JP3730576B2 - ステッピングモータ用駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステッピングモータ用駆動装置に係わり、特に、車両用指示装置内に備えられた指針駆動用ステッピングモータの回転を制御するステッピングモータ用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ステッピングモータを用いた車両用指示装置として、図2に示すような、指示装置が知られている。同図において、指示装置は、複数のステッピングモータ1と、このステッピングモータ1の回転に各々連動し、エンジンの回転数、車速、水温などを指示する指針2と、ステッピングモータ1の回転を制御するステッピングモータ用駆動装置3(以下、駆動装置3と略記する)とを備えている。
【0003】
上述したステッピングモータ1は、図3に示すように、各々2つの励磁コイル1a1、1a2と、NS極が交互に5極づつ着磁され、励磁コイル1a1、1a2の励磁状態の変化に追従して回転する回転子1bと、回転子1bの回転を指針2に伝えるギア1cとを備えている。
【0004】
さらに、ステッピングモータ1は、指針2側のギア1cの裏側に設けられ、回転子1bの回転動作に連動する被駆動部材としての片1dと、ステッピングモータ1を収納する図示しない収納ケースに設けられ、片1dとの当接により、回転子1bの回転を機械的に停止させるストッパ1eとを備えている。
【0005】
なお、片1dがストッパ1eに向かうように、ステッピングモータ1を回転させることを逆回転、逆回転中の指針2の回転方向を逆回転方向Y1とする。これに対して、片1dがストッパ1eから離れるように、ステッピングモータ1を回転させることを正回転、正回転中の指針2の回転方向を正回転方向Y2とする。また、ストッパ1eは、片1dと当接したときに、指針2が計測値0を指示するように設けられている。
【0006】
上記駆動装置3は、図2に示すように、アナログデータをデジタルデータに変換するとともに、パラレルデータをシリアルデータに変換するデータ変換部7を介して、回転数センサ、車速センサ、水温センサなどから構成されるセンサ群4と接続されている。そして、駆動装置3は、上記各種センサが計測した計測値に基づき、指針2の目標位置θと、現位置θ′との差である移動量θ−θ′を、角度情報として算出する。その後、駆動装置3は、算出した角度情報に応じて、位相が90度異なる2つの励磁パルスを、ステッピングモータ1内の励磁コイル1a1及び1a2に対して、それぞれ出力する。この駆動パルスの出力により、ステッピングモータ1が回転して、指針2が、移動量θ−θ′だけ移動して目標位置θを指示するようになる。
【0007】
ところで、上記指示装置は、車両の振動あるいは雑音が重畳している計測値の入力などの原因により、指針2が本来移動すべき移動量θ−θ′と、実際の移動量とが異なる脱調を起こしてしまうことがあった。そして、この脱調が繰り返されると、指針2が指示する計測値と、各種センサが計測した計測値との間で差異が生じ、正確な指示を行うことができなくなってしまう。
【0008】
そこで、このような問題を解決するために、駆動装置3は、電源が投入される毎に、後述するリセット動作を行っている。リセット動作において、駆動装置3は、片1dがストッパ1e側に向かうように、ステッピングモータ1を逆回転させる。さらに、駆動装置3は、片1dがストッパ1eに当接して、指針2が文字板上の計測値0の目盛上に停止すると、励磁コイル1a1及び1a2を予め定めた初期励磁状態に保持して、ステッピングモータ1の回転を電気的に停止する。なお、上記電源投入のタイミングとしては、例えば、ドアの開閉操作や、ドアロックの解除操作や、イグニッションキーのキーポジションをイグニッションにしたときなどが考えられる。
【0009】
以上のリセット動作を行うことにより、指針2が計測値0を指示していると認識しているとき、実際の指針2の指示位置も計測値0にすることができるため、指針2が指示する計測値と、センサが計測した計測値との差異をリセットすることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記指示装置は、イグニッションキーのキーポジションがイグニッションになったことに応じて、電源投入が開始された場合、このタイミングで、後述するリセット動作を行うと、以下に述べる問題が生じる。すなわち、一般的に車両用指示装置は、イグニッションキーのキーポジションがイグニッションオンになると、指針2による計測値の指示を開始する。
【0011】
ところが、イグニッションキーのキーポジションがイグニッションになったことに応じて、電源投入が開始された場合、指針2による計測値の指示を開始する前に、上述したリセット動作が行われてしまうため、すぐに計測値を指示することができないという問題があった。特に、上記指示装置を、タコメータに用いた場合、エンジンが始動しているにも拘わらず、リセット動作を行っていて、エンジンの回転数を指示していないという状況が発生する恐れがある。
