JP3729135B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP3729135B2
JP3729135B2 JP2002023260A JP2002023260A JP3729135B2 JP 3729135 B2 JP3729135 B2 JP 3729135B2 JP 2002023260 A JP2002023260 A JP 2002023260A JP 2002023260 A JP2002023260 A JP 2002023260A JP 3729135 B2 JP3729135 B2 JP 3729135B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stopper
tilt
trunnion
continuously variable
variable transmission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002023260A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003083410A (ja
Inventor
春仁 森
建 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2002023260A priority Critical patent/JP3729135B2/ja
Priority to US10/157,483 priority patent/US6800047B2/en
Priority to EP02015015A priority patent/EP1275881B1/en
Priority to DE60236830T priority patent/DE60236830D1/de
Publication of JP2003083410A publication Critical patent/JP2003083410A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3729135B2 publication Critical patent/JP3729135B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H15/00Gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio, or for reversing rotary motion, by friction between rotary members
    • F16H15/02Gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio, or for reversing rotary motion, by friction between rotary members without members having orbital motion
    • F16H15/04Gearings providing a continuous range of gear ratios
    • F16H15/06Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B
    • F16H15/32Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line
    • F16H15/36Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line with concave friction surface, e.g. a hollow toroid surface
    • F16H15/38Gearings providing a continuous range of gear ratios in which a member A of uniform effective diameter mounted on a shaft may co-operate with different parts of a member B in which the member B has a curved friction surface formed as a surface of a body of revolution generated by a curve which is neither a circular arc centered on its axis of revolution nor a straight line with concave friction surface, e.g. a hollow toroid surface with two members B having hollow toroid surfaces opposite to each other, the member or members A being adjustably mounted between the surfaces

