JP3726737B2 - ワイヤーハーネス設計システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤーハーネスの3次元設計データを表示手段に表示された仮想3次元空間内に表示してワイヤーハーネスの設計を行うワイヤーハーネス設計システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車や電化製品内の電気配線としてワイヤーハーネスが使用される。このワイヤーハーネスを製造するに当たっては、まず自動車や電化製品と言った布線対象について、当該布線対象内の各種部品の取付位置等に基づいて、ワイヤーハーネスの3次元的な配線設計を行った後、その3次元的な配線設計結果に基づいて、2次元としての設計用紙にワイヤーハーネスの製図を設計する。そして、この製図に描かれたワイヤーハーネスの設計に従って、図20に示したような図板1上に複数の支持治具2を取り付け、この支持治具2で複数の電線を束ねながら支持し、樹脂テープで巻締めるなどしてワイヤーハーネス3を制作する。
【0003】
このように作成されるワイヤーハーネス3に対して、従来、その制作図面での設計に対する完成度評価を行う場合、対象製品並びにワイヤーハーネスの2次元図面をCAD等の設計支援システムで作成・出力し、その図面を設計者がチェックして、問題点を摘出する方法がある。
【0004】
その他、ワイヤーハーネス3の試作品を製作し、その試作品を、図21のような自動車や電化製品等の布線対象4に実際に配策してみて、ワイヤーハーネス試作品3の布線対象4に対する適正を検討することで、ワイヤーハーネスの設計が適正であるか否かを検討する方法もあった。
【0005】
なお、図20および図21中の符号5は各種部品に接続するためのコネクタを示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
設計者が図面を見て問題点の評価を行う方法では、設計者の熟練度によって評価基準が異なり、統一的な評価基準を作成しにくいという問題がある。
【0007】
これに対して、実際に試作品3を制作し、その試作品3を布線対象4に布線する方法は、3次元的な問題点の摘出を満足に行うことができる点で有利である。
【0008】
しかしながら、一般に、ワイヤーハーネスの組み立て(アセンブリ)工程は、ほとんど手作業に依存しており、したがって試作品の制作作業も人的資源集約型の作業を要求されるため、多大な労力が必要になるとともに、費やす時間も膨大なものとなる。
【0009】
そして、試作品が布線対象に取り付けられた際に、寸法不足や取付角度に無理な負荷がかかるなどの何らかの問題が発生した場合には、ワイヤーハーネスの設計および試作品の製作を何度もやり直さなければならない。したがって、製図に設計されたワイヤーハーネスの布線状態の適否についての検討(布線検討)に際しては、極めて多大な手間および時間がかかり、その結果、設計完成に至るまでの開発期間が長期化するという問題があった。
【0010】
そこで、本願出願人等は、特願2001−178980および特願2001−208233にて、効率の良い設計作業等を行い得る3次元仮想組立システムおよびそれに関連する技術を提案している。
【0011】
本発明の目的は、上記の出願に係る技術に関連し、設計作業等の一層の効率化が図れるワイヤーハーネス設計システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段は、ワイヤーハーネスの設計に用いられるワイヤーハーネス設計システムであって、入力を受け付ける入力手段と、ワイヤーハーネスの3次元的な設計データである3次元設計データを保存する記憶手段と、前記3次元設計データを表示する表示手段と、制御手段とを備え、前記制御手段は、前記表示手段に表示させた前記3次元設計データを、前記入力手段を介して入力された指示に基づいて前記仮想3次元空間内で3次元的に変形させるとともに、その変形の過程で生じる3次元形状の異なる複数の3次元設計データを互いに関連付けてデータベース化して前記記憶手段に記憶させる一方、前記入力手段を介して入力される指示に基づき、前記記憶手段に記憶されている前記複数の3次元設計データのうちのいずれかの3次元設計データを選択して前記表示手段を介して前記仮想3次元空間内に表示し、前記記憶手段に記憶されている前記複数の3次元設計データには、組立図板上に設置されたワイヤーハーネスの形態に対応して前記仮想3次元空間内において平面的に展開された基礎となる3次元設計データと、前記基礎となる3次元設計データを前記仮想3次元空間内において3次元的に変形することにより作成され、車体に配索されたワイヤーハーネスの形態に対応して前記仮想3次元空間内において3次元的に変形された車体配索状態の3次元設計データと、前記基礎となる3次元設計データが前記車体配索状態の3次元設計データへと変形される形状移行過程にて生じる少なくとも1つの中間形状の3次元設計データとが含まれており、前記制御手段は、さらに、前記入力手段を介して入力される指示に基づき、前記基礎となる前記3次元設計データ、前記少なくとも1つの中間形状の3次元設計データ、および前記車体配索状態の3次元設計データを、前記形状移行過程に対応した順序で前記表示手段を介して前記仮想3次元空間内に順番に切り替えて表示することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記記憶手段に記憶された前記複数の3次元設計データは、互いに共通するデータ構造を有し、かつ互いに関連付けられており、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記複数の3次元設計データのうちのいずれか1つの3次元設計データの一部に対する変更を前記入力手段を介して受け付けた場合に、その1つの3次元設計データに対して行われた変更内容を、前記1つの3次元設計データと関連付けられた前記複数の3次元設計データのうちの前記1つの3次元設計データ以外の3次元設計データに対して反映させるのがよい。
