JP2003342581A

JP2003342581A - コークス炉のガス燃焼制御方法および装置

Info

Publication number: JP2003342581A
Application number: JP2002149928A
Authority: JP
Inventors: Tatsuya Ozawa; 達也小澤
Original assignee: JFE Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 2002-05-24
Filing date: 2002-05-24
Publication date: 2003-12-03
Anticipated expiration: 2022-05-24
Also published as: JP3948347B2

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】燃焼室の目地に付着したカーボンを消失するこ
となく、簡単な操作によって燃焼排ガス中の微細ダスト
（煤塵）を効果的に除去することができるコークス炉の
ガス燃焼方法及び装置を提供する。【解決手段】石炭を装入する炭化室２４に隣接する燃
焼室２１に、廃気側の富ガス供給路１２ｂから不燃性ガ
ス、好適には、燃焼排ガス３２を供給する。このとき、
石炭を装入する炭化室の圧力をその両隣の燃焼室の圧力
と併せて、圧力計１７で測定し、それらの圧力測定値に
応じて、供給する燃焼排ガスの流量を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はコークス炉のガス燃
焼方法に関し、特に燃焼排ガス（以下、廃気ともよ
ぶ。）の微細なダスト（煤塵）発生を防止する技術に関
する。

【０００２】

【従来の技術】コークス炉は、燃焼室と炭化室が１枚の
レンガで仕切られているが、コークス炉の老朽化に伴
い、レンガの目地が切れて、この目地切れ部を通って、
炭化室から燃焼室へ発生ガスが漏洩することがある。そ
して、漏洩したガスにより燃焼室の空燃比が乱れ、不完
全燃焼を起こして煤が生じる場合がある。

【０００３】この煤がそのまま煙突から外部に排出され
ると煙突黒煙となる。なお、このような煙突黒煙は、炭
化室内圧力が特に上昇する石炭装入の直後に発生しやす
い。この煙突黒煙に対し、従来、煙突の入側に煙道集塵
機を設ける等の対策がとられてきた。しかしながら、こ
の対策では、煙突黒煙の発生はゼロになるものの、投資
額が膨大であるという問題がある。

【０００４】これに対し、特開平06-063334 号公報で
は、コークス炉の廃気弁の下流側で、廃気を新設の集塵
系と既設の煙道系に分岐させ、煤塵の多い、あるいは、
黒煙の多い廃気のみを集塵機に導くようにしている。こ
うすることで、新設の集塵ダクトを小径化でき集塵機そ
のものも小型化できるので、コスト的に安価となる。し
かし、廃気弁の下流側にスペースがない場合は、集塵系
と煙道系を切替える切替ダンパや集塵ダクトを設置する
ことができない。また、多くの門数から構成される炉団
では、切替ダンパの個数も多くなるため、総体的に考え
ると必ずしも安価になるとは限らない。

【０００５】他の従来技術としては、特開平06-256764
号公報等に開示のように、石炭装入時に装入窯に隣接す
る燃焼室への燃料ガス流量をコントロールすることで、
漏洩ガスを完全に燃焼させる技術がある。しかしなが
ら、こうすると、漏洩ガスは燃焼するものの、部分的に
は燃焼室が空気過剰になり、レンガの目地に入っている
カーボンも燃焼させてしまって目地切れを助長させてし
まう問題がある。

【０００６】また、上記方法は、効果的ではあるが、燃
焼室内全体を、漏洩ガスを燃焼させるだけの空気比とす
る必要があり、燃料ガス流量のコントロールは非常に困
難である。更に、他の従来技術である特開平10-168459
号公報に開示の方法は、炉上の燃焼室覗き穴（ピーピン
グホール）から空気を吹き込み、漏洩ガスを燃焼させる
方法であるが、これも同様に吹き込み空気の流量コント
ロールが非常に難しい。