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に適用されるトロイダル型無段変速機、特に、トラニオンの傾転範囲を規制する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
トロイダル型無段変速機においてトラニオンの傾転範囲を規制する従来技術としては、例えば、特開平6−34007号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この従来公報には、トラニオンの下部を傾転自在に位置決め支持するロアリンクの上部に設けられた傾転ストッパ(公報のストッパ部材100f)と、トラニオンに形成されたストッパ面による傾転ストッパ構造が記載され、この傾転ストッパ構造により、パワーローラと入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオンの傾転範囲を規制するようにしている。
【0004】
ここで、トロイダル型無段変速機は、トラニオンを傾転軸の方向に変位させ、パワーローラを傾転させることによって変速比を変える。つまり、トラニオンシャフトに設けられたサーボピストンの一方のサーボピストン室に作動油を導き、他方のサーボピストン室から作動油を排出することで、トラニオンが傾転軸の方向に変位すると、パワーローラの回転中心がディスク回転中心位置に対してオフセットする。このオフセットによりパワーローラと入出力ディスクとの接触部で発生するサイドスリップ力によりパワーローラが傾転する。この傾転運動およびオフセットは、プリセスカム及びレバーを介して変速スプールに伝達され、ステップモータにより変位している変速スリーブとの釣り合い位置で静止し、所定の傾転角となった時点でトラニオンに与えた変位が元のディスク回転中心位置に戻され、パワーローラの傾転動作を停止することでなされる。このように、変速の際には、入出力ディスクとパワーローラとの接触半径比が変化して連続的に無段階変速を行うが、トラニオンが正規の傾転範囲を超えて傾転することを防止するため、トラニオンの傾転範囲を、最大増速側位置と最大減速側位置にて規制する必要がある。
【0005】
また、同一の入出力ディスク内に配置される左右のトラニオンは、パワーローラと入出力ディスクとの接触点により決まる変速比を互いに同期させる必要がある。このため、左右のトラニオン間には、8の字状にワイヤ(公報の第1ワイヤ57)が巻かれていて、このワイヤにより、左右のトラニオンの傾転角度を同期させている(特開平7−332450号公報の図5を参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造にあっては、トラニオンの傾転角度を規制する傾転ストッパがロアリンクの上面側に設けられているため、下記に述べる問題点があった。
【0007】
例えば、ユニットの高さ方向寸法を短縮するために、傾転ストッパとワイヤとを、同一平面内に配置しようとすると、左右のトラニオンの傾転角を同期させるワイヤが8の字状に巻かれているため、図31の点線枠内に示すように、傾転ストッパを設けることができるワイヤの内側部分が狭く、トラニオンの傾転を止めるだけの強度(大きさ)を持ちながら、傾転ストッパをワイヤに干渉させないようにワイヤの内側に配置することは困難である。
【0008】
その結果、従来公報(特開平6−34007号公報)の図1に示すように、傾転ストッパ(ストッパ部材100f)とワイヤ(第1ワイヤ57)とが上下方向にずらして配置される、つまり、(1)トラニオンの左右の傾転角度を同期させるワイヤと、(2)トラニオンの傾転角度を規制する傾転ストッパと、(3)リンクとトラニオンの間に設けられた軸受のトラニオン軸方向移動を規制する部材と、がトラニオン軸方向に並べて配置されるため、変速機の高さ方向寸法が大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、第1の目的は、トラニオンの左右の傾転角度を同期させるワイヤとの干渉を解消し、トラニオンの傾転を止めるだけの十分な強度を持たせながら、変速機の高さ方向寸法を小さくして車載性を向上させることができるトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0010】
第2の目的は、安価に傾転ストッパ構造を構成することができると共に、変速機の高さ方向寸法を小さくして車載性を向上させることができるトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、請求項1に係る発明では、
同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧したパワーローラと、
該パワーローラを支持すると共に、パワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線の周りに傾転可能なトラニオンと、
前記トラニオンの上部及び下部を、軸受を介して傾転自在に位置決め支持するアッパリンク及びロアリンクと、
前記軸受のトラニオン傾転軸方向の移動を規制する軸方向位置規制部材と、
前記入出力ディスク間に配置された左右のトラニオン間に巻き付けられた左右傾転同期ワイヤと、
前記パワーローラと入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオンの傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造と、
を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記傾転ストッパ構造を、前記軸方向位置規制部材とは同じ側で、前記左右傾転同期ワイヤが存在しないリンク面に設けたリンク側ストッパと、前記軸方向位置規制部材の側面に設けたトラニオン側ストッパにより構成したことを特徴とする。
【0012】
上記第2の目的を達成するため、請求項13に係る発明では、
同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧したパワーローラと、
該パワーローラを支持すると共に、パワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線の周りに傾転可能なトラニオンと、
前記複数のトラニオンのうち、前後または左右に隣り合うトラニオンに対し中間部で交差するように8の字状に巻き掛けられる傾転同期ワイヤと、
前記パワーローラと入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオンの傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造と、
を備えたトロイダル型無段変速機において、
前記傾転ストッパ構造を、前記傾転同期ワイヤに取り付けたストッパ部材により構成したことを特徴とする。
【0013】
【発明の作用および効果】
請求項1に係る発明にあっては、傾転ストッパ構造が、軸方向位置規制部材とは同じ側で、左右傾転同期ワイヤが存在しないリンク面に設けたリンク側ストッパと、軸方向位置規制部材の側面に設けたトラニオン側ストッパにより構成される。
【0014】
すなわち、従来技術では、(1)左右傾転同期ワイヤと、(2)傾転ストッパ構造と、(3)リンクとトラニオンの間に設けられた軸受の傾転軸方向の相対位置を規制する軸方向位置規制部材と、がトラニオンの傾転軸方向に並べて配置されていたのに対し、請求項1に係る発明では、(2)傾転ストッパ構造と、(3)軸方向位置規制部材とが、同一平面上に配置されることになるため、変速機の高さ方向寸法を小さくすることができる。
【0015】
また、左右傾転同期ワイヤが存在しないリンク面にリンク側ストッパを設けたため、リンク側ストッパと左右傾転同期ワイヤとの干渉を解消することができるし、8の字状に巻き掛けられる左右傾転同期ワイヤの内側にリンク側ストッパを配置する必要がないので、リンク側ストッパに対しトラニオンの傾転を止めるだけの十分な強度を持たせることができる。
【0016】
よって、トラニオンの左右の傾転角度を同期させるワイヤとの干渉を解消し、トラニオンの傾転を止めるだけの十分な強度を持たせながら、変速機の高さ方向寸法を小さくして車載性を向上させることができる。
【0017】
請求項13に係る発明にあっては、傾転ストッパ構造が、傾転同期ワイヤに取り付けたストッパ部材により構成される。
【0018】
すなわち、傾転ストッパ構造を、リンク側のストッパ構造とトラニオン側のストッパ構造により構成すると、リンク形状等が複雑になり、加工コストが高くなる。また、リンクとトラニオンには、ストッパ構造を設けるスペースが必要となり、トラニオンの傾転軸方向に変速機が大型化する。
【0019】
これに対し、請求項13に係る発明では、傾転同期ワイヤにストッパ部材を取り付けるだけであるため、安価に傾転ストッパ構造を構成することができると共に、変速機の高さ方向寸法を小さくして車載性を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるトロイダル型無段変速機を実現する実施の形態を、第1実施例〜第20実施例に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施例)
第1実施例は請求項1,2,4,6,8に係る発明に対応する。
図1は第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図1において、1は変速機ケース、2はアッパリンクポスト、3はロアリンクポスト、4はロアカバー、10はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、44は出力ディスク、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A1は傾転ストッパ構造である。
【0022】
前記出力ディスク44は、図外の入力ディスクと同軸に対向配置されている。なお、車両前方側から後方側に向かって、第1入力ディスク、第1出力ディスク、第2出力ディスク、第2入力ディスクが順に配置され、第1入出力ディスクと第2入出力ディスクによるダブルキャビティによるトロイダル型無段変速機構が構成されている。
【0023】
前記パワーローラ45は、これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧される。なお、パワーローラ45は、第1トロイダル型無段変速機構の第1入出力ディスク間の左右位置に一対、第2トロイダル型無段変速機構の第2入出力ディスク間の左右位置に一対配置される。
【0024】
前記トラニオン59は、パワーローラ45を支持すると共に、パワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線(傾転軸L)の周りに傾転可能である。なお、このトラニオン59は、パワーローラ45に対応して、第1トロイダル型無段変速機構の第1入出力ディスク間の左右位置に一対、第2トロイダル型無段変速機構の第2入出力ディスク間の左右位置に一対配置される。
【0025】
前記アッパリンク62は、アッパリンクポスト2に揺動可能に支持され、トラニオン挿入穴65が4箇所の角隅部に開穴されたリンクで、前記トラニオン59の上部を、ベアリングアウタレース64及びラジアルニードルベアリング66からなる球面軸受を介して傾転自在に位置決め支持する。
【0026】
前記ロアリンク63は、ロアリンクポスト3に揺動可能に支持され、トラニオン挿入穴65が4箇所の角隅部に開穴されたリンクで、前記トラニオン59の下部を、ベアリングアウタレース64及びラジアルニードルベアリング66からなる球面軸受を介して傾転自在に位置決め支持する。
【0027】
前記ロアワッシャ11は、前記トラニオン59とロアリンク63との間に設けた球面軸受(ベアリングアウタレース64及びラジアルニードルベアリング66)の傾転軸L方向の位置を規制する部材で、トラニオン59及びトラニオンシャフト60と一体に傾転する。なお、このロアワッシャ11は、さらに、トラニオン59とロアリンク63との傾転軸L方向の相対位置を規制すると共に、前後傾転同期ワイヤ58のプーリを兼用する。
【0028】
前記左右傾転同期ワイヤ57は、左右のトラニオン59,59の傾転同期を図るべく、ロアリンク63の上部位置において、入出力ディスク間に配置された左右のトラニオン59,59間に8の字状に巻き付けられる。
【0029】
前記前後傾転同期ワイヤ58は、前後のトラニオン59,59の傾転同期を図るべく、前後のロアワッシャ11,11間に8の字状に巻き付けられる。
【0030】
前記傾転ストッパ構造A1は、アッパリンク62とロアリンク63のうち左右傾転同期ワイヤ57があるロアリンク63側に設けられ、パワーローラ45と入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオン59の傾転範囲を規制する。
【0031】
図2は傾転ストッパ構造A1を示す図であり、傾転ストッパ構造A1は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、前記ロアワッシャ11とは同じ側のリンク面に形成した第1ストッパ突起71(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第1ストッパ面81(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0032】
前記第1ストッパ突起71は、図2(イ),(ロ)に示すように、トラニオン59が変速比1の傾転位置の時に第1ストッパ面81に平行な対向面71aと、対向面71aの両側から傾斜する接触面71b、71cを有する。
【0033】
前記第1ストッパ面81は、図2(ハ)に示すように、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第1ストッパ突起71の接触面71bに当接する面と、図2(ニ)に示すように、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第1ストッパ突起71の接触面71cに当接する面とが同一平面である。
【0034】
次に、作用を説明する。
【0035】
[変速作用]
トロイダル型無段変速機は、トラニオン59を傾転軸Lの方向に変位し、パワーローラ45を傾転させることによって変速比を変える。
【0036】
つまり、図外のCVTコントローラからの目標変速比が得られる駆動指令により図外のステップモータを回転させるとによって変速スリーブが変位すると、サーボピストン61の一方のサーボピストン室に作動油が導かれ、他方のサーボピストン室から作動油が排出され、トラニオン59が傾転軸Lの方向に変位する。
【0037】
これにより、パワーローラ45の回転中心がディスク回転中心位置に対してオフセットする。このオフセットによりパワーローラ45と入出力ディスクとの接触部で発生するサイドスリップ力によりパワーローラ45が傾転する。
【0038】
この傾転運動およびオフセットは、図外のプリセスカム及びレバーを介して変速スプールに伝達され、ステップモータにより変位している変速スリーブとの釣り合い位置で静止し、所定の傾転角となった時点でトラニオン59に与えた変位が元のディスク回転中心位置に戻され、パワーローラ45の傾転動作を停止することでなされる。なお、変速比は、パワーローラ45の傾転角により決まる。
【0039】
[トラニオンの傾転範囲規制作用]
上記のように、変速の際には、入出力ディスクとパワーローラ45との接触半径比が変化して連続的に無段階変速をするが、トラニオン59が正規の傾転範囲を超えて傾転することを防止するため、トラニオン59の傾転範囲を、最大増速側位置と最大減速側位置にて規制する必要がある。
【0040】
