイバ301あるいは石英系光ファイバ302の端部を保持する光ファイバ保持筐体303a,303bの接続端面304a,304bの間に光学接着剤305を介して接続していたが、図33に示すように、両接続端面を完全に密着させても良い。ただし、この場合、光ファイバ保持筐体303a,303bの固定はその両脇間を接着剤306により固定(以下の応用例では把持固定と呼ぶ)することとなる。また、この場合、式(5)ではuUVをn に、式(6)ではuUV をn に、式(7)および(8)ではuUVをそれぞれn およびn に変更することにより、非石英系光ファイバ1に対して反射減衰量R =40dB、50dB、60dBを実現するために必要な角度θ が計算できる。
【0224】
また、上記では、非石英系光ファイバと石英系光ファイバの低損失・低反射接続について説明したが、異なるガラスから成る2本の非石英系ファイバ間の接続、例えば、カルコゲナイドガラスファイバとIn系フッ化物ファイバ間等、全ての組み合わせに関しても有効に作用する。
【0225】
(応用例46)
図34および35を用いてこの応用例を説明する。図34は接続部の上面図、図35は接続部の断面図である。参照符号301はEr添加テルライトガラス光ファイバ(ガラス組成はTeO −ZnO−Na O−Bi 、コア屈折率は2.1、モードフィールド半径は5μm、Er添加濃度は4000ppm、ファイバの被覆はUV樹脂)、2は石英系光ファイバ(コア屈折率は 1.5、モードフィールド半径は5μm、被覆はUV樹脂)、307aおよび307bはそれぞれ光ファイバ1および2の端部を保持するV溝型光ファイバ保持筐体であり、各光ファイバ301および302は、V溝基板8により位置決めされ、接着剤310と光ファイバ固定板309によりV溝型光ファイバ保持筐体307aおよび307bに固定した。ただし、V溝型光ファイバ保持筐体307a,307b、V溝基板308、光ファイバ固定板309の材質はパイレックスガラス(登録商標)製のものを使用した。さらに、311aおよび311bは、それぞれV溝型光ファイバ保持筐体307aおよび307bの接続端面、305は光学接着剤(本応用例ではエポキシ系のUV接着剤を使用した。屈折率1.5である。)を示し、Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302は、各々の接続端面311a,311bの垂直軸に対してθ =18[deg]、θ =25[deg]で保持した。この接続により、Er添加テルライトガラス光ファイバ301と石英系光ファイバ302間を接続損失0.2dBで接続できた。ただし、接続損失は、Er添加テルライトガラス光ファイバ301のErイオンの吸収の無い、1.3μmで測定した。次に市販の反射減衰量測定器を使用し、波長1.3μmでの反射減衰量を測定した。Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302側より測定した反射減衰量は、いずれもこの装置の測定限界である60dBを越える高性能な特性を示した。また、Er添加テルライト光ファイバ1および石英系光ファイバ302の、それぞれの接続端面311aおよび311bの垂直軸に対する角度を、{θ =8[deg]、θ =11.2[deg]}および{θ =14[deg]、θ =20[deg]}にした場合においても、Er添加テルライトガラス光ファイバ301と石英系光ファイバ302間の接続損失0.2dB(測定波長1.3μm)、Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302側より測定した反射減衰量は、それぞれ測定限界の60dB以上であった。
【0226】
上述した角度θ ,θ の値からわかるように、sinθ /sinθ の値は必ずしも厳密にはn /n の値と一致しない。これは実際には光ファイバのコアの等価屈折率に影響されるためである。実用上の問題ではsinθ /sinθ の値はn /n の±10%の範囲内であればよい。
【0227】
ただし、Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302の、各々の接続端面311aおよび311bの垂直軸に対する角度を、{θ =5[deg]、θ =7[deg]}にした場合、Er添加テルライトガラス光ファイバ1と石英系ファイバ2間を接続損失は0.2dB(測定波長1.3μm)、石英系光ファイバ2側より測定した反射減衰量は60dB以上であったが、Er添加テルライトガラス光ファイバ1側より測定した反射減衰量は55dBであり、この結果、sinθ /sinθ の値がn /n の値に対して上述した範囲内であっても、Er添加テルライトガラス光ファイバと石英系光ファイバを低損失、かつ両方向に対して低反射(反射減衰量60dB以上)で接続するのには、テルライトガラス光ファイバについて、接続端面の垂直軸に対して8[deg]以上の角度が要求されることが判明した。