【０００７】従来技術としては他にも、高圧安水スプレ
ーの噴射工程やドライメーンと縁を切るダンパを開口す
る工程等の制御によって炭化室内の圧力を制御して、石
炭装入時に炭化室側から燃焼室側へ発生ガスが漏洩しな
いようにする方法があるが、炭化室内の圧力制御が及ぶ
のは、石炭が装入されていない炭化室の上部空間がほと
んどであり、石炭が装入されている部位の炉壁、とりわ
け、炭化室の底部に近いところの炉壁の目地切れ部から
の燃焼室側への発生ガスの漏洩は避けることができな
い。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、燃焼室の目
地に付着したカーボンを焼失させることなく、簡単な操
作によって上記従来技術の問題点を解決し、燃焼ガス中
の微細な炭素を効果的に除去することのできるコークス
炉のガス燃焼制御方法および装置を提供するものであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、以下の各項記
載のコークス炉のガス燃焼制御方法および装置によって
上記課題を解決した。 (1) コークス炉の燃焼室におけるガス燃焼制御方法であ
って、石炭を装入する炭化室に隣接する燃焼室に、廃気
側の富ガス供給路から不燃性ガスを供給することを特徴
とするコークス炉のガス燃焼制御方法。 (2) 前記炭化室の内部圧力を測定し、該内部圧力に応じ
て前記不燃性ガスの供給量を制御することを特徴とする
上記(1) に記載のコークス炉のガス燃焼制御方法。 (3) 前記不燃性ガスを、コークス炉の燃焼排ガスとする
ことを特徴とする上記(1) または(2) に記載のコークス
炉のガス燃焼制御方法。 (4) コークス炉の燃焼室におけるガス燃焼制御装置であ
って、石炭を装入する炭化室に隣接する燃焼室の廃気側
の富ガス供給路から不燃性ガスを供給する経路と、該経
路に、不燃性ガスを昇圧して送給する昇圧ブロワと、該
経路中に設けられ、不燃性ガスの供給を調節する不燃性
ガス流量調節弁と、前記炭化室の内部圧力を測定する圧
力計と、該圧力計の測定値に基づき前記不燃性ガス流量
調節弁を制御し、前記の燃焼室の内部圧力を制御する制
御装置と、を有することを特徴とするコークス炉のガス
燃焼制御装置。 (5) 前記不燃性ガスを、コークス炉の燃焼排ガスとする
ことを特徴とする上記(4) に記載のコークス炉のガス燃
焼制御装置。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図１、図２を参照し、（カ
ールスチル式）コークス炉10を例にとって、本発明の実
施の形態を説明する。図１において、２分割式のカール
スチル式コークス炉10は、蓄熱室31及び燃焼室21のほぼ
中央で、押出機側（マシンサイド側、すなわち、図１の
右側であり、押出機は図示せず。) と消火車側（コーク
サイド、すなわち、図１の左側であり、消火車は図示せ
ず。) に２分割されている。

【００１１】そして、燃焼ガスの導入を定期的に切り替
え、一定時間（20〜30分）毎に、押出機側と消火車側と
で燃焼を交互に繰り返している。なお、室炉式コークス
炉としては、この他にも、炉の均一加熱や熱効率向上の
ために各々工夫された燃焼室や蓄熱室の有する構造の相
違から、コッパース式、オットー式等、様々な炉が知ら
れている。

【００１２】コークス炉10は、押出機側と消火車側それ
ぞれの燃料供給部11、および、燃焼室21、炭化室24、蓄
熱室31、廃気経路41等を備えており、その廃気は、最終
的に煙突44から排煙される。燃料供給部11は、コークス
炉10の両端部から交互に燃料を供給することができるよ
うに、それぞれにＣガス配管12、Ｍガス配管13が設けら
れている。

【００１３】炭化室24と燃焼室21とは、多数列が交互に
隣接して配列されて炉団を形成しており、その上面には
それぞれ石炭装入口22と覗き穴23が設けられている。ま
た、図１に示すように、コークス炉10の燃焼室21には、
燃料ガスと空気を流通させる複雑な経路が形成されてお
り、燃焼排熱を利用するため、燃焼室21の下側に蓄熱室
31が設けられている。

