JP3728334B2 - 新規トリプトファン誘導体およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規トリプトファン誘導体、さらに詳しくは、ヒト副甲状腺ホルモン(PTH)や黄体刺激ホルモン分泌ホルモン(LH−RH)などのトリプトファン含有ペプチドまたはそれらの部分フラグメント等の合成原料として有用な後記一般式(1)で示される新規トリプトファン誘導体ならびにその塩およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ペプチドの合成に際しては、原料となるアミノ酸における反応に関与しないアミノ基やカルボキシル基を一時的に保護しておく必要があるが、トリプトファン含有ペプチドの合成に際し、そのトリプトファンのα−アミノ基の一時的保護基としてtert−ブトキシカルボニル基(以下、BOC基と略す)を適用する場合、トリプトファン側鎖官能基であるインドール核の窒素にも保護基を導入しておく必要がある。それは、ペプチド合成の中間段階においてトリフルオロ酢酸やHCl/ジオキサン等を用いた脱BOC基処理の際、BOC基由来のカチオンによるインドール核のtert−ブチル化および使用した酸によるインドール核の2量化を避けるためである。この目的には、従来ホルミル基がトリプトファン側鎖保護基として用いられているが、このホルミル基を使用した場合、その最終脱保護条件には、炭酸水素アンモニウムや水酸化ナトリウム等の塩基処理を除けば、適当なチオール系スカベンジャー(例えばメルカプトエタノール)の存在下にHF、メタンスルホン酸やトリフルオロメタンスルホン酸等の強酸処理が適用されている。ホルミル基の脱離には、その反応機構からチオールの添加が原理的に不可欠とされている。すなわち、ホルミル基をインドール核に導入したトリプトファンを用いてペプチドを合成した場合、最終的にその保護基を除去するためにチオール系スカベンジャーの使用は不可避である。しかし、これらのチオール系スカベンジャーは甚だしい悪臭を有しており、その悪臭の故に最終脱保護操作、それに続く精製段階にまで種々操作上の制約を受ける。また、ホルミル基以外の保護基として2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホニル(Mtb)基や4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)基も知られているが、これらの保護基の場合にも、最終的にはチオール系スカベンジャーの使用を避けることはできない。
【0003】
このようなN保護基として用い得ることが知られている既存の保護基のうちで唯一ベンジルオキシカルボニル(Z)基およびそのベンゼン環にニトロ基やアルコキシ基等が置換した各種置換体が、チオール系スカベンジャーを添加することなく強酸処理で脱離し得ることが知られている。しかしながら、このZ基またはその置換体は、ペプチド中間体の合成段階で反応性基の保護基を選択的に脱離させるためのトリフルオロ酢酸処理、HCl/ジオキサン処理、さらにジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基処理に対して不安定であり、特に固相合成法での使用は不適合である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情にかんがみ、本発明者らは、一次構造中にトリプトファンを含有する各種ペプチド類およびそれらのフラグメントを固相法または液相法によって合成する際に用いられるトリプトファン、ことにBOC−トリプトファンの側鎖保護基、すなわちインドール核のN保護基として、ペプチド合成中間段階で用いられる種々の処理条件に安定で、かつ最終脱保護基の際の強酸処理時にチオール系スカベンジャーの添加を必要としないような保護基を見い出すべく種々研究を行った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、特定のシクロアルキルオキシカルボニル基が前記の種々の要件を満たす優れた保護基であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次式
【化6】
(式中、nは0、1または2を表す)
で示されるトリプトファン誘導体およびその塩を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の新規トリプトファン誘導体(1)におけるインドール核上のN保護基であるシクロアルキルオキシカルボニル基としては、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニルおよびシクロヘプチルオキシカルボニルが含まれるが、ペプチド合成途上でのBOC保護基の脱離のためのトルフルオロ酢酸処理、HCl/ジオキサン処理などに対する高安定性および最終保護基脱離処理であるフッ化水素などの強酸処理の容易性などの観点からシクロヘキシルオキシカルボニルが最も好ましい。