【0012】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、イグニッションキーのキーポジションがイグニッションになった後、迅速に、計測結果の指示を行うことができるステッピングモータ用駆動装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、電源投入開始に応じて、車両用指示装置内に備えられた指針駆動用ステッピングモータの回転動作に連動する被駆動部材が、該被駆動部材との当接により、前記ステッピングモータの回転を機械的に停止させるストッパに向かって移動するように、前記ステッピングモータを回転させる初期化駆動手段3a−11を有し、前記被駆動部材が実際にある位置と、前記被駆動部材があるべき位置との差異をリセットするリセット動作を行うリセット手段3a−1と、イグニッションキーのキーポジションがイグニッションになったとき、センサが計測した計測結果を、前記指針が指示するように、前記ステッピングモータを回転させる通常駆動手段3a−2とを備えたステッピングモータ用駆動装置において、前記電源投入が、イグニッションキーのキー操作に応じて開始されたか否かを判断する判断手段3a−3と、前記判断手段により、前記キー操作に応じて開始されたと判断されたとき、前記リセット手段による前記リセット動作を停止させると共に、前記通常駆動手段による前記ステッピングモータの回転を開始させる制御手段3a−4とを備えたことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置に存する。
【0014】
請求項1記載の発明によれば、初期化駆動手段が、電源投入開始に応じて、被駆動部材がストッパに向かって移動するように、ステッピングモータを回転させる。この初期化駆動手段を用いて、リセット手段が、被駆動部材が実際にある位置と、被駆動部材があるべき位置との差異をリセットするリセット動作を行う。イグニッションキーのキーポジションがイグニッションになったとき、通常駆動手段が、センサが計測した計測結果を、指針が指示するように、ステッピングモータを回転させる。判断手段が、イグニッションキーのキー操作に応じて電源投入が開始されたか否かを判断する。制御手段が、判断手段により、キー操作に応じて開始されたと判断されたとき、リセット手段によるリセット動作を停止させると共に、通常駆動手段によるステッピングモータの回転を開始させる。
【0015】
従って、イグニッションキーのキー操作に応じて、キーポジションがイグニッションになったと同時に、電源投入が開始されたときは、リセット手段によるリセット動作が行われることなく、直ちに通常駆動手段によるステッピングモータの回転を開始させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のステッピングモータ用駆動装置であって、前記判断手段は、前記電源投入開始時に、前記イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いていないとき、前記キー操作に応じて電源投入が開始されたと判断することを特徴とするステッピングモータ用駆動装置に存する。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、判断手段が、電源投入開始時に、イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いていないとき、キー操作に応じて電源投入が開始されたと判断する。ところで、電源投入開始時に、キーポジションがイグニッション又はスタータであっても、エンジンが動いている状態であれば、エンジンの始動時に生じるバッテリ電圧低下及び異常ノイズに起因して電源投入が一時的に遮断された状態から、復活したと判断することができる。従って、電源投入開始時に、イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタータであるという条件に、さらに、エンジンが動いていないという条件を追加することにより、エンジン始動時及び異常ノイズを受け取った時に起きる電源投入遮断からの復活を、キー操作による電源供給開始と誤判断することがない。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のステッピングモータ用駆動装置であって、前記判断手段は、前記電源投入開始時に、前記イグニッションキーがキーシリンダに挿入されていない状態、前記イグニッションキーのキーポジションがオフ又はアクセサリのとき、否と判断することを特徴とするステッピングモータ用駆動装置に存する。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、判断手段が、電源投入開始時に、イグニッションキーがキーシリンダに挿入されていない状態、イグニッションキーのキーポジションがオフ又はアクセサリのとき、否と判断する。ところで、キー操作以外のタイミング、例えば、車載バッテリの接続時や、ドアの開閉、ドアロックの解除などのタイミングに応じて電源投入が開始されたときは、電源投入開始時に、イグニッションキーがキーシリンダに挿入されていない状態、イグニッションキーのキーポジションがオフ又はアクセサリであると考えられる。
