JP3601578B2 - コークス炉の煙突からの黒煙発生抑制方法 - Google Patents

コークス炉の煙突からの黒煙発生抑制方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉の炭化室から燃焼室への発生コークス炉ガスの漏洩による煙突からの黒煙発生を抑制する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の室炉式コークス炉は、炉体の下部に蓄熱室があり、その上部に燃焼室と炭化室とが交互に配列されている。燃料ガスおよび空気(富ガスの場合は空気のみ)は、ニーピースからソールフリューを経て蓄熱室に入り、蓄熱室で予熱されたのち、燃焼フリューで燃焼し、引き落としフリューを経て蓄熱室で熱回収されたのち、ソールフリューを経てニーピースから煙道に入り、煙突から排出されている。
【0003】
通常の室炉式コークス炉では、乾留に必要な熱量は燃焼室から炉壁れんがを通して石炭層の両側から供給される。乾留時に発生するコークス炉ガス量は、装入直後は極めて多いが、急速に減少して乾留開始から3〜4時間後にほぼ一定となり、乾留終了前に再び増加したのち、急激に減少して火落ちとなる。燃焼室では、乾留中に炭化室から燃焼室に発生コークス炉ガスが漏れ込むと、不完全燃焼となって燃焼排ガス中で煤が発生し、煙突から黒煙が大気中に放出される。この煙突からの黒煙は、環境上望ましくないことはいうまでもない。
【0004】
本来、コークス炉においては、燃焼室と炭化室間で熱の伝達のみが行われるべきであり、物質および圧力の移動はないはずである。したがって、燃焼室では、空気/燃料比を適切に調整することによって、不完全燃焼および燃焼排ガス中での煤の発生を抑制することが可能となるはずである。
【0005】
しかしながら、コークス炉は、一旦操業を開始すると、老朽化して使用不能となるまで操業を継続する。このため、燃焼室と炭化室とを仕切る珪石れんがで構成された炉壁には、れんが目地の開き、れんがの亀裂や部分的な損傷等(以下貫通亀裂という)が存在し、炭化室へ石炭を装入した直後のコークス炉ガスの発生量の多い時期には、炭化室から燃焼室へコークス炉ガスの漏洩が起こり、燃焼室での不完全燃焼による煙突からの黒煙が発生する。
【0006】
上記炭化室から燃焼室へコークス炉ガスの漏洩による煙突からの黒煙発生を抑制する方法としては、石炭装入直後の一定期間、炭化室圧力を低減する方法、耐火物により炉壁の貫通亀裂を補修する方法、燃焼室内へのコークス炉ガス漏洩時に燃料ガスの供給量を低減あるいは供給停止し、空気/燃料比を調整する方法が開示されている。
【0007】
例えば、石炭装入直後の一定期間、炭化室圧力を低減する方法としては、石炭の装入開始から装入蓋を閉じるまでの間、炭化室圧力を連続的に測定し、予め定めた所定の圧力パターンとなるよう、上昇管での高圧安水などの高圧流体噴射によるエゼクター効果により制御する方法(特公昭60−6387号公報)、各炭化室毎の上昇管に制御ダンパーを設け、制御ダンパーと高圧流体噴射によるエゼクター効果とを個別にあるいは組合せて、装入から窯出しまでの全乾留期間の炭化室内圧力を、大気圧以下の設定圧力に調整する方法(特開平6−41537号公報)が提案されている。
【0008】
耐火物により炉壁の貫通亀裂を補修する方法としては、耐火性粒体と酸化性粒体とによって耐火物を形成する際、耐火性粒体の粒径と粒径分布範囲率とを特定した溶射による貫通亀裂補修(特開昭61−275170号公報)、乾モルタルホッパー下部から炭化室へ通ずる配管内に2本以上のノズルを設け、それから圧縮空気を噴射させることによって、目地切れに乾モルタルを均一に拡散させて補修する(特開昭53−67701号公報)等が提案されている。
【0009】
炭化室へ石炭を装入直後に空気/燃料比を調整する方法としては、煙突に設けた媒塵濃度計または未燃検出計と、媒塵濃度計または未燃検出計の測定値が所定値以上になったときの装入窯の窯番号を黒煙窯番号として記録する黒煙窯番号記録手段と、装入窯の窯番号と黒煙窯番号とを照合する照合手段と、照合が一致したとき当該窯の燃焼室への燃料制御弁を所定時間全閉とした後に所定開度に開く指令を出す燃料制御弁開度指令手段からなる黒煙防止装置(特開平5−239464号公報)、燃焼室排ガス中の酸素濃度が特定濃度範囲に下限に達したとき、燃料ガスの供給を停止し、上限に達したとき燃料ガスの供給を再開する方法(特公平7−5888号公報)等が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公昭60−6387号公報、特開平6−41537号公報等に開示の炭化室圧力調整による排ガス黒煙低減方法は、その有効性は認められるが、各炭化室圧力の連続測定が困難であるため、きめ細かい制御は困難であり、しかも、大きな設備投資を必要とする。また、貫通亀裂そのものは塞がれないため、状況によっては乾留ガスの燃焼室への漏洩が抑制できず、排ガス黒煙発生につながる場合もある。
