JP3725572B2 - 走査サンプル放射ビームを用いて眼底を照明する装置 - Google Patents

走査サンプル放射ビームを用いて眼底を照明する装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光学的コヒーレンス断層撮影法(optical coherence tomographic,OCT)により眼底を結像するための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在では、2つの反射技術が集中的に研究され、発展的努力が行われている。この2つの技術は光学的時間領域反射法(optical time domain reflectometry,OTDR)および光学的コヒーレンス領域反射法(optical coherence domain reflectometry,OCDR)である。OTDRはレーダーおよびソナーの光学的類似物である。OTDRにより、ピコ秒またはフェムト秒のパルス持続時間を有する短い光パルスが適当なレーザー源から放出され、サンプルに衝突する。光パルスはサンプルからなる種々の構造から反射され、反射されたパルスは時間解像検出器により検出される。サンプルのそれぞれの反射表面と検出器との距離は光源から反射表面へそして再び反射する光パルスの飛行時間に対するその比例性によって決定される。実際には検出装置は、“Femtosecond Optical Ranging in Biological Systems”の標題の論文、J.G.Fujimoto et al.,Optics Letters,Vol.10,No.3,1986年3月、150〜152頁に記載されているような非線形の光学的相互相関装置であってよい。この論文に記載されているように、サンプルから反射された光ビームは非線形の光学結晶内でソースにより放出された光パルス列に重ね合わせられる。参照ビームの光路の長さは、移動台に取り付けられた参照ミラーを移動させることにより変えられる。
【0003】
更に、OTDR技術の分解能は、光学的コヒーレンス領域反射(optical coherence domain reflectometry,OCDR)技術により改良することができ、この技術はたとえば“New Measurement System for Fault Location in Optical Waveguide Devices Based on an Interferometric Technique”の標題の論文、K.Tanaka et al.,Applied Optics,Vol.26,No.9,1987年5月1日、1603〜1606頁に記載されている。OCDRによれば、広い帯域の連続的な波の光源が使用される(OTDRによれば、パルスした光源が使用される)。“Principles of Optics,”第6版、M.Born and E.Wolf,Pergamon Press,New York(1986)の標題の文献の7.5.8節に記載されているように、広い帯域の連続的な波の光源のコヒーレンス長さLは、その帯域幅Bに対して以下の方程式:
L=c/B
(式中、cは光の速度である)により相関する。OCDRによれば、光源からの出力はビームスプリッターにより2つのビームに分けられる。該ビームの一方は、以下に参照ミラーと記載するミラーに入射する。他方のビームは、サンプルに入射するように導かれる。サンプルから反射されるビームは参照ミラーから反射されたビームに重ね合わせられる。重ね合わせられたビームは、2つのビーム間の光路差が光源のコヒーレンス長さより小さい場合は干渉する。更に、OCDRによれば、参照ミラーは一定の速度で運動せしめられる。その結果として、一定の速度で参照ミラーを運動させることにより導入されるドップラーシフト周波数に等しい周波数を有する検出信号の周期的な変化として干渉が検出される。該干渉信号は、サンプルから反射されるビームと参照ミラーから反射されるビームとの光路差が光源のコヒーレンス長さより大きくなると直ちに消滅する。当業者は容易に認識できるように、参照ミラーの変位は結像されるサンプルの深さに相当する範囲内になければならない。従って、OCDRは高い分解能を有する光学的レンジングを提供する技術であって、その分解能は光源の帯域幅のみにより制限される。
【0004】
OCDRは、当該技術分野で光学的コヒーレンス断層撮影法(optical coherence tomography,OCT)と称される技術でヒトの眼の網膜のような半透明の物体の三次元の結像を得るために横断走査装置と組み合わせられた。この技術は、たとえば“Optical Coherence Tomography”の標題の論文、Huang et al.,Science,254,1991年11月22日、1178〜1181頁に記載されている。