すなわち、トラニオン59が最大増速側に傾転したときには、図2(ハ)に示すように、トラニオン59の傾転に伴って傾転するロアワッシャ11に形成された第1ストッパ面81と、ロアリンク63に形成された第1ストッパ突起71の接触面71bとが当接し、最大増速側のトラニオン59の傾転角度が規制される。また、トラニオン59が最大減速側に傾転したときには、図2(ニ)に示すように、トラニオン59の傾転に伴って傾転するロアワッシャ11に形成された第1ストッパ面81と、ロアリンク63に形成された第1ストッパ突起71の接触面71cとが当接し、最大減速側のトラニオン59の傾転角度が規制される。
【0041】
[軸方向位置規制部材を利用した傾転ストッパ構造とする利点]
従来技術では、(1)左右傾転同期ワイヤと、(2)傾転ストッパ構造と、(3)軸方向位置規制部材と、がトラニオンの軸方向に並べて配置されていたのに対し、第1実施例では、(2)傾転ストッパ構造A1と、(3)ロワワッシャ11(軸方向位置規制部材)とが、同一平面上に配置されることになるため、従来技術に比べ、変速機の高さ方向寸法を小さくすることができる。
【0042】
また、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側(左右傾転同期ワイヤ57が存在しない側)にリンク側ストッパである第1ストッパ突起71を設けたため、第1ストッパ突起71と左右傾転同期ワイヤ57との干渉を解消することができる。
【0043】
さらに、8の字状に巻き掛けられた左右傾転同期ワイヤ57の内側に第1ストッパ突起71を配置する必要がないので、第1ストッパ突起71に対しトラニオン59の傾転を止めるだけの十分な強度を持たせることができる。
【0044】
[傾転ストッパ構造をロアリンク側に設けた利点]
トラニオン59の傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造A1をロアリンク63側に設けることにより、アッパリンク62の設計自由度が増し、例えば、変速機の高さを低くして車載性を向上させることができる。
【0045】
例えば、図1に示すように、アッパリンク62の左右方向中央に位置するアッパリンクポスト2を有する場合には、アッパリンクポスト2を中心にアッパリンク62が一定角度の範囲内で揺動可能に支持されており、トラニオン59がアッパリンク62のトラニオン挿入穴65から外れることはない。
【0046】
これに対し、変速機全高を抑えるために、図12に示すように、アッパリンク62の左右方向中央に位置するアッパポスト2を廃止した場合には、アッパリンク62を左右のトラニオン59の上端部に支持する必要があり、アッパワッシャ10'の径を少なくとも一部においてトラニオン挿入穴65よりも大きくしてトラニオン59とアッパリンク62の相対位置を規制することで、トラニオン59がアッパリンク62から外れないようにしなければならない。
【0047】
しかし、変速機を組み立てるにあたり、アッパリンク62にトラニオン59を挿入した後にアッパワッシャ10'を組み付けることは困難であり、それを回避するためにはトラニオン挿入穴65を長穴形状や異型の穴形状にする必要がある。
【0048】
ところが、トラニオン挿入穴65を長穴形状や異型の穴形状にするとアッパリンク62に傾転ストッパ構造を設けることが困難となり、結局、アッパリンクポスト2を廃止できず、変速機全高を抑えることができなくなってしまう。
【0049】
これに対し、傾転ストッパ構造A7をロアリンク63側に設けることで、アッパリンク62のトラニオン挿入穴65を長穴形状や異型の穴形状にすることができないという問題は回避でき、アッパリンクポスト2を廃止できるため、変速機全高を抑えることが可能となる。
【0050】
また、同時に、アッパリンクポスト2を廃止することにより、アッパリンク62にアッパリンクポスト挿入用の穴を開ける必要がなくなり、加工コストを抑えることができるばかりでなく、アッパリンク62自体の強度を確保できる。
【0051】
さらに、第1実施例のように、ダブルキャビティによるトロイダル型無段変速機の場合、軸方向位置規制部材であるロアワッシャ11に、前後のトラニオン59の傾転を同期させる前後傾転同期ワイヤ58を掛けるプーリ機能を持たせた構成とすることができる。つまり、ロアワッシャ11は、軸方向位置規制機能と、ストッパ機能と、プーリ機能とを併せ持つことになる。
【0052】
次に、効果を説明する。
【0053】
(1) 左右傾転同期ワイヤ57があるロアリンク63側に設けられ、パワーローラ45と入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオン59の傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造A1を、ロアワッシャ11とは同じ側で、左右傾転同期ワイヤ57が存在しないリンク面に形成した第1ストッパ突起71と、ロアワッシャ11の側面に形成した第1ストッパ面81により構成したため、トラニオン59の左右の傾転角度を同期させるワイヤ57との干渉を解消し、トラニオン59の傾転を止めるだけの十分な強度を持たせながら、ロアワッシャ11は軸方向位置規制機能とストッパ機能を併せ持つので変速機の高さ方向寸法を小さくして車載性を向上させることができる。
【0054】
(2) アッパリンク62とロアリンク63のうち、左右傾転同期ワイヤ57が設定されたロアリンク63側に傾転ストッパ構造A1を設け、該傾転ストッパ構造A1の第1ストッパ突起71を、ロアワッシャ11とは同じ側であって、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側のリンク面に形成したため、左右傾転同期ワイヤ57が設定されたロアリンク63側に傾転ストッパ構造A1を設けながら、上記(1)の効果を達成することができる。
【0055】
(3) 軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11は、前後のトラニオン59,59間に巻き付けられた前後傾転同期ワイヤ58のプーリを兼用する部材としたため、部品点数を削減することができる。なお、ロアワッシャ11は、切削加工もしくはロストワックス法、焼結法などで粗材を成形でき、粗材成形の段階で第1ストッパ面81を形成できるため、加工コストの上昇代は軽微である。
【0056】
(4) 傾転ストッパ構造A1を、トラニオン59の傾転軸Lより入出力ディスク側である内側位置に配置したため、ロアワッシャ11の内側部分の空間を有効に利用して傾転ストッパ構造A1を設定することができる。
【0057】
(5) トラニオン側ストッパが、ロアワッシャ11の側面に形成された第1ストッパ面81であり、該第1ストッパ面81は、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第1ストッパ突起71に当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第1ストッパ突起71に当接する面とが同一平面とされるため、ロアワッシャ11の側面に同一平面による第1ストッパ面81を形成するだけでトラニオン側ストッパとすることができ、加工コストを低減することができる。
【0058】
(第2実施例)
第2実施例は請求項1,2,4,6,9,10に係る発明に対応する。この第2実施例は、第1実施例の傾転ストッパ構造A1に代え傾転ストッパ構造A2とした例である。
【0059】
構成を説明すると、図3は第2実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図3において、1は変速機ケース、2はアッパリンクポスト、3はロアリンクポスト、4はロアカバー、10はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、44は出力ディスク、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A2は傾転ストッパ構造である。
【0060】
図4は傾転ストッパ構造A2を示す図であり、傾転ストッパ構造A2は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第2ストッパ突起72(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第2ストッパ面82(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0061】
前記第2ストッパ突起72には、図4(ハ)に示すように、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第2ストッパ面82に当接する面と、図4(ニ)に示すように、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第2ストッパ面82に当接する面とが同一平面によるストッパ面72aを有する。
【0062】
前記第2ストッパ面82は、図2(イ),(ロ)に示すように、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面によるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第2ストッパ突起72の同一平面によるストッパ面72aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されている。
【0063】
なお、第2実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
次に、効果を説明する。
この第2実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1)〜(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0065】
(6) リンク側ストッパが、ロアリンク63に形成された第2ストッパ突起72であり、該第2ストッパ突起72には、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第2ストッパ面82に当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第2ストッパ面82に当接する面とが同一平面によるストッパ面72aを有するため、ロアリンク63に第2ストッパ突起72を形成し、この第2ストッパ突起72に同一平面によるストッパ面72aを形成するだけでリンク側ストッパとすることができ、ロアリンク63の加工コストを低減することができる。
すなわち、粗材を鍛造や鋳造などで成形した後に加工するロアリンク63は、加工を単純化することで加工コストを低減することができる。これに対し、ロアワッシャ11は、切削加工もしくはロストワックス法、焼結法などで粗材を成形でき、粗材成形の段階で第2ストッパ面82を形成できるため、加工コストの上昇代は軽微である。
【0066】
(7) トラニオン側ストッパが、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面による第2ストッパ面82とされ、リンク側ストッパである第2ストッパ突起72の同一平面によるストッパ面72aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されるため、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして平面を形成するだけで第2ストッパ面82とすることができ、容易にトラニオン側ストッパを加工することができる。なお、ロアリンク63側の第2ストッパ突起72の同一平面によるストッパ面72aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されているため、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき及びトラニオン59が最大減速側に傾転したときにトラニオン59側の第2ストッパ面82に当接する。
【0067】
(第3実施例)
第3実施例は請求項1,2,4,6,9,11に係る発明に対応する。この第3実施例は、第1実施例の傾転ストッパ構造A1に代え傾転ストッパ構造A3とした例である。
【0068】
構成を説明すると、図5は第3実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図5において、1は変速機ケース、2はアッパリンクポスト、3はロアリンクポスト、4はロアカバー、10はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、44は出力ディスク、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A3は傾転ストッパ構造である。
【0069】
図6は傾転ストッパ構造A3を示す図であり、傾転ストッパ構造A3は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第3ストッパ突起73(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第3ストッパ面83(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0070】
前記第3ストッパ突起73には、図6(ハ)に示すように、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第3ストッパ面83の接触面83bに当接する面と、図6(ニ)に示すように、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第3ストッパ面83の接触面83cに当接する面とが同一平面によるストッパ面73aを有する。
【0071】
前記第3ストッパ面83は、図6(イ),(ロ)に示すように、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面83aの両側位置に角度を持たせて形成された2つの接触面83b,83cによるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第3ストッパ突起73の同一平面によるストッパ面73aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されている。
【0072】
なお、第3実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
次に、効果を説明する。
この第3実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1)〜(4)の効果、及び、第2実施例の(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0074】
(8) トラニオン側ストッパが、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面83aの両側位置に角度を持たせて形成された2つの接触面83b,83cによる第3ストッパ面83とされ、リンク側ストッパである第3ストッパ突起73の同一平面によるストッパ面73aは、ロアワッシャ11の円周より内側に配置され、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき及びトラニオン59が最大減速側に傾転したときに2つの接触面83b,83cにそれぞれ当接するように構成したため、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき及びトラニオン59が最大減速側に傾転したときの接触面積を広く確保でき、第3ストッパ突起73に作用する面圧を低減でき、大きな力で接触しても第3ストッパ突起73の変形や損傷を防止することができる。なお、ロアワッシャ11は、切削加工もしくはロストワックス法、焼結法などで粗材を成形でき、粗材成形の段階で第3ストッパ面83を形成できるため、加工コストの上昇代は軽微である。
【0075】
(第4実施例)
