JP3730296B2 - 火葬方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火葬炉の主燃焼室に設けてある主バーナーで火葬する際の火葬方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来は主バーナーに燃料と燃焼用空気を供給し、該バーナーから終始噴射する火炎を被火葬体に投射して火葬されており、しかも火葬中は主燃焼室内は負圧に保たれており、炉体に設けてある空気吸入口やその他の間隙から主燃焼室内に空気が流入しているもので、試みに主燃焼室の出口で採集した排気燃焼生成ガスを分析すると、10%以上の酸素が含まれており、燃焼に必要な理論空気量の約2倍程度の過剰空気率で燃焼されていることになる。
【0003】
しかし現状では以上のように過剰空気率で燃焼されているにも拘らず、被火葬体の特に難燃部(内臓)が炭化されしまう結果を招いている。炭化する原因は、酸素不足によるものであることは燃焼原理からも明白であるが、主燃焼室内の負圧によって流入される空気が被火葬体に有効に与えられず、自然対流によって排出されているとみなされ、流入する空気が被火葬体への燃焼に寄与しておらず、その結果完全に火葬するまでに時間が長く掛かるという問題点があった。
【0004】
以上のように火葬時間を短縮する解決手段として、特公昭54−12157号公報に記載してあるが、その解決手段は、低燃焼、空気のみの噴射、再低燃焼、高燃焼を順次所定時間おきに切り替えて火葬することにより、無煙化を促進し、時間を短縮する効果を奏するものである。
【0005】
しかし、以上の火葬方法における空気のみの噴射工程で、副葬品や柩を焼却するもので、被火葬体及びその難燃部の火葬時には従来と変わりなく高燃焼されるため、前述の炭化を解消することは不可能である。また低燃焼は炉内温度を高めることができるが、低燃焼による火炎の噴射速度が低いため、被火葬体には火炎が殆ど当たらず、高温の雰囲気内にさらされることから、揮発性物質や水分の蒸発が促進して炭化されるものであり、燃焼工程と空気のみの噴射する工程を交互に与えも炭化を免れないものである。
【0006】
本発明は更に研究し、エネルギーの消費量を減少して、しかも炭化されることなく火葬することができ、火葬時間を短縮する方法を確立することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による解決方法は、火葬炉を構成する主燃焼室に設けた主バーナーに単位時間燃料と燃焼空気とを供給し、主バーナーより噴射する火炎を被火葬体に、該被火葬体の表面に生じる温度境膜を破壊する衝撃力を持って投射する火炎燃焼工程と、単位時間上記温度境膜を破壊する衝撃力を持って稼働する主バーナーへの燃料供給を遮断して空気のみを供給し、主バーナーより噴射する空気を被火葬体に投射する空気燃焼工程とを交互に繰り返して火葬することにある。
【0008】
【作用】
以上の方法によれば、火炎燃焼工程によって被火葬体が着火温度に加熱されて燃焼され、単位時間経過後に火炎の噴射を遮断しても被火葬体自体に有する可燃性物質によって自己燃焼を続けるもので、その時点で火炎を止めて、主バーナーより噴射する空気のみを被火葬体に投射する空気燃焼工程を行うことにより、炭化されることなく燃焼が更に促進される。しかしながら空気のみを投射し続けていると、空気によって燃焼温度が低下することから、再度主バーナーに燃料と空気を供給して火炎を噴射する火炎燃焼工程を行う過程を複数回繰り返すことにより、本発明の目的を確実に達成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を実施形態によって説明すると、図1に火葬炉の主燃焼室1の要部を示しているように、前壁2に防火扉3を設け、後壁4に主バーナー5と空気孔6を備えるものであり、また主バーナー5には燃料供給口7と燃焼空気供給口8とを設けたもので、以上の構造は従来の火葬炉と変わりがない。また図示の火葬炉は台車式のものである。
【0010】
上記火葬炉で火葬を行う際、柩9を載置した台車10を防火扉3の開閉によって主燃焼室1内に設置し、主バーナー5を稼働して火葬を開始する。
主バーナー5の稼働は、下記する工程を交互に与えるものである。
(A)燃料供給口7と燃焼空気供給口8とにそれぞれ燃料とブロアーで送風される空気を供給して火炎を噴射する火炎燃焼工程。
(B)燃料の供給を遮断して、燃焼空気供給口8よりブロアーで送風される空気のみを供給し、主バーナー5より空気を噴射する空気燃焼工程。
【0011】
上記主バーナー1は火葬の当初よりその能力の70〜100%で稼働する。即ち、主バーナー1から噴射する火炎の速度を高速にするものである。
ところで、物体が温度雰囲気内にあるとき、物体の外表面に境膜が生じて熱伝導率を低下することが知られているが、上記の火炎の速度は境膜を破壊し、伝熱係数を高めることにある。従って、主バーナー5の能力にもよるが、一般的には火炎燃焼工程(A)を秒単位、例えば30秒〜50秒間稼働する。
【0012】
次に空気燃焼工程(B)は、以上のように高速に稼働している主バーナー5の燃料供給を遮断して、空気量は燃焼時と同様の量を供給する。このように高速で空気を噴射することにより、空気を無駄に放射することなく、被火葬体に確実に投射することができる。またその時間は、長すぎると炉内の温度を低下する結果を招くから、この場合も秒単位で与えれば良い。
尚、火炎燃焼工程(A)と空気燃焼工程(B)の稼働時間は、被火葬体によって大きく異なり、炉内温度の検出器による指示、火葬状況の看視などによって切り替えれば良い。
【0013】
【発明の効果】
本発明による火葬方法は、火炎燃焼工程と空気燃焼工程とを交互に切り替えて火葬するが、各工程では温度境膜を破壊するのに相当した高速の火炎流と空気流とを与えて火葬するものであるから、火葬に充分な燃料と空気と温度(酸素)を適切に与えるので、火葬中に炭化の発生がなく火葬時間を大きく短縮することができる。しかも、火炎燃焼工程時には、主バーナーをその能力一杯に稼働するといえども、その工程は間欠的に行われるものであれ、また火葬時間が短縮されることから燃料の消費量が削減されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の火葬方法を実施することができる火葬炉の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 主燃焼室
5 主バーナー

Claims (1)

  1. 火葬炉を構成する主燃焼室(1)に設けた主バーナー(5)に単位時間燃料と燃焼空気とを供給し、主バーナー(5)より噴射する火炎を被火葬体に、該被火葬体の表面に生じる温度境膜を破壊する衝撃力を持って投射する火炎燃焼工程と、単位時間上記温度境膜を破壊する衝撃力を持って稼働する主バーナー(5)への燃料供給を遮断して空気のみを供給し、主バーナー(5)より噴射する空気を被火葬体に投射する空気燃焼工程とを交互に繰り返して火葬することを特徴とする火葬方法。
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