【0005】
OCTを検眼に適用するには、眼底上の被検領域を位置決めする、すなわち網膜がOCTサンプルビームにより走査されるように配置することが必要である。図1は、“Optical Coherence Tomography”の標題の博士論文、David Huang,Massachusetts Institute of Technology,1993年5月に記載された図を示し、この図においてOCTシステムのサンプルアームファイバーはスリットランプ・バイオ顕微鏡2000、すなわち目の検査に一般に使用される医療機器に結合されている。図1に示されるように、横断走査機構がスリットランプ・バイオ顕微鏡2000に取り付けられ、かつ2つの検流計駆動モータがサンプルビームを網膜上に任意のパターンで走査することができる。図1は、眼底を結像するためのスリットランプ検査機構2010および接眼レンズ2020からなるOCT結像装置2000を示す。図1に示されるように、サンプルビーム2050、すなわちサンプルアームファイバー2060からの出力は、コリメータレンズ2070によりコリメートされ、直交するように取り付けられた検流計駆動ミラー2030および2040により導かれる。集束レンズ2080およびダイクロイックミラー2090はサンプルビームをスリットランプ・バイオ顕微鏡2000の像面に導く。次いで、接眼レンズ2020が目の光学系2100と結合して、スリットランプ・バイオ顕微鏡2000の像面を網膜に中継する。記載のように、集束レンズ2080および接眼レンズ2020はテレセントリックな系を形成するので、ガルバノスキャナー2030に入射するサンプルビームは目2100の入射瞳に結像され、その結果として口径食が減少される。更に、赤色パイロットビームがサンプルビームと共に同一直線上を移動するように配置されており、それによりオペレータは赤外線サンプルビームが眼底の何処に位置するかを認識できる。
【0006】
図1に示され、上記の論文に記載されたOCTの検眼への適用は、いくつかの欠点を有する。第1の欠点は、人間の眼の屈折による誤差が±20ジオプトリーまでの範囲内で変動するという事実に由来する。従って、人間の眼の屈折による誤差を補償するためにサンプルビームおよびスリットランプ・バイオ顕微鏡2000の結像光学系を集束する必要が生じる。しかしながら、図1に示された装置においては、集束レンズ2080およびスリットランプ検査光学系2010は固定されている。その結果として、所望の集束は接眼レンズ2020をスリットランプ・バイオ顕微鏡2000の光軸に沿って移動させることにより達成される。この欠点は、接眼レンズ2020を調節する際に、検流計駆動ミラー2030の像およびスリット照明2110の像が眼2100の瞳孔に対して動くことにある。従って、顕微鏡2000を移動させることにより照明2110を再集束しなければならない。その場合には、眼底の像を再集束させ、かつ照明2110およびミラー2030の両方が適切に集束する位置を繰り返さなければならない。
【0007】
第2の欠点は、眼底を結像する際に明るい照明光源を使用する効果を克服するために典型的に行われる調節から生じる。眼底を結像する際には明るい照明の光源を使用することが必要である。それというのも、そうでなければ眼底の低い後方散乱効率(眼底反射率はほぼ10〜4である)がかなり低い光レベルを有する眼底像を生じるからである。図1に示され、上記論文に記載されているように、スリット照明2110は接眼レンズ2020により目の瞳孔に結像される。目の角膜の反射率および接眼レンズ2020の反射率[実際には接眼レンズ2020はVolk of 7893 Enterprise Drive,Mentor,Ohio 44060により製造されたフォークダブル非球面・バイオレンズ(Volk double aspheric bio lens )である]は両方共4%程度であり、これらの反射率は眼底の反射率よりはるかに大きい。従って、角膜および接眼レンズ2020からの後方反射をスリット・バイオ顕微鏡2000の観察光路からそらすために調節することが必要である。“Volk Double Aspheric Bio Lenses”の標題の説明書、Volk of Mentor,Ohio,3頁に記載されているように、スリット照明2110を光軸に対して傾斜させ、かつ接眼レンズ2020を傾斜させることにより、バック反射を減少する調節が行われる。しかしながらこれらの調節は、非点収差および口径食を生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記事実を鑑みて、前記問題を克服するOCT眼底結像のための方法および装置を提供することであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明によるOCT眼底結像のための方法および装置により解決される。