本発明のトリプトファン誘導体の塩としては、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン等の塩が含まれる。
【0007】
本発明のトリプトファン誘導体(1)およびその塩は、例えば下記反応工程式で示される方法によって合成することができる。
【化7】
(式中、BOCはt−ブトキシカルボニル基、Bzlはベンジル基、Pacはフェナシル基、TBAHSはテトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロゲンスルホニウムを表し、nは0、1または2を表す)
【0008】
上記反応工程式にしたがって本発明のトリプトファン誘導体(1)の製法を説明する。
(a)工程a
まず、BOC−トリプトファン(BOC−Trp)(2)を常法によりエステル化して、次式
【化8】
(式中、Rは低級アルキル、アラルキル、アシルアルキル等のエステル残基を表す)
で示されるBOC−トリプトファンエステル(2')に導く。例えば、該化合物(2)にハロゲン化ベンジルやハロゲン化フェナシルなどのエステル化剤を作用させて、トリプトファンのカルボキシル基をエステル化する。この反応は、通常、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミンなどの塩基の存在下に、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)等の適当な有機溶媒中で、氷冷下または室温にて数〜十数時間撹拌下に行われる。生成するBOC−トリプトファンエステル体(3)または(4)を単離して次の反応に供する。
【0009】
(b)工程b
一方、シクロアルキルアルコール(5)にホスゲンを反応させてシクロアルキルオキシカルボニルクロリド(6)を合成する。この反応は通常ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適当な有機溶媒中、室温〜加温下に数〜十数時間撹拌して行われる。
【0010】
(c)工程c
上記工程aで得られるBOC−トリプトファンエステル(3)または(4)に上記工程bで得られるシクロアルキルオキシカルボニルクロリド(6)を反応させて、それぞれNin−シクロアルキルオキシカルボニル−BOC−トリプトファンエステル(7)または(8)を得る。この反応は、通常、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロゲンスルホニウム(TBAHS)等の触媒および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリの存在下に氷冷〜室温にて撹拌下に行われる。
【0011】
(d)工程dまたはe
上記の方法で得られた化合物(7)または(8)を常法により脱エルテル化して目的とするトリプトファン誘導体(1)に導く。
この脱エルテル化は、エステルの種類に応じて最も適した条件が採用される。例えば化合物(7)におけるようなベンジルエステルではPd−cのような接触還元触媒の存在下水素添加する方法が採用され、また化合物(8)におけるようなフェナシルエステルでは亜鉛等の触媒の存在下酢酸を作用させる。これらの脱エステル化処理は、いずれも、当該ペプチド合成分野において公知の方法である。
【0012】
【発明の効果】
本発明のトリプトファン誘導体はトリプトファン含有ペプチド類またはそのフラグメントの合成に有用な物質であり、それらペプチド類またはフラグメントの合成中間段階で行われる脱保護基処理、例えばトルフルオロ酢酸処理やHCl/ジオキサン処理などの際にも、トリプトファン側鎖保護基であるシクロアルキルオキシカルボニル基は安定に保持されており、しかも目的のペプチド類またはそれらのフラグメントから該シクロアルキルオキシカルボニル保護基を最終的に脱離させる強酸処理においてもチオール系スカベンジャーの存在なしに容易に除去することができる。すなわち、本発明のNin−シクロアルキルオキシカルボニル−トリプトファンが結合されたペプチドを、フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の強酸で処理することにより容易にそのNin−シクロアルキルオキシカルボニル基は脱離される。
