JP3723055B2 - ガス処理方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置から排出されるガス等をプラズマによる化学反応を利用して処理するための方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体製造装置、特に低圧プラズマによる化学反応を利用した半導体製造装置からは、その原料ガスであるCF4やC4F8などの全フッ化化合物(以下PFCと称する。)が排出される。このPFCは非常に安定した状態にあり、常温では無害であるが、その地球温暖化係数は例えば二酸化炭素と比べても相当大きい。従って、かかるPFCの削減及び無害化が非常に重要となる。
【0003】
従来、このようなPFC等のガスを分解して無害化する方法として、1)当該PFCに水素やメタン等の燃料ガスを混合して燃焼させる燃焼炎法や、2)加熱した金属酸化物触媒を利用してPFCを熱分解する熱分解法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記1)の燃焼炎法は、燃料ガスの供給等のために大掛かりな設備が必要であり、また2)の熱分解法は処理能力が低く、また触媒寿命が短いためにその交換を頻繁にしなければならない欠点がある。
【0005】
そこで、これらの方法に代わる手段として、平行平板電極間にプラズマを発生させ、このプラズマを利用して被処理ガス(PFC等)を反応ガス(水素、酸素、水蒸気、メタン等)と化学反応させて分解する方法が考えられる。この方法を採用すれば、装置構成が比較的簡単であり、また、被処理ガスの成分に応じて反応ガスの種類や供給流量、プラズマパワーを適宜設定することにより最大効率の発揮が期待できる。
【0006】
ところが、前記平行平板電極間に被処理ガスや反応ガスを円滑に導入するには、どうしても電極間距離をある程度大きくせざるを得ず、このように距離をおいた電極同士の間隙に良好なプラズマを発生させるためには密閉容器内で減圧雰囲気を形成しなければならない。従って、当該プラズマ雰囲気に存在し得るガスのボリュームは小さく、処理できるガスの流量は非常に小さいものとなる。また、運転圧力が低いために、かかる処理装置を例えば既存の半導体製造装置の排出ラインにそのまま導入するといったことが非常に困難であるという欠点もある。
【0007】
また、よしんば圧力を上げた状態でプラズマを生成できたとしても、そのプラズマ空間に新しい処理ガスを次々と送り込むことは困難であり、バッチ処理とならざるを得ない。従って、ガス処理能率が低く、コストアップは免れ得ない。
【0008】
なお、以上示した事情は、PFCの処理に限らず、その他のガス(例えば二酸化炭素や窒素酸化物)のプラズマ処理についても同様である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、PFC等の被処理ガスを簡単な設備で効率良く処理できるガス処理方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段として、本発明は、円筒状の外周面を有する回転電極と他の電極とを所定の隙間をおいて互いに対向するように配置し、前記回転電極を回転させ、かつ、両電極間に電圧を印加してプラズマを発生させ、このプラズマに前記回転電極の回転を利用して被処理ガスと反応ガスとを供給することによりこれらのガスに化学反応を起こさせるガス処理方法である。
【0011】
この構成によれば、回転電極の回転中、その電極表面近傍の境界層にガスが帯同するため、回転電極の円筒周速度と略同等の速度で被処理ガス及び反応ガスがプラズマ領域に供給され、かつ、同速度で排出される。従って、電極間の隙間を小さくしても、その隙間すなわちプラズマ領域に回転電極の回転を利用して被処理ガス及び反応ガスを効率良く供給することができる。そして、このように電極間隙間を小さくすることにより、運転圧力を大気圧程度まで上げながら前記隙間にプラズマを生成することが可能になる。
【0012】
すなわち、本発明によれば、大気圧もしくは比較的これに近い圧力(例えば0.5〜2気圧)下でもプラズマを生成することができ、かつ、これに被処理ガス及び反応ガスを効率良く供給できるため、被処理ガス及び反応ガスの流量を大きくでき、かつ、その処理を連続的に行うことができる。また、大気圧近傍での運転が可能であることから、例えば半導体製造装置の排出ラインにそのまま導入することが可能であり、また、チャンバなどの装置構成部材の強度的負担も軽減される。
【0013】
ただし、本発明では具体的な運転圧力は特に問わず、例えば0.5気圧未満の低圧下でもガス処理は可能である。
【0014】
