JP3728533B2 - 可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用空気調和装置に適用される可変容量式圧縮機に関し、特に可変容量斜板式圧縮機の駆動軸を軸方向に支持するスラストベアリング支持構造において、固定レースと駆動レースとの間の内外径、両レースとシンリンダ−とのセンターボア及び駆動軸の外径の大きさ毎の相関関係を具体化した可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
可変容量斜板式圧縮機（ｖａｒｉａｂｌｅ ｄｉｓｐｌａｃｅｍｅｎｔ ｓｗａｓｈ ｐｌａｔｅ ｔｙｐｅ ｃｏｍｐｒｅｓｓｏｒ）は、斜板の傾斜角によりピストンストローク（ｐｉｓｔｏｎ ｓｔｒｏｋｅ）を増加、または、減少させて、吐出される流体の流量を制御する圧縮機である。
かかる従来の可変容量斜板式圧縮機について、図１を参照し、その構成及び作用を説明する。
可変斜板式圧縮機１は、センターボア４とその周辺に放射状に形成された多数のシリンダーボア（ｃｙｌｉｎｄｅｒ ｂｏｒｅ）６を有するシリンダーブロック２有し、シリンダーブロック２の両側は、前方ハウジング８と後方ハウジング１０とにより密閉されている。
【０００３】
シリンダーブロック２と前方ハウジング８との間には気密状態のくランク室１２が設けられており、シリンダーブロック２の後端部と後方ハウジング１０との間にはバルブプレート１４が配設され、後方ハウジング１０には冷媒ガスの流出入のための流出口及び流入口、吸入室１６及び吐出室１８が各々形成されている。吸入室１６及び吐出室１８は、各々吸入及び吐出バルブ機構を介して個々のシリンダーボア６と冷媒の疎通がなされる。
【０００４】
駆動軸２０は、前方ハウジング８を経てシリンダーブロック２まで延長して中心部に配置され、また、前方ハウジング８及びシリンダーブロック２に装着されたラジアルベアリング２２、２２により回転可能に支持され、シリンダーボア６に挿入された駆動軸２０の一側端部は支持手段により軸方向に支持され、駆動軸の軸方向移動が防止されている。
【０００５】
シリンダーブロック２と前後方ハウジング８、１０は、貫通ボルト２４により結合されている。クランク室１２内には、回転体（ｒｏｔｏｒ）２６が駆動軸２０と共に回転可能に駆動軸２０に装着され、また、回転体２６は、駆動軸２０と共に回転されるようにクランク室１２を貫く駆動軸２０に固定されて装着されている。斜板（ｓｗａｓｈ ｐｌａｔｅ）２８は、駆動軸２０に回転可能に支持され、駆動軸２０と斜板２８との間には、球形スリーブ（ｓｐｈｅｒｉｃａｌ ｓｌｅｅｖｅ）が介在することがあり、その場合、斜板２８は、球形スリーブの外部支持面に回転可能に支持されている。
【０００６】
図１において、斜板２８は最大傾斜角の位置にあり、その際、スプリング３０は最大に圧縮された状態であり、突出部３２のストップ面（ｓｔｏｐ ｓｕｒｆａｃｅ）３２ａは回転体２６と接触するので、斜板２８の傾斜角は回転体２６により制限される。また、駆動軸２０にはストッパ３４が設けられ、斜板２８の最小傾斜角が制限される。
そして、斜板２８と回転体２６とは、ヒンジ機構により連結され、共に回転する。即ち、支持アーム３６が回転体２６の一側面から軸に沿って外周方向に突出し、アーム３８は、斜板３４の一表面から回転体２６の支持アーム３６側に突出している。支持アーム３６とアーム３８は、ピン４０により互いに連結されている。
【０００７】
個々のシリンダーボア６には、ピストン４２がスライド可能に配置され、各々のピストン４２は、シリンダーボア６内にスライド可能に配置されたボディー４４とブリッジ部４６を有する。ピストン４２のブリッジ部４６には、リセス（ｒｅｃｅｓｓ）４８が形成され、リセス４８には斜板２８の外周部分が位置している。半球型シュー５０は、ピストン４２のブリッジ部４６に形成されたシューポケット（ｓｈｏｅ ｐｏｃｋｅｔ）５２に配置され、斜板２８の外周部分の両面とスライド可能に噛合っている。従って、駆動軸２０の回転により斜板２８も回転し、斜板２８の回転運動は、シュー５０を通じてピストン４２の往復運動に切り換えられる。ピストン４２の一側端部には切取部（ｃｕｔｏｕｔ ｐｏｒｔｉｏｎ）５４が形成されており、切取部５４は、ピストン４２が下死点に位置した時、斜板２８の表面とピストン４２のボディー４４とが互いに接触するのを防止するためのものである。