【0013】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0014】
実施例1
(a)Nα−BOC−トリプトファンベンジルエステル(3)の合成(工程a)
Nα−BOC−トリプトファン(2)(152.2g、0.5mol)を含水エタノール(500ml)に溶解し、炭酸セシウム(89.6g、0.275mol)を添加する。溶媒を留去し、残渣にトルエンを加え、フラッシュしたのち、DMF(700ml)に溶かし、氷冷撹拌下にベンジルブロミド(62.3ml、0.525mol)を滴下する。終夜、室温で撹拌後、反応液を酢酸エチル(1000ml)に注ぎ、水、5%炭酸水素ナトリウム水、水、N−塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄する。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧下に留去し、油状物を得る。これにヘキサンを加え結晶化し標記化合物(3)170.7g(収率86.5%)を得る。
【0015】
(b)シクロヘキシルオキシカルボニルクロリド(6)の合成(工程b)
ベンゼン(150ml)に活性炭(5g)を添加した後、ジホスゲン(119g、0.6mol)を室温で滴下する。さらに室温で1時間撹拌した後、シクロヘキサノール(5)(100g、1.0mol)を滴下する。反応温度が35℃に上昇し、塩化水素の放出が始まる。その反応液を室温で終夜撹拌し、窒素ガスを通じた後活性炭を濾去し、減圧下に塩化水素および過剰のホスゲンを除いて液状の標記化合物(6)162gを定量的に得る。
【0016】
(c)Nα−BOC−Nin−シクロヘキシルオキシカルボニルトリプトファンベンジルエステル(7)の合成(工程c)
上記工程aで得られた化合物(3)(1.97g、5.0mmol)のジクロロメタン溶液(10ml)に、粉砕した水酸化ナトリウム(0.5g、12.5mmol)およびテトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロゲンスルホニウム(20mg、0.05mmol)を加えて懸濁させ、氷冷撹拌下に工程bで得られた化合物(6)(1.3g、7.5mmol)を添加する。その混合物を30分間撹拌した後、反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水、水、N−塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄する。ジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧下に留去し、固体の標記化合物(7)2.4g(収率94%)を得る。
【0017】
(d)Nα−BOC−Nin−シクロヘキシルオキシカルボニルトリプトファン(1)の合成(工程d)
上記工程cで得られた化合物(7)(2.4g、4.7mol)をエタノール(10ml)に溶かし、これに5%パラジウム炭素(0.5g)を触媒として水素ガスを通じる。30分後触媒を濾去し、エタノールを留去し、得られる固体残渣を酢酸エチル/ヘキサンより再結晶して標記目的化合物(1)1.8g(収率91%)を得る。
元素分析値:C23H30N2O6として
計算値 C,64.17;H,7.02;N,6.51%
実測値 C,64.02;H,7.19;N,6.66%
【0018】
実施例2
(a)Nα−BOC−トリプトファンフェナシルエステル(4)の合成
Nα−BOC−トリプトファン(2)(10.0g、35mmol)を含水エタノール(30ml)に溶解し、炭酸セシウム(5.70g、17.5mmol)を添加する。溶媒を留去し、残渣にトルエンを加えフラッシュした後、DMF(50ml)に溶かし、氷冷撹拌下にフェナシルブロミド(7.31g、36.8mmol)を添加する。終夜、室温で撹拌する。反応液を酢酸エチル(100ml)に注ぎ、水、5%炭酸水素ナトリウム水、水、N−塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄する。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧下に留去し、油状物を得る。これにヘキサンを加え結晶化し標記化合物13.4g(収率91.0%)を得る。
(b)Nα−BOC−Nin−シクロヘキシルオキシカルボニルトリプトファンフェナシルエステル(8)の合成
前記実施例1(c)の方法において、化合物(3)の代わりに上記(a)で得られた化合物(4)(2.11g、5.0mmol)を用いて同様に処理して標記化合物(8)2.46g(収率90%)を得る。
