JP3726901B2 - 内燃機関の制御装置とスワール発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン、特に、運転状態に応じて燃焼室内にスワールを発生させ、希薄空燃比でも燃焼促進を図るようにしたリーンバーンエンジンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの燃焼室内にスワールを発生させ、燃焼性を向上させる技術が知られている。また、エンジンの低負荷時に希薄空燃比とすることにより、エンジンのポンピングロスを低減し、燃料消費率の向上を図ろうとする技術が知られている。
【0003】
これらを組み合わせて、エンジンの低負荷時には希薄混合気とし、かつ、スワールを発生させて、燃焼性を向上させて燃費低減を図る、いわゆるリーンバーンエンジンの技術は公知である。
【0004】
この方式においては、スワールを運転状態に合わせて最適な強さにする事が望ましい。具体的には、エンジンの低負荷時にはより高スワールとし、燃焼性の向上を図り、高負荷時にはスワールを弱めて多量の空気を吸入し、出力を向上するような構成が望まれる。これを実現するため、例えば、特開昭61−58921号公報では、2吸気弁式エンジンの一方を吸気制御弁を持つストレートポート、他方を吸気制御弁により開口するバイパス通路を備えたヘリカルポートとして構成している。この構成により、エンジンの低負荷時には、吸気制御弁を閉じてヘリカルポート側のみから吸気することにより、燃焼室内に強いスワールを発生させ、一方、高負荷時には吸気制御弁を開いてヘリカルポートとストレートポート、さらにストレートポート側からヘリカルポート側に通じるバイパス通路により、スワールを弱め、吸入空気量を増加させ、出力を増大させている。
【0005】
しかし、上記のように構成されたエンジンにおいては、エンジンの様々な運転条件を達成しようとすると、以下に示すような問題点があった。
【0006】
まず、最適なスワールを発生させる機構が基本的に1つしかなく、従って、最適のスワールを発生させるようなエンジンの運転条件も1つしか設定できないため、例えば、吸気制御弁を閉じた状態でエンジンの低負荷時に最適なスワールを発生するように設定すると、エンジンの中負荷時にはヘリカルポートのみでは吸入空気流量が不足し、結果的に、希薄空燃比で運転できるエンジンの運転範囲が狭くなるといった問題点があった。また、逆に、エンジンの中負荷時に最適なスワールを生成するように設定すると、エンジンの低負荷時には吸気流速が遅くなり、スワールが弱まってしまうといった問題点があった。
【0007】
また、エンジンの高負荷時には、大流量の空気がヘリカルポートから吸入されるため、バイパス通路によりスワールが弱められるとしても、従来のエンジンの形状であるストレートポートが2本の場合と比べて吸入空気流量が減少し、出力が低下するという問題点があった。
【0008】
また、上記のように構成されたエンジンにおいては、吸気制御弁が閉じられているとき、燃焼室内には水平または斜め方向に1つの大きなスワールが形成されるが、このような大きなスワールは、その旋回のエネルギが空気と燃料との混合に及ぼす効果が比較的小さく、燃焼改善効果が小さいといった問題点があった。また、特に燃料噴射式の火花点火エンジンにあっては、上記のような2吸気弁を持つ場合、燃料噴射弁からの噴霧は、一般に吸気管から吸気弁方向に向かう2方向噴霧とされるが、これらの燃料噴霧と吸入空気との干渉により、噴霧が吸気管通路または燃焼室壁面に付着してしまったり、エンジンの中負荷域においては、上記の水平または斜め方向の1つの大きなスワールにより、燃料が燃焼室の片側に吹き寄せられてしまい、壁面近くの燃料が燃焼しないまま排出され、排出ガス中にHCが増加したり、燃料消費が増大するといった問題点があった。また、燃焼期間中、燃焼室の一部分だけが高温となり、排出ガス中のNOxが増加するといった問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題を列挙すると次のようになる。