【0020】
従って、以上のように、電源投入時に、イグニッションキーがキーシリンダに挿入されていない状態、イグニッションキーのキーポジションがオフ又はアクセサリのとき、否と判断することにより、正確に、否と判断することができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3何れか1項記載のステッピングモータ用駆動装置であって、前記判断手段は、前記電源投入開始時に、前記イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いているとき、否と判断することを特徴とするステッピングモータ用駆動装置に存する。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、判断手段が、電源投入開始時に、イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いているとき、否と判断する。ところで、エンジンの始動時に生じるバッテリ電圧低下及び異常ノイズを受け取った時に起因して電源投入が一時的に遮断されることがある。この遮断から電源投入が復活したときは大きな脱調が生じている恐れがあり、迅速な計測結果の指示より、リセット動作を優先させる必要がある。以上のことに着目し、電源投入開始時に、イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いているとき、否と判断することにより、エンジン始動時及び異常ノイズを受け取った時に起きる電源投入遮断からの復活時に、リセット動作が省かれることがない。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4何れか1項記載のステッピングモータ用駆動装置であって、前記制御手段は、前記判断手段により、前記キー操作に応じて開始されたと判断されたとき、エンジンの回転数を指示する指針を駆動するステッピングモータについてのみ、前記リセット手段による前記リセット動作を停止させると共に、前記通常駆動手段による前記ステッピングモータの回転を開始させることを特徴とするステッピングモータ用駆動装置に存する。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、制御手段が、判断手段により、電源投入が、キー操作に応じて開始されたと判断されたとき、エンジンの回転数を指示する指針駆動用ステッピングモータについてのみ、リセット手段によるリセット動作を停止させると共に、通常駆動手段による前記ステッピングモータの回転を開始させる。
【0025】
ところで、一般的に、運転手は、車を動かす際、イグニッションキーのキーポジションをスタータにして、エンジンを始動させた後、キーポジションをイグニッションとする。このため、キーポジションがイグニッションになったとき、すでにエンジンが始動して、エンジンの回転数が0以上であることが多い。一方、車速などは0のままであることが多い。従って、以上の構成によれば、キーポジションがイグニッションになったとき、直ちにエンジン回転数を指示する必要がある指針を駆動するステッピングモータについては、リセット動作を省いて、迅速に指示が行えるようにすることができ、他のステッピングモータについては、リセット動作を省かずに、確実に脱調状態をなくし、正確な指示を行わせることができる。
【0026】
請求項6記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜5何れか1項記載のステッピングモータ用駆動装置であって、前記リセット手段によるリセット動作が行われている間、その旨を示す報知手段6をさらに備えたことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置に存する。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、報知手段が、リセット手段によるリセット動作が行われている間、その旨を示す。従って、指針が計測結果を指示しているか否かを、運転手が、識別することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図2は、本発明のステッピングモータ用駆動装置を組み込んだ車両用指示装置を示す図である。この指示装置は、上述した従来で説明したように、ステッピングモータ1、指針2及び駆動装置3を備えている。上記ステッピングモータ1も、図3について従来で説明したように、励磁コイル1a1及び1a2、回転子1b、ギア1c、片1d(請求項中の被駆動部材に相当)及びストッパ1eを有している。