【０００８】
続いて、図２を参照して、駆動軸を軸方向に支持する支持手段５６の構成について考察する。
支持手段５６は、シリンダーブロック２のセンターボア４内に位置して駆動軸２０の一端部に結合されるスラストベアリング５８の一側面に密接に結合され、駆動軸２０と共に回転する駆動レース６０と、スラストベアリング５８の他側面に密接に結合され、駆動軸２０の回転に係わらず固定状態を保持する固定レース６２とを有している。合わせて、スラストベアリング５８を含む両レース６０、６２を軸方向に付勢することにより、駆動軸２０を支持する弾性部材６４を有している。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
前記した構造を有する圧縮機において、駆動レース６０は駆動軸２０と共に回転しなければならないので、その内径ｄ１と駆動軸２０の外径ｄ２とが略等しくなければならない。固定レース６２はセンターボア４内で固定状態を保持しなければならないので、その外径Ｄ３がセンターボア４の口径ｄ４と略等しくなければならない。
しかし、従来の各レースは、固定レース６２の内径ｄ３と駆動軸２０の外径ｄ２との間の間隙Ｌｒ１が固定レース６２の外径Ｄ３とセンターボア面４ａとの間の間隙Ｌｒ２より小さくて、図３に示したように、固定レース６２の組立の際、最大λだけ偏心状態に組立てられることがあるので、固定レース６６の内周面と駆動軸２０の外周面との接触ｃによる摩擦熱が生じて圧縮機の耐久性が低下する問題が生じ、前記接触部に微細磨耗粒子が発生して、冷媒の流れを妨げて冷房性能を低下させる要因となる。
【００１０】
従って、本発明は、従来の圧縮機から生じる前述の問題を解決するための固定及び駆動レースを有する可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、摩擦騒音を減らすための設計要件を有する可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造を提供することにある。
本発明のその他の目的は、各レースの組立方向を提示する可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造を提供することにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、センターボアの周辺に複数のシンリンダーボアが放射状に配列されて形成されたシリンダーブロックと、前記シリンダーブロックの前・後方に密封されて結合された前・後方ハウジングと、前記前方ハウジングとシリンダーブロックにより支持された駆動軸と、前記前方ハウジングとシリンダーブロックにより形成されるクランク室に位置して駆動軸に結合された回転体と、前記回転体とヒンジ結合され、回転体及び駆動軸と共に回転して容量により回転角が可変される斜板と、前記斜板と連結されシンリンダ−ボアに供給される冷媒を圧縮するピストンと、前記駆動軸の一側端部に結合されたスラストベアリングとその両側に位置する回転及び固定レースと、前記駆動軸を軸方向に支持して駆動軸の軸方向の移動を防止する弾性部材とを含む可変容量斜板式圧縮機であって、前記固定レース８２の内径ｄ３と駆動軸２０の外径ｄ２との間隙Ｌｒ１を固定レース８２の外径Ｄ３とセンターボア面４ａとの間隙Ｌｒ２より大きくした次式、Ｌｒ１ ＞ Ｌｒ２を満たすことを特徴とする。
【００１２】
また、前記駆動レース８０の内径ｄ１と駆動軸２０の外径ｄ２との間隙Ｌｆ１を駆動レース８０の外径Ｄ１とセンターボア面４ａとの間隙Ｌｆ２より小さくした次式、Ｌｆ２ ＞ Ｌｆ１を満たすことを特徴とする。
【００１３】