(c)Nα−BOC−Nin−シクロヘキシルオキシカルボニルトリプトファン(1)の合成(工程e)
上記化合物(8)(2.4g、4.4mmol)を酢酸(10ml)に溶かし、これに亜鉛粉末(1g)を加える。反応液を40℃に加温しながら撹拌する。30分後触媒を瀘去し、酢酸を留去し、得られた油状残渣に0.1N−塩酸を加え析出した固体を瀘取する。水で洗浄した後乾燥し、この固体を酢酸エチル/ヘキサンより再結晶して標記目的化合物(1)1.67g(収率88%)を得る。
【0019】
実施例3
(a)シクロペンチルオキシカルボニルクロリドの合成
前記実施例1(b)の方法において、シクロヘキサノールの代わりにシクロペンタノール(17.2g、0.2mol)を用いて同様に反応させて標記化合物を得る。
(b)Nα−BOC−Nin−シクロペンチルオキシカルボニルトリプトファンベンジルエステルの合成
前記実施例1(c)の方法において、シクロヘキシルオキシカルボニルクロリド(6)の代わりに上記(a)で得られたシクロペンチルオキシカルボニルクロリド(5.6g、38mmol)を用いて同様に反応させて、標記化合物10.2g(収率75.3%)を得る。
(c)Nα−BOC−Nin−シクロペンチルオキシカルボニルトリプトファンの合成
前記実施例1(d)の方法において、化合物(7)の代わりに、上記(b)で得られたNα−BOC−Nin−シクロペンチルオキシカルボニルトリプトファンベンジルエステルを用いて同様に処理して、標記化合物1.6gを得る。
融点:152−156℃
元素分析値:C22H28N2O6として
計算値 C,63.45;H,6.78;N,6.73%
実測値 C,63.05;H,6.92;N,6.70%
【0020】
実施例4
(a)シクロヘプチルオキシカルボニルクロリドの合成
前記実施例1(b)の方法において、シクロヘキサノールの代わりにシクロヘプタノール(22.8g、10.2mol)を用いて同様に反応させて標記化合物を得る。
(b)Nα−BOC−Nin−シクロヘプチルオキシカルボニルトリプトファンベンジルエステルの合成
前記実施例1(c)の方法において、シクロヘキシルオキシカルボニルクロリド(6)の代わりに上記(a)で得られたシクロヘプチルオキシカルボニルクロリド(6.7g、38mmol)を用いて同様に反応させて、標記化合物10.0g(収率70.5%)を得る。
(c)Nα−BOC−Nin−シクロヘプチルオキシカルボニルトリプトファンの合成
前記実施例1(d)の方法において、化合物(7)の代わりに、上記(b)で得られたNα−BOC−Nin−シクロヘプチルオキシカルボニルトリプトファンベンジルエステルを用いて同様に処理して、標記化合物1.2gを得る。
融点:90−94℃
元素分析値:C24H32N2O6として
計算値 C,64.85;H,7.26;N,6.30%
実測値 C,64.33;H,7.29;N,6.25%
【0021】
参考例1
次式
で示されるソマトスタチンの合成
(1)BOC−Cys(MeBzl)−メリフィールド樹脂への13位Serの導入
1)脱保護および中和
BOC−Cys(MeBzl)−メリフィールド樹脂(0.502mmol/g)0.996gをジクロロメタン(DCM)で洗浄する。この樹脂に、30%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液(溶媒:DCM)11mlを加え、3分間撹拌後瀘過する。さらに50%TFA溶液(溶媒:DCM)9mlを加え、16分間撹拌後瀘過して、BOC基を脱離させ、得られた樹脂を、下記の溶媒で順次処理し、各々の処理後に瀘過する。
ジクロロメタン(DMC) (5回、各3分)
5%ジイソプロピルエチルアミン/N−メチルピロリドン(DIEA/NMP)(1回、各4分)
N−メチルピロリドン(NMP) (6回、各5分)
【0022】
2)BOC−Ser(Bzl)−OBt活性エステルの調製
BOC−Ser(Bzl)2mmolを、N−メチルピロリドン(NMP)3.4mlに溶解後、これに1Mブタノール溶液(溶媒:NMP)2mlを加える。さらに1MDCC溶液(溶媒:NMP)2mlを加え、40−50分間反応させ、ブタノール活性エステルを生成させる。副生するジシクロヘキシルウレアを瀘別する。
【0023】
3)縮合反応およびアセチルキャッピング
