JP3729447B2 - 容器入り卵含有食品用素材及び卵含有食品の調理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調理時に、生の卵を添加混合し、電子レンジにより加熱調理して卵含有食品を得るための卵成分をセパレートした容器入り卵含有食品用素材に関するものであり、更に詳しくは、例えば、玉子丼、親子丼、他人丼、カツ丼、かに玉丼などの具類や、卵とじ、オムレツなどに代表される卵含有食品において、卵が完全に固まってしまうことなく、柔らかな半熟感のある舌触り、食感を有する高品質の卵含有食品を提供することを可能とする新しいタイプの容器入り卵含有食品用素材、及び当該卵含有食品用素材による上記卵含有食品の調理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、親子丼などに代表される卵含有食品を調理する場合、特に、卵の固まり具合の良し悪しが当該卵含有食品の品質を左右する重要なポイントとされている。従来、例えば、親子丼の直火による本格的な調理方法として、先ず、玉葱、鶏肉を醤油、砂糖、及びみりんなどを含む煮汁で煮立て、次いで、溶き卵を流し入れて卵が完全に固まらないように柔らかくとじ包み、これをどんぶりに盛ったご飯の上に載せる方法が採用されている。ここで、重要なことは、上記本格的な調理方法においては、溶き卵は、醤油、砂糖、及びみりんなどを含む煮汁(すなわち、液状物)中に混合するようなことは決してなされず、玉葱、鶏肉及び煮汁の上から薄く厚みをなさないように流し入れて全体を柔らかくとじ込むようにする方法が採られている点である。
【0003】
しかるに、このような直火による本格的な調理方法に対して、近年、簡単な調理操作で調理することが可能なレトルト容器入り卵含有食品が種々提案されている。ここで、それらの代表的なものを幾つか例示してみると、例えば、(1)沸騰した調味液水溶液に生卵を入れて散らし卵とし、これに1〜5重量%の澱粉を加え粘度を付け、散らし卵溶液を作る工程と、レトルト用袋に当該散らし卵溶液と具材を含む調味液を別々に充填する工程と、当該レトルト用袋を密封しレトルトを掛ける工程よりなることを特徴とする、散らし卵入り丼の具のレトルト調理方法(特開平4−210581号公報)、が提案されている。また、(2)加工液卵とともに加工液卵の重量に基づいて0.7〜2.0%のキサンタンガム及び場合により20%以下の小麦粉澱粉を含有し、且つ粘度が2500〜9000cps(25℃)の加工液卵混合液を粘度1000cps以下(25℃)の調味液中で加熱凝固させて卵含有食品を製造する方法(特開平8−9925号公報)、が提案されている。しかしながら、このような散らし卵入り丼等の卵含有食品は、例えば、「散らし卵」と記載の如く、卵が溶液中に細かく分散し、まとまりがなく、しかも、この散らし卵等は、沸騰した調味液水溶液に入れられるとともに、レトルトが掛けられているため、ほぼ完全に固まっていて、柔らかな半熟感は全く得られない(図4参照)。
【0004】
また、(3)卵とじのどんぶりご飯の具の冷凍品の包装体(特開平6−327439号公報)、が提案されており、この文献には、電子レンジの使用について記載されている。しかしながら、電子レンジは調理ではなく、解凍に使用されているに過ぎず、また、冷凍卵料理中の卵は、冷凍前に既に加熱凝固(加熱調理)されている。更に、(4)高圧滅菌液卵白と加熱殺菌液卵黄を混合し、得られた混合液を、加熱調理した具又は/及び煮汁とともに容器に入れて凍結せしめてなる半熟状玉子とじ冷凍食品(特開平8−116941号)、が提案されており、この文献には、電子レンジを使用して加熱・解凍することが記載されている。しかしながら、この冷凍食品は、高圧滅菌液卵白と加熱殺菌液卵黄を使用するため、生の卵本来の風味を有するものではない。また、冷凍食品は、解凍し、更に喫食温度にまで加熱するのに長時間を要するため、その間に過加熱によって卵は固まり過ぎてしまい、柔らかな半熟感は得られない。