【0228】
なお、屈折率1.55を有する光学接着剤5を用いても、屈折率1.5の光学接着剤を用いた場合と同様な結果を得た。
【0229】
応用例47)
次に、図36および図37を用いてこの応用例を説明する。図36は接続部の上面図、図37は接続部の断面図である。参照符号301はEr添加テルライトガラス光ファイバ(ガラス組成はTeO −ZnO−Na O−Bi 、コア屈折率は2.1、モードフィールド半径は5μm、Er添加濃度は4000ppm、ファイバの被覆はUV樹脂)、302は石英系光ファイバ(コア屈折率は〜1.5、モードフィールド半径は5μm、被覆はUV樹脂)であり、応用例46と同様に、光ファイバ301および302の端部をそれぞれV溝型光ファイバ保持筐体307aおよび307bで保持した。ただし、本応用例では、V溝型光ファイバ保持筐体307aおよび307bのそれぞれの接続端面311aおよび311b間に光学接着剤を介さずに、完全に密着させて接続し、V溝型光ファイバ保持筐体307aと307bの固定はその両脇間を接着剤306により固定(把持固定)した。Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302の、それぞれの接続端面311aおよび311bの垂直軸に対する角度はθ =18[deg]およびθ =25[deg]である。本応用例47でも、Er添加テルライトガラス光ファイバ301と石英系光ファイバ302間の接続損失は0.2dB(測定波長1.3μm)であり、Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英光ファイバ302側より測定した反射減衰量は、それぞれ60dB以上であった。また、応用例46と同様に、Er添加テルライトガラス光ファイバと石英系光ファイバを低損失・低反射(反射減衰量60dB以上)で接続するのには、Er添加テルライトガラス光ファイバを、接続端面の垂直軸に対して8[deg]以上の角度が要求されることが実験的に判明した。
【0230】
応用例48,49)
次に、図38ないし図41を用いて応用例48および49を説明する。図38および図40はそれぞれ接続部の上面であり、図39および図41はそれぞれ接続部の断面図である。これらの図において、参照符号301はEr添加テルライトガラス光ファイバ(ガラス組成はTeO −ZnO−Na O−Bi 、コア屈折率は2.1、モードフィールド半径は5μm、Er添加濃度は4000ppm、ファイバの被覆はUV樹脂)であり、本応用例48および49では光ファイバ保持筐体としてガラスフェルール312a,312bを適用した。接続端面313a,313bは各々のガラスフェルール312a,312bを斜め研磨することにより実現した。
【0231】
Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302は接着剤310(UV接着剤を使用)を用いて、ガラスフェルール312a,312bに固定した。図38および図39に示した応用例48は、接続端面313aと313bの間に光学接着剤305(屈折率は1.5および1.55の2種を用いた)を介して接続するものであり、また、図40および図41に示した応用例49は、接続端面313aと313bとを完全に密着させて接続するものである。応用例48および49における、Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302の、各々の接続端面313aおよび313bの垂直軸に対する角度はθ =12[deg]、θ =17[deg]であり、Er添加テルライトガラス光ファイバ301と石英系光ファイバ302間を接続損失0.2dB(測定波長1.3μm)、Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバ302側より測定した反射減衰量は、各々60dB以上を実現した(応用例47では光学接着剤の屈折率として1.5と1.55の2種を用いたが、結果は同じであった)。また、応用例46および47と同様に、Er添加テルライトガラス光ファイバと石英系光ファイバを低損失・低反射(反射減衰量60dB以上)で接続するのに必要なテルライトガラス光ファイバと接続端面・垂直軸間の角度は8[deg]以上であった。