【0010】
本発明の第1の実施態様は、走査サンプル放射ビームがサンプルビームに曝露されるビームスキャナーから放出される形式の、走査サンプル放射ビームを用いて眼底を照明する装置であり、該装置は光学的コヒーレンス断層撮影法に使用するためのものであり、かつ
(a)ビームスキャナーの最終偏向点から放出されるサンプルビームの主光線を含む、走査サンプルビームからの放射を伝達する手段と、
(b)走査サンプルビームが眼により眼底に集束されるように前記伝達された放射を集束する手段とからなる。前記伝達する手段はレンズ手段からなり、該レンズ手段は、最終偏向点が実質的に前記レンズ手段の後焦点面に位置するビームスキャナーを基準として固定されており、かつ前記レンズ手段が可動である。本発明のこの実施態様の特別の実施例においては、集束する手段が眼底カメラの接眼レンズからなり、かつ伝達する手段が、レンズ手段からの出力を接眼レンズに導くために配置されたビームスプリッタからなる。
【0011】
本発明の第2の実施態様は、走査サンプル放射ビームがサンプルビームにさらされるビームスキャナーから放出される形式の、走査サンプル放射ビームを用いて眼底を照明する装置であり、該装置は光学的コヒーレンス断層撮影法に使用されるためのものであり、かつ
(a)ビームスキャナーの最終偏向点から放出されるサンプルビームの主光線を含む、走査サンプルビームからの放射を伝達する手段と、
(b)走査サンプルビームが眼により眼底に集束されるように前記の伝達された放射を集束する手段とからなる。前記伝達する手段は、最終偏向点が実質的に前記集束手段の第1の部分の後焦点面に位置するようにビームスキャナーおよび集束手段の第1の部分を基準として固定されており、かつ前記集束手段の第1の部分が可動である。本発明のこの実施態様の特別の構成においては、集束する手段の少なくとも第1の部分が眼底カメラの内側集束レンズからなり、かつ伝達する手段が走査サンプルビームを内側集束レンズに入射させるように配置されたビームスプリッタからなる。
【0012】
【実施例】
図2は代表的な眼底カメラ4000の略示構成図を示す。図2に示されるように、接眼レンズ100は患者の眼1000の眼底1010の中間像を生じる。正視の場合は、接眼レンズ100により生じる眼底の中間像は接眼レンズ100の後焦点面に位置する。リレーレンズ110は眼底1010の別の中間像を生じる伝達レンズである。最終的に、リレーレンズ110により生じる眼底の中間像は、内側集束レンズ120および鏡胴レンズ130により眼底カメラ4000のビデオポートのCCDターゲット140に結像する。眼底1010の照明は光源150により行われる。光源150からの出力ビーム185はビーム180として幾何学的ビームスプリッター170に集束され、該ビームスプリッターは接眼レンズ100の後方に、眼1000の瞳1020の像に配置されている。当業者に周知のように、幾何学的ビームスプリッターは、ビームの一部を反射し、ビームの一部を透過するための開口を有するミラーであり、かつ図2に示されるように、幾何学的ビームスプリッター170は照明ビーム180を反射し、観察ビームを透過する。図2に示されるように、光源150からの出力ビーム185は、接眼レンズ100が眼1000の瞳孔1020にビーム180の反射を“オフ・センター”配置で集束する方式で幾何学的ビームスプリッター170に集束する。従って、光源150からの出力ビーム185の光路とCCD140に達する観察ビームの光路は眼1000の前方領域内で分離される。その結果として、出力ビーム185からの光はほとんど眼底カメラ4000の観察路に後方散乱されない。
【0013】
図2に示され、かつ代表的な眼底カメラに認められるように、接眼レンズ100、リレーレンズ110および鏡胴レンズ130は固定されており、内側集束レンズ120は可動である。実際には、眼底カメラ4000は、光源150からの出力ビーム185が眼の瞳1020に集束するような位置に物理的に移動せしめられる。この場合、眼底1010をCCD140に集束するために内側集束レンズ120が使用される。図2に示されるように、幾何学的ビームスプリッター170は観察光路の開口絞りを構成し、開口が無限に結像する(テレセントリック特性)ようにリレーレンズ110の焦点面に配置されている。最終的に、内側集束レンズ120は瞳1020を鏡胴レンズ130に結像し、該鏡胴レンズ130は、眼底1010の像をCCD140に集束するために内側集束レンズ120を移動させる際に、全部の系の倍率が変化しないことを保証する。