第1に、エンジンの広い運転範囲で適切な強さのスワールを生成する手段を提供しようとするものである。
第2に、エンジンの高負荷時にも吸気特性が良好で出力の低下が抑制でき、かつ、中負荷、低負荷時には適切な強さのスワールを生成できる手段を提供しようとするものである。
第3に、燃料と空気の混合を効率よく行うことができ、燃料噴霧が吸気管や燃焼室壁面に付着せず、また、着火性が良好で、燃焼効率が高く、かつ、HC、NOxなどの排出ガスを抑制するようなスワール、およびその生成手段を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のような手段を有する。
まず、吸気管の主通路とは別に、副吸気通路を複数個設ける。副吸気管の断面図の総和は、主空気通路の断面積よりも小さくする。副吸気通路の出口は主空気通路内の吸気弁に近い位置に開口し、かつ、吸気弁と、これに対応する吸気弁座との間隙部を指向するようにし、吸気弁座の対向外側から導入するようにする。燃料噴霧は、スワール発生時に吸入空気との干渉を防ぐため、吸気弁の弁座の対向内側から流入させる。また、それぞれの副吸気通路は、燃焼室内の少なくとも2つ以上の位置に向かって流入するようにする。副吸気通路の管径と管長は、吸気慣性効果を有効に利用できるような関係に定めるとよい。
【0011】
さらに、運転状態に応じて、主通路を閉塞する手段および、副吸気通路のうち、少なくとも1個以上を閉塞する手段を備える。
【0012】
エンジンの低負荷時には、主通路、および副吸気通路の一部が閉じられ、残りの副吸気通路からの空気により、燃焼室内にスワールが生成される。エンジンの中負荷域では、主通路を閉じたまま、使用する副吸気通路の本数を増やすことにより、吸入空気流量の増加に対応し、かつ、燃焼室内に異なる中心軸を持つ複数のスワールを生成する。エンジンが高負荷域に入ると、主通路の吸気制御弁を開き、トルクを確保するために、大流量の吸入空気を確保する。
【0013】
混合気の点火時期は、生成されるスワールにより燃焼速度が早められる場合には、従来のスワールを用いない場合に比較して遅らせ、また、高負荷域等、スワールを用いない場合には、従来の点火時期に設定する。
【0014】
燃料は、生成されるスワールと燃料噴霧が混合し、その部分が点火プラグの近くにきたときに点火するような時期にさかのぼって噴射される。また、スワールが生成される際には、噴射の方向はスワールに向かうように構成する。
【0015】
以上のように構成することにより、本発明は次のような作用を有する。
まず、副吸気通路の本数を可変にすることにより、吸気通路の断面積を多段階に切り替えることができ、従来より広いエンジンの運転範囲において、燃焼室内に生成されるスワールを適切な強さに設定することができる。これにより、内燃機関の様々な運転条件における総合的な燃焼効率が向上する。
【0016】
また、副吸気通路の吸気慣性効果により、副吸気通路から吸入させることのできる吸気量が増大し、これによってスワールを生じさせて運転する範囲を広げることができる。
【0017】
また、主空気通路にヘリカルポート等のスワール発生手段を設ける必要がないため、主通路の吸気抵抗が小さく、高負荷時には、より多くの空気を吸入することができる。
【0018】
また、燃焼室内に複数の副吸気通路を用いて複数のスワールを生成できる。これにより、スワールが1つの場合と比べ、同じ吸入空気量で燃焼室内の乱れを大きくする事ができ、空気と燃料との混合が促進され、燃焼効率が向上する。
【0019】
また、燃料噴霧の回りに複数のスワールを生成するように、かつ、燃料と吸入空気とが干渉しないように、燃料の噴射時期、点火時期、または燃料の噴射方向を調整することにより、燃料が燃焼室内の壁面近くに吹き寄せられることが防げる。これにより、排出ガス中のHC、NOx等の有害成分を低減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図を用いて詳細に説明する。 本発明の第1の実施例の構成を図1および図2に示す。独立吸気管の主通路110は、2つの吸気弁102を持つエンジンの燃焼室103に向かっている。この主通路110に吸気制御弁107を設け、その上流から副吸気通路101aおよび101bを、主通路110をバイパスするように設置する。2つの副吸気通路101aと101bの断面積の総和は、主通路110の上流部における断面積の1/5〜1/2となるようにする。吸気制御弁107の断面積の最大値は、主通路110の上流部の断面積より大とし、吸気制御弁107により副吸気通路の一方101bの入口が閉塞されるようにする。