【0016】
また、好ましくは、前記3次元設計データの電線経路を表現する本体部分は、複数の線片を電線経路に沿って繋ぎ合わせて構成されているのがよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
<前提となる技術構成の説明>
図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤーハーネス設計方法が適用されるワイヤーハーネス設計システムのブロック図である。このワイヤーハーネス設計システムは、ハードウェア資源として、図1のように、CRTディスプレイ等の表示装置(表示手段)11、キーボード12およびマウス13等の入力装置14、ハードディスクドライブ等の記憶装置15、およびCPU並びに主メモリ等を備えるコンピュータ本体(制御手段)16とを備える。記憶装置15には、入力装置14からの入力操作に基づいて、記憶装置15内の各種データを使用してコンピュータ本体16のCPUが演算処理する際の処理手順を規定したソフトウェアプログラムが格納されている。
【0018】
なお、図示は省略しているが、データを入力するデータ入力手段としては、上記入力装置14の他、例えば磁気ディスク等の記録媒体を読み込む媒体読み込み装置や、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信経路を介在させて通信によりデータ受信を行う通信装置等も含まれる。
【0019】
これらのハードウェア資源11〜16を組み合わせて使用することにより、本実施形態に係るワイヤーハーネス設計方法が実現される。係るワイヤーハーネス設計方法は、記憶装置15内に予め記憶されたソフトウェアプログラムによって規律される。
【0020】
図2は、本実施形態に係るワイヤーハーネス設計方法によるワイヤーハーネス組立図板およびワイヤーハーネスの設計時の工程図である。
【0021】
まず、図2中のステップS01に示した自動車メーカーまたは機器メーカー等の顧客先が、適用対象(自動車や電気機器等)の種別及び部位の単位に分割されたワイヤーハーネスの設計図面を出図する(ステップS02)。後の工程では、この種別や部位毎にワイヤーハーネスが設計されることになる。この設計図面には、電気回路、電線及び付属部品といった各種構成部品の仕様についての情報が含まれる。また、出図される設計図面の情報出力方式は、2次元座標または3次元座標の電子情報と、その電子情報に基づいて製図として印刷された図面とを含む。
【0022】
次に、ステップS03において、ステップS02で得られた電子情報を、IHS(ワイヤーハーネス製造設計システム)と呼ばれるコンピュータ用ソフトウェアプログラムに適したデータ形式になるようにデータ変換する。
【0023】
そして、ステップS04において、熟練者によってワイヤーハーネスの設計がコンピュータ上で行われ、原寸の製造設計図面(原寸図)が設計される(ステップS05)。この原寸図は、実際の組立作業台上のワイヤーハーネスに対応して模したものであり、例えば2次元座標上の図面として設計される。この原寸図には、組立作業台の板面を想定した2次元空間上において、1本または複数本数の電線の集合体である回路の情報、コネクタ及びアース端子等の端末の情報、クランプまたはクリップ、チューブ、テープ巻き及びプロテクター等の保護材または外装部品等の各種付属部品の情報、および製造に必要となる各種寸法と公差の情報などが含まれている。
【0024】
そして、ステップS06で、ステップS05で設計された原寸図について、原寸図設計データを抽出する。
【0025】
ここで、原寸図設計データは、各回路が経路として通過する各ノードの情報(ノード情報)と、各ノード間を結ぶスパンの情報(スパン情報)と、いくつかのノードに接続される付属部品の情報(部品情報)及びその他の情報が含まれる。
【0026】
具体的に、ノード情報は、各ノードのノード番号及びノード座標を含む。
【0027】
スパン情報は、互いに結線されるノードのノード番号、ハーネス径、通過点・折れ点座標等の情報が含まれる。
【0028】
部品情報は、各付属部品が接続されるノードのノード番号、端末部品名称または部品コード等の情報、部品種別、部品仕様及び取付け方向等の情報が含まれる。
【0029】
その他の情報としては、電線情報、回路構成情報及び回路加工情報等が含まれる。
【0030】
続くステップS07およびS08にて、これらの情報に基づいて、図1のワイヤーハーネス設計システムを用いて3次元的な電線経路データ(3次元設計データ)を作成する。
【0031】
まず、ステップS07において、ステップS06で得られた2次元的な原寸図設計データを原寸図情報としてワイヤーハーネス設計システムに受信する。
【0032】
次に、ステップS08で、3次元設計データを作成する。
【0033】
ここで、3次元設計データとは、2次元平面状の図板上で製造する際の2次元的な電子データ(2次元電子データ)を3次元座標表示した電子データを言う。
【0034】
まず、上記の2次元電子データ(原寸情報を含む)に基づいて、ワイヤーハーネスの分岐から分岐までの長さ寸法やコネクタ取付の位置等の各サイズをワイヤーハーネス設計システム上で設計した上で、実際に図板上でワイヤーハーネスを製造することを念頭に置いた当該ワイヤーハーネスの2次元図面(製図)をCAD等の設計支援ソフトウェアプログラムを用いて2次元電子データとして作成する。
【0035】
