JP3730393B2 - 有害ガスの浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有害ガスの浄化方法に関し、さらに詳細には三弗化窒素および三弗化窒素を使用した半導体製造工程から排出される有害ガスの浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、窒素弗化物のうちでも三弗化窒素はシリコンやシリコン化合物およびタングステン化合物などのドライエッチングに使用されたり、CVD装置のチャンバークリーニング用ガスとして使用されるなど半導体工業の発展とともにその使用量が増加している。
三弗化窒素は水に対する溶解度が小さく、酸やアルカリとほとんど反応しないなど室温ではかなり安定であるが、毒性が高く、許容濃度は10ppmと報告されている。従って三弗化窒素が大気中に排出された場合には、人体および環境に悪影響を与えるので、三弗化窒素を含むガスを半導体製造工程などに使用した後大気に放出するに先立って浄化する必要がある。
また、三弗化窒素は常温では安定であるが、エッチングやクリーニング工程中において熱や、放電などにより、四弗化二窒素、二弗化二窒素、六弗化二窒素および弗素等を生成する。さらに三弗化窒素がシリコンやタングステン、あるいはシリコン化合物、タングステン化合物などに接触した状態でエッチングが行われた場合には、四弗化珪素や六弗化タングステンを生成する。これらの窒素弗化物、弗素、四弗化珪素、六弗化タングステンは三弗化窒素よりも毒性が強いため、三弗化窒素と同様に除去しなければならない。
【0003】
ガス中に含まれる窒素弗化物を除去する方法としては、従来から、▲1▼100℃以上の温度で金属シリコンと接触させる方法(特開昭63−12322号公報)、▲2▼200℃以上の温度で金属チタンと接触させる方法(特公昭63−48571号公報)、▲3▼珪素、硼素、タングステン、モリブテン、バナジウム、セレン、テルル、ゲルマニウムおよびこれらの非酸化物系化合物と200〜800℃の温度で接触させる方法(特公昭63−48570号公報)などが提案されている。
【0004】
また、▲4▼三弗化窒素とハロゲン交換し得る金属ハロゲン化物と接触させる方法(特公昭63−48569号公報)、▲5▼鉄、マンガン、銅などの遷移金属の酸化物と250℃以上の温度で接触させる方法(特開平3−181316号公報)、▲6▼活性炭と300〜600℃の温度で接触させる方法(特開昭62−23792号公報)なども提案されている。
さらに、▲7▼アルミナまたはシリカを主成分とする担体にニッケル、鉄、コバルトなどの遷移金属または白金、ロジウム、パラジウムなどの貴金属を担持させた触媒と、200℃以上の温度で接触させる方法(特開昭62−273039号公報)、▲8▼ジルコニウムあるいはジルコニウム系合金と100〜800℃の温度で接触させる方法(特開平6−238128号公報)なども提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼、▲2▼、▲3▼の方法においては浄化中に新たに揮発性の弗化物を副生し、▲4▼の方法では塩素などのハロゲンガスが副生する欠点を有する。さらに▲5▼の方法では窒素酸化物が副生することなどから、これらの副生したガスを処理しなければならず工程が複雑となるばかりでなく、それらの処理にコストがかかるという不都合がある。
また▲6▼の方法は反応が激しいばかりでなく、高温下での処理となるため爆発の危険を伴うことや、比較的安定で除去の難しい四弗化炭素が副生するという問題がある。
【0006】
さらに▲7▼の方法では有害ガスは副生しないものの、十分な浄化能力を得るためには高温にしなければならない。例えば、金属が鉄の場合には200℃程度の温度では分解活性はさほど高くなく、実用的な浄化能力を得るためには400℃以上に加熱しなければならない。また反応の進行とともに浄化剤表面が弗化物に覆われ、内部まで反応が進まないために、大きな除害能力が得られないという欠点を有していた。
さらにまた、▲8▼の方法は高温時において、通常三弗化窒素の希釈ガスとして使用される窒素と激しく反応し、熱暴走を引き起こす危険性がある。
