JP3660738B2 - 熱転写インクリボン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写インク組成物とそれを用いた熱転写インクリボンにかかり、さらに詳しくは印字濃度が高く、帯電が防止された熱転写インク組成物、及び熱転写インクリボンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピューターやレジスターの出力装置に用いられるプリンターには、ドットインパクト方式や感熱記録方式等の種々の印字方法が用いられているが、それらのうちの感熱記録方式は、プリンタの機構が簡単で保守が容易となり、また、騒音が少ない等の利点があることから広く使用されている。
そのような感熱記録方式では感熱紙を用いることも可能であるが、印字物に保存性が要求される場合には、熱転写インクリボンがよく利用されている。
【0003】
一般に、熱転写インクリボンのプラスチック基材の表面には、顔料とバインダ成分からなるインク層が形成されており、プリンタに設けられたサーマルヘッドにて裏面に熱が加えられると、そのインク層が溶融・軟化し、ラベル・タグ等の被転写体に熱転写インク組成物が転写されて所望文字の印字が行われるものであり、保存性がよいことに加えて普通紙や樹脂シートにも印字できることから近年ではバーコード印字に盛んに用いられている。
【0004】
しかしながら、熱転写インクリボンの基材には、一般には非導電性のプラスチックフィルムが使用されており、ロール形態にしてプリンタ内部の巻きだし軸に装着し、熱転写インクリボンを引き出す際にインク層表面と基材(又は耐熱滑性層)が分離されると、熱転写インクリボンが帯電して、静電気が発生してしまう。
【0005】
静電気が発生した場合には、紙粉やゴミを被転写体に付着させてしまうばかりでなく、さらにはプリンタ周辺に付着しているゴミを印字の際に巻き込んでしまい、甚だしい場合には、ゴミ等がサーマルヘッドと熱転写リボンの間に挟まってしまい、その部分だけ熱の伝わりが悪くなって、いわゆるボイド(白抜け)及び白スジ等が生じ、印字品質が低下するという問題があった。また、静電気が放電する際の放電音が印字を行っている間中聞こえてしまい、騒音となってしまう。
【0006】
このような静電気の発生は、熱転写インクリボンの表面抵抗がシート抵抗で109Ωオーダであれば少ないことが経験的に知られており(特公平5-82317)、インク層中の着色剤にカーボンブラック等の導電性を有する顔料を用いてインク層の表面抵抗(導電率)を下げ、帯電を防止することが行われている。
【0007】
他方、バーコード印字されたラベルを商品に添付する場合には、バーコードの読み誤りの防止や商品の見栄えを良くするために、印字濃度を高くすることが求められている。そのため従来の熱転写インク組成物にも、着色剤であるカーボンブラックの表面処理剤としてカップリング剤が添加され、カーボンブラックの分離性を向上させ、少ない顔料添加量で印字濃度を向上させるための試みが種々行われており、一定の効果を挙げている(特開平1-110188、特開平4-221685:アルミニウム系カップリング剤、特開平4-221686:チタニウム系カップリング剤)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらカップリング剤を添加して印字濃度を向上させようとすると、カーボンブラックがインク層中のバインダ成分に分散された結果、インク層の表面抵抗(導電率)が低下してしまうという現象が観察された。この場合には熱転写インクリボンは帯電しやすくなり、静電気が発生してしまう。
【0009】
かかる場合、インク層中にカップリング剤を添加することを止め、単にカーボンブラックの量を増加させるだけでは、インク層の表面抵抗は下がるが、インク層の溶融時の粘度が著しく増加し、インク層の転写性が低下して実用にならない。 結局、公知技術のカップリング剤では、熱転写インクリボンの高濃度印字と帯電防止を同時に達成することができず、その解決が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、熱転写インク組成物から成るインク層が基材上に設けられた熱転写インクリボンであって、前記熱転写インク組成物は表面に官能基を有する着色剤を含み、前記着色剤は、官能基と、それぞれ水酸基が結合されたアルミニウム原子とジルコニウム原子とを化学構造中に有するカップリング剤で表面処理がされている熱転写インクリボンである。
請求項2記載の発明は、熱転写インク組成物から成るインク層が基材上に設けられた熱転写インクリボンであって、前記熱転写インク組成物は表面に官能基を有する着色剤を含み、前記着色剤は、下記化学構造式(1)、
【化3】
Figure 0003660738