【0014】
更に、ビームスプリッターは付加的な観察位置として使用するために典型的には鏡胴レンズ130と内側集束レンズ120の間に配置されている。
【0015】
図3は、図2に示された眼底カメラ4000と接続して使用するための本発明による実施態様を示す構成図である。接眼レンズ100は固定されているので、サンプルビーム200を別に集束させることが必要である。図3に示されるように、サンプルビーム200はビームスキャナー210に入射する。ビームスキャナー210はたとえば本願の[従来の技術]の項に述べた論文に示されたような検流計ビームスキャナーとして構成されていてもよい。図3の1点破線は、ビームスキャナー210がサンプルビーム200を移動させる方式、およびサンプルビーム200が眼の瞳孔1020に結像する方式を示す。サンプルビーム200の主光線は、ビームスキャナー210の種々の走査位置でビームスキャナー210の中心から放出するペンシルビームを形成する。一般に、主光線はビームスキャナー210の最終偏向点から放出するペンシルビームを形成する。それというのも、ビームスキャナー210はいくつかのデフレクタおよび/またはミラーから構成されていてもよいからである。本発明によれば、(a)ビームスキャナー210の最終偏向点は、移動可能な台213に取り付けられたスキャナーレンズ215のほぼ後焦点面に配置され、かつ(b)ビームスキャナー210は、ビームスキャナー210の最終偏向点がスキャナーレンズ215のほぼすべての集束位置のためにほぼスキャナーレンズ215の後焦点面に位置することを保証するために、スキャナーレンズ215の移動可能な台に不動に固定されている。その結果として、光束はスキャナーレンズ215によりコリメートされる。次いで、コリメートされ光はビームスプリッター220に入射し、該ビームスプリッター220はこれを接眼レンズ100に導く。接眼レンズ100は、これに入射するコリメートされた光が眼の瞳1020に集束するように配置されている。最終的に、サンプルビームは眼の光学系1000により眼底1010に集束される。従って、本発明によれば、ビームスキャナー210の最終偏向点は、接眼レンズ100とスキャナーレンズ215の間のコリメートされた空間に基づき、すべての集束位置に対して眼の瞳孔1020に結像される。このことが行われない場合は、口径食が生じ、それによりサンプルビーム200の走査は眼の瞳孔1020により制限される。容易に認識できるように、図3に示された構成を使用するためには、照明ビーム180を集束するために物理的に眼底カメラ4000を移動させ、観察光路を集束するために内側集束レンズ120を調節し、かつサンプルビームを集束するためにスキャナーレンズ215を調節しなければならない。接眼レンズ100の焦点を眼の瞳孔1020に結像する、ビームスキャナー210の最終偏向点は、幾何学的ビームスプリッター170の面で接眼レンズ100から一定の距離に配置された照明源の中間像と同じ面に正確には集束しないことに留意すべきである。しかしながらこのことは重要でない、それというのも接眼レンズ100と幾何学的ビームスプリッター170の距離は接眼レンズ100の焦点距離に比べて長くすることができ、従って照明源150の像はビームスキャナー210の最終偏向点とほとんど同じ面に存在するからである。もちろん当業者には、最終偏向点という語が単一の点に限定されず、サンプルビームの主光線がビームスキャナーで最終的に偏向する部分を含むということは容易に認識されるはずである。
【0016】
図4は本発明の1実施例を構成するために利用されるビームスプリッター装置の一部分を示す構成図である。ビームスプリッター220を眼底カメラ4000に組み込むことにより、眼底カメラ4000の光軸の平行移動が生じる。眼底カメラにおいて、照明光学は、接眼レンズ100の頂点が照明されないように設計されている。このことは接眼レンズ100から観察光路への逆反射を避けるために行われる。ビームスプリッター220を使用することにより、照明円錐が移動し、光ビームは接眼レンズ100の頂点に入射することができ、それにより誤った光が観察光路に反射することが生じる。図4に示されるように、このことは補償板230を使用することにより回避される。補償板230の厚さおよび傾斜角度は、ビームスプリッター220により引き起こされる光軸の移動を補償するために当業者に周知の方法により決定される。また、補償板230は傾斜したビームスプリッター板220により生じるコマ収差を排除する。
【0017】