前記「他の電極」は、例えば平板電極でもよいが、これをもう一つの回転電極とし、両回転電極をそれらの回転軸同士が平行となる状態で配置して、両回転電極を互いに逆向きに回転させるようにすれば、電極間への被処理ガスや反応ガスの供給をより効率良く行うことが可能になる。
【0015】
本発明では、被処理ガスの具体的な種類を問わないが、例えば、半導体製造装置から排出されるガス(二酸化炭素、メタン、窒素酸化物、フッ化炭化水素、全フッ化炭素、六フッ化タングステン、三フッ化ネオンなど)を反応ガスと化学反応させる場合に好適である。また、反応ガスとしては、水素、酸素、水、メタン、アンモニア等が挙げられる。
【0016】
また本発明は、円筒状の外周面を有する回転電極及びこの回転電極に所定の隙間をおいて対向するように配置される他の電極からなる電極対と、この電極対を収容し、内部に被処理ガス及び反応ガスが導入されるチャンバと、前記回転電極を回転させる回転駆動手段と、前記電極対の両電極間にプラズマ発生用の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、その電圧印加により発生したプラズマに前記被処理ガス及び反応ガスが供給されることによりこれらのガスが化学反応を起こすことを基本構成とするガス処理装置である。
【0017】
そして、前記装置において、円筒状外周面をもつ回転電極であって両回転電極がその回転軸同士が平行となる状態で配置されたものとすることにより、電極間への被処理ガスや反応ガスの供給をより効率良く行うことが可能になる。この場合、前記回転駆動手段は両回転電極を互いに逆向きに回転させるものとすればよい。
【0018】
また、前記チャンバ内に前記プラズマへ被処理ガス及び反応ガスを誘導するための気流を形成する気流形成手段を備えることにより、より円滑なガスの供給及び排出ができる。
【0019】
また、複数の電極対が直列に配され、各電極対を順に被処理ガスが通過するように構成されたものとすることにより、ガス処理精度をより高めることができる。
【0020】
さらに、各電極対ごとにその電極対の上流側で被処理ガス中に反応ガスを混入させるための反応ガス導入部が設けられている構成とすれば、ガス処理精度をさらに高めることができる。また、各電極対ごとに供給する反応ガスの種類を変えることで、各電極対ごとに別の化学反応を起こさせることも可能である。
【0021】
また、前記電極対を通過したガスの一部を当該電極対の上流側に戻す還流通路を備えることにより、一つの電極対を用いて被処理ガスに対して複数回の化学反応処理を施すことができ、これによってガス処理精度を高めることができる。
【0022】
また、前記還流通路に当該通路でのガス流量を調節するための流量調節弁が設けられている構成とすれば、例えばチャンバ入口と出口との圧力差や流量差を目標値に近づけるような流量調節を行うことによって、効率の高い運転が可能になる。
【0023】
また、チャンバ内の圧力が高い場合には、アーク放電を防ぐ意味で電極表面が絶縁物であることがより好ましく、前記回転電極の表面に耐酸化性金属または酸化物からなる薄膜が形成された構成とすることにより、前記アーク放電を有効に防ぐことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1(a)(b)に示すガス処理装置は、反応室であるチャンバ10を備え、この実施の形態では、当該チャンバ10は正面視略半円状をなしている。このチャンバ10の一端には、側方から被処理ガスを導入するための被処理ガス導入口11が設けられ、そのすぐ下流側に上から反応ガスを導入するための反応ガス導入口12が設けられるのに対し、同チャンバ10の他端には処理済ガスを排出するための排出口14が設けられている。
【0026】
前記被処理ガス導入口11は、図略の半導体製造装置の排出口に接続され、この半導体製造装置から排出されるガス(例えば二酸化炭素、メタン、窒素酸化物、フッ化炭化水素、全フッ化炭素、六フッ化タングステン、三フッ化ネオンのうちの少なくとも一種を含むガス)が、前記被処理ガス導入口11からチャンバ10内に導入されるようになっている。
【0027】
ただし、本発明において処理対象となる被処理ガスは、前記のような半導体製造装置から排出されるものに限られず、例えば二酸化イオウや塩化水素、トルエン等の処理にも活用できる。
【0028】
一方、反応ガス導入口12には、前記被処理ガスと化学反応を起こさせるための反応ガス(例えば、水素、酸素、水、メタン、アンモニアのうちの少なくとも一種を含むガス)が図略のガスタンクから導入されるようになっている。
【0029】