【0029】
上記ステッピングモータ1内の励磁コイル1a1及び1a2は、駆動装置3に接続されている。そして、この駆動装置3から出力される励磁信号の供給を受けて、各励磁コイル1a1及び1a2の励磁状態が変化し、回転子1bが回転する。
【0030】
上述した駆動装置3には、パラレルデータをシリアルデータに変換するデータ変換部7を介して、イグニッション(以下、IGと略記する。)スイッチSW1が、接続されている。IGスイッチSW1は、IGキーがキーシリンダに挿入されていない状態で、非挿入ポジションP1に、IGキーのキーポジションが、オフのときは、オフポジションP2に、アクセサリ(以下、ACCと略記する。)のときはACCポジションP3に、IGのときはIGポジションP4に、スタータのときはスタータポジションP5に、接点Sが各々接続されるスイッチである。
【0031】
従って、駆動装置3には、IGキーがキーシリンダに挿入されていない状態で、アクティブレベルの非挿入信号S1が供給され、キーポジションがオフのときにアクティブレベルのオフ信号S2が供給され、ACCのときにアクティブレベルのACC信号S3が供給され、IGのときアクティブレベルのIG信号S4が供給され、スタータのときアクティブレベルのスタータ信号S5が供給される。
【0032】
上述した駆動装置3はまた、従来でも説明したように、上記データ変換部7を介して、回転数センサ、車速センサ、水温センサなどの複数のセンサから構成されるセンサ群4と接続され、各センサが計測した計測値が供給されている。上述した駆動装置3はまた、電源スイッチSW2を介して、車載バッテリ5と接続され、電源スイッチSW2がオンすると、駆動装置3に電源が投入されるようになっている。
【0033】
なお、電源スイッチSW2は、ドアロックの解除や、車載バッテリ5の搭載時、IGキーのキーポジションがIGに操作されたときに応じて、オン制御されるスイッチである。また、電源スイッチSW2は、ドアロック解除や、車載バッテリ5を搭載してから所定時間経過しても、IGキーのキーポジションがIGにならなかったときや、IGキーのキーポジションがオフになったときに、オフ制御されるスイッチである。上述した駆動装置3はさらに、点灯してリセット動作を行っている旨を報知する報知手段としてのLED6が接続されている。
【0034】
上記駆動装置3は、マイクロコンピュータなどから構成され、プログラムに従って各種の処理を行う中央演算ユニット(CPU)3aと、CPU3aが行う処理プログラムなどを格納した読み出し専用メモリであるROM3bと、CPU3aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ格納エリアなどを有する読出書込自在のメモリであるRAM3cなどを内蔵し、これらが図示しないバスラインによって相互接続されている。
【0035】
上述した構成のステッピングモータ用駆動装置3を組み込んだ車両用指示装置の動作を、CPU3aの処理手順を示す図4のフローチャートを参照して以下説明する。
CPU3aは、電源スイッチSW2がオンして、駆動装置3に電源が投入されると、図示しない初期ステップにおいて、駆動装置3内のRAM3cに形成した各種のエリアの初期設定を行う。
【0036】
その後、CPU3aは、判断手段として働き、キーシリンダにIGキーが挿入されておらず、非挿入信号S1が供給されている場合、または、IGキーのキーポジションがオフ及びACCの何れかであり、オフ信号S2及びACC信号S3の何れかが供給されている場合(ステップS1でY)、ドアロックの解除、車載バッテリ5の搭載に応じて、電源スイッチSW2がオン制御され、電源投入が開始されたと判断して、ステップS4に進む。
【0037】
ステップS4において、CPU3aは、リセット手段として働き、全ステッピングモータ(図4中のSP)1について、上述したリセット動作を行わせるリセット処理を開始する。リセット処理において、CPU3aはまず、初期化駆動手段として働き、励磁コイル1a1及び1a2に対して励磁信号を出力し、片1dがストッパ1eに向かって移動するように、回転子1bを逆回転させる。この逆回転により、指針2は計測値0の目盛に向かうこととなる。
【0038】
その後、片1dがストッパ1eに当接して、ステッピングモータ1の回転が機械的に停止したと判断すると、CPU3aは、励磁コイル1a1及び1a2に対する励磁信号の出力を停止すると共に、励磁コイル1a1及び1a2の励磁状態を、予め定めた初期励磁状態に維持する。これにより、片1dがストッパ1eに当接した状態、すなわち、指針2が計測値0を指示した状態で、ステッピングモータ1の回転が電気的に停止される。