このように、従来、簡単な調理操作で調理することができる卵含有食品が種々提案されているものの、卵含有食品の品質面においては、いまだ本格的な調理方法で調理された卵含有食品と比べて大きな格差があるというのが実情であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の問題点を確実に解消して、本格的な調理方法による卵含有食品と同等の高品質を保持した卵含有食品を調製し、提供することを可能とする新しいタイプの容器入り卵含有食品用素材を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、予め卵含有食品用素材をマイクロ波透過性の耐熱容器に収容、密封し、加熱殺菌処理を施して製品化し、調理時に、生の卵を前記耐熱容器内に添加混合して電子レンジにより加熱調理することができるように前記容器入り卵含有食品用素材を構築することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、調理時に、生の卵を添加混合し、電子レンジにより加熱調理して卵含有食品を得るための、卵成分をセパレートした容器入り卵含有食品用素材を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、電子レンジによる調理時に、生の卵を添加混合するだけで本格的な調理方法により作製した卵含有食品と同等の外観及び食感を有する高品質の卵含有食品を得ることを可能とする新しいタイプの容器入り卵含有食品用素材、及び当該卵含有食品用素材による卵含有食品の調理方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)卵を熱凝固させて柔らかな半熟感のある卵含有食品を得るための容器入り卵含有食品用素材であって、食塩及び水を含有する液状物を含み、卵成分をセパレートした卵含有食品用素材がマイクロ波透過性の耐熱容器に収容、密封され、かつ、加熱殺菌処理されており、調理時に、前記耐熱容器を開封し、当該耐熱容器内の卵含有食品用素材に、生の卵を添加混合し、電子レンジにより加熱調理することで卵を熱凝固させて卵含有食品を得ることができ、前記卵含有食品が、玉子丼、親子丼、他人丼、カツ丼、かに玉丼から選ばれる具類、又は卵とじ若しくはオムレツであることを特徴とする容器入り卵含有食品用素材。
(2)前記卵含有食品用素材は、少なくとも生の卵を添加混合して電子レンジにより加熱調理するときに、その厚みが35mm以上となる部分を形成できるように前記容器に収容される前記(1)に記載の卵含有食品用素材。
(3)前記液状物が、500〜6500mPa・sの粘度(B型粘度計、25℃)を有する前記(1)に記載の容器入り卵含有食品用素材。
(4)前記耐熱容器が、スタンディングパウチである前記(1)に記載の容器入り卵含有食品用素材。
(5)前記(1)に記載の容器入り卵含有食品用素材を用いて卵含有食品を調理する方法であって、前記耐熱容器を開封し、当該耐熱容器内の卵含有食品用素材に、生の卵を添加混合し、電子レンジにより加熱調理することを特徴とする卵含有食品の調理方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、例えば、玉子丼、親子丼、他人丼、カツ丼、かに玉丼などの具類や、卵とじ、オムレツなどに代表される、卵が完全に固まってしまうことなく、柔らかな半熟感のある舌触り、食感が求められる全ての卵含有食品に広く適用されるものである。ここで、卵が完全に固まってしまうことがなく、柔らかな半熟感のある舌触り、食感を有するとは、本格的な調理方法で調理された卵含有食品の品質と同等のレベルの品質を有することを意味する。