また、前記駆動レース８０の内径Ｄ１を前記固定レース８２の外径Ｄ３より小さくするとともに、駆動レース８０の内径ｄ１を固定レース８２の内径ｄ３より小さくした次式、Ｄ１ ＜ Ｄ３、ｄ１ ＜ ｄ３を満たすことを特徴とする。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図４は、本発明に係る一実施の形態による圧縮機の構成図であって、各レースの内・外径及びセンターボア、駆動軸外径間の相関関係を具体的に改善した可変容量斜板式圧縮機の縦断面図である。従って、図４は、図１に示す従来の構成と同じ部分の符号を省略している。
【００１５】
本発明に係る可変容量斜板式圧縮機は、通常の構成のように、スラストベアリング５８の両側に回転及び固定レース８０、８２が密着して組立てられている。図４において、左側に位置する駆動レース８０は圧縮機の駆動軸２０と共に回転し、右側に位置する固定レース８２は、弾性部材６４の端部に密着されて駆動軸２０及びスラストベアリング６２を同時に支持している。
但し、本発明では、駆動レース８０は駆動軸２０と共に回転し、固定レース８２はセンターボア４内に固定されなければならないので、固定レース８２、駆動レース８０の内・外径と駆動軸２０の外径、駆動軸２０が挿入されるセンターボア４の口径ｄ４間の相関関係に変化を与えている。
【００１６】
図５に示すように、駆動レース８０の内径ｄ１は、駆動軸２０に固定されるように駆動軸２０の外径ｄ２と略等しい寸法となる。
固定レース８２の内径ｄ３は、駆動軸２０の外周面に接触しないように駆動軸２０の外径ｄ２に比べて大きく形成されている。従って、駆動レース８０の内径ｄ１に比べて固定レース８２の内径ｄ３が大きい（ｄ１＜ｄ３）。
【００１７】
また、図６に示すように、駆動レース８０及び固定レース８２の内・外径とセンターボア４及び駆動軸２０の外径間の相関関係は、次の条件を満たさなければならない。駆動軸２０の外径ｄ２と固定レース８２との内径ｄ３間の間隙をＬｒ１とし、固定レース８２の外径Ｄ３とセンターボア面４ａ間の間隙をＬｒ２とし、駆動軸２０の外径ｄ２と駆動レース８０の内径ｄ１間の間隙をＬｆ１とし、前記駆動レース８０の外径Ｄ１とセンターボア面４ａ間の間隙をＬｆ２とするとき、これらの相関関係はＬｒ１ ＞ Ｌｒ２、Ｌｆ２ ＞ Ｌｆ１となる。
【００１８】
従って、固定レース８２は駆動軸２０と接触せず、駆動軸２０の円滑な回転が可能であり、駆動レース８０はセンターボア面４ａと接触しないで、自分の円滑な回転が可能になる。また、共通的に摩擦負荷が生じないので、圧縮機の寿命を延長することができ、騒音の発生を抑えられる良好な条件が確保できる。
【００１９】
次に、各レース８０、８２の組立手順について考察する。
駆動軸２０の内側から外側に向かって駆動レース８０、スラストベアリング５８、固定レース８２の順に組立てられるが、その際、駆動レース８０と固定レース８２とはその形態が類似しているので駆動レース８０と固定レース８２との組立てを逆に行う誤組立が生じることもある。従って、両レースの外径を肉眼で織別可能に大きさに差を付けることが望ましい。
このために、駆動レース８０の外径Ｄ１と固定レース８２の外径Ｄ３の中、いずれかを大きくするか、小さくする方法があるが、駆動レース８０の外径Ｄ１より固定レース８２の外径Ｄ３をもっと大きくする方が望ましい（Ｄ１＜Ｄ３）。
【００２０】
従って、各レースを駆動軸２０上に組立てる時、両レース間の外径差が肉眼で区別され、正しい組立方向が提示されるので、誤組立を防止することができる。
例えば、外径が駆動レース８０に比べて相対的に小さい固定レース８２を駆動軸２０に組立てればよい。
【００２１】
本発明は、図面に示している一実施の形態を参考にして説明したが、これは例示に過ぎないのであり、斜板式圧縮機のみならず、可変容量圧縮機、スクロール式圧縮機等にも適用することができる。
【００２２】
【発明の効果】
以上のような本発明の可変容量斜板式圧縮機は、固定レースが駆動軸に接触しないので、駆動軸の円滑な回転が可能であり、摩擦抵抗要素を除去することにより圧縮機の寿命を延長させることができる。