【0039】
なお、CPU3aは、このリセット処理を行っている間、LED6を点灯させて、その旨を運転者に報知している。このため、運転者は、このLED6の点灯状態により、指針2が計測値を指示しているか否かを識別することができるようになる。
【0040】
ところで、上記当接判断は、以下に述べるように行われている。つまり、指針2の振れ角A°より大きい角度(A+α)°だけ指針2を回転させるように、回転子1bを逆回転させたとき、片1dがストッパ1eに当接していると判断している。このリセット処理により、指針2が指示する計測値と、センサが計測した計測値との差異をリセットすることができる。
【0041】
このリセット処理が終了した後、CPU3aは、IGキーのキーポジションがIGになり、IG信号S4が供給されるのを待って(ステップS5でY)、全ステッピングモータ1について通常駆動処理を行う(ステップS6)。通常駆動処理において、CPU3aは、通常駆動手段として働き、センサ群4から供給される計測値に応じた励磁信号を出力して、指針2が計測値を指示するように回転子1bを正逆回転させる処理である。その後、IGキーのキーポジションがオフとなり、オフ信号S2が供給されると、CPU3aは、通常駆動処理を終了する。その後、駆動装置3に対する電源供給は、遮断される。
【0042】
これに対して、電源投入直後、IGキーのキーポジションがIG及びスタータの何れかであり、IG信号S4及びスタータ信号S5の何れかが供給され(ステップS2でY)、かつ、エンジンが動いていて、センサ群4内の回転数センサから供給されるエンジン回転数の計測値が0でなく(ステップS3でN)、CPU3aが、エンジン始動時に生じるバッテリ電圧低下及び異常ノイズに起因して駆動装置3に対する電源投入が一時的に遮断された状態から、復活した状態であると判断したときも、上述したステップS4に進む。
【0043】
また、電源投入直後、IGキーのキーポジションがIG及びスタータの何れかであり、IG信号S4及びスタータ信号S5の何れかが供給される場合(ステップS2でY)、かつ、エンジンが動いておらず、センサ群4内の回転数センサから供給されるエンジン回転数の計測値が0である場合(ステップS3でY)、CPU3aは、IGキーのキー操作(キーポジションをIGにする操作)に応じて、電源投入が開始されたと判断して、ステップS7に進む。
【0044】
ステップS7において、CPU3aは、エンジン回転数を指示するタコメータ用ステッピングモータ1を除いたステッピングモータ1について上述したようなリセット処理を行う。このときも、CPU3aは、このリセット処理を行っている間、LED6を点灯させて、その旨を運転者に報知する。
【0045】
さらに、CPU3aは、制御手段として働き、タコメータ用ステッピングモータ1について、リセット処理を行うことなく、直ちに通常駆動処理を行う。これにより、IGキーのキーポジションがIGになった後、迅速にタコメータ用の指針2は、エンジン回転数を指示することができる。その後、上記リセット処理が終了した後、CPU3aは、全ステッピングモータ1について通常駆動処理を行う(ステップS6)。
【0046】
上述した駆動装置3は、IGキーのキー操作に応じて、キーポジションがIGになったと同時に、電源投入が開始されたとき、タコメータ用のステッピングモータ1についてのリセット処理を省略すると共に、直ちに通常駆動処理を開始している。また、キー操作以外のタイミング、例えば、ドアロック解除などに応じて、電源投入が開始されたときは、全ステッピングモータ1について、リセット処理を行った後、通常駆動処理を開始している。従って、IGキーのキーポジションがIGになった後、迅速に、タコメータ用の指針2は、エンジンの回転数の指示を行うことができる。
【0047】
ところで、車両用指示装置においては、電源投入開始時に、キーポジションがIG又はスタータであっても、エンジンが動いている状態であれば、エンジンの始動時に生じるバッテリ電圧低下に起因して電源投入が一時的に遮断された状態から、復活したと判断することができる。以上のことに着目し、電源投入開始時に、IGキーのキーポジションがIG又はスタータであるという条件に、さらに、エンジンが動いていないという条件を追加することにより、駆動装置3が、エンジン始動時及び異常ノイズを受け取った時に起きる電源投入遮断からの復活を、キー操作による電源供給開始と誤判断することがなく、正確に、キー操作に応じて電源投入が開始されたと判断することができる。
【0048】