第4実施例は請求項1,2,4,7,8に係る発明に対応する。第1実施例の傾転ストッパ構造A1は、図1に示すように、ディスク中心側である内側位置に配置されているのに対し、この第4実施例の傾転ストッパ構造A4は、傾転ストッパ構造A1と同じ構成のものをケース側である外側位置に配置した例である。
【0076】
図7は第4実施例の傾転ストッパ構造A4を示す図であり、傾転ストッパ構造A4は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第4ストッパ突起74(リンク側ストッパ)と、ロアワッシャ11の側面に形成された第4ストッパ面84(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0077】
前記第4ストッパ突起74は、図7(イ)に示すように、トラニオン59が変速比1の傾転位置の時に第4ストッパ面84に平行な対向面74aと、対向面74aの両側から傾斜する接触面74b、74cを有する。
【0078】
前記第4ストッパ面84は、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第4ストッパ突起74の接触面74bに当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第4ストッパ突起74の接触面74cに当接する面とが同一平面である。
【0079】
なお、他の構成及び作用については第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0080】
次に、効果を説明する。
【0081】
この第4実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(3),(5)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0082】
(9) 傾転ストッパ構造A4を、トラニオン59の傾転軸Lより変速機ケース1側である外側位置に配置したため、ロアワッシャ11の外側部分の空間を有効に利用して傾転ストッパ構造A4を設定することができる。
【0083】
(第5実施例)
第5実施例は請求項1,2,4,7,9,10に係る発明に対応する。第2実施例の傾転ストッパ構造A2は、図3に示すように、ディスク中心側である内側位置に配置されているのに対し、この第5実施例の傾転ストッパ構造A5は、傾転ストッパ構造A2と同じ構成のものをケース側である外側位置に配置した例である。
【0084】
構成を説明すると、図8は第5実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図8において、1は変速機ケース、2はアッパリンクポスト、3はロアリンクポスト、4はロアカバー、10はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、44は出力ディスク、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A5は傾転ストッパ構造である。
【0085】
図9は傾転ストッパ構造A5を示す図であり、傾転ストッパ構造A5は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第5ストッパ突起75(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第5ストッパ面85(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0086】
前記第5ストッパ突起75には、図9(イ)に示すように、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第5ストッパ面85に当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第5ストッパ面85に当接する面とが同一平面によるストッパ面75aを有する。
【0087】
前記第5ストッパ面85は、図9(イ),(ロ)に示すように、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面によるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第5ストッパ突起75の同一平面によるストッパ面75aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されている。
【0088】
なお、他の構成及び作用については第2実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0089】
次に、効果を説明する。
この第5実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(3)と、第2実施例の(6),(7)と、第4実施例の(9)と同等の効果を得ることができる。
【0090】
(第6実施例)
第6実施例は請求項1,2,4,7,9,11に係る発明に対応する。第3実施例の傾転ストッパ構造A3は、図5に示すように、ディスク中心側である内側位置に配置されているのに対し、この第6実施例の傾転ストッパ構造A6は、傾転ストッパ構造A3と同じ構成のものをケース側である外側位置に配置した例である。
【0091】
構成を説明すると、図10は第6実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図10において、1は変速機ケース、2はアッパリンクポスト、3はロアリンクポスト、4はロアカバー、10はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、44は出力ディスク、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A6は傾転ストッパ構造である。
【0092】
図11は傾転ストッパ構造A6を示す図であり、傾転ストッパ構造A6は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第6ストッパ突起76(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第6ストッパ面86(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0093】
前記第6ストッパ突起76には、図11(イ)に示すように、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第6ストッパ面86の接触面86bに当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第6ストッパ面86の接触面86cに当接する面とが同一平面によるストッパ面76aを有する。
【0094】
前記第6ストッパ面86は、図11(ロ)に示すように、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面86aの両側位置に角度を持たせて形成された2つの接触面86b,86cによるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第6ストッパ突起76の同一平面によるストッパ面76aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されている。
【0095】
なお、他の構成及び作用については第3実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0096】
次に、効果を説明する。
この第6実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(3)と、第2実施例の(6)と、第3実施例の(8)と、第4実施例の(9)と同等の効果を得ることができる。
【0097】
(第7実施例)
第7実施例は請求項1,2,4,6,12に係る発明に対応する。第1〜第6実施例の傾転ストッパ構造A1〜A6は、リンク側ストッパをストッパ突起とし、トラニオン側ストッパをストッパ面とする例であるのに対し、この第7実施例の傾転ストッパ構造A7,A7'は、リンク側ストッパをストッパ凹部またはストッパ穴部とし、トラニオン側ストッパをストッパ凸部とした例である。
【0098】
構成を説明すると、図12は第7実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図12において、1は変速機ケース、3はロアリンクポスト、4はロアカバー、10'はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、44は出力ディスク、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A7は傾転ストッパ構造である。すなわち、第1〜第6実施例と比べた場合、アッパリンクポスト2を廃止し、かつ、トラニオン挿入穴65より大きな径のアッパワッシャ10'としている。
【0099】
図13は傾転ストッパ構造A7を示す図であり、傾転ストッパ構造A7は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成したストッパ凹部77(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成されたストッパ凸部87(トラニオン側ストッパ)により構成されている。なお、傾転ストッパ構造A7'は、ストッパ凹部77に代え、ロアリンク63を貫通するストッパ穴部77'(リンク側ストッパ)としたものである。
【0100】
前記ストッパ凹部77(またはストッパ穴部77')は、図13(ハ)に示すように、トラニオン59が最大増速側に傾転したときストッパ凸部87に当接する面77aと、図13(ニ)に示すように、トラニオン59が最大減速側に傾転したときストッパ凸部87に当接する面77bとを有する扇状の開口部としている。
【0101】
前記ロアワッシャ11の側面に形成されたストッパ凸部87は、機械加工で成形しても、鍛造などの塑性加工で成形しても良い。
【0102】
なお、他の構成及び作用については第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0103】
次に、効果を説明する。
この第7実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(3),(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0104】
(10) リンク側ストッパを、ロアリンク63に形成したストッパ凹部77、もしくは、ロアリンク63を貫通するストッパ穴部77'とし、トラニオン側ストッパを、ストッパ凹部77、もしくは、ストッパ穴部77'に配置され、ロアワッシャ11に形成したストッパ凸部87としたため、ロアリンク63に形成される突起や凸部が廃止されることで形状が簡素化し、リンク側ストッパであるストッパ凹部77(ストッパ穴部77')の加工費を低減することができる。
つまり、ロアリンク63自体は鍛造により製造されるため、リンク側ストッパを突起や凸部で形成するより、凹部や穴部で形成する方が素材を小さくでき、加工コストを下げられる。
【0105】
(第8実施例)
第8実施例は請求項1,2,5,6,8に係る発明に対応する。第1実施例の傾転ストッパ構造A1は、軸方向位置規制部材であるロアワッシャ11がプーリを兼用する部材であるのに対し、この第8実施例の傾転ストッパ構造A8は、軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11と、前後傾転同期ワイヤ58を巻き付けるプーリ13とを独立の部材とした例である。
【0106】
構成を説明すると、図14は第8実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図14において、10はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、13はプーリ、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A8は傾転ストッパ構造である。
【0107】
図15は傾転ストッパ構造A8を示す図であり、傾転ストッパ構造A8は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、前記ロアワッシャ11とは同じ側のリンク面に形成した第8ストッパ突起78(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第8ストッパ面88(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0108】
前記第8ストッパ突起78は、トラニオン59が変速比1の傾転位置の時に第8ストッパ面88に平行な対向面78aと、対向面78aの両側から傾斜する接触面78b,78cを有する。
【0109】
前記第8ストッパ面88は、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第8ストッパ突起78の接触面78bに当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第8ストッパ突起78の接触面78cに当接する面とが同一平面である。
【0110】
なお、他の構成及び作用については第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0111】
次に、効果を説明する。
この第8実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(4),(5)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0112】
(11) 軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11を、前後傾転同期ワイヤ58を巻き付けるプーリ13とを独立の部材としたため、ロアワッシャ11の側面に第8ストッパ面88を容易に形成することができる。
【0113】
(第9実施例)
第9実施例は請求項1,2,5,6,9,10に係る発明に対応する。第2実施例の傾転ストッパ構造A2は、軸方向位置規制部材であるロアワッシャ11がプーリを兼用する部材であるのに対し、この第9実施例の傾転ストッパ構造A9は、軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11と、前後傾転同期ワイヤ58を巻き付けるプーリ13とを独立の部材とした例である。
【0114】
図16は傾転ストッパ構造A9を示す図であり、傾転ストッパ構造A9は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第9ストッパ突起79(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第9ストッパ面89(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0115】
前記第9ストッパ突起79には、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第9ストッパ面89に当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第9ストッパ面89に当接する面とが同一平面によるストッパ面79aを有する。
【0116】
前記第9ストッパ面89は、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面によるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第9ストッパ突起79の同一平面によるストッパ面79aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置される。そして、ハッチングで示す部分がトラニオン59の傾転を規制する際のストッパ面となる。
