JP3730717B2 - 軒樋支持具用固定具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軒樋支持具を建物の壁や鼻隠し板などの被固定面に取り付ける際に使用する固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軒樋支持具には吊り具タイプや受け具タイプなどの種々のものがある。これらの共通する点は、建物の被固定面に取り付けられる取付部と、この取付部の前面に突設された支持腕とを備えた軒樋支持具の取付部を建物の軒先に釘やビスなどの固着具にて取り付け、支持腕に軒樋の両耳部を支持させて使用するものである。
【0003】
例えば実開昭63−187640号公報においては、軒先固定具が吊り金具主体の上方に位置するように取り付けられた固定板と該吊り金具主体の下方に向かいかつ建屋側端部が該固定板の面の延長線上に位置するように取り付けられた補強片とからなることを特徴とする面打ち用樋吊金具が記載されている。
【0004】
また、実公平3−21562号公報においては、鼻隠し板に取り付けられる固定板から軒先側に支持腕が突設され、この支持腕の前端側に軒樋の前方耳部を支持する前端側支持構造が設けられ、一方、支持腕の後端側に軒樋の後方耳部を支持する後端側支持構造が設けられ、この後端側支持構造が前記固定板の前方に設けられた耳受部と、前記支持腕から固定板側にやや斜め上方に傾斜して設けられたバネ板とから形成された合成樹脂製の軒樋吊具が記載されている。
【0005】
さらに、実公平5−32573号公報においては、被取付面に取り付けられる取付部と、軒樋を支持する支持部とを備え、前記取付部および支持部が透明な樹脂材料で一体成形された軒樋支持具が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の軒樋吊具を含む一般的なものは、水切り板および屋根材を施工したのちに鼻隠し板に軒樋吊具を取り付ける。このため、鼻隠し板に釘あるいはビスを使用して直接軒樋吊具を固定する場合、水切り板が邪魔となって釘打ち込み作業の妨げとなり、この結果、取付部の上方釘穴に釘を打ち込むことができなかった。また、軒樋吊具が下方に取り付けられることにより、軒樋の吊り下げ位置が下方となり、軒先の美観が損なわれるという問題もあった。
【0007】
本発明は上記従来の問題を解消しようとするものであり、その目的とするところは、軒樋支持具の取付位置を上方にすることができ、そのため軒先の美観は損なわれず、しかも、取付部の上下方向の動きを規制することができる軒樋支持具用固定具を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の軒樋支持具用固定具は、建物の被固定面に取り付けられる取付部と、軒樋を支持する支持部とを備えた軒樋支持具を前記被固定面に間接的に取り付けるための軒樋支持具用固定具であって、この固定具は少なくとも上方に開口した嵌挿溝を有し、この嵌挿溝の内面形状は前記軒樋支持具の取付部の外面形状にほぼ符合した形状とされ、上下方向のほぼ中央部の嵌挿溝を除いた両側部に通孔が設けられ、かつ、この通孔よりも下方に、前記軒樋支持具の取付部の下方通孔に対応した通孔が設けられているものである。
【0009】
(作用)
固定具の上下方向のほぼ中央部の嵌挿溝を除いた両側部に設けられた通孔を利用して、固定具を建物の被固定面の上方位置に釘やビスなどの固着具にて固定することができる。また、固定具は上方に開口し、しかも、その内面形状が取付部の外面形状に符合した形状とされた嵌挿溝を有しているので、被固定面に固定した固定具の前記嵌挿溝内に、軒樋支持具の取付部を上方から差し込んで嵌挿することができる。さらに、上記中央部の通孔よりも下方に、取付部の下方通孔に対応して設けられた通孔を利用して、取付部を固定具とともに建物の被固定面に釘やビスなどの固着具にて固定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の軒樋支持具用固定具の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)〜(c)は本発明の軒樋吊具用固定具の一実施例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。図2は軒樋吊具を図1の固定具に差し込んで取り付ける状態を示す説明図、図3は図2のX−X線における拡大断面図、図4は鼻隠し板に図1の固定具と軒樋吊具を取り付けた状態を示す説明図、図5は図4において軒樋の支持状態を示す説明図である。
