JP3726123B2 - ジアルキルカーボネートの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はジアルキルカーボネートの製造方法に関するものである。更に詳しくは、触媒の存在下、一般式(1)で示されるアルキレンカーボネートと一般式(2)で示されるアルコールとをエステル交換反応させて一般式(3)で示されるジアルキルカーボネートを製造する方法に関する。このエステル交換反応では目的とするジアルキルカーボネートの他に一般式(4)で示されるアルキレングリコールも生成する。
【化4】
Figure 0003726123
Figure 0003726123
(式中、R,R,RおよびR4は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を示し、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基またはアルコキシアルキル基を示す)
ジアルキルカーボネートは溶剤、ガソリン添加剤などへの利用の他、毒性の強いホスゲン、ジメチル硫酸、塩化メチルなどの代替物となる安全性が高くて取扱い易いカーボネート化剤やアルキル化剤として今後需要の伸びが見込まれる化合物である。
【0002】
【従来の技術】
ジアルキルカーボネートの製造方法としては、アルキレンカーボネートとアルコールをエステル交換反応させる方法が種々提案されている。その基本となる技術はエステル交換触媒にあり、均一系触媒と不均一系触媒に分類される。
【0003】
均一系触媒としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ金属誘導体(米国特許第3642858号,特公昭61−16267号)などが提案されている。これら、均一系触媒を用いる方法では、少量の添加量で高い触媒活性を得ることができる長所があるが、反応液から触媒を分離するのが困難である。このエステル交換反応は平衡反応であり、触媒の存在下に反応液を蒸留して目的のジアルキルカーボネートを分離しようとすると、蒸留中に平衡がずれて逆反応が起こって一旦生成したジアルキルカーボネートがアルキレンカーボネートに戻る。また、触媒が存在するために、分解、重合反応などが併発して精製工程での効率が悪く、プロセス上好ましくなかった。
【0004】
一方、不均一系触媒の場合は、反応液から触媒を分離するのが容易であり、均一系触媒にみられる上記問題点は解決される。不均一系触媒としてイオン交換樹脂、特に第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換樹脂を用いる方法が提案されている(特開昭64―31737号,特開昭63−238043号)。これらの方法は比較的高い触媒活性を発現するが、工業的に利用するには耐熱性、耐久性に問題があり、とくに、高温条件で第4級アンモニウム基から含窒素化合物の分解がおこり、触媒成分が反応液中に溶解するなど問題があった。
【0005】
また、不均一系触媒として、シリカ−チタニア固体酸(特公昭61−5467号);アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の珪酸塩担持シリカ、アンモニウム交換ゼオライト(特開昭64−31737号);ジルコニウム、チタン、スズの酸化物(特開昭63−41432号);鉛化合物(特開平4−9356号)などの無機固体触媒を用いる方法も提案されている。これらの方法は全般的に触媒活性が低く実用には適応しがたいものであった。
【0006】
更に、近年、不均一系触媒としてMgOとAl2O3とを含有するハイドロタルサイト化合物を用いる方法(特開平3−43354号)や、複合酸化物を用いる方法(欧州特許公開第478073号)が提案されている。これらの方法は上記の方法よりは触媒活性が改善されてはいるものの、未だ満足のいくものではなく、エステル交換反応が平衡に達するまでに長時間を要したり、高い反応温度を必要とするなどなお問題がある。
【0007】
3−八面体型スメクタイトは公知の物質であり、次の式(5)〜(7)に示すヘクトライト、サポナイト及びスチブンサイトに分類されている[ジー・ダブリュウ・ブリンドレイ及びジー・ブラウン(G.W.Brindley and G.Brown)編、ミネラロジカル・ソサイエティー・モノグラフ・ナンバー・ファイブ(Mineralogical Society Monograph No.5 )、第170ページ,ミネラロジカル・ソサイエティー(Mineralogical Society),1980年]。