前記チャンバ10の中央部には、平板電極17及び回転電極18からなる電極対が設けられている。平板電極17はチャンバ10の底壁上に敷設され、アースに接続されている。回転電極18は、中空で略円筒状の本体と、その中心部を貫通する金属製の回転軸16とを有し、前記本体外周面が前記平板電極17の上面に対して微小隙間をおいて対向する位置に設けられている。前記微小隙間の寸法は、大気圧もしくはこれに近い気圧(例えば0.5〜2気圧)下においてプラズマの生成が可能な寸法、具体的には0.01mm〜5mm程度の寸法が好ましい。
【0030】
この実施の形態では、前記回転電極18の外周面上に、異常放電防止用の絶縁被膜(例えばアルミナやSiCといった耐酸化性金属または酸化物)が施されている。この被膜の厚さは、電極の機能を損なわない程度に小さく抑えるのが好ましく、100μm以下が好適である。
【0031】
前記回転軸16の両端部は、ベアリング20を介してチャンバ10側に回転可能に支持されており、当該回転軸16の一方の端部には、当該回転電極18に図2に示すような高周波電源28を投入するための高電圧投入端子19aが設けられている。なお、この電源には直流電源を使用することも可能であるが、より好ましくは13.56MHz以上の高周波電源、さらに好ましくは100MHz以上の高周波電源を用いるのがよい。
【0032】
回転軸16の他方の端部は、チャンバ10に固定されたモータ(回転駆動手段)25の出力軸にマグネットカップリング23を介して結合され、当該モータ25の作動によって回転電極18全体が図1の矢印方向(回転電極下面の周速が被処理ガス導入口11から排出口14に向かう向きとなる方向)に回転駆動されるようになっている。
【0033】
回転電極18の本体の左右両外側には、その両側面に近接するように流れ規制板27が設けられ、同様に回転電極18の本体上部近傍の位置には、チャンバ10の上部を上下に隔離する流れ規制板24が設けられている。これらの流れ規制板27,24は、被処理ガス導入口11及び反応ガス導入口12から導入される被処理ガス及び反応ガスが回転電極18の側方や上方を通過するのを阻み、当該ガスのほぼ全量が回転電極18と平板電極17との間の微小隙間を通過するようにその流れを規制するものである。各流れ規制板24,27と回転電極18との間隔は1mm程度が好適である。また、チャンバ10の形状を極力縮小してその内側面を回転電極18の外側面に近接させることにより、流れ規制板24,27の省略も可能になる。
【0034】
さらに、回転電極18と排出口14との間には、前記微小隙間から出たガスを効率良く排出口14に導くためのダクト30が設けられている。
【0035】
なお、図1(a)(b)において、26は回転電極−チャンバ間の放電を防ぐための絶縁板、32はチャンバ10内の様子を外部から観察するためのビューポートである。
【0036】
次に、この装置を用いたガス処理方法を説明する。
【0037】
前記回転電極18に高周波電圧を印加することにより、当該回転電極18とその下方の平板電極17との間の微小隙間に図2に示すようなプラズマ22を発生させるとともに、モータ25の作動によって回転電極18を図1(a)の矢印の向きに回転させる。そして、図略の半導体製造装置から導入される被処理ガスを被処理ガス導入口11からチャンバ10内に導入するとともに、反応ガスを反応ガス導入口12から導入することにより、これらのガスは図2に示すように混合状態で回転電極18の回転により電極17,18間のプラズマ22に巻き込まれ、ここで化学反応を起こす。この化学反応としては、例えば次のようなものが挙げられる。
【0038】
CF4(被処理ガス)+2H2O(反応ガス)→CO2+4HF
NO2(被処理ガス)+H(反応ガス)→NO+OH
HCl(被処理ガス)+NH3(反応ガス)→NH4Cl
かかる反応により、前記被処理ガスは無害化もしくは処理可能化され、ダクト30を通じて排出口14から排出される。
【0039】
この方法及び装置によれば、回転電極18の回転を利用することにより、電極17,18間を例えば0.01mm〜5mmといった微小隙間にしても、この微小隙間に生成されるプラズマ22に被処理ガス及び反応ガスを導入することができる。従って、例えば0.5〜2気圧といった大気圧に近い気圧下でもガス処理が可能であり、半導体製造装置の排気ラインに直接接続するといったことも可能になる。
【0040】
