JP3722922B2 - 自動車用イモビライザシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、識別コード照合方式の自動車用イモビライザシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両盗難を高度に防止するために、識別コードを用いたコード照合装置からなるイモビライザシステムが提案されている。このイモビライザシステムは、イグニッションキー(以下、キー)に内蔵される識別コード発信器と、車両側に搭載される前記識別コードを受信する受信器、及び、キーの識別コードが予め登録されているコード照合装置等からなっている。キーがイグニッションキーシリンダ(以下、キーシリンダ)に差し込まれるとキーの識別コードが受信器に送信され、その受信された識別コードがコード照合装置により予め登録された識別コードと照合される。コード照合装置は、その照合結果に基づいて例えば燃料噴射電子制御装置(以下、EFIECU)を制御してエンジンの運転を規制する。従って、予め識別コードが照合装置に登録されたキー以外のキーでは、エンジンを運転することができない。
【0003】
最近では、自らは電源を備えず、外部から供給される発振信号を受信して電力を得て、この電力により予め記憶した識別コードを送信するトランスポンダがある。上記イモビライザシステムのキーにもトランスポンダが採用され、バッテリを備えないキーが実現されている。
【0004】
トランスポンダはトランスポンダICを備え、その内部の不揮発性メモリ(EEPROM)にメーカ側で予めキー毎に設定される識別コードの登録が行われている。そして、トランスポンダICは、一旦識別コードが登録された後はその識別コードの変更を行うことができないようになっている。
【0005】
一方、前記コード照合装置には、予め1つの車両に対して与えられる1セットのマスタキー及びサブキーの各識別コードが登録されている。又、コード照合装置は、これらの各キーの各識別コードに加えて新たに識別コードを追加登録するための登録処理機能を備えている。従って、新たなキーの識別コードを照合装置に追加登録することにより、そのキーを新たに使用可能にすることができるようになっている。
【0006】
照合装置に新たな識別コードを登録するには、先ず、キーシリンダに予め定めたキー、例えば、マスタキーを差し込んだ状態で所定の操作を行う。すると、照合装置はそのマスタキーの識別コードに基づき新たな識別コードを追加登録するための登録処理を実行する状態となる。この状態で、キーシリンダに新たに識別コードを登録したいキーを差し込むと、照合装置がそのキーの識別コードを入力して前記EEPROMに登録する。この結果、そのキーの識別コードが登録され、そのキーが使用可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、イモビライザシステムの盗難防止性能をさらに向上させるために将来的に暗号化方式の識別コードが採用されると、固有の識別コードが登録されていないトランスポンダを備えたキー(ブランクキー)が市場に出回ることになる。すなわち、このブランクキーのトランスポンダには任意の識別コードを記憶させることができる。その結果、ブランクキーに不正に登録した識別コードを前記照合装置に登録し、このキーを用いて車両を運転することができるようになる。従って、正規に識別コードがコード照合装置に登録されているキーの管理ができなくなるため、盗難時に正規のキーで盗難されたものか、不正のキーで盗難されたものかを判別することができない問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は,登録される識別コードの数を管理することができる自動車用イモビライザシステムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、識別コードを送信するコード送信手段と、前記識別コードと同じ内容のコードを車載側識別コードとして予め登録した記憶手段と、前記コード送信手段からの識別コードを受信し、該識別コードと前記記憶手段に記憶した車載側識別コードとを比較し一致したときにエンジンを制御可能にする制御信号を出力する制御手段と、前記記憶手段に対して新たなコード送信手段からの新たな識別コードを車載側識別コードとして追加登録するための追加登録信号を送信する追加登録送信手段と、前記追加登録信号に基づいて新たなコード送信手段から受信した新たな識別コードを新たな車載側識別コードとして前記記憶手段に追加登録するコード登録手段とからなる自動車用イモビライザシステムにおいて、前記コード登録手段にて追加登録が行われたとき、前記記憶手段に登録されている車載側識別コードの数を前記追加登録送信手段に送信する登録数送信手段と、前記追加登録送信手段に設けられ前記車載側識別コードの数を記憶するコード数記憶手段と、前記追加登録送信手段に設けられ前記登録数送信手段からの車載側識別コードの数を受信し前記コード数記憶手段に登録するコード数記録手段とを備えた。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記コード送信手段、追加登録送信手段、コード数記憶手段及びコード数記録手段はイグニッションキーに内蔵した。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記制御手段から制御信号を入力したとき、エンジンを駆動制御するための処理動作を可能にし、該制御信号が消失しているとき、前記エンジンを駆動するための処理動作を不可能にするエンジン制御手段を備えた。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記エンジン制御手段は、燃料噴射電子制御装置とした。