次に、コンピュータ本体16内において、入力された2次元電子データの座標平面(xy平面)に対して法線方向の座標軸(z軸)を加えて、当該2次元電子データを3次元設計データとして記憶装置15内に記憶させておく。なお、2次元電子データのコンピュータ本体16に対する入力方法としては、入力装置14を用いて手作業で入力してもよいが、他のCADシステムで作成された3次元電子データを、通信または磁気ディスク等の所定の記録媒体を通じてコンピュータ本体16に移管するようにしてもよい。
【0036】
ここで、2次元電子データとして入力される情報としては、図3のように、ワイヤーハーネスを構成する各電線の図板上での形状を特定するための各ノードn01〜n20の2次元座標情報、各ノードn01〜n20同士が結線されることを示す電線のリンク情報、ノードn01〜n20間に結線される電線の径r01〜r14等がある。
【0037】
また、後述の3次元設計データ変形工程に際して、ワイヤーハーネスの各電線の現実的な変形を可能にするため、図4に示すような中心線21aを有する電線21の長さ方向に沿って、図5のように複数の短い長さaの線片22に分割し、この線片22を単位として各電線21を変形することを考慮して、各線片22の長さ寸法aを入力しておく。この長さaとしては約10mm程度が望ましい。各線片22の長さは等しくてもよく、または別々に異なる値として設定も可能とされる。かかる複数の線片22により長さLの電線21が細かく分割される。
【0038】
さらに、ワイヤーハーネスを構成する複数の電線のそれぞれの重み付けデータを入力しておく(後述)。この重み付けデータは、後述の3次元設計データ変形工程において、各電線の変形のしにくさを意味するパラメータであり、重み付けデータの値が大きな電線ほど、変形の際に移動が困難となり、また電線の湾曲変形についても、重み付けデータの値が大きな電線ほど、変形点のみが変形するのではなく、電線全体に渡って湾曲するようになる。かかる重み付けデータは、各電線の径等の諸因子に応じて経験的に求められたデータである。
【0039】
また、そのワイヤーハーネスに設けられる付属部品(コネクタ18(図3参照)、クランプ、および外装部品(プロテクタ、ビニールチューブ、コルゲートチューブ等)等)の3次元形状データを作成しておき、このようにワイヤーハーネスの電線経路を構成する3次元設計データの本体部が形成できたら、付属部品の3次元形状データを電線経路の対応する部分に付与し、これによって3次元設計データが完成される。
【0040】
さらに、このような3次元設計データの作成に伴って、その3次元設計データに対応するワイヤーハーネスの組立を行うための組立図板の設計も、ワイヤーハーネス設計システムを用いて行われる。
【0041】
ステップS09では、ステップS08にて作成されたワイヤーハーネスの3次元設計データおよび組立図板データとに基づいて、ワイヤーハーネス組立図板の設計時およびワイヤーハーネスの組立作業(布線作業)工程の検討が行われる。その検討結果は、ステップS01の顧客先またはステップS04のハーネス設計工程にフィードバックされ、ワイヤーハーネスの設計段階の再検討や修正が行われる。
【0042】
図6は、本実施形態に係るワイヤーハーネス設計方法に係る仮想配索工程の工程図である。
【0043】
ステップS11では、基準配策データのコンピュータ本体16への入力が行われる。
【0044】
ここでいう基準配策データとは、布線対象をモデリングした3次元空間におけるワイヤーハーネスの3次元的な布線形状の電子データ(3次元電子データ)をいう。例えば、自動車や電化製品と言った布線対象について、当該布線対象内の各種部品の取付位置等に基づいて、予めワイヤーハーネスの3次元的な配線設計を行っておき、そのときの3次元空間におけるワイヤーハーネスの形状の座標情報や、ワイヤーハーネスに取り付けられる各種部品の座標情報等を、3次元図面としてCAD等の設計支援ソフトウェアプログラムを用いて3次元電子データとして作成しておき、この3次元電子データをコンピュータ本体16に入力し記憶装置15内に格納しておく(図1参照)。ここで使用するCADソフトウェアプログラムとしては、コンピュータ本体16内と同一の機器を使用してもよく、この場合のワイヤーハーネスの形状に関する入力データとして入力装置14を用いて手作業で入力してもよいが、他のCADシステムで作成された3次元電子データを、通信または磁気ディスク等の所定の記録媒体を通じてコンピュータ本体16に移管するようにしてもよい。
【0045】
続くステップS12においては、入力された基準配策データを、仮想的な3次元空間においてプロットして表示装置11に3次元表示する。この仮想3次元空間においては、例えばマウス13等の入力装置14での操作に基づいて、その仮想的な3次元空間内で、仮想的な視点変更を行うことが可能となっている。
【0046】
なお、この基準配策データは、3次元設計データを表示する際の背景画像となるものであって、3次元設計データに対して識別するため、基準配策データで規定される仮想的なワイヤーハーネスの3次元形象表示は、例えば無彩色で表示される。
【0047】
そして、上述のステップS08で作成された3次元設計データを、3次元空間内において基準配策データの上に重ねて表示する。
【0048】
ここで、一般的な3次元設計データによる形状表現では、例えば個々の電線21または複数の電線の集合体(電線束)の各線片22を表現する場合、図4および図5のように円柱形状を用いて表現することとなる。
【0049】
具体的には、図7に示すように、長さaの線片22のデータに対し、円柱の中心を通る方向で且つ長さを有するベクトルSを定義する。ベクトルSは、x軸、y軸およびz軸からなる3次元空間内の方向情報および長さ情報と、連続される他の線片との間の捻れ角(線軸を中心とした回転角)θによる基準点からの回転角情報を特定することで、唯一の絶対位置と捻れ度合いを特定設定できる。