【0232】
さらに、上記応用例46ないし49に示した接続法により、Er添加テルライトガラス光ファイバ1(ガラス組成はTeO −ZnO−Na O、コア屈折率は2.1、モードフィールド半径は5μm、Er添加濃度は4000ppm、ファイバ長は1m、被覆はUV樹脂)の両端に石英系光ファイバを接続し、図42に示す光ファイバ増幅器を構成した。314aおよび314bはEr添加テルライトガラス光ファイバ301への励起光を発生する励起光源部で発振波長1.48μm、出力200mWの半導体レーザ、315aおよび315bは信号光と励起光源部314a,314bで発生された励起光を合波する合波部、316aおよび316bは光増幅器の発振を抑えるための光アイソレータである。また、317aおよおび317bは好ましい接続部を示し、応用例46(光学接着剤の屈折率は1.55)、応用例47、応用例48(光学接着剤の屈折率は1.55)、および応用例49に示す全ての方法を適用した。ただし、応用例46および47に示す接続部は、Er添加テルライトガラス光ファイバ301および石英系光ファイバの接続端面311aおよび311bの垂直軸に対する角度はθ =14[deg]、θ =20[deg]、応用例48および49に示す接続部では、Er添加テルライトガラス光ファイバ1および石英系光ファイバの接続端面313a,313bの垂直軸に対する角度はθ =12[deg]、θ =17[deg]を採用した。応用例46応用例47応用例48、および応用例49に示した全ての接続法を用いることにより、光ファイバ増幅器の信号利得40dB以上を実現すると共に、光ファイバ増幅器におけるゴーストの発生はなかった。図43に本光ファイバ増幅器の増幅特性の一例を示す。接続法は応用例46の方法を採用した。
【0233】
応用例50)
各種の非石英系光ファイバを石英系光ファイバと接続した。
【0234】
表2および表3にその結果をまとめて示す。非石英系光ファイバ301としては、
1.テルライトガラス光ファイバ(表2では非石英系光ファイバAと表示)
ガラス組成:TeO −ZnO−Na O−Bi
コア屈折率:2.1
2.Zr系フッ化物光ファイバ(表2では非石英系光ファイバBと表示)
ガラス組成:ZrF −BaF −LaF −YF −AlF
LiF−NaF、
コア屈折率:1.55、モードフィールド半径:4μm、
被覆:UV樹脂
3.In系フッ化物光ファイバ(表3では非石英系光ファイバCと表示)
ガラス組成:InF −GaF −ZnF −PbF −BaF
SrF −YF −NaF、
コア屈折率:1.65、モードフィルード半径:4.5μm
被覆:UV樹脂
4.カルコゲナイド系ガラス光ファイバ
(表3では非石英系光ファイバDと表示)
ガラス組成:As−S、コア屈折率:2.4、
モードフィールド半径:3μm、被覆:UV樹脂を用いた。
【0235】
なお、上記非石英系光ファイバA,B,C,Dでは、希土類元素としてEr(添加濃度1000ppm)、Pr(添加濃度500ppm)、Tm(添加濃度2000ppm)、Ho(添加濃度1000ppm)、Yb(添加濃度500ppm)、Tb(添加濃度2000ppm)、Nd(添加濃度1000ppm)、Eu(添加濃度2000ppm)の1種または2種以上を添加したものと、添加しないものについて行った。また、接続する石英系光ファイバ(コア屈折率は1.5)のモードフィールド半径は、上記各々の非石英系ファイバと同一とし、接続の形態は応用例46ないし49の何れかを適用した。なお、応用例46および応用例47の接続形態の適用時使用した接続端面13−1と13−2間用の光学接着剤5の屈折率は1.5である。接続損失および反射減衰量は希土類元素の添加の有無および添加希土類元素の種類に関係なかった。
【0236】
【表2】
Figure 0003730775
【0237】
【表3】
Figure 0003730775
【0238】
表2および表3に示すように、前記応用例の接続法を用いることにより、非石英系光ファイバを低損失でかつ低反射で接続できた。なお、表2および表3では低反射(反射減衰量60dB以上)の例を示したが、上記Zr系フッ化物光ファイバではθ <3[deg]で、上記In系フッ化物光ファイバではθ <4[deg]、上記カルコゲナイド系ガラス光ファイバではθ <8[deg]で両方向の反射減衰量60dB以上が達成できなくなり、両方向ともに反射減衰量60d B以上を実現するには、この値より大きな角度のθ が必要であった。