(この化学構造式(1)、及び以下の化学構造式において、R1は環式炭化水素基若しくは非環式炭化水素基又は水素原子、Xは官能基、Me1はIIIb族元素、Me2は遷移金属元素を示す。)で表されるカップリング剤によって表面処理がされた熱転写インクリボンである。
請求項3記載の発明は、熱転写インク組成物から成るインク層が基材上に設けられた熱転写インクリボンであって、前記熱転写インク組成物は表面に官能基を有する着色剤を含み、前記着色剤は、下記化学構造式(2)、
【化4】
Figure 0003660738
で表されるジルコアルミネート化合物であるカップリング剤によって表面処理がされた熱転写インクリボンである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の熱転写インクリボンであって、前記熱転写インク組成物中に含まれる前記着色剤の重量又は前記着色剤と充填剤の合計の重量を100重量部としたときに、前記カップリング剤が1重量部以上4重量部以下の範囲で含有され、前記着色剤の表面処理が行われたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の熱転写インクリボンであって、前記着色剤はカーボンブラックであることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の熱転写インクリボンであって、前記インク層は、充填剤としてベンゾグアナミン粒子を含有することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の熱転写インクリボンであって、前記基材と前記インク層との間に剥離層が設けられたことを特徴とする。
【0011】
一般に、熱転写インク組成物は、表面に官能基を有する着色剤を含んでおり、必要に応じて充填剤やバインダ成分が添加されている。更にカップリング剤が添加されるとそれらが表面処理される。本発明の発明者等は、従来技術のようなアルミニウムを主体としたカップリング剤では、着色剤との親和性は高いが配位能力が低い点に着目し、それが、従来技術の熱転写インクリボンが帯電しやすい原因であると予想した。
【0012】
そこで、官能基と、化学構造中に水酸基をそれぞれ有するアルミニウム原子とジルコニウム原子とを有するカップリング剤を熱転写インク組成物中に添加して着色剤の表面処理を行ったところ、良好な分散性を維持したまま導電性を向上させることができた。
【0013】
そのようなカップリング剤は、例えば上記化学構造式(1)で表せるが、より詳細には上記化学構造式(2)で表すことができる。この化学構造式(2)で示されるカップリング剤では、アルミニウム原子とジルコニウム原子との極性が強いため、図2に示すように、カップリング剤42中のアルミニウム原子が酸素原子を介して着色剤431と結合したり、着色剤432が有する−OH基と水素結合46をし易く、また、ジルコニウム原子とアルミニウム原子が水酸基を介して結合して無機高分子47を形成し易いので、着色剤の分散能が高い。
前記化学構造式(1)、(2)のカップリング剤は、合成が簡単で安価であり、また配位能力が高いので少量の添加でも分散性が高く、他方、多量に添加しても導電性を失うことがない。
【0014】
その添加量を具体的に説明すると、熱転写インク組成物中に含まれる前記着色剤の重量、又は前記着色剤と充填剤の合計の重量を100重量部としたときに、上記化学構造式(2)で示されるカップリング剤1重量部を添加するだけで効果がある。
他方、本発明のカップリング剤は充填剤内部に吸収されにくいので、4重量部まで添加しても導電性は失わず、また、液粘度変化も小さかった。そのため、4重量部を添加した場合でも、熱転写インク組成物の液粘度を調整せずに従来のコーティング条件をそのまま用いることができた。
【0015】
特に、カーボンブラックを着色剤として用いる場合には、前記官能基Xをアミノ基にすると、インク層の表面抵抗を小さくしたまま、一層高濃度で印字することが可能となる。
なお、この官能基Xはアミノ基の他、カルボキシル基、脂肪酸、メタクリルオキシ基、メルカプト基等種々のものを用いることができる。また、異なる官能基を有するカップリング剤を混合して用いてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
(インク組成物の作成)
まず、本発明の熱転写インク組成物について詳細に説明する。
本発明の熱転写インク組成物は、着色剤、充填剤、可塑剤、バインダ剤を主成分とし、水酸基をそれぞれ有するアルミニウム原子とジルコニウム原子と、官能基とを化学構造中に有するカップリング剤が添加される。
【0017】
着色剤は顔料及び導電性のある顔料から成り、顔料には例えばカーボンブラックを用いることが可能であり、導電性のある顔料としては、例えば金属酸化物、カーボンブラック、導電性カーボンブラック、グラフィトを用いることができる。
