JP3726478B2 - 半導体パッケージの端子の表面処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体パッケージの端子の表面処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体パッケージは、フープ材をプレス加工して多数の端子をフレームで一体化した形態のリードフレームを作製し、このリードフレームに半導体チップを実装した後、各端子が突出するようにこの半導体チップを封止樹脂で封止成形してパッケージングを行ない、次に、封止成形品から突出する端子をフレームから切り離す分断加工と、端子を折り曲げる曲げ加工をすることによって製造されている。
【0003】
そして上記のように形成される半導体パッケージは、封止成形品から突出する端子を半田付けすることによってマザーボード等に搭載されるため、封止成形を行なった後に、封止成形品から突出する端子の表面に半田めっきを施し、半田付け性を高めるようにしている。封止成形品から突出する端子は半田めっきを施した後に、フレームから切り離す加工及び折り曲げる加工が行なわれる。
【0004】
一方、このような封止成形をした後の半田めっきを不要にした工法であるPPF(プリプレーティングフレーム)も実用化されている。この工法は、リードフレームに予めPd系めっきなどのワイヤボンディング可能で半田付け性の良いめっきを施しておくことによって、封止成形後に端子に半田めっきを施す処理を不要にすることができるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のいずれの方法で半導体パッケージを製造するに場合にも、端子の曲げ部において半田めっきやPd系めっきにクラックが発生し、このクラックの箇所から端子に腐食が生じるおそれがあるという問題があった。
また、42アロイ(42%Ni−Fe合金)などでリードフレームを作製する場合、42アロイなどは錆等、腐食し易くなるため、PPFの加工に用いることはできないものであった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、端子の曲げ部の腐食を防止することができる半導体パッケージの端子の表面処理方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る半導体パッケージの端子の表面処理方法は、半導体パッケージの封止成形品より突出する端子に、半田めっき、Pd系めっき、Sn系合金めっき、Snめっきのいずれかのめっきを施した後、端子を折り曲げ加工し、この端子に封孔処理剤を塗布することを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、上記封孔処理剤として、ネオペンチル脂肪酸エステル、C数20とC数22のうち少なくとも一方のC数の二塩基酸、二塩基酸のアミン塩、2−n−ウンデシルイミダゾール、5−アミノテトラゾールを溶剤に溶解して調製したものを用いることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、上記封孔処理剤として、溶剤1リットルに対して、ネオペンチル脂肪酸エステルを2〜10g、C数20とC数22のうち少なくとも一方のC数の二塩基酸を0.5〜5g、二塩基酸のアミン塩を0.15〜0.5g、2−n−ウンデシルイミダゾールを0.1〜0.5g、5−アミノテトラゾールを0.05〜0.3g溶解して調製したものを用いることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず本発明において使用する封孔処理剤について説明する。封孔処理剤は、ネオペンチル脂肪酸エステル、C数20とC数22のうち少なくとも一方のC数の二塩基酸、二塩基酸のアミン塩、2−n−ウンデシルイミダゾール、5−アミノテトラゾールを溶剤に溶解して調製したものを用いることができる。
【0012】
ここで、ネオペンチル脂肪酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、ネオペンチルポリエーテルの脂肪酸エステル、例えば次の化学構造式で示されるトリメチロールプロパン脂肪酸エステルを用いることができる。
【0013】
【化1】
【0014】
また二塩基酸としては、C数が20やC数22の二塩基酸を用いるものであり、例えば1,18−オクタデカンジカルボン酸や1,20−エイコサンジカルボン酸を用いることができる。これらは一方を単独で使用する他、両者を併用することもできる。
さらに二塩基酸のアミン塩としては、特に限定されるものではないが、上記のC数が20やC数22の二塩基酸とノイソプロパノールアミンとの反応生成物を用いることができる。
【0015】