また、本発明において、食塩及び水を含有する液状物とは、上記卵含有食品を構成する全成分から卵成分をセパレートして除外したものを意味し、本発明においては、当該食塩及び水を含有する液状物を、予めマイクロ波透過性の耐熱容器に収容する。尚、本発明においては、上記卵含有食品を構成する全成分から卵成分を全部セパレート(除外)したものはもとより、その一部をセパレート(除外)したものも本発明の範囲に包含されることは云うまでもない。ここで、食塩及び水を含有する液状物としては、上記卵含有食品の種類等により通常使用されている液状物を任意に用いることができる。当該液状物の成分としては、具体的には、例えば、水、醤油、みりん、みりん風調味料、ブイヨン、砂糖などの糖類、食塩、グルタミン酸ナトリウムなどの調味料、胡椒や生姜などの香辛料、肉エキス、酵母エキス、昆布だし、香料、油脂、クエン酸などの酸味料、乳化剤などが例示されるが、これらに制限されるものではなく、目的とする卵含有食品の種類に応じて適宜の成分を配合することができる。
このような液状物の成分を任意に混合し、必要により加熱処理を施すなどして、液状物として使用し、上記マイクロ波透過性の耐熱容器に収容する。
【0008】
ここで、上記液状物の成分及び粘度条件等について説明すると、まず、食塩の量については、好適には、液状物中の食塩の量は、0.3〜8.5質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは0.8〜2.0質量%である。上記食塩の量は、食塩や、醤油などの食塩を含有する成分を適宜配合することにより調整することができる。なお、ここで、食塩の量は、液状物の素材中の塩素を定量して塩化ナトリウム量に換算する方法により求めることができる。このような方法としては、モール法や電量滴定法が用いられる。
また、粘度については、好適には、液状物の粘度(B型粘度計、25℃)は、500〜6500mPa・s、好ましくは700〜5000mPa・s、より好ましくは1000〜3200mPa・sである。液状物の粘度は、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦粉、タピオカ澱粉などの澱粉類、キサンタンガム、アラビアガム、グアガムなどのガム類、乳タンパクなどから選択される1種以上を適宜配合することにより調整することができる。これらのうちでも、卵含有食品としての自然な舌触り、食感を付与する目的から、澱粉類を用いることが好ましい。澱粉類は、上記液状物中に3〜6質量%の割合で含有させることが好ましい。また、ガム類を用いる場合には、ガム類は、液状物中に0.005〜0.05質量%の割合で含有させることが好ましい。
また、pHについては、好適には、pHは、3.4以上、好ましくは4.2〜6.0である。pHが低すぎると、卵が脆いものとなり、ふっくらとまとまりのある卵含有食品が得られなくなる。
【0009】
次に、具材について説明すると、本発明の卵含有食品用素材は、上記液状物のみを含むものであってもよいが、具材を含んでいてもよい。本発明において、具材とは、目開き2000μmオンの大きさを有するものを意味する。したがって、例えば、目開き2000μmの篩を通過するような小さな固形物は実質的に調味液の一部とみなす。このような具材としては、例えば、野菜類、畜肉類、魚介類などが例示される。これらの具材は、例えば、適当な大きさにカット又は挽くなどして含ませることができ、また、ボイルなどの前処理を施したものを含ませることもできるが、これらの加工方法については特に制限されるものではなく、適宜の方法を採用することが可能である。
【0010】
