JP3723335B2 - 面状火炎型バーナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、吸収冷凍機の高温再生器で吸収液を加熱するために用いる加熱手段とし使用されるバーナ、特に元混合式の面状火炎型バーナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
元混合式の面状火炎型バーナとしては、例えば特開平5−306807号公報に記載されたようなものがある。図6に示したものは一般的な構造の面状火炎型バーナ100Xである。
【0003】
すなわち、この元混合式の面状火炎型バーナ100Xにおいては、燃料ガス(燃料)と、この燃料ガスの燃焼に必要な量の空気とをベンチュリーミキサ19で予め攪拌・混合し、この攪拌・混合された混合ガスを、混合ガス室2内に送風機によって加圧供給し、一方をこの混合ガス室に臨んで設置した燃焼板1の図示しない無数の小さな燃焼孔を通り抜けた混合ガスが、燃焼板1の表面全体に帯状の火炎18を形成して燃焼するように仕組まれている。
【0004】
なお、燃焼板1は、適宜の耐火材料、例えばメタルファイバーやセラミックスを通気可能な多孔質状態に焼結した後、直径1〜2mm程度の微小な燃焼孔(図示せず)を多数開設して形成するものであり、通常2〜4mm程度の板厚で使用されている。
【0005】
上記構成の元混合式の面状火炎型バーナは、先混合式の単一ノズル型バーナに比べて火炎が長くならないので、燃焼が短時間で完結し、NOX の発生を抑制できると共に、被加熱装置の燃焼室の小型化が図れる、などと云った種々のメリットがあり、近年小型化が望まれていた吸収冷凍機の高温再生器に用いる加熱装置として使用されるようになってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の元混合式の面状火炎型バーナにおいては、燃料ガスと空気との混合状態を最適に保つために所定の距離をもって混合するベンチュリーミキサの、構造が複雑で高価であると云った問題点があり、構造を簡単にして、廉価な装置にする必要があった。構造を簡単にすると特に点火時に最適な混合状態が得られず、NOX の多量発生、異常燃焼や点火ミスなどの問題点があるものもあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した従来技術の課題を解決するためになされたもので、燃料とこの燃料の燃焼に必要な量の空気との混合ガスが加圧供給される混合ガス室と、この混合ガス室に臨んで配設され、加圧供給された混合ガスを混合ガス室側の面から反対側の面へ導く複数の燃焼孔を有する多孔質状の燃焼板とを有し、前記燃焼孔を介してこの燃焼板の前記反対側の面に現れた混合ガスを燃焼させる面状火炎型バーナにおいて、
【0008】
前記混合ガス室に風路を介して空気を供給する送風手段と、
遮断弁を経て分岐し、前記風路に前記混合ガス室の側から前記送風手段の側に向かって順に設置され、前記燃料を前記風路中に供給する複数の燃料供給管と、
点火時、着火後に順に前記燃料供給管の燃料供給を前記混合ガス室の側の燃料供給管から前記送風手段の側の燃料供給管に向かって前記遮断弁または前記流量制御弁の開閉を制御する制御手段とを備え、
前記複数の燃料供給管には、夫々、前記燃料ガスの供給を遮断する遮断弁または流量制御弁を設けるようにした第1の構成の元混合式面状火炎型バーナと、
【0009】
前記第1の構成の元混合式面状火炎型バーナにおいて、前記制御手段が二つ以上の燃料供給管を同時に開くことなく燃料供給管を制御する構成を備えるようにした第2の構成の元混合式面状火炎型バーナと、
【0010】
前記第2の構成の元混合式面状火炎型バーナにおいて、前記制御手段が点火時に最も混合ガス室寄りの燃料供給管から前記風路中へ燃料を供給させる構成を備えるようにした第3の構成の元混合式面状火炎型バーナと、
を提供することにより、前記従来技術の課題を解決するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、理解を容易にするため、これらの図においても前記図6において説明した部分と同様の機能を有する部分には同一の符号を付した。
【0012】
図4は、吸収式冷凍機の構成を示す全体概略図であって、21は蒸発吸収器胴(下胴)であり、この蒸発吸収器胴21に蒸発器22及び吸収器23が収納されている。24は高温再生器であり、本発明の面状火炎型バーナー100を備えている。吸収器23から高温再生器24に至る稀吸収液配管25の途中に吸収液ポンプP1、低温熱交換器26及び高温熱交換器27が設けられている。
【0013】
28は高温胴(上胴)であり、この高温胴28に低温再生器29及び凝縮器30が収納されている。そして、31は高温再生器24から低温再生器29に至る冷媒蒸気管、32は凝縮器28から蒸発器22に至る冷媒液流下管、33は蒸発器22に配管接続された冷媒循環管、P2は冷媒ポンプ、34は蒸発器22に接続された冷水管である。