従って、請求項1に記載の発明によれば、制御手段はコード送信手段が送信する識別コードと記憶手段に予め登録される前記識別コードと同じ内容の車載側識別コードとを比較し、両コードが一致するとエンジンを制御可能にする制御信号を出力する。追加登録送信手段が前記記憶手段に対して新たな送信手段からの新たな識別コードを新たな車載側識別コードとして追加登録するための追加登録信号を送信すると、コード登録手段がその追加登録信号に基づき新たな送信手段から受信した新たな識別コードを新たな車載側識別コードとして前記記憶手段に追加登録する。登録数送信手段はコード登録手段にて追加登録が行われたとき記憶手段に登録されている車載側識別コードの数を追加登録送信手段に送信する。すると、追加登録送信手段に設けられるコード数記録手段が登録数送信手段から送信される車載側識別コードの数を同じく追加登録送信手段に設けられるコード数記憶手段に登録する。従って、エンジンを制御可能にする車載側識別コードの数が常時記録される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、イグニッションキーにコード送信手段、追加登録送信手段、コード数記憶手段及びコード数記録手段が内蔵されるため、イグニッションキーにて識別コード及び追加登録信号の送信が行われるとともに登録されているコードの数の記録が行われる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、エンジン制御手段は、制御手段から制御信号を入力するときエンジンを駆動制御するための処理動作を可能にし、制御信号が消失しているとき同処理動作を不可能にする。従って、エンジン制御手段によるエンジン制御が制御信号に基づいて制御される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の作用に加えて、エンジン制御手段が、燃料噴射電子制御装置にて構成される。従って、燃料噴射電子制御装置によるエンジンの燃料噴射制御が制御信号に基づいて制御される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図6に従って説明する。
図1は、本実施の形態の自動車用イモビライザシステムの電気的構成を示すブロック図である。
【0017】
イモビライザシステムは、車両側に搭載されるイモビライザ電子制御装置(以下、イモビECUという)1、送受信器2及び燃料噴射電子制御装置(以下、EFIECU)3と、各イグニッションキー(以下、キー)4に内蔵されるトランスポンダ5とから構成されている。
【0018】
イモビECU1は送受信器2と接続されており、送受信器2に対して電力伝送のための発振信号を出力するとともに、送受信器2を介してトランスポンダ5からキー側識別コードIDを入力する。送受信器2は、アンプ6及びアンテナコイル7とから構成されている。アンプ6はイモビECU1から入力する発振信号を増幅し、図示しないイグニッションキーシリンダ(以下、キーシリンダ)の外周に配設されるアンテナコイル7から同キーシリンダに差し込まれた前記キー4のトランスポンダ5に発信するようになっている。
【0019】
トランスポンダ5は、予め1つの車両に対して与えられている1セットの各キー4のグリップ部にそれぞれ内蔵されている。キー4は1個のマスタキー4A及び複数個のサブキー4Bからなっている。いずれかのキー4をキーシリンダに差し込むと、キー検出センサ8がキー4を検出してキー検出信号SK を前記イモビECU1に出力する。イモビECU1はキー検出信号SK に応答して前記送受信器2を介してトランスポンダ5に発振信号を送信する。トランスポンダ5は前記アンテナコイル7から発信される発振信号(電磁波)から電力を得て、この電力によりトランスポンダ5毎に予め記憶されるキー側識別コードIDを前記アンテナコイル7に発信する。マスタキー4Aのキー側識別コードID(他と区別するためにIDM と表記する)及び各サブキー4Bのキー側識別コードID(他と区別するためにIDS と表記する)は予めイモビECU1にイモビ側識別コードIDnとしてそれぞれ登録されており、イモビECU1は送受信器2を介して入力したキー側識別コードコードIDを登録されている各イモビ側識別コードIDnと照合する。イモビECU1は、その照合結果に基づいて前記EFIECU3を制御する。