本発明の容器入り卵含有食品用素材の製造方法について説明すると、当該製品を製造するには、上記液状物を、必要により具材とともに、マイクロ波透過性の耐熱容器に収容し、当該容器を密封し、レトルト殺菌処理等の加熱殺菌処理を施して、容器入り卵含有食品用素材を得ることができる。この場合、容器の容量としては、例えば、容量300〜1000mlのものを用いることができる。卵含有食品用素材は、例えば、前記容器の15〜70容量%の割合となる量を収納することが好ましい。この場合、15容量%より少ないと調理後の卵含有食品が全体的に固くなる傾向が生じ、70容量%より多いと生の卵の添加混合が難しくなり、卵を卵含有食品用素材中に均一に分散ないし溶解させ難くなる。マイクロ波透過性の耐熱容器としては、パウチなどの柔軟容器、成形容器などが用いられるが、マイクロ波透過性のものを用いることにより、当該容器をそのまま電子レンジによる加熱調理に適用することが可能となる。また、この場合には、柔軟容器としては自立可能なスタンディングパウチを用いることが好ましい。なお、上記耐熱容器は、加熱殺菌処理及び電子レンジによる加熱調理に耐え得るものであるが、加熱殺菌処理としてレトルト殺菌処理を採用する場合には、レトルトパウチなどのレトルト容器を用いることが好ましい。
【0011】
本発明では、卵含有食品用素材は、少なくとも生の卵を添加混合して電子レンジにより加熱調理するときには、その厚みが35mm以上、好ましくは35〜100mm、より好ましくは45〜80mmとなる部分を有するように前記耐熱容器に収容されていることが望ましい。具体的には、例えば、前記耐熱容器としてスタンディングパウチを用いる場合には、少なくともスタンディングパウチを電子レンジのターンテーブル上に自立させて加熱調理するときには、卵含有食品用素材が前記厚みの部分を形成できるように当該スタンディングパウチに収容されていることが望ましい。したがって、スタンディングパウチの場合、製品流通時等においては、スタンディングパウチの底部を幅狭にして卵含有食品用素材が上記厚みの部分を有しない状態で収納されていても差し支えない。要するに、電子レンジにより加熱調理するときに、卵含有食品用素材が上記厚みの部分を形成できるように収納されていればよい。
【0012】
上記耐熱容器の材質としては、例えば、酸化アルミ蒸着PET/Nylon/CPP(キャスティング ポリプロピレン)、酸化珪素アルミ蒸着PET/Nylon/CPP、酸化アルミ蒸着PET/CPP、酸化珪素アルミ蒸着PET/CPPなどが例示される。ここで、酸化アルミと酸化珪素はバリヤー層である。その他、ポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチックシートをラミネートした紙から成形した容器も使用することができるがこれらに制限されるものではなく、目的とする製品の種類に応じて適宜のものを使用することができる。
【0013】
次に、加熱殺菌処理は、製品の長期保存性の観点から、レトルト殺菌処理が好ましい。レトルト殺菌処理は、例えば、120〜130℃でF0 値が4〜30となるように施すことが好ましい。次に、本発明の容器入り卵含有食品用素材は、電子レンジによる調理時に、マイクロ波透過性の耐熱容器を開封して、その中に、別途、生の卵を添加混合して電子レンジにより加熱調理されるため、今までのレトルト製品(予め卵成分を含むもの)のように加熱殺菌処理によって卵が完全に熱凝固して固化してしまうということがない。したがって、本発明の容器入り卵含有食品用素材を用いることにより、レトルト製品としてこれまでに例のない全く新しいタイプの高品質の卵含有食品を提供することが可能となる。
本発明の容器入り卵含有食品用素材を用いて調理された卵含有食品は、例えば、玉子丼や親子丼などの具として有用であり、この卵含有食品は、例えば、どんぶり等に盛ったご飯の上に掛けると、ご飯の上に薄く広がり、卵がふっくらとまとまっていてボリューム感があり、とろりとした柔らかな半熟感のある舌触り、食感を有する、本格的な調理方法で調理した卵含有食品と同等の外観及び食感を実現するきわめて高品質の玉子丼や親子丼などを得ることができる。
【0014】
【作用】