【0117】
なお、第9実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0118】
次に、効果を説明する。
この第9実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(4)と、第2実施例の(6),(7)と、第8実施例の(11)の効果を得ることができる。
【0119】
(第10実施例)
第10実施例は請求項1,2,5,6,9,11に係る発明に対応する。第3実施例の傾転ストッパ構造A3は、軸方向位置規制部材であるロアワッシャ11がプーリを兼用する部材であるのに対し、この第10実施例の傾転ストッパ構造A10は、軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11と、前後傾転同期ワイヤ58を巻き付けるプーリ13とを独立の部材とした例である。
【0120】
図17は傾転ストッパ構造A10を示す図であり、傾転ストッパ構造A10は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第10ストッパ突起100(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第10ストッパ面110(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0121】
前記第10ストッパ突起100には、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第10ストッパ面110の接触面110bに当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第10ストッパ面110の接触面110cに当接する面とが同一平面によるストッパ面100aを有する。
【0122】
前記第10ストッパ面110は、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面110aの両側位置に角度を持たせて形成された2つの接触面110b,110cによるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第10ストッパ突起100の同一平面によるストッパ面100aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されている。
【0123】
なお、第10実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0124】
次に、効果を説明する。
この第10実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(4)と、第2実施例の(6)と、第3実施例の(8)と、第8実施例の(11)の効果を得ることができる。
【0125】
(第11実施例)
第11実施例は請求項1,2,5,7,8に係る発明に対応する。第4実施例の傾転ストッパ構造A4は、軸方向位置規制部材であるロアワッシャ11がプーリを兼用する部材であるのに対し、この第11実施例の傾転ストッパ構造A11は、軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11と、前後傾転同期ワイヤ58を巻き付けるプーリ13とを独立の部材とした例である。
【0126】
構成を説明すると、図18は第11実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図18において、10はアッパワッシャ、11はロアワッシャ(軸方向位置規制部材)、12はスペーサ、13はプーリ、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A11は傾転ストッパ構造である。
【0127】
図19は傾転ストッパ構造A11を示す図であり、傾転ストッパ構造A11は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、前記ロアワッシャ11とは同じ側のリンク面に形成した第11ストッパ突起101(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第11ストッパ面111(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0128】
前記第11ストッパ突起78は、トラニオン59が変速比1の傾転位置の時に第11ストッパ面111に平行な対向面101aと、対向面101aの両側から傾斜する接触面101b,101cを有する。
【0129】
前記第11ストッパ面111は、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第11ストッパ突起101の接触面101bに当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第11ストッパ突起101の接触面101cに当接する面とが同一平面である。
【0130】
なお、他の構成及び作用については第1実施例と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0131】
次に、効果を説明する。
この第11実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(5)と、第4実施例の(9)と、第8実施例の(11)の効果を得ることができる。
【0132】
(第12実施例)
第12実施例は請求項1,2,5,7,9,10に係る発明に対応する。第5実施例の傾転ストッパ構造A5は、軸方向位置規制部材であるロアワッシャ11がプーリを兼用する部材であるのに対し、この第12実施例の傾転ストッパ構造A12は、軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11と、前後傾転同期ワイヤ58を巻き付けるプーリ13とを独立の部材とした例である。
【0133】
図20は傾転ストッパ構造A12を示す図であり、傾転ストッパ構造A12は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第12ストッパ突起102(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第12ストッパ面112(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0134】
前記第12ストッパ突起102には、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第12ストッパ面112に当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第12ストッパ面112に当接する面とが同一平面によるストッパ面102aを有する。
【0135】
前記第12ストッパ面112は、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面によるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第12ストッパ突起102の同一平面によるストッパ面102aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置される。そして、ハッチングで示す部分がトラニオン59の傾転を規制する際のストッパ面となる。
【0136】
なお、第12実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0137】
次に、効果を説明する。
この第12実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2)と、第2実施例の(6),(7)と、第4実施例の(9)と、第8実施例の(11)の効果を得ることができる。
【0138】
(第13実施例)
第13実施例は請求項1,2,5,7,9,11に係る発明に対応する。第6実施例の傾転ストッパ構造A6は、軸方向位置規制部材であるロアワッシャ11がプーリを兼用する部材であるのに対し、この第13実施例の傾転ストッパ構造A13は、軸方向位置規制部材としてのロアワッシャ11と、前後傾転同期ワイヤ58を巻き付けるプーリ13とを独立の部材とした例である。
【0139】
図21は傾転ストッパ構造A13を示す図であり、傾転ストッパ構造A13は、ロアリンク63を挟んで左右傾転同期ワイヤ57とは反対側であって、ロアワッシャ11とは同じ側の面に形成した第13ストッパ突起103(リンク側ストッパ)と、前記ロアワッシャ11の側面に形成された第13ストッパ面113(トラニオン側ストッパ)により構成されている。
【0140】
前記第13ストッパ突起103には、トラニオン59が最大増速側に傾転したとき第13ストッパ面113の接触面113bに当接する面と、トラニオン59が最大減速側に傾転したとき第13ストッパ面113の接触面113cに当接する面とが同一平面によるストッパ面103aを有する。
【0141】
前記第13ストッパ面113は、円盤形状をなしたロアワッシャ11の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面113aの両側位置に角度を持たせて形成された2つの接触面113b,113cによるストッパ面とされ、リンク側ストッパである第13ストッパ突起103の同一平面によるストッパ面103aが、ロアワッシャ11の円周より内側に配置されている。
【0142】
なお、第13実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0143】
次に、効果を説明する。
この第13実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2)と、第2実施例の(6)と、第3実施例の(8)と、第4実施例の(9)と、第8実施例の(11)の効果を得ることができる。
【0144】
(第14実施例)
第14実施例は請求項1,3,5,6,8,9,10,11に係る発明に対応する。第8実施例〜第10実施例が、アッパリンク62とロアリンク63のうち左右傾転同期ワイヤ57が設定されているロアリンク63側に傾転ストッパ構造A8〜A10を設けた例であるのに対し、第14実施例は、左右傾転同期ワイヤ57が設定されていないアッパリンク62側であって、トラニオン59の傾転軸Lよりディスク側である内側位置に傾転ストッパ構造A14を設けた例である。
【0145】
構成を説明すると、図22は第14実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図22において、10はアッパワッシャ(軸方向位置規制部材)、11はロアワッシャ、12はスペーサ、13はプーリ、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A14は傾転ストッパ構造である。
【0146】
前記傾転ストッパ構造A14としては、図15の傾転ストッパ構造A8や、図16の傾転ストッパ構造A9や、図17の傾転ストッパ構造A10のうちいずれかの構造が採用される。
【0147】
なお、第14実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0148】
次に、効果を説明する。
この第14実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第8実施例、第9実施例、第10実施例の効果のうち、(2)の効果に代えて、下記の効果を得ることができる。
【0149】
(12) アッパリンク62とロアリンク63のうち左右傾転同期ワイヤ57が設定されていないアッパリンク62側に傾転ストッパ構造A14を設け、該傾転ストッパ構造A14のリンク側ストッパをアッパワッシャ10と同じ側のリンク面に設けたため、アッパワッシャ10を利用した傾転ストッパ構造A14の設定により、変速機の高さ方向寸法を小さくして車載性を向上させることができる。
【0150】
(第15実施例)
第15実施例は請求項1,3,5,7,8,9,10,11に係る発明に対応する。第11実施例〜第13実施例が、アッパリンク62とロアリンク63のうち左右傾転同期ワイヤ57が設定されているロアリンク63側に傾転ストッパ構造A11〜A13を設けた例であるのに対し、第15実施例は、左右傾転同期ワイヤ57が設定されていないアッパリンク62側であって、トラニオン59の傾転軸Lより変速機ケース1側である外側位置に傾転ストッパ構造A15を設けた例である。
【0151】
構成を説明すると、図23は第15実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図で、図23において、10はアッパワッシャ(軸方向位置規制部材)、11はロアワッシャ、12はスペーサ、13はプーリ、45はパワーローラ、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64はベアリングアウタレース、65はトラニオン挿入穴、66はラジアルニードルベアリング、A15は傾転ストッパ構造である。
【0152】
前記傾転ストッパ構造A15としては、図19の傾転ストッパ構造A11や、図20の傾転ストッパ構造A12や、図21の傾転ストッパ構造A12のうちいずれかの構造が採用される。
【0153】
なお、第15実施例の作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0154】
次に、効果を説明する。
この第15実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第8実施例、第9実施例、第10実施例の効果のうち、(2)の効果に代えて、上記(12)の効果を得ることができる。
【0155】
(第16実施例)
第16実施例は、請求項13,14に係る発明に対応する。
先ず、構成を説明すると、図24は第16実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図及び一部側面図であり、図24において、57は左右傾転同期ワイヤ(傾転同期ワイヤ)、59はトラニオン、120はストッパ(ストッパ部材)である。
【0156】
前記左右傾転同期ワイヤ57は、左右に隣り合うトラニオン59,59のプーリ部に対し中間部で交差するように8の字状に巻き掛けられる。
【0157】
前記トラニオン59,59の傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造は、前記左右傾転同期ワイヤ57に取り付けたストッパ120,120により構成される。
【0158】
つまり、2個のストッパ120,120を、図24に示すように、左右傾転同期ワイヤ57のプーリ巻き掛け部と交差部との間の位置に取り付けることで、トラニオン59,59の傾転角が許容角度を超えると、一方のストッパ120が交差する左右傾転同期ワイヤ57に当接することでトラニオン59,59の傾転範囲を規制するようにしている。
【0159】
傾転ストッパ作用を説明すると、通常の変速比制御で使われる変速比範囲では、
ストッパ120が交差する左右傾転同期ワイヤ57に接触することなく、トラニオン59,59が自由に傾転できる。しかし、トラニオン59,59の傾転許容範囲を超えると、図25に示すように、一方のストッパ120が交差する左右傾転同期ワイヤ57に接触し、それ以上傾転することを規制する。また、逆方向に過傾転した場合には、もう一方のストッパ120が交差する左右傾転同期ワイヤ57に接触し、それ以上傾転することを規制する。
【0160】
なお、図26に示すように、ストッパ120,120を左右傾転同期ワイヤ57に取り付けても、同様の作用を示す。
【0161】
次に、効果を説明する。
第16実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、下記の効果を得ることができる。