以上のことから、有害ガスや環境汚染の恐れのあるガスを副生することがなく、低温で高い処理能力を有する窒素弗化物の浄化方法の開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有害ガスを、酸化第一錫を有効成分とした浄化剤と接触させることによって、比較的低温で窒素弗化物を極めて効率良く除去することができるとともに、浄化の際に環境に悪影響を及ぼすような副生物を発生することがないことを見い出し本発明を完成した。すなわち、本発明は、有害成分として三弗化窒素を含有する有害ガスを、酸化第一錫を含む浄化剤と200℃以上の温度で接触させて浄化することを特徴とする有害ガスの浄化方法である。また本発明は、有害成分として三弗化窒素を除く窒素弗化物、タングステン弗化物、珪素弗化物、弗化水素、および弗素から選ばれる少なくとも1種を含有する有害ガスを、酸化第一錫を含む浄化剤と200℃以上の温度で接触させて浄化することを特徴とする有害ガスの浄化方法である。さらにまた、本発明は、有害成分として窒素弗化物と共に、タングステン弗化物、珪素弗化物、弗化水素、および弗素から選ばれる少なくとも1種を含有する有害ガスを、常温で弗素系化合物を除去する浄化剤と接触させた後、酸化第一錫を含む浄化剤と200℃以上の温度で接触させて浄化することを特徴とする有害ガスの浄化方法である。
【0008】
本発明の浄化方法は、有害成分として三弗化窒素を含有する有害ガスの浄化に適用される。また、三弗化窒素を使用した半導体製造装置から排出される有害ガスの浄化に適用される。
本発明において浄化の対象とされる有害ガスとしては、窒素、アルゴン及びヘリウムなどに有害成分として三弗化窒素(NF3 )を含むガスである。また、三弗化窒素が半導体製造工程で、エッチングやクリーニングに使用された場合には、熱や放電によって四弗化二窒素(N2 F4 )、二弗化二窒素(N2 F2 )、六弗化二窒素(N2 F6 )、弗素(F2 )などを生成し、シリコン、シリコン化合物と反応して四弗化珪素(SiF4 )を生成し、タングステンやタングステン化合物と反応して六弗化タングステン(WF6 )を生成する。従って三弗化窒素を使用した半導体製造工程からの排ガス中には三弗化窒素とともに、これらの窒素弗化物、弗素、珪素弗化物、タングステン弗化物が含まれることが多いが、本発明においては、これらを三弗化窒素とともに浄化することができる。
このように本発明の浄化方法は、三弗化窒素以外の窒素弗化物、珪素弗化物、タングステン弗化物、弗化水素、弗素などを含む有害ガスの浄化にも適用することができる。
【0009】
本発明において、窒素弗化物は浄化剤と接触すると弗素原子は金属弗化物として固定され、一方窒素原子は窒素ガスとして放出される。また、珪素弗化物およびタングステン弗化物が浄化剤と接触すると弗素原子は金属弗化物として固定され、珪素あるいはタングステンは固体化合物として固定される。従って、本発明の浄化方法によれば、三弗化窒素および三弗化窒素を使用した半導体製造装置からの排ガスを、有害な副生物を生成することなしに浄化することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、浄化剤の有効成分として酸化第一錫が用いられる。
酸化第一錫(SnO)は、粉末などの形で純度98%以上のものが市販されているので、通常はこれらの市販品を浄化剤の原料として用いることができる。
また、酸化第一錫は成形して浄化剤とされるが、ペレットなどに成形するか、あるいは不定形の成形体とした後、適当な大きさに破砕したものなどが用いられる。
成形方法としては、従来から公知の乾式法あるいは湿式法を用いることができる。例えば、酸化第一錫を打錠成形する方法、酸化第一錫に水を加えてスラリーまたはケーキ状としたのち押し出し成形し、適当な長さに切断し、乾燥させる方法、あるいはスラリーまたはケーキを造粒、乾燥させる方法などを用いることができる。
【0011】
また、成形の際には必要に応じて、成形性および成形強度を高めるなどの目的で成形助剤を用いることもできる。
