JP3724259B2 - 画像記録方法及び画像記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像記録方法及び画像記録装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来、画像データに基づいて画像を記録するためにハロゲン化銀写真感光材料をレーザ光により露光していた。そして、近年、液処理が不要で熱現像により画像を顕像化できるハロゲン化銀熱現像感光材料が登場した。しかし、これをレーザ光で露光すると干渉縞が発生し画像ムラが生じてしまうことが判った。この現象をフィルム断面とレーザ光との関係を示す概念図である図12により説明する。
【0003】
図12(a)に示すように、ハロゲン化銀熱現像感光材料の感光層とPET等の支持体とから構成されたフィルムFにレーザ光が表面F1から入射すると、裏面F2で一部が反射し表面F1に戻ることにより、直接記録層に照射される光B1と、感光層を透過した光のうち、F2面で反射し、さらにF1面で反射された光B2との間で干渉が起こる。このため、感光層に照射される光量がフィルムの厚みにより変化し、その結果ハロゲン化銀熱現像感光材料の感光層への露光量が変動し、濃度ムラが生じてしまう。
【0004】
直接感光層に照射される光B1と、F2面、F1面で反射された後、記録層に照射される光B2との光路差δが、レーザ波長の整数倍のとき感光層に照射される光量が最大になり、整数倍から半波長ずれたときに最小になる。屈折率の異なる媒体の境界面における反射率Rは、この境界面を挟む各々の媒体の屈折率をnA,nBとすると、次の式(1)で表すことができる。
R=((nB−nA)/(nB+nA))2 (1)
ここで、例えば感光材料の各層の屈折率が同じで一様であり、nB=1(空気),nA=1.5(感光材料)とすると、空気と感光材料との境界面での反射率Rは4%になる。また、干渉による光量変化(ピークtoピーク)ΔAは、次の式(2)で表すことができ、上述の場合、16%にもなる。
ΔA=4R (2)
【0005】
実際には、図12(b)のように、支持体の裏面F2側にはレーザ光の吸収層が設けられており、また、感光層に含まれるハロゲン化銀粒子による散乱光sの発生のため、干渉による光量変化は上記の値より少なくなる。しかし、吸収層と支持体とにわずかでも屈折率の違いがあると、この吸収層と支持体の境界面F2で反射が生じ、吸収層が寄与しなくなる。また、従来の感光材料は、含まれるハロゲン化銀粒子のサイズが大きく、また吸収層を多層に設けることができるので、干渉縞は発生し難いのに対し、熱現像感光材料は、従来の感光材料に比較してハロゲン化銀粒子が細かく、感光層内での散乱が従来のフィルムよりもずっと少なく、特に、γが2以上の硬調な熱現像材料である場合、干渉縞が顕著となる。
【0006】
上述のような干渉による光量変動は、次のような対策▲1▼〜▲3▼により防止することが可能である。
▲1▼支持体の裏面(F2)に反射防止膜を設け、支持体と吸収層との間の面F2での反射率を低減させる。
▲2▼支持体の厚みのバラツキを、レーザ光の波長(一般的には0.5μm〜1.5μm)の数分の1以下に抑える。
▲3▼支持体と吸収層との屈折率差を小さくして、支持体と吸収層との間の境界面F2での反射率を小さくする。
しかし、対策▲1▼はコストアップにつながり、好ましくない。また対策▲2▼に関しては、数μmの厚みの媒体のバラツキを抑えることは可能でも、100μm以上の厚みを有する媒体のバラツキを、サブμm以下に抑えることは不可能に近い。更に対策▲3▼に関しても、わずか0.05以下の屈折率差でも干渉縞になるため、両者の屈折率差をこのレべル以下に合わせることは殆ど不可能である。
【0007】
また、米国特許第4,711,838号明細書には、レーザ光の波長域である近赤外線を拡散透過する表面層と、この近赤外線を拡散反射または吸収する裏面層と、支持体と感光層との間に設けられかつこの近赤外線を拡散透過または吸収する層とを有するハロゲン化銀熱現像感光材料が開示されている。従来、このように感光材料そのものの工夫により干渉縞を抑制することが一般的であった。また、特表平10−500229号公報では、高周波をレーザダイオードへの入力信号に重畳してレーザダイオードを駆動することが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、感光材料の工夫による干渉縞の抑制は、感光材料の他の特性、例えば、現像後の視認性や、感光材料のコストなどに悪影響があったり、またそれだけでは不十分であったりする。また、高周波をレーザダイオードへの入力信号に重畳するのは、技術的に難しく、コストアップになり、また却って動作が不安定になるおそれがあり、さらには、花の利用効率が基本的には約半分になるという欠点を有している。)また、γ(フィルムコントラスト)が2以上の硬調な感光材料では、干渉縞の抑制は十分なものではなかった。
【0009】
本発明は、これらの従来技術の問題に鑑みなされたもので、従来とは異なる方法でレーザ光の干渉縞を減少させることにより、感光材料に形成される画像の品質を向上させることのできる画像記録方法及び画像記録装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明による画像記録方法は、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上であるハロゲン化銀熱現像感光材料を、少なくとも互いに異なる波長の2本のレーザ光で走査露光することにより、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料に画像を記録する画像記録方法であって、
前記2本のレーザ光の波長がλ1,λ2であり、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料が支持体と感光層とを備え、
前記支持体の厚さD1と、前記支持体の屈折率n1と、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料の前記感光層側の支持体面から前記感光層側表面までの厚さD2と、前記感光層の屈折率n2と、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料のγとが、整数Nのいずれかに対して以下の式を満たすことを特徴とする。
(N+0.5-(0.7/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.7/γ))
【0011】