そしてネオペンチル脂肪酸エステルに、C数が20やC数22の二塩基酸、二塩基酸のアミン塩、2−n−ウンデシルイミダゾール、5−アミノテトラゾールを配合し、これらを溶剤に溶解することによって、封孔処理剤を調製することができるものである。
溶剤としては、アルコール系溶剤、塩素系溶剤、フッ素系溶剤のうちから一種類以上を選んで使用することができるものであり、例えばアルコール系溶剤と塩素系溶剤とフッ素系溶剤を80:10:10の容量比で混合して使用することができる。ここで、アルコール系溶剤としてはエチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等を、塩素系溶剤としては1,1,1−トリクロロエタン、メチレンクロライド等を、フッ素系溶剤としてはフロン1,1,3、フロン225等を用いることができるが、溶剤は100%エタノールであっても良い。
【0016】
また、上記の各成分の溶剤への配合量は、溶剤1リットルに対して、ネオペンチル脂肪酸エステルを2〜10g、C数20やC数22の二塩基酸を0.5〜5g、二塩基酸のアミン塩を0.15〜0.5g、2−n−ウンデシルイミダゾールを0.1〜0.5g、5−アミノテトラゾールを0.05〜0.3gの範囲に設定するのが好ましい。
【0017】
次に、半導体パッケージの製造について説明する。
端子1に半田めっきを施す場合の工法について説明すると、まずフープ材にその長手方向に沿って銀ストライプめっき条を施し、このフープ材を金属プレス加工することによって、多数の端子1をフレーム2で一体に接続したリードフレーム3を作製する。次にこのリードフレーム3を洗浄した後、端子1に接続するようにリードフレーム3に半導体チップ4を実装する。この後に、リードフレーム3に実装した半導体チップ4をエポキシ樹脂などの封止成形材料で封止成形してパッケージングすることによって、図2に示すように半導体チップ4を封止成形品5内に封止する。リードフレーム3の各端子1は封止成形品5の側面から突出しており、次にこの封止成形品5の側面から突出する端子1に外装半田めっきを施す。
【0018】
このように端子1に半田めっきを施した後、各端子1をリードフレーム3のフレーム2から切り離す分断加工を行なうと共に各端子1を折り曲げる曲げ加工を行なうことによって、図1のような半導体パッケージAを得ることができる。そして、この曲げ加工をした端子1を封孔処理剤に浸漬したり、端子1に封孔処理剤を吹き付けたりして、端子1の曲げ部に封孔処理剤を塗布して表面処理する。この後に、乾燥することによって、製品として仕上げることができるものである。
【0019】
ここで、曲げ加工した端子1の処理に用いる封孔処理剤の配合の一例を示す。すなわち、溶剤としてエタノール100%を用い、1リットルのエタノールに次の配合量で各成分を配合して溶解することによって、封孔処理剤を調製することができる。
・「化1」に示すネオペンチルポリオールの脂肪酸エステル…3.2g/リットル
・C数22の二塩基酸(HOOC(CH2 )20COOH)…1.5g/リットル
・C数20の二塩基酸のアミン塩(HOOC(CH2 )18COOHのモノイソプロパノールアミン塩) …0.3g/リットル
・5−アミノテトラゾール …0.1g/リットル
・2−n−ウンデシルイミダゾール …0.2g/リットル
上記のように曲げ加工をした端子1の表面を封孔処理剤で処理することによって、端子1を曲げ加工する際に曲げ部において半田めっきにクラックが発生しても、クラックの箇所から端子1が腐食されることを封孔処理剤によって防止することができるものである。例えば、このように封孔処理剤で処理した端子1をSO2 ガス10±3ppm、相対湿度85%、温度40℃の雰囲気中に放置する耐SO2 性試験を行なうと、放置時間が48時間を経過しても腐食は発生しなかった。
【0020】
次に、PPFの工法について説明すると、まずフープ材を金属プレス加工することによって、多数の端子1をフレーム2で一体に接続したリードフレーム3を作製する。次に、このリードフレーム3にPd系めっきを施す。Pd系めっきは少なくとも端子1を含むリードフレーム3の全面に行なうものである。このPd系めっきとしては、Pd−Niめっき(PdとNiの比率は重量比率で9:1、8:2、7:3など)、Pd−Auめっき(Au含有率10〜90重量%)、Pd−Coめっき(PdとCoの比率は重量比率で9:1、8:2、7:3など)、Pd−Au−Cuめっき(Au含有率10〜90重量%、Cu含有率5%)などを用いることができる。この後、端子1に接続するようにリードフレーム3に半導体チップ4を実装し、リードフレーム3に実装した半導体チップ4をエポキシ樹脂などの封止成形材料で封止成形してパッケージングすることによって、図2に示すように半導体チップ4を封止成形品5内に封止する。
【0021】