成形助剤としては金属弗化物が用いられる。ここで金属弗化物とは、例えば、弗化リチウム、弗化カリウム、弗化ナトリウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化錫、弗化鉛、弗化亜鉛、弗化銅などであり、これらをそれぞれ単独、あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。
【0012】
ここで金属弗化物以外の成形助剤を用いた場合、例えば金属酸化物を用いたような場合には、浄化中に窒素酸化物を副生する不都合がある。
浄化剤調製の際の、成形助剤の添加量は、成形条件および所望の成形強度などによって異なり一概に特定はできないが、添加量が少ない場合には添加の効果が得られず、また多すぎる場合には浄化能力が低下することから、浄化剤中の組成割合として、酸化第一錫に対する重量比で通常は0.001〜0.6、好ましくは0.005〜0.50、より好ましくは0.01〜0.45である。
【0013】
ここで成形助剤として用いる金属弗化物中、弗化カリウムは浄化剤の成形性の向上、および成形強度を高める効果が大である。しかしながら弗化カリウムを添加すると、弗化カリウムの添加によって酸化第一錫の含有量の低下する割合以上に大きな浄化能力の低下を生じる。このために、充分な成形強度を得るために必要な量の弗化カリウムを加えることができないという不都合がある。
【0014】
一方、弗化カルシウムは他の金属弗化物に比べて成形性の向上効果は小さいが、添加量の増加に伴い酸化第一錫の重量当たりの浄化能力を増加させる特徴がある。
さらに、成形助剤として弗化カリウムと共に弗化カルシウムを添加すると、浄化能力を低下させることなしに、成形性および成形強度を向上させることができるという優れた効果が得られる。したがって酸化第一錫を有効成分とする浄化剤の成形助剤としては、弗化カリウムと共に弗化カルシウムを用いることが好ましい。
【0015】
成形助剤として弗化カリウムと弗化カルシウムの両方を添加する場合における酸化第一錫に対する添加割合は、成形方法および所望の成形強度などによって異なり一概に特定はできないが浄化剤中の組成割合として、酸化第一錫、弗化カリウム、弗化カルシウムの重量比で通常は1:(0.001〜0.15):(0.01〜0.60)程度、好ましくは1:(0.005〜0.12):(0.03〜0.45)、より好ましくは1:(0.01〜0.10):(0.05〜0.35)程度である。弗化カリウムの組成割合がこの範囲よりも少ないと弗化カリウムの添加効果が得られず、多い場合には浄化能力が低下する。また、弗化カルシウムの量がこの範囲よりも少ないと弗化カリウム添加による浄化能力の低下を防止する効果が得られず、多すぎる場合には酸化第一錫の含量低下に伴う浄化能力の低下を生じる。
【0016】
浄化剤の調製中に加熱乾燥を行なう場合には、窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。浄化剤の加熱乾燥中に酸化第一錫が酸素と接触すると、その一部が酸化第二錫になる。浄化剤中に酸化第二錫が含まれると、浄化の際に窒素酸化物を副生する不都合がある。また、酸化第一錫は室温でも空気中で酸化されることから、浄化剤は窒素雰囲気中で保存することが好ましい。
【0017】
浄化剤の成形物の形状に特に制限はなく、球状、円柱状、および筒型などがその代表例として挙げられる。成形体の大きさは、球状であれば直径2〜12mmの範囲が良く、円柱状であれば直径2〜12mm、高さが2〜12mm程度のものが好ましい。一般に浄化筒に充填して用いる場合の浄化剤の大きさは、筒径の約1/10よりも小さい粒径とする必要があるとされており、その範囲であれば偏流などを生じることがなく効果的に浄化することができる。
浄化剤を浄化筒に充填した場合の充填密度は通常は0.8〜2.5g/ml程度のものである。
【0018】
本発明において、浄化剤は固定床として用いられるほか、移動床、流動床として用いることもできる。通常は浄化剤を浄化筒内に充填し、この浄化筒に窒素弗化物を含有する有害ガスを流して浄化剤と接触させることにより、有害成分である窒素弗化物が除去され、有害ガスが浄化される。