本発明では、マイクロ波透過性の耐熱容器を開封し、当該耐熱容器内の食塩及び水を含有する液状物中に、生の卵を添加混合し、電子レンジで加熱調理すると、生の卵が添加混合された液状物に到達したマイクロ波は急速にその表面付近で熱エネルギー変換され当該表面付近は速やかに昇温し、一方、マイクロ波の到達度合の少ない中心部の昇温は遅れる。つまり、当該液状物の表面付近と中心部との間で加熱むらが生じ、そのため、当該液状物の表面付近に存在する卵は熱凝固の進行が速くなり、一方、中心部に存在する卵は熱凝固の進行が遅くなり、これにより、熱凝固の状態が均一でない卵含有食品が得られる。
【0015】
また、本発明では、上記液状物の粘度が前記範囲にあることが好ましい。液状物の粘度が低い場合、電子レンジで加熱調理すると、得られる卵含有食品は全体的に固くなってしまい、とろりとした柔らかな半熟感のある舌触り、食感が得られなくなる傾向がある。その原理は、次のように考えられる。すなわち、上記の場合、当該液状物は、その昇温に伴って容器内で流動して表面付近と中心部とで熱交換が行われ、その結果、中心部を含めて全体的に卵の熱凝固が進行すると考えられる。
これに対して、液状物の粘度を前記範囲に高めた場合は、電子レンジで加熱調理すると、粘性によって容器内での液状物の流動が抑制され、上述のように、液状物の表面付近と中心部との間で加熱むらが生じ、液状物の表面付近に存在する卵は熱凝固の進行は速く、一方、中心部に存在する卵は熱凝固の進行は遅くなり、熱凝固の状態が均一でなく、卵がふっくらとまとまっていてボリューム感があり、とろりとした柔らかな半熟感のある舌触り、食感を有する卵含有食品が得られる。
但し、液状物の粘度を高め過ぎた場合には、生の卵を液状物中に分散・溶解させ難くなるとともに、卵がふっくらとまとまらず、上記柔らかな半熟感のある舌触り、食感を有する卵含有食品を得ることが難しくなる傾向があり、液状物の所定の粘度が重要な要素であることが確認された。
【0016】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例
(1)親子丼の具の素の製造
1)液状物の調製
攪拌羽根を備えた加熱釜に、先ず、チキンエキス、みりん風調味料、濃厚だしこんぶ及び水を投入し、撹拌羽根を回転させて混合しながら、約15分間加熱して品温95℃に達温させ、次いで、更に、白醤油調味料、薄口醤油及び馬鈴薯澱粉を投入して約5分間加熱して液状物を得た。当該液状物の成分配合(質量部)は、水60、濃厚だしこんぶ(マルハチ村松社製)12.1、みりん風調味料6.1、チキンエキス3.9、白醤油調味料(ヒガシマル醤油社製)7.9、薄口醤油4.8、馬鈴薯澱粉5.2、合計100とした。
【0017】
2)具材の前処理
約30mm角にカットした鶏肉を、95℃の熱水で5分間ボイル処理した。
また、約5mm間隔でカットした玉葱細断物を、65℃の熱水に浸漬し、品温65℃で30分間加熱した後、熱水の温度を85℃に上昇させ、品温85℃に達温させてボイル処理した。
【0018】
3)スタンディングパウチ
容器として、合成樹脂製でマイクロ波透過性のスタンディングパウチを用意した。このスタンディングパウチは、上端部が直線状であり、底部が凸レンズ断面形状で両側部が高くなっており、底部を広げることにより略二等辺三角形となって自立可能となる。このスタンディングパウチは、横幅が約145mm、縦幅(高さ)が約160mmで、容量750mlである。
上記スタンディングパウチの材質は、酸化アルミ蒸着PET/Nylon/CPP(キャスティング ポリプロピレン)のものを使用した。
【0019】
4)親子丼の具の素の製造
上記液状物110gを、上記鶏肉36g及び上記玉葱細断物24gとともに、上記スタンディングパウチに充填し、当該パウチを密封し、122℃で、24分間の条件でレトルト処理を施して(F0 値8)、スタンディングパウチ入りの親子丼の具の素を製造した。
なお、このスタンディングパウチ入りの親子丼の具の素は、スタンディングパウチの底部を狭くして幅狭にした状態における最大厚みは約20mmであった。また、上記親子丼の具の素を目開き2000μmの篩を通過させて、目開き2mmオンの大きさを有する固形物を除いて得られた液状物は、食塩量が1.8質量%(電量滴定法)、pHが5.8、25℃における粘度が約3000mPa・s(B型粘度計、ローターNo. 3、回転数30rpm、30秒間)のものであった。