【００１４】燃焼排ガスは、燃焼排ガス流32で示すよう
に蓄熱室31内を経由して、蓄熱室31を形成するレンガに
熱を伝え、その後、小煙道42、大煙道43などの排気経路
41を経て煙突44から外気に排出される。そして、貧ガス
（混合ガス：Ｍガス）燃焼時には、Ｍガス配管13に燃料
ガスを送り、同時に、空気流14として示すように空気を
送る。これらの燃料ガスと空気は、別々に蓄熱室31を経
由して高温のレンガと熱交換して昇温され、燃焼室21内
で合流して燃焼する。このようにすることで、燃焼ガス
の顕熱を有効に利用できる。

【００１５】一方、富ガス（コークス炉ガス：Ｃガス）
燃焼時には、燃料ガスと空気を、蓄熱室31を経由せずに
直接燃焼室21内のバーナに供給する。富ガス（Ｃガス）
は、炭化水素ガスを多く含んでおり、高温に保持すると
分解して煤を生じる恐れがあるため、通常、予熱せずに
燃焼させる。図１に示す本発明を適用するコークス炉10
においては、燃焼排ガス流32を、例えば、大煙道43で分
岐して昇圧ブロワ20で昇圧し、廃気側（煙突44側) に配
置されたＣガス支管である富ガス供給路12b に供給する
経路に接続する。

【００１６】そして、石炭を装入する炭化室24の両隣に
ある燃焼室21の下部にある廃気側の富ガス供給路12b か
ら燃焼排ガスを供給する。このとき、図２に示すよう
に、石炭を装入する炭化室24b 圧力を、その両隣の燃焼
室21の圧力と併せて、圧力計17で測定し、それらの圧力
測定値に応じて、供給する燃焼排ガスの流量を調整す
る。すなわち、石炭装入開始後しばらくの間は、炭化室
24b 内部の圧力が燃焼室21内部の圧力よりも高いので、
炭化室内部の圧力測定値に対して燃焼室内部の圧力測定
値がほぼ同等となるように、供給する燃焼排ガスの流量
を調整するのである。

【００１７】こうすることにより、石炭装入時に生じる
炭化室内の圧力上昇に応じて、その両隣の燃焼室に燃焼
排ガス流32を供給して燃焼室の圧力を上昇させることが
できるので、炭化室側から燃焼室側への発生ガス漏洩を
防止することができ、煙突からの黒煙発生を解消でき
る。しかも、本発明では、廃気側の燃焼室21の下部に燃
焼排ガス流32を供給するので、燃焼室21の目地に存在す
るカーボンを燃焼させることがなく、レンガの目地切れ
を助長させる心配はない。また、炭化室24b と燃焼室21
の圧力に応じて、燃焼排ガス流32の供給量を調整するの
で、燃焼室内部を過剰に昇圧することがなく、燃焼室21
への燃料ガスや空気の流入を妨げることがないので、燃
焼室内部での燃料ガスの燃焼を阻害する心配もない。

【００１８】なお、以上の説明では、石炭を装入する炭
化室24の両隣にある燃焼室21に燃焼排ガス流32を供給す
るとして説明したが、これは、燃焼排ガスが最も手近に
得られる不燃性ガスであるからであり、燃焼室21に窒素
ガス等の不燃性ガスを導入するようにしても良いことは
言うまでもない。

【００１９】

【実施例】102門の炭化室を有するカールスチル式コー
クス炉の操業に本発明のコークス炉のガス燃焼方法を適
用し操業を実施した。これを本発明例とする。本発明例
では、コークス炉の石炭を装入した炭化室の両隣にある
燃焼室に、当該炭化室の内部圧力に応じて、燃焼排ガス
を供給した。なお、供給は、燃焼室の下部にある廃気側
の富ガス供給支管から行い、石炭装入開始から10分間行
った。