【0021】
燃料噴射弁105は、主通路110から2つの吸気弁102の弁部の対向内側、すなわち燃焼室中心側に向かうような2方向の噴霧106aおよび106bを形成する。
【0022】
副吸気通路101aおよび101bの出口は吸気弁102の近傍に開口する。副吸気通路101a、101bを通る空気は噴流となり、2つの吸気弁102の対向外側すなわち燃焼室壁面に近い側から、吸気弁とその弁座の間隙を通って燃焼室103に流入し、2つのスワール111a、111bを生成する。この際、スワール111aは噴霧106aを、スワール111bは噴霧106bをそれぞれ包み込むように形成され、また、それぞれのスワールはピストン112の表面に沿うように旋回した後、点火プラグ104に向かうようにする。吸気制御弁107の作動はステッピングモータ201により行われ、その開度の設定はコンピュータ202によって行われる。
【0023】
図3に、本発明の第1の実施例の低負荷時における作動状態を示す。吸気制御弁107は、主通路110および副吸気通路101bを閉塞するような角度θ1に設定される。主通路110の上流部を通ってきた空気108は、副吸気通路101aを通り、燃焼室103内でスワール111aを生成する。副吸気通路101aからの噴流は燃焼室の大きさに対して小さいため、吸気弁102から吸入させる空気の流れを偏らせることができ、少ない空気流量で強いスワール111aを形成できる。また、スワール111aは、燃料噴霧106a、106bを包み込むように旋回するが、空気の流量が少ないため、噴霧が燃焼室103の壁面に吹き寄せられることはなく、よって、良好な燃焼を行わせることができる。
【0024】
図4に、本発明の第1の実施例の中負荷時における作動状態を示す。吸気制御弁107は、主通路110を閉塞し、副吸気通路101bを開くような角度θ2に設定される。主通路110の上流部を通ってきた空気108は、副吸気通路101a、および101bを通り、燃焼室103内で2つのスワール111aおよび111bを生成する。スワール111aは、燃料噴霧106aを、スワール111bは燃料噴霧106bをそれぞれ包み込むように旋回し、同じ吸気量でスワールが1つの場合よりも空気と燃料の混合を促進でき、かつ、噴霧が燃焼室103の壁面に吹き寄せられることはなく、よって良好な燃焼を行わせることができる。
【0025】
図5に、本発明の第1の実施例の高負荷時における作動状態を示す。吸気制御弁107は、主通路110を開く角度θ3に設定される。このとき、吸入空気108のほとんどは主通路110を通り、燃焼室103に吸入される。主通路にヘリカルポート等のスワール生成手段がないため、吸気抵抗は小さくなり、大量の空気を吸入できるので、必要とする出力を確保することができる。このとき、副吸気通路101a、101bも開いたままであるが、それぞれの通路を流れる空気の流量は、その断面積に略比例するために、副吸気通路101a、101bからの流入空気量は小さく、スワールを生成するには至らない。
【0026】
なお、本実施例では、簡単の為に、吸気制御弁107を各通路を閉塞するか開放するかというオンオフのみの構成としたが、吸入空気の量により、これらの通路、例えば主空気通路110を半開とするような制御弁107の開度を設定することもでき、スワールの発生する領域を広げることができる。
【0027】