【0008】
【化5】
Figure 0003726123
【0009】
【化6】
Figure 0003726123
【0010】
【化7】
Figure 0003726123
【0011】
[前記式(5)〜(7)において、M、□及びnは、それぞれアルカリ金属,原子欠如及び層間の水分子数を表している。]
ヘクトライトは、八面体シート中の二価のマグネシウムが一価のリチウムと置換することによりケイ酸塩層に陰電荷が発現し、スチブンサイトにおいては、八面体シート中の二価のマグネシウムが一部欠如することにより陰電荷が発現し、及びサポナイトにおいては四面体シート中のケイ素がアルミニウムと置換することによって陰電荷が発現すると考えられている。これらの3−八面体型スメクタイトにおいてはケイ酸塩層の陰電荷を補うために層間にアルカリ金属等の陽イオンが入り、構造は電気的な中性を保っている。また、式(5)におけるyの値は、通常0.2〜0.5であり、理想的な組成では0.33とされており、また式(6)におけるyの値は通常0付近であり、yの値が0の場合xの値は0.2〜0.5、理想的な組成では0.33とされており、更に、式(7)におけるyの値は、通常0.1〜0.3であり、理想的な組成では0.17とされている。
【0012】
また2価重金属イオンあるいはMgイオンを八面体シートに含む3−八面体型スメクタイトよりなる合成多孔体や多孔質材料も製造できることが知られている。
【0013】
しかしながら、上記の3−八面体型スメクタイトおよび/あるいは3−八面体型スメクタイトから成る合成多孔体をジアルキルカーボネートの製造において触媒として利用した従来の技術は知られていない。
【0014】
【発明が解決しようとするの課題】
本発明の目的は、アルキレンカーボネートとアルコールとをエステル交換反応させてジアルキルカーボネートを製造する方法において、前記従来技術がかかえる問題を解決し、触媒活性に優れた工業的に有利なジアルキルカーボネートを製造する方法を提供することにある。
【0015】
【課題解決しようとするための手段】
本発明者らは、アルキレンカーボネートとアルコールとをエステル交換反応させてジアルキルカーボネートを製造する方法について鋭意検討を行った結果、3−八面体型スメクタイト及び/あるいは3−八面体型スメクタイトからなる合成多孔体が高い触媒活性を示すことを見い出し本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は触媒の存在下、前記一般式(1)で示されるアルキレンカーボネートと一般式(2)で示されるアルコールとをエステル交換反応させる一般式(3)で示されるジアルキルカーボネートの製造方法において、触媒として3−八面体型スメクタイト及び/あるいは3−八面体型スメクタイトから成る多孔体を用いることを要旨とするジアルキルカーボネートの製造方法である。以下に本発明を詳しく説明する。
【0017】
本発明において原料として用いられる一般式(1)で示されるアルキレンカーボネートは、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ぺンチレンカーボネート、スチレンカーボネート、3−メトキシ−1,2-プロピレンカーボネート、3−エトキシ−1,2−プロピレンカーボネートなどが挙げられ、これらの混合物であっても一向に差し支えない。これらの中でも、工業的に容易に入手できること、副生する一般式(4)で示されるアルキレングリコールの利用価値が高いことから、主としてエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが工業的に有用である。
【0018】
本発明においてもう一方の原料として用いられる一般式(2)で示されるアルコールは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチエレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられ、これらの混合物であっても一向に差し支えない。これらの中でも,製造されるジアルキルカーボネートとしてジメチルカーボネートの需要が大きいことから、メチルアルコールが工業的に有用である。これら原料のアルキレンカーボネートおよびアルコールの組み合わせにより、前記反応式に従って一般式(3)で示されるジアルキルカーボネートおよび一般式(4)で示されるアルキレングリコールが生成する。
【0019】