【0011】
図1において、1はポリカーボネート樹脂製の軒樋吊具用固定具であり、この固定具1は横長矩形状の板状のものである。固定具1の厚み方向のほぼ中央には所定寸法の嵌挿溝10が上下方向に開口して形成されている。この嵌挿溝10の奥行き、上下長さおよび左右横幅は後述の軒樋吊具の取付部の寸法にほぼ対応した寸法とされている。すなわち、嵌挿溝10の内面形状は前記取付部の外面形状にほぼ符合した形状とされている。つまり、嵌挿溝10の正面視形状は、図1(a)に示すように、取付部の形状に符合した逆五角形状とされている。固定具1の前面側は上下・左右に幅広の逆T字状に切り欠かれて開口されている。
【0012】
固定具1の上下方向のほぼ中央部の嵌挿溝10の両側部11、11は、嵌挿溝10より少し段差が付けられて高くされている。この両側部11には通孔である釘孔12、12が形成されている。嵌挿溝10の上部前面側には係止片13、13が設けられている。この係止片13は嵌挿溝10内に嵌挿された取付部が前方に倒れて外れるのを防止する機能を有しており、係止片13、13間の間隔は、後述の軒樋吊具を嵌挿溝10に上方から挿入する際、取付部の前面に設けられた受部が引っ掛かって邪魔にならない間隔とされている。嵌挿溝10の下部前面側には係止片14が設けられており、嵌挿溝10内に嵌挿された取付部の下部が係止されるようにされている。この係止片14のほぼ中央には通孔である釘孔15が前後方向に貫通して設けられている。
【0013】
図2において、2はポリカーボネート樹脂製の軒樋吊具であり、この軒樋吊具2は取付部20と支持部30とから構成されている。取付部20は、図3に示すように、逆五角形状の板状体であり、その下部前面には受部21が突設され、外周縁には3個の通孔22、22、23が設けられ、釘などの固着具にて建物の壁や鼻隠し板などの被固定面に取り付けられるようになっている。なお、通孔22、22は上部左右に、通孔23は下部にそれぞれ設けられている。通孔23の位置は、取付部20を上記固定具1の嵌挿溝10内に嵌挿した時に、通孔15と対応するようにされている。
【0014】
図3に示すように、支持部30は断面形状がI字形状のものであり、取付部20前面の受部21より所定距離上方に離れた位置から屋外側に一体に突設されている。この支持部30の先端には上方に係止片31aが形成されて軒樋4(図5を参照)の屋外側耳部43を支持する屋外側耳支持部31となされ、一方、屋内側の基端部下面には取付部20の受部21と対向して板バネ32が斜め上方に一体に突設されている。取付部20の受部21の先端と、支持部30の板バネ32の先端との間隔は、軒樋40の屋内側耳部44の幅よりも狭く形成され、受部21と板バネ32にて軒樋40の屋内側耳部44を支持する屋内側耳支持部33を構成している。なお、上記支持部30の両端部を除いた部分は下方に窪んで凹部34を形成している。
【0015】
上記固定具1を使用して軒樋吊具2を被固定面である鼻隠し板5に取り付ける方法について図2〜図4に基づいて説明する。
【0016】
まず、固定具1の上下方向のほぼ中央部の嵌挿溝10を除いた両側部11に設けられた2個の通孔12を利用して、複数の固定具1を所定間隔を置いて鼻隠し板5の上方位置に固着具である釘6にて取り付けて固定する。つぎに、この固定した複数の固定具1の嵌挿溝10内に、軒樋吊具2の取付部20をそれぞれ上方から差し込んで嵌挿する。取付部20の下方通孔23と、この通孔23に対応した位置に設けられた固定具1の通孔15との位置合わせを行い、少し長めの釘7にて取付部20を固定具1とともに鼻隠し板5に固定する。
【0017】
つぎに上記固定具1および軒樋吊具2を使用して軒樋4を鼻隠し板5に取り付ける方法について図5に基づいて説明する。
【0018】
まず軒樋4について説明する。図4に示すように、軒樋4は平坦な底部40の両側に曲面状の前側壁41と、ほぼ垂直状の後側壁42とが立設され、この両側壁41、42の上端にそれぞれ前側(屋外側)耳部43と後側(屋内側)耳部44が設けられているものである。図に示すように、前側壁41のほうが後側壁42よりも高くされており、また、前側耳部43および後側耳部44は両側壁の上端より外方に突出して設けられている。前側耳部43の形状は樋内側に開口した断面略C字状の溝43aを有しており、一方、後側耳部44の形状は縦長の中空状のものである。