2)で調製したBOC−Ser(Bzl)−OBt活性エステルのNMP溶液を1)で調製したCys(MeBzl)−メリフィールド樹脂に加え、室温で39分間反応させる。ジメチルスルホキシド/N−メチルピロリドン(DMSO/NMP)混合溶媒(80:20)2.8mlを加え、全体の溶媒比を15%DMSO/85%NMPとして16分間反応を続ける。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.33ml(3.8当量)を加え、さらに5分間反応させる。反応終了後、反応液を瀘去し、NMP7mlで洗浄する。次に、未反応のアミノ基をブロックする目的で、無水酢酸でアセチル化する。すなわち、5%DIEA/10%無水酢酸溶液(溶媒:NMP)10mlを加え、9分間反応し、得られた樹脂をDCM(4回、各20秒)で洗浄し、各々の処理後に瀘過する。
【0024】
(2)12から1位の各アミノ酸の導入
(1)と同様にして、BOC−Ser(Bzl)−Cys(MeBzl)−メリフィールド樹脂に、ソマトスタチンの12位から1位までの各構成アミノ酸に対応する保護アミノ酸を順次カップリングさせる。1位のアミノ酸、Boc−Ala、導入後、この樹脂ペプチドに30%TFA溶液(溶媒:DCM)11mlを加え、3分間撹拌後瀘過する。さらに50%TFA溶液(溶媒:DCM)9mlを加え、16分間撹拌後瀘過して、BOC基を脱離させ、得られた樹脂を、下記の溶媒で順次処理し、各々の処理後に瀘過する。
DCM (5回、各3分)
5%DIEA/NMP (1回、各4分)
NMP (6回、各5分)
DCM (4回、各20秒)
次に、本樹脂ペプチドを1昼夜減圧乾燥して乾燥樹脂ペプチド2.026g(収率91%)を得る。
【0025】
(3)HFによる全保護基の除去および樹脂からのペプチドの切断
乾燥した樹脂ペプチドの一部(0.89g、0.20mmol相当)を秤量し、HF分解用反応容器(ダイフロン製)に入れ、アニソール1.5mlを加える。撹拌子を入れた前記反応容器をHF分解装置(ペプチド研究所製)に取り付け、ドライアイス−メタノール浴中に置き、HF8.5mlを反応容器中に導入する。この混合物を食塩を添加した氷浴中において1時間、−5℃で撹拌する。減圧下にHFを留去し、2時間後、反応容器を取り外し、無水ジエチルエーテルを加えることによりペプチドを粉末化する。ペプチドおよび樹脂を瀘過し、無水ジエチルエーテルで洗浄する。50%酢酸水(10ml)で、脱保護されたペプチドを溶解し、この酢酸溶液を、塩交換の目的で予め酢酸型に置換したダウエックス1×2イオン交換樹脂カラムに通す。素通り画分に水を加えて酢酸濃度を約2Nに調製した後、凍結乾燥して還元型の粗ソマトスタチン304mg(収率93%)を得る。
【0026】
(4)合成ソマトスタチンの構造確認と純度検定
(3)で得られた還元型粗ソマトスタチンの溶液(1mg/100μlの50%酢酸)の一定量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。カラムはYMC−Pack ODS−A(ワイ・エム・シィ社製、φ4.6×150mm)を用い、溶離液はA液として0.1%TAF/水、B液として0.1%TAF/アセトニトリルを用い、アセトニトリル濃度10%から60%(B濃度が、10%から60%に相当)の直線勾配(30分間)の条件下に溶出させた。溶出したピークを220nmの吸収で検出した。分析に供した粗ペプチドの主ピークは16.6分に溶出され、標品の還元型ソマトスタチンと完全に一致した。また上記(1)(2)において、Nα−BOC−Nin−シクロヘキシルオキシカルボニルトリプトファンの代わりにNα−BOC−Nin−ホルミルトリプトファンを用いて同様に別途調製した樹脂ペプチドを、上記(3)においてHF/アニソール(容量比80:15、10ml)の代わりにHF/ブタンジチオール/p−クレゾール(容量比80:15:5、10ml)を用いて同様に処理して得た還元型ソマトスタチンも、やはり16.6分に溶出した。このときの純度(上記HPLCでの分析で得られた全てのピーク面積の総和に占める16.6分に溶出される主ピーク面積の割合)は、Nα−BOC−Nin−シクロヘキシルオキシカルボニルトリプトファンを適用した合成の場合、41%であり、一方Nα−BOC−Nin−ホルミルトリプトファンを適用した場合、39%であった。すなわち、インドール核のN保護基として、ペプチド中間段階で用いられる種々の処理条件に安定で、かつ最終脱保護基の強酸処理時にチオール系スカベンジャーの添加を必要としない保護基として、Nin−シクロヘキシルオキシカルボニル基は前記要因を満たす保護基である。
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JP22317895A JP3728334B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 新規トリプトファン誘導体およびその製造法 |
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