浄化剤と有害ガスを接触させる温度は、200℃以上、好ましくは220〜800℃である。温度が200℃よりも低い場合には窒素弗化物の浄化能力が低下する。また、温度が800℃よりも高くなると浄化筒にステンレス鋼を使用することができなくなり、より耐熱性の高い材質を必要とする不都合があることから、この温度範囲内に保つことが好ましい。
浄化を行なう際の圧力は通常は常圧であるが、減圧あるいは加圧下で行なうこともできる。
【0019】
本発明の浄化方法を適用する場合の有害ガスの流速に特に制限はないが、一般にガス中に含有される窒素弗化物の濃度が高いほど流速を小さくすることが望ましい。
有害ガスと浄化剤との接触時間は通常は0.5秒以上、好ましくは2秒以上であり、これらは有害ガス中の窒素弗化物の濃度などとの関連で適宜定められる。
【0020】
浄化筒は有害成分の濃度、有害ガスの量などに応じて設計されるが、浄化性能および浄化反応に伴う発熱の点から有害成分濃度が0.1%以下のような比較的低濃度では空筒線速度(LV)は0.5〜50cm/sec、有害成分濃度が0.1〜1%程度では空筒線速度(LV)は0.05〜20cm/sec、有害成分濃度が1%以上のような高濃度では空筒線速度(LV)は10cm/sec以下となるように設計することが、好ましい。従って、半導体製造工程から定常的に排出されるような濃度の高い有害ガスの場合には10cm/sec以下が一般的な基準となる。
【0021】
また、半導体製造装置において、三弗化窒素をクリーニングなどで使用した後の排ガス中には三弗化窒素とともに六弗化タングステン等のタングステン弗化物、四弗化珪素等の珪素弗化物、弗素などを含有しているが、これらのガスを本発明の浄化方法によって同時に浄化し得ることは既に述べた。しかし、六弗化タングステン、四弗化珪素、弗素は他の浄化剤で、しかも常温で比較的容易に除去し得るものである。したがって、あらかじめこれらの有害成分を他の浄化剤と常温で接触させて浄化した後、これらの浄化剤では浄化の難しい窒素弗化物のみを酸化第一錫を有効成分とする浄化剤と200℃以上の温度で接触させて除去すると、酸化第一錫を有効成分とする浄化剤の負荷を軽減し、浄化剤のライフを長くすることができる。
【0022】
常温で六弗化タングステン、四弗化珪素、弗素などの弗素系ガスを浄化し得る浄化剤としては、例えば酸化亜鉛を主成分とする浄化剤(特開平5−237324号公報)、水酸化ストロンチウムを主成分とする浄化剤(特開平9−9921号公報)などを用いることができる。これらの浄化剤を浄化筒などに充填して前処理剤として用い、半導体製造工程からの排ガスを導入接触させた後、酸化第一錫を有効成分とする浄化剤に接触させることによって、排ガスの処理を効率良く行うことができる。
【0023】
一方、前記のごとく前処理として例えば酸化亜鉛を主成分とする浄化剤のような常温で六弗化タングステン、弗素などの弗素系ガスを浄化し得る浄化剤と接触させた場合には、これらの浄化弗素系ガスが除害される際に、酸素が発生する場合がある。そしてこの酸素が酸化第一錫を有効成分とする浄化剤と接触した際には、その浄化能力を低下させること、および窒素酸化物を副生するという不都合がある。
しかしながら、酸化第一錫を有効成分とする浄化剤中の弗化カルシウムの割合を増加させること、および排ガスと接触させる温度を高くすることによって、酸素に接触した際においても浄化能力の低下を防止し、窒素酸化物の生成を防止することができる。
このことから、本発明においては浄化剤中の酸化第一錫に対する弗化カルシウムの重量割合を1:0.05以上とすること、および有害ガスとの接触温度を250℃以上とすることが好ましい。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
実施例1
酸化第一錫(和光純薬(株)製)1000gに、65gの水を加えてかき混ぜた。得られたケーキを押し出し成形機によって1.6mmφのノズル板より押し出し、得られた成形物を切断して長さ3〜5mm程度のペレットとした。このペレットを窒素雰囲気下で120℃に加熱しながら約12時間乾燥することによって600gの浄化剤を調製した。
【0025】