【0239】
上記Pr添加In系フッ化物ファイバ(表3では非石英系光ファイバDと表示)を用いて1.3μm帯光ファイバ増幅器を構成し、信号利得30dB以上の増幅器を実現した。ただし、接続形態は応用例47であり、θ は5[deg]、θ は5.5[deg]とし、励起光源には1.047μm発振のNd−YL Fレーザを用いた。また、ゴーストの問題もなかった。
【0240】
上記応用例では非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続に関して説明した。ここで、2本の異なるガラスからなる非石英系光ファイバ間の接続結果について説明する。使用した非石英系光ファイバとしては、上記応用例50で述べた非石英系光ファイバA,B,C,Dの4種を用いた。なお、希土類元素は添加していない。表4に結果を示す。各光ファイバのコア屈折率と接続角度の関係は上記応用例で説明した範囲である。表4に示すように、前記応用例の接続法を用いることにより、非石英系光ファイバ同士を低損失でかつ低反射で接続できた。
【0241】
【表4】
Figure 0003730775
【0242】
以上の応用例46〜50で説明した光増幅媒体、該光増幅媒体を用いた光増幅器およびレーザ装置の特性と、本来Er添加テルライト光ファイバ増幅器のもつ広帯域性を合わせると波長多重光伝送システムや光CATVシステムの高性能化を進めることができ、その結果、それらシステムを用いたサービスの高度化、経済化に大きく寄与できるという利点がある。
【0243】
また、広帯域の増幅器として波長多重光伝送システムで利用すれば伝送容量の格段の増大が期待でき、情報通信の低コスト化に寄与できる。また、光CATVシステムにおいて、そのゲインチルトが小さい特性を利用して使用すれば、従来は困難であった波長多重による高品質な映像の分配や中継が可能となり、やはり光CATVの低コスト化が達成できるという大きなメリットがある。さらに、レーザ装置として応用すれば各種波長多重光伝送システムの低コスト化や光計測の高性能化に寄与できる。
【0244】
(実施例51)
本発明では、Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路をASE(Amplifier Spontaneous Emission)光源として利用した場合について述べる。通常、Er添加テルライト光ファイバを励起するとファイバより図46の実線で表したスペクトルのASEが得られ、これを1.5から1.6μmの光源として利用することができる。この実線のスペクトルのままでも光源として利用可能である。しかし、スペクトルの波長依存性がなくなってフラットになれば、応用範囲が広がる。
【0245】
本実施例では、図44に示す構成でASE光源を作製した。Er添加テルライトファイバ402は、TeO −ZnO−M O−Bi 系(Mは一つ以上のアルカリ金属元素)ガラスまたはTeO −ZnO−M O−Bi −Al 系(Mは一つ以上のアルカリ金属元素)系ガラスを材料として作製した。コア中のEr塩化濃度は、2,000ppm、ファイバ長は4m、カットオフ波長は1.3μm、△nは1.5%であった。
【0246】
図中、参照符号401は励起光(波長1.48μm)と1.5μm以上の波長とを合分波するための光カップラ、403は1.56μmを中心とし、その長波長、短波長の光を合分波する光カップラ、404および405は光減衰器、406および408は反射体である。参照符号2で示すEr添加テルライト光ファイバ中で発生したASEのうち、1.56μmより長波長域の光は、光減衰器404を通過したのち、反射体406で反射された後、逆進して再度Er添加テルライト光ファイバ402中を通過して増幅され、光カップラ401の一端から出射される。また、1.56μmより短波長の光は光減衰器405を通過した後、反射体408で反射された後、逆進して再度Er添加テルライト光ファイバ402中を通過して増幅される。増幅された光は光カップラ401の一端から出射された。
【0247】
反射体の反射率を図45のようにしたとき、すなわちASEのピーク付近では反射率を小さくし、ピーク波長から離れるに従って大きくすることにより、図46の破線で示すような1.53μmから1.60μmにかけて強度の波長依存性の小さいASEスペクトルが得られた。このとき、光減衰器404,405の減衰量を最適化した。光導波路を増幅媒体とした場合も強度の波長依存性の小さいASEスペクトルを得ることができた。