図5は、図2に示された眼底カメラ4000に接続して使用するための本発明の有利な実施例を示す。図5に示されるように、OCTサンプルビーム200は内側集束レンズ120の後方で眼底カメラ4000に結合される。また図5に示されるように、サンプルビーム200はビームスキャナー210に入射し、このビームスキャナーはサンプルビーム200をビームスプリッター290に反射する。ビームスプリッター290はサンプルビームを内側集束レンズ120に反射する。サンプルビーム200の主光線は、ビームスキャナー210の種々の走査位置で、ビームスキャナー210の中心から放出されるペンシルビームを形成する。一般に、主光線はビームスキャナー210の最終偏向点から放出されるペンシルビームを形成する。それというのも、ビームスキャナー210はいくつかのデフレクタおよび/またはミラーから構成されていてもよいからである。本発明によれば、(a)ビームスキャナー210の最終偏向点は内側集束レンズ120のほぼ後焦点面に配置されている、および(b)ビームスプリッター290の支持部材281およびビームスキャナー210の支持部材287はすべていっしょに運動するように内側集束レンズ120に固定結合されている。このことは、ビームスキャナー210の最終偏向点が内側集束レンズ120のほとんどすべての集束位置に対して内側集束レンズ120のほぼ後焦点面に配置されることを保証する。その結果として、このペンシルビームは内側集束レンズ120によりコリーメトされ、リレーレンズ110により幾何学的ビームスプリッター170の平面に集束する。引き続き、接眼レンズ100はペンシルビームを眼の瞳孔1020に集束する。従って、コリメートされたサンプルビーム200は内側集束レンズ120により、CCDターゲット140と共役である中間像平面111に集束される。リレーレンズ110は中間像111を、正視の眼の場合接眼レンズ100の後焦点面に等しい中間像面113に結像する。引き続き、接眼レンズ100および眼の光学系1000はサンプルビームを眼底1010に集束する。ビームスプリッター290の支持部材281およびビームスキャナー210の支持部材287はすべていっしょに運動するように内側集束レンズ120に固定結合されているので、ビームスキャナー210の最終偏向点は、内側集束レンズ120の位置に依存して、幾何学的ビームスプリッター170の平面に常に結像される。従って、サンプルビームの走査は幾何学的ビームスプリッター170の開口絞りにより口径食作用を受けない。図5に示された前記の有利な実施例は以下の理由から有利である:(a)図3の走査レンズ215の使用が回避される、および(b)サンプルビームおよび観察光路がいっしょに集束される。
【0018】
本発明のもう1つの実施態様によれば、一方が照明光路に、他方が眼底カメラの観察光路に存在する交差した偏光子を利用する。照明光路の偏光子はほぼ線形に偏光した光を生じ、観察光路内の交差した偏光子は、角膜または接眼レンズ100により反射される照明光路からの光を排除する。眼底はまず散乱するので、本来偏光されない光を生じる。その結果として、観察光路に交差した偏光子が存在することにより、角膜または接眼レンズ100により反射される照明光路からの光と比較すると、眼底から反射される信号が増加する。本発明のこの実施態様は、観察光路に入射する接眼レンズからの反射を減少するために接眼レンズ100を傾斜させる従来の技術水準より優れている。本発明の優れた点は、接眼レンズ100を傾斜させることはサンプルビームの口径食を生じるという事実に起因する。
【0019】
図5に示された本発明のもう1つの実施態様によれば、接眼レンズ100からの反射は、レンズ160と光源150の間にビーム185内の物理的絞り161を配置することにより除去される。物理的絞り161は接眼レンズ100に結像し、照明の中空の円錐を形成する。その結果として、接眼レンズ100は中心部で照明されない。
【0020】
本発明のもう1つの実施態様は、眼底カメラ4000の検査装置の検査領域が制限されるという事実により惹起される問題の解決に係わるものである。この問題の結果として、被検領域を眼底カメラの検査領域の中心に移動するために患者の眼を回転させなければならない。このことは技術水準によれば、患者の他方の眼、すなわち検査していない眼に外部に固定した光を照射することにより行われる。しかしながら、本発明によれば、新たな被検領域が中心に位置し、OCTサンプルビームにより走査することができるように患者の眼を誘導するために内部の固定ターゲットを使用する。内部の固定眼標は、たとえば針のような物体を眼底の中間像内に配置することにより達成される。このことを実施するために、たとえば物体を図5に示されている照明光路内の、物理的絞り161および光源150の間に配置する。この場合、患者は観察光路を遮断することなく物体の陰影を視覚する。物体の使用に対して選択的に、可視の光源、たとえば可視LEDを眼底カメラのビデオポートの像面に配置する。本発明によれば、光源はCCDターゲット140に共役な像面に配置された台でxおよびy方向に手動可能の板に固定されている。実際には、光源は鏡胴レンズ130と内側集束レンズ120の間でたとえばビームスプリッターによりカメラに結合される。