【0011】
また、特開昭61−275170号公報に開示の溶射による補修は、貫通亀裂の修復に有効であるが、貫通亀裂箇所の特定および溶射作業自体に多大の時間と労力を要し、排ガス黒煙に対する完全な対応は困難である。また、特開昭53−67701号公報に開示の乾モルタル吹き込みによる貫通亀裂の補修は、その効果継続が困難で恒久的な対策とはなり得ない。
【0012】
特開平5−239464号公報に開示の窯毎に燃料制御弁の開度調整を行う方法は、全窯に設備を設置しなければならず、多大の設備投資を必要とし、現実的ではない。また、特公平7−5888号公報に開示の燃焼室排ガス中の酸素濃度によって燃料ガスの供給を制御する方法は、この操作を特定窯でなく炉団単位で行うと、排ガス黒煙発生対象窯以外の窯への乾留に要する熱量に影響を与えるため、好ましくない。
【0013】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、新たに設備投資を必要とすることなく、また、大きな労力と時間を費やすことなく、煙突からの黒煙発生を抑制できるコークス炉の煙突からの黒煙発生抑制方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のコークス炉の煙突からの黒煙発生抑制方法は、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように、燃焼室上部圧力を調整し、あるいは炭化室上部圧力または炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力を調整し、炉壁の貫通亀裂部が閉塞するまでの間、全乾留期間を通じて炭化室から燃焼室にコークス炉ガスを漏洩させ、コークス炉ガス中のタール分、カーボンで炉壁の貫通亀裂部を閉塞することとしている。
【0015】
このように、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように、燃焼室上部圧力を調整し、あるいは炭化室上部圧力または炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力を調整することによって、乾留末期の炭化室上部圧力CPが燃焼室上部圧力FPと同じかまたは全乾留期間を通じて燃焼室上部圧力FPよりも高くなる。
【0016】
このため、炭化室で発生したコークス炉ガスは、炉壁に貫通亀裂が生じた場合その貫通亀裂部が閉塞するまでの間、全乾留期間に亘って貫通亀裂部を通って圧力の低い燃焼室に流入する。このため、コークス炉ガス中のタール分やカーボンは、炉壁の貫通亀裂部に付着し、やがて貫通亀裂部を閉塞するから、燃焼室へのコークス炉ガスの漏洩が防止され、不完全燃焼による煙突からの黒煙発生を抑制することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
通常、燃焼室と炭化室は、それぞれの上部圧力を独立して調整することができる。燃焼室においては、空気を自然通風により供給するため、煙道に設けた排ガスダンパーの開度を調整して煙突のドラフト圧を制御するか、ニーピース部に設けた空気吸気口開度を調整するか、燃料ガスの発熱量を変化させることによって、燃焼室上部圧力を調整できる。この場合、燃焼室への外気の侵入を防止するため、フリュー点検孔から大きなガスの噴き出しがない程度に、陽圧に調整する。
【0018】
炭化室においては、発生するコークス炉ガスが上昇管、ベンド管を経て集気本管に集められ、吸引本管を経て次工程の精製工程のブロワにより吸引排送される。このため、炭化室の上部圧力は、吸引本管に設けたアスカニアと称する制御弁の開度を調整してブロワの吸引圧を制御し、集気本管内圧力を数mmHO程度の一定微陽圧に保持し、上昇管ベンド部に設けた皿弁の開度とベンド部に噴射する高圧または低圧安水噴射によるエゼクター効果によって炭化室上部圧力を調整できる。