本発明によれば、感光材料のγが2以上の硬調なハロゲン化銀熱現像感光材料であっても、干渉縞を効果的に減少させることができる。なお、干渉縞のより効果的な減少のためには、整数Nのいずれかに対して以下の式(4)を満たすことが好ましい。
(N+0.5-(0.4/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.4/γ)) (4)
【0012】
そして、前記感光材料が、前記感光層中のハロゲン化銀粒子に対して銀量で4倍以上の有機酸銀を含有していることが好ましい。感光層中のハロゲン化銀粒子に対して銀量で4倍以上の有機酸銀が含有されていると、現像後の視認性が高いが、干渉が生じやすいけれども上述の事項により、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0013】
また、前記互いに異なる波長の2本のレーザ光が、それぞれ別のレーザ光源から発振されるようにできる。これにより、上述の式(3)を満たす異なる波長の2本のレーザ光を得ることができる。
【0014】
また、前記レーザ光源をレーザダイオードとすることができる。
【0015】
また、前記互いに異なる波長の2本のレーザ光が、互いに異なる波長のレーザ光を発振する複数の発光点を有するレーザダイオードから発振されるようにできる。
【0016】
また、前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御することにより、所望の発振波長のレーザ光をレーザダイオードから発振させることができるので、干渉縞を効果的に減少させることができる。また、レーザダイオードの光出力と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードの光出力を制御することにより、所望の発振波長のレーザ光をレーザダイオードから発振させることができる。また、レーザダイオードの温度と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードの発振波長を制御することにより所望の発振波長のレーザ光をレーザダイオードから発振させることができる。
【0017】
また、別の本発明による画像記録方法は、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料を、所定本数の走査線毎に、少なくとも互いに異なる2つの波長のレーザ光で走査露光することにより、前記感光材料に画像を形成する画像記録方法であって、前記2本のレーザ光の波長がλ1,λ2であり、前記感光材料が支持体と感光層とを備え、前記支持体の厚さD1と、前記支持体の屈折率n1と、前記感光材料の前記感光層側の支持体面から前記感光層側表面までの厚さD2と、前記感光層の屈折率n2と、前記感光材料のγとが、整数Nのいずれかに対して上記式(3)を満たすことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、感光材料のγが2以上の硬調なハロゲン化銀熱現像感光材料であっても、干渉縞を効果的に減少させることができる。なお、干渉縞のより効果的な減少のためには、整数Nのいずれかに対して上記の式(4)を満たすことが好ましい。
【0019】
また、前記感光材料が、前記感光層中のハロゲン化銀粒子に対して銀量で4倍以上の有機酸銀を含有していることが好ましい。感光層中のハロゲン化銀粒子に対して銀量で4倍以上の有機酸銀が含有されていると、現像後の視認性が高く、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0020】
また、前記レーザ光がレーザダイオードから発振されるようにできる。
【0021】
前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御することにより、所望の発振波長のレーザ光をレーザダイオードから発振させることができるので、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0022】
また、更に別の本発明による画像記録装置は、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料をレーザ光で走査露光することにより、前記感光材料に画像を形成する画像記録装置において、互いに異なる波長のレーザ光を発振する複数のレーザ光源と、前記レーザ光源から発振された複数のレーザ光を合波又は並行させて前記感光材料上に走査する走査光学系とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、感光材料のγが2以上の硬調なハロゲン化銀熱現像感光材料であっても、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0024】
また、前記レーザ光源をレーザダイオードとすることができる。
【0025】
また、更に別の本発明による画像記録装置は、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料をレーザ光で走査露光することにより、前記感光材料に画像を形成する画像記録装置において、互いに異なる波長のレーザ光を発振する複数の発光点を有するレーザダイオードと、前記レーザダイオードから発振された複数のレーザ光を合波又は並行させて前記感光材料上に走査する走査光学系とを有することを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、感光材料のγが2以上の硬調なハロゲン化銀熱現像感光材料であっても、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0027】
また、前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御するようにできる。これにより、所望の発振波長のレーザ光をレーザダイオードから発振させることができるので、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0028】
また、更に別の本発明による画像記録装置は、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料をレーザ光で走査露光することにより、前記感光材料に画像を形成する画像記録装置において、レーザ光を発振するレーザ光源と、前記レーザ光源から発振されたレーザ光を前記感光材料上に走査する走査光学系と、前記走査の所定本数の走査線毎に、前記レーザ光源から発振するレーザ光の波長を切り替えるように制御するレーザ光源制御手段とを有する。