前記図1及び図2には、回転電極18の相手方の電極が平板電極17であるものを示したが、図3(a)(b)及び図4に示す装置では、双方の電極が回転電極18となっており、これらが前記図1に示したチャンバ10と同等のチャンバ内に設置されている。両回転電極18は、前記図1に示した装置と同様、中空で略円筒状の本体と、その中心部を貫通する金属製の回転軸16とを有しており、これらの回転軸16が互いに略平行となり、かつ、両回転電極18の外周面同士が微小隙間をおいて相互対向するように両回転電極18が配置されている。この実施の形態でも、前記微小隙間の寸法は、大気圧もしくはこれに近い気圧(例えば0.5〜2気圧)下においてプラズマの生成が可能な寸法、具体的には0.01mm〜5mm程度の寸法が好ましい。
【0041】
また、この実施の形態でも、前記回転電極18の外周面上に、異常放電防止用の絶縁被膜(例えばアルミナやSiCといった耐酸化性金属または酸化物)を施すことが、より好ましい。
【0042】
各回転電極18における回転軸16の両端部は、それぞれベアリング20を介してチャンバ10側に回転可能に支持されている。上側回転電極18の回転軸16は、電気接続部材15及びチャンバ外側の共振器19を介して図4に示す高周波電源(直流電源でも可)28に接続されている。そして、この高周波電源28から前記共振器19及び電気接続部材17を通じて回転軸16さらには本体中央の電極部分にプラズマ生成用の高周波電圧が印加されるようになっている。なお、この電源には直流電源を使用することも可能である。
【0043】
一方、下側の回転電極18はアースに接続されている。
【0044】
各回転軸16の片側端部は、チャンバ10に固定されたモータ(回転駆動手段)25の出力軸にそれぞれマグネットカップリング23を介して結合され、当該モータ25の作動によって回転電極18全体が図1の矢印方向(回転電極18が互いに対向する面の周速が被処理ガス導入口11から排出口14に向かう向きとなる方向)に回転駆動されるようになっている。すなわち、両回転電極18はそれぞれの回転軸16を中心として互いに反対の向きに回転駆動されるようになっている。
【0045】
なお、前記モータ25をはじめとする回転駆動源は必ずしも両回転軸16に個別に接続しなくてもよく、共通の駆動源から各回転軸16に動力伝達機構を介して駆動力を分配するようにしてもよい。
【0046】
チャンバ10内には、前記図1(a)(b)に示した装置と同様に、流れ規制板24,27、絶縁板26、ダクト30、ビューポート32等が設けられている。
【0047】
さらに、この実施の形態にかかる装置では、チャンバ10と排気口14との間の排気管33の途中に吸気ポンプ34が設けられ、この吸気ポンプ34の作動によってチャンバ10内に被処理ガス導入口11側から排気口14側に向かう気流が形成されるようになっている。
【0048】
さらに、前記吸気ポンプ34の下流側部分と、前記被処理ガス導入口11の直下流側部分(チャンバ10の入口よりも上流側の部分)との間には、両部分を連通する還流通路36が設けられ、この還流通路36の途中に当該通路36でのガス流量を調整する流量調整弁38が設けられている。
【0049】
この流量調整弁38は、手動式のものでもよいが、この実施の形態では電磁式のものが用いられ、その開度(すなわち循環ガス流量)が制御装置40から入力される駆動信号によって自動調節されるようになっている。
【0050】
一方、前記還流通路36の被処理ガス導入口側端部の近傍には圧力計42が、同じく還流通路36の排気口側端部の近傍には圧力計44がそれぞれ設けられ、各圧力計42,44によって検出される圧力の差を予め設定された目標値に近づけるべく前記流量調整弁38の開度をフィードバック制御するように、前記制御装置40が構成されている。
【0051】
この装置においても、上側の回転電極18に高周波電圧を印加することにより、両回転電極18間の微小隙間に図4に示すようなプラズマ22を発生させることができる。そして、モータ25の作動によって両回転電極18を図3(a)の矢印の向きに回転させながら、図略の半導体製造装置から導入される被処理ガスを被処理ガス導入口11から導入するとともに、反応ガスを反応ガス導入口12から導入することにより、これらのガスを図4に示すように混合状態で両回転電極18の回転を利用してこれら回転電極18同士の間に形成されるプラズマ22に巻き込んで化学反応を起こさせることができる。
【0052】
さらに、この実施の形態にかかる装置では、吸気ポンプ34によってチャンバ10内に被処理ガス導入口11から排出口14へ向かうガスの気流を積極的に形成しているので、ガス処理をより円滑に行うことができる。
【0053】
また、チャンバ10から排出される処理済ガスの一部が還流通路36を通じてチャンバ10の上流側に戻されて再処理されるため、最終的なガスの処理精度をより高めることができる。しかも、圧力計42,44の検出する圧力の差に基づいて制御装置40が流量調整弁38の開度を自動制御するようにしているので、前記ガスの循環を利用して前記圧力差を高効率が得られる圧力差に調節できる効果も得られる。また、前記圧力計42,44に代えてチャンバ入口及び出口に流量計を設け、その流量差を目標値に近づけるように流量調節弁38の開度を自動制御するようにしても、同様に効率の高い運転ができる。