【0021】
優れたOCDRを提供するためには、眼のすばやい動きのために像捕捉時間はきわめて短くなければならない。技術水準に記載の装置の像捕捉速度は参照ミラーの伝達工程の最高速度によりおよび参照ミラーの移動の振幅により制限される。OCDRによれば、この振幅はサンプル、試料、たとえば網膜の厚さの範囲内になければならない。しかしながら、実際には必要な正確さをもって眼底に集束する困難を克服するためにはより大きな振幅を選択することが必要である。技術水準のトランスレーションステージはのこぎり歯状の電圧で駆動される。しかしながら、高い周波数のために、機械的系の応答は多かれ少なかれ正弦曲線状になる。それというのも、のこぎり歯関数の高い振動数成分は減衰機械的系により伝達されないからである。これはOCDRの重大な欠点である。それというのも、ヘテロダイン信号は検出系の1/fノイズを排除するために帯域濾波されるからである。参照ミラーの移動によりドップラーシフトが正弦式に変動すると、検出系のデューティサイクルはかなり減少する。それというのも、ドップラーシフトした信号が帯域フィルタにフィットするミラー振動の位相でのみ信号が帯域フィルタを通過するからである。
【0022】
図6は、OCTに利用されるOCDRの有利な実施態様を示す。図6に示されるように、光源401、たとえばスーパールミネセンスダイオードから放出されるビーム500はビームスプリッター402により参照ビーム510とサンプルビーム520に分割される。参照ビーム510は(a)回転ガラス板403を通過し、(b)再帰反射プリズム404に衝突し、逆反射し、垂直に相殺され、かつ(c)ガラス板403を再び通過する。ガラス板403は同じ長さの4つの平面を有し、以下に記載の方法で光光路内の周期的な変化を引き起こす。サンプルビーム520はミラー415で反射され、ガラス板を参照ビーム510に対して45度の角度で通過する。サンプルビームは再帰反射プリズム406に衝突し、ガラス板403を通過して更に深い面に逆反射し、従ってミラー415の下を通過し、ミラー417に衝突する。ガラス板403は光光路内の周期的な変化を引き起こし、この変化は参照ビーム510の周期と同じ周期を有し、45度で相殺される。参照ビーム510とサンプルビーム520との生じる光路差は線状である。更にガラス板403は対称であり、参照ビーム510とサンプルビーム520との角度はほぼ45度に等しいので、対称性の、のこぎり歯状の光路変化が得られ、従って一定のドップラー振動数が得られる。ドップラー振動数はf=2v/cで示され、式中のcは光の速度であり、vは以下に記載する光路長差速度である。有利には本発明により、ガラス板403が対称の4つの面の多角形であるという事実により、のこぎり歯状の光路長変化が達成されることが導かれる。更に本発明により、参照ビーム510とサンプルビーム520の角度がほぼ45度に等しいという事実によりのこぎり歯が対称であることが導かれる。
【0023】
更に図6に示されるように、サンプルビーム520は、図3および図5に関して説明したサンプルビーム200内にミラー417により偏向される。たとえば図8は図5および図6に示された装置の組み合わせから構成された本発明の1実施例を示す。当業者が容易に理解できるように、サンプルビームは光ファイバに導入することもできる。眼底カメラ1010からの反射はビームスプリッター409およびミラー410によりビームスプリッター411に偏向される。次いで、反射されたサンプルビームはミラー412により反射される参照ビーム510と重ね合わせられる(ミラー412は光源401から放出されるビーム500の下に配置されている)。最終的に、検出器413および414は周期的な干渉信号を時間の関数としておよびドップラー周波数に等しい周波数で技術水準に記載された方法で測定する。2つの信号の位相の差は180度であり、この差は、信号/ノイズ比を高めるために2つの信号を加えることができるように、当業者に周知の方法により補償される。
【0024】
図6に示しかつすでに記載した装置は、OCT眼底結像装置に利用されるが、この装置を広い捕獲範囲を有するオートフォーカス系のためのレンジング装置、ミクロンの解像力を有する表面トポグラフィーの測定のための距離センサ等に利用できることも本発明による思想の範囲内である。
【0025】
図7はガラス板403および再帰反射プリズム404の種々の方向からの図を示す。ガラス板403は回転し、ガラス表面Iが入射ビーム510に対して垂直である場合回転角φをゼロであると定義する。図7に示されるように、入射ビーム510はガラス表面Iで角度φ′で屈折し、この角度はスネルの法則:
sinφ′=sin(φ)/n
(式中のnはガラス板403の屈折率を表す)によりガラス板403の回転角φに相関する。
【0026】
ビーム510はガラス板403を通過し、表面IIで再び屈折する。対称性の理由から、出射ビームは入射ビームに平行である。出射ビームは、出射ビームに垂直に配置された再帰反射プリズム404に衝突する。その結果として、出射ビームは、図7の再帰反射プリズム404の側面図に示されるように、オフセットsだけ入射ビームの面よりも深い位置にある面内のガラス板403に向かって逆反射される。従って、ビームはもう一度ガラス板を、但し深い位置を通過する。この光路の長さは、ビーム510が非傾斜位置のガラス板403を通過する場合に通る光路長に匹敵すべきである。
【0027】
ガラス板403の非傾斜位置および傾斜位置の光路差は、回転角φの関数であり、以下の方程式:
W(φ)=D(n−1)−nD/cosφ′+Dcos(φ−φ′)cosφ′
(式中、Dはガラス板403の側面の長さであり、かつφ′= arcsin(sin(φ)/n))で表される回転角φの関数である。光路長の差は、φの非線形関数である。
【0028】
しかしながら、サンプルビーム520はガラス板403を参照ビーム510に対して45度の角度で通過する。ガラス板403の回転によるサンプルビーム520の光路長の変化は参照ビーム510に関してすでに述べたものと同じであるが、但しオフセットはπ/4である。しかしながら、参照ビーム510とサンプルビーム520に関して生じる光路長の変化はほぼ線形であり、かつガラス板403の対称性および参照ビーム510とサンプルビーム520との角度がほぼ45度に等しいという事実のために、対称なのこぎり歯状の光路変化が得られる。光路長差速度は、ガラス板403の角速度を掛けた、W(φ)−W(φ−π/4)の変化速度とφの積に等しい。
【0029】
本発明の有利な実施例においては、ビームスプリッター220および290は、サンプルビームの範囲内の波長を反射し、かつほかの波長を透過するための当業者に周知のダイクロイックビームスプリッターである。しかしながら、本発明の選択的な実施態様においては、ビームスプリッター220および290は、サンプルビームの範囲内の波長のみを反射し、ほかの波長を透過する当業者に周知のマイナスフィルターにより代用することができる。
【0030】
当業者にとっては、前記の記載は説明および記述のためにのみ行ったことは自明である。従って、前記の記載は排他的でなく、または本発明を開示した構成に制限するものでない。たとえば、本発明の思想の範囲内にあるとみなされる前記の教示を考慮して変形および変更が可能である。従って、特許請求の範囲は、本発明の真の範囲および思想に包含されるすべての変形および変更例を包括するものであると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】スリットランプ・バイオ顕微鏡を利用した技術水準のOCT装置の構成図である。
【図2】眼底カメラの構成図である。
【図3】図2に示された眼底カメラに接続して使用するための本発明の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明による1実施例を構成するために利用されるビームスプリッター装置の一部分を示す構成図である。
【図5】図2に示された眼底カメラと接続して使用するための本発明の有利な1実施例の構成図である。
【図6】OCTに利用されるOCDRの有利な1実施例を示す図である。
【図7】ガラス板403および異なる側面から見た再帰反射プリズム404を示す図である。
【図8】図5および図6に示された装置の組み合わせから構成された本発明の1実施例の構成図である。
【符号の説明】
100 接眼レンズ、 110 リレーレンズ、 120 内側集束レンズ、130 鏡胴レンズ、 170 ビームスプリッター、 200 サンプルビーム、 210 ビームスキャナー、 215 スキャナーレンズ、 220 ビームスプリッター、 1010 眼底

Claims (14)

  1. 光学的コヒーレンス断層撮影法の眼底カメラに使用するためのビームスキャナー(210)からの放射出力ビームを用いて眼底を照明する装置において、前記装置が
    サンプルビームに曝露されて走査サンプルビームを生じるビームスキャナー(210)と、
    ビームスキャナーの最終偏向点から放出される放射出力ビームの主光線を含む、放射出力ビームからの放射を伝達する手段(220,290)と、
    放射出力ビームが眼底に集束されるように前記伝達された放射を集束する手段(100、110)とからなり、