【0029】
本発明によれば、感光材料のγが2以上の硬調なハロゲン化銀熱現像感光材料であっても、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0030】
また、前記レーザ光源をレーザダイオードとすることができる。
【0031】
また、更に別の本発明による画像記録装置は、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料をレーザ光で走査露光することにより、前記感光材料に画像を形成する画像記録装置において、レーザ光を発振するレーザダイオードと、前記レーザダイオードから発振されたレーザ光を前記感光材料上に走査する走査光学系と、前記感光材料上に走査して記録される画像の画像信号を入力する手段と、前記走査の所定本数の走査線毎に、前記レーザダイオードから発振するレーザ光の前記画像信号値と波長との関係を切り替えるように制御するレーザ光源制御手段とを有する。
【0032】
本発明によれば、感光材料のγが2以上の硬調なハロゲン化銀熱現像感光材料であっても、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0033】
また、前記レーザ光源制御手段は、前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御するようにできる。これにより、所望の発振波長のレーザ光をレーザダイオードから発振させることができるので、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0034】
また、更に別の本発明による画像記録装置は、レーザ光を発振するレーザダイオードと、前記レーザダイオードから発振されたレーザ光を、前記レーザ光の透過率が20%以上の被画像記録物上に走査する走査光学系と、干渉縞を減少させるように、前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御する前記レーザ光源制御手段とを有し、前記被画像記録物に画像を形成する。
【0035】
本発明によれば、所望の発振波長のレーザ光をレーザダイオードから発振させることができので、干渉縞を効果的に減少させることができる。
【0036】
また、前記レーザ光源制御手段が、予め設定された前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性情報に応じて、干渉縞を減少させるように、前記レーザダイオードに入力される入力値を制御するようにできる。
【0037】
【発明の実施の形態】
最初に、異なる波長を有する2つのレーザ光で干渉縞を防止する原理を具体例を挙げながら図1及び図2により説明する。
【0038】
(1)レーザが単一波長の(干渉による光量変動が生ずる)場合
図1のように、フィルムFにレーザ光が垂直入射する場合を考える。ハロゲン化銀熱現像感光材料であるフィルムFの感光層の厚さD2を20μm、屈折率n2を1.5、支持体1の厚さD1を180μm、屈折率n1を1.5、レーザ光の波長を0.800μmとすると、光路差δ=2(D1×n1+D2×n2)=2×(180×1.5+20×1.5)=600μmは、600/0.8=750と波長の整数倍となる。図1のレーザ光は感光層2側のフィルムFの表面F1の入射点5で図2(a)のような位相となり、また入射光はフィルムの裏面F2で、一部が反射し、その反射光がフィルムFの入射点5で反射し、入射点5では、図2(b)のような位相となり、両位相が一致するため、記録層2に照射される光量は最大となる。これに対して、支持体の厚さを180.13μmとすると、光路差δは波長の750.5倍となり、裏面F2で反射し、さらに表面F1で反射したレーザ光は入射点5で図2(c)のような位相となり、図2(a)の位相と丁度逆になるので、フィルムFに垂直入射するレーザ光の光量が同じ場合、記録層2に照射される光量は最少となる。このように、フィルムFの支持体1の厚みのバラツキにより、記録層2を照射する光量が変化する。
【0039】
(2)レーザが2つの波長を有する(光量変動が生じない)場合
上述の例で、もし、各々、0.8μm、0.80053μmの波長の2つのレーザ光で露光すれば、上述の光路差600μmは、この2つのレーザ光の波長に対して、、それぞれ750倍、749.5倍となり、感光層2に照射される光量は両者の和、つまり最大と最小の中間になる。ここで、例えば、光路差が600.4μmとなっても、この光路差600.4μmは、その2つのレーザ光の波長に対して、それぞれ750.5倍、750倍となり、やはり感光層に照射される光量は、最少と最大の中間になる。つまり、支持体1の厚みが変わっても、感光層に照射される光量は変わらない。
【0040】
以上のように、照射されるレーザ光が2つの互いに異なる波長を持つことにより、干渉の影響を低減させることができることがわかるが、本発明者らの検討によれば、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上であるハロゲン化銀熱現像感光材料のフィルムFにおいて、図1のように、2本のレーザ光の波長(λ1,λ2)と、支持体1の厚さD1と、支持体1の屈折率n1と、感光層2の厚さD2と、感光層2の屈折率n2と、感光材料のγとが、整数Nのいずれかに対して式(3)を満たすことにより、好ましくは式(4)を満たすことにより、上述のような効果が得られることが分かった。
(N+0.5-(0.7/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.7/γ)) (3)
(N+0.5-(0.4/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.4/γ)) (4)
【0041】
以下、本発明の一例である実施の形態及び実施例を説明する。従って、発明の用語の意義や発明自体を、発明の実施の形態及び実施例の記載により限定して解釈すべきではなく、適宜変更/改良が可能であることは言うまでもない。
図3は、本実施の形態の画像記録装置の正面図であり、図4は、この画像記録装置の左側面図である。本実施の形態の画像形記録装置100は、シート状の熱現像材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130とを有している。フィルムFは、平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上であるハロゲン化銀熱現像感光材料である。以下、図面を用いて本実施の形態の画像記録装置を説明する。
【0042】