【0248】
(実施例52)
本実施例では、図47の構成で光増幅特性の評価を行った。本構成は図44の構成を基本とするもので、光カップラ401aの信号入力端に光サーキュレータ409を結合させ、Er添加テルライト光ファイバの後段に励起用光カップラ401bを結合させた。励起光は0.98μmまたは1.48μmの波長のものを用い、0.98μmの前方から入射、1.48μmを後方から入射するなどした。また、前方、後方励起光とも1.48μm光を用いた光増幅も行った。
【0249】
その結果、1.53μmから1.60μmの間で利得の波長依存性の小さな利得スペクトルが得られた。このとき、光減衰器404、405の減衰量を最適化した。
【0250】
通常、図43に示すような利得の波長依存性の大きな利得スペクトルを平坦化させるには、1.53μmから1.57μmに見られる利得の山をファイバブラッググレーティング等のフィルタにより光増幅器に損失を与えることで切り取りおよび平坦化を行っている。しかし、この方法では光増幅器の量子効率が低下すること、平坦化した後の利得が低い値に統一される(図43では1.58μm付近の利得値)という欠点があった。しかし、本実施例では量子効率の低下は原理的ではなく、また平坦後の利得は元々の低い値にではなく高い値に統一されるという利点がある。
【0251】
なお、反射体406,408は誘電体多層膜やファイバブラッググレーティングなどが使用できる。また、増幅用光ファイバとしてはEr添加テルライト光ファイバだけではなく、石英系光ファイバやフッ化物光ファイバを用いても利得平坦化の効果を確認することができた。また、光導波路を用いても同様な効果を確認することができた。
【0252】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、Erの1.5μm帯の誘導放出断面積がより平坦になるファイバホストとして光増幅用テルライトガラスを提供するとともに、該ガラスを光増幅媒体とした利得平坦化したテルライトEDFAを提供することが可能となる。また、従来のテルライトEDFAの動作波長帯域を拡大して、より広帯域な領域の低雑音動作するテルライトEDFAを提供することが可能となる。さらに、光学活性な希土類元素を添加してたとえば広帯域EDFAのような従来のガラスでは実現不可能だった機能を発現できるテルライトファイバを提供することを提供することが可能となる。また、該テルライトガラスを用い、特に1.5μmから1.7μmの波長域でも動作可能な広帯域の光増幅媒体、該光増幅媒体を用いた広帯域かつ低雑音特性を有する光増幅器、レーザ装置、さらに光源を提供することも可能となる。さらにまた、非石英系光ファイバと石英系光ファイバとを、あるいはコア屈折率が互いに異なる非石英系光ファイバ同士を確実にかつ低損失、低反射で接続する汎用的・実用的な接続技術を提供することが可能となる。したがって、上記光増幅媒体、該光増幅媒体を用いた光増幅器およびレーザ装置の特性と、本来Er添加テルライト光ファイバ増幅器のもつ広帯域性を合わせると波長多重光伝送システムや光CATVシステムの高性能化を進めることができ、その結果、それらシステムを用いたサービスの高度化、経済化に大きく寄与できるという利点がある。
【0253】
また、広帯域の増幅器として波長多重光伝送システムで利用すれば伝送容量の格段の増大が期待でき、情報通信の低コスト化に寄与できる。また、光CATVシステムにおいて、そのゲインチルトが小さい特性を利用して使用すれば、従来は困難であった波長多重による高品質な映像の分配や中継が可能となり、やはり光CATVの低コスト化が達成できるという大きなメリットがある。さらに、レーザ装置として応用すれば各種波長多重光伝送システムの低コスト化や光計測の高性能化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 テルライト系ガラス中のErの 13/215/2発光スペクトルを表す図である。
【図2】 3準位系(Er3+の1.54μm付近)のエネルギー準位図(ただし、3準位系ではN ≠0)である。
【図3】 4準位系(Nd3+の1.06μm付近)のエネルギー準位図(4準位系ではN =0)である。
【図4】 テルライトガラス(実線)および石英系ガラス(破線)をホストとした石英EDFAの理想的な増幅特性を示す図である。
【図5】 損失の大小による増幅帯域の相違の説明図であり、損失が大きくなると利得の減少とともに増幅帯域も大きく減少する。