【0054】
また、前記循環通路36やプラズマ形成領域の下流側に、化学反応によって発生した粉末を捕獲回収するフィルタを設ければ、より円滑な運転ができる。
【0055】
図5に示すガス処理装置は、前記図3(a)(b)に示した装置を複数備え、これらの装置を直列に連ねて各装置を順に被処理ガスが通過するように構成したものである。
【0056】
図において、上流側のチャンバ10の出口と下流側のチャンバ10の入口とは連通管46を介して連通されている。また、反応ガス導入口12及び還流通路36は各チャンバ10ごとに設けられている。
【0057】
なお、図6は前記図5の装置を模式的に示したものである。
【0058】
このような装置によれば、上流側の電極対で処理されたガスを新たに次の電極対で反応ガスと反応させることにより、最終チャンバ10から排出されるガスの処理精度を飛躍的に高めることができる。しかも、被処理ガスは図6に示すように各装置で発生したプラズマ22を順に流れていくので、処理能率も高い。
【0059】
なお、反応ガスの供給箇所は例えば再上流側の装置の入口のみとしてもよいが、図示のように各チャンバ10ごと(すなわち各電極対ごと)に反応ガスを供給するようにすれば、より精度の高いガス処理ができる。また、被処理ガスが要処理成分として第1成分、第2成分、第3成分、…という具合に複数成分を含有する場合、第1成分の処理に必要な第1反応ガスを第1のチャンバに、第2成分の処理に必要な第2反応ガスを第2のチャンバに、第3成分の処理に必要な第3反応ガスを第3のチャンバに、…という具合に供給することにより、各電極対ごとに別の化学反応を起こさせて各成分の処理を一度に行うことが可能になる。
【0060】
また、図5に示すように、各電極対での回転電極18の配列方向を互いに異ならせる(図例では位相を90°ずつずらす)ことにより、被処理ガスの流れを乱して反応ガスとの混合を促進することも可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明は、少なくとも一方が回転電極である電極対の電極間にプラズマを発生させ、このプラズマに前記回転電極の回転を利用して被処理ガスと反応ガスとを導入することにより、当該被処理ガスを化学反応させるようにしたものであるので、簡単な設備でしかも効率良くガスを処理できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の第1の実施の形態にかかるガス処理装置の断面正面図、(b)はその断面平面図である。
【図2】 図1に示す装置でのガス処理原理を示す図である。
【図3】 (a)は本発明の第2の実施の形態にかかるガス処理装置の断面正面図、(b)はその断面平面図である。
【図4】 図2に示す装置でのガス処理原理を示す図である。
【図5】 本発明の第3の実施の形態にかかるガス処理装置の一部断面正面図である。
【図6】 本発明の第4の実施の形態にかかるガス処理装置の一部断面正面図である。
【符号の説明】
10 チャンバ
11 被処理ガス導入口
12 反応ガス導入口
14 排出口
16 回転軸
17 平板電極(他の電極)
18 回転電極
22 プラズマ
25 モータ(回転駆動手段)
28 高周波電源(電圧印加手段)
34 吸気ポンプ(気流形成手段)
36 還流通路
38 流量調節弁
Claims (13)
- 円筒状の外周面を有する回転電極と他の電極とを所定の隙間をおいて互いに対向するように配置し、前記回転電極を回転させ、かつ、両電極間に電圧を印加してプラズマを発生させ、このプラズマに前記回転電極の回転を利用して被処理ガスと反応ガスとを供給することによりこれらのガスに化学反応を起こさせることを特徴とするガス処理方法。
- 請求項1記載のガス処理方法において、前記回転電極にもう一つの回転電極をそれらの回転軸同士が平行となる状態で配置し、両回転電極を互いに逆向きに回転させることを特徴とするガス処理方法。
- 請求項1または2記載のガス処理方法において、前記被処理ガスとして、半導体製造装置から排出されるガスを反応ガスと化学反応させることを特徴とするガス処理方法。
- 請求項3記載のガス処理方法において、前記被処理ガスは、二酸化炭素、メタン、窒素酸化物、フッ化炭化水素、全フッ化炭素、六フッ化タングステン、三フッ化ネオンのうちの少なくとも一種のガスを含むことを特徴とするガス処理方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のガス処理方法において、前記反応ガスは、水素、酸素、水、メタン、アンモニアのうちの少なくとも一種のガスを含むことを特徴とするガス処理方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のガス処理方法において、前記プラズマに供給する被処理ガスと反応ガスの全圧を0.5〜2気圧とすることを特徴とするガス処理方法。
- 円筒状の外周面を有する回転電極及びこの回転電極に所定の隙間をおいて対向するように配置される他の電極からなる電極対と、この電極対を収容し、内部に被処理ガス及び反応ガスが導入されるチャンバと、前記回転電極を回転させる回転駆動手段と、前記電極対の両電極間にプラズマ発生用の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、その電圧印加により発生したプラズマに前記被処理ガス及び反応ガスが供給されることによりこれらのガスが化学反応を起こすように構成されるとともに、前記他の電極も円筒状外周面をもつ回転電極であって両回転電極がその回転軸同士が平行となる状態で配置され、前記回転駆動手段は両回転電極を互いに逆向きに回転させることを特徴とするガス処理装置。
- 円筒状の外周面を有する回転電極及びこの回転電極に所定の隙間をおいて対向するように配置される他の電極からなる電極対と、この電極対を収容し、内部に被処理ガス及び反応ガスが導入されるチャンバと、前記回転電極を回転させる回転駆動手段と、前記電極対の両電極間にプラズマ発生用の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、その電圧印加により発生したプラズマに前記被処理ガス及び反応ガスが供給されることによりこれらのガスが化学反応を起こすように構成されるとともに、前記チャンバ内に前記プラズマへ被処理ガス及び反応ガスを誘導するための気流を形成する気流形成手段を備えたことを特徴とするガス処理装置。
- 円筒状の外周面を有する回転電極及びこの回転電極に所定の隙間をおいて対向するように配置される他の電極からなる電極対と、この電極対を収容し、内部に被処理ガス及び反応ガスが導入されるチャンバと、前記回転電極を回転させる回転駆動手段と、前記電極対の両電極間にプラズマ発生用の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、その電圧印加により発生したプラズマに前記被処理ガス及び反応ガスが供給されることによりこれらのガスが化学反応を起こすように構成されるとともに、複数の電極対が直列に配され、各電極対を順に被処理ガスが通過するように構成されていることを特徴とするガス処理装置。
- 請求項9記載のガス処理装置において、各電極対ごとにその電極対の上流側で被処理ガス中に反応ガスを混入させるための反応ガス導入部が設けられていることを特徴とするガス処理装置。
- 円筒状の外周面を有する回転電極及びこの回転電極に所定の隙間をおいて対向するように配置される他の電極からなる電極対と、この電極対を収容し、内部に被処理ガス及び反応ガスが導入されるチャンバと、前記回転電極を回転させる回転駆動手段と、前記電極対の両電極間にプラズマ発生用の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、その電圧印加により発生したプラズマに前記被処理ガス及び反応ガスが供給されることによりこれらのガスが化学反応を起こすように構成されるとともに、前記電極対を通過したガスの一部を当該電極対の上流側に戻す還流通路を備えたことを特徴とするガス処理装置。
- 請求項11記載のガス処理装置において、前記還流通路に当該通路でのガス流量を調節するための流量調節弁が設けられていることを特徴とするガス処理装置。
- 円筒状の外周面を有する回転電極及びこの回転電極に所定の隙間をおいて対向するように配置される他の電極からなる電極対と、この電極対を収容し、内部に被処理ガス及び反応ガスが導入されるチャンバと、前記回転電極を回転させる回転駆動手段と、前記電極対の両電極間にプラズマ発生用の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、その電圧印加により発生したプラズマに前記被処理ガス及び反応ガスが供給されることによりこれらのガスが化学反応を起こすように構成されるとともに、前記回転電極の表面に耐酸化性金属または酸化物からなる薄膜が形成されていることを特徴とするガス処理装置。
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