図3、4において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフイルムFを給送ローラ対112へ運ぶ。そして、給送ローラ対112により給送されたフイルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられいる。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図4の矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0043】
画像記録装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図3及び図4に示すように、搬送ローラ対141により図4の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送されたフイルムFを図3の矢印(5)に示す鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。
【0044】
そして、図3に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフイルムFを図3の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを画像記録装置100の左側面から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
【0045】
この鉛直方向上方への搬送途中で、露光部120は、フィルムFの感光面を赤外域780〜860nmの範囲内の波長を有するレーザ光で走査露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0046】
画像記録装置100の装置の上部には熱現像部130が設けられ、熱現像部130のドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図3の矢印(6)に示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFをドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。
【0047】
ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、成り行きによるランダムなタイミングで供給する。なお、ランダムなタイミングによる供給の代わりに、タイミングを図って供給してもよい。
【0048】
熱現像部130のドラム14は、フィルムFとドラム14の外周面とが密着した状態で、図3の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像する。すなわち、フイルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図3のドラム14に対し右方まで回転したときに、ドラム14からフィルムFを離す。熱現像部130の右側方には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、ドラム14から離れたフイルムFを、図1の矢印(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフイルムFを搬送しつつ、濃度計118がフイルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、ドラム14から離れたフイルムFを図3の矢印(9)に示すように水平方向に搬送し、画像記録装置100の上部から取り出せるように、画像記録装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0049】
基本例
図5は、露光部120の構成を示す概念図である。露光部120は、デジタル画像信号Sに基づき強度変調されたレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成するものである。
【0050】
画像記録装置100は、放射線CT装置、スキャナ等の画像信号生成装置121から送信された画像信号Sを画像I/F122を介して受信し、変調部123に入力される。変調部123は、画像信号Sをアナログ変換し、アナログ変換された露光画像信号をドライバ124に送り、ドライバ124は送られた露光画像信号に応じてレーザ光源部125、127がレーザ光を照射するように制御する。
【0051】
2つのレーザ光源部125,127は、互いに波長の異なるレーザ光を出射するレーザダイオードから構成されており、図5のように、レーザ光源部127から出射したレーザ光L2はミラー128a,ハーフミラー128bにより、レーザ光源部125から出射したレーザ光L1と合波し、この合波したレーザ光Lが集光レンズ126に入射するようになっている。レーザ光源部125から出射するレーザ光の波長(λ1)は、例えば800nmに設定され、レーザ光源部127から出射するレーザ光の波長(λ2)は、例えば800.53nmに設定されている。
【0052】
レーザ光源部125、127から出射し合波されたレーザ光Lは、集光レンズ126でビーム径が変換され、シリンドリカルレンズ115で一方向(本実施の形態では、上下方向)にのみ収束され、図5で矢印Aに示す回転方向に回転する回転多面鏡113の鏡面に対し、回転多面鏡の回転軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113は、レーザ光Lを主走査方向に反射偏向し、偏向されたレーザ光Lは、4枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送装置142により矢印Y方向に搬送されている(副走査されている)フィルムFの被走査面上を、矢印X方向に繰り返し主走査される。このようにして、レーザ光Lは、フィルムF上の被走査面全面にわたって走査する。
【0053】
fθレンズ114のシリンドリカルレンズは、入射したレーザ光LをフィルムFの被走査面上に、副走査方向にのみ収束させる。このように、露光部120においては、シリンドリカルレンズを含むfθレンズ114及びミラー116を配設しており、レーザ光Lが回転多面鏡113上で、一旦副走査方向にのみ収束させるようになっているので、回転多面鏡113に面倒れや軸ブレが生じても、フィルムFの被走査面上において、レーザ光Lの走査位置が副走査方向にずれることがなく、走査線を等間隔に形成することができるようになっている。回転多面鏡113は、たとえばガルバノメータミラー等、その他の光偏光器に比べ走査安定性の点で優れているという利点がある。