次に、この浄化剤を内径15.7mm、長さ200mmのステンレス製の浄化筒に19.4mml(充填長100mm)充填し、ヘリウムガスを流通させながらマッフル炉で230℃に加熱保持した。これに三弗化窒素を1000ppm含有するヘリウムを、常圧下で580.8ml/min(空筒線速度LV=5cm/sec)の流量で流通させ、浄化筒出口ガス中の三弗化窒素を市販の三弗化窒素検知器(バイオニクス機器(株)製、TG−4100TA)により測定し、出口ガス中の三弗化窒素濃度が10ppmに達した点を破過点として、破過までの時間を測定した。
その結果から浄化能力(浄化剤1リットル当たりの三弗化窒素の処理ガス量(リットル))を求めた。これらの結果を表1に示す。
【0026】
また、浄化実験開始120分後における浄化筒出口ガス中の窒素及び酸素の濃度を熱伝導度型検出器付きガスクロマトグラフ(窒素及び酸素の検出下限10ppm)で分析した。さらに同時に、浄化筒出口ガス中の一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2 )を窒素酸化物分離定量用検知管((株)ガステック製、検出下限 NO 1ppm、NO2 0.5ppm)により測定した。これらの結果を表2に示すが、酸素および窒素酸化物は検出されなかった。
なお、浄化実験終了後、浄化筒内の浄化剤を観察したが、浄化剤の崩壊、粉化などは認められなかった。
【0027】
実施例2
酸化第一錫1000gに、弗化カリウム(KF、関東化学(株)製、試薬特級)50gを65gの水に溶かした水溶液を加えてかき混ぜた。得られたケーキを押し出し成形機によって1.6mmΦのノズル板より押し出し、得られた成形物を切断して長さ3〜5mm程度のペレットとし、窒素雰囲気下で120℃に加熱しながら約12時間乾燥することによって600gの浄化剤を調製した。
次に、浄化筒の温度を350℃としたほかは、実施例1と同様にして、三弗化窒素を含む有害ガスを流し、浄化実験をおこなった。結果を表1に示した。
また、実施例1と同様にして、浄化実験開始120分後の浄化筒出口ガスの分析を行なったところ実施例1の分析結果と同じ結果であった。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
実施例3
シラン(SiH4 )を用いてシリコン膜を形成するCVD装置において三弗化窒素を用いてプラズマクリーニングを行なっている状態での排ガスに、CVD装置に供給した三弗化窒素濃度が1000ppmに相当するように窒素を添加希釈した。このように希釈した排ガス中の有害成分を、弗化水素用検知管((株)ガステック製、検出下限 F2 2.5ppm、HF 0.25ppm)により測定し、更に三弗化窒素濃度をガスクロマトグラフ(検出下限 10ppm)で分析した。その結果を表3に示した。
【0031】
この希釈した排ガスを実施例1と同じ条件で浄化筒に流通させて浄化した。その浄化筒出口ガス中の三弗化窒素濃度が検知器で10ppm、または弗化水素検知管で弗素化合物または弗素濃度が2.5ppmに達した点を破過点として浄化能力を求めた。なお、浄化能力はCVD装置に供給した三弗化窒素の量で示した。これらの結果を表4に示した。
【0032】
【表3】
注) 弗化水素用検知管は弗化水素、弗素のほか四弗化珪素にも検出感度を有する。
【0033】
【表4】
【0034】
実施例4
酸化第一錫855gおよび弗化カルシウム(CaF2 、(株)白辰化学研究所製)145gに、弗化カリウム(KF、関東化学(株)製、試薬特級)25gを75gの水に溶かした水溶液を加えてかき混ぜた。得られたケーキを押し出し成形機によって2.0mmΦのノズル板より押し出し、得られた成形物を切断して長さ3〜5mm程度のペレットとし、窒素雰囲気下で120℃に加熱しながら約12時間乾燥することによって600gの浄化剤を調製した。
次に、この浄化剤を用いて浄化筒の温度を270℃としたほかは、実施例1と同様にして、三弗化窒素を1000ppm含む窒素ガスを流し、浄化実験を行った。結果を表5に示した。
【0035】
実施例5