図6に、本発明を自動車のエンジンに用いた場合の、吸気制御弁開度を設定する際の制御のフローチャートを示す。まず、運転者の意図を検出し、必要とするエンジンの回転数およびトルクを算出する。運転者の意図は、例えばアクセルペダルの踏み込みの程度、または踏み込み具合の変化量から、必要な軸出力として算出される値とする。この値と、車速およびギヤ位置の情報から、エンジンの運転条件、すなわち現在必要な回転数およびトルクが計算される。次に、これらの情報をもとに設定された条件では、燃焼室内にどのようなスワールを生成すれば最適か、エンジン制御値のマップを参照することにより調べる。
【0028】
まず、1方向スワールに適した条件か否かを調べ、適していれば、吸気制御弁開度を図3で示したθ1に設定する。1方向スワールに適していなければ、次に2方向スワールに適した条件か否かを調べ、適していれば、次に、副吸気通路だけで吸入空気量が足りる領域であるか否かを調べる。このとき空気量が足りれば、吸気制御弁開度を図4で示したθ2に設定し、2方向スワールを生成させる。もし空気量が足りなければ、制御弁開度は図4で示したθ2と図5で示したθ3の中間であるθ2’に設定し、主通路からの空気流量を、最大で副吸気通路の吸気流量と同程度供給することにより、2方向スワールによる運転領域を広げることができる。最後に、1方向スワールにも2方向スワールにも適さない条件であった場合、吸気制御弁は主通路を開く開度θ3に設定される。以上のようにして、運転状態にあったスワールをエンジンの燃焼室内に生成でき、燃焼を向上させることにより希薄燃焼を可能とする事ができる。
【0029】
図7および図8に、スワールの強さにより燃料噴射時期、点火時期、燃料の噴射方向を変える実施例を示す。燃料噴射弁105には、空気により微粒化を促進し、かつ、微粒化用空気により燃料噴霧を曲げ、噴射方向を変化させることのできるエアアシストインジェクタを用いる。図7はスワールを生成させない場合で、空気108は主通路110から流入し、流速は比較的遅く、また、燃焼速度も遅い。このため、ピストン112が圧縮上死点近傍に来た際に良好に着火せしめるためには、燃料噴射時期を早めに設定し、点火時期も早める必要がある。また、燃料噴霧106の方向は、噴霧が主通路110からの空気流により流されることを考慮して、燃料噴射弁と2吸気弁とを結ぶ方向より図中やや下向きを指向し、その向きに多く燃料が噴射されるように設定すれば、点火プラグ104の近傍に濃混合気を生成することができる。図8はスワールを発生させた場合で、空気108は副吸気通路101から流入し、流速の早いスワール111を生成する。このとき、燃焼速度は速くなる。このため、ピストン112が圧縮上死点近傍に来た際に良好に着火せしめる為には、燃料噴射時期を図7の場合よりも遅めに設定し、点火時期も遅らせる必要がある。また、燃料と吸入空気は干渉しないので、燃料噴霧106は、図7の場合よりも直線的に2吸気弁を指向するように設定すれば、図4で説明したように、燃料と空気の混合を促進することができ、燃料噴霧が吸気管内壁や、燃焼室内壁に付着するのを抑えることができる。
【0030】
図9、図10、図11に、本発明の第1の実施例の構成において、副吸気通路1本のみを用いた場合、副吸気通路2本のみを用いた場合、および、図6に示したフローチャートに従って副吸気通路の本数を可変した場合の、エンジン回転数およびトルクによる希薄空燃比限界の領域図、およびエンジンの運転範囲を示す。また、図12および図13に、従来のスワール生成機構を持つエンジン、およびスワール生成機構を持たないエンジンの希薄空燃比限界の領域図、およびその運転範囲を示す。
【0031】
各図中で枠外の領域は、そのの回転数またはトルクで運転できない領域を示している。また、図中の数字は、その領域における希薄空燃比限界を示す。本実施例によれば、エンジンが希薄空燃比で運転できる領域が広く、また、スワール生成機構を持たないエンジンと同様の最高出力を確保できることがわかる。
【0032】