【0054】
以上のようにして、前述の光路差600μmのフィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成されるが、この場合、整数Nのいずれかに対して前述の式(3)及び式(4)を満足する2つの波長の異なるレーザ光(波長λ1=800nm、波長λ2=800.53nm)により、フィルムFを露光するから、図1,図2により説明したようにフィルムFの厚さに変動があっても干渉縞を効果的に減少させることができ、熱現像後のフィルムFにおいて濃度むらを低減できるので、画像品質が向上する。
【0055】
変形例1
互いに異なる波長の2つのレーザ光を、互いに異なる波長のレーザ光を発振する複数の発光点を有するレーザダイオードから発振するようにしてもよい。例えば、4本の光束を用いて走査を行う装置に関する変形例を説明する。この変形例は、レーザプリンタに関する。ここでのレーザプリンタは、図14に示されるように、画像情報に応じて出力のレーザ光の強度が変調され、ほぼ平行な4本の光束を出力するレーザビーム出力装置(71)と、このレーザビーム出力装置(71)からの4本のレーザビームを集束させる集束レンズと、この集束レンズ(72)からの4本のレーザビームを被走査面(73)上で走査させるため、レーザビームを振る光偏向素子(74)と、この光偏向素子(74)からのレーザビームの光路を変化させ被走査面(73)上に導く反射鏡(75)とから成る。被走査面は、フィルムFの感光面であり、レーザビームの走査方向と直角方向へ搬送される。レーザビーム出力装置は(71)は、その断面図である図15に示されるように、発振波長が互いに異なる4個の発光点を有する半導体レーザ(76)とコリメートレンズ(77)とを収納したレーザビーム出力部(78)と、このレーザビーム(78)が嵌合した筒状の支持体(79)と、この支持体(79)に嵌合され、光学素子(80)が収納された光学素子収納部(81)とから成る。但し、レーザビーム部(78)及び光学素子収納部(81)とは、貫通孔が設けられており、レーザビームの進行を阻害しないようになっている。
【0056】
さて、半導体レーザは、良く知られているように、半導体集積回路技術を用いて、ウエハ上に複数個同時に形成後、ここに切断され得られている。この変形例に用いる4個の発光点を有する半導体レーザ(76)は、このウエハを個々に切断することなく4個ずつチップ(91)として切り出して用いる。この時、発光源の間隔は、300μmである。又、それぞれのレーザの電極は電気的に分解されている。このようなチップ(94)を、図16に示されるように、ヒートシンク(92)上に設ける。そして、チップ(94)上の電極にリード線(98)を接続する。このリード線(98)には、図示しない変調器により画像信号に応じて調整された電気信号が供給される。
【0057】
このような半導体レーザ(76)からのレーザ光は、広がり、図15に示すコリメートレンズ(77)に入射されるコリメートレンズ(77)は、開口が2.4mm、焦点距離fが8.4mmであり、レーザ半導体(76)の発光面から8.4mmの距離の位置に設けられる。従って、このコリメートレンズ(77)に入射される4個の広がったレーザ光は、4本の平行光束となって出射される。ただし、これら4本の平行光束は、コリメートレンズの直後ではその光路が分離せず、潜在している。そこで、コリメートレンズ(77)の後に光学素子(80)を設ける。
【0058】
光学素子(80)は光学ガラスからできている。この光学素子(80)は、図17に示されるように、平らな入射面(100)と対抗した第1乃至第4の出射面(101)、(102)、(103)、(104)と、これらの入射面(100)及び第1乃至第4の出射面(101)、(102)、(103)、(104)と辺を共有する第5乃至第8の面(105)、(106)、(107)、(108)を有する。第1乃至第4の出射面(101)、(102)、(103)、(104)は、対称に形成されている。
【0059】
図18に示すように、第1又は第4の出射面(101)、(104)と入射面(100)のなす角Aは、6゜前後で、第2又は第3の出射面(102)、(103)と入射面(100)のなす角Bの約3倍である。
【0060】
このような光学素子(80)に入射する4本の平行光束は、前述のような配置によって、入射面(100)に於いて、空間的に分離されている。4本の平行光束は、入射面と出射面で屈折される。その結果4本の平行光束は、光学素子(80)によって、それぞれ平行光束のまま、方向が揃えられる。但し、各平行光束は、完全に向きが揃って互いに平行となるのではなく挟まり気味になる。このような光学素子(80)に対して、光学素子収納部(81)は、図19に示されるように、光学素子(80)を挿入固定しうる貫通孔が設けられている。
【0061】
さて、光学素子(80)からの4本の平行光束は、図14に示されるように、集束レンズ(72)によって、被走査面(78)上に集束される。前述したように、4本の平行光束は、互に非平行で、集束レンズ(72)に入射するので、被走査面(73)上で4個のスポットが得られ、走査線を形成する。
【0062】
この変形例1における4個の発光点は、例えばそれぞれ800nm、800.53nm、801.06nm、801.59nmの発振波長であることが好ましい。
【0063】
変形例2
次に、図6により露光部120の基本例及び変形例1についての変形例を説明する。この変形例2は、同一温度では同一波長のレーザ光を発振する2つのレーザダイオード(変形例1の変形では、複数のチップ)に温度差を与えることにより、出射するレーザ光に波長差を生じさせるようにしたものである。レーザ光源部125,127はレーザダイオードから構成され、同一温度では同一波長のレーザ光を発振する。図6に示すように、レーザ光源部125,127には温度制御素子125a,127aと温度検知素子125b,127bとがそれぞれ設けられている。温度制御部128により温度検知素子125b,127bで検知した検知温度に基づいて温度制御素子125a,127aがレーザ光源部125,127の各レーザダイオードに温度差が生じるように制御される。
【0064】