実施例4で調製した浄化剤を用いて浄化筒の温度を270℃としたほかは、実施例1と同様にして、三弗化窒素1000ppm、および六弗化タングステンを1000ppm含む窒素ガスを流し、浄化実験を行った。結果を表5に示した。なお、破過するまでは三弗化窒素および六弗化タングステンは共に浄化されていたこと、六弗化タングステンは1分子中に三弗化窒素の2倍の弗素原子を含んでいることから、浄化能力の算出の際には、六弗化タングステンの浄化量を2倍して三弗化窒素の浄化量に換算した。
【0036】
実施例6
実施例4で調製した浄化剤を用いて浄化筒の温度を320℃としたほかは、実施例1と同様にして、三弗化窒素を1000ppm、および酸素を1000ppm含む窒素ガスを流し、浄化実験を行った。結果を表5に示した。
また、実施例1と同様にして、浄化実験開始120分後の浄化筒出口ガスの分析を行った。その結果を表6に示した。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
実施例7
酸化第一錫750gおよび弗化カルシウム(CaF2 、(株)白辰化学研究所製)250gに、弗化カリウム(KF、関東化学(株)製、試薬特級)25gを90gの水に溶かした水溶液を加えたかき混ぜた。得られたケーキを押し出し成形機によって2.0mmΦのノズル板より押し出し、得られた成形物を切断して長さ3〜5mm程度のペレットとし、窒素雰囲気下で120℃に加熱しながら約12時間乾燥することによって約600gの浄化剤を得た。
【0040】
次に、酸化亜鉛を有効成分とする浄化剤(酸化亜鉛86%、酸化カリウム5%、アルミナ9%)38.8mlを内径15.7mm、長さ300mmのステンレス製の浄化筒に充填(充填長200mm)して弗素系ガスの前処理筒とした。さらに上記方法で調製した酸化第一錫を有効成分とする浄化剤を実施例1と同様の浄化筒に充填して後処理筒とした。この後処理筒の温度を320℃とした。
これらの前処理筒と後処理筒を配管で接続して浄化装置を構成した。このようにした後、三弗化窒素を1000ppm、四弗化珪素を1000ppm、および弗素を1000ppm含む窒素ガスを、常温に保持した前処理筒、次いで320℃に保持した後処理筒に流して浄化実験を行った。
実施例1と同様にして、実験開始120分後における前処理筒出口ガス、および後処理筒出口ガスの分析を行った。これらの結果を表7、表8に示した。また後処理筒における三弗化窒素の浄化能力を表9に示した。
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】
実施例8
実施例4で調製した浄化剤を用いて浄化筒の温度を300℃としたほかは、実施例1と同様にして、三弗化窒素を1000ppm含む窒素ガスを流し、浄化実験を行った。結果を表10に示した。
【0045】
実施例9
酸化第一錫1000gに、弗化カリウム25gを70gの水に溶かした水溶液を加えたかき混ぜた。得られたケーキを押し出し成形機によって2.0mmΦのノズル板より押し出し、得られた成形物を切断して長さ3〜5mm程度のペレットとし、窒素雰囲気下で120℃に加熱しながら約12時間乾燥することによって約600gの浄化剤を得た。
次に、この浄化剤を用いて浄化筒の温度を300℃としたほかは、実施例1と同様にして、三弗化窒素を1000ppm含む窒素ガスを流し、浄化実験を行った。結果を表10に示した。
【0046】
【表10】
【0047】
比較例1
酸化第二錫(SnO2 、関東化学(株) 製、試薬特級)1000gに、弗化カリウム(KF、関東化学( 株) 製、試薬特級)50gを65gの水に溶かした水溶液を加えてかき混ぜた。得られたケーキを用いて実施例1と同様の方法で浄化剤を得た。
この浄化剤を用いて実施例1と同様にして三弗化窒素を含む有害ガスの浄化実験を行った。また、浄化実験開始120分後における浄化筒出口ガス中の有害成分濃度の分析を実施例1と同様にして行なった。しかし、三弗化窒素は除去できるものの、許容濃度を超える多量の窒素酸化物が副生したために実験を中断した。その結果を表11に示した。
【0048】
比較例2
二酸化マンガン(MnO2 、関東化学( 株) 製、試薬特級)1000gに、弗化カリウム(KF)50gを65gの水に溶かした水溶液を加えてかき混ぜた。得られたケーキを用いて実施例1と同様の方法で浄化剤を調製した。