また、両レースの外径の大きさが異なり肉眼で識別可能であるので、組立方向を正確に判断することができ、組立を便利かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来の一般的な可変容量斜板式圧縮機の構成図である。
【図２】図１のＡ部詳細図である。
【図３】従来の可変容量斜板式圧縮機の問題点を説明するためのイメージ図である。
【図４】本発明に係る一実施の形態による可変容量斜板式圧縮機の構成図である。
【図５】図４のＢ部詳細図である。
【図６】図５の要部詳細図である。
【符号の説明】
４ センターボア
４ａ センターボア面
２０ 駆動軸
５８ 弾性部材
６４ スラストベアリング
８０ 駆動レース
８２ 固定レース
ｄ１ 駆動レースの内径
Ｄ１ 駆動レースの外径
Ｄ２ 駆動軸の外径
ｄ３ 固定レースの内径
Ｄ３ 固定レースの外径
Ｌｆ１ 駆動軸の外径と駆動レースの内径との間隙
Ｌｆ２ 駆動レースの外径とセンターボア面との間隙
Ｌｒ１ 駆動軸の外径と固定レースの内径との間隙
Ｌｒ２ 駆動レースの外径とセンターボア面との間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用空気調和装置に適用される可変容量式圧縮機に関し、特に可変容量斜板式圧縮機の駆動軸を軸方向に支持するスラストベアリング支持構造において、固定レースと駆動レースとの間の内外径、両レースとシンリンダ−とのセンターボア及び駆動軸の外径の大きさ毎の相関関係を具体化した可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
可変容量斜板式圧縮機（ｖａｒｉａｂｌｅ ｄｉｓｐｌａｃｅｍｅｎｔ ｓｗａｓｈ ｐｌａｔｅ ｔｙｐｅ ｃｏｍｐｒｅｓｓｏｒ）は、斜板の傾斜角によりピストンストローク（ｐｉｓｔｏｎ ｓｔｒｏｋｅ）を増加、または、減少させて、吐出される流体の流量を制御する圧縮機である。
かかる従来の可変容量斜板式圧縮機について、図１を参照し、その構成及び作用を説明する。
可変斜板式圧縮機１は、センターボア４とその周辺に放射状に形成された多数のシリンダーボア（ｃｙｌｉｎｄｅｒ ｂｏｒｅ）６を有するシリンダーブロック２有し、シリンダーブロック２の両側は、前方ハウジング８と後方ハウジング１０とにより密閉されている。
【０００３】
シリンダーブロック２と前方ハウジング８との間には気密状態のくランク室１２が設けられており、シリンダーブロック２の後端部と後方ハウジング１０との間にはバルブプレート１４が配設され、後方ハウジング１０には冷媒ガスの流出入のための流出口及び流入口、吸入室１６及び吐出室１８が各々形成されている。吸入室１６及び吐出室１８は、各々吸入及び吐出バルブ機構を介して個々のシリンダーボア６と冷媒の疎通がなされる。
【０００４】
駆動軸２０は、前方ハウジング８を経てシリンダーブロック２まで延長して中心部に配置され、また、前方ハウジング８及びシリンダーブロック２に装着されたラジアルベアリング２２、２２により回転可能に支持され、シリンダーボア６に挿入された駆動軸２０の一側端部は支持手段により軸方向に支持され、駆動軸の軸方向移動が防止されている。
【０００５】
シリンダーブロック２と前後方ハウジング８、１０は、貫通ボルト２４により結合されている。クランク室１２内には、回転体（ｒｏｔｏｒ）２６が駆動軸２０と共に回転可能に駆動軸２０に装着され、また、回転体２６は、駆動軸２０と共に回転されるようにクランク室１２を貫く駆動軸２０に固定されて装着されている。斜板（ｓｗａｓｈ ｐｌａｔｅ）２８は、駆動軸２０に回転可能に支持され、駆動軸２０と斜板２８との間には、球形スリーブ（ｓｐｈｅｒｉｃａｌ ｓｌｅｅｖｅ）が介在することがあり、その場合、斜板２８は、球形スリーブの外部支持面に回転可能に支持されている。
【０００６】
図１において、斜板２８は最大傾斜角の位置にあり、その際、スプリング３０は最大に圧縮された状態であり、突出部３２のストップ面（ｓｔｏｐ ｓｕｒｆａｃｅ）３２ａは回転体２６と接触するので、斜板２８の傾斜角は回転体２６により制限される。また、駆動軸２０にはストッパ３４が設けられ、斜板２８の最小傾斜角が制限される。