【図6】 非石英系光ファイバと石英系光ファイバの従来の接続を説明する図である。
【図7】 非石英系光ファイバと石英系光ファイバの従来の接続を説明する図である。
【図8】 接続面の反射によるゴースト発生を説明する図である。
【図9】 非石英系光ファイバと石英系光ファイバの従来の接続を説明する図である。
【図10】 非石英系光ファイバと石英系光ファイバの従来の接続を説明する図である。
【図11】 非石英系光ファイバと石英系光ファイバの従来の接続を説明する図である。
【図12】 Bi が5モル%のときのTeO −Na O−ZnO系ガラスの安定ガラス化範囲を示す模式図である。
【図13】 Bi が5モル%のときのTeO −Li O−ZnO系ガラスの安定ガラス化範囲を示す模式図である。
【図14】 75TeO −20ZnO−5Na O(Bi 無添加)ガラス(上側の線)、77TeO 15.5ZnO−6Na O−1.5Bi ガラス(中側の線)、73.5TeO −15.5ZnO−6Na O−5Bi ガラス(下側の線)の場合のDSC測定図である。
【図15】 83TeO −5ZnO−12Li O(上側の線)および78TeO −5ZnO−12Li O−5Bi (下側の線)ガラスのDSC測定図である。
【図16】 TeO −Na O−ZnO−Bi 系ガラスの屈折率(n )のBi 添加量依存性を表す図である。
【図17】 TeO −Na O−ZnO系ガラスの安定ガラス化範囲を示す模式図である。
【図18】 Er3+のエネルギー準位図である。
【図19】 本発明にもとづく光増幅器の一構成例を模式的に示す図である。
【図20】 本発明にもとづくレーザ装置の一例を示す構成図である。
【図21】 本発明にもとづくレーザ装置の一例を示す構成図である。
【図22】 実施例8で得られた利得スペクトルを表わす図である。
【図23】 本発明にもとづくレーザ装置の他の例を示す構成図である。
【図24】 Bi が5モル%のときのTeO −Li O−ZnO系ガラスの安定ガラス化範囲(A:Tx−Tg>120℃、B:結晶化ピークなし)を示す模式図である。
【図25】 組成73.5TeO −20ZnO−5Na O−1.5Bi ガラス(図中、a線)および73TeO −20ZnO−5Na O−2Bi ガラス(図中、b線)を用いた場合のそれぞれのDSCの測定図である。
【図26】 TeO −ZnO−Na O−Bi 系ガラスおよびTeO −ZnO−Na O−Bi −Al 系ガラスおよびTeO −ZnO−Li −Bi −Al 系ガラス中のErの1.5μm帯発光スペクトルを示す図である。
【図27】 TeO =75モル%およびBi =5モル%の場合のTeO −ZnO−LiO−Na O−Bi の5元系ガラスの安定ガラス化範囲を示す模式図である。
【図28】 TeO =80モル%およびBi =5モル%の場合のTeO −ZnO−LiO−Na O−Bi の5元系ガラスの安定ガラス化範囲を示す模式図である。
【図29】 Al =2モル%およびLi =12モル%の場合のTeO −ZnO−Li O−Al −Bi の5元系ガラスの安定化ガラス化範囲を示す模式図である。
【図30】 テルライト光ファイバを増幅媒体として用いた光増幅器の一構成例を示す図である。
【図31】 テルライト光ファイバを増幅媒体として用いた光増幅器の一構成例を示す図である。
【図32】 応用例にもとづく非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続部の一構成例を説明するための図である。
【図33】 応用例にもとづく非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続部の一構成例を説明するための図である。
【図34】 応用例にもとづく非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続部の一構成例を説明するための図である。
【図35】 図34に示す接続部の断面図である。
【図36】 応用例にもとづく非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続部の一構成例を説明するための図である。
【図37】 図36に示す接続部の断面図である。
【図38】 応用例にもとづく非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続部の一構成例を説明するための図である。