【0018】
充填剤は、体質顔料(フィラー)、樹脂粒子、導電性粉体から成る。
体質顔料としては、例えばシリカ、シリコン粒子、タルクを、樹脂粒子としては、例えばベンゾグアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂を、導電性粉体としては、例えばマイカ、金属メッキ粒子等を用いることができる。
これらのうち、カーボンブラック、導電性カーボンブラックについては着色性及び導電性を有し、比重も比較的小さく、塗布し易いので好ましい。
【0019】
バインダ剤には、熱的に溶融・軟化する性質が必要であり、一般にワックス、樹脂等を主成分とするものが用いられる。
ワックスとしては、例えば、カルナバワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス等を、樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニール樹脂等を使用することができる。
【0020】
一般に、着色剤の表面には官能基が存在しているので、本発明に使用できるカップリング剤は、官能基と、それぞれ水酸基が結合されたアルミニウム原子とジルコニウム原子とを化学構造中に有し、着色剤を表面処理できるものであればよい。
具体的には上記化学構造式(2)で示されるものを用いることができるが、上位概念を示せば、上記化学構造式(1)で示されるカップリング剤となる。
その官能基Xは例えばアミノ基であるが、上述したように種々のものを用いることができる。また、R1は例えばアルキル基とすることができるが、他の非環式炭化水素基やフェニル基等の環式炭化水素基、又は水素原子であってもよい。
【0021】
以上の成分を常法に従って、混合し熱転写インク組成物を作成する。
具体的に説明すると、バインダ成分を溶媒に溶解させ、着色剤又は着色剤及び充填剤とカップリング剤とを同時に添加し、サンドミル、ボールミル等で顔料を分散させながらカップリング剤で表面処理をさせ、所望の組成の熱転写インク組成物を得た。
【0022】
なお、着色剤等を分散させた後、カップリング剤を添加するようにしても十分に着色剤等の表面処理を行うことができる。この場合も、所定組成の熱転写インク組成物を作成することができる。
【0023】
本発明において、カップリング剤の添加量は特に限定的ではないが、熱転写インク組成物中に含まれる着色剤の重量又は着色剤と充填剤の合計の重量を100重量部としたときに、前記カップリング剤が1重量部未満では効果が少なく、逆に4重量部を超えると印字濃度が低下する傾向にあった。
【0024】
(熱転写インクリボンの作成)
以上のように作成されたインク組成物を、常法に従って、図1(a)に示す基材21上にグラビアコーターにより塗布し、有機溶剤を揮発させてインク層22を形成して熱転写インクリボン2を作成した。
【0025】
前記基材21にはPETを用いたが、PEN、PBT、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、塩化ビニール樹脂等を使用することも可能である。
前記熱転写インクリボン2のインク層22は、1.0μmの厚みにした。インク層22の厚みは1.0μm〜2.0μmの範囲で設定するのが一般的である。
【0026】
また、インク層中の樹脂量が多い場合等、インク層の転写を促進する必要があるときは、図1(b)に示すように、基材31上に剥離層33を形成してから、その上に本発明の熱転写インク組成物によってインク層32を形成することができる。この剥離層33は、一般に、熱溶融性物質、特に加熱により瞬時に溶融するワックスが使用され、0.1μm〜2.0μmの厚みに形成するのが普通である。
【0027】
また、基材31のインク層32を形成した面の反対側の面に、耐熱滑性層34を形成しておくと、熱転写インクリボン3の走行中のスティック現象が防止でき、走行が円滑になって好ましい。その耐熱滑性層34は、一般に、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース等の耐熱性樹脂と、シリコンオイル、リン酸エステル、金属石鹸等の滑剤とを組み合わせて用いるか、又は、アクリルシリコン樹脂で代表されるような、耐熱性と滑性を一つの分子中に具備した樹脂を使用してもよい。
【0028】
【実施例】
本発明の内容を、さらに、実施例を用いて詳細に説明する。
【0029】
(実施例1)
◎耐熱滑性層組成物の作成
以下の耐熱滑性層成分を金属容器に投入後、攪拌し目的の滑性層組成物を得た。
【0030】
・ シリコンク゛ラフトホ゜リマー(商品名:US287、東亜合成化学(株))……1.74重量部