本発明において触媒として用いられる3−八面体型スメクタイト及び/あるいは3−八面体型スメクタイトより成る合成多孔体は前記の通り、公知の物質であり、(5)〜(7)式で示されるヘクトライト、サポナイト、スチブンサイトを例示することができる。
【0020】
【化5】
Figure 0003726123
【0021】
【化6】
Figure 0003726123
【0022】
【化7】
Figure 0003726123
【0023】
[前記式(5)〜(7)において、M、□及びnは、それぞれアルカリ金属、原子欠如及び層間の水分子数を表している。]
ヘクトライトは、八面体シート中の二価のマグネシウムが一価のリチウムと置換することによりケイ酸塩層に陰電荷が発現し、スチブンサイトにおいては、八面体シート中の二価のマグネシウムが一部欠如することにより陰電荷が発現し、及びサポナイトにおいては四面体シート中の四価のケイ素が三価のアルミニウムと置換することによって陰電荷が発現すると考えられている。これらの3−八面体型スメクタイトにおいてはケイ酸塩層の陰電荷を補うために層間にアルカリ金属等の陽イオンが入り、構造は電気的な中性を保っている。また、式(5)におけるyの値は,通常0.2〜0.5であり、理想的な組成では0.33とされており、また、式(6)におけるyの値は通常0付近であり、yの値が0の場合xの値は0.2〜0.5、理想的な組成では0.33とされており、更に、式(7)におけるyの値は、通常0.1〜0.3であり、理想的な組成では0.17とされている。
【0024】
前記式(5)〜(7)において、八面体シート中のMgの一部あるいは全てを Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mn、Pb、Cd等の2価重金属イオンから選んだ少なくとも1個の重金属イオンと置換した3−八面体型スメクタイトも合成することができ、本発明の触媒に用いることができる。
【0025】
本発明において触媒として用いる3−八面体型スメクタイトは水熱光合成で製造することができ、例えばヘクトライトは特公昭61−12848号公報の方法によって、サポナイトは特公平6−62290号公報の方法によって、またスチブンサイトは特公昭63−6485号公報の方法によって製造できる。更に、式(5)〜(7)の化合物の水酸基をフッ素で置換した化合物も合成されている。これらの合成品であるヘクトライト、サポナイト及びスチブンサイトは、水性塗料、化粧品、医薬品、ボーリング泥水等に使用できることも知られている。
【0026】
前記式 (5)〜(7)において八面体シート中のマグネシウムの代わりにNi、Co、Fe、Zn、Cu、Mn、Pb、Cd等の2価重金属イオンから選んだ少なくとも1個の重金属イオンと一部あるいは全てを置換した3−八面体型スメクタイトも合成され,特許第1841413号及び特許第1841414号を例示することが出来る。
【0027】
前記の3−八面体型スメクタイトから成る合成多孔体は水熱合成等の方法で作製され、特許第2125054号及びU.S.Patent 5,559,070に方法によって製造された合成多孔質材料、特許第1708281号によって製造される多孔質材料、特許第2036082号によって製造される合成多孔体、特許第2667978号によって製造される合成多孔体はいずれも本発明の触媒として用いることができる。
【0028】
3−八面体型スメクタイトあるいは合成多孔体中の3−八面体型スメクタイトはX線回析法によって同定することができる。d(06)の値は1.51〜1.54Åの範囲であり、鉄が入った場合にd値の値が大きくなる傾向が認められる。3−八面体型スメクタイトは15Å付近にブロードな(001)反射が認められる場合が多いが、合成多孔体の場合はデラミネーションによって不明瞭となっていることが多い。またhk反射では(02,11)のピークが4.5〜4.6Å付近に、また(13,20)のピークが2.6Å付近に認められる。
【0029】
本触媒に用いられる3−八面体型スメクタイトあるいは及び3−八面体型スメクタイトから成る合成多孔体はアルコール、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、アルキレングリコール等の有機化合物や有機溶媒に不溶であり、またこれらの有機化合物と直接反応を起こして複合化することもない無機物質である。従って本触媒は前記の有機化合物や有機溶媒と簡単に分離することができ、本発明のジアルキルカーボネートの製造に好適に使用できる。
【0030】