この浄化剤について、実施例1と同様にして三弗化窒素を含む有害ガスの浄化実験を行なった。
また、浄化実験開始120分後における浄化筒出口ガス中の有害成分濃度の分析を実施例1と同様にして行なった。しかし、三弗化窒素は除去できるものの、許容濃度を超える多量の窒素酸化物が副生したために実験を中断した。その結果を表11に示した。
【0049】
比較例3
酸化第二銅(CuO、関東化学(株)製、試薬特級)を打錠成形機で直径5mm、長さ5mmのペレット状に成形し、それを砕いて破砕粒径3〜5mmの物を浄化剤として用い、実施例1と同様にして三弗化窒素を含む有害ガスの浄化実験をおこなった。
また、浄化実験開始120分後における浄化筒出口ガス中の有害成分濃度の測定を実施例1と同様にして測定した。しかし、三弗化窒素は除去できるものの、許容濃度を超える多量の窒素酸化物が副生したために実験を中断した。結果を表11に示した。
【0050】
比較例4
直径1.5mm、長さ3〜10mmのペレット状の市販のホプカライト(日産ガードラー(株)製)を浄化剤として使用した。このホプカライトは押出し成形品であり、二酸化マンガン(MnO2 )50wt%、酸化銅(CuO)22wt%、酸化マグネシウム(MgO)12.5wt%、酸化アルミニウム(Al2 O3 )12.5wt%、その他3%を含むものである。
この浄化剤を用いて実施例1と同様にして三弗化窒素を含む有害ガスの浄化実験を行った。また、浄化実験開始120分後における浄化筒出口ガス中の有害成分濃度の分析を実施例1と同様にして行なった。この実験の場合にも三弗化窒素は除去できたものの、許容濃度を超える窒素酸化物が副生したために実験を中断した。結果を表11に示した。
【0051】
【表11】
【0052】
【発明の効果】
本発明の浄化方法によれば、ガス中に含有される三弗素化窒素などの窒素弗化物を比較的低温で効率よく、しかも有害ガスを発生することなしに除去することができる。また、三弗化窒素を使用した半導体製造工程からの排ガス中に含まれる三弗化窒素以外の窒素弗化物、珪素弗化物、弗化水素、弗素、およびタングステン弗化物なども三弗化窒素とともに除去することができる。
さらに、前処理として常温でタングステン弗化物、珪素弗化物、弗化水素、弗素などを除去し得る浄化剤とあらかじめ接触させ、さらに常温では浄化できない三弗化窒素を酸化第一錫を有効成分とする浄化剤と200℃以上の温度で接触させて除去する方法によって、弗素系の有害ガスを含む排ガスを効率よく浄化することができる。
Claims (7)
- 有害成分として三弗化窒素を含有する有害ガスを、酸化第一錫を含む浄化剤と200℃以上の温度で接触させて浄化することを特徴とする有害ガスの浄化方法。
- 有害成分として三弗化窒素を除く窒素弗化物、タングステン弗化物、珪素弗化物、弗化水素、および弗素から選ばれる少なくとも1種を含有する有害ガスを、酸化第一錫を含む浄化剤と200℃以上の温度で接触させて浄化することを特徴とする有害ガスの浄化方法。
- 有害成分として窒素弗化物と共に、タングステン弗化物、珪素弗化物、弗化水素、および弗素から選ばれる少なくとも1種を含有する有害ガスを、常温で弗素系化合物を除去する浄化剤と接触させた後、酸化第一錫を含む浄化剤と200℃以上の温度で接触させて浄化することを特徴とする有害ガスの浄化方法。
- 酸化第一錫を含む浄化剤が、さらに金属弗化物を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の浄化方法。
- 金属弗化物が、弗化カリウム、または弗化カリウムと弗化カルシウムの組み合わせである請求項4に記載の浄化方法。
- 金属弗化物が、弗化カリウムと弗化カルシウムの組み合わせであり、浄化剤中の酸化第一錫、弗化カリウム、弗化カルシウムの重量比が1:0.001〜0.15:0.01〜0.60である請求項4に記載の浄化方法。
- 有害ガスが半導体製造装置からの排ガスである請求項1〜3のいずれかに記載の浄化方法。
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