【0020】
イモビECU1は新たなキー側識別コードIDを登録するための登録処理機能を備えており、新たに複数のキー側識別コードIDを追加登録可能になっている。又、イモビECU1は既に登録されているイモビ側識別コードIDnを抹消するための抹消処理機能を備えており、既に登録されている各サブキーのイモビ側識別コードIDnを抹消可能になっている。
【0021】
次に、前記イモビECU1について詳細に説明する。
図1に示すように、イモビECU1は中央処理装置(以下、CPU)10、読出専用メモリ(以下、ROM)11、不揮発性メモリ(以下、EEPROM)12、読出及び書込可能なメモリ(以下、RAM)13、タイマ14、入出力インターフェース15等から構成されている。CPU10はROM11に記憶された制御プログラムに従って後述するコード照合処理、モード選択処理等の種々の演算処理を実行する。EEPROM12は識別コードとしての前記マスタキー4Aのキー側識別コードIDM 及び各サブキー4Bのキー側識別コードIDS と一致する車載側識別コードとしての各イモビ側識別コードIDnを記憶している。RAM13は前記CPU10の演算処理結果を一時記憶するようになっている。タイマ14は複数の所定時間T1〜T6を計時する。
【0022】
CPU10は前記キー検出センサ8からのキー検出信号SK に応答してコード照合処理を実行する。コード照合処理において、CPU10は送受信器2から発振信号を送信してキーシリンダに差し込まれているキー4のトランスポンダ5からそのキー側識別コードIDを入力する。CPU10はこの入力したキー側識別コードIDを前記EEPROM12に記憶する各サブキー4Bのイモビ側識別コードIDnと照合する。入力したキー側識別コードIDがいずれかのサブキー4Bのイモビ側識別コードIDnと一致するときには、CPU10はエンジン駆動許可信号EAをEFIECU3に出力する。反対に、入力したキー側識別コードIDがいずれのサブキー4Bのイモビ側識別コードIDnとも一致しないときにはエンジン駆動許可信号EAをEFIECU3に出力しない。
【0023】
又、CPU10は入力したキー側識別コードIDをマスタキー4Aのイモビ側識別コードIDnと照合する。入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのイモビ側識別コードIDnに一致しないときには、CPU10は処理を終了する。反対に、入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのイモビ側識別コードIDnと一致するときには、CPU10はモード選択処理を実行する。つまり、CPU10は入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのイモビ側識別コードIDnと一致するときにのみ、モード選択処理を実行する。
【0024】
モード選択処理において、CPU10はイグニッションスイッチ16のオン信号S1を所定時間T1内に所定回数N1だけ入力するときにはコード登録処理を実行する。コード登録処理において、CPU10は送受信器2から発振信号を送信してキーシリンダに差し込まれているキー4のトランスポンダ5からそのキー側識別コードIDを入力する。そして、CPU10は入力したキー側識別コードIDを新たにイモビ側識別コードIDnとしてEEPROM12に登録する。
【0025】
CPU10はコード登録処理を終了すると、マスタキー4Aのキー側識別コードIDに応答してコード数記録処理を実行する。コード数記録処理において、CPU10はキーシリンダに差し込まれているマスタキー4Aのトランスポンダ5に対して、EEPROM12に登録されているイモビ側識別コードIDnの数NC を出力する。CPU10はコード数記録処理を終了すると、インジケータ18を所定時間T5だけ点灯させる。
【0026】
又、CPU10は前記モード選択処理において、ドアカーテシスイッチ17のオン信号S2を所定時間T2内に所定回数N2だけ入力するときには、コード抹消処理を実行する。コード抹消処理において、CPU10はEEPROM12に記録されている各サブキー4Bのイモビ側識別コードIDnをすべて抹消する。CPU10はコード抹消処理を終了すると、インジケータ18を所定時間T6だけ点滅させる。
【0027】
本実施の形態では、CPU10にて制御手段、コード数登録手段及び登録数送信手段が構成されている。
次に、マスタキー4Aのトランスポンダ5について詳細に説明する。
【0028】
図2はイグニッションキーとしてのマスタキー4Aに内蔵されるトランスポンダ5の電気的構成を示すブロック図である。トランスポンダ5は、送受信用アンテナコイル20、電力回路部21及びトランスポンダIC22とから構成されている。
【0029】