そして、斜板２８と回転体２６とは、ヒンジ機構により連結され、共に回転する。即ち、支持アーム３６が回転体２６の一側面から軸に沿って外周方向に突出し、アーム３８は、斜板３４の一表面から回転体２６の支持アーム３６側に突出している。支持アーム３６とアーム３８は、ピン４０により互いに連結されている。
【０００７】
個々のシリンダーボア６には、ピストン４２がスライド可能に配置され、各々のピストン４２は、シリンダーボア６内にスライド可能に配置されたボディー４４とブリッジ部４６を有する。ピストン４２のブリッジ部４６には、リセス（ｒｅｃｅｓｓ）４８が形成され、リセス４８には斜板２８の外周部分が位置している。半球型シュー５０は、ピストン４２のブリッジ部４６に形成されたシューポケット（ｓｈｏｅ ｐｏｃｋｅｔ）５２に配置され、斜板２８の外周部分の両面とスライド可能に噛合っている。従って、駆動軸２０の回転により斜板２８も回転し、斜板２８の回転運動は、シュー５０を通じてピストン４２の往復運動に切り換えられる。ピストン４２の一側端部には切取部（ｃｕｔｏｕｔ ｐｏｒｔｉｏｎ）５４が形成されており、切取部５４は、ピストン４２が下死点に位置した時、斜板２８の表面とピストン４２のボディー４４とが互いに接触するのを防止するためのものである。
【０００８】
続いて、図２を参照して、駆動軸を軸方向に支持する支持手段５６の構成について考察する。
支持手段５６は、シリンダーブロック２のセンターボア４内に位置して駆動軸２０の一端部に結合されるスラストベアリング５８の一側面に密接に結合され、駆動軸２０と共に回転する駆動レース６０と、スラストベアリング５８の他側面に密接に結合され、駆動軸２０の回転に係わらず固定状態を保持する固定レース６２とを有している。合わせて、スラストベアリング５８を含む両レース６０、６２を軸方向に付勢することにより、駆動軸２０を支持する弾性部材６４を有している。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
前記した構造を有する圧縮機において、駆動レース６０は駆動軸２０と共に回転しなければならないので、その内径ｄ１と駆動軸２０の外径ｄ２とが略等しくなければならない。固定レース６２はセンターボア４内で固定状態を保持しなければならないので、その外径Ｄ３がセンターボア４の口径ｄ４と略等しくなければならない。
しかし、従来の各レースは、固定レース６２の内径ｄ３と駆動軸２０の外径ｄ２との間の間隙Ｌｒ１が固定レース６２の外径Ｄ３とセンターボア面４ａとの間の間隙Ｌｒ２より小さくて、図３に示したように、固定レース６２の組立の際、最大λだけ偏心状態に組立てられることがあるので、固定レース６６の内周面と駆動軸２０の外周面との接触ｃによる摩擦熱が生じて圧縮機の耐久性が低下する問題が生じ、前記接触部に微細磨耗粒子が発生して、冷媒の流れを妨げて冷房性能を低下させる要因となる。
【００１０】
従って、本発明は、従来の圧縮機から生じる前述の問題を解決するための固定及び駆動レースを有する可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、摩擦騒音を減らすための設計要件を有する可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造を提供することにある。
本発明のその他の目的は、各レースの組立方向を提示する可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造を提供することにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、センターボアの周辺に複数のシンリンダーボアが放射状に配列されて形成されたシリンダーブロックと、前記シリンダーブロックの前・後方に密封されて結合された前・後方ハウジングと、前記前方ハウジングとシリンダーブロックにより支持された駆動軸と、前記前方ハウジングとシリンダーブロックにより形成されるクランク室に位置して駆動軸に結合された回転体と、前記回転体とヒンジ結合され、回転体及び駆動軸と共に回転して容量により回転角が可変される斜板と、前記斜板と連結されシンリンダ−ボアに供給される冷媒を圧縮するピストンと、前記駆動軸の一側端部に結合されたスラストベアリングとその両側に位置する回転及び固定レースと、前記駆動軸を軸方向に支持して駆動軸の軸方向の移動を防止する弾性部材とを含む可変容量斜板式圧縮機であって、前記固定レース８２の内径ｄ３と駆動軸２０の外径ｄ２との間隙Ｌｒ１を固定レース８２の外径Ｄ３とセンターボア面４ａとの間隙Ｌｒ２より大きくした次式、Ｌｒ１ ＞ Ｌｒ２を満たすことを特徴とする。
【００１２】
また、前記駆動レース８０の内径ｄ１と駆動軸２０の外径ｄ２との間隙Ｌｆ１を駆動レース８０の外径Ｄ１とセンターボア面４ａとの間隙Ｌｆ２より小さくした次式、Ｌｆ２ ＞ Ｌｆ１を満たすことを特徴とする。
【００１３】
また、前記駆動レース８０の内径Ｄ１を前記固定レース８２の外径Ｄ３より小さくするとともに、駆動レース８０の内径ｄ１を固定レース８２の内径ｄ３より小さくした次式、Ｄ１ ＜ Ｄ３、ｄ１ ＜ ｄ３を満たすことを特徴とする。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図４は、本発明に係る一実施の形態による圧縮機の構成図であって、各レースの内・外径及びセンターボア、駆動軸外径間の相関関係を具体的に改善した可変容量斜板式圧縮機の縦断面図である。従って、図４は、図１に示す従来の構成と同じ部分の符号を省略している。
【００１５】
本発明に係る可変容量斜板式圧縮機は、通常の構成のように、スラストベアリング５８の両側に回転及び固定レース８０、８２が密着して組立てられている。図４において、左側に位置する駆動レース８０は圧縮機の駆動軸２０と共に回転し、右側に位置する固定レース８２は、弾性部材６４の端部に密着されて駆動軸２０及びスラストベアリング６２を同時に支持している。
但し、本発明では、駆動レース８０は駆動軸２０と共に回転し、固定レース８２はセンターボア４内に固定されなければならないので、固定レース８２、駆動レース８０の内・外径と駆動軸２０の外径、駆動軸２０が挿入されるセンターボア４の口径ｄ４間の相関関係に変化を与えている。
【００１６】
図５に示すように、駆動レース８０の内径ｄ１は、駆動軸２０に固定されるように駆動軸２０の外径ｄ２と略等しい寸法となる。
固定レース８２の内径ｄ３は、駆動軸２０の外周面に接触しないように駆動軸２０の外径ｄ２に比べて大きく形成されている。従って、駆動レース８０の内径ｄ１に比べて固定レース８２の内径ｄ３が大きい（ｄ１＜ｄ３）。
【００１７】
また、図６に示すように、駆動レース８０及び固定レース８２の内・外径とセンターボア４及び駆動軸２０の外径間の相関関係は、次の条件を満たさなければならない。駆動軸２０の外径ｄ２と固定レース８２との内径ｄ３間の間隙をＬｒ１とし、固定レース８２の外径Ｄ３とセンターボア面４ａ間の間隙をＬｒ２とし、駆動軸２０の外径ｄ２と駆動レース８０の内径ｄ１間の間隙をＬｆ１とし、前記駆動レース８０の外径Ｄ１とセンターボア面４ａ間の間隙をＬｆ２とするとき、これらの相関関係はＬｒ１ ＞ Ｌｒ２、Ｌｆ２ ＞ Ｌｆ１となる。
【００１８】
従って、固定レース８２は駆動軸２０と接触せず、駆動軸２０の円滑な回転が可能であり、駆動レース８０はセンターボア面４ａと接触しないで、自分の円滑な回転が可能になる。また、共通的に摩擦負荷が生じないので、圧縮機の寿命を延長することができ、騒音の発生を抑えられる良好な条件が確保できる。
【００１９】
次に、各レース８０、８２の組立手順について考察する。
駆動軸２０の内側から外側に向かって駆動レース８０、スラストベアリング５８、固定レース８２の順に組立てられるが、その際、駆動レース８０と固定レース８２とはその形態が類似しているので駆動レース８０と固定レース８２との組立てを逆に行う誤組立が生じることもある。従って、両レースの外径を肉眼で織別可能に大きさに差を付けることが望ましい。