【0019】
そして、軒樋4の前側耳部43を溝43aを利用して屋外側耳支持部31に係止させ、この係止部を中心として、軒樋4を反時計回りに回動させることにより、後側耳部44を屋内側耳支持部33内に下方より押し込んで受部21に係止させる。このようにして、軒先に軒樋4を設置することができる。
【0020】
上記実施例においては、現在使用している軒樋吊具の取付部に合わせて、固定具の嵌挿溝の形状を決めれば、建物の形態や鼻隠し板の上下方向の幅の大小に応じて、二通りの使用ができる。
【0021】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
【0022】
たとえば、上記実施例では、固定具の材質を合成樹脂製のものとしたが、ステンレスなどの金属製のものとしてもよい。また、たとえば軒樋吊具が透明な合成樹脂製のものである場合、固定具も同様に透明な合成樹脂製のものとするのが好ましい。このようにすれば、固定具や取付部が目立たず、軒樋の美観も損なわれることがない。
【0023】
上記実施例では、軒樋吊具の材質を合成樹脂製のものとしたが、ステンレスなどの金属製のものとしてもよい。
【0024】
また、上記実施例では、軒樋支持具の一例として軒樋吊具を示したが、軒樋吊具に代えて軒樋受具としてもよい。
【0025】
さらに、上記実施例における軒樋吊具は取付部と軒樋支持部とが同一材料で一体に形成されたものであるが、たとえば取付部をステンレス製のものとし、軒樋支持部を合成樹脂製のものとしてもよい。その際、軒樋支持部を取付部に対して前後方向に摺動可能とすることにより、軒先での出寸法の調整を行える。
【0026】
【発明の効果】
本発明の軒樋支持具用固定具においては、固定具の上下方向のほぼ中央部の嵌挿溝を除いた両側部に設けられた釘穴を利用して、釘やビスなどの固着具にて固定することができるので、従来の軒樋支持具の取付部を直接たとえば鼻隠し板に固着具にて固定する場合に比べ、被固定面の上方位置に固定することができる。
【0027】
また、固定具は少なくとも上方に開口し、しかも、その内面形状が取付部の外面形状に符合した形状とされた嵌挿溝を有しているので、被固定面に固定した固定具の前記嵌挿溝内に、軒樋支持具の取付部を上方から差し込んで嵌挿するか、あるいは、取付部を嵌挿溝内に差し込んで被固定面に固定する方法などが考えられ、それらの後に、取付部の下方釘穴に対応して、中央部の釘穴よりも下方に設けられた釘穴を利用して、取付部を固定具とともに建物の被固定面に固定することができ、作業性にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軒樋吊具用固定具の一実施例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【図2】軒樋吊具を図1の固定具に差し込む状態を示す説明図である。
【図3】図2のX−X線における拡大断面図である。
【図4】鼻隠し板に図1の固定具と軒樋吊具を取り付けた状態を示す説明図である。
【図5】図4において軒樋の支持状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 固定具
10 嵌挿溝
11 両側部
12、15 通孔
13、14 係止片
2 軒樋吊具
20 取付部
21 受部
22、23 通孔
30 支持部
31 屋外側耳支持部
32 板バネ
33 屋内側耳支持部
4 軒樋
43 屋外側耳部
44 屋内側耳部
5 鼻隠し板(被固定面)

Claims (1)

  1. 建物の被固定面に取り付けられる取付部と、軒樋を支持する支持部とを備えた軒樋支持具を前記被固定面に間接的に取り付けるための軒樋支持具用固定具であって、この固定具は少なくとも上方に開口した嵌挿溝を有し、この嵌挿溝の内面形状は前記軒樋支持具の取付部の外面形状にほぼ符合した形状とされ、上下方向のほぼ中央部の嵌挿溝を除いた両側部に通孔が設けられ、かつ、この通孔よりも下方に、前記軒樋支持具の取付部の下方通孔に対応した通孔が設けられていることを特徴とする軒樋支持具用固定具。
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