また、上述した駆動装置3は、キー操作以外のタイミング、例えば、車載バッテリ5の接続時や、ドアロックの解除などのタイミングに応じて電源投入が開始されたときは、電源投入開始時に、IGキーがキーシリンダに挿入されていない状態、IGキーのキーポジションがオフ又はACCであることに着目して、キー操作による電源投入開始が行われたか否かを判断している。このため、正確に、上記判断を行うことができる。
【0049】
ところで、上述したように、エンジンの始動時に生じるバッテリ電圧低下及び異常ノイズを受け取った時に起因して電源投入が一時的に遮断されることがある。そして、この遮断から電源投入が復活したときは大きな脱調が生じている恐れがあるため、迅速な計測値の指示より、リセット処理を優先させる必要がある。このことに着目し、上記駆動装置3は、電源投入開始時に、IGキーのキーポジションがIG又はスタートであり、かつ、エンジンが動いているとき、全ステッピングモータ1についてリセット処理を行っている。このため、エンジン始動時及び異常ノイズを受け取った時に起きる電源投入遮断からの復活時に、リセット処理が省かれることがなく、正確に計測値を指示させることができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、キー操作により電源投入が開始されたとき、タコメータ用ステッピングモータ1についてのみリセット処理を省いていた。しかしながら、例えば、キー操作により電源投入が開始されたとき、全ステッピングモータ1についてリセット処理を省くことも考えられる。
【0051】
ところで、一般的に、運転手は、車を動かす際、IGキーのキーポジションをスタータにして、エンジンを始動させた後、キーポジションをIGとする。このため、キーポジションがIGになったとき、すでにエンジンが始動して、エンジンの回転数が0以上であることが多い。一方、車速などは0のままであることが多い。以上のことに着目し、上記実施形態の駆動装置3のように、タコメータ用ステッピングモータ1についてのみリセット処理を省くことにより、IGキーのキーポジションがIGとなったとき、直ちに計測値を指示する必要のあるタコメータ用のステッピングモータ1については、リセット動作を省いて、迅速に指示が行えるようにすることができ、他のステッピングモータ1については、リセット動作を省かずに、確実に脱調状態をなくし、正確な指示を行わせることができる。
【0052】
また、上述した実施の形態では、LED6の点灯により、リセット動作を行っている旨を報知していた。しかしながら、たとえば、図5に示すように、コンビネーションメータ内に設けられた液晶表示器8によりその旨を報知することなども考えられる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、イグニッションキーのキー操作に応じて、キーポジションがイグニッションになったと同時に、電源投入が開始されたときは、リセット手段によるリセット動作が行われることなく、直ちに通常駆動手段によるステッピングモータの回転を開始させることができるので、イグニッションキーのキーポジションがイグニッションになった後、迅速に、計測結果の指示を行うことができるステッピングモータ用駆動装置を得ることができる。
【0054】
請求項2記載の発明によれば、電源投入開始時に、イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタータであるという条件に、さらに、エンジンが動いていないという条件を追加することにより、エンジン始動時及び異常ノイズを受け取った時に起きる電源投入遮断からの復活を、キー操作による電源供給開始と誤判断することがないので、正確に、キー操作に応じて電源投入が開始されたと判断することができるステッピングモータ用駆動装置を得ることができる。
【0055】
請求項3記載の発明によれば、電源投入時に、イグニッションキーがキーシリンダに挿入されていない状態、イグニッションキーのキーポジションがオフ又はアクセサリのとき、否と判断することにより、正確に、否と判断することができるステッピングモータ用駆動装置を得ることができる。
【0056】
請求項4記載の発明によれば、電源投入開始時に、イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いているとき、否と判断することにより、エンジン始動時に起きる電源投入遮断からの復活時に、リセット動作が省かれることがないので、大きな脱調が生じたまま計測結果の指示が行われることなく、正確に計測結果を指示させることができるステッピングモータ用駆動装置を得ることができる。
【0057】
請求項5記載の発明によれば、キーポジションがイグニッションになったとき、直ちにエンジン回転数を指示する必要がある指針を駆動するステッピングモータについては、リセット動作を省いて、迅速に指示が行えるようにすることができ、他のステッピングモータについては、リセット動作を省かずに、確実に脱調状態をなくし、正確な指示を行わせることができるステッピングモータ用駆動装置を得ることができる。