レーザダイオードはその発振波長に関し、例えば図13に示すように温度依存性があり、例えば発振波長が0.3nm/℃の割合で上昇する特性を有するとすると、発振波長が約800nmで、光路差δが600μmの場合、必要な波長差Δλ(=λ1−λ2)は0.53nmであるから、必要な温度差ΔTは0.53/0.3≒1.8℃となる。従って、温度制御部128でこの温度差になるように温度制御素子125a,127aを制御することにより、図5の場合と同様の効果が得られる。なお、温度制御素子としてペルチェ素子等を使用でき、また温度検知素子として熱電対、サーミスタ等を使用できるが、これらには限定されない。また、2つのレーザ光源部は、必ずしも同一温度で同一波長のレーザ光を発振しなくてもよく、同一温度で同一波長でない場合は、上述と同様にして所定の波長差が得られるようにレーザ光源部に温度差を与えればよい。
【0065】
変形例3
次に、露光部120の別の変形例について図7〜図9により説明する。この変形例3は、レーザ光源部を1つだけ設け、所定本数の走査線毎にレーザの入力電流を変えることによりレーザ光の発振波長を変えるようにしたものである。図7に示すように、レーザダイオードから構成されたレーザ光源部125と集光レンズ126との間に光変調素子129が配置され、この光変調素子129はドライバ124’を介して画像信号Sに応じてレーザ光を変調する。また、レーザ光源制御手段として、レーザ光源部125の発光量を切り換えるタイミングをとるための同期信号を出力する同期信号回路131と、この同期信号に基づいてレーザダイオードへの入力電流値を選択する選択回路132と、この選回路132から送信される入力電流値に基づいてレーザ光源部125のレーザダイオードを入力電流で駆動するドライバ133とを備える。変調部123はドライバ124’を介して同期信号回路131からの同期信号に同期して光変調素子129を駆動する。なお、光変調素子129として音響光学光変調器等を用いることができる。
【0066】
レーザ光源部125から出射し光変調素子129で画像信号Sに応じて変調されたレーザ光Lにより、上述のようにフィルムFの面上でX方向に走査されながら、Y方向に副走査される。このX方向での走査時に、図8に示すように、同期信号回路131の同期信号に同期して発光量選択回路132によりレーザダイオードの発光量を、例えば第1の走査▲1▼の開始から終了までで5mW、同様に第2の走査▲2▼で10mW、同様に第3の走査▲3▼で5mW、・・・のように切り替える。
【0067】
レーザ光の光出力とその波長との関係は、例えば、図9に示すように、光出力5mWでその波長が800nmとなり、光出力10mWでその波長が800.53nmとなる。図8に示す各走査を、第1〜第3の走査▲1▼〜▲3▼、第4〜第6の走査▲4▼〜▲6▼、第7〜第9の走査▲7▼〜▲9▼、・・・のように、3走査線単位で考えると、レーザ光の発光量と波長との関係が、図8に示すようになっていると、干渉縞を効果的に減少させることができる。また、10mWの光出力時(波長が800.53nm)のエネルギと5mWの光出力時(波長が800nm)のエネルギとを等しくするために、5mWの走査が2回に対して10mWの走査が1回の比率で露光している。
【0068】
なお、例えば図9のようなレーザ光の光出力とその波長との関係は、レーザダイオードの種類により異なるから、レーザダイオードを適宜選択するとよい。また、図9のような関係から所望の波長差を有するようにレーザ光の2つの光出力レベルを選択するようにできる。
【0069】
次に、上述のフィルムFについて説明する。図10は、フィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。図11は、加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図10と同様な断面図である。フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、ベヘン酸銀(Beh.Ag)と、還元剤及び調色剤とが配合されている。
【0070】
露光時に、露光部120よりレーザ光LがフィルムFに対して照射されると、図10に示すように、レーザ光Lが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。一方、フィルムFが加熱されて最低熱現像温度以上になると、図11に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したベヘン酸は調色剤と錯体を形成する。その後銀イオンが拡散して、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されると思われる。このようにフィルムFは、感光性ハロゲン化銀粒子と、有機銀塩と、銀イオン還元剤とを含有し、40℃以下の温度では実質的に熱現像されず、80℃以上である最低現像温度以上の温度で熱現像されるようになっている。
【0071】
熱現像材料に用いられる感光性のハロゲン化銀は、典型的に、有機銀塩に関して、0.75〜25mol%の範囲で用いられることができ、好ましくは、2〜20mol%の範囲で用いられることができる。また、フィルムFは、有機酸銀を感光層中のハロゲン化銀粒子に対して銀量で4倍以上の含有していることが好ましい。また、ハロゲン化銀粒子の平均粒径は0.1μm以下である。
【0072】
このハロゲン化銀は、臭化銀や、ヨウ化銀や、塩化銀や、臭化ヨウ化銀や、塩化臭化ヨウ化銀や、塩化臭化銀等のあらゆる感光性ハロゲン化銀であっても良い。このハロゲン化銀は、これらに限定されるものではないが、立方体や、斜方晶系状や、平板状や、4面体等を含む、感光性であるところのあらゆる形態であったも良い。
【0073】
有機銀塩は、銀にオンの還元源を含むあらゆる有機材料である。有機酸の、特に長鎖脂肪酸(10〜30の炭素原子、好ましくは15〜28の炭素原子)の銀塩が好ましい。配位子が全体的に4.0〜10.0の間で一定の安定性を有する有機又は無機の銀塩錯体であることが好ましい。そして、画像記録層の重量の約5〜30%であることが好ましい。
【0074】
この熱現像材料に用いられることができる有機銀塩は、光に対して比較的安定な銀塩であって、露光された光触媒(たとえば写真用ハロゲン化銀等)と還元剤の存在において、80℃以上の温度に加熱されたときに銀画像を形成する銀塩である。
【0075】
好ましい有機銀塩には、カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩が含まれる。それらには、脂肪族カルボン酸の銀塩及び芳香族カルボン酸の銀塩が含まれる。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例には、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等が含まれる。脂肪族カルボン酸におけるハロゲン原子又はヒドロキシルとの銀塩も効果的に用いうる。メルカプト又はチオン基を有する化合物及びそれらの誘導体の銀塩も用いうる。更に、イミノ基を有する化合物の銀塩を用いうる。