・ イソシアネート(商品名:D110N、武田薬品(株)) ……0.55重量部
・ 有機溶剤(メチルエチルケトン) ……78.21重量部
・ 有機溶剤(トルエン) ……19.5重量部
【0031】
◎剥離層組成物の作成
以下の剥離層成分を金属容器に投入し、140℃に加熱し完全に溶解させた。
【0032】
・エチレン-酢酸ヒ゛ニル共重合体(商品名:KA-31、住友化学(株))……10重量部
・エステルワックス(商品名:OPワックス、ヘキスト(株)) ……90重量部
溶解後、徐々にトルエンを投入し、温度を70℃まで低下させて、目的の剥離層組成物を得た。
【0033】
◎インク組成物の作成
以下のインク成分及びメディアをサンドミルに投入し、800rpmで4時間分散し、目的のインク組成物を得た。
【0034】
・カーホ゛ンフ゛ラック(商品名:Regal400、キャボット社製) ……20重量部
・ホ゜リエステル樹脂(商品名:UE3350、ユニチカ(株)製) ……60重量部
・ヘ゛ンソ゛ク゛アナミン樹脂粒子(商品名:エホ゜スター、日本触媒(株)) ……20重量部
・上記化学式(2)で表されるアルミニウム-シ゛ルコニウム カッフ゜リンク゛剤
(商品名:APG-X,Manchem UK) …0.985重量部
・有機溶剤(メチルエチルケトン) ……400重量部
・カ゛ラスヒ゛ース゛ ……600g(試料総量の3/2倍)
このときのカップリング剤の添加量は、着色剤(カーボンブラック)と充填剤(ベンゾグアナミン樹脂粒子)100重量部に対して1重量部(0.985重量部)であった。
【0035】
次に、コータヘッド及び乾燥炉が複数あるグラビアコータを使用し、前記各層の組成物を順次塗布する。
まず、耐熱滑性層組成物をワイヤーで6μmのポリエステルフィルム(帝人(株)製)に塗布し、乾燥炉にて有機溶剤を揮発乾燥させ、目的の耐熱滑性層を得た。
続けて、耐熱滑性層を塗布した面の反対の面にグラビア版で剥離層組成物を塗布した後、乾燥炉にて有機溶剤を揮発乾燥させ、目的の剥離層を得た。
次いで、その剥離層上にグラビア版で前記インク組成物を塗布し、乾燥炉で有機溶剤を揮発乾燥させてインク層を作成し、図1(b)に示したものと同じ構造の熱転写インクリボンを得た。このとき作成された各層の厚みは耐熱滑性層34が0.1μm、剥離層33が0.5μm、及びインク層32は1.2μmであった。
【0036】
(比較例1)
インク組成物に、前記化学構造式(2)で表されたカップリング剤を配合しない以外は、前記実施例1と同様の組成、構造の熱転写インクリボンを作成して諸特性を測定したところ、下記表1の比較結果を得た。
【0037】
【表1】
Figure 0003660738
【0038】
上記表1の各項目の測定条件は以下の通りである。
・表面抵抗値……表面測定器(商品名:HIRESTA IP(型番MCP-HT260):三菱油化(株))を使用して500Vの電圧を印加した場合の値。
・粘度測定器……粘度測定器(B型粘度計:東京計器(株))を使用し、回転数30rpmとしたときの値。
・印字濃度……ポリエステルラベル(PET50WH:リンテック(株))にプリンタ(BC8 MK II:オークス(株))で印字したものを、マクベス濃度計(型番TR924)を使用して測定した値。
・走行音……連続印字において、リボンロールの静電気による走行音(リボンが引き出されるときにパチパチする音)の有無を作業者の聴覚で確認した。
【0039】
この表1から分かる通り、実施例1の熱転写インクリボンでは印字濃度(吸光度の対数)が1.75と高く、鮮明感のある印字ができた。帯電性による走行音も発生しなかった。インク粘度については比較例と略同程度であり、特に粘度調整する必要はなかった。
【0040】
(実施例2〜4)
カップリング剤の添加割合が異なる他は前記実施例1と同じ組成、構造のインクリボンを作成し、実施例1と同じ測定条件で諸特性を測定した。測定結果を下記表2の実施例2〜4として示す。
【0041】
【表2】
Figure 0003660738
【0042】
この表2から分かるように、本発明のアルミニウム−ジルコニウム系のカップリング剤を使用した熱転写インクリボンでは、印字濃度、帯電性、及び液粘度のいずれについても良好であり、バランスがとれている。
【0043】
表面抵抗値については、添加割合が多い方が低く、帯電性に優れると言えるが、添加割合が増加するに従って印字濃度が低下し、インク粘度が増加する傾向にある。従って、熱転写インク組成物中に含まれる着色剤の重量又は着色剤と充填剤の合計の重量を100重量部としたときに、1.0重量部以上4.0重量部以下の範囲で添加することが望ましい。
【0044】
(比較例2〜4)