【0058】
請求項6記載の発明によれば、指針が計測結果を指示しているか否かを、運転手が、識別することができるので、使い勝手の良いステッピングモータ用駆動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステッピングモータ用駆動装置3を組み込んだ車両用指示装置の基本構成図である。
【図2】本発明のステッピングモータ用駆動装置3を組み込んだ車両用指示装置の一実施の形態を示す図である。
【図3】図2の車両用指示装置を構成するステッピングモータ1の詳細な構成を示す図である。
【図4】図2の車両用指示装置を構成するCPU3aの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】車両用指示装置及び液晶表示器8を組み込んだコンビネーションメータの外観図である。
【符号の説明】
1 ステッピングモータ
1d 被駆動部材(片)
1e ストッパ
2 指針
3a−1 リセット手段
3a−11 初期化駆動手段(CPU)
3a−2 通常駆動手段(CPU)
3a−3 判断手段(CPU)
3a−4 制御手段(CPU)
6 報知手段(LED)

Claims (6)

  1. 電源投入開始に応じて、車両用指示装置内に備えられた指針駆動用ステッピングモータの回転動作に連動する被駆動部材が、該被駆動部材との当接により、前記ステッピングモータの回転を機械的に停止させるストッパに向かって移動するように、前記ステッピングモータを回転させる初期化駆動手段を有し、前記被駆動部材が実際にある位置と、前記被駆動部材があるべき位置との差異をリセットするリセット動作を行うリセット手段と、イグニッションキーのキーポジションがイグニッションになったとき、センサが計測した計測結果を、前記指針が指示するように、前記ステッピングモータを回転させる通常駆動手段とを備えたステッピングモータ用駆動装置において、
    前記電源投入が、イグニッションキーのキー操作に応じて開始されたか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段により、前記キー操作に応じて開始されたと判断されたとき、前記リセット手段による前記リセット動作を停止させると共に、前記通常駆動手段による前記ステッピングモータの回転を開始させる制御手段と
    を備えたことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置。
  2. 請求項1記載のステッピングモータ用駆動装置であって、
    前記判断手段は、前記電源投入開始時に、前記イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いていないとき、前記キー操作に応じて電源投入が開始されたと判断する
    ことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置。
  3. 請求項1又は2記載のステッピングモータ用駆動装置であって、
    前記判断手段は、前記電源投入開始時に、前記イグニッションキーがキーシリンダに挿入されていない状態、前記イグニッションキーのキーポジションがオフ又はアクセサリのとき、否と判断する
    ことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置。
  4. 請求項1〜3何れか1項記載のステッピングモータ用駆動装置であって、
    前記判断手段は、前記電源投入開始時に、前記イグニッションキーのキーポジションがイグニッション又はスタートであり、かつ、エンジンが動いているとき、否と判断する
    ことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置。
  5. 請求項1〜4何れか1項記載のステッピングモータ用駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記判断手段により、前記キー操作に応じて開始されたと判断されたとき、エンジンの回転数を指示する指針を駆動するステッピングモータについてのみ、前記リセット手段による前記リセット動作を停止させると共に、前記通常駆動手段による前記ステッピングモータの回転を開始させる
    ことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置。
  6. 請求項1〜5何れか1項記載のステッピングモータ用駆動装置であって、
    前記リセット手段によるリセット動作が行われている間、その旨を示す報知手段を
    さらに備えたことを特徴とするステッピングモータ用駆動装置。
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