リードフレーム3の各端子1は封止成形品5の側面から突出しており、各端子1をリードフレーム3のフレーム2から切り離す分断加工を行なうと共に各端子1を折り曲げる曲げ加工を行なうことによって、図1のような半導体パッケージAを得ることができる。そして、この曲げ加工をした端子1を既述の封孔処理剤に浸漬したり、端子1に封孔処理剤を吹き付けたりして、端子1の曲げ部を封孔処理剤に塗布して表面処理する。この後に、乾燥することによって、製品として仕上げることができるものである。
【0022】
このように曲げ加工をした端子1の表面を封孔処理剤で処理することによって、端子1を曲げ加工する際に曲げ部においてPd系めっきにクラックが発生しても、クラックの箇所から端子1が腐食されることを封孔処理剤によって防ぐことができるものである。例えば、このように封孔処理剤で処理した端子1をSO2 ガス10±3ppm、相対湿度85%、温度40℃の雰囲気中に放置する耐SO2 性試験を行なうと、放置時間が48時間を経過しても腐食は発生しなかった。また、42アロイなど、腐食が発生し易くなるためにPPFの加工が不可能とされていた材料で形成したリードフレーム3を用いても、封孔処理剤で処理をすることによって腐食を抑制することができ、42アロイなどの材料をPPFの加工に適用することが可能になるものである。
【0023】
上述した実施の形態では、端子1に半田メッキないしPd系めっきを施した例を示したが、Sn系合金めっきやSnめっきを端子1に施した後に端子1を折り曲げ加工する場合にも本発明の技術思想を適用することができ、同様の効果が得られるものである。
【0024】
【発明の効果】
上記のように請求項1の発明は、半導体パッケージの封止成形品より突出する端子に、半田めっき、Pd系めっき、Sn系合金めっき、Snめっきのいずれかのめっきを施した後、端子を折り曲げ加工し、この端子に封孔処理剤を塗布するようにしたので、端子の表面に施した半田めっき、Pd系めっき、Sn系合金めっき、Snめっきに折り曲げ加工によってクラックが発生しても、クラックの箇所から端子が腐食されることを封孔処理剤によって防ぐことができるものである。
【0026】
しかも、このように封孔処理剤による処理を行なうことによって、Cu系材料はもとより42アロイのようなPd系めっきで腐食が発生し易くなる材料で端子を形成することが可能になるものである。
【0029】
また請求項2の発明は、上記封孔処理剤として、ネオペンチル脂肪酸エステル、C数20とC数22のうち少なくとも一方のC数の二塩基酸、二塩基酸のアミン塩、2−n−ウンデシルイミダゾール、5−アミノテトラゾールを溶剤に溶解して調製したものを用いるようにしたので、端子のクラックの箇所からの腐食防止の効果を高く得ることができるものである。
【0030】
また請求項3の発明は、上記封孔処理剤として、溶剤1リットルに対して、ネオペンチル脂肪酸エステルを2〜10g、C数20とC数22のうち少なくとも一方のC数の二塩基酸を0.5〜5g、二塩基酸のアミン塩を0.15〜0.5g、2−n−ウンデシルイミダゾールを0.1〜0.5g、5−アミノテトラゾールを0.05〜0.3g溶解して調製したものを用いるようにしたので、端子のクラックの箇所からの腐食防止の効果を高く得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体パッケージを示す側面図である。
【図2】封止成形を行なったリードフレームを示すものであり、(a)は一部破断した正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 端子
2 フレーム
3 リードフレーム
4 半導体チップ
5 封止成形品
Claims (3)
- 半導体パッケージの封止成形品より突出する端子に、半田めっき、Pd系めっき、Sn系合金めっき、Snめっきのいずれかのめっきを施した後、端子を折り曲げ加工し、この端子に封孔処理剤を塗布することを特徴とする半導体パッケージの端子の表面処理方法。
- 上記封孔処理剤として、ネオペンチル脂肪酸エステル、C数20とC数22のうち少なくとも一方のC数の二塩基酸、二塩基酸のアミン塩、2−n−ウンデシルイミダゾール、5−アミノテトラゾールを溶剤に溶解して調製したものを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージの端子の表面処理方法。
- 上記封孔処理剤として、溶剤1リットルに対して、ネオペンチル脂肪酸エステルを2〜10g、C数20とC数22のうち少なくとも一方のC数の二塩基酸を0.5〜5g、二塩基酸のアミン塩を0.15〜0.5g、2−n−ウンデシルイミダゾールを0.1〜0.5g、5−アミノテトラゾールを0.05〜0.3g溶解して調製したものを用いることを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージの端子の表面処理方法。
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