しかしながら、上述の文献に開示されている波面センサの外科手術での使用は限定的であるにすぎない。なぜなら、外科手術は、物体と物体の最も近くに位置する光学的構成要素との間の距離が短くなければならないためである。
したがって、本発明の目的は、外科手術での使用に適した、波面センサを有する光学測定システムを提供することである。特に、本発明の目的は、目の手術、特に白内障の手術での使用に適した、波面センサを有する測定システムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、物体から発せられる波面を分析することによって物体を検査できるようにする、波面センサとOCTシステムとを有する光学測定システムを提供することであり、この分析は、三次元構造のデータセットを測定することによって行なわれる。測定システムはさらに、外科手術に適していなければならない。
本発明の実施例は、外科手術を行なうために十分な作業空間を外科医に与える光学測定システム、特に目の手術用の測定システムを提供する。
本発明の実施例によれば、光学測定システムを提供し、この光学測定システムは、波面センサの入口領域において測定光の波面の形状を特徴付けるための波面センサと、測定光を用いて波面センサの入口領域上に物体領域を結像するための第1の光学アセンブリおよび第2の光学アセンブリを有する結像光学部材とを備え、1.1*f≦dの関係が成立し、fは、第1の光学アセンブリの焦点距離を表わし、dは、物体領域と第1の光学アセンブリとの間の距離を表わす。
波面センサは、屈折または回折光学素子の広範囲にわたるアレイを備えていてもよい。この光学素子のアレイは、特にマイクロレンズのアレイであってもよい。これらの屈折または回折光学素子の各々は、測定光が焦点面において集束されるように設計される。屈折または回折光学素子の個々の焦点面から形成される共通の焦点面には、位置高感度型光センサが設けられる。位置高感度型光センサは、たとえば、CCDカメラおよび/またはCMOSセンサまたはその他の光敏感型センサであってもよい。特に、位置高感度型光センサは、空間強度分布を解像するように構成されてもよい。位置高感度型光検出器は、波面センサの光軸に垂直に向けられた平面に配置されてもよい。波面センサの入口領域は、屈折または回折光学素子のアレイが配置されている領域によって規定されてもよい。特に、この領域は、平面の形状を有していてもよい。この平面は、たとえば、屈折または回折光学素子の光学的境界面に平面を合わせることによって規定されてもよく、光学的境界面は、位置高感度型光センサから最も遠く離れて位置する波面センサのそれらの光学面を備える。
波面センサに入射する測定光の波面の形状に応じて、この波面の光線束は、屈折または回折光学素子のアレイによって位置高感度型光検出器上の対応する領域のアレイ上に結像される。これらの集束された光線束の領域は、特に楕円または円の形状を有していてもよい。対応する屈折または回折光学素子の横方向位置に対する各領域の平均的位置または質量中心の位置は、それぞれの屈折または回折光学素子の光線束の局部的な傾きまたは傾斜を表わし、波面センサに入射する波面はこの光線束を備える。
位置高感度型光センサは、特に、複数のセンサセグメントまたは画素を備えていてもよい。各検出器セグメントに入射する光強度に応じて、波面センサが電気信号を発生させる。次いで、これらの電気信号は処理ユニットに伝送される。処理ユニットは、集束された光線束の位置を電気信号から判断するように構成される。この位置は、特に、中心または質量中心の位置であってもよく、たとえばいくつかの検出器セグメントにわたって広がっており、波面センサの屈折または回折光学素子のうちの1つを横断した、集束された入射光線束によって形成される領域の質量中心であってもよい。
本発明の実施例によれば、波面センサはハートマン−シャックセンサである。代替的に、波面センサは、たとえば、干渉計、典型的なハートマンテスト、ロンチテスト、タルボット干渉法、または位相回復法であってもよい。さらに、光学測定システムは、患者の目の起こり得る非点収差が可変円柱レンズによって事前補償されるように構成されてもよい。円柱レンズは、回転可能に支持されてもよい。たとえば、円柱レンズは液体レンズであってもよい。
光学測定システムは、検査中の物体を照射するための光源をさらに備えていてもよい。特に、測定システムは、検査中の目の網膜の領域を照射するように構成されてもよく、この領域はできる限り小さい。実質的に平行または球状の測定光の波面は、検査中の目に入射し得て、波面が検査中の目の角膜、レンズおよび硝子体を横断した後、波面は実質的に球状の波面として網膜に入射する。それによって、小さな範囲を有する網膜の領域が照射される。検査中の目の屈折異常に応じて、この領域は円または楕円の形状を有していてもよい。楕円の主軸の長さの差は、検査中の目の非点収差とともに増大し得る。
検査中の目から発せられる波面の形状を測定するために、波面は波面センサの入口領域上に向けられる。この目的で、光学測定システムは、第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとを有する結像光学部材を備える。光学アセンブリは、ミラーおよび/またはレンズおよび/または格子および/または1つ以上の電子的もしくは機械的に制御可能な可変レンズもしくはミラーなどの、屈折光学素子、回折光学素子のうちの1つまたはそれらの組合せを備えていてもよく、これらは、形状を変えることによって光学屈折力が適合可能であるように設計されてもよい。光学アセンブリの光学的構成要素は、接合素子、または代替的に、レンズ取付台を用いて取付けられた個々のレンズおよび/もしくは接合素子などのように、互いに対して固定された位置を有していてもよい。
第1の光学アセンブリの焦点領域におけるある点から異なる方向に発せられる光は、第1の光学アセンブリを横断することによって、実質的に平行な光線からなる光束に変形される。この事実によって、第1の光学アセンブリの焦点領域の位置が判断可能である。焦点領域は、特に、第1の光学アセンブリの光軸に垂直に位置する平面の形状を有していてもよい。この場合、焦点領域は焦点面と呼ぶことができる。第1の光学アセンブリの焦点は、第1の光学アセンブリの光軸が焦点面と交差する点として規定されてもよい。第1の光学アセンブリの焦点を通り、光軸と小さな角度をなす入射光線は、第1の光学アセンブリによって、第1の光学アセンブリの光軸に平行に進む出射光ビームに変形される。広がった出射光ビームが広がった入射光ビームと交差する点は、第1の光学アセンブリの主平面に位置する。第1の光学アセンブリの焦点距離fは、第1の光学アセンブリの主平面と第1の光学アセンブリの焦点面との間の距離によって規定される。
物体領域と第1の光学アセンブリとの間の距離dは、物体領域と第1の光学アセンブリの構成要素の光学面との間の距離によって規定され、この光学面は、測定光のビーム経路に沿って物体領域の最も近くに位置する第1の光学アセンブリの構成要素の光学面に相当し得る。第1の光学アセンブリのこの構成要素は、レンズ、すなわち屈折力が0よりも大きな構成要素の効果を有する光学的構成要素である。特に、この構成要素は、測定光の波面の形状を変更しない平行平面板またはその他の形態の構成要素ではない。したがって、dよりも小さな距離だけ物体領域から距離を置いて、測定光のビーム経路において物体領域と第1の光学アセンブリとの間に、さらなる光学的構成要素が配置されてもよい。これらのさらなる光学的構成要素の屈折力は、0であってもよく、または、第1の光学アセンブリの屈折力の5%よりも小さい、特に1%よりも小さいなどの、第1の光学的構成要素の屈折力と比較して小さな屈折力であってもよい。第1の光学アセンブリの屈折力は、焦点距離の逆数、すなわち1/fで示される。
それによって、距離dは、第1の光学アセンブリと検査中の物体との間の自由空間を表わす。この自由空間は時には作業空間と呼ばれ、距離dは時には作業距離と呼ばれる。条件1.1*f≦dを満たすことによって、作業距離dが第1の光学アセンブリの焦点距離fよりも確実に大きくなる。それによって、dが増大することによって作業距離が増大し、これは、外科手術、特に人間の目に対して行なわれる外科手術の際に特に有利である。
本発明の実施例によれば、1.5*f≦d、特に1.75*f≦d、特に2*f≦dが成立する。特定の用途では、第1の光学アセンブリの比較的小さな焦点距離を与えることは有利である。この場合にも、外科手術を行なうために十分に大きな作業距離を得ることができる。
本発明の実施例によれば、d≧150ミリメートルが成立し、特にd≧175ミリメートルが成立し、さらに特にd≧190ミリメートルが成立する。このような作業距離によって、さまざまな要件、特に目の手術を行なうことに起因する要件下で外科手術を行なうことができるようになる。さらなる実施例によれば、d≦500ミリメートルが成立し、特にd≦300ミリメートルが成立し、さらに特にd≦200ミリメートルが成立する。
本発明の実施例によれば、第1の光学アセンブリおよび第2の光学アセンブリのうちの少なくとも1つが屈折光学アセンブリ、特にレンズアセンブリである。レンズアセンブリは、1つ以上のレンズを備えるレンズの組である。レンズアセンブリは、接合素子からなっていてもよい。レンズアセンブリのレンズは、互いに対して固定された位置に配置されてもよい。
本発明の実施例によれば、光学測定システムは、波面センサの入口領域とは異なる画像領域上に顕微鏡のビーム経路に沿って物体領域を結像するように配置され、構成された第3の光学アセンブリをさらに備える。それによって、波面の分析を行なうことに加えて、物体領域の光学顕微鏡検査を行なうことが可能である。光学顕微鏡検査を行なうことは、外科手術を行なっている最中には特に役立つ。
本発明の実施例によれば、物体領域は、第1の光学アセンブリの焦点領域に位置する。
本発明の実施例によれば、第1の光学アセンブリは、互いに距離を置いて位置する第1の光学サブアセンブリおよび第2の光学サブアセンブリを備える。第1の光学アセンブリは、第1の光学サブアセンブリおよび第2の光学サブアセンブリからなっている。特に、第1の光学サブアセンブリおよび第2の光学サブアセンブリは、互いに対して固定された位置に配置される。
本発明の実施例によれば、第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間の測定光のビーム経路に沿って測定光が横断する光学経路は適合可能である。光学経路の適合性は、検査中の人間の目の球面収差が事前補償可能であるという利点を有する。それによって、波面センサに入射する波面の曲率を最小化し、それによって波面センサの測定範囲またはダイナミックレンジを大きくすることが可能である。第1の光学アセンブリに入射するときに測定光の波面が球状形状を有する場合、波面センサの入口領域における波面は、実質的に平面の形状を有する波面に変形されてもよい。この変形は、第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間の光学経路を増大させるまたは減少させることによって、特に第1の光学アセンブリの第2の光学サブアセンブリと第2の光学アセンブリとの間の光学経路を増大させるまたは減少させることによって適合されてもよい。
第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間の光学経路を変えたとしても、第1の光学サブアセンブリおよび第2の光学サブアセンブリからなっていてもよい第1の光学アセンブリの焦点領域は依然として波面センサの入口領域上に結像される。光学経路の変更は、第2の光学アセンブリに対して第2の光学サブアセンブリを移動させる/変位させることを備えていてもよい。光学経路を変えるためのアクチュエータが設けられていてもよく、このアクチュエータは、第2の光学アセンブリに対して第2の光学サブアセンブリを変位させるための駆動力を与えるように設計される。アクチュエータは、スクリュのような作動機構などの、変位のための駆動力を伝達するように構成され得るモータまたはアクチュエータであってもよい。変位は、トラックまたはガイドに沿って行なわれてもよい。変位距離などの変位量は、検出器によって検出され測定されてもよい。アクチュエータは、コントローラがアクチュエータを起動させることができるようにコントローラと信号通信してもよい。コントローラは、この屈折異常を事前補償するために検査中の目の球面収差の量と変位距離との変換を行なうことができるようにする較正曲線を備えていてもよく、または、較正曲線を利用してもよい。較正曲線を用いることによって、検査中の目の公知の屈折異常に基づいて第2の光学アセンブリに対して第2の光学サブアセンブリを変位させるためのアクチュエータを制御することが可能である。
本発明の実施例によれば、眼科手術用測定システムは、物体領域に配置された目から発せられる測定光の波面の形状を特徴付けるように構成され、第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間の光学経路を変えることによって、目は−5dpt(ジオプタ)〜+25dpt(ジオプタ)の球面収差を有する。目の球面収差の符号は、無水晶体眼、すなわち水晶体を取外した状態の目が約+20dptの球面収差を有するように規定される。
本発明の実施例によれば、光学測定システムは、特に180°だけ測定光を偏向させるための反射器をさらに備え、この反射器は、測定光が横断する光学経路を変えるために測定光のビーム経路において第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間に変位可能に配置される。特に、反射器は、測定光のビーム経路において第1の光学アセンブリの第2の光学サブアセンブリと第2の光学アセンブリとの間に変位可能に配置される。
本発明の実施例によれば、反射器は、0とは異なる角度で配置された少なくとも2つのミラー面を備える。反射器は、たとえば2つまたは3つのミラーを備えていてもよく、反射器はさらなる反射面を備えていない。好ましい偏光挙動のためにちょうど2つのミラーを用いることが有利である。
本発明の実施例によれば、光学測定システムは、測定光のビーム経路において第1の光学アセンブリ(特に、第1の光学アセンブリの第2の光学サブアセンブリ)と第2の光学アセンブリとの間に配置された再帰反射器をさらに備える。再帰反射器は、測定光の伝搬方向を実質的に逆にする光学システムである。この特徴は、再帰反射器に対する測定光の伝搬方向の向きから実質的に独立している。一例として、測定光は、入射する測定光のビーム経路に沿って再帰反射器によって反射されるのではなく、入射する測定光のビーム経路に対して横方向に変位した経路に沿って再帰反射器によって反射される。第2の光学サブアセンブリと第2の光学アセンブリとの間に再帰反射器を配置することで、再帰反射器を変位させることによって第2の光学サブアセンブリと第2の光学アセンブリとの間の光学経路を変えることが可能である。第1の光学アセンブリの光軸に平行な方向に距離1だけ再帰反射器を変位させることによって、第2の光学サブアセンブリと第2の光学アセンブリとの間の光学経路が2*n*1だけ増大または減少する結果となり、ここでnは、第2の光学サブアセンブリと第2の光学アセンブリとの間の測定光のビーム経路内の媒体の屈折率を表わす。再帰反射器を設けることによって、大きさが非常にコンパクトな光学測定システムを設計することができるようになる。これによって、ひいては、光学測定システムを顕微鏡システム内または顕微鏡システム下に取付けることができるようになる。
本発明の実施例によれば、再帰反射器はコーナキューブを備える。コーナキューブは、実質的に三角錐の形状を有する透明体を備える。三角錐は、互いに垂直に向けられた3つの三角形を備えていてもよく、その各々が二等辺三角形、直角三角形の形状をしており、さらには正三角形の形状の面である。このコーナキューブによって、入射する光ビームが3つの面でコーナキューブによって反射される。ミラーリングプロセスは、全内部反射によって生じ得る。しかしながら、たとえば金属製コーティングを塗布することによって、ミラーリングプロセスが起こる面に反射コーティングを塗布することも考えられる。それによって、光の起こり得る偏光が異なった態様で影響を受ける。
本発明の実施例によれば、光学測定システムは、波面センサの入口領域と第2の光学アセンブリとの間に配置されたビームスプリッタをさらに備える。ビームスプリッタは、偏光ビームスプリッタとして設計されてもよい。ビームスプリッタは、有利に、測定光をビーム経路に結合するために用いられてもよい。したがって、ビームスプリッタから第1の光学アセンブリの焦点領域における物体に向かう途中の測定光は、ビームスプリッタに向かう途中で物体から発せられる光と実質的に同一の経路を横断する。ビームスプリッタから物体に向かう途中で、測定光は第2の光学アセンブリおよび第1の光学アセンブリ(特に、第1の光学アセンブリの第1の光学サブアセンブリおよび第2の光学サブアセンブリ)を横断する。物体からビームスプリッタに向かう途中で、測定光は、第1の光学アセンブリ(特に、第1の光学アセンブリの第1の光学サブアセンブリおよび第2の光学サブアセンブリ)および第2の光学アセンブリを横断する。さらに、測定光は、ビームスプリッタから物体に向かう途中で測定光が横断しないビーム経路の部分に沿って波面センサに到達する。それによって、球面収差を有する検査中の目の場合、目を照射する測定光は測定光の波面の曲率に関して適合可能であり、その結果、検査中の目の網膜上の照射スポットができる限り小さくなることが特に確実になる。これは、第2の光学アセンブリと第2の光学サブアセンブリとの間の光学経路を変えることによって行なわれてもよい。
本発明の実施例によれば、d(1,2)≧f1*d/(d−f1)の関係が成立し、d(1,2)は、第1の光学サブアセンブリの構成要素と第2の光学サブアセンブリの構成要素との間の距離を表わし、f1は、第1の光学サブアセンブリの焦点距離を表わす。第1の光学サブアセンブリおよび第2の光学サブアセンブリは、特に第1の光学アセンブリの光軸に沿って互いに距離を置いて位置しており、その結果、第1の光学アセンブリの焦点領域における点から発せられる光ビームは、第1の光学サブアセンブリを横切った後、第1の光学サブアセンブリと第2の光学サブアセンブリとの間で交差する。このような交差の領域に、特に第1の光学アセンブリの焦点領域に配置された物体領域の中間画像が形成される。d(1,2)は、第1の光学サブアセンブリの構成要素の光学面と第2の光学サブアセンブリの構成要素の光学面との間の、第1の光学アセンブリの光軸に沿った距離を表わし、構成要素は両方とも0とは異なる屈折力を有し、光学的構成要素は両方とも、それぞれ、互いからの距離が最小である第1および第2の光学サブアセンブリのそれらの光学的構成要素である。
本発明の実施例によれば、第1の光学サブアセンブリは、第1のレンズグループ、特に対物レンズと、第1のレンズグループから距離を置いて配置された第2のレンズグループとを備え、顕微鏡ビーム経路は第1の光学サブアセンブリの第1のレンズグループを横断し、第3の光学アセンブリはズームシステムを備える。それによって、波面センサのための測定光のビーム経路および顕微鏡ビーム経路は、第1の光学サブアセンブリの第1のレンズグループを横断する。それによって、波面の分析および同時に光学顕微鏡検査を行なうことができるようにする光学測定システムを提供することが可能であり、第1の光学サブアセンブリの第1のレンズグループは、両方の目的で用いられる。それによって、光学測定システムの構成要素の一体化を行なうことが可能であり、その光学測定システムの大きさがコンパクトになる。
本発明の実施例によれば、折畳み式ミラーのミラー面などのミラー面が、測定光のビーム経路において第1の光学サブアセンブリの第1のレンズグループと第2のレンズグループとの間に配置される。ミラー面は、測定光のビーム経路を顕微鏡ビーム経路から空間的に分離するために設けられる。
本発明の実施例によれば、第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループおよび第2の光学サブアセンブリは、アフォーカル系、特にケプラー式望遠鏡を構成する。平面波面からなる光は、アフォーカル系を横断することによって、これも平面波面からなる光に変形される。ケプラー式望遠鏡は、それぞれ2つのレンズまたはレンズ系からなる光学システムである。2つのレンズは、光軸に沿って互いに距離を置いて配置され、この距離は両方のレンズの焦点距離の合計に対応する。
実施例によれば、物体領域は、第1の光学サブアセンブリの第1のレンズグループの焦点領域に位置する。第1の光学サブアセンブリの第1のレンズグループは、顕微鏡システムの主対物レンズと呼ぶことができる。したがって、物体領域は、顕微鏡システムの主対物レンズの焦点領域に位置する。これは、ズームシステムまたはアイピースなどのさらなる光学的構成要素が主対物レンズの下流で用いられる場合に有利である。
本発明の実施例によれば、第3の光学アセンブリは、対物レンズとズームシステムとを備え、測定光のビーム経路は対物レンズの横断がなく、ミラー面は測定光のビーム経路において物体領域と第1の光学サブアセンブリとの間に配置される。この実施例によれば、上述の光学測定システムの構成要素はいずれも、波面の分析および光学顕微鏡検査の実施のために設けられているのではない。特に、これは、波面の分析のための構成要素が光学顕微鏡システムに着脱可能に取付可能であり、したがって、波面の分析を行なうために取外すことができるように設計されてもよいという利点を有する。さらに、これらの構成要素は、光学顕微鏡システムのかなりの光学的構成要素を必要とすることなく、または、光学顕微鏡システムのかなりの光学的構成要素を適合させる必要なく、異なる光学顕微鏡システムに取付可能であるように設計されてもよい。
本発明の実施例によれば、物体領域は、対物レンズの焦点領域に位置する。
本発明の実施例によれば、物体領域は、第1の光学アセンブリの焦点領域とは異なっている。
本発明の実施例によれば、第1の光学アセンブリおよび第2の光学アセンブリはともに、アフォーカル系、特にケプラー式望遠鏡を構成する。
本発明の実施例によれば、測定光のビーム経路において第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間に、ビームスプリッタが変位可能に配置される。ビームスプリッタを通して、照射光が物体領域に向けられることができる。
本発明の実施例によれば、第1の光学アセンブリと物体領域との間にミラー面(61)が配置される。それによって、光学測定システムは、顕微鏡システムと組合せることができ、ビームスプリッタは、顕微鏡検査のために用いられる光から、波面分析のために測定光を形成する部分を切離す。
本発明の実施例によれば、眼科手術用測定システムは、OCT測定光を発生させるためのOCT光源を有するOCTシステムをさらに備え、OCT測定光が物体領域を照射するために少なくとも第1の光学アセンブリに向けられるように、OCT測定光のビーム経路において第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間または第2の光学アセンブリと波面センサの入口領域との間にOCTビームスプリッタが配置される。OCTビームスプリッタが第1の光学アセンブリと第2の光学アセンブリとの間に配置される場合、OCT測定光は、物体領域を照射するために、第2の光学アセンブリではなく第1の光学アセンブリのみを通るように向けられる。OCTビームスプリッタが第2の光学アセンブリと波面センサの入口領域との間に配置される場合、OCT測定光は、物体領域を照射するために、第1の光学アセンブリおよび第2の光学アセンブリを横断する。OCT測定光はOCTビームスプリッタと相互作用してもよく、この相互作用は、たとえば、透過または反射を備えていてもよい。OCTビームスプリッタは、少なくとも一部において、波面の分析のために用いられる測定光のビーム経路と同一であるようにOCT測定光のビーム経路を配置するように構成されてもよい。それによって、波面の分析のために用いられる測定光は、OCT測定光も横断するまたはOCT測定光も反射されるシステムの構成要素を横断するか、または、それらの構成要素によって反射されてもよく、システムの光学的構成要素は第1の光学アセンブリを備えていてもよい。さらに、これらの構成要素は第2の光学アセンブリも備えていてもよい。それによって、費用対効果が高くかつ大きさがコンパクトな機構を得ることができる。
光干渉断層法(optical coherence tomography)(OCT)は、調査中の物体の異なる深さで光を反射させることによって体積部分における物体の構造情報を得るための、干渉法に基づく方法である。
OCT光源は、波長の可視範囲および/または近赤外範囲における波長を有するOCT測定光を提供するように構成されてもよく、OCT光源の帯域幅は、OCT光源から放出されたOCT測定光のコヒーレンス長が数マイクロメートル〜数十マイクロメートルであるように調整される。OCT光源から放出されたOCT測定光の一部は、ミラー、レンズおよび/または光ファイバを備えるOCTビーム経路に沿って、物体領域に位置する物体に導かれる。OCT測定光は、波長および物体内の材料に応じて、ある特定の侵入深さまで物体に侵入する。侵入したOCT測定光の一部は、物体内の反射率に応じて反射され、OCT光源から放出されかつ参照面で反射されたOCT測定光の第2の部分上に重ね合わせられる。重ね合わせた光は、検出器によって検出され、検出された重ね合わせた光の強度に対応する電気信号に変換される。OCT測定光のコヒーレンス長が比較的短いために、OCT測定光が物体に至るまでおよび物体から戻る際に通った光学経路と、OCT光源によって放出されて参照面によって反射された光の第2の部分が通った光学経路との差がOCT測定光のコヒーレンス長未満であるときにのみ建設的干渉が観察される。
異なる実施例は、OCTシステムの異なる変形例を提供する。OCTシステムの異なる変形例は、構造情報が深さ方向(軸方向)に沿った走査から得られるという点で、および、重ね合わせた光が検出されるという点で、互いに異なっている。時間領域OCT(time domain OCT)(TD−OCT)の実施例によれば、光源が放出した光の第2の部分が反射される参照面は、異なる深さから物体の構造情報を得るために変位している。この場合、重ね合わせた光の強度は、光検出器によって検出されてもよい。
周波数領域OCT(Frequency-Domain-OCT)(FD−OCT)でも、OCT光源が放出するOCT測定光の第2の部分が参照面で反射される。しかしながら、参照面は、物体内の異なる深さから構造情報を得るために変位している必要はない。むしろ、重ね合わせた光は、分光計によってスペクトル部分にスペクトル的に分散され、スペクトル部分は、たとえばCCDカメラなどの位置高感度型検出器によって検出される。重ね合わせた光の得られたスペクトルのフーリエ変換によって、深さ方向に沿った物体の構造情報を得ることができる(フーリエ領域OCT)。
FD−OCTのさらなる変形例は、掃引光源OCT(Swept-Source-OCT)(SS−OCT)である。重ね合わせた光のスペクトルは、帯域幅が非常に狭いOCT測定光の平均波長を連続的に変えることによってシーケンシャルに記録される。同時に、重ね合わせた光は光ダイオードを用いて記録される。
OCTシステムは特に、人間の目の前房もしくは後房、または人間の目の網膜の構造を検査するために用いられてもよい。
本発明の実施例によれば、眼科手術用測定システムは、物体領域上でOCT測定光を走査するためにOCT光源とOCTビームスプリッタとの間に回動可能に配置された少なくとも1つの走査ミラーをさらに備える。OCTシステムは、OCT光源が発生させるOCT測定光を平行にするためのコリメーティング光学部材をさらに備えていてもよい。少なくとも1つの走査ミラーを回動させることによって、平行になったOCT測定光は、集束されたOCT測定ビームとして物体領域上に導かれてもよい。それによって、物体領域の横方向に広がった部分から構造情報を得ることができる。このシステムは、異なる軸の周りを回動可能な2つの走査ミラーなどの2つ以上の走査ミラーを備えていてもよい。
本発明の実施例によれば、少なくとも1つの走査ミラー、第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループおよび第2の光学サブアセンブリは、少なくとも1つの走査ミラーに近い領域をミラー面に近い領域上に結像するように構成され、配置される。第1の光学アセンブリは、上述のように、第1の光学サブアセンブリと第2の光学サブアセンブリとを備え、第1の光学サブアセンブリは第2のレンズグループを備える。第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループおよび第2の光学サブアセンブリは、走査ミラーの近くに位置する領域をミラー面の近くに位置する領域に結像するためにアフォーカル系を構成してもよい。
ミラー面は、波面を分析するために、測定光のビーム経路において第1の光学サブアセンブリの第1のレンズグループと第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループとの間に配置される。たとえば折畳み式ミラーの一部であるミラー面は、測定光が物体領域までの経路上の顕微鏡の対物レンズなどのさらなるレンズを横断するように測定光を反射させてもよい。最適に調整されたシステムでは、少なくとも1つの走査ミラーの中心は、第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループによっておよび第2の光学サブアセンブリによってミラー面の中心上に結像される。このような光学結像プロセスは、少なくとも1つの走査ミラーの異なる回動位置について、走査ミラー上の点から発せられるOCT測定光がミラー面の中心の点上に結像される、すなわちビームウォークオフ(beam walk-off)がないという利点を有する。それによって、OCT測定光がミラー面に当たらないことが防止される。したがって、大きさが比較的コンパクトなミラー面を設計することが可能である。
このシステムは、互いに距離を置いて配置された2つの走査ミラーを備える場合、2つの走査ミラーの間の接続線の中央の点が、特にミラー面の中心、または、ミラー面の横方向範囲の精々100倍、10倍または2倍だけミラー面の中心から距離を置いてOCTビーム経路に沿って位置する領域などの、少なくともミラー面の近くに位置する領域上に結像されるように設計され、調整されてもよい。接続線は、第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループおよび第2の光学サブアセンブリからなる光学システムのOCTビーム経路に沿って向けられる。ミラー面からの領域の距離は、第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループおよび第2の光学サブアセンブリからなるシステムの光学倍率に依存してもよく、その結果、この距離は倍率が高くなるにつれて大きくなる。この依存関係は線形であってもよい。
走査ミラーの近くに位置する領域は、システムが備える走査ミラーの範囲として、システムの走査ミラーまでの距離がより小さな、特に10分の1、5分の1または2分の1である空間点を備えていてもよい。
ミラー面に近い領域は、ミラー面の範囲として、ミラー面までの距離が特にOCTビーム経路に沿って特に10分の1、5分の1または2分の1である空間点を備えていてもよい。ミラー面およびOCTビーム経路は、30°〜60°の角度をなしていてもよい。
本発明の実施例によれば、眼科手術用測定システムは、波面を分析するために用いられる測定光を発生させるための波面光源をさらに備え、発生した測定光の全強度の少なくとも80%は、波長が800nm〜870nm、特に820nm〜840nmの光からなっている。測定光は、たとえば、スーパールミネッセンスダイオード(superluminescence diode)(SLD)によって生成されてもよい。このような波長の測定光は、網膜上の照射スポットを形成するように網膜まで人間の目を横断するのに特に適している。次いで、乱反射後、光は目から出て、波面センサによって波面の形状を考慮して検査される。これらの波長範囲の光を用いることは有利である。なぜなら、患者が盲目にならないように、および、患者の目の虹彩が収縮しないように、患者の目がこの光を認識しないためである。虹彩の収縮は測定を損なうことになるであろう。
本発明の実施例によれば、発生したOCT測定光の全強度の少なくとも80%は、波長が1280nm〜1320nm、特に1300nm〜1320nmの光からなっている。これらの波長のOCT測定光は、目の内部室の領域に入り、この領域によって反射されるのに特に適している。それによって、前房からの構造情報を得ることができる。さらに、目の後房および/または網膜から構造情報を得ることが可能である。
OCTによって網膜を調査または観察するために、800nm〜870nmの波長範囲が非常に適している。なぜなら、この光は網膜に到達するためである。この場合、OCT測定光の強度の80%が位置する波長範囲に、波面の分析のための測定光の強度の少なくとも60%、特に少なくとも80%が位置するように、波面光源およびOCT光源のスペクトルは重複してもよい。波面の分析のための測定光は、OCT測定光と本質的に同一の波長を備えていてもよい。この場合、波面の分析のための測定光およびOCT測定光も発生させる単一の光源を用いることが可能である。
本発明の実施例によれば、波面分析のために用いられる測定光およびOCT測定光の強度の少なくとも70%、特に少なくとも90%は、重複した波長範囲に位置していない。波面分析のために用いられる測定光およびOCT測定光は、眼科手術用測定システムの光学的構成要素を横断するまたはそれらの光学的構成要素と相互作用するが、それらの測定光は、異なる波長範囲のために、たとえばダイクロイック素子によって互いから分離されてもよい。測定光が相互作用するまたは測定光が横断する光学的構成要素は、たとえば第1の光学アセンブリであってもよく、また特に第2の光学アセンブリであってもよい。それによって、波面の測定がOCTシステムによる測定に影響を及ぼすことが防止される。しかしながら、両方の測定光は共通の波長範囲を備えていてもよく、それらのスペクトルは大幅に重複してもよい。
本発明の実施例によれば、OCTビームスプリッタはダイクロイックミラーを備え、800nm〜870nm、特に820nm〜840nmの波長範囲でのダイクロイックミラーの透過率は、1280nm〜1340nm、特に1300nm〜1320nmの波長範囲での透過率の少なくとも2倍または精々半分の高さである。
本発明の実施例によれば、波面分析のための測定光またはOCT測定光の強度の少なくとも80%がOCTビームスプリッタを透過する。
本発明の実施例によれば、OCTビームスプリッタはダイクロイックミラーを備え、1280nm〜1340nm、特に1300nm〜1320nmの波長範囲でのダイクロイックミラーの反射率は、800nm〜870nm、特に820nm〜840nmの波長範囲での反射率の少なくとも2倍または精々半分の高さである。
本発明の実施例によれば、波面分析のための測定光またはOCT測定光の強度の少なくとも80%がOCTビームスプリッタによって反射される。
ダイクロイックミラーは、異なる誘電率を有する材料の層でコーティングされてもよい。これらの層は、測定光がダイクロイックミラーに当たった場合に、反射された測定光または透過した測定光のために建設的干渉が発生するように構成されてもよい。
本発明の実施例によれば、OCTビームスプリッタに当たるOCT測定光の強度の大部分、特に少なくとも70%がOCTビームスプリッタで反射される。このプロセスでは、OCTビームスプリッタに当たる波面分析のための測定光の強度の大部分、特に少なくとも70%がOCTビームスプリッタを透過する。
添付の図面を参照して、この発明の具体的な実施例について詳細に説明する。異なる実施例中の類似の要素は、接尾辞として異なる文字を有する同一の参照符号で示されている。それによって、ある実施例の要素の欠けている説明を異なる実施例の要素の説明から得ることができる。
図1Aは、本発明の実施例に係る光学測定システム1を概略的に示す。測定システム1は、測定光5を発生させる光源3を備える。測定光5は、実質的に平面波面からなる測定光9を発生させるためにコリメーティング光学部材7によって平行にされる。測定光9は、ビームスプリッタ11で反射され、接合素子13を横断する。接合素子13によって収束された測定光は、アパーチャ15を通り、互いに直交するように向けられた2つのミラー面17′および17″を備える反射器17によって180°だけ偏向される。それによって、測定光9は、実質的に逆方向に偏向され、横方向、すなわち測定光9の伝搬方向に垂直な方向に変位する。
さらなる実施例では、反射器17はコーナキューブであってもよい。コーナキューブは、三角錐の形状を有するガラス製の本体を備える。三角錐の外面は、二等辺三角形、直角三角形からなっており、これらの三角形の各対は互いに垂直に向けられる。さらに、コーナキューブは、二等辺三角形の形状をした基準面を備える。コーナキューブが測定システムにおいて用いられる場合、測定光9は、3つの二等辺三角形、直角三角形の面で反射される。
反射器17は、両矢印20によって示される方向に変位可能である。アパーチャ15は、反射器17の変位位置から独立して、接合素子13の焦点領域に配置される。
反射器17によって反射された測定光9は、接合素子19を横断し、それによって収束した測定光が形成される。平面21において、測定光9はある点、すなわち交差部に実質的に収束され、発散した測定光として進み続ける。発散した測定光9は、さらなる接合素子23を横断し、平面波面に変形される。平面測定光9は、4分の1波長板24を横断し、平面波面の形状で目25に当たる。人間の目25の瞳孔は物体面28に位置する。虹彩の像は、目25の瞳孔と呼ばれる。一般に、瞳孔は、角膜33の頂の後ろ約2.7mm〜3mmのところに位置する。この実施例では、物体面28は、接合素子23および接合素子19からなる第1の光学アセンブリ31の焦点面29に位置する。したがって、目25の瞳孔は焦点面29に位置する。
測定光9は、目25の角膜33およびレンズ35を横断し、網膜39上のスポット37上に集束される。ビームスプリッタ11では、測定光は、平面波面、すなわち平行な光線ビームの束からなっている。球面収差を持たない正視眼の場合にのみ、光学的構成要素が互いに対して固定された位置にあるときに測定光が目25の網膜上のスポット37上に結像される。この場合、反射器は、3つの光学アセンブリ23,19および13からなるシステム全体がアフォーカル系であるように位置決めされる。しかしながら、目が球面収差を有する場合には、目25に入射するわずかに収束した測定光9またはわずかに発散した光9を発生させるために、両矢印20によって示される方向に沿って、反射器17またはコーナキューブ17をそれぞれ変位させることが可能である。それによって、目が球面収差を有する場合であっても、できる限り小さな測定光の照射スポットを網膜上に生成することが可能である。両矢印20によって示される方向に沿ってコーナキューブ17を変位させることによって、接合素子13と接合素子19との間の測定光の光学経路が変えられる。したがって、目25の球面収差が特定の範囲内である場合には、測定光9は屈折異常眼25の網膜39上の点に集束可能である。
照射スポット37は、実質的に球状の波面からなる光41を放出する目25の網膜39上の拡散光源である。光41は、硝子体、レンズ35および角膜33を横断し、光43を形成する。レンズ35および角膜33の光学特性および形状に応じて、光43の波面は平面波面からずれる。光43を形成する波面の形状は、目25の光学的構成要素または境界面の屈折異常、すなわち特にレンズ35および角膜33の特性および形状を表わす。
光43は、接合素子23を横断し、収束した光を形成する。網膜の画像が形成される平面21の空間領域において、光43は最小限の程度に収束され、その後発散する。さらに、測定光43は、接合素子19を横断し、反射器17によって反射されて横方向に変位し、アパーチャ15を通り、接合素子13を横断し、実質的に平面波面からなる光を形成する。測定光43の波面の平面波面からのずれは、目25の屈折異常を表わす。
測定光43は、ハートマン−シャックセンサ47の入口領域45に入る。入口領域45はマイクロレンズのアレイによって形成され、マイクロレンズの共通の焦点面に、CCDカメラのチップなどの電子結像センサが配置される。電子結像センサは複数の画素を備え、その各々は、入射する光の強度値を電気信号に変換する。この電気信号は、データ線49を介して、処理ユニット(図示せず)に伝送される。ハートマン−シャックセンサ47のマイクロレンズのアレイのマイクロレンズ毎に、処理ユニットはそれぞれのマイクロレンズによって集束される光の変位位置を判断する。それによって、ハートマン−シャックセンサの入口領域45における測定光43の波面の形状が判断可能である。図1Bを参照して、焦点面29の領域がハートマン−シャックセンサ47の入口領域45上に結像されることが記載されている。それによって、目25から放出される光43の波面の形状が判断可能である。図1Bを参照して、光学測定システム1のさらなる特性および利点が記載されている。物体面28における目25の瞳孔は、接合素子23および19からなる第1の光学アセンブリ31の焦点面29に配置される。3つの光ビーム53a,53b,53cが物体ビーム経路に沿って焦点面29における焦点53から発せられ、4分の1波長板24および接合素子23を横断し、中間画像領域55において最小限の程度に収束される。ビーム53は、発散したビームとして中間画像領域55から発せられ、接合素子19を横断し、実質的に平行なビーム53a′,53b′,53c′として接合素子19を出る。平行なビーム53a′,53b′,53c′は、反射器17によって反射されて横方向に変位し、アパーチャ15を通り、接合素子13を横断し、ビームスプリッタ11を横断した後、ある点に集束される。この点は、測定システム1の光軸およびハートマン−シャックセンサ47の入口領域45によって規定される。それによって、焦点面29における点は、ハートマン−シャックセンサ47の入口領域45における点上に結像される。両矢印20によって示される方向に沿ったコーナキューブ17の変位はこの結像特性を変更しない。なぜなら、焦点面29における点から発せられる光ビームは、接合素子19と接合素子13との間では平行に向けられ、反射器17がビーム経路に配置されるためである。したがって、屈折異常眼または正視眼から出る波面の形状を非常に正確に検査することができる。
図1Cは、本発明に係る図1Aおよび図1Bの概略的に示された実施例の光学測定システム1の一部を概略的に示す。光ビーム53a,53bおよび53cは、焦点51から発せられ、接合素子23を横断し、中間画像領域55上に集束される。中間画像領域55から3つの光ビームが発せられ、光軸10に平行に進む3つの平行な光ビーム53a′,53b′および53c′が形成されるように接合素子19によって偏向される。接合素子23および19は、上述のように第1の光学アセンブリ31を構成する。第1の光学アセンブリ31の焦点距離fは、以下に説明するように決定されてもよい。
光軸10に平行な光ビーム53a′は、点線55a′によって示されるように、焦点面29に向かう方向に、焦点面29を越えて広がる。したがって、第1の光学アセンブリ31に入射し、光学システム31を横断した後ビーム53a′に変形される光ビーム53bは、点線55aによって示されるように焦点面29を越えて広がる。線55aと線55a′とは、点57aで交差する。点57aは、第1の光学アセンブリ31の主平面59に位置する。主平面59は、主平面59に平行な焦点面29から距離fだけ離れたところに位置する。主平面には、点57aと類似した点57cも位置しており、点57cは線55c′と55cとの交点によって規定される。したがって、光ビーム53aおよび53cは、主平面59に位置する点57aまたは57cにおいてそれぞれ屈折されるように見える。光ビーム53aおよび53cは、第1の光学アセンブリ31を横断した後、光軸に平行に進む。
光ビーム53a′,53b′および53c′は、概略的に示されているコーナキューブ17によって反射され、接合素子13によって波面センサ47の入口領域45上に集束される。入口領域45は、接合素子13の最も近くに位置するマイクロレンズ46のそれらの面によって形成される。したがって、第1の光学アセンブリ31の焦点面29における物体面28における物体領域28′は、波面センサ47の入口領域45上に結像される。マイクロレンズ46の各々は、焦点距離1を有する。波面センサ47の入口領域45から距離1のところに、光強度の位置高感度型検出のためのCCD48が配置されている。上述のように、光強度の分布の検出およびその後の分析によって、物体領域28′から発せられる測定光の波面の形状を判断できる。第1の光学アセンブリ31の焦点面29における物体領域28′は、第1の光学アセンブリ31の光学面から距離dだけ離れたところに位置し、この光学面は、焦点領域29に最も近い光学面である。示される例示的な実施例では、距離dは、第1の光学アセンブリ31の焦点距離fの約2.5倍である。
光学測定システム1は、目の手術、特に白内障の手術に特に向いている。手術中の目の角膜または瞳孔は、物体領域28′に配置される。検査中の目の角膜または瞳孔と第1の光学アセンブリ31の構成要素との間の距離dは、例示的な実施例1では220mmである。したがって、外科医は、手で外科手術を行なうために十分な作業空間を有することになる。
図1A、図1Bおよび図1Cに示される光学測定システムの実施例1は、光学顕微鏡システムに対して固定された位置に取付けられてもよい。たとえば、光学測定システムは、検査中の物体から発せられる測定光のビーム経路において光学顕微鏡システムの対物レンズの上流に支持される。この実施例では、物体領域28′から発せられた測定光43は、概略的に示されている折畳み式ミラー61によって反射されてもよい。折畳み式ミラー61での反射後、測定光は、第1の光学アセンブリ31を横断し、コーナキューブ17で反射され、接合素子13を横断した後、波面センサ47の入口領域45に入射する。図1Aおよび図1Bに、折畳み式ミラー61の位置が示されている。物体領域28′から発せられた光の別の部分は、顕微鏡結像を行なうための顕微鏡システムの対物レンズを通るように導かれる。したがって、外科医が、手術中の物体の顕微鏡画像を得ることが可能であり、物体領域28′から発せられた測定光の波面の形状の分析を行なうことが可能である。実施例によれば、折畳み式ミラー61は、顕微鏡システムの対物レンズの近くに位置する。それによって、自由な作業空間ができる限り減少しないようにする。
図2Aおよび図2Bは、本発明に係る光学測定システムのさらなる実施例1aを概略的に示す。光学測定システム1aのいくつかの構成要素は、図1A、図1Bおよび図1Cに示される光学測定システム1の構成要素と類似している。それによって、これらの構成要素の詳細な説明では、対応する実施例1の説明を参照する。たとえば、実施例1aの接合素子19aおよび13aは、実施例1の接合素子19および13に対応する。さらに、実施例1の光源3、コリメーティング光学部材7および波面センサ47は、実施例1aの光源3a、コリメーティング光学部材7aおよび波面センサ47aに対応する。
図1A、図1Bおよび図1Cに示される、接合素子23を備える光学測定システムの実施例1とは異なって、図2Aおよび図2Bに示される実施例1aは、レンズ系63aおよびレンズ系65aからなるレンズグループ23aを備える。さらに、実施例1aは、実施例1の場合のように、反射器17またはコーナキューブ17をそれぞれ備えていない。それどころか、アパーチャ15a、接合素子13a、ビームスプリッタ11a、コリメーティング光学部材7a、光源3aおよび波面センサ47aは、互いに対して固定された位置に配置されており、測定システム1aの光軸10aに沿った方向に一緒に変位可能であってもよい。これは、両矢印69によって示される方向に沿って変位可能な点線の箱67aによって示されている。図1A、図1Bおよび図1Cに示される実施例1を参照して説明するように、物体領域28′に入射する測定光および物体領域28′から発せられる測定光43の、接合素子19と13または接合素子19aと13aとの間のそれぞれの光学経路を変えることによって、検査中の目25の球面収差を補償できるようになる。この補償は、目25を出る測定光の照射および波面の分析を達成する。それによって、波面センサ47のダイナミック測定レンジを広げることができる。
この実施例においてこの目的で変位可能なユニット67aを設ける代わりに、対応する態様で図1Aおよび図1Bに示される反射器17またはコーナキューブ17をそれぞれ用いることによる構成が設けられてもよい。したがって、図1A、図1Bおよび図1Cに示される光学測定システムの実施例1は、反射器17を備えていなくてもよい。代わりに、対応する態様で図2Aおよび図2Bに示されるように、構成要素アパーチャ15、接合素子13、ビームスプリッタ11、コリメーティング光学部材7、光源3および波面センサ47は、互いに対して固定された位置に支持されてもよく、光軸10に沿って一緒に変位可能であるように設計される。これらの構成要素はまた、変位可能ではないように設計されてもよい。これらの構成要素が変位可能でない場合、大きなダイナミックレンジを有する波面センサ47が設けられる。なぜなら、この場合、球面収差を有する目を検査するときに事前補償が可能ではないためである。
焦点面29a内の物体面28aにおける物体領域28′に、球面収差を持たない正視眼の目25の角膜33または瞳孔が配置される。光源3aが発生させた光5aは、コリメーティング光学部材7aによって、実質的に平面波面からなる測定光9に変形される。測定光9は、ビームスプリッタ11aによって反射され、接合素子13aを横断し、アパーチャ15aを通り、交差部を通り、接合素子19aを横断し、平面21aにおける測定光9の交差部を通り、レンズ系65aを横断し、レンズ系63aを横断した後、平面波面として目25に入射する。球面収差を持たない屈折異常眼は、測定光9を目25の網膜39の点37上に集束させる。点37から球状波面が発せられ、硝子体、レンズ35および角膜33を横断した後、物体領域28′において平面波面を有する測定光43として目を出る。測定光43は、レンズ系63aを横断し、レンズ系65aを横断し、接合素子19aを横断し、接合素子13aを横断し、ビームスプリッタ11aを横断し、波面センサ47aに入射する。そこで、CCD検出器(図示せず)が、物体領域28′から発せられる測定光43の波面の形状を判断するために光の分布を記録する。
物体領域28′と、物体領域28′の最も近くに位置するレンズ系63aの面との間の作業距離dは、レンズ系63a、レンズ系65aおよび接合素子19aからなる第1の光学アセンブリ31aの焦点距離fの約3倍である。それによって、光学測定システムの実施例1aは、外科手術を行なうための十分な自由な作業空間を与えるために十分に大きな作業距離dを与える。
図2Bは、光学測定システムの実施例1aを示し、そこでは、物体ビーム経路、すなわち物体面28aから発せられるビーム経路が、測定システム1aのさらなる特性を実証するために示されている。目25の瞳孔は、目25を調査するために光学測定システム1aを用いる示される例では、物体面28に配置される。したがって、物体ビーム経路は、瞳孔ビーム経路に対応する。焦点51aから発せられた光43の光ビーム53a,53bおよび53cは、レンズ系63aによって光ビーム53a″,53b″および53c″に変形され、その各々は光学測定システム1aの光軸10aに平行に進む。焦点51aも物体領域28a′に位置している。したがって、レンズ系63aの主平面63a′と物体領域28a′との間の距離は、レンズ系63aの焦点距離f(63a)に等しい。レンズ系63aの焦点距離f(63a)は、物体領域28a′と、物体領域28a′の最も近くに位置するレンズ系63aの面との間の作業距離dに実質的に対応する。レンズ系65aおよび接合素子19aは、それらの焦点距離の合計、すなわちf(65a)+f(19a)に対応する光軸10に沿った距離のところに配置される。それによって、レンズ系65aおよび接合素子19aは、いわゆるケプラー式望遠鏡を構成する。ケプラー式望遠鏡は、平行な入射光ビームを平行な出射光ビームに変形するアフォーカル系の一例である。したがって、平行な光ビーム53a″,53b″および53c″は、レンズ系65aおよび接合素子19aによって、平行な光ビーム53a′,53b′および53c′に変形される。光ビーム53a′,53b′および53c′は、接合素子13aを横断した後、波面センサ47aの入口領域45a上に集束される。それによって、物体領域28a′が波面センサの入口領域45a上に結像される。接合素子19aと接合素子13aとの間の光ビームが平行であるので、このような結像は、接合素子19aと13aとの間の測定光の光学経路の変更から独立している。このような変更は、矢印69によって示される方向に沿ってシステム67aを変位させることによって達成される。
図3は、本発明に係る光学測定システムのさらなる実施例1bを示す。素子63b,65b,19b,13b,11b,7b,3bおよび47bの構造および向きは、互いに対して、図2Aおよび図2Bに示される素子63a,65a,19a,13a,11a,7a,3aおよび47aの構造および相対的配置にそれぞれ実質的に対応する。これまでに示され、記載されてきた実施例と比較して、光学測定システム1bはさらなるレンズ素子71,73および75を備え、さらなるレンズ素子71,73および75は、レンズ系63b、レンズ系65bおよび接合素子19bからなる第1の光学アセンブリ31bの焦点面29bにおける物体領域28b′の間にこの順序で配置される。レンズ素子71の焦点距離は40mmであり、レンズ素子73の焦点距離は18.5mmであり、レンズ素子75の焦点距離は75mmである。これらのレンズ素子71,73および75は、無水晶体眼25、すなわち、レンズが取外され、したがって図3では割愛されている目を検査するために配置される。目25の網膜39の点37から発散し、目25を出る光ビーム43a,43bおよび43cが示されている。示される実施例では、無水晶体眼は19ジオプタを有する。物体領域28b′から発せられ、球状波面を示す発散した光ビーム43a,43bおよび43cは、光学測定システム1bの光学結像システムによって、波面センサの入口領域45b上に平行な波面として結像される。それによって、球面収差および非球面収差を考慮して無水晶体眼さえ検査できるように波面センサ47のダイナミック測定レンジをさらに大きくすることは、レンズ素子71,73および75を挿入することによって可能である。レンズ素子71,73および75は、図1A、図1B、図1C、図2Aおよび図2Bに示される実施例においても設けられてもよい。
図4は、本発明に係る光学測定システムのさらなる実施例1cを示す。光学測定システム1cは、波面分析システム77と、光学顕微鏡システム79とを備える。波面分析システム77の構成要素の多くは、図2Aおよび図2Bに示される光学測定システム1aと類似の構造および類似の相対的向きを有する。したがって、これらの構成要素の詳細な説明は割愛する。光学測定システム1aのレンズ系63aは、光学測定システム1cにおける光学顕微鏡システム79の対物レンズ63cでもある。図4に示される実施例では、対物レンズ63cの直径は53mmである。レンズ系19c、レンズ系65cおよび対物レンズ63cからなり、したがって平面波面を形成する第1の光学アセンブリ31cの焦点面29cにおける物体領域28c′から平行なビームとして発せられた光ビーム43a,43bおよび43cは、第1の光学アセンブリ31c、接合素子13cおよびビームスプリッタ11cを横断した後、平面波面として波面センサ47cに入射する。物体領域28c′から発せられ、したがって平面波面を示さない平行な光ビームは、非平面波面として波面センサ47cに入射する。上述のように、このような非平面波面の形状は、波面センサ47cによって強度分布を検出することによっておよびその後の分析によって、判断されてもよい。
さらに、光学測定システム1cは、物体領域28c′の顕微鏡画像を取得できるようにする。第1の光学アセンブリ31c(および対物レンズ63c)の焦点面29cにおける物体領域28c′における点51から、光ビーム81および83が発せられる。光ビーム81および83は、立体角αを形成する。光ビーム81は対物レンズ63cの領域85を横断し、光ビーム83は対物レンズ63cの領域87を横断し、その後、平行な光ビームとして伝搬する。次いで、光ビーム81はズームシステム89を横断し、光ビーム83はズームシステム91を横断する。対物レンズ63cの下流に、物体領域28c′を画像領域に結像するための視覚系および/またはカメラが位置していてもよい。
示される実施例では、対物レンズ63cの物体領域28c′の最も近くに位置する面と物体領域28c′との間の距離dは20cmになる。示される実施例では、この距離は、対物レンズの焦点距離f(63c)に対応する。さらなる実施例は、焦点距離が15cmまたは25cmの対物レンズを備える。レンズ系19c、レンズ系65cおよび対物レンズ63cからなる光学アセンブリ31cの焦点距離fは、示される実施例では約70mmになる。それによって、外科手術を行なうために十分に大きな作業空間が与えられ、焦点距離fははるかに小さくなる。
図4に示される光学測定システムの実施例1cでは、波面の分析のために用いられる光線43a,43bおよび43cは、光学顕微鏡システム79の対物レンズ63cを横断する。顕微鏡結像のために用いられる光ビーム81および83が通る領域85および87とは異なる対物レンズ63cの領域86において、対物レンズ63cを横断する。波面の分析のために用いられる光ビーム43a,43bおよび43cは、折畳み式ミラー61cによって光学顕微鏡システム79のさらなる構成要素から切離される。
この切離しの方法の代替例として、光ビーム43a,43bおよび43cは、点線によって示される折畳み式ミラー61によって、物体領域28c′と光学顕微鏡システム79の対物レンズ63cとの間で切離されてもよい。それによって、図1A、図1Bおよび図1Cに示される光学測定システムの実施例1は、光学顕微鏡システム79または図5Aおよび図5Bに示される実施例1dと組合せられてもよい。これは、折畳み式ミラー61によって図1A、図1B、図5Aおよび図5Bに示されている。
波面分析システム77の箱67cが取囲む構成要素を同時に変位させる代わりに、図1Aおよび図1Bに示されるような変位可能なコーナキューブ17を設けることによって、レンズ系19cと接合素子13cとの間の光学経路を変えてもよい。検査中の目の球面収差を事前補償するこの方法は、折畳み式ミラー61cによる測定光47の切離しおよび折畳み式ミラー61を用いた測定光43の切離しと組合せて用いられてもよい。
光学測定システム1cは、目の前房の顕微鏡画像を外科医に提供し、同時に、目から放出される測定光の波面を分析できるようにする。それによって、屈折の正確な測定が波面センサを用いて可能である。作業空間が大きいために、波面分析システムは、外科手術中に取外す必要がなく、必要とされる場合に挿入する必要がない。それによって、取扱いが大幅に簡素化され、波面分析システムを回動可能に支持する必要がない。
物体領域28c′も対物レンズ63cの焦点面に位置する。対物レンズ63cの下流では、物体領域28c′の点51から発せられる光ビーム81および83は平行であり、これは、次の構成要素および顕微鏡結像に対してさらなる利点をもたらす。光学測定システム1cの波面分析システム77に、無水晶体眼から出る波面を分析するための、図3に示される光学測定システムの実施例1bと類似して、さらなるレンズ素子71,73および75が設けられてもよい。したがって、14ジオプタ、19ジオプタ、24ジオプタ、およびそれらの間の値の球面収差を有する目を検査することが可能である。レンズ素子71,73および75が設けられない場合、素子13と19との間の光学経路、素子13aと19aとの間の光学経路、または素子13cと19cとの間の光学経路をそれぞれ変えることによって、少なくとも−5dpt〜+5dptの範囲の球面収差を有する目を検査することができる。
図2Aおよび図2Bに示される、レンズ系65aおよび接合素子19aによって構成されるケプラー式望遠鏡は、ガリレイ式望遠鏡または別のアフォーカル系と置き換えられてもよい。
実施例によれば、波面センサの入口領域は、6.34mm*6.34mmの範囲を有する。代替的な実施例では、他の範囲が与えられてもよい。光源3,3a,3bおよび3cは、それぞれ、一般にスーパールミネッセンスダイオードを備え、点光源の役割を果たす。また、光学測定システム1cは、光学経路が球面収差の事前補償のために可変であるように設計されてもよい。たとえば4分の1波長板または偏光ビームスプリッタとして構成されるビームスプリッタなどの、光の偏光と相互作用する光学素子が、網膜39上の照射スポット37から発せられる測定光から光学面において生成される反射光を分離するために用いられてもよい。
図5Aおよび図5Bは、本発明に係る光学測定システム1dのさらなる実施例を概略的に示す。ここでも、照射ビーム経路または波面ビーム経路が図5Aに示されており、物体ビーム経路が図5Bに示されている。光学測定システム1dは、この実施例では接合素子である第1の光学アセンブリ31dと、この実施例では接合素子である第2の光学アセンブリ13dと、波面センサ47dとを備える。
目25を照射するために、光学測定システム1dは、光5dを発する光源3dをさらに備える。光5dは、ビーム成形光学部材7dによって、収束した測定光9に変換され、ビームスプリッタ11dで反射された後、アパーチャ12dの領域に集束される。正視眼を検査する場合、アパーチャ12dは接合素子31dの焦点面に配置される。測定光9は、接合素子31dを横断した後、目25に入射する平面波面を実質的に備える。測定光9は、角膜33、水晶体35を横断した後、網膜39の点37上に集束される。
光41は、点37から発せられ、水晶体35および角膜33を横断した後、測定光43を形成する。正視眼の場合、測定光43は実質的に平面波面からなっている。人間の目の瞳孔は、物体領域28d′における物体面28dに配置される。図5Aでは、物体面28dと接合素子31dとの間の距離は距離dと表わされ、接合素子31dの焦点距離は距離fと表わされる。物体領域28d′から発せられた測定光43は、接合素子31dを横断し、アパーチャ12dの平面における交差部を通り、ビームスプリッタ11dを横断し、接合素子13dを横断し、正視眼の場合には平面波面として波面センサ47dの入口領域45dに当たる。
接合素子31dおよび接合素子13dは、アフォーカル系、特にケプラー系を構成する。これを達成するために、接合素子31dおよび接合素子13dは光軸10dに沿って距離を置いて配置され、この距離は、接合素子31dおよび接合素子13dの焦点距離の合計に対応する。
両矢印16dによって示されるように箱14dが取囲む光軸10dに沿って構成要素(すなわち、光源3d、ビーム成形光学部材7d、ビームスプリッタ11dおよびアパーチャ12d)を変位させることによって、球面収差を有する目を調べる場合でさえ、目25の網膜39上に小さな範囲を有する照射スポット37を生成することが可能である。この場合、物体領域28d′から発せられる測定光43は、実質的に平面の波面によっては形成されない。これは、波面センサ47dの入口領域45dに入射する測定光にも当てはまる。したがって、実施例1dにおいて用いられる波面センサ47dが比較的小さな曲率を有する波面を測定することが可能である。
図5Bは、光学測定システム1dの物体ビーム経路を示す。物体面28dにおける物体領域28d′における点28d″から発せられた光ビームは、接合素子31d、ビームスプリッタ11dおよび接合素子13dを横断して、波面センサ47dの入口領域における点45d′に当たる。接合素子31dと物体面28dとの間の距離dが接合素子31dの焦点距離fよりもはるかに大きいことは明らかである。
光学測定システム1dは、図4に示されるように光学測定システム1dを光学顕微鏡システム79と組合せることができるようにする折畳み式ミラー61を備えていてもよい。図4に、折畳み式ミラー61の位置が概略的に示されている。
図6は、本発明の実施例に係る光学測定システム1eを概略的に示す。図6に示される光学測定システム1eは、物体領域から発せられた波面の分析によって、および、光干渉断層法(OCT)によって物体領域28e′を検査するように構成される。この趣旨で、図6に示される測定システム1eは、図1Aおよび図1Bに示される測定システム1に加えて、OCTシステム93と、OCTビームスプリッタ95とを備える。OCTシステム93は、OCT測定光99を発生させるためのOCT光源と、OCT測定光を分割して組合せるための光学結合器と、参照ミラーと、分光計と、位置高感度型検出器と、分析システムとを備えるOCT構成要素97を備える。
OCT光源は、OCT測定光99を放出し、OCT測定光99は、コリメーティング光学部材101を横断し、平行になったOCT測定光ビームとして、2つの走査ミラー103および105を備えるスキャナに入る。走査ミラー103,105は、物体領域28e′上でOCT測定光99を走査するために互いに垂直に向けられた軸の周りを回動可能である。例示の目的で、図6では、素子97,101および103は2つの走査ミラー103と105との間の接続線を中心に傾斜しているように示されている。OCT測定光99は、大部分として、1290nm〜1330nmの光の波長を備えていてもよい。
図6は、紙面に垂直に向けられかつ点Aと交差する回動軸を中心に回動ミラーを回動させることによって得られる3つの異なる回動位置に走査ミラーが位置決めされるときに走査ミラー105の点Aで反射されるOCT測定光の3つの光ビームを例示的な態様で示す。OCT測定光99の光ビームは、ダイクロイックミラー96を備えるOCTビームスプリッタ95に入射する。ダイクロイックミラー96は、ダイクロイックミラー96のミラー面上に堆積した層を備え、これらの層は、入射するOCT測定光99を高い有効性で反射させ、30%未満などのごく一部を透過させるために、異なる誘電特性を有する。OCT測定光99は、ダイクロイックミラー96で反射された後、レンズ19eを横断する。たとえば、レンズ19eは、接合素子および追加の個々のレンズとして設計されてもよい。次いで、OCT測定光99は接合素子23eを横断する。接合素子23eおよびレンズ19eは、第1の光学アセンブリ31eを構成する。第1の光学アセンブリ31eは、第1の光学アセンブリ31eと第1の光学アセンブリ31eの焦点51eが位置する物体領域28e′との間の点A′上に走査ミラー105の中心の点Aを結像する。同様に、走査ミラー103と走査ミラー105との間の接続線の中心の点Pは、第1の光学アセンブリ31eによって点P′上に結像される。この位置に、物体領域28e′の方に伝搬するOCT測定光99および物体領域28e′から戻るOCT測定光を偏向させるために任意の折畳み式ミラー61が位置してもよい。これは、光学測定システム1eが光学顕微鏡と組合せて用いられる場合に有利であり得る。この場合、折畳み式ミラー61は、顕微鏡のビーム経路において顕微鏡の主対物レンズと物体領域28e′との間に配置されてもよい。
特に、このような場合には、光学測定システム1eが、折畳み式ミラー61上に位置する点P′上に点Pを結像することは有利である。なぜなら、ミラー103,105の異なる回動位置について、折畳み式ミラー61の中心からの点P′のウォークオフが最小化されるためである。したがって、顕微鏡のビーム経路の蹴られを防止するように、大きさがコンパクトな折畳み式ミラー61を設計することが可能である。これを達成するために、スキャナの走査ミラー(この場合、走査ミラー103および105)はすべて点Pのできる限り近くに配置しなければならず、折畳み式ミラー61は点P′のできる限り近くに位置しなければならない。
走査ミラー105の3つの異なる回動位置に対応するOCT測定光の3つの光ビームは、物体領域28e′に配置された物体と相互作用する物体領域28′内の3つの異なる点において入射する。図6には、走査点が3つだけ示されている。しかしながら、走査ミラー103,105を連続的に回動させることによって、物体領域28e′全体が走査される。
物体領域28e′から発せられたOCT測定光は、物体内の異なる層で反射されており、それによって検査中の物体の構造情報を含む。反射したOCT測定光100は接合素子23e、レンズ19eを横断し、大部分がOCTビームスプリッタ95のダイクロイックミラー96で反射される。走査ミラー105,103でのさらなる反射の後、戻りOCT測定光は、コリメーティング光学部材101を横断し、OCT構成要素97の光ファイバ(図示せず)に入る。次いで、戻りOCT測定光は、参照光上に重ね合わせられ、分光計によってスペクトル的に分散され、位置高感度型検出器によって検出される。干渉法によって参照光上に重ね合わせられた戻りOCT測定光のスペクトルは、深さ方向に沿って、すなわち物体面28eに垂直に検査中の物体の横方向の物体領域28e′から構造情報を得るために処理される。
図1Aおよび図1Bに示される光学測定システムの実施例1などのように、図6に示される光学測定システム1eも上述の波面を分析するための構成要素を備える。図示を簡潔にするために、図6には、接合素子13e、レンズ19eおよび接合素子23eを通って物体領域28e′の方に導かれる測定光9ならびに戻り測定光43のビーム経路は図示されていない。これらのビーム経路は、図1Aおよび図1Bに示されており、図1Aおよび図1Bから、図6に示される光学測定システム1eの実施例においても、物体領域28′、特に第1の光学アセンブリ31eの焦点51eがハートマン−シャックセンサ47eの入口領域45e上に結像されることがわかる。
したがって、実施例1eは、この領域から発せられた波面を分析することによって、および、OCT構造データを取得することによって、物体領域28′を同時に検査することができるようにする。特に、波面光源3eは、光源3eが発生させる測定光の中心部分が約830nm〜870nmの波長範囲内に位置するように構成されてもよい。OCTビームスプリッタ95、特にそのダイクロイックミラー96は、約830nm〜870nmの波長範囲の光のかなりの部分が透過するように設計される。それによって、妨害を減少させる目的で、波面を検査するための測定光からOCT測定光を分離することが可能である。
さらなる実施例によれば、レンズ19eと接合素子13eとの間に反射器17eは設けられず、その結果、波面の分析のために用いられる測定光9,43のビーム経路は、接合素子19e,23eの光軸、すなわち第1の光学アセンブリ31eの光軸に沿って、偏向されることなく直線状に伝搬する。
本発明のさらなる実施例によれば、OCTビームスプリッタ95は、第1の光学アセンブリ31eと第2の光学アセンブリ13eとの間に位置する代わりに、第2の光学アセンブリ13eとハートマン−シャックセンサ45eとの間に配置されてもよい。これは点線の箱95aによって示されている。したがって、OCTシステム93は、代替例として、参照符号93aを有する点線の箱で示されている。この実施例は、OCTシステムを用いて目の後方部から構造情報を得る場合に有利である。このOCTビームスプリッタ95aまたはOCTシステム93aの構成は、特に光学測定システムが上述のように反射器17eを持たないときに用いられてもよい。
図7は、本発明のさらなる実施例に係る光学測定システム1fを概略的に示す。図7に示される光学測定システム1fは、光学測定システム1fが波面分析システム77の構成要素67cおよび顕微鏡システム79も備える限りにおいて、図4に示される光学測定システム1cと類似の態様で設計される。顕微鏡システム79は、ズームシステム89,91を横断した後、焦点面29cに位置する物体領域28c′を結像するための対物レンズ63cを備える。また、波面分析システム77は、物体領域28c′から発せられるかまたは物体領域28c′を横断する波面が、図4を参照して説明したようにそれらの形状を考慮して検査可能であるように設計される。
図4に示される光学測定システム1cの機能に加えて、図7に示される光学測定システム1fは、OCTシステム93aを用いることによって、深さ方向に沿って、すなわち焦点面29cに垂直に物体領域28c′の構造を検査できるようにする。この趣旨で、OCTシステム93aは、図6に示されるOCTシステム93と類似の構成要素を備える。
図7には、走査ミラー103a,105aからなるスキャナの3つの異なる回動位置についてOCT測定光99aのビーム経路が概略的に示されている。図示を簡潔にするために、走査ミラー103aと105aとの間の点Pから3つの異なる方向に発せられるOCT測定光99aが示されている。代替的に、この点Pに三次元スキャナの中心が配置されてもよい。スキャナが2つ以上のミラーリング面を備える場合には、スキャナのミラー面までの距離が最小化されるように点Pが有利に配置される。
点Pから発せられたOCT測定光99の光ビームは、走査ミラー105aで反射され、ダイクロイックミラー96aで大部分が反射され、接合素子19cおよび接合素子65cからなるアフォーカル系を横断し、折畳み式ミラー61cの中心に配置された点P′上に結像される。点Pは、接合素子19c、すなわち第1の光学アセンブリ31cの第2の光学サブアセンブリによって、および、接合素子65c、すなわち第1の光学アセンブリの第1の光学サブアセンブリの第2のレンズグループを通して、折畳み式ミラー61cの中心に位置する点P′上に結像される。したがって、走査ミラー105a,103aからなるスキャナの異なる回動位置について、点P′のウォークオフが最小限である。反射面を1つだけ有する理想的に配置された三次元スキャナの場合、ビームウォークオフがないと予想される。これによって、顕微鏡81および83のビーム経路が折畳み式ミラー61を通り、立体顕微鏡システム79のそれぞれのズームシステムに入ることができるように、大きさがコンパクトな折畳み式ミラー61cを設計できるようになる。
図7に示されるOCTビームスプリッタ95aおよびOCTシステム93aの構成の代替例として、これらの構成要素または少なくともOCTビームスプリッタ95aが、接合素子65cと折畳み式ミラー61cとの間に配置されてもよい。
図6および図7に示される実施例の代替例として、OCTビームスプリッタ95,95aまたはダイクロイックミラー96,96aは、OCT測定光99,99aが、反射されるよりも高い有効性で透過し得るように設計されてもよい。それらはさらに、波面の測定のために用いられる測定光9が、透過するよりも高い有効性で反射されるように設計されてもよい。したがって、代替的な実施例では、波面分析システム77およびOCTシステム93,93aの空間的配置は互換性があり得る。
本発明のさらなる実施例によれば、OCT測定光の全強度の70%を備える波長範囲は、波面を検査するための測定光の全強度の70%を備える波長範囲と重複してもよい。それによって、波面を検査するためおよびOCT光を用いた検査のために同一の波長範囲の光を用いることができる。この場合、ダイクロイックミラー96,96aを有するOCTビームスプリッタ95,95aは不要である。この場合、波面を決定するための測定およびOCTを用いて構造を決定するための測定を続けて行なうことが有利である。それによって、干渉が防止される。しかしながら、両方の測定を同時に行なうことも可能である、4分の1波長板などの偏光効果を有する光学素子がビーム経路に挿入されてもよい。たとえば、素子11,11a,11b,11c,11d,11eは、偏光ビームスプリッタとして構成されてもよい。
さらなる実施例によれば、OCT測定光99の光ビームは、物体領域28c′,28e′上に集束されるのではなく、検査中の目の網膜上などのより深くに位置する領域上に集束される。