図14に、本発明の第2の実施例の構成を示す。吸気管の主通路110は、2つの吸気弁102を持つエンジンの燃焼室103に向かっている。この主通路110に吸気制御弁107を設け、その上流から副吸気通路101a、101b、101c、101dを、主通路110をバイパスするように設置する。4本の副吸気通路101a〜101dの断面積の総和は、主通路110の上流部における断面積の1/5〜1/2となるようにする。吸気制御弁107の断面積の最大値は、主通路110の上流部の断面積より大とし、吸気制御弁107の開度により、副吸気通路101cおよび101b、101dの入口が、それぞれ順番に閉塞されるようにする。燃料噴射弁105は、主通路110から2つの吸気弁102の弁部の内側に向かうような2方向の噴霧106aおよび106bを形成する。
【0033】
副吸気通路101a、101b、101c、101dの出口は吸気弁102の近傍に開口する。このとき、101aと101b、101cと101dは、それぞれ2本ずつが同一の吸気弁とその弁座の間隙を通り、2つの吸気弁102の燃焼室壁面に近い側から燃焼室103に2本ずつ並行に流入し、2つのスワール111a、111bを生成する。この際、スワール111aは噴霧106aを、スワール111bは噴霧106bをそれぞれ包み込むように形成され、また、それぞれのスワールはピストン112の表面に沿うように旋回した後、点火プラグ104に向かうようにする。吸気制御弁107の作動はステッピングモータ201により行われ、その開度の設定はコンピュータ202によって行われる。
【0034】
以上のように構成することにより、低負荷時、吸入空気量が少ない場合には、本発明の第1の実施例の図3に示したものと同様に、副吸気通路101aのみを使用して、吸気流速を上げることができるとともに、負荷が増大して吸気量を増加させたい場合には、本発明の第1の実施例の図4に示したものと同様に、吸気制御弁107を開き、2本の副吸気通路101a、101dを用いて2方向スワールを生成することができる。さらに負荷が増大した場合には、さらに吸気制御弁107を開き、4本の副吸気通路101a〜101dを用いて、2方向スワールを維持しながら吸入空気量を増大させることができる。なお、この場合でも、本発明の第1の実施例と同様、主空気通路110を半開とするような吸気制御弁の開度を設定することにより、スワールの生成できるエンジンの運転条件の範囲を拡大できることは言うまでもない。
【0035】
なお、この実施例では、副吸気通路が2本の場合と4本の場合とについて示したが、本発明の構成はこの本数に限定されるものではなく、任意の本数の副吸気通路によってスワールが生成できるものである。また、スワールの数についても1個の場合と2個の場合で示したが、副吸気通路毎にその開口部の位置と方向を変えて設定することにより、燃焼室内に複数のスワールを生成することができる。その場合でも、燃料の噴射時期等を変えることにより、空気と燃料の混合を促進し、最適な燃焼を行わせることができるのは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、副吸気通路の本数を可変することにより、吸気通路の断面積を多段階に切り替えることができ、従来より広いエンジンの運転範囲において、燃焼室内に生成されるスワールを適切な強さに設定することができる。これにより、様々な運転条件における燃焼が改善され、希薄燃焼を行った場合でも良好な燃焼を得ることができる。
【0037】
また、ヘリカルポート等、主空気通路の断面積を狭くするようなスワール発生手段を設ける必要がないために主通路の吸気抵抗が小さくなり、高い出力を確保することができる。
【0038】
また、燃焼室内に複数の副吸気通路を用いて複数のスワールを生成できる。これにより、スワールが1つの場合と比べ、同じ吸入空気量で燃焼室内の乱れを大きくする事ができ、空気と燃料との混合が促進され、燃焼効率が向上する。これにより、希薄燃焼を行った場合でも燃焼が安定し、希薄燃焼限界を伸ばすことができ、排出ガス中のNOxなどの有害成分を低減できる。
【0039】
また、燃料噴霧の回りに複数の火炎のスワールを生成するように燃料の噴射時期、点火時期および燃料の噴射方向を調整し、燃料と噴霧との干渉を防止することにより、燃料が燃焼室内の壁面近くに吹き寄せられることが防げる。これにより、燃焼室の中心およびその周辺で良好な燃焼を行わせることができ、排出ガス中のHC、NOx等の有害成分を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の第1の実施例の構成を示す上面図である。