【0050】
そして、個々の独立な線片22データが、互いに連続的に接続(連続接続)されたものとして表示する。ここで、連続接続の方法としては、図8のように、線片22aと線片22bを接続させる場合に、お互いの中心軸23a,23bの端点座標を一致させるようにする。
【0051】
そして、マウス13等の入力装置14を用いて3次元設計データ全体を仮想3次元空間内で移動させ、3次元設計データと基準配策データの全体的な位置関係を調整する。そして、設計者が望ましいと考える位置に3次元設計データが調整(位置決め)された時点で、ステップS12を終了する。
【0052】
そして、ステップS13(3次元設計データ変形工程)において、マウス13等の入力装置14を用いて、3次元設計データによる電線21の形状を、背景画像として表示されている基準配策データ画像に一致するように、設計者が入力装置14を用いて手作業で変形する。
【0053】
通常の3次元シミュレーションシステムの機能を用いて、この線片22の柔軟性をデータで表現して処理することも不可能ではないが、操作が極めて煩雑であるため、操作の結果が設計者の意思通りになるとは限らない。
【0054】
そこで、このワイヤーハーネス設計システムでは、設計者の意志通りに柔軟性ある特性表現を可能とするため、次のような処理を行う。
【0055】
コンピュータ本体16内での各線片22の認識は、上述した通り、3次元空間内でのベクトルS(x,y,z,θ)というベクトル変数で行う。なお、変数θは、図9のように、互いに連続した線片22a,22b同士の間で生じる捻れ角を意味している。なお、図9では、簡便のため、z軸を省略してx,y平面上で図示しているが、z軸を加えた3次元座標でも同様であることはいうまでもない。
【0056】
例えば図9において、5個の線片22のベクトルSが次の値を持っているとする。
【0057】
ベクトルS1=(X1、Y1、Z、θ)
ベクトルS2=(X2、Y2、Z、θ)
ベクトルS3=(X3、Y2、Z、θ)
ベクトルS4=(X4、Y1、Z、θ)
ベクトルS5=(X5、0、Z、θ)
このようにベクトル設定を行っておき、各線片22の端点をマウス13等の入力装置14で指定した状態で、マウス13のドラッグと称される特別な操作により、当該線片22の端点を3次元空間内で移動させる。
【0058】
この場合においても、例えば図8のような線片22a,22b同士の接続点24では、両側の一対の線片22a,22bが連続した状態が保持されるため、各線片22の端点の位置移動処理を行うと、その連続接続の結果は、ワイヤーハーネスの湾曲を表現することになる。即ち、互いに連続した線片22同士は、一方にテンションが掛けられた場合に他方が引きずられるように移動するようになっており、そのときの他方の線片の移動ベクトルは、一方の線片との連続接続点の変動ベクトルに依存するよう、経験則に基づいて所定の演算式により設定される。かかる処理により、ワイヤーハーネスは全ての電線の連続性の情報を失わずに変形処理することが可能となる。
【0059】
ただし、例えば図9中の点(X5,0)の位置をマウス13等の入力装置14で移動変更する場合、これに伴う他の接続点への影響の度合いは各々異なることになる。即ち、マウス13等の入力装置14で移動させた点に近い他の接続点に対する移動量の方が、遠い他の接続点の移動量よりも大きくなる。ここで、各接続点の位置変更後の値が次のようになるとする。
【0060】
ベクトルS1=(X1、Y1、Z、θ1)
ベクトルS2=(X2、Y2、Z、θ2)
ベクトルS3=(X3、Y2、Z、θ3)
ベクトルS4=(X4、Y1、Z、θ4)
ベクトルS5=(X5、0、Z、θ5)
この場合、θ1<θ2<θ3<θ4<θ5となる。これにより、ワイヤーハーネスの湾曲形状を、絶対座標と相対的な捻れ度合いの両方について表現可能となるとともに、撓み等の他の柔軟性ある表現も自由に行うことができる。なお、θ1〜θ5までの関係式については、経験則等に基づいて事前に設定されており、ワイヤーハーネス設計システムの動作を規律するソフトウェアプログラムとして予め定義されている。
【0061】
また、ワイヤーハーネスにおいて、異なる電線同士の影響については、各電線の変形のしにくさを意味する重み付けのパラメータを考慮する。即ち、所定の演算式を用いて、重み付けデータの値が大きな電線ほど、変形の際に移動量を少なくし、また電線の湾曲変形についても、重み付けデータの値が大きな電線ほど、変形点のみが変形するのではなく、電線全体に渡って緩やかに湾曲するようにする。
【0062】
ところで、ワイヤーハーネスは電線の集合体のみでなく、図10のように、各種の外装部品(例えば、ビニールチューブ、コルゲートチューブ、各種テープ巻き等)26が電線21の周囲に取り付けられることが多い。したがって、これらの外装部品26も電線21の形状データと連動した形状表現にする必要がある。
【0063】
そこで、例えば、個々の外装部品26に対しては電線21と同様のデータ構造、即ち、長さ寸法や径の情報等について、外装部品26についても作成しておき、外装部品26が取り付く範囲の線片22のデータを削除して、そこに外装部品26のデータを挿入する。かかる方法により、外装部品26の直径、デザインおよび寸法形状等を電線21とは独立した処理で任意にデータ作成することができ、現物と同等の3次元ワイヤーハーネス形状の表現を行うことができる。
【0064】
