JP3724178B2 - サーマルプロテクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルプロテクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8に示す従来の常時閉接点型自己復帰式サーマルプロテクタは、先端部に可動側接点17を有し、かつ熱膨張係数の異なる金属を2〜3枚張り合わせた熱応動素子18を可動片とする可動電極、この可動電極を支持する可動電極支持板19と、この可動電極に相対向して設けられており、先端部に固定側接点20が設けられ、かつ常時閉接点型のスイッチを構成する固定電極3とから構成されている。
【0003】
このようなサーマルプロテクタは、電気機器に接続されて、その電気機器を保護する。すなわち、電気機器の電源回路に接続されたサーマルプロテクタは、その電気機器に過大な電流が流れたり、周囲温度が異常に高くなったときに限り、熱応動素子による湾曲作用でスイッチ接点(可動側接点と固定側接点)を開くので、その電気機器への給電が遮断される。そして、給電の遮断に伴う温度低下で自動復帰したスイッチ接点は給電を再開させるので、危険防止に役立つだけでなく、電気機器を常に所定の温度範囲で動作させることができる。また、電気機器の異常を報知させることもできる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、サーマルプロテクタとして、より電流容量の大きいものが要求されている。大電流が比較的抵抗値の高い熱応動素子に流れると、自己発熱作用により温度が上昇し、反転動作によって直ちに接点が開いてしまうため、所望の動作温度を有するサーマルプロテクタを得るのは難しかった。
【0005】
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、大電流に対応したサーマルプロテクタを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーマルプロテクタは、端部にそれぞれ接点を有する2つの板状の電極体と、端部に別の接点を有する1つの板状の熱応動素子とが対向して設けられており、2つの前記電極体、互いに離間し、かつ互いに前記接点が向き合う方向に角度を持たせて位置しており、2つの前記電極体および1つの前記熱応動素子は、2つの前記電極体のそれぞれの接点と、前記熱応動素子の別の接点とが接するように設けられた構成を有する。
【0007】
この構成により、サーマルプロテクタに流れる電流は、従来のものと異なり、直接熱応動素子を流れることがなくなるため、大電流が流れても、熱応動素子は直ちに反転動作をしないため、所望の動作温度を有するサーマルプロテクタを得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態である常時閉接点型自己復帰式サーマルプロテクタを図面を用いて説明する。
【0009】
図1、図2および図3に示すように、長さ18mm、幅2mmの平板状の銅−ニッケル系合金からなる固定電極1,2の一端部には、長さ2mm、幅2mmで銀−ニッケル合金からなる固定側接点3,4がそれぞれ設けられている。固定電極1,2の中央部はナイロン系の樹脂5によって固定され、他端部は樹脂5から固定側接点3,4とは反対方向へ導出して設けられている。また、固定電極1,2の他端部にはリード線11,12が溶接等によって接続されている。
【0010】
熱によって反転動作を行う熱応動素子6は長さ12mm、幅5mmで、鉄−ニッケル−クロム合金系/鉄−ニッケル合金系の2層からなり、その一端部に長さ4.5mm、幅1.8mmの銀−ニッケル系合金からなる可動側接点7が設けられている。熱応動素子6の他端部には銅−ニッケル系合金からなる可動電極支持板8の一端部が接続されており、この可動電極支持板8の他端部は樹脂5に固定されている。
【0011】
固定電極1,2は互いに水平にかつ1mmほど離間して樹脂5に固定されている。また、固定電極1,2と熱応動素子6とは対向して設けられており、可動側接点7は両方の固定側接点3,4に接するように設けられている。なお、図3は図2に示す記号Aの方向から見たものである。
【0012】
そしてこれらの構成は、ナイロン系樹脂等からなるケース9内に収納され、エポキシ系の充填樹脂10によって固定されている。この充填樹脂10の内部には、固定電極1,2の他端部とリード線11,12との接続部が埋設されている。
【0013】
なお、図2および図3はケース9をはずした場合の本実施形態のサーマルプロテクタを示している。
【0014】