【0162】
(13) トラニオン59,59の傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造は、前記左右傾転同期ワイヤ57に取り付けたストッパ120,120により構成されているため、例えば、第1実施例〜第15実施例に示すように、リンク側ストッパとトラニオン側ストッパにより構成する場合に比べ、安価に傾転ストッパ構造を構成することができると共に、ストッパ構造を設けるスペースも必要なくなり、変速機の高さ方向寸法を小さくして車載性を向上させることができる。
【0163】
(14) 左右傾転同期ワイヤ57のプーリ巻き掛け部と交差部との間の位置に取り付けることで、トラニオン59,59の傾転角が許容角度を超えると、一方のストッパ120が交差する左右傾転同期ワイヤ57に当接することでトラニオン59,59の傾転範囲を規制するようにしたため、傾転ストッパ構造を、ストッパ120の相手部材として左右傾転同期ワイヤ57を利用した簡単で安価な構成とすることができる。
【0164】
(第17実施例)
第17実施例は、請求項13,14,16,17に係る発明に対応する。
先ず、構成を説明すると、図27は第17実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図であり、図27において、15はプリセスカム、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ(傾転同期ワイヤ)、59a,59b,59c,59dはトラニオン、120はストッパ(ストッパ部材)、121は変速機前方側ユニット、122は変速機後方側ユニットである。
【0165】
この第17実施例は、無段変速ユニットを二組用いるダブルキャビティ方式であり、変速機前方側ユニット121のトラニオン59a,59bのうち一方のトラニオン59aに、変位を変速制御バルブにフィードバックするプリセスカム15が取り付けられている。
【0166】
前記左右傾転同期ワイヤ57及び前後傾転同期ワイヤ58は、特開平7−253145号公報に記載されているものと同様に、4個のトラニオン59a,59b,59c,59dに対し3本のワイヤ57,57,58が8の字状に巻き掛けられている。
【0167】
前記ストッパ120は、4個のトラニオン59a,59b,59c,59dのうち、変位を変速制御バルブにフィードバックするプリセスカム15が付いていないトラニオン59b,59cに巻き掛けられた前後傾転同期ワイヤ58に取り付けられている。言い換えると、ストッパ120は、左右一対のパワーローラが前後位置に配置され、これらを支持する4個のトラニオン59a,59b,59c,59dのうち、プリセスカム15が付いているトラニオン59aの対角位置にあるトラニオン59dに巻き掛けられた前後傾転同期ワイヤ58に取り付けられている。
【0168】
作用を説明すると、トラニオン59aは、プリセスカム15により、その挙動が常にフィードバックされているため、異常傾転が起こりにくい。また、トラニオン59bは、これに支持されたパワーローラは、トラニオン59aに支持されたパワーローラと同一の入出力ディスクに転動接触するため、比較的安定している。また、トラニオン59cは、変速する際の上下運動方向がトラニオン59aと同じであり、その動きはアッパリンク62及びロアリンク63によって連動するため、トラニオン59dより安定している。よって、4個のトラニオン59a,59b,59c,59dのうちトラニオン59dが最も異常傾転の発生する可能性が高い。
【0169】
この第17実施例では、最も異常傾転を起こしやすいトラニオン59dに巻き掛けられた前後傾転同期ワイヤ58にストッパ120を取り付けることにより、異常傾転を確実に防止することができる。
【0170】
次に、効果を説明する。
第17実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第16実施例の(13),(14)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0171】
(15) ストッパ120を、4個のトラニオン59a,59b,59c,59dのうち、変位を変速制御バルブにフィードバックするプリセスカム15が付いていないトラニオン59b,59cに巻き掛けられた前後傾転同期ワイヤ58に取り付けたため、その挙動が変速制御バルブにフィードバックされず、異常傾転を起こしやすいトラニオン59b,59cに傾転ストッパ機構を設けることができる。
【0172】
(16) ストッパ120を、左右一対のパワーローラが前後位置に配置され、これらを支持する4個のトラニオン59a,59b,59c,59dのうち、プリセスカム15が付いているトラニオン59aの対角位置にあるトラニオン59dに巻き掛けられた前後傾転同期ワイヤ58に取り付けたため、最も異常傾転を起こしやすいトラニオン59dに傾転ストッパ機構を設けることができる。
【0173】
(第18実施例)
第18実施例は、請求項13,14,16,17,18に係る発明に対応する。
先ず、構成を説明すると、図28は第18実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図であり、図28において、15はプリセスカム、57は左右傾転同期ワイヤ(傾転同期ワイヤ)、58は前後傾転同期ワイヤ、59a,59b,59c,59dはトラニオン、120はストッパ(ストッパ部材)、121は変速機前方側ユニット、122は変速機後方側ユニットである。
【0174】
すなわち、第17実施例は、前後傾転同期ワイヤ58にストッパ120を取り付けたのに対し、この第18実施例は、変速機後方側ユニット122の左右傾転同期ワイヤ58にストッパ120を取り付けた点でのみ構成的に異なる。
【0175】
作用を説明すると、同じ変速機後方側ユニット122内の対向するトラニオン59c,59dに左右傾転同期ワイヤ58を巻き掛けた場合、左右傾転同期ワイヤ58の交差部付近はスペースが空いている。よって、必要な強度が得られるように、ストッパ120のサイズを十分にとることができる。
【0176】
次に、効果を説明する。
第18実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第16実施例の(13),(14)と、第17実施例の(15),(16)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0177】
(17) ストッパ120を、左右位置に配置されたトラニオン59c,59dに巻き掛けられた左右傾転同期ワイヤ57に取り付けたため、ストッパ120を取り付けるスペースを大きく確保することができる。
【0178】
(第19実施例)
第19実施例は、請求項19に係る発明に対応する。
先ず、構成を説明すると、図29は第19実施例のトロイダル型無段変速機のカシメ前とカシメ後のストッパを示す断面図であり、ストッパ120は、半割り形状とし、挟み込むようにカシメることにより、左右傾転同期ワイヤ57または前後傾転同期ワイヤ58に固定している。
【0179】
作用を説明すると、図28において、左右傾転同期ワイヤ57や前後傾転同期ワイヤ58は、突起部等が無くストッパ120の取付が困難であるが、カシメ方法を採用することにより、簡単にしかも安価に取り付けることができる。
【0180】
次に効果を説明する。
第19実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、下記の効果を得ることができる。
【0181】
(18) ストッパ120を、カシメにより左右傾転同期ワイヤ57または前後傾転同期ワイヤ58に固定したため、安価にストッパ120を製作することができる。
【0182】
(第20実施例)
第20実施例は、請求項13,15に係る発明に対応する。
先ず、構成を説明すると、図30は第20実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図であり、図30において、57は左右傾転同期ワイヤ(傾転同期ワイヤ)、59はトラニオン、120はストッパ(ストッパ部材)である。
【0183】
前記左右傾転同期ワイヤ57は、左右に隣り合うトラニオン59,59のプーリ部に対し中間部で交差するように8の字状に巻き掛けられる。
【0184】
前記トラニオン59,59の傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造は、前記左右傾転同期ワイヤ57に取り付けたストッパ120,120により構成される。
【0185】
つまり、2個のストッパ120,120を、図30に示すように、左右傾転同期ワイヤ57のプーリ巻き掛け部と交差部との間の位置に取り付けることで、トラニオン59,59の傾転角が許容角度を超えると、一方のストッパ120がトラニオン59のプーリ部に当接することでトラニオン59,59の傾転範囲を規制するようにしている。
【0186】
傾転ストッパ作用を説明すると、通常の変速比制御で使われる変速比範囲では、
ストッパ120,120がトラニオン59のプーリ部に接触することなく、トラニオン59,59が自由に傾転できる。しかし、トラニオン59,59の傾転許容範囲を超えると、図30に示すように、一方のストッパ120がトラニオン59のプーリ部に接触し、それ以上傾転することを規制する。また、逆方向に過傾転した場合には、もう一方のストッパ120がトラニオン59のプーリ部に接触し、それ以上傾転することを規制する。なお、左右傾転同期ワイヤ57が独立部材としてのプーリに巻き掛けられている場合には、ストッパ120がプーリに接触することで許容範囲を超える傾転を規制することもできる。
【0187】
次に、効果を説明する。
第20実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第16実施例の(13)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0188】
(19) ストッパ120を、トラニオン59の傾転角が許容角度を超えると、ストッパ120がトラニオン59に当接することでトラニオンの傾転範囲を規制するようにしたため、ワイヤに比して強度が高いトラニオン59(またはプーリ)を相手部材とすることで、過傾転をさせる力が強い場合でもストッパとしての機能を果たすことができる。
【0189】
(他の実施例)
以上、本発明のトロイダル型無段変速機を第1実施例〜第20実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これら第1実施例〜第20実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0190】
例えば、傾転ストッパ構造を、軸方向位置規制部材とは同じ側で、左右傾転同期ワイヤが存在しないリンク面に設けたリンク側ストッパと、軸方向位置規制部材の側面に設けたトラニオン側ストッパにより構成したものであれば、リンク側ストッパとトラニオン側ストッパの具体的形状は第1実施例〜第15実施例に限定されることはない。
【0191】
また、傾転ストッパ構造を、左右または前後の傾転同期ワイヤに取り付けたストッパ部材により構成したものであれば、具体的な構成は、第16実施例〜第20実施例に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図である。
【図2】第1実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図3】第2実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図4】第2実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図5】第3実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図6】第3実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図7】第4実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図8】第5実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図9】第5実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図10】第6実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図11】第6実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図12】第7実施例のトロイダル型無段変速機を示す断面図である。
【図13】第7実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図14】第8実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図15】第8実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図16】第9実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図17】第10実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図18】第11実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図19】第11実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図20】第12実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図21】第13実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す図である。
【図22】第14実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図23】第15実施例のトロイダル型無段変速機を示す半断面図である。
【図24】第16実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図及び一部側面である。
【図25】第16実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ作用説明図である。
【図26】第16実施例の変形例の傾転ストッパ構造を示す平面図である。
【図27】第17実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図である。
【図28】第18実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図である。
【図29】第19実施例のトロイダル型無段変速機におけるストッパのカシメ前とカシメ後を示す図である。
【図30】第20実施例のトロイダル型無段変速機の傾転ストッパ構造を示す平面図である。
【図31】従来のトロイダル型無段変速機での傾転同期ワイヤを示す図である。
【符号の説明】
1 変速機ケース
2 アッパリンクポスト
3 ロアリンクポスト
4 ロアカバー
10,10' アッパワッシャ(軸方向位置規制部材)
11 ロアワッシャ(軸方向位置規制部材)
12 スペーサ
44 出力ディスク
45 パワーローラ
57 左右傾転同期ワイヤ
58 前後傾転同期ワイヤ
59 トラニオン
60 トラニオンシャフト
61 サーボピストン
62 アッパリンク
63 ロアリンク
64 ベアリングアウタレース
65 トラニオン挿入穴
66 ラジアルニードルベアリング
A1〜A15 傾転ストッパ構造
71 第1ストッパ突起(リンク側ストッパ)
81 第1ストッパ面(トラニオン側ストッパ)
120 ストッパ(ストッパ部材)