このために、駆動レース８０の外径Ｄ１と固定レース８２の外径Ｄ３の中、いずれかを大きくするか、小さくする方法があるが、駆動レース８０の外径Ｄ１より固定レース８２の外径Ｄ３をもっと大きくする方が望ましい（Ｄ１＜Ｄ３）。
【００２０】
従って、各レースを駆動軸２０上に組立てる時、両レース間の外径差が肉眼で区別され、正しい組立方向が提示されるので、誤組立を防止することができる。
例えば、外径が駆動レース８０に比べて相対的に小さい固定レース８２を駆動軸２０に組立てればよい。
【００２１】
本発明は、図面に示している一実施の形態を参考にして説明したが、これは例示に過ぎないのであり、斜板式圧縮機のみならず、可変容量圧縮機、スクロール式圧縮機等にも適用することができる。
【００２２】
【発明の効果】
以上のような本発明の可変容量斜板式圧縮機は、固定レースが駆動軸に接触しないので、駆動軸の円滑な回転が可能であり、摩擦抵抗要素を除去することにより圧縮機の寿命を延長させることができる。
また、両レースの外径の大きさが異なり肉眼で識別可能であるので、組立方向を正確に判断することができ、組立を便利かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来の一般的な可変容量斜板式圧縮機の構成図である。
【図２】図１のＡ部詳細図である。
【図３】従来の可変容量斜板式圧縮機の問題点を説明するためのイメージ図である。
【図４】本発明に係る一実施の形態による可変容量斜板式圧縮機の構成図である。
【図５】図４のＢ部詳細図である。
【図６】図５の要部詳細図である。
【符号の説明】
４ センターボア
４ａ センターボア面
２０ 駆動軸
５８ 弾性部材
６４ スラストベアリング
８０ 駆動レース
８２ 固定レース
ｄ１ 駆動レースの内径
Ｄ１ 駆動レースの外径
Ｄ２ 駆動軸の外径
ｄ３ 固定レースの内径
Ｄ３ 固定レースの外径
Ｌｆ１ 駆動軸の外径と駆動レースの内径との間隙
Ｌｆ２ 駆動レースの外径とセンターボア面との間隙
Ｌｒ１ 駆動軸の外径と固定レースの内径との間隙
Ｌｒ２ 駆動レースの外径とセンターボア面との間隙
Claims (3)
- センターボアの周辺に複数のシンリンダーボアが放射状に配列されて形成されたシリンダーブロックと、前記シリンダーブロックの前・後方に密封されて結合された前・後方ハウジングと、前記前方ハウジングとシリンダーブロックにより支持された駆動軸と、前記前方ハウジングとシリンダーブロックにより形成されるクランク室に位置して駆動軸に結合された回転体と、前記回転体とヒンジ結合され、回転体及び駆動軸と共に回転して容量により回転角が可変される斜板と、前記斜板と連結されシンリンダ−ボアに供給される冷媒を圧縮するピストンと、前記駆動軸の一側端部に結合されたスラストベアリングとその両側に位置する回転及び固定レースと、前記駆動軸を軸方向に支持して駆動軸の軸方向の移動を防止する弾性部材とを含む可変容量斜板式圧縮機であって、
前記固定レース８２の内径ｄ３と駆動軸２０の外径ｄ２との間隙Ｌｒ１を固定レース８２の外径Ｄ３とセンターボア面４ａとの間隙Ｌｒ２より大きくした次式、
Ｌｒ１ ＞ Ｌｒ２
を満たすことを特徴とする可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造。 - 前記駆動レース８０の内径ｄ１と駆動軸２０の外径ｄ２との間隙Ｌｆ１を駆動レース８０の外径Ｄ１とセンターボア面４ａとの間隙Ｌｆ２より小さくした次式、
Ｌｆ２ ＞ Ｌｆ１
を満たすことを特徴とする請求項１記載の可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造。 - 前記駆動レース８０の内径Ｄ１を前記固定レース８２の外径Ｄ３より小さくするとともに、駆動レース８０の内径ｄ１を固定レース８２の内径ｄ３より小さくした次式、
Ｄ１ ＜ Ｄ３、ｄ１ ＜ ｄ３
を満たすことを特徴とする請求項１記載の可変容量斜板式圧縮機の駆動軸支持用スラストベアリング支持構造。
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