【図2】 図2は、本発明の第1の実施例の構成を示す側面図である。
【図3】 図3は、本発明の第1の実施例の低負荷時における動作を示す図である。
【図4】 図4は、本発明の第1の実施例の中負荷時における動作を示す図である。
【図5】 図5は、本発明の第1の実施例の高負荷時における動作を示す図である。
【図6】 図6は、制御弁開度を設定するフローチャートの例である。
【図7】 図7は、スワールを発生させない場合の燃料噴射時期、点火時期、および燃料噴射方向を示す図である。
【図8】 図8は、スワールを発生させた場合の燃料噴射時期、点火時期、および燃料噴射方向を示す図である。
【図9】 図9は、本発明の第1の実施例の構成で、副吸気通路1本を用いた場合の希薄空燃比限界領域、およびエンジンの運転可能範囲を示す図である。
【図10】 図10は、本発明の第1の実施例の構成を示し、副吸気通路2本を用いた場合の希薄空燃比限界の領域、およびエンジンの運転可能範囲を示す図である。
【図11】 図11は、本発明の第1の実施例における希薄空燃比限界の領域、およびエンジンの運転可能範囲を示す図である。
【図12】 図12は、従来のスワール生成機構を持つエンジンの希薄空燃比限界の領域、運転可能範囲を示す図である。
【図13】 図13は、従来のスワール生成機構を持たないエンジンの希薄空燃比限界の領域、運転可能範囲を示す図である。
【図14】 図14は、本発明の第2の実施例の構成を示す上面図である。
【符号の説明】
101…副吸気通路
102…吸気弁
105…燃料噴射弁
110…主通路
111…スワール
112…ピストン
Claims (6)
- 内燃機関の燃焼室内のスワールを制御するためのスワール制御装置を有する内燃機関の制御装置において、
前記スワール制御装置が、
吸気通路に設けられた吸気制御弁、
空気が、内燃機関の吸入空気量を調整するための前記吸気制御弁をバイパスして流れるようにすると共に、該空気を、前記吸気制御弁の上流から、前記吸気制御弁の下流にある各シリンダの吸気口に流入させるための複数個のバイパス通路、
内燃機関の運転状態を検出するためのセンサ、
内燃機関の運転状態に基づいて、使用されるべき前記バイパス通路の数を決定するための処理装置、および
前記バイパス通路と前記吸気通路の両方、または前記バイパス通路に空気流を選択的に導く前記吸気制御弁の開位置を制御するモータ、
とからなることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1記載のスワール制御装置を有する内燃機関の制御装置において、
前記運転状態が、前記内燃機関の目標回転数であることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1記載のスワール制御装置を有する内燃機関の制御装置において、
前記運転状態が、前記内燃機関の目標トルクであることを特徴とする内燃機関の制御置。 - 請求項1記載のスワール制御装置を有する内燃機関の制御装置において、
前記運転状態が、目標空燃比であることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1記載のスワール制御装置を有する内燃機関の制御装置において、
前記運転状態が、運転者の意図であることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1記載のスワール制御装置を有する内燃機関の制御装置において、
前記吸気口が1つのシリンダに対して2つ設けられており、前記バイパス通路が前記各吸気口に対応して少なくとも1本ずつ設けられていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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