Claims (19)

  1. 同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
    これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧したパワーローラと、
    該パワーローラを支持すると共に、パワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線の周りに傾転可能なトラニオンと、
    前記トラニオンの上部及び下部を、軸受を介して傾転自在に位置決め支持するアッパリンク及びロアリンクと、
    前記軸受のトラニオン傾転軸方向の移動を規制する軸方向位置規制部材と、
    前記入出力ディスク間に配置された左右のトラニオン間に巻き付けられた左右傾転同期ワイヤと、
    前記パワーローラと入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオンの傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造と、
    を備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記傾転ストッパ構造を、前記軸方向位置規制部材とは同じ側で、前記左右傾転同期ワイヤが存在しないリンク面に設けたリンク側ストッパと、前記軸方向位置規制部材の側面に設けたトラニオン側ストッパにより構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 請求項1に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記アッパリンクとロアリンクのうち、左右傾転同期ワイヤが設定されたリンク側に傾転ストッパ構造を設け、
    前記傾転ストッパ構造のリンク側ストッパを、前記軸方向位置規制部材とは同じ側であって、リンクを挟んで左右傾転同期ワイヤとは反対側のリンク面に設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  3. 請求項1に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記アッパリンクとロアリンクのうち、左右傾転同期ワイヤが設定されていないリンク側に傾転ストッパ構造を設け、
    前記傾転ストッパ構造のリンク側ストッパを、前記軸方向位置規制部材とは同じ側のリンク面に設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記軸方向位置規制部材は、前後のトラニオン間に巻き付けられた前後傾転同期ワイヤを巻き付けるプーリを兼用する部材であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  5. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記軸方向位置規制部材は、前後のトラニオン間に巻き付けられた前後傾転同期ワイヤを巻き付けるプーリとは独立したワッシャであることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記傾転ストッパ構造を、トラニオンの傾転軸より入出力ディスク側である内側位置に配置したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  7. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記傾転ストッパ構造を、トラニオンの傾転軸よりケース側である外側位置に配置したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記トラニオン側ストッパは、前記軸方向位置規制部材の側面に形成されたストッパ面であり、該ストッパ面は、トラニオンが最大増速側に傾転したときリンク側ストッパに当接する面と、トラニオンが最大減速側に傾転したときリンク側ストッパに当接する面とが同一平面であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  9. 請求項1ないし請求項7の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記リンク側ストッパは、前記リンクに形成されたストッパ突起であり、該ストッパ突起には、トラニオンが最大増速側に傾転したときトラニオン側ストッパに当接する面と、トラニオンが最大減速側に傾転したときトラニオン側ストッパに当接する面とが同一平面によるストッパ面を有することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  10. 請求項9に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記トラニオン側ストッパは、前記軸方向位置規制部材が円盤形状をなし、該軸方向位置規制部材の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面によるストッパ面であり、
    前記リンク側ストッパであるストッパ突起の同一平面によるストッパ面を、軸方向位置規制部材の円周より内側に配置したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  11. 請求項9に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記トラニオン側ストッパは、前記軸方向位置規制部材が円盤形状をなし、該軸方向位置規制部材の円周上の2点を結ぶようにして形成された平面の両側位置に角度を持たせて形成された2つの接触面によるストッパ面であり、
    前記リンク側ストッパであるストッパ突起の同一平面によるストッパ面は、軸方向位置規制部材の円周より内側に配置され、トラニオンが最大増速側に傾転したとき及びトラニオンが最大減速側に傾転したときに前記2つの接触面にそれぞれ当接する面であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  12. 請求項1ないし請求項7の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記リンク側ストッパは、前記リンクに形成されたストッパ凹部、もしくは、前記リンクを貫通するストッパ穴部であり、
    前記トラニオン側ストッパは、前記ストッパ凹部、もしくは、ストッパ穴部に配置され、前記軸方向位置規制部材に形成されたストッパ凸部であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  13. 同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
    これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧したパワーローラと、
    該パワーローラを支持すると共に、パワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線の周りに傾転可能なトラニオンと、
    前記複数のトラニオンのうち、前後または左右に隣り合うトラニオンに対し中間部で交差するように8の字状に巻き掛けられる傾転同期ワイヤと、
    前記パワーローラと入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオンの傾転範囲を規制する傾転ストッパ構造と、
    を備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記傾転ストッパ構造を、前記傾転同期ワイヤに取り付けたストッパ部材により構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  14. 請求項13に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパ部材は、トラニオンの傾転角が許容角度を超えると、ストッパ部材が交差する傾転同期ワイヤに当接することでトラニオンの傾転範囲を規制することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  15. 請求項13に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパ部材は、トラニオンの傾転角が許容角度を超えると、ストッパ部材がトラニオン、或いは、トラニオンに設けられたプーリに当接することでトラニオンの傾転範囲を規制することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  16. 請求項13ないし請求項15の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパ部材は、複数のトラニオンのうち、変位を変速制御バルブにフィードバックするプリセスカムが付いていないトラニオンに巻き掛けられた傾転同期ワイヤに取り付けられていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  17. 請求項16に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパ部材は、左右一対のパワーローラが前後位置に配置され、これらを支持する4個のトラニオンのうち、プリセスカムが付いているトラニオンの対角位置にあるトラニオンに巻き掛けられた傾転同期ワイヤに取り付けられていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  18. 請求項17に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパ部材は、左右位置に配置されたトラニオンに巻き掛けられた左右傾転同期ワイヤに取り付けられている特徴とするトロイダル型無段変速機。
  19. 請求項13ないし請求項18の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパ部材は、カシメにより傾転同期ワイヤに取り付けられている特徴とするトロイダル型無段変速機。
JP2002023260A 2001-07-05 2002-01-31 トロイダル型無段変速機 Expired - Fee Related JP3729135B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002023260A JP3729135B2 (ja) 2001-07-05 2002-01-31 トロイダル型無段変速機
US10/157,483 US6800047B2 (en) 2001-07-05 2002-05-30 Toroidal continuously-variable transmission
EP02015015A EP1275881B1 (en) 2001-07-05 2002-07-04 Toroidal continuously-variable transmission
DE60236830T DE60236830D1 (de) 2001-07-05 2002-07-04 Stufenloses Toroidgetriebe