本発明において、触媒の形状には特に制限はないが、反応時の通液性や反応後の触媒分離を容易にするため、成形されていることが望ましい。その形態は100μm程度の微粉末でも、造粒、打錠などの一般的な方法で成型したものでも使用できる。
【0031】
本発明に用いる触媒を調製するにあたって、適当なバインダーを用いることもできる。バインダーは固体を結合させ触媒の機械的強度を増強させる目的で用いられるものであり、本発明に係わる反応を阻害したり触媒活性を阻害したりしないものであれば無機物あるいは有機物はいずれでも使用できる。また、バインダーは反応に対して触媒活性がある程度発現するものでも特に制限はない。
本発明に用いられるバインダーの具体例としては、木節粘土、カオリン、タルク、ベントナイト、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、有機ポリマーなどが挙げられる。
【0032】
本発明に用いる触媒を調製するにあたって、適当な担体を用いることもできる。担体はその表面に触媒活性点を分散させて高表面積の触媒としたり触媒の機械的強度を高めたりする目的で用いられる。担体は反応を阻害したり触媒活性を阻害したりしないものであれば特に制限はなく、反応に対して触媒活性がある程度発現するものでも使用できる。
【0033】
また、本発明に用いる触媒は、多孔質で比表面積の大きなものが高い触媒活性を得られるので好ましい。比表面積は通常5〜800m/g、より好ましくは10〜500m/gの範囲の触媒が用いられる。比表面積が5m/g未満の場合十分な触媒活性が得られないため好ましくない。また、比表面積が800m2/gを越えると、触媒の強度が低下し、耐久性の面で問題が生じるため好ましくない。
【0034】
本発明に用いる触媒は、使用する前に水分や有機物などの表面吸着物を除去する目的で水素、窒素などのガス気流中で加熱処理することにより活性化することが好ましい。その際の処理温度は80℃〜700℃の範囲、より好ましくは100〜600℃の範囲及び最も好ましくは100〜400℃の範囲である。処理温度が80℃未満では吸着物質の脱着が不十分となるため好ましくない。また、処理温度が700℃を越えると触媒に含まれる3−八面体型スメクタイトの構造がこわれて表面積が減少するため好ましくない。活性化処理の時間は表面吸着物の量や処理温度により左右されるため特に限定されるものではないが通常1〜100時間の範囲である。
【0035】
本発明において原料として用いるアルキレンカーボネートとアルコールの組成比は理論的にはモル比で2であるが、特にこの値に限定されるものではなく、製造プロセスに併せて広い範囲で用いることができる。当該反応は平衡反応であるため、一般にはアルキレンカーボネートの転化率を向上させるために、アルコールの比率を上げることが好ましく、通常アルキレンカーボネートに対するアルコールのモル比は1〜20が好ましく、より好ましくは2〜10の範囲である。
【0036】
本発明において、反応温度は原料の種類や触媒の活性により適応範囲が異なるが、一般的には30〜300℃、より好ましくは、50〜200℃の範囲である。その際、圧力は反応液の蒸気圧により規定されるものであり、特に制限はなく、エステル交換反応への影響は少ないが、圧力をかけることは一向にさしつかえがなく、雰囲気ガスとして二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素、空気などを用いても反応は進行する。
【0037】
本発明において、触媒の存在下アルキレンカーボネートとアルコールをエステル交換反応させる方法としては、回分式反応でも流通式反応でもよく、特に限定されるものではない。
【0038】
回分式反応をおこなう場合の触媒反応触媒の使用量は、原料に対して0.1〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%、最も好ましくは1〜10重量%の範囲である。回分式反応機内に、本発明の触媒、および原料を所定量充填し、所定温度で撹拌を伴いながらエステル交換反応することにより、目的とするジアルキルカーボネートを含む反応液混合物が得られる。その際反応時間は反応温度と触媒使用量により異なるが、一般的には0.1〜100時間、より好ましくは0.1〜30時間、最も好ましくは0.1〜15時間の範囲が用いられる。こうして得られた触媒を含む反応液から触媒は濾過、遠心分離などの方法により容易に分離でき、触媒を分離した反応液からジアルキルカーボネートや副生するアルキレングリコール、未反応のアルキレンカーボネートやアルコールを一般的には蒸留により、場合により抽出や再結晶などの方法により回収することができる。
