JP3725608B2 - シート送りゴムローラー - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばジェットプリンター、複写機あるいは自動発券機等、印字や印刷された紙、シート、フィルム等を送り出すゴムローラーに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、プリントアウトの高速化のため、インク塗料などは速乾性が進められ、さらに、取り出しローラ前に電熱ヒータを配して加熱したり、蛍光ランプによる光硬化が行われている。しかし、未乾燥インクによる取り出しローラー表面の汚れや静電気障害などが高速化を阻止し、機器メンテナスの頻度を増すなどの問題は解決されていない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙やシート類を取り出すローラーとしては、紙やシート類に対する把持力と耐磨耗性が共に優れた製品を提供すること、及び、紙やシート類に対する把持力と耐磨耗性と共に、高速印字等における未乾燥インク等に対する防汚性にも優れたローラーを提供することを課題とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ゴムローラーの表面の少なくとも一部に、非晶質石英膜を設けることによって、上記課題を解決した。
【０００５】
すなわち、本発明のゴムローラーは、ゴムローラー表面に、０．５〜５ミクロンの非晶質石英膜を設けて表面磨耗性を高めたものであるが、更に、この石英膜内に５〜２５重量％の割合で、炭素粒子、金属粉末及び四フッ化オレフィン粉末からなる群から選ばれる少なくとも一種の粉体を分散含有させることにより、未乾燥インク等に対する防汚性にも優れたものとなしうる。
【０００６】
本発明のゴムローラーは、把持力を高めるために、通常、硬度６０〜８０程度の合成ゴムローラーを用いるのがよいが、その表面に非晶質石英の薄膜を設けることにより、合成ゴムローラー特有の把持力を害することなく、表面磨耗性を著しく改良するものであり、更に、石英膜内に分散含有される金属粉末等の粉体の存在により、ローラー表面の防汚性も著しく改良される。
【０００７】
本発明に用いる非晶質石英膜は、合成ゴム基材と優れた密着性をもち、アモルファスのため充分な耐屈曲性を示すものであるが、かかる非晶質石英膜は、通常、パーヒドロシラザンから形成されるが、パーヒドロシラザンは、炭素グラファイト、ダイヤモンド、金属粉末及び四フッ化樹脂微粉末等との表面接触角ヌレ性が良く、さらに、これら微粒子表面に吸着されている酸化物を化学的に還元除去する性質を有し、加熱による非晶質石英膜を生成する際の体積変化がなく、堅固な複合膜が得られるものである。
【０００８】
本発明に用いるパーヒドロポリシラザンは分子量７００〜１２００が好ましく、これをコーティング組成物とするための溶媒としては、極性の強い炭化水素、例えばトルエン、キシレン、シクロヘキサン等が適している。また、該コーティング組成物に添加して使用する金属粉末としては、ステンレス、アルミニウム、銅等の３００メッシュ以上の粉末、炭素粉末としてはカーボンブラック人工ダイヤモンドの１〜３ミクロン粒子が好ましく、フッ素樹脂微粉末としては四フッ化ポリプロピレン、フッ化エチレン等が用いることができる。
【０００９】
なお、金属粉末等は、石英膜内に５〜２５重量％の割合で含まれればよいが、通常、１０〜２０重量％の割合で使用されるのが好ましい。
【００１０】
【発明の実施の形態】
次に、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。
実施例１
インクジェット方式印刷機のドット印字部分に隣接した紙送り合成ローラーを、キシレンで洗浄脱脂してのち、分子量８５０のパーヒドロポリシラザン（東燃ポリシラザンＰＨＰＳ−１）の１０％キシレン溶液に、平均粒径０．５ミクロンの四フッ化ポリプロピレン微粉末を重量比２％割合で混合し、分散したコーティング液を調整し、上記ローラーを２５０回分に回転し乍らコーティング液を塗布し、１００℃で１５分脱溶媒を行い、次に１５０℃で３０分加熱した。
【００１１】
得られたゴムローラー表面には、フッ素樹脂を含有した１．５ミクロン厚みの非晶質石英膜が生成され、このローラーを印刷機に装着し、インクジェット印字を行ったところ、従来の２倍速度で印字してもローラー表面へのインク成分の付着は認められず、ローラー表面の耐久性は５倍以上の使用にも磨耗は認められなかった。
【００１２】
実施例２
印字発券機の印字機構の次のシート送り出しゴムローラーの表面をキシレンで洗浄脱脂したのち、分子量１１００のパーヒドロポリシラザン（東燃ポリシラザンＰＨＰＳ−２）の２０％キシレン溶液に、３２０メッシュのアルミニウム粒子を重量比１％及び平均径１ミクロンの人工ダイヤモンド粉末を重量比１％の割合で混合分散してコーティング液とする。
【００１３】
上記ローラー表面にコーティング液を塗布し、８０℃で脱溶媒した後、１５０℃の熱風乾燥機中で３０分加熱する。
【００１４】
得られたローラー表面には、アルミニウム及びダイヤモンドが含有する平均厚み０．８ミクロンの非晶性石英膜が形成されており、これを発券機に装着したところ、通常の２倍速にも静電気発生による磁気マーク乱れがなく、且つローラー表面磨耗量から通常の１０倍の耐久性が得られた。
【００１５】
【発明の効果】
本発明のゴムローラーは、紙等の把持力と表面の磨耗性が共に優れるため、ジェットプリンター、複写機あるいは自動発券機等で高速印刷された紙等の送り出しローラーとして、非常に効率よく、安定して使用できる。また、石英膜に金属粉末等を添加混合することにより、防汚性にも著しく優れたものとできる。

Claims (1)

1. ゴムローラー表面の一部もしくは全面に、厚さ０．５〜５ミクロンの非晶質石英膜を設けたものであって、前記石英膜内に、５〜２５重量％の割合で、炭素粒子、金属粉末及び四フッ化オレフィン粉末からなる群から選ばれる少なくとも一種の粉体が分散含有されていることを特徴とするシート送りゴムローラー。