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-204384 2001-07-05
JP2001204384 2001-07-05
JP2002023260A JP3729135B2 (ja) 2001-07-05 2002-01-31 トロイダル型無段変速機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003083410A JP2003083410A (ja) 2003-03-19
JP3729135B2 true JP3729135B2 (ja) 2005-12-21

Family

ID=26618182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002023260A Expired - Fee Related JP3729135B2 (ja) 2001-07-05 2002-01-31 トロイダル型無段変速機

Country Status (4)

Country Link
US (1) US6800047B2 (ja)
EP (1) EP1275881B1 (ja)
JP (1) JP3729135B2 (ja)
DE (1) DE60236830D1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4774694B2 (ja) * 2004-07-06 2011-09-14 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機
JP4656409B2 (ja) * 2005-08-17 2011-03-23 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機
JP4941712B2 (ja) * 2006-08-22 2012-05-30 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機
US20110015031A1 (en) * 2009-07-20 2011-01-20 Jean-Francois Dionne Continuously variable transmission (cvt) having a coaxial input/output arrangement and enhanced embedded torque transfer
JP5177124B2 (ja) * 2009-11-24 2013-04-03 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機
JP6111586B2 (ja) * 2011-10-03 2017-04-12 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機
US9121304B2 (en) * 2012-09-11 2015-09-01 Honeywell International Inc. Outer race locating washer

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6237562A (ja) * 1985-08-12 1987-02-18 Nippon Seiko Kk トロイダル形無段変速機の変速保持装置
JPH0634007A (ja) 1992-07-10 1994-02-08 Mazda Motor Corp トロイダル型無段変速機
JP3290480B2 (ja) * 1992-11-27 2002-06-10 マツダ株式会社 トロイダル型無段変速機
JP3308331B2 (ja) * 1993-03-23 2002-07-29 マツダ株式会社 トロイダル型無段変速機
JP3173283B2 (ja) 1994-06-01 2001-06-04 日産自動車株式会社 トロイダル型無段変速機
JPH09217803A (ja) * 1996-02-13 1997-08-19 Nissan Motor Co Ltd 摩擦車式無段変速機
JP3237573B2 (ja) * 1997-06-05 2001-12-10 日産自動車株式会社 摩擦車式無段変速機

Also Published As

Publication number Publication date
US20030008749A1 (en) 2003-01-09
EP1275881B1 (en) 2010-06-30
US6800047B2 (en) 2004-10-05
EP1275881A3 (en) 2009-06-17
EP1275881A2 (en) 2003-01-15
JP2003083410A (ja) 2003-03-19
DE60236830D1 (de) 2010-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11502591A (ja) 連続可変変速比変速機に関する改良
JP3729135B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3698048B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3480218B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3656571B2 (ja) トロイダル型無段変速機のリンク支持構造
JP4941712B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3395465B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JPH10331937A (ja) トロイダル型無段変速機のローディングカム装置
JP3743147B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP7459753B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3852173B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3417288B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4774694B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4089085B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3758139B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4110645B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JPH11280861A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2591441Y2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3692701B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2579670Y2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4378677B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2000320634A (ja) トロイダル型無段変速機
JP4491729B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2013104519A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2005003119A (ja) トロイダル型無段変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041022

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041109

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050601

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050913

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050926

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091014

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091014

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101014

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111014

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121014

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121014

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131014

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees