JP3724619B2 - 中和制御機能付き冷熱衝撃試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱手段を備えた予熱槽と冷却手段を備えた予冷槽とPID制御部によって温度設定部で設定された温度に制御される試験槽とを備え試験槽の温度が低温から高温又は高温から低温に切り換えられると加熱手段又は冷却手段で加熱された予熱槽又冷却された予冷槽の気体が試験槽に導入されて循環される冷熱衝撃試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷熱衝撃試験装置では、試験槽内の温度を迅速に且つ小さい変動幅で制御できるように通常PID制御器を用いている。一方、試験槽内に入れられた試料に温度衝撃を与えるために、予冷槽及び予熱槽及びを設け、試料の低温さらし中又は高温さらし中のときを除いて、それぞれの槽内で低温空気又は高温空気を循環させ、低温さらし又は高温さらしモードでは、ダンパーを開閉して低温又は高温の空気を瞬時に試験槽内に導入して循環させ、試験槽内を急激に温度変化させられるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、PID制御器がダンパーの開閉による試験槽内の急激な温度変化を外乱による制御の暴走と判断し、一時的に冷凍機又は加熱器の出力を下げる方向に制御する現象が発生することが判明した。そのため、冷凍機又は加熱器の出力が低下する分だけ、試験槽内の目標温度への到達時間が遅くなるという不具合が発生した。この場合、試験槽が目的とする温度に到達し、設定温度との偏差が±0℃になるまでPID制御器を作動させないようにして、出力を最大値に維持する方法も考えられる。しかし、この場合には、制御遅れによって槽内温度がオーバーシュートする可能性がある。
【0004】
なお、従来技術として、供試品が設定温度に到達したかどうかを判定すると共に、これを検出して試験モードを切り換え、通常設定される一定のさらし時間を短縮する方法及び装置は提案されている(特開平6ー123687号公報参照)。しかしこの装置では、試験モード切換からさらし温度へ到達するまでの時間を短縮することはできるない。
【0005】
そこで本発明は従来技術に於ける上記問題を解決し、試験槽の目的温度への到達が早く且つ的確で、試験能率の向上された冷熱衝撃試験装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、加熱手段を備えた予熱槽と冷却手段を備えた予冷槽とPID制御部によって温度設定部で設定された温度に制御される試験槽とを備え前記試験槽の温度が低温から高温に切り換えられると前記加熱手段で加熱された前記予熱槽の気体が前記試験槽に導入されて循環される冷熱衝撃試験装置において、
前記温度設定部で設定された温度が低温から高温に変更されたかどうかを検出する設定値変更検出手段と、前記試験槽の温度の上昇率を測定する温度上昇率測定手段と、前記予熱槽の気体が前記試験槽に導入されて循環され前記予熱槽の放熱効果がなくなった温度均衡時近傍の前記試験槽の温度の上昇率を付与できる温度上昇率付与手段と、前記温度上昇率測定手段によって測定された測定温度上昇率と前記温度上昇率付与手段によって付与された温度均衡時近傍温度上昇率とを比較する比較手段と、前記設定値変更検出手段が設定された温度が低温から高温に変更されたことを検出した場合において前記比較手段が前記測定温度上昇率と前記温度均衡時近傍温度上昇率とがほぼ同じになったと判断するまで前記PID制御部の制御に優先して前記加熱手段の加熱能力を大きくするように指示できる指示手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、加熱手段を備えた予熱槽と冷却手段を備えた予冷槽とPID制御部によって温度設定部で設定された温度に制御される試験槽とを備え前記試験槽の温度が高温から低温に切り換えられると前記冷却手段で冷却された前記予冷槽の気体が前記試験槽に導入されて循環される冷熱衝撃試験装置において、前記温度設定部で設定された温度が高温から低温に変更されたどうかを検出する設定値変更検出手段と、前記試験槽の温度の下降率を測定する温度下降率測定手段と、前記予冷槽の気体が前記試験槽に導入されて循環され前記予冷槽の吸熱効果がなくなった温度均衡時近傍の前記試験槽の温度の下降率を付与できる温度下降率付与手段と、前記温度下降率測定手段によって測定された測定温度下降率と前記温度下降率付与手段によって付与された温度均衡時近傍温度下降率とを比較する比較手段と、前記設定値変更検出手段が設定された温度が高温から低温に変更されたことを検出した場合において前記比較手段が前記測定温度下降率と前記温度均衡時近傍温度下降率とがほぼ同じになったと判断するまで前記PID制御部の制御に優先して前記冷却手段の冷却能力を大きくするように指示できる指示手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した冷熱衝撃試験装置の構成例を示す。
冷熱衝撃試験装置は本体部分100、操作制御部分200等によって構成されている。本体部分100は、断熱槽101に囲われていて、加熱手段としての加熱器11を備えた予熱槽1と冷却手段としての冷却装置21を備えた予冷槽2とPID制御部31によって温度設定部32で設定された温度に制御される試験槽3とを備えている。そして、これらの3槽により、試験槽3の温度条件を例えばT1 =−65℃からT2 =150℃までの低温から高温又はこれと反対の高温から低温に切り換え、加熱器11又は冷却装置21で加熱又は冷却された予熱槽1又は予冷槽2の気体としての空気を試験槽3に導入して循環させ、低温さらしと高温さらしとの交互の繰り返し試験を行うことができる。
【0009】
冷熱衝撃試験装置の操作制御部分200は、前記PID制御部31に加えて、試験条件切換時の温度制御部分として、設定値変更検出手段としての前記温度設定部32及び設定変更検出部4、温度上昇率測定手段又は温度下降率測定手段としての試験槽3の温度センサ33及び温度変化率計算部5、温度上昇率付与手段又は温度下降率付与手段としての温度変化率設定部6、比較手段としての温度変化率比較部7、指示手段としての切換制御部8及び最大出力付与器9、等を備えている。
【0010】
本体部分100の予熱槽1内には、前記加熱器11と共に、試験槽3を介して高温空気を循環させるための高温主送風機12及び高温空気を内部循環させる補助送風機13が設けられている。予冷槽2内には、前記冷却装置21と共に、試験槽3を介して低温空気を循環させる低温送風機22及び冷熱量を蓄積する蓄冷器23が設けられている。冷却装置21は、本例では冷凍機21a及び冷却温度調整用の温調加熱器21bで構成されている。冷凍機21aには、図示していないが、冷却用の蒸発器及びこれを通過させて低温空気を供給し槽内循環も可能にする送風機が設けられている。
【0011】
試験槽3には、高温空気入口及び出口のダンパー14及び15と低温空気入口及び出口のダンパー24及び25とが装着されている。これらの開閉により、上記の如く高温又は低温空気が導入され、内部に入れられる電気・電子機器やそれらの部品等の試料Wを高温さらし及び低温さらしの繰り返しによって冷熱衝撃試験できるようになっている。図の実線及び鎖線はそれぞれ試料Wの低温さらし及び高温さらし時のダンパーの開閉状態を示す。なお、図示していないが、通常これらの試験と組み合わせて常温さらし試験もできるように、外気の吸入排出口及びそれらのダンパ等が設けられる。符号33は温度センサである。
【0012】
試験条件切換時の温度制御部分の設定変更検出部4は、温度設定部32で設定された温度が低温から高温又は高温から低温に変更されたどうかを検出する。即ち、前の設定値を記憶しておき、後の設定値を取り入れて両者を比較し、設定温度の低温から高温への切り換え又はこの反対の切り換えを検出する。
【0013】
設定値は、低温さらし及び高温さらしの繰り返し試験時には、例えば図4に示す如く、一定の時間間隔t1 、t2 で−65°Cの低温T1 から150°Cの高温T2 までの温度変化を繰り返すように、タイマ等を介在させて通常自動的に設定される。但し、マニュアル設定も可能であることは勿論である。この例では、設定変更検出部4がT1 を記憶しているときに、自動又は手動操作によって温度設定部32でT2 が設定されたとすると、これらを比較し、低温から高温への切換え、即ち、低温さらしモードから高温さらしモードに変更されたことが検出される。
【0014】
温度変化率計算部5は、タイマを内蔵していて、試験槽の温度センサ33の測定値を短い時間間隔をおいて複数回として例えば2回入力し、この間の検出値の差を経過した時間で割って温度変化率T´pv=dT/dt(pv) を算出し、これを試験槽の測定温度変化率とする。計算値がプラスのときには温度上昇率とし、マイナスのときには温度下降率とする。マイナスのときには、以下においては絶対値の大小によって判断される。
【0015】
温度変化率設定部6では、予熱槽1又は予冷槽2の空気が試験槽3に導入されて循環され、予熱槽1の放熱効果又は予冷槽2の吸熱効果がなくなり、試験槽3と同程度の温度になったときの値である温度均衡時近傍温度上昇率又は下降率を設定によって付与することができる。なお、上昇率及び下降率の両方を変化率T´sv=dT/dt(sv) とする。又、温度均衡時近傍温度上昇率、下降率又は変化率を、以下では「中和時上昇率」「中和時下降率」又は「中和時変化率」という。
【0016】
更に説明すると、例えば予熱槽1では、補助送風機13が連続運転されていると共に、加熱器11が高温さらし時の温度より少し高い温度に制御されていて、槽内では高温空気が循環され、槽内の装備品や内壁等の熱保有体がこれらと同じ温度になっていて、高温熱量を保有している。その結果、ダンパー14、15が開かれると、低温状態になっている試験槽に予熱槽内の空気が送られて循環され、予熱槽が試験槽に保有する高温熱量を移転する放熱作用をなす。そして、この放熱作用とヒータの加熱熱量とによって試験槽3内の温度が次第に上昇するが、一方では、予熱槽1内の蓄熱温度が低下するため、両槽の温度が接近して放熱作用がなくなり、両槽が温度的に中和した状態になる。
【0017】
その後、試験槽3は加熱器11の加熱量だけで昇温する。又、試験槽3内の温度が上昇すると、予熱槽1をある程度再加熱することにもなる。試験槽3の中和時温度上昇率とは、このような状態になったときの近傍の温度上昇率を言う。そして、本例では、この中和時温度上昇率を、実際の装置毎に予め熱量計算したり試験することによって求めておき、その値を温度変化率設定部6で設定することによって付与するようにしている。但し、例えば各槽の適当な位置の壁面やその近傍に温度センサを設け、これらの温度が一定値以内に接近しているときの実測値を中和時温度変化率とし、これを自動的に付与できるようにすることも可能である。
【0018】
温度変化率比較部7は、試験槽の温度センサ33で測定され温度変化率計算部5で計算された測定温度変化率と前記温度変化率設定部6によって付与された中和時温度変化率とを入力してこれらを比較する。この比較は、それぞれの変化率の絶対値で行われる。
【0019】
切換制御部8及び最大出力付与部9は、設定変更検出部4が設定された温度が低温から高温又は高温から低温に変更されたことを検出した場合において、温度変化率比較部7が測定温度上昇率又は下降率T´pvと設定された中和時温度上昇率又は下降率T´svとがほぼ同じになったと判断するまで、PID制御部31の制御に優先して加熱器11の加熱能力又は冷却装置21の冷却能力を大きくするように指示できる。
【0020】
即ち、切換制御部8は、予熱槽1又は予冷槽2と試験槽3との間が温度均衡状態に到達していないと判断したときは、最大出力設定部9の方に動作信号を送り、PID制御部31の制御に優先して、加熱器11又は冷却装置21の出力を例えば100%にするように指示できる。これにより、加熱器11又は冷却装置21の駆動器11a又は21cを介してそれぞれを100%出力で駆動する。なお本例では、冷却装置21の出力を100%にするために、温調用加熱器21bを設けてその出力を0%にするようにしている。比較部7が測定温度変化率T´pvより中和時温度変化率T´svの方が大きくなったと判断したときには、当然PID制御部31による制御に移行する。
【0021】
図2及び図3は、以上のような試験条件切換時の温度制御部分による制御フローの一例を示す。
この制御が開始されると、設定変更検出部4で試験槽3の設定温度Tsv2 が前の設定温度Tsv1 から変更されたどうかを判断し(Sー1)、続いてその変更値が前の値より大きいか小さいかを判断する(Sー2)。これにより、低温さらしから高温さらしへの変更又は高温さらしから低温さらしへの変更の何れであるかが判別される。
【0022】
Tsv2 がTsv1 より大きくなっている場合、即ち低温さらしから高温さらしに設定変更されている場合には、本例では、温度変化率比較部7に追加機能を設け、現在の試験槽の温度Tpvと設定温度Tsv2 +xとを比較するようにしている(Sー3)。これにより、前者が後者より小さいときには、即ち、低温から高温に設定変更された場合において、ヒステリシスx を加えても温度の実測値が設定値に到達していないときには、その結果を切換制御部8に送り、最大出力付与部9を作動させ、加熱器11を100%出力で駆動する(Sー4)。なお、このステップ(Sー3)を設けるのは、ノイズや外乱又は過渡期の制御乱れ等に対応できるようにするためである。
【0023】
次に、温度変化率比較部7で実際の温度上昇率T´pvと温度変化率設定部6で設定された中和時温度上昇率T´svと比較し(Sー5)、前者が後者と同等以下の値になっていれば、即ち予熱槽1と試験槽3とが温度的に中和状態になれば、PID制御部31による制御の初期値を決定するために更にTpvとTsv2 との比較し(Sー6)、前者が後者より小さい通常の値になっていれば、初期操作量を100%にしてPID制御部31を作動させ(Sー7)、ノイズや外乱又は過渡期の制御乱れ等のためにTpvがTsv2 より小さくなっていた場合には、初期操作量yでPID制御部31を作動させる(Sー8)。
【0024】
外乱等によりステップ(Sー3)で既にTpvが(Tsv2 +x)より大きくなっている場合には、初期操作量0でPID制御部31を作動させる(Sー9)。上記初期操作量yは、例えばTpvとTsv2 との偏差に対応した値に決定される。ステップ(S−5)で中和点に到達していないと判断された場合には、一定の制御周期でステップ(S−3)からの制御が繰り返される。その結果、中和点までは加熱器が100%出力で駆動され、昇温時間が速くなる。
【0025】
図3は、ダンパー14、15が閉鎖され24、25が開かれ、高温さらしから低温さらしに設定変更されたときの制御フローを示す。
図2に示すステップ(Sー2)でTsv2 がTsv1 より小さいことが検出されると、図1に示す冷却装置21の温調用加熱器21bが制御される。即ち、図2の場合と同様に、切換制御部8で最大出力付与部9を作動させ、温調用加熱器21bの出力を0%にして冷却装置21の出力を100%にし(Sー1)、以下のステップ(Sー2〜5)では図2の(Sー5〜8)と全く同様の制御を行う。なお、T´pvとT´svとを絶対値で比較するのは、温度上昇時と温度下降時とを同様に扱うためである。低温さらしモードへの切換時にも、中和点までは冷却装置の能力が100%に維持されるので、試験槽の温度下降速度が速くなる。
【0026】
図4は、低温さらしモードと高温さらしモードとを交互に切り換えたときの試験槽温度の変化状態の一例を示す。
例えば点P1 で設定温度が低温T1 から高温T2 に切り換えられ、ダンパー24、25が閉じてダンパー14、15が開くと、予熱槽内の高温空気が試験槽に流入し、予熱槽の蓄熱量が加熱器の加熱量と共に試験槽に持ち込まれ、試験槽の温度が急上昇する。このようなときに加熱器出力のPID制御を継続すると、急激な温度変化を外乱による温度の暴走と判断し、加熱器出力を下げるように操作されるが、以上のように、点P1 で加熱出力を100%にするので、温度上昇曲線のC部分は最大又はこれに近い温度上昇率T´pv= tanθ1 で推移する。
【0027】
両室の温度が中和点P2 に近づくと、予熱槽熱量の持込み量が減少するため、加熱器出力が100%であっても試験槽の温度上昇率は低下する。そして、中和温度になると、試験槽は加熱器の出力だけで加熱される。このような状態のときに、加熱器出力100%制御からPID制御に移行する。従って、PID制御が暴走することなく、このときの状況に適合した制御を行なう。その結果、加熱器の能力を最も効率良く利用することができ、モード切換から高温到達までの時間tを最短にして、試験能率を上げることができる。なお、中和点P2 が高温T2 に近い位置にあるのは、通常予熱槽が試験槽よりも十分大きい熱容量を持つためである。
【0028】
中和点P2 では、曲線C部分に較べて温度上昇率T´pv= tanθ2 が十分小さくなり、計算等で求めた中和時温度上昇率である設定値T´svが正確で測定値と一致していれば、丁度中和点P2 でPID制御に移行する。しかし、測定温度変化率T´pvは中和点P2 の近傍で大きく変化するので、設定値T´pvがそれ程正確でなくても、この近傍で確実にPID制御への移行が実行される。従って、本発明の制御方式によれば、加熱器の出力が有効に利用されると共に、試験槽温度がオーバーシュートするおそれがなく、試験槽温度を安定して高温T2 へ到達させることができる。
【0029】
点P3 で設定温度を高温T2 から低温T1 に切り換えたときには、温度は下降するが、上記と同様の温度変化傾向になる。即ち、予冷槽内の低温空気が試験槽に流入し、蓄冷器24を含む予冷槽の蓄熱量が冷却装置の冷却量と共に試験槽に持ち込まれ、試験槽の温度が急下降する。この場合、点P3 で冷却出力を100%にするので、温度下降曲線のC´部分は最大又はこれに近い温度下降率T´pv= tanθ3 の絶対値で推移する。
【0030】
両室の温度が中和点P4 に近づくと温度下降率は低下し、中和温度になると、冷却出力100%制御からPID制御に移行し、このときの状況に適合した制御を行なう。その結果、冷却装置の能力を最も効率良く利用することができ、モード切換から低温到達までの時間t´を最短にして、試験能率を上げることができる。又、中和点P4 では、曲線C´部分に較べて温度下降率T´pv= tanθ4 の絶対値が十分小さくなり、中和点P4 又はその近傍で確実にPID制御への移行が実行され、試験槽温度をオーバーシュートさせることなく安定して低温T1 へ到達させることができる。なお、中和点P4 が低温に近い位置にあるのは、蓄熱器23同の熱保有体を持つ予冷槽が試験槽よりも十分大きい熱容量を持つためである。
【0031】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、試験槽の温度が低温から高温又は高温から低温に切り換えられると加熱手段又は冷却手段で加熱又は冷却された予熱槽又は予冷槽の気体が試験槽に導入されて循環されるので、試験槽には加熱手段又は冷却手段の加熱熱量又は冷却熱量と共に予熱槽又は予冷槽の保有する高温熱量又は低温熱量が導入される。このときには、試験槽に与えられる加熱熱量又は冷却熱量が多く、この状態を持続させることによって試験槽を早く温度上昇又は温度下降させることができる。一方、この試験槽の温度は基本的にはPID制御の対象になっている。
【0032】
ここで、設定値変更検出手段と温度上昇率又は下降率測定手段と温度上昇率又は下降率付与手段と比較手段と指示手段とを設けているので、これらにより、温度設定部で設定された温度が変更されたかどうかを検出し、設定された温度の変更が検出されると、PID制御部の制御に優先して加熱手段の加熱能力又は冷却手段の冷却能力を大きくするように指示できるので、例えばこれらの能力を100%にすることができる。その結果、設定変更時の急激な温度変化がPID制御部の制御能力を超えるような状態のときに、PID制御部によって加熱手段又は冷却手段の能力を低下させるような制御が確実に防止される。
【0033】
予熱槽又は予冷槽の高温又は低温気体が試験槽を循環すると、試験槽の温度が上昇又は下降すると共に予熱槽の温度が低下するか又は予冷槽の温度が上昇し、各槽間の温度が均衡した状態になる。この時からは、加熱手段又は冷却手段は試験槽と共に予熱槽又は予冷槽もある程度加熱又は冷却しつつ試験槽を昇温又は降温させるので、温度上昇率又は下降率が大幅に低下する。本発明では、比較手段により、測定温度上昇率又は下降率と付与された温度均衡時近傍温度上昇率又は下降率とを比較し、比較手段が測定値と付与値とが同程度になったと判断するまで指示手段がPID制御を保留させるので、それまでの間、試験槽の温度上昇率又は温度下降率を最大にし、昇温及び降温時間を最短にして試験能率を上げることができる。
【0034】
一方、その後は原則的なPID制御に復帰するので、PID制御部が的確に試験槽の温度を制御をすることができる。その結果、設定変更時の強制的な大出力付与制御を温度均衡時点でPID制御に切り換えることにより、その後の試験槽の温度上昇を迅速且つ適正な状態にし、到達温度のオーバーシュートも確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した冷熱衝撃試験装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】上記装置によって低温さらしから高温さらしに切り換えたときの制御の一例を示すフローチャートである。
【図3】上記装置によって高温さらしから低温さらしに切り換えたときの制御の一例を示す部分フローチャートである。
【図4】低温さらしと高温さらしとの切換時の試験槽温度の変化状態を示す曲線図である。
【符号の説明】
1 予熱槽
2 予冷槽
3 試験槽
4 設定変更検出部(設定値変更検出手段)
5 温度変化率計算部(温度上昇率及び下降率測定手段)
6 温度変化率付与部(温度上昇率及び下降率付与手段)
7 温度変化率比較部(比較手段)
8 切換制御部(指示手段)
9 最大出力付与部(指示手段)
11 加熱器(加熱手段)
21 冷却装置(冷却手段)
21a 冷凍機(冷却手段)
21b 温調用加熱器(冷却手段)
31 PID制御部
32 温度設定部(設定値変更検出手段)
33 温度センサ(温度上昇率及び下降率測定手段)
Claims (2)
- 加熱手段を備えた予熱槽と冷却手段を備えた予冷槽とPID
制御部によって温度設定部で設定された温度に制御される試験槽とを備え前記試験槽の温度が低温から高温に切り換えられると前記加熱手段で加熱された前記予熱槽の気体が前記試験槽に導入されて循環される冷熱衝撃試験装置において、
前記温度設定部で設定された温度が低温から高温に変更されたかどうかを検出する設定値変更検出手段と、前記試験槽の温度の上昇率を測定する温度上昇率測定手段と、前記予熱槽の気体が前記試験槽に導入されて循環され前記予熱槽の放熱効果がなくなった温度均衡時近傍の前記試験槽の温度の上昇率を付与できる温度上昇率付与手段と、前記温度上昇率測定手段によって測定された測定温度上昇率と前記温度上昇率付与手段によって付与された温度均衡時近傍温度上昇率とを比較する比較手段と、前記設定値変更検出手段が設定された温度が低温から高温に変更されたことを検出した場合において前記比較手段が前記測定温度上昇率と前記温度均衡時近傍温度上昇率とがほぼ同じになったと判断するまで前記PID制御部の制御に優先して前記加熱手段の加熱能力を大きくするように指示できる指示手段と、を有することを特徴とする冷熱衝撃試験装置。 - 加熱手段を備えた予熱槽と冷却手段を備えた予冷槽とPID
制御部によって温度設定部で設定された温度に制御される試験槽とを備え前記試験槽の温度が高温から低温に切り換えられると前記冷却手段で冷却された前記予冷槽の気体が前記試験槽に導入されて循環される冷熱衝撃試験装置において、
前記温度設定部で設定された温度が高温から低温に変更されたどうかを検出する設定値変更検出手段と、前記試験槽の温度の下降率を測定する温度下降率測定手段と、前記予冷槽の気体が前記試験槽に導入されて循環され前記予冷槽の吸熱効果がなくなった温度均衡時近傍の前記試験槽の温度の下降率を付与できる温度下降率付与手段と、前記温度下降率測定手段によって測定された測定温度下降率と前記温度下降率付与手段によって付与された温度均衡時近傍温度下降率とを比較する比較手段と、前記設定値変更検出手段が設定された温度が高温から低温に変更されたことを検出した場合において前記比較手段が前記測定温度下降率と前記温度均衡時近傍温度下降率とがほぼ同じになったと判断するまで前記PID制御部の制御に優先して前記冷却手段の冷却能力を大きくするように指示できる指示手段と、を有することを特徴とする冷熱衝撃試験装置。
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