【0076】
有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元できるいずれの材料でも良く、好ましくは有機材料である。フェニドン、ヒドロキノン及びカテコールのような従来の写真現像剤が有用である。しかし、フェノール還元剤が好ましい。還元剤は画像記録層の1〜10重量%存在するべきである。多層構成においては、還元剤が乳剤層以外の相に添加される場合は、わずかに高い割合である約2〜15重量%がより望ましい。
【0077】
【実施例】
上述の本実施の形態による基本例及び変形例1〜3の装置により下記のフィルムFを露光し熱現像したところ、干渉縞の発生が原因と考えられる濃度むらは発見されなかった。以下、フィルムFの製造について説明する。
【0078】
ハロゲン化銀−ベヘン酸銀ドライソープを、米国特許第3,839,049号に記載の方法によって調製した。上記ハロゲン化銀は総銀量の9モル%を有し、一方べへン酸銀は総銀量の91モル%を有した。上記ハロゲン化銀は、ヨウ化物2%を有する0.055μm臭化ヨウ化銀エマルジョンであった。
【0079】
熱現像乳剤を、上記ハロゲン化銀−ベヘン酸銀ドライソープ455g、トルエン27g、2−ブタノン1918g、およびポリビニルブチラール(モンサント製のB−79)と均質化した。上記均質化熱現像乳剤(698g)および2−ブタノン60gを撹拌しながら12.8℃まで冷却した。ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド(0.92g)を加えて、2時間撹絆した。
【0080】
臭化カルシウム溶液(CaBr(1g)とメタノール10ミリリットル)3.25ミリリットルを加え、続いて30分間撹拌した。更にポリビニルブチラール(158g;モンサント製B−79)を加え、20分間撹拌した。温度を21.1℃まで上昇し、以下のものを撹絆しながら15分間かけて加えた。
Figure 0003724259
尚、染料S−1は以下の構造を有する。
【0081】
【化1】
Figure 0003724259
【0082】
活性保護トップコート溶液を以下の成分を用いて調製した,
Figure 0003724259
【0083】
この熱現像乳剤とトッブコートとは、同時に、0.18mmの青色ポリエステル・フィルム・べースにコーティングされた。ナイフ・コーターは、同時にコーティングする2つのバーやナイフを15.2cmの距離を置いた状態で設定された。銀トリップ層と、トップ・コートとは、銀乳剤をリアー・ナイフに先立ってフィルムに注ぎ、トップ・コートをフロント・バーに先立ってフィルムに注ぐことにより、多層コーティングされた。
【0084】
このフィルムは、次いで、両方の層が同時にコーテングされるように、前方へ引き出された。これは、多層コーティング方法を1回行って得られた。コーティングされたポリエステル・べースは、79.4℃で4分間乾燥せしめられた。そのナイフは、その銀層に対して1m2当たりの乾燥被膜重量が23gとなるように、そして、そのトップ・コートに対して1m2当たりの乾燥被膜重量が2.4gとなるように調整された。また、これらの層の乾燥膜厚および屈折率と支持体であるフィルムベースの膜厚及び屈折率から求まる光路長は600μmであった。
【0085】
【発明の効果】
本発明の画像記録方法及び画像記録装置によれば、感光材料の露光時におけるレーザ光の干渉縞を減少させることができ、感光材料に形成される画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するためのフィルムの断面図である。
【図2】図1の入射光の入射点5におけるレーザ光の波長(λ1)と位相を示す図(a)、反射光の入射点6におけるレーザ光の波長(λ2)と位相(図1(a)と同一位相)を示す図(b)、及び反射光の入射点6におけるレーザ光の波長(λ2)と位相(図1(a)と逆の位相)を示す図(c)である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の左側面図である。
【図5】図3の熱現像装置の露光部120の構成を示す概略図である。
【図6】露光部の変形例を示す概略図である。
【図7】露光部の別の変形例を示す概略図である。
【図8】図7の露光部によるレーザ光の走査状態を説明するための模式的な図である。
【図9】図7のレーザダイオードの光出力とその波長との関係を示す図である。
【図10】本実施の形態にけるフィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図11】加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図10と同様な断面図である。
【図12】従来技術の問題を説明するためのフィルムの断面とレーザ光との関係を示す概念図(a),(b)である。
【図13】レーザダイオードの温度による波長変化を概念的に示す図である。
【図14】複数の発光点を有するレーザダイオードに関する変形例を説明するための光学系の斜視図である。
【図15】図14のレーザビーム出力部(78)の断面図である。
【図16】図15の半導体レーザ(76)の斜視図である。
【図17】図15の光学素子(80)の斜視図である。
【図18】図15の光学素子(80)の形状を説明するための側面図である。
【図19】図15の光学素子収納部(81)の斜視図である。
【図20】図16の半導体レーザの発光点を示す図(a),(b)である。
【符号の説明】
1 フィルムの支持体
2 フィルムの感光層
100 熱現像装置
110 格納部
120 露光部
130 現像部
125,127 レーザ光源部
125a,127a 温度制御素子
125b,127b 温度検知素子
128 温度制御部
129 光変調素子
113 回転多面鏡
142 搬送装置
F フィルム
D1 フィルムの支持体の厚さ
n1 支持体の屈折率
D2 フィルムの感光層の厚さ
n2 感光層の屈折率
λ1 レーザ光の波長
λ2 別のレーザ光の波長

Claims (14)

  1. 平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上であるハロゲン化銀熱現像感光材料を、少なくとも互いに異なる波長の2本のレーザ光で走査露光することにより、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料に画像を記録する画像記録方法であって、