【0019】
通常、燃焼室上部圧力は、炭化室から燃焼室へコークス炉ガスが漏洩するのを防ぐため、炭化室上部圧力より高くなるように、もしくはこれに近づくように可能な限り高く設定する。しかし、図2に示すように、石炭装入直後の炭化室上部圧力は、コークス炉ガスの発生量が多いため、極めて高くなり、高く設定した燃焼室上部圧力を上回ってしまい、炭化室から燃焼室にコークス炉ガスが漏洩し、不完全燃焼により煙突からの黒煙発生につながる。
【0020】
図2に示すように、炭化室上部圧力は、乾留開始から3〜4時間経過すると、コークス炉ガスの発生量が低下してほぼ一定となるため、燃焼室上部圧力よりも低くなり、前記と逆に燃焼室から炭化室に燃焼排ガスが漏洩する。
【0021】
このため、炉壁の貫通亀裂部には、石炭装入直後に炭化室から燃焼室に漏洩するコークス炉ガス中のタール分やカーボンが付着する。しかし、炉壁の貫通亀裂部に付着したタール分やカーボンは、コークス炉ガスの発生量が低下してほぼ一定となり、逆に燃焼室から炭化室に燃焼排ガスが漏洩すると、燃焼除去されてシール効果が失われる。このように、炉壁の貫通亀裂部では、窯出しの度にコークス炉ガス中のタール分やカーボンの付着、除去が繰り返されるため、炉壁に貫通亀裂がある限り燃焼室での不完全燃焼による煙突からの黒煙発生を防止することはできない。
【0022】
本発明においては、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように、例えば、図3に示すように燃焼室上部圧力を調整し、あるいは炭化室上部圧力または炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力を調整する。これによって、炭化室上部圧力は、乾留末期に燃焼室上部圧力とほぼ同じか、全乾留期間を通じて燃焼室上部圧力よりも常に高くなる。この場合、燃焼室上部圧力は、乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように炉団単位で調整すれば、各窯毎に燃焼室上部圧力を調整しなくても、全乾留期間で炭化室上部圧力が一番低くなる乾留末期の炭化室上部圧力と同じか、低くなる。
【0023】
また、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように、炭化室上部圧力または炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力を調整する。これによって、炭化室上部圧力は、乾留末期に燃焼室上部圧力とほぼ同じか、全乾留期間を通じて燃焼室上部圧力よりも常に高くなる。この場合、炭化室上部圧力は、各窯毎に異なるため、燃焼室上部圧力のように炉団単位で調整することはできないので、各窯毎に調整する必要がある。
【0024】
このように、本発明においては、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように、燃焼室上部圧力あるいは炭化室上部圧力または炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力を調整する。これによって、炭化室上部圧力は、乾留末期に燃焼室上部圧力と同じか、全乾留期間を通じて燃焼室上部圧力より常に高く保持することができる。
【0025】
このため、炉壁に貫通亀裂が生じた場合その貫通亀裂部では、貫通亀裂部が閉塞するまでの間、全乾留期間を通じて炭化室から燃焼室にコークス炉ガスが漏洩するため、コークス炉ガス中のタール分やカーボンが継続して貫通亀裂部に付着し、やがて貫通亀裂部が閉塞される。
【0026】
したがって、次回の石炭装入からは、全乾留期間を通じて炭化室上部圧力が燃焼室上部圧力よりも常に高くても、貫通亀裂部がタール分やカーボンにより閉塞されているため、炭化室から燃焼室にコークス炉ガスが漏洩することはない。これによって、燃焼室での不完全燃焼による煙突からの黒煙発生を防止できる。
【0027】
なお、コークス炉の操業においては、発生したコークス炉ガス中の炭化水素系ガスの熱分解により析出するカーボンが、炉壁面に付着成長して貫通亀裂を閉塞し、結果として本発明と同様に燃焼室での不完全燃焼による煙突からの黒煙発生抑制効果を達成することが知られている。
【0028】