ところで、この実施の形態では、上述のように、各線片の中心軸回りの相対的な捻れ角φ(上記のθに相当)のパラメータを持たせているが、捻れ角φの特性を持っていても、表示装置11に画面表示された3次元形状を見た時に、捻れの状態が認識できないと、設計者にとって扱いづらいものとなる。即ち、実際の3次元シミュレーションを効果的に行うためには「捻れ特性」を表示装置11にビジュアルに表現することが望ましい。そこで、線片22のデータを作成する初期段階において、線片22の外周表面の長さ方向に直線を付加する。この場合、図11の電線21の3次元モデルで説明する。なお、ベクトルSのパラメータである捻れ角φは、任意の固定値に設定しておくものとする。
【0065】
まず、各線片22の形状を円柱状として表示することとし、各線片22の中心軸とは別に、その円柱状の各線片22の外周表面に、長さ方向に沿って直線(以下「表面直線」と称す)を付加する。初期的には、各電線21において、全ての線片22の表面直線は一直線状に設定される。
【0066】
ここで、連続接続された線片22において、全ての線片22データの捻れ角φが同一である場合には、全ての円柱の外周表面の長さ方向の直線は、連続直線の表現となって「捻れ」のないビジュアルな表現を実現できる。
【0067】
一方、いくつかの線片22において捻れ角φを変化させると、その変化量の度合いに応じて、各線片22の外周に描写された表面直線は、図12のように捻れて表示される。即ち、例えば分岐線の移動等により或る線片22が捻れた場合、これに隣接する線片についても、捻れ角φを所定の法則で減じた状態で捻れが発生したように表示する。このように円柱状の線片22の外周に表面直線を描くだけで、「捻れ特性」をビジュアルに表現することができる。
【0068】
このように、このステップS13では、これらの電線21の3次元設計データの変形結果が背景画像として表示されている基準配策データの画像に重ねて表示装置11に表示され、これによってその一致度/不一致度が容易に視認される。
【0069】
続くステップS14では、ステップS13での3次元設計データの変形結果およびその表示内容に基づいて、基準配索データと変形された3次元設計データとの整合性の検討が行われるとともに、仮想的に行われるステップS13でのワイヤーハーネスの布線作業において不都合は無いか等が検討される。その検討結果は、ステップS01の顧客先またはステップS04のハーネス設計工程にフィードバックされ、ワイヤーハーネスの設計段階の再検討や修正が行われる。
【0070】
例えば、図13のように、背景画像である基準配策データの画像28に対して、3次元設計データの画像29の弛みが大幅に大きい場合は、その電線の設計寸法が過度に長尺であることを意味する。
【0071】
また、図14のように、背景画像である基準配策データにおける枝線28aに対して、3次元設計データ中の枝線29aが基幹電線28,29に対して逆方向に引き出されている場合は、その枝線29aの基幹電線29に対する形成方向を変更する設計変更を行う。
【0072】
その他、電線が過度に短尺である場合や、過度に捻れが生じている場合など、表示装置11での表示結果に基づいて容易に視認することができる。
【0073】
<本実施形態の特徴部の説明>
本実施形態に係るワイヤーハーネス設計方法は、表示装置11によって表示される仮想3次元空間内に表示されたワイヤーハーネスの基礎となる3次元設計データを前述のように仮想3次元空間内で3次元的に変形することにより、データ構造が互いに共通(データ互換性を有し)し、3次元形状の異なる複数の3次元設計データを作成し、その複数の3次元設計データをデータベース化して記憶装置15に記憶させ、その記憶されている複数の3次元設計データのうちのいずれかの3次元設計データを選択して表示装置11を介して仮想3次元空間内に表示することを特徴としている。
【0074】
すなわち、上述のステップS08にて作成されたワイヤハーネスの基礎となる3次元設計データA(図15参照)は、ワイヤーハーネスが組立図板(治具も含む)上に配索された状態に対応し、ワイヤーハーネスの製造時におけるワイヤーハーネスの生産性および品質の向上に向けた各種改善、および組立作業の成立性などを検証するために用いられる。このため、図15のように、ステップS08で作成された3次元設計データAは、仮想3次元空間内において平面的に展開された形態を有している。なお、図15中において、符号C1〜C5はコネクタを示している。また、図15の図示例では、3次元設計データAが、組立図板31上に設置された状態で表示されているが、組立図板の表示は設定により消すことができる。
【0075】
一方、上述のステップS13で基準配索データの配索経路に沿うように基礎となる3次元設計データAが3次元的に変形されて作成された車体配索状態の3次元設計データB(図16参照)は、ワイヤーハーネスの取付状態の検証などに用いられる。
【0076】
これらの3次元設計データA,Bは、例えば図17に示すようなデータ互換性を有する共通のデータ構造Zを有し、互いに関連付けられ、データベース化されて記憶装置15に保存されている。3次元設計データAについてデータ構造Zの内容について簡単に説明する。データ項目H1は、3次元設計データAの電線経路に沿って所定のピッチで設けられる各ノード番号等に関する情報が含まれており、その下のデータ項目H2には、対応する各ノードの仮想3次元空間内における座標に関する情報が含まれている。
【0077】
データ項目H3〜H10には、3次元設計データAに付与される付属部品の設計データである付属部品データに関する情報が含まれている。データ項目H3には、付属部品を特定するための部品コードが含まれ、データ項目H4には、付属部品データのスパン情報が含まれており、データ項目H6には、付属部品データの3次元形状に関する情報が含まれており、データ項目H7には、付属部品データの仮想3次元空間内での表示位置を特定するための基準となる取付け原点座標に関する情報が含まれており、データ項目H5には、付属部品データを仮想3次元空間内に表示する際にその表示方向(向き)を特定するための情報(取付け方法を指定するための単位方向ベクトルに関する情報等)が含まれている。データ項目H8〜H10には、付属部品データの表示仕様に関する情報(例えば、表示デザインおよび表示色等)に関する情報が含まれている。