    前記伝達する手段(220,290)がレンズ手段(215,120)からなり、該レンズ手段は、最終偏向点が実質的に前記レンズ手段(215,120)の後焦点面に位置するビームスキャナー(210)を基準として固定されており、かつ前記レンズ手段(215,120)が可動であり、
    光源(150)および接眼レンズ(100)を有する眼底カメラが用意され、前記伝達された放射を集束する手段が前記接眼レンズ(100)を有し、
    前記伝達された放射を導く手段が前記接眼レンズに前記伝達された放射を入射することを特徴とする、光学的コヒーレンス断層撮影法の眼底カメラに使用するためのビームスキャナーからの放射出力ビームを用いて眼底を照明する装置。
  2. 伝達する手段が更に、レンズ装置からの出力を接眼レンズに導くビームスプリッタからなる請求項1記載の装置。
  3. 更に、ビームスプリッターによる眼底カメラの光軸の移動を補償するために眼底カメラに配置された補償板からなる請求項2記載の装置。
  4. 請求項1記載の、走査サンプル放射ビームがサンプルビームに曝露されるビームスキャナーから放出される形式の、走査サンプル放射ビームを用いて眼底を照明する装置において、
    ビームスキャナーの最終偏向点から放出されるサンプルビームの主光線を含む、走査サンプルビームからの放射を伝達する手段と、
    走査サンプルビームが眼により眼底に集束されるように前記の伝達された放射を集束する手段とからなり、
    前記伝達する手段は、最終偏向点が実質的に前記集束手段の第1の部分の後焦点面に位置するようにビームスキャナーおよび集束手段の第1の部分を基準として固定されており、かつ前記集束手段の第1の部分が可動であることを特徴とする、請求項1記載の走査サンプル放射ビームを用いて眼底を照明する装置。
  5. 集束する手段の第1部分の1つが眼底カメラの内側集束レンズ(120)からなる請求項4記載の装置。
  6. 伝達する手段が、走査サンプルビームを内側集束レンズに入射するように導くために配置されたビームスプリッターからなる請求項5記載の装置。
  7. 更に、眼底カメラの接眼レンズに入射する照明放射の中空円錐を提供するための、眼底カメラの照明光路内に配置された光絞り手段からなる請求項5記載の装置。
  8. 更に、眼底カメラの接眼レンズに入射する照明放射の中空円錐を提供するための、眼底カメラの照明光路内に配置された光絞り手段からなる請求項1記載の装置。
  9. 更に、照明ビーム内の放射を実質的に直線偏光するために眼底カメラの照明光路に配置された直線偏光手段と、眼底カメラの観察光路内に配置された直線偏光手段とからなり、後者の直線偏光の方向が照明手段に配置された手段の直線偏光の方向に実質的に直交する請求項5記載の装置。
  10. 更に、照明ビーム内の放射を実質的に直線偏光するために眼底カメラの照明光路に配置された直線偏光手段と、眼底カメラの観察光路内に配置された直線偏光手段とからなり、後者の直線偏光の方向が照明手段に配置された手段の直線偏光の方向に実質的に直交する請求項1記載の装置。
  11. 更に、眼底カメラの照明光路内の接眼レンズの後方に形成された眼底の中間像に固定ターゲットを配置する手段からなる請求項5記載の装置。
  12. 更に、眼底カメラの照明光路内の接眼レンズの後方に形成された眼底の中間像に固定ターゲットを配置する手段からなる請求項1記載の装置。
  13. 更に、眼底カメラのビデオポートの像面に可視光源を配置する手段からなり、該可視光源が可動である請求項5記載の装置。
  14. 請求項1から13までのいずれか1項記載の装置のほかに更にドップラーシフターを有する光学的コヒーレンス断層撮影法で使用するための装置において、前記ドップラーシフターが、
    ビームを参照ビームとサンプルビームに分ける手段;
    正方形に形成された実質的に同じ長さの4つの辺を有する回転可能な、屈折性の、光を伝達するブロックと;
    該ブロックを回転させる手段;
    参照ビームを参照方向でブロックに入射させるように参照ビームを導く手段およびサンプルビームをサンプル方向でブロックに入射させるようにサンプルビームを導く手段、この場合前記参照方向とサンプル方向は互いに対してほぼ45度の角度で配置されている;および
    前記ブロックを通過して後方に放出されるサンプルビームおよび参照ビームを反射させるために該ブロックの後方に配置された第1および第2の反射手段からなることを特徴とする、ドップラーシフターを有する光学的コヒーレンス断層撮影法に使用するための装置。
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