    前記2本のレーザ光の波長がλ1,λ2であり、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料が支持体と感光層とを備え、
    前記支持体の厚さD1と、前記支持体の屈折率n1と、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料の前記感光層側の支持体面から前記感光層側表面までの厚さD2と、前記感光層の屈折率n2と、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料のγとが、整数Nのいずれかに対して以下の式を満たすことを特徴とする画像記録方法。
    (N+0.5-(0.7/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.7/γ))
  2. 前記ハロゲン化銀熱現像感光材料が、前記感光層中のハロゲン化銀粒子に対して銀量で4倍以上の有機酸銀を含有していることを特徴とする請求項1に記載の画像記録方法。
  3. 前記互いに異なる波長の2本のレーザ光が、それぞれ別のレーザ光源から発振されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録方法。
  4. 前記レーザ光源がレーザダイオードであることを特徴とする請求項3に記載の画像記録方法。
  5. 前記互いに異なる波長の2本のレーザ光が、互いに異なる波長のレーザ光を発振する複数の発光点を有するレーザダイオードから発振されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録方法。
  6. 前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御する請求項4又は5に記載の画像記録方法。
  7. 平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料を、所定本数の走査線毎に、少なくとも互いに異なる2つの波長のレーザ光で走査露光することにより、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料に画像を形成する画像記録方法であって、
    前記2本のレーザ光の波長がλ1,λ2であり、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料が支持体と感光層とを備え、
    前記支持体の厚さD1と、前記支持体の屈折率n1と、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料の前記感光層側の支持体面から前記感光層側表面までの厚さD2と、前記感光層の屈折率n2と、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料のγとが、整数Nのいずれかに対して以下の式を満たすことを特徴とする画像記録方法。
    (N+0.5-(0.7/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.7/γ))
  8. 前記ハロゲン化銀熱現像感光材料が、前記感光層中のハロゲン化銀粒子に対して銀量で4倍以上の有機酸銀を含有していることを特徴とする請求項7に記載の画像記録方法。
  9. 前記レーザ光がレーザダイオードから発振されることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像記録方法。
  10. 前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御する請求項9に記載の画像記録方法。
  11. 平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料をレーザ光で走査露光することにより、前記感光材料に画像を形成する画像記録装置において、
    互いに異なる波長のレーザ光を発振する複数のレーザ光源と、
    前記レーザ光源から発振された複数のレーザ光を合波又は並行させて前記ハロゲン化銀熱現像感光材料上に走査する走査光学系と、を有する画像記録蔵置であって、
    前記複数のレーザ光源は、次の条件を満足する波長λ1、λ2のレーザ光を発振することを特徴とする画像記録装置。
    前記支持体の厚さをD1、前記支持体の屈折率をn1、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料の前記感光層側の前記支持体面から前記感光層側表面までの厚さをD2、前記感光層の屈折率をn2、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料のガンマをγ、整数をNとするとき、
    (N+0.5-(0.7/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.7/γ))
  12. 前記レーザ光源がレーザダイオードであることを特徴とする請求項11に記載の画像記録装置。
  13. 平均粒径が0.1μm以下のハロゲン化銀粒子と有機酸銀とを含有する感光層を支持体上に有し、レーザ光の平均波長での光透過率が20%以上であり、γが2以上のハロゲン化銀熱現像感光材料をレーザ光で走査露光することにより、前記感光材料に画像を形成する画像記録装置において、
    互いに異なる波長のレーザ光を発振する複数の発光点を有するレーザダイオードと、
    前記レーザダイオードから発振された複数のレーザ光を合波又は並行させて前記ハロゲン化銀熱現像感光材料上に走査する走査光学系と、を有する画像記録装置であって、
    前記複数のレーザ光の波長λ1、λ2は次の条件を満足することを特徴とする画像記録装置。
    前記支持体の厚さをD1、前記支持体の屈折率をn1、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料の前記感光層側の前記支持体面から前記感光層側表面までの厚さをD2、前記感光層の屈折率をn2、前記ハロゲン化銀熱現像感光材料のガンマをγ、整数をNとするとき、
    (N+0.5-(0.7/γ))<2(D1・n1+D2・n2)((1/λ1)-(1/λ2))<(N+0.5+(0.7/γ))
  14. 前記レーザダイオードに入力される入力値と発振波長との間の特性に応じて前記レーザダイオードへの入力を制御する請求項12又は13に記載の画像記録装置。
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