【0078】
データ項目H11〜H15には、3次元設計データAの電線経路に対応する各スパン情報に関する情報が含まれている。データ項目H11には、3次元設計データ中の対応するスパンを特定するための情報(対応するノード番号の情報等)が含まれており、データ項目H12には、各スパンの線片22に関する情報のデータアドレスに関する情報が含まれており、データ項目H13には各線片22の仮想3次元空間内における表示座標および表示方法(向き)を特定するための情報が含まれており、データ項目H14には、各スパンの径に関する情報が含まれており、データ項目H15には、各スパンの長さa(ピッチ)に関する情報が含まれている。データ項目H16は、各スパンが構成する回路に関する情報が含まれている。
【0079】
また、本実施形態では、上述のステップS13で3次元設計データAを変形して3次元設計データBを作成する形状移行過程において生じる少なくとも1つ(ここでは3つ)の中間形状の3次元設計データE(図18(a)ないし図18(c)参照)が、形状移行プロセスを示すプロセス形状データとして設計者の入力装置14を介した指示入力に応じて記憶装置15に適宜保存されるようになっている。この中間形状の3次元設計データEも、上述の3次元設計データA,Bと共通のデータ構造Zを有し、データベース化されて記憶装置15に保存されている。
【0080】
ここで、3次元設計データA,B,Eは、図19に示すように、データA,B,EごとにデータファイルZ1,Z2,・・・としてファイル化され、識別データ(ここではNO1,NO2等の識別番号)が付与されて記憶装置15に保存されている。また、各3次元設計データB,Eは基礎となる3次元設計データAを3次元的に変形して作成されたものであるため、各3次元設計データA,B,E間において、データ構造Zのデータ内容の異なるデータ項目H1〜H16は、仮想3次元空間内における3次元設計データA,B,Eを構成する線片22や部品等の表示位置(座標)および向きに関するデータ項目(例えばH2,H5,H7,H13等)のみである。
【0081】
そして、表示装置11に表示させるべき3次元設計データA,B,Eに対応する識別番号を入力装置14を介して入力すると、その識別番号に対応する3次元設計データA,B,Eが記憶装置15から読み出されて表示装置11を介して仮想3次元空間内に表示される。
【0082】
これによって、表示させたい3次元設計データA,B,Eに対応する識別番号を入力することにより、表示装置11に表示される3次元設計データA,B,Eを容易に切り替えつつ、設計内容等の検討を行うことができるようになっている。
【0083】
また、本実施形態では、入力装置14を介した所定の指示入力を行うことにより、基礎となる3次元設計データA、少なくとも1つの中間形状の3次元設計データE、および車体配索状態の3次元設計データBが、形状移行過程に対応した順序で表示装置11を介して仮想3次元空間内に順番に切り替えて表示されるようになっている。この3次元設計データA,B,Eの表示の切り替えタイミングは、入力装置14を介した指示入力により調節可能となっている。
【0084】
ここで、3次元設計データA,B,Eを表示装置11に表示する際の表示位置の設定方法について説明する。例えば、3次元設計データAの場合は、図15の矢印Dで示す位置がデータ原点座標として定めされ、そのデータ原点座標が3次元仮想空間内の所定の基準位置(例えば中心位置)に位置するように3次元設計データAが表示される。すなわち、3次元設計データA中の各部分の座標位置は、前記データ原点座標を基準としてそのデータ原点座標からの相対座標によって規定される。他の3次元設計データBの場合も同様に、データ原点座標が設定されており、そのデータ原点座標を基準にデータ構成および表示が行われる。
【0085】
また、本実施形態では、入力装置14を介した指示入力により複数のハーネス設計データA,B,Eのうちのいずれか1つの3次元設計データA,B,Eの一部が変更された場合には、コンピュータ本体16の処理により、その変更内容が、変更されたその3次元設計データAと関連付けられた他の複数の3次元設計データA,B,Eに対して自動的に反映されるようになっている。
【0086】
その具体例としては、例えば、3次元設計データAについて入力装置14を介した指示入力によりその一部の区間の長さ変更が行われた場合には、その長さ変更された区間に対する他の3次元設計データB,Eの対応区間の長さが、コンピュータ本体16の処理により、3次元設計データAに対する長さ変更量に応じて自動的に変更される。他の具体例としては、ハーネス設計データAに付与されているコネクタ、外装部品(プロテクタ等)およびクランプ等の付属部品データが入力装置14を介した指示入力により変更(付属部品の種類の変更、設置位置の変更、追加、削除等)された場合に、他のハーネス設計データB,Eについても、その変更内容が自動的に反映されるようになっている。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、ワイヤーハーネスの1種類の3次元設計データAを仮想3次元空間内で変形することにより作成された3次元形状の異なる複数の3次元設計データB,Eが3次元設計データAとともにデータベース化されて記憶装置15に記憶されており、その複数の3次元設計データA,B,Eのうちのいずれかの3次元設計データA,B,Eを選択して表示装置11を介して仮想3次元空間内に表示するようになっているため、仮想3次元空間内に表示する表示対象の3次元設計データA,B,Eを他の3次元設計データA,B,Eと容易に切り替えることができる。このため、3次元仮想空間内に表示する表示対象の3次元設計データA,B,Eを切り替えつつ設計内容の検証作業を行うことができ、これによってワイヤーハーネスの設計作業等の一層の効率化が図れる。
【0088】
特に、平面的に展開された基礎となる3次元設計データAは、ワイヤーハーネスの製造時におけるワイヤーハーネスの生産性および品質の向上に向けた各種改善、および組立作業の成立性などを検証するのに適しており、車体配索状態の3次元設計データBは、ワイヤーハーネスの車体への配索状態の検証などに適している。このため、仮想3次元空間内に表示する3次元設計データを基礎となる3次元設計データAと車体配索状態の3次元配索データBとの間で切り替えつつ検証作業を行うことにより、設計作業等の一層の効率化が図れる。
【0089】
また、互いに関連付けられて保存された複数の3次元設計データA,B,Eのうちのいずれか1つの3次元設計データA,B,Eについて、入力装置14を介した指示入力によりその1つの3次元設計データAの一部の変更を行えば、その1つの3次元設計データA,B,Eについての変更内容がその1つの3次元設計データA,B,Eに関連付けられた他の3次元設計データA,B,Eにも自動的に反映されるため、関連する複数の3次元設計データA,B,Eの変更を一度に容易に行うことができる。これによって、表示装置11に表示されている1つの3次元設計データA,B,Eに対してデータの一部変更を行った際に、その変更によって他の3次元設計データA,B,Eがどのように変更(自動変更)されたかを、表示装置11に表示する3次元設計データA,B,Eを切り替えることにより容易に確認することができ、3次元設計データA,B,Eの設計内容の変更および検討をより効率よく行うことができる。
【0090】
さらに、関連付けられた複数の3次元設計データA,B,Eのデータ構造が共通化されているため、いずれかの3次元設計データA,B,Eの一部が設計者により変更された場合に、それに伴って自動的に行われる他の3次元設計データA,B,Eの対応部分の変更処理を容易に実行させることができるとともに、データの更新(修正も含む)、削除等のデータ管理も容易に行うことができる。
【0091】
また、3次元設計データAの形状移行過程で生成される複数の3次元設計データA,B,Eが、形状移行過程に対応した順序で表示手段を介して仮想3次元空間内に順番に切り替えて表示されるため、この順番に切り替え表示される3次元設計データA,B,Eによりワイヤーハーネスの車体への配索作業時の検証やデモンストレーションを行うことができる。
【0092】
さらに、3次元設計データA,B,Eの電線経路に対応する本体部分が、複数の線片22を電線経路に沿って繋ぎ合わせて構成されているため、本体部分の特定区間の長さを変更するには、その特定区間の線片数を増減する、あるいはその特定区間の線片の長さを増減することにより、電線経路の特定区間の長さ変更を容易に行うことができるとともに、実物の電線の変形特性等をリアルに表現することができる。
【0093】
【発明の効果】
請求項1ないし3に記載の発明によれば、ワイヤーハーネスの1種類の3次元設計データを仮想3次元空間内で変形することにより作成された3次元形状の異なる複数の3次元設計データがデータベース化されて記憶手段に記憶されており、その複数の3次元設計データのうちのいずれかの3次元設計データを選択して表示手段を介して仮想3次元空間内に表示するようになっているため、仮想3次元空間内に表示する表示対象の3次元設計データを他の3次元設計データと容易に切り替えることができる。このため、3次元仮想空間内に表示する表示対象の3次元設計データを切り替えつつ設計内容の検証作業を行うことができ、これによってワイヤーハーネスの設計作業等の一層の効率化が図れる。
【0094】
請求項2に記載の発明によれば、互いに関連付けられて保存された複数の3次元設計データのうちのいずれか1つの3次元設計データについて、入力手段を介した指示入力によりその1つの3次元設計データの一部の変更を行えば、その1つの3次元設計データについての変更内容がその1つの3次元設計データに関連付けられた他の3次元設計データにも自動的に反映されるため、関連する複数の3次元設計データの変更を一度に容易に行うことができる。これによって、表示手段に表示されている1つの3次元設計データに対してデータの一部変更を行った際に、その変更によって他の3次元設計データがどのように変更(自動変更)されたかを、表示手段に表示する3次元設計データを切り替えることにより容易に確認することができ、3次元設計データの設計内容の変更および検討をより効率よく行うことができる。
【0095】
さらに、関連付けられた複数の3次元設計データのデータ構造が共通化されているため、いずれかの3次元設計データの一部が設計者により変更された場合に、それに伴って自動的に行われる他の3次元設計データの対応部分の変更処理を容易に実行させることができるとともに、データの更新(修正も含む)、削除等のデータ管理も容易に行うことができる。
【0096】
請求項1に記載の発明によれば、平面的に展開された基礎となる3次元設計データは、ワイヤーハーネスの製造時におけるワイヤーハーネスの生産性および品質の向上に向けた各種改善、および組立作業の成立性などを検証するのに適しており、車体配索状態の3次元設計データは、ワイヤーハーネスの車体への配索状態の検証などに適している。このため、仮想3次元空間内に表示する3次元設計データを基礎となる3次元設計データと車体配索状態の3次元配索データとの間で切り替えつつ検証作業を行うことにより、設計作業等の一層の効率化が図れる。
【0097】