比較例として、アルミニウム系カップリング剤(商品名:AL-M:川研ファインケミカル(株))、シラン系カップリング剤(A1100:日本ユニカー(株))、チタン系カップリング剤(338X:味の素(株))を使用し、他の条件は実施例1と同じにして比較例2〜4の熱転写インクリボンを作成した。諸特性の測定結果を下記表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0003660738
【0046】
上記表3から分かる通り、比較例2〜4の熱転写インクリボンは表面抵抗値が高く、帯電し易いと言える。また、印字濃度も低い。液粘度についてはカップリング剤を添加することにより低下する傾向が観察されたが、変化が大きいため、比較例3においてはグラビア版の目の調整を必要とした。
【0047】
以上は上記化学構造式(2)のアルミニウム−ジルコニウム系のカップリング剤を用いた熱転写インク組成物、熱転写インクリボンと、他のカップリング材を用いた熱転写インク組成物、熱転写インクリボンについて比較しながら説明したが、本発明に用いることができるものは、アルミニウムとジルコニウムに限定されるものではなく、化学構造式(1)のようなカップリング剤であればよい。
【0048】
他方、本発明に用いることができるカップリング剤としてアルミニウム−ジルコニウム系のものを用いる場合には、化学構造式(2)のものに限定されるものではない。化学構造中のアルミニウム原子とジルコニウム原子とがそれぞれ水酸基を有し、化学構造中に官能基を有していれば着色剤表面の官能基と反応して無機ポリマーを作れるので、分散性と導電性がよいので本発明に用いることが可能である。
【0049】
【発明の効果】
被転写体に形成される印字物の印字濃度を向上させ、また、鮮明感のある印字を行う場合でも、静電気が発生することなく、印字不良を引き起こすことがない。
熱転写インク組成物の液粘度の変動が小さいので、粘度調整をしなくても済み、工程が簡略化され、低コストの熱転写インクリボンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a):本発明の一実施の形態の熱転写インクリボンの断面図
(b):他の実施の形態の熱転写インクリボンの断面図
【図2】 カップリング剤の配位状態を説明するための図
【符号の説明】
2、3……熱転写インクリボン 31……基材 32……インク層
33……剥離層 42……カップリング剤
431、432……着色剤

Claims (7)

  1. 熱転写インク組成物から成るインク層が基材上に設けられた熱転写インクリボンであって、
    前記熱転写インク組成物は表面に官能基を有する着色剤を含み、
    前記着色剤は、官能基と、それぞれ水酸基が結合されたアルミニウム原子とジルコニウム原子とを化学構造中に有するカップリング剤で表面処理がされている熱転写インクリボン。
  2. 熱転写インク組成物から成るインク層が基材上に設けられた熱転写インクリボンであって、
    前記熱転写インク組成物は表面に官能基を有する着色剤を含み、
    前記着色剤は、下記化学構造式(1)、
    Figure 0003660738
    (この化学構造式(1)、及び以下の化学構造式において、R1は環式炭化水素基若しくは非環式炭化水素基又は水素原子、Xは官能基、Me1はIIIb族元素、Me2は遷移金属元素を示す。)で表されるカップリング剤によって表面処理がされた熱転写インクリボン。
  3. 熱転写インク組成物から成るインク層が基材上に設けられた熱転写インクリボンであって、
    前記熱転写インク組成物は表面に官能基を有する着色剤を含み、
    前記着色剤は、下記化学構造式(2)、
    Figure 0003660738
    で表されるジルコアルミネート化合物であるカップリング剤によって表面処理がされた熱転写インクリボン。
  4. 前記熱転写インク組成物中に含まれる前記着色剤の重量又は前記着色剤と充填剤の合計の重量を100重量部としたときに、前記カップリング剤が1重量部以上4重量部以下の範囲で含有され、前記着色剤の表面処理が行われた請求項3記載の熱転写インクリボン。
  5. 前記着色剤はカーボンブラックであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の熱転写インクリボン。
  6. 前記インク層は、充填剤としてベンゾグアナミン粒子を含有する請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の熱転写インクリボン。
  7. 前記基材と前記インク層との間に剥離層が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の熱転写インクリボン。
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