【図39】 図38に示す接続部の断面図である。
【図40】 応用例にもとづく非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続部の一構成例を説明するための図である。
【図41】 図40に示す接続部の断面図である。
【図42】 応用例にもとづく非石英系光ファイバと石英系光ファイバの接続部を適用した光ファイバ増幅器を説明するための模式図である。
【図43】 図42に示す光ファイバ増幅器における利得と波長との関係を示す図である。
【図44】 本発明にもとづくASE光源の概略的構成を説明するための模式図である。
【図45】 図44に示すASE光源のスペクトルの強度と反射体の反射率との関係を示すグラフである。
【図46】 ASE光源のスペクトル図である。
【図47】 本発明にもとづくファイバ増幅器の一例の概略的構成を説明するための模式図である。
【符号の説明】
111,111′ 励起用半導体レーザ(波長:1480nm)
112,112′ 光カップラ
113,115 増幅用光ファイバ
114 光アイソレータ
116 ミラー
117 フィルタ
118 ミラー
201 光アイソレータ
202 励起光源
203 光カップラ
204 分散媒質
205 光ファイバ
301 非石英系光ファイバ
302 石英系光ファイバ
303 光ファイバ保持筐体
304 接続端面
305 光学接着材
401 光カップラ
402 光ファイバ
403 光カップラ
404 光減衰器
405 光減衰器
406 反射体
408 反射体
409 光サーキュレータ

Claims (23)

  1. 光ファイバまたは光導波路用の材料ガラスであって、
    <Bi ≦20(モル%)、
    Na O≦35(モル%)、
    ZnO≦35(モル%)、および
    55≦TeO ≦90(モル%)
    からなる組成を持つことを特徴とするテルライトガラス。
  2. 前記テルライトガラスにおけるBi の添加量は、
    <Bi ≦15(モル%)
    の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のテルライトガラス。
  3. 光ファイバまたは光導波路用の材料であって、
    <Bi ≦20(モル%)、
    0<Li O≦25(モル%)、
    0<ZnO≦25(モル%)、および
    55≦TeO ≦90(モル%)
    からなる組成を持つことを特徴とするテルライトガラス。
  4. 光ファイバまたは光導波路用の材料ガラスであって、
    <Bi ≦20(モル%)、
    O≦35(モル%)、
    ZnO≦35(モル%)、および
    55≦TeO ≦90(モル%)
    からなる組成を持ち、さらに、前記MはNa、Li、K、Rb、Csからなる群から選択される少なくとも2種以上の一価金属であることを特徴とするテルライトガラス。
  5. 前記テルライトガラスにおけるBi の添加量が、
    <Bi ≦15(モル%)
    であることを特徴とする請求項4に記載のテルライトガラス。
  6. 光ファイバまたは光導波路用の材料ガラスであって、
    <Bi ≦20(モル%)、
    0<Li O≦25(モル%)、
    0<Na O≦15(モル%)、
    0<ZnO≦25(モル%)、および
    60≦TeO ≦90(モル%)
    からなる組成を持つことを特徴とするテルライトガラス。
  7. 前記テルライトガラスにおけるBi の添加量が、
    4<Bi <7
    であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のテルライトガラス。
  8. コアガラスとクラッドガラスとを有する光ファイバまたは光導波路からなる光増幅媒体であって、
    コアガラスおよび/またはクラッドガラスが請求項1ないしのいずれか一項に記載のテルライトガラスからなることを特徴とする光増幅媒体。
  9. コアガラスとクラッドガラスとを有する光ファイバまたは光導波路からなる光増幅媒体であって、
    前記コアガラスは、
    <Bi ≦20(モル%)、
    0<Na O<15(モル%)、
    5≦ZnO≦35(モル%)、および
    60≦TeO ≦90(モル%)
    からなる組成を持つテルライトガラスであり、また
    前記クラッドガラスは、