請求項1に記載の発明によれば、3次元設計データの形状移行過程で生成される複数の3次元設計データが、形状移行過程に対応した順序で表示手段を介して仮想3次元空間内に順番に切り替えて表示されるため、この順番に切り替え表示される3次元設計データによりワイヤーハーネスの車体への配索作業時の検証やデモンストレーションを行うことができる。
【0098】
請求項3に記載の発明によれば、3次元設計データの本体部分が、複数の線片を電線経路に沿って繋ぎ合わせて構成されているため、本体部分の特定区間の長さを変更するには、その特定区間の線片数を増減する、あるいはその特定区間の線片の長さを増減することにより、電線経路の特定区間の長さ変更を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一本実施形態に係るワイヤーハーネス設計方法が適用されるワイヤーハーネス設計システムのブロック図である。
【図2】ワイヤーハーネス設計方法によるワイヤーハーネス組立図板およびワイヤーハーネスの設計時の工程図である。
【図3】2次元データの画像を示す図である。
【図4】3次元空間内での電線のモデルを示す図である。
【図5】電線を複数の線片に分割した状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係るワイヤーハーネス設計方法に係る仮想配索工程の工程図である。
【図7】線片のベクトル情報を示す図である。
【図8】線片が連続接続している状態を示す図である。
【図9】電線を湾曲変更した状態を示す図である。
【図10】線片に代えて外装部品を適用した状態を示す図である。
【図11】各線片の外周に表面直線が描写された状態を示す図である。
【図12】各線片の外周に表面直線が描写された状態で電線が捻られた状態を示す図である。
【図13】過度に長尺であることが判明した場合の図である。
【図14】分岐線が逆方向であることが判明した場合の図である。
【図15】平面的に展開された表示形態の3次元設計データを示す図である。
【図16】車体への配索形態に対応した表示形態の3次元設計データを示す図である。
【図17】3次元設計データのデータ構造を示す図である。
【図18】図18(a)ないし図18(c)は形状移行プロセスの中間段階の3次元設計データを示す図である。
【図19】3次元設計データがデータベース化されて保存される際の保存形態を示す図である。
【図20】図板上でワイヤーハーネスを制作する動作を示す図である。
【図21】ワイヤーハーネスを布線対象に3次元的に配策した状態を仮想的に示す図である。
【符号の説明】
11 表示装置
14 入力装置
15 記憶装置
16 コンピュータ本体
A,B,E 3次元設計データ
Claims (3)
- ワイヤーハーネスの設計に用いられるワイヤーハーネス設計システムであって、
入力を受け付ける入力手段と、
ワイヤーハーネスの3次元的な設計データである3次元設計データを保存する記憶手段と、
前記3次元設計データを表示する表示手段と、
制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記表示手段に表示させた前記3次元設計データを、前記入力手段を介して入力された指示に基づいて前記仮想3次元空間内で3次元的に変形させるとともに、その変形の過程で生じる3次元形状の異なる複数の3次元設計データを互いに関連付けてデータベース化して前記記憶手段に記憶させる一方、前記入力手段を介して入力される指示に基づき、前記記憶手段に記憶されている前記複数の3次元設計データのうちのいずれかの3次元設計データを選択して前記表示手段を介して前記仮想3次元空間内に表示し、
前記記憶手段に記憶されている前記複数の3次元設計データには、組立図板上に設置されたワイヤーハーネスの形態に対応して前記仮想3次元空間内において平面的に展開された基礎となる3次元設計データと、前記基礎となる3次元設計データを前記仮想3次元空間内において3次元的に変形することにより作成され、車体に配索されたワイヤーハーネスの形態に対応して前記仮想3次元空間内において3次元的に変形された車体配索状態の3次元設計データと、前記基礎となる3次元設計データが前記車体配索状態の3次元設計データへと変形される形状移行過程にて生じる少なくとも1つの中間形状の3次元設計データとが含まれており、
前記制御手段は、さらに、前記入力手段を介して入力される指示に基づき、前記基礎となる前記3次元設計データ、前記少なくとも1つの中間形状の3次元設計データ、および前記車体配索状態の3次元設計データを、前記形状移行過程に対応した順序で前記表示手段を介して前記仮想3次元空間内に順番に切り替えて表示することを特徴とするワイヤーハーネス設計システム。 - 前記記憶手段に記憶された前記複数の3次元設計データは、
互いに共通するデータ構造を有し、かつ互いに関連付けられており、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記複数の3次元設計データのうちのいずれか1つの3次元設計データの一部に対する変更を前記入力手段を介して受け付けた場合に、その1つの3次元設計データに対して行われた変更内容を、前記1つの3次元設計データと関連付けられた前記複数の3次元設計データのうちの前記1つの3次元設計データ以外の3次元設計データに対して反映させることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス設計システム。 - 前記3次元設計データの電線経路を表現する本体部分は、複数の線片を電線経路に沿って繋ぎ合わせて構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス設計システム。
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