【0014】
35は高温再生器24から高温熱交換器27に至る中間吸収液管、36は高温熱交換器27から低温再生器29に至る中間吸収液管である。37は低温再生器29から低温熱交換器26に至る濃吸収液管、38は低温熱交換器26から吸収器23に至る濃吸収液管である。又、39は冷却水管である。
【0015】
図5は、高温再生器24の説明図であって、(A)は水平断面図、(B)は縦断面側面図である。
【0016】
図中41は、吸収液が上下方向に流通する液管であり、焚き口42に面状火炎型バーナー100が設置されている。
【0017】
本発明の元混合式の面状火炎型バーナ100においては、図1に示すように、前面に燃焼板1が配置された混合ガス室2の背面に、長さが例えば1〜1.5m程度で、風量が可変できる送風機3との間を繋ぐ風路を形成する混合ガス供給管4が接続され、この混合ガス供給管4の複数箇所、例えば下流(混合ガス室2側)・中流・上流(送風機3側)の3箇所に、メインの燃料供給管5(燃料ガスの供給管)から分岐した3本の燃料供給管6・7・8が分かれて接続されている。
【0018】
そして、メインの燃料供給管5と、下流側となる混合ガス室2側の2本の燃料供給管6・7それぞれには燃料の供給を遮断する電磁式の遮断弁9・10・11が設けられ、上流側となる送風機3側の1本の燃料供給管8には燃料の供給量を電気信号に応じて可変制御するための流量制御弁12が設けられ、何れも制御装置13から制御されるようになっている。
【0019】
なお、流量制御弁12、遮断弁10・11の点火時の面積は、流量制御弁12、遮断弁10、11を流れる燃料の流量が同一になるように設定されている。
【0020】
また、制御装置13によって制御されるパイロットバーナ14が、燃焼板1の火炎形成面側に設置されている。15はパイロットバーナ14の点火トランス、16はパイロットバーナ14の燃料供給管に設けられた遮蔽弁である。
【0021】
制御装置13による点火時の制御を図2のタイムチャートに基づいて説明すると、図示しない点火スイッチが操作されると、先ず送風機3を起動する。この送風機3の運転は、ON/OFF制御の場合は定格運転(100%)であり、比例制御を行う場合には低送風量に設定されるが、確実に点火できる範囲であれば良く、この値に限るものではない。
【0022】
そして、所定時間、例えば30秒(送風機3による空気が混合ガス室2を満たす時間である。)後に点火トランス15に通電して放電させると共に、遮断弁16を開いてパイロットバーナ14に点火し、火炎17を形成する。
【0023】
点火トランス15への通電は所定時間、例えば4秒行ったのち、停止する。このとき、フレーム電流の検出など、従来周知の方法によってパイロットバーナ14の点火を確認し、パイロットバーナ14の点火が確認できなかったときには、点火トランス15への通電停止と、遮断弁16の閉弁も同時に行う。
【0024】
そして、所定時間、例えば5秒後に遮断弁9と10とを開き、燃料供給管6から燃料ガスを混合ガス供給管4に供給し、送風機3が送風している空気と共に混合ガス室2に供給して燃焼板1の燃焼孔を通過させ、パイロットバーナ14の火炎17によって点火させ、燃焼板1の外表面にメインの火炎18を形成する。
【0025】
その後、所定時間、例えば1.5秒毎に、遮断弁11を開いては遮断弁10を閉じ、流量制御弁12を開いては遮断弁11を閉じる弁の開閉操作を繰り返し、燃料供給管8による燃料ガスの供給に切り替える。
【0026】
すなわち、火炎18の点火時においては、燃料ガスは混合ガス供給管4の最も下流側に接続されている燃料供給管6から供給されるので、混合ガス室2内で急速に濃い混合ガスが作られ、パイロットバーナ14の火炎17によって容易に点火される。
【0027】
そして、通常燃焼時においては、燃料ガスは混合ガス供給管4の最も上流側に接続されている燃料供給管8から供給されるので、送風機3が供給する空気とは混合ガス室2に至るまでに良く混合され均一となっている。したがって、燃焼が安定するのでCOガスの生成がないし、燃焼板1の外表面に形成される火炎18の保炎性も向上する。
【0028】
なお、最上流の燃料供給管8以外の供給管からの燃料ガスの供給が長引くと、空気との混合が均一にならず部分的に不完全燃焼が起こり、COガスを生成する懸念が強まるので、燃料ガスが完全燃焼する燃料供給管8による供給に切り替わるまでを所定の短時間、例えば5秒程度以内で行うようにする。
【0029】
また、制御装置13による点火時の制御を図3のフローチャートに基づいて説明すると、図示しない点火スイッチが操作されると制御が開始されるようになっており、ステップS1で先ず送風機3を起動する。
【0030】