しかしながら、炭化室の炉壁面に付着成長するカーボンは、貫通亀裂部のみに付着成長するものではなく、どの部分に付着成長するのか予測できず、煙突からの黒煙発生抑制を目的としたカーボン生成制御技術は確立されていない。煙突からの黒煙発生抑制を目的として、貫通亀裂部にコークス炉ガス中のタール分、カーボンを付着させて閉塞を任意に行う本発明方法と異なることは明らかであります。
【0029】
【実施例】
実施例1
以下に本発明の煙突からの黒煙発生抑制方法を、実操業での実施例により説明する。図1はコークス炉の燃焼関係経路における各部圧力分布を示す模式図である。図1において、1a、1bは吸排気口の役割を果たすニーピースで、1aが吸気側、1bが排気側となっているが、一定時間毎に切替えられる。
【0030】
2は蓄熱室、3は燃焼室の燃焼フリュー、4は引き落としフリュー、5は煙道、6は煙道5に設けた煙道圧力調整弁、7は煙突である。本例では、燃焼室上部8の圧力調整は吸気側のニーピース1aの吸気口開度変更による吸気抵抗変化によって、燃焼経路の各部圧力が変化することを利用し、燃焼室上部圧力の調整試験を行った。なお、図1下部の圧力図は、燃焼室上部圧力が5.4mmHO、3.0mmHOであった時の各部分の相対圧力を示したものである。
【0031】
図2は従来例を示すもので、乾留開始から3〜4時間経過してコークス炉ガスの発生量がほぼ一定となった時点の炭化室上部圧力5mmHOより、燃焼室上部圧力を1mmHO高い6mmHOに設定した場合の、乾留開始から乾留終了までの経過時間と炭化室上部圧力、燃焼室上部圧力との関係を示すグラフである。
【0032】
図3は本発明例を示すもので、炭化室上部圧力が全乾留期間で一番低くなる乾留末期の炭化室上部圧力約2.3mmHOより、燃焼室上部圧力を約0.3mmHO低い2.0mmHOに設定した場合の、乾留開始から乾留終了までの経過時間と炭化室上部圧力、燃焼室上部圧力との関係を示すグラフである。
【0033】
図3から明らかなように、乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように、燃焼室上部圧力を調整した本発明例の場合は、乾留開始から乾留終了までの全乾留期間に亘って、炭化室上部圧力が燃焼室上部圧力を上回っている。
【0034】
これに対し、図2に示す従来例では、乾留開始後3時間までは炭化室上部圧力が燃焼室上部圧力を上回っているが、それ以降は燃焼室上部圧力が逆に炭化室上部圧力を上回り、乾留開始から3時間以降燃焼室から炭化室へ燃焼排ガスが漏洩し、貫通亀裂部の閉塞進行の停止が懸念される。
【0035】
実施例2
炉高5000mm、炉幅450mm、炉長14620mm、有効容積29.3mのコッパース単式コークス炉92門において、稼働率95%で操業時、乾留末期の炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力との差圧ΔPを、2mmHO、0mmHO、−3mmHOの範囲で変化させた場合の排ガスの黒煙発生状況を調査した。その結果を、図4〜図6に示す。なお、図4に示す煙突煤煙濃度は、石炭装入時における煙突に常設した媒煙濃度計の濃度上昇幅である。図5に示す排ガスダスト量は、石炭装入時の図1に示すニーピース排気側1bでのダスト捕集量である。図6に示す計算漏洩ガス量は、石炭装入時の図1に示すニーピース排気側1bにおける排ガス中の酸素濃度の変化量から計算したコークス炉ガスの漏洩量である。
【0036】
図4〜図6に示すように、乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPを、0mmHO以上とすることによって、排ガス中の煤煙濃度、ダスト捕集量、コークス炉ガスの漏洩量共に低下している。
【0037】
実施例3
実施例2と同じコークス炉において、乾留末期の炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力との差圧ΔPを、2mmHO、0mmHO、−3mmHOの範囲で変化させ、煙突に常設した媒煙濃度計により排ガス黒煙が検出された一日当たりの煙突黒煙発生回数の推移を調査した。その結果を図7に示す。なお、一日当たりの窯出し本数は、92(門)×0.95(稼働率)=87本である。
【0038】
図7に示すように、乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPを、+2mmHOから−3mmHOに変化させたとき、煙突黒煙発生回数が急激に増加している。その原因は、それまで貫通亀裂に付着してシールの役割を果たしていたタール分やカーボンが、燃焼室から炭化室へ漏洩する燃焼排ガスによって徐々に揮発ないし燃焼除去されたためと考えられる。
【0039】
また、図7に示すように、乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPを−3mmHOから0mmHOに変化させたとき、煙突黒煙発生回数が急激に減少している。その原因は、炭化室から燃焼室へ漏洩するコークス炉ガスのタール分やカーボンが、貫通亀裂部に付着してシールの役割を果たし、貫通亀裂部を閉塞するためと考えられる。
【0040】
なお、乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPを−3mmHOから0mmHOに変化させた段階で、燃焼室内部を点検したところ、タールの凝集が確認された。
【0041】
【発明の効果】
本発明のコークス炉の煙突からの黒煙発生抑制方法は、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように燃焼室上部圧力を炉団全体で調整し、あるいは炭化室上部圧力または炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力を調整することによって、炉壁の貫通亀裂部が閉塞するまでの間、全乾留期間を通じて炭化室から燃焼室にコークス炉ガスが漏洩し、コークス炉ガス中のタール分、カーボンで炉壁の貫通亀裂部を閉塞する。したがって、新たな設備投資を必要とせず、また多大の労力や時間を費やすことなく、煙突からの黒煙発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コークス炉の燃焼関係経路における各部圧力分布を示す模式図である。
【図2】従来の乾留開始からの経過時間と炭化室上部圧力、燃焼室上部圧力との関係を示すグラフである。
【図3】本発明例の乾留開始からの経過時間と炭化室上部圧力、燃焼室上部圧力との関係を示すグラフである。
【図4】実施例2における乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPの変化と煙突煤煙濃度との関係を示すグラフである。
【図5】実施例2における乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPの変化と排ガスダスト量との関係を示すグラフである。
【図6】実施例2における乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPの変化と計算漏洩ガス量との関係を示すグラフである。
【図7】実施例3における乾留末期の炭化室上部圧力CP(mmHO)と、燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔP=CP−FPの変化と一日当たりの煙突黒煙発生回数の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1a、1b ニーピース
2 蓄熱室
3 燃焼フリュー
4 引き落としフリュー
5 煙道
6 煙道圧力調整弁
7 煙突
8 燃焼室上

Claims (2)

  1. コークス炉において、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように燃焼室上部圧力を調整し、炉壁の貫通亀裂部が閉塞するまでの間、全乾留期間を通じて炭化室から燃焼室にコークス炉ガスを漏洩させ、コークス炉ガス中のタール分、カーボンで炉壁の貫通亀裂部を閉塞するコークス炉の煙突からの黒煙発生抑制方法。
  2. コークス炉において、全乾留過程の炭化室上部圧力CP(mmHO)と燃焼室上部圧力FP(mmHO)との差圧ΔPが、ΔP=CP−FP≧0mmHOとなるように炭化室上部圧力または炭化室上部圧力と燃焼室上部圧力を調整し、炉壁の貫通亀裂部が閉塞するまでの間、全乾留期間を通じて炭化室から燃焼室にコークス炉ガスを漏洩させ、コークス炉ガス中のタール分、カーボンで炉壁の貫通亀裂部を閉塞するコークス炉の煙突からの黒煙発生抑制方法。
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