【0039】
流通式反応を行う場合には、固定床式、流動床式、撹拌漕式いずれかの方式でも用いることができる。この際の通液条件は、触媒に対する液時空間速度(LHSV)で表すと、0.1〜50/hr、より好ましくは0.2〜10/hrの範囲を用いることができる。
【0040】
【実施例】
次に本発明について実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0041】
【実施例1】
蒸留水200mlに3号水ガラス86gを溶解し、2規定水酸化ナトリウム水溶液160mlを加えてアルカリ性のA液を得た。また蒸留水300mlに塩化ニッケル・六水和物一級試薬64.2gを溶解して酸性のB液を作製した。前記A液中にB液をかきまぜながら5分間で滴下し、さらに1時間かきまぜた。得られた反応複合沈殿物を濾過し、十分に水洗いした後、ビーカーに移し、水酸化リチウム一級試薬0.72gを溶解した水20mlを加えてスラリーを得た。このスラリーを1リットル内容積のオートクレーブに移し、1.66MPa、200℃で2時間反応させた。冷却後、反応生成物を取り出し、80℃で乾燥後、粉砕してNi含有ヘクトライトを得た。化学分析値から得た化学組成はSi−Ni−Li−Na=8−5.66−0.34−0.61であった。メチレンブルー吸着量は0.68ミリ当量/gであった。本試料のメチレンブルー吸着量から計算された陽イオン交換容量の値はSi=8に対して0.63であり、化学組成値のNaの値0.61とよく一致している。また、X線粉末回析図は通常のヘクトライトのパターンに類似しており、(35,06)反射ピークのd値は1.522Åであった。本試料は水に分散して、チクソトロピー性の緑色の半透明固体ゲルを形成した。
本試料を乾燥器の中で110℃、15時間乾燥して触媒とした。窒素吸着測定から得られた触媒の比表面積は365m2/gであった。本触媒を用いて、以下の条件でエチレンカーボネートからジメチルカーボネートの合成を試みた。攪拌機、コンデンサー、温度計を取り付けたガラス製フラスコにエチレンカーボネート25ミリモル(2.2g)、メチルアルコール0.2モル(6.4g)、触媒0.5g(反応液の5.5重量%)を仕込んで加熱し、反応温度150℃、4時間でエステル交換反応を行った。反応終了後、反応液を採取して高速液体クロマトグラフにより反応液組成を分析した。反応液の組成はエチレンカーボネート12.3ミリモル、ジメチルカーボネート11.2ミリモル及びエチレングリコール10.4ミリモルであった。従ってエチレンカーボネートの転化率は50.8%であり、ジメチルカーボネートの選択率は88.2%であり、及びジメチルカーボネートの収率は46.4%であった。エチレングリコールの選択率は81.9%で、その収率は41.6%であった。
【0042】
【実施例2】
コープケミカル社の親水性スメクタイト製品SWNを乾燥器の中で110℃、15時間乾燥して触媒として用いた。窒素吸着測定から得られた比表面積の値は131m2/gであった。SWN製品は1.01ミリ当量/gのメチレンブルー吸着量を与え、化学分析値から求めた化学組成はSi−Mg−Li−Na=8−5.41−0.59−0.63であった。
本触媒を用いて実施例と同様な条件でエチレンカーボネートからジメチルカーボネートの合成を試みた。反応後の液組成はエチレンカーボネート9.8ミリモル、ジメチルカーボネート13.5ミリモル及びエチレングリコール14.6ミリモルであった。エチレンカーボネートの転化率は60.8%であり、ジメチルカーボネートの選択率は88.8%と高く、及びジメチルカーボネートの収率は54.0%であった。また、エチレングリコールの選択率は96.1%で、その収率は58.4%であった。
【0043】
【実施例3】
特許第2125054号に従ってニッケルを含有する合成多孔体を作製した。蒸留水200mlに3号水ガラス86gを溶解し、4規定水酸化ナトリウム水溶液90mlを加えてA液を得た。また蒸留水300mlに塩化ニッケル・六水和物一級試薬71.3gを溶解してB液を得た。前記A液中にB液をかきまぜまがら10分間で滴下し、さらに1時間かきまぜた。得られた反応複合沈殿物を濾過し、十分に水洗いした後、ビーカーに移し、水20mlを加えてスラリー状とした。このスラリーを1リットル内容積のオートクレーブに移し、1.66MPa、200℃で2時間反応させた。冷却後、反応生成物を取り出し、80℃で乾燥後、粉砕してNi含有合成多孔体を得た。