    第1の組成:5<Na O<35(モル%)、0≦ZnO<10(モル%)、および55<TeO <85(モル%)と、
    第2の組成:5<Na O<35(モル%)、10<ZnO≦20(モル%)、および55<TeO <85(モル%)と、
    第3の組成:0≦Na O<25(モル%)、20<ZnO≦30(モル%)、および55<TeO <75(モル%)からなる群から選択される一つの組成を持つテルライトガラスからなることを特徴とする光増幅媒体。
  10. 前記コアガラスのBi の添加量が、
    4<Bi ≦15(モル%)、
    であることを特徴とする請求項9に記載の光増幅媒体
  11. 前記コアガラスのテルライトガラスまたは前記クラッドガラスのテルライトガラスの少なくとも一つは、エルビウムまたはエルビウムおよびイッテルビウムが添加されていることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一項に記載の光増幅媒体。
  12. 前記コアガラスのテルライトガラスまたは前記クラッドガラスのテルライトガラスの少なくとも一つは、ホウ素、リン、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項ないし10のいずれか一項に記載の光増幅媒体。
  13. 前記コアガラスのテルライトガラスまたは前記クラッドガラスのテルライトガラスの少なくとも一つは、Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Gd,Eu,Dy,Ho,Tm、およびYbからなる群から選択される元素が添加されていることを特徴とする請求項ないし10のいずれか一項に記載の光増幅媒体。
  14. カットオフ波長が0.4μmから2.5μmであることを特徴とする請求項ないし13のいずれか一項に記載の光増幅媒体。
  15. 光共振器と、励起光源とを持つレーザ装置であって、前記光共振器に備わる光増幅媒体の少なくとも一つは、請求項ないし14のいずれか一項に記載の光増幅媒体からなることを特徴とするレーザ装置。
  16. 少なくともコアにエルビルムを添加した光ファイバよりなる光増幅媒体を複数直列に配置したレーザ装置であって、前記光増幅媒体の少なくとも一つは、請求項ないし14のいずれか一項に記載の光増幅媒体からなることを特徴とするレーザ装置。
  17. 光増幅媒体と励起光源とを有するレーザ装置であって、前記光増幅媒体は、請求項ないし14のいずれか一項に記載の光増幅媒体からなることを特徴とするレーザ装置。
  18. 光増幅媒体と、該光増幅媒体を励起する励起光および信号光を前記増幅媒体に入力する入力手段とを備えた光増幅器であって、前記光増幅媒体は、請求項ないし14のいずれか一項に記載の光増幅媒体からなることを特徴とする光増幅器。
  19. 少なくともコアにエルビウムを添加した光ファイバよりなる光増幅媒体を複数直列に配置した光増幅器であって、前記光増幅媒体の少なくとも一つは、請求項ないし14のいずれか一項に記載の光増幅媒体からなることを特徴とする光増幅器。
  20. Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路を光増幅媒体とし、該光増幅媒体の両端に光カップラを配置し、該光カップラの少なくとも一つの端子に反射体を具備したことを特徴とする光源であって、前記Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路の材料ガラスが請求項1ないし7のいずれか一項に記載されたテルライトガラスからなることを特徴とする光源
  21. Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路を光増幅媒体とし、該光ファイバまたは該光導波路の少なくとも一方の端に光カップラを配置し、該光カップラの少なくとも一つの端子に反射体を具備したことを特徴とする光増幅器であって、前記Er添加テルライト光ファイバまたは光導波路の材料ガラスが請求項1ないし7のいずれ か一項に記載されたテルライトガラスからなることを特徴とする光増幅器
  22. 反射体が誘電体多層膜フィルタまたはファイバブラックグレーティングからなることを特徴とする請求項20に記載の光源。
  23. 反射体が誘電体多層膜フィルタまたはファイバブラックグレーティングからなることを特徴とする請求項21に記載の光増幅器。
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