【0020】
(2)親子丼の具の調理
スタンディングパウチを、底部を幅方向に広げて自立させ、上端部を開封し、当該パウチの中に生卵1個を落とし、はしを挿入して手動で約1分間かき混ぜた(図1〜2)。
ここで、親子丼の具の素は、横幅が約125mm、厚みが約60mm、高さが約50mmとなる部分を有するように当該パウチに収容された状態とした。
次いで、当該パウチを電子レンジのターンテーブル上に自立させ、500Wで3分間加熱調理した。
【0021】
(3)評価
ご飯をどんぶりに盛り、その上に、上記加熱調理後のパウチの内容物を注ぎ出したところ、卵がふっくらとまとまっていてボリューム感のある親子丼の具が出来上がっていた(図3)。また、これを食したところ、とろりとした柔らかな半熟感のある舌触り、食感を有するものであった。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、容器入り卵含有食品用素材及び卵含有食品の調理方法に係るものであり、本発明により、1)本発明の容器入り卵含有食品用素材は、玉子丼や親子丼等に代表される卵含有食品の具として有用である、2)従来製品にない新しいタイプの卵成分をセパレートした容器入り卵含有食品用素材を提供することができる、3)電子レンジによる調理時に、生の卵を添加混合するだけで本格的に調理した卵含有食品と同等の外観及び食感を有する高品質の卵含有食品を得ることができる、4)この卵含有食品は、例えば、どんぶり等に盛ったご飯の上に掛けると、ご飯の上に薄く広がり、卵がふっくらとまとまっていてボリューム感があり、とろりとした半熟感のある舌触り、食感を有する玉子丼や親子丼などに代表される卵含有食品を得ることができる、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例においてスタンディングパウチへ生の卵を添加混合する工程を示す説明図である。
【図2】実施例においてパウチの中に生の卵を添加混合した状態を示す説明図である。
【図3】実施例において加熱調理後のパウチの内容物を皿に注ぎ出した状態を示す説明図である。
【図4】従来製品において加熱調理後のパウチの内容物を皿に注ぎ出した状態を示す説明図である。
Claims (5)
- 卵を熱凝固させて柔らかな半熟感のある卵含有食品を得るための容器入り卵含有食品用素材であって、食塩及び水を含有する液状物を含み、卵成分をセパレートした卵含有食品用素材がマイクロ波透過性の耐熱容器に収容、密封され、かつ、加熱殺菌処理されており、調理時に、前記耐熱容器を開封し、当該耐熱容器内の卵含有食品用素材に、生の卵を添加混合し、電子レンジにより加熱調理することで卵を熱凝固させて卵含有食品を得ることができ、前記卵含有食品が、玉子丼、親子丼、他人丼、カツ丼、かに玉丼から選ばれる具類、又は卵とじ若しくはオムレツであることを特徴とする容器入り卵含有食品用素材。
- 前記卵含有食品用素材は、少なくとも生の卵を添加混合して電子レンジにより加熱調理するときに、その厚みが35mm以上となる部分を形成できるように前記容器に収容される請求項1に記載の卵含有食品用素材。
- 前記液状物が、500〜6500mPa・sの粘度(B型粘度計、25℃)を有する請求項1に記載の容器入り卵含有食品用素材。
- 前記耐熱容器が、スタンディングパウチである請求項1に記載の容器入り卵含有食品用素材。
- 請求項1に記載の容器入り卵含有食品用素材を用いて卵含有食品を調理する方法であって、前記耐熱容器を開封し、当該耐熱容器内の卵含有食品用素材に、生の卵を添加混合し、電子レンジにより加熱調理することを特徴とする卵含有食品の調理方法。
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