化学分析値から得た化学組成はSi−Ni−Na=8−5.93−0.40であり、X線粉末回析図は銅管球、ニッケルフィルターを使用して測定した場合に、2θ=20°,35°及び60°付近にブロードな回析が認められた。これらは類似組成をもったスメクタイトの回析パターンに似ているが、スメクタイトで認められる001反射の回析線は認められず、低結晶質のスメクタイト様物質であると認められた。化学組成を合わせて考察すれば、Ni含有スチブンサイト様物質から成る合成多孔体と考えられる。窒素吸着から得られた細孔特性は比表面積456m2/g、細孔容量0.304ml及び平均細孔直径2.7nmであった。本試料のメチレンブルー吸着量は0.42ミリ当量/gであり、水には全く分散しなかった。
本合成多孔体を乾燥器の中で110℃で15時間乾燥して触媒とした。本触媒を用いて実施例1と同様な条件でエチレンカーボネートからジメチルカーボネートの合成を試みた。反応後の液組成はエチレンカーボネート17.1ミリモル、ジメチルカーボネート6.3ミリモル及びエチレングリコール5.9ミリモルであった。これらの値から計算されたエチレンカーボネートの転化率は31.6%であり、ジメチルカーボネートの選択率は79.7%であり、ジメチルカーボネートの収率は25.2%であった。また、エチレングリコールの選択率は74.7%で、その収率は23.6%であった。
【0044】
【比較例1】
触媒としてハイドロタルサイド化合物(組成式:Mg5Al2(OH)16CO3・4H2O) を用いた以外は実施例1と同様にしてエチレンカーボネートからジメチルカーボネートの合成を試みた。なお、本触媒の比表面積は83m2/gであった。反応後の液組成はエチレンカーボネート14.3ミリモル、ジメチルカーボネート3.0ミリモル及びエチレングリコール3.2ミリモルであった、これらの値から計算されたエチレンカーボネートの転化率は42.8%であり、ジメチルカーボネートの選択率28.0%と低い値を示し、ジメチルカーボネートの収率は12.0%であった。エチレングリコールの選択率は29.9%およびその収率は12.8%であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の方法により、アルキレンカーボネートとアルコールからジアルキルカーボネートへのエステル交換反応が速やかに進行し、かつ触媒の3−八面体型スメクタイト及び/あるいは3−八面体型スメクタイトから成る合成多孔体が反応液に不溶であることから、反応液と触媒の分離が容易であり、均一系触媒でみられる蒸留工程での残存触媒による逆反応、分解、重合反応などによる収率低下を防止できる。従って、工業的に重要なジアルキルカーボネートを効率的に生産でき、産業の発展に貢献するものである。

Claims (4)

  1. 触媒の存在下,一般式(1)
    Figure 0003726123
    (式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を示す)で示されれるアルキレンカーボネートと一般式(2)
    Figure 0003726123
    (式中、R5は炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基またはアルコキシアルキル基を示す)で示されるアルコールとをエステル交換反応させる一般式(3)
    Figure 0003726123
    (式中、R5は前記と同じである)で示されるジアルキルカーボネートの製造方法において、触媒として3−八面体型スメクタイトを用いることを特徴とするジアルキルカーボネートの製造方法。
  2. 3−八面体型スメクタイトとしてヘクトライトおよび/あるいはスチンブンサイトを触媒として用いることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 3−八面体型スメクタイトより成る合成多孔体を触媒として用いることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. 八面体シート中のマグネシウムの一部あるいは全てをNi、Co、Fe、Zn、Cu、Mn、Pb、Cdの2価重金属イオンから選んだ少なくとも1個の重金属で置換した3−八面体型スメクタイト及び/あるいは前記の3−八面体型スメクタイトから成る多孔体を触媒として使用することを特徴とする請求項1乃至3記載の製造方法。
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