ステップS2では所定時間、例えば30秒が経過したか否かを判定し、経過するのを待ってステップS3に移行し、点火トランス15に通電して放電させると共に、遮断弁16を開き、この操作によってパイロットバーナ14に点火する。
【0031】
ステップS4では所定時間、例えば3秒が経過したか否かを判定し、経過するのを待ってステップS5に移行し、パイロットバーナ14に点火したか否かを判定する。
【0032】
ここで、点火していないと判定されたときにはステップS18に移行して、点火トランス15への通電停止と、遮断弁16の閉弁を行い、続いてステップS19に移行してランプ・ブザーなどによる警報を発して点火制御を終了する。
【0033】
一方、ステップS5で点火していると判定されたときにはステップS6に移行して、所定時間、例えば1秒が経過したか否かを判定し、経過するのを待ってステップS7に移行し、点火トランス15への通電を停止する。
【0034】
ステップS8では所定時間、例えば5秒が経過したか否かを判定し、経過するのを待ってステップS9に移行し、遮断弁9・10を開く。
【0035】
ステップS10では所定時間、例えば1.5秒が経過したか否かを判定し、経過するのを待ってステップS11に移行する。
【0036】
次いで、ステップS11では、遮断弁11を開いて10を閉じる。
【0037】
ステップS12では所定時間、例えば1.5秒が経過したか否かを判断し、経過するのを待ってステップS13に移行し、流量制御弁12を開いて遮断弁11を閉じる。
【0038】
ステップS14では所定時間、例えば2秒が経過したか否かを判断し、経過するのを待ってS15に移行し、遮断弁16を閉じる。
【0039】
ステップS16では燃焼板1の外表面にメインの火炎18が形成されているか否かを判定し、点火していないと判定されたときにはステップS21に移行して、遮断弁9と流量制御弁12とを閉じ、続いてステップS19に移行してランプ・ブザーなどによる警報を発して点火制御を終了する。
【0040】
一方、ステップS16で点火していると判定されたときには一連の点火制御を終了する。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0042】
例えば、混合ガス供給管4は、螺旋状などに屈曲して設けても良い。また、遮断弁10・11は、閉じるときは比較的ゆくっりと閉じながら、その上流側の弁を開け、一時的に二本の燃料供給管から燃料ガスを供給するようにする。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明になる元混合式の面状火炎型バーナによれば、構造が簡単で低価格で提供できる上に、速やかで確実な点火と、COガスなどが排出されない完全燃焼が実現でき、且つ、保炎性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示す説明図である。
【図2】点火時のタイムチャートである。
【図3】点火時のフローチャートである。
【図4】高温再生器を有する吸収式冷凍機の全体回路図である。
【図5】高温再生器の説明図である。
【図6】従来技術を示す説明図である。
【符号の説明】
1 燃焼板
2 混合ガス室
3 送風機
4 混合ガス供給管
5〜8 燃料供給管
9〜11 遮断弁
12 流量制御弁
13 制御装置
14 パイロットバーナ
15 点火トランス
16 遮断弁
17・18 火炎
100 面状火炎型バーナ
Claims (3)
- 燃料とこの燃料の燃焼に必要な量の空気との混合ガスが加圧供給される混合ガス室と、この混合ガス室に臨んで配設され、加圧供給された混合ガスを混合ガス室側の面から反対側の面へ導く複数の燃焼孔を有する多孔質状の燃焼板とを有し、前記燃焼孔を介してこの燃焼板の前記反対側の面に現れた混合ガスを燃焼させる面状火炎型バーナであって、
前記混合ガス室に風路を介して空気を供給する送風手段と、
遮断弁を経て分岐し、前記風路に前記混合ガス室の側から前記送風手段の側に向かって順に設置され、前記燃料を前記風路中に供給する複数の燃料供給管と、
点火時、着火後に順に前記燃料供給管の燃料供給を前記混合ガス室の側の燃料供給管から前記送風手段の側の燃料供給管に向かって前記遮断弁または前記流量制御弁の開閉を制御する制御手段とを備え、
前記複数の燃料供給管には、夫々、前記燃料ガスの供給を遮断する遮断弁または流量制御弁を設けたことを特徴とする面状火炎型バーナ。 - 前記制御手段は二つ以上の燃料供給管を同時に開くことなく燃料供給管を制御する構成を備えることを特徴とする請求項1記載の面状火炎型バーナ。
- 前記制御手段は点火時に最も混合ガス室寄りの燃料供給管から前記風路中へ燃料を供給させる構成を備えることを特徴とする請求項2記載の面状火炎型バーナ。
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