このような構成により、例えば電流がリード線12から流れてきた場合、電流は、リード線12→固定電極1→固定側接点3→可動側接点7→固定側接点4→固定電極2→リード線11と流れることとなる。従って、熱応動素子6には直接電流が流れず、それゆえ大電流が流れても熱応動素子6の自己発熱によるスナップアクションが直ちに生じないため所望の温度で接点が開閉するサーマルプロテクタを得ることが可能となる。
【0015】
次に本発明の第2の実施形態であるサーマルプロテクタについて図面を用いて説明する。
【0016】
図4および図5に示すように、本実施形態のサーマルプロテクタは、固定電極1,2が互いに固定側接点3,4が向き合う方向に角度を持って樹脂5に固定されており、また、可動側接点13は両方の固定側接点3,4に接するように曲面を有している。他の構成は上記第1の実施形態と同様である。また、動作においても上記と同様に、例えば電流がリード線12から流れてきた場合、電流は、リード線12→固定電極1→固定側接点3→可動側接点13→固定側接点4→固定電極2→リード線11と流れることとなる。
【0017】
なお、図5は図4において記号Bの方向から見た図を示している。また、図4および図5はケース9をはずした場合の本実施形態のサーマルプロテクタを示している。また、本実施形態の場合、固定電極1,2の角度は、固定電極1,2を互いに水平にした位置に対してそれぞれ固定電極1,2を30度の傾斜を持たせて設けている。
【0018】
このような構成により、上記実施形態と同様な効果が得られるとともに、固定電極1,2を傾斜させて固定することにより、サーマルプロテクタの幅方向を短くでき、より小型にすることができるとともに、固定側接点3,4と可動側接点13との接触性を均一とすることができ、接点の長寿命化を達成することができる。
【0019】
次に本発明の第3の実施形態であるサーマルプロテクタについて図面を用いて説明する。
【0020】
図6および図7に示すように、熱応動素子6の一端部に、抵抗値の低い金属板14が接続され、かかる金属板14の両端部に可動側接点15,16が接続されている。可動側接点15,16は固定側接点3,4にそれぞれ接して設けられている。他の構成は上記第1の実施形態と同様である。なお、図7は図6の記号Cの方向から見た図を示している。また、図6および図7はケース9をはずした場合の本実施形態のサーマルプロテクタを示している。
【0021】
このような構成においても、熱応動素子6には直接電流が流れないため、上記第1の実施形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0022】
以上のように、本発明にかかるサーマルプロテクタは、電流が直接熱応動素子に流れるという従来の構造と異なり、電流は熱応動素子の端部に設けられた接点を通過するため直接熱応動素子には流れず、このため大電流が電極間を流れても従来のもののように熱応動素子が直ちに発熱することがなく、従って、大電流が流れても、熱応動素子は直ちにスナップアクションをせず、所望の動作温度を有する電流容量の大きいサーマルプロテクタを得ることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、従来のものと異なり、直接熱応動素子を流れることがなくなるため、大電流が流れても、熱応動素子は直ちに反転動作をしないため、所望の動作温度を有するサーマルプロテクタを得ることができ、従来に比べ大電流に対応したサーマルプロテクタの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるサーマルプロテクタの正面断面図
【図2】同じくケースを除いたサーマルプロテクタの斜視図
【図3】同じく図2における平面図
【図4】本発明の第2の実施形態であるサーマルプロテクタの斜視図
【図5】同じく図4における平面図
【図6】本発明の第3の実施形態であるサーマルプロテクタの斜視図
【図7】同じく図6における平面図
【図8】従来のサーマルプロテクタの正面断面図
【符号の説明】
1,2 固定電極
3,4 固定側接点
6 熱応動素子
7,13,15,16 可動側接点
8 可動電極支持板
11,12 リード線
14 金属板

Claims (1)

  1. 端部にそれぞれ接点を有する2つの板状の電極体と、端部に別の接点を有する1つの板状の熱応動素子とが対向して設けられており、2つの前記電極体、互いに離間し、かつ互いに前記接点が向き合う方向に角度を持たせて位置しており、2つの前記電極体および1つの前記熱応動素子は、2つの前記電極体のそれぞれの接点と、前記熱応動素子の別の接点とが接するように設けられていることを特徴とするサーマルプロテクタ。
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