【００２０】一方、従来例として、Ｍガスを用いた貧ガ
ス燃焼のみを適用した操業を実施した。なお、従来例の
操業における燃焼室内の圧力は４〜５mmAqであった。以
上の結果、石炭装入後の煤塵濃度の推移は、図３のよう
になり、本発明例においては、石炭装入後の煤塵濃度が
大幅に低下していることがわかる。ここで、煤塵濃度指
標とは、従来例における石炭装入後の燃焼排ガス中煤塵
濃度の最大値を１として煤塵濃度の推移を相対値で示し
たものである。煤塵濃度は燃焼室の廃気弁部分にサンプ
リング管を挿入し等速吸引法で各１分間サンプリングし
た燃焼排ガス中の煤塵量を燃焼排ガス量当たりの量とし
て求めた。

【００２１】すなわち、本発明例では、燃焼室内の圧力
は６〜７mmAqとなり、炭化室の圧力とほぼ同等としたの
で、90％以上の煤塵濃度低減を達成することができた。

【００２２】

【発明の効果】本発明の適用により、炭化室側から燃焼
室側への発生ガスの漏洩が少なくなり、コークス炉の燃
焼排ガスに混入する微細なカーボンを大幅に低減し、煙
道集塵機を設置せずとも、煙突からの放出煤塵量を極め
て低いレベルに維持することが可能となった。

【００２３】しかも、燃焼室下部に不燃性ガスである燃
焼排ガスを供給するようにしたので、燃焼室の目地に存
在するカーボンを燃焼させることがなくなり、レンガの
目地切れを助長させることもなくなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したコークス炉の模式図である。

【図２】本発明を適用したコークス炉のガス燃焼フロー
を示す模式図である。

【図３】本発明例と従来例の煤塵濃度の経時変化を示す
グラフである。

【符号の説明】

10 （カールスチル式）コークス炉 11 燃料供給部 12 Ｃガス配管 12b 富ガス供給路（Ｃガス支管） 13 貧ガス供給路（Ｍガス配管） 14 空気流 16 廃気弁 17 圧力計 18 制御装置 19 燃焼排ガス（不燃性ガス）流量調節弁 20 昇圧ブロワ 21 燃焼室 22 石炭装入口 23 覗き穴 24 炭化室 24b （石炭を装入する）炭化室 31 蓄熱室 32 燃焼排ガス流 41 廃気経路 42 小煙道 43 大煙道 44 煙突

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コークス炉の燃焼室におけるガス燃焼制
御方法であって、石炭を装入する炭化室に隣接する燃焼
室に、廃気側の富ガス供給路から不燃性ガスを供給する
ことを特徴とするコークス炉のガス燃焼制御方法。
【請求項２】前記炭化室の内部圧力を測定し、該内部
圧力に応じて前記不燃性ガスの供給を制御することを特
徴とする請求項１に記載のコークス炉のガス燃焼制御方
法。
【請求項３】前記不燃性ガスを、コークス炉の燃焼排
ガスとすることを特徴とする請求項１または２に記載の
コークス炉のガス燃焼制御方法。
【請求項４】コークス炉の燃焼室におけるガス燃焼制
御装置であって、石炭を装入する炭化室に隣接する燃焼
室の廃気側の富ガス供給路から不燃性ガスを供給する経
路と、該経路に、不燃性ガスを昇圧して送給する昇圧ブ
ロワと、該経路中に設けられ、不燃性ガスの供給を調節
する不燃性ガス流量調節弁と、前記炭化室の内部圧力を
測定する圧力計と、該圧力計の測定値に基づき前記不燃
性ガス流量調節弁を制御し、前記の燃焼室の内部圧力を
制御する制御装置と、を有することを特徴とするコーク
ス炉のガス燃焼制御装置。
【請求項５】前記不燃性ガスを、コークス炉の燃焼排
ガスとすることを特徴とする請求項４に記載のコークス
炉のガス燃焼制御装置。