電力回路部21は、送受信器2から送信される発振信号を受信して電力を生成し、トランスポンダIC22に供給する。トランスポンダIC22にはEEPROM23が備えられている。EEPROM23は、キー側識別コードIDM を記憶している。トランスポンダIC22は電力回路部21から供給される電力により、EEPROM23に記憶するキー側識別コードIDM を前記アンテナコイル20を介して前記送受信器2に送信する。又、トランスポンダIC23は、イモビECU1から送受信器2を介して送信される前記数NC をEEPROM23に記憶させるようになっている。
【0030】
本実施の形態では、マスタキー4Aのトランスポンダ5にてコード送信手段、追加登録送信手段及びコード数記録手段が構成されている。又、EEPROMにてコード数記憶手段が構成されている。
【0031】
尚、各サブキー4Bのトランスポンダ5は、前記マスタキー4Aのトランスポンダ5と基本的に同一の構成であり、各EEPROM23に各サブキー4B毎のキー側識別コードIDS を記憶している点が異なるだけである。各サブキー4Bのトランスポンダ5は、それぞれコード送信手段を構成している。
【0032】
イモビECU1は前記EFIECU3と信号線にて接続されている。エンジン制御手段としてのEFIECU3は中央処理装置(以下、CPU)30、読出専用メモリ(ROM)31、書込及び読出可能なメモリ(RAM)32、入出力インターフェース33等から構成されている。CPU30はROM31に記憶された制御プログラムに従って図示しないエンジンを始動制御したり、同エンジンに供給する燃料の噴射量及び噴射タイミング等を演算し該エンジンを駆動制御するための種々の演算処理を実行するようになっている。RAM32は前記CPU30の演算処理結果を一時記憶するようになっている。
【0033】
CPU30は前記イモビECU1から前記エンジン駆動許可信号EAが出力されているときにはイグニッションスイッチ16からのオン信号S1に応答して上記した演算処理、すなわち、エンジンに供給する燃料の噴射量及び噴射タイミングを演算しエンジンを駆動制御するための演算処理を実行する。又、CPU30は前記イモビECU1からエンジン駆動許可信号EAが出力されていないときには前記イグニッションスイッチ16からのオン信号S1を入力してもエンジンを駆動制御するための前記演算処理を実行しないようにしている。つまり、イモビECU1からエンジン駆動許可信号EAが出力されていないときにはエンジンは駆動されず自動車は動くことはない。
【0034】
次に、以上のように構成された自動車用イモビシステムの作用をCPU10の処理動作を示す図3〜図6のフローチャートに従って説明する。
図3に示すように、CPU10はステップ(以下、S)10でキーシリンダにキー4が差し込まれたことを検出すると、S11でそのキー4のトランスポンダ5からキー側識別コードIDを入力する。そして、CPU10はS12でそのキー側識別コードIDが各サブキー4Bのキー側識別コードIDS と一致するかどうか判定する。S12でキー側識別コードIDがいずれかのサブキー4Bのキー側識別コードIDS と一致するときには、CPU10はS13でエンジン駆動許可信号EAをEFIECU3に出力してエンジンを駆動制御するための演算処理を実行させる。CPU10はS14でキー検出信号SK が入力されているかどうかを判定し、同信号EAが入力されている間はエンジン駆動許可信号EAを出力する。反対に、CPU10はS14でキー検出信号SK が入力されないときにはエンジン駆動許可信号EAを消失させる。従って、識別コードIDが登録されているサブキー4Bのみを用いてエンジンを運転することができる。
【0035】
一方、S12で入力したキー側識別コードIDがいずれのサブキー4Bのキー側識別コードIDS でもないときには、CPU10はS15で入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM と一致するかどうか判定する。CPUはS15で入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM でないときには処理を終了する。従って、予めイモビ側識別コードIDnが登録されているキー4以外のキーがキーシリンダに差し込まれたときには、EFIECU3にエンジン駆動許可信号EAが出力されないため、エンジンの運転が規制される。
【0036】
S15で入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM であるときには、CPU10はS16でイグニッションスイッチ16からのオン信号S1が所定時間T1内に所定回数N1だけ入力されるかどうか判定する。つまり、所有者がマスタキー4Aを時間T1内でN1回だけイグニッションスイッチ16のオン操作を行ったかどうか判定する。CPU10はS16でオン信号S1が前記条件で入力されるときには、コード登録処理を実行する。反対に、S16でオン信号S1が前記条件で入力されないときには、CPU10はS17でドアカーテシスイッチ17からのオン信号S2が所定時間T2内に所定回数N2だけ入力されるかどうか判定する。つまり、所有者がドアを時間T2内にN2回だけ開閉したかどうか判定する。CPU10はS17でオン信号S2が前記条件で入力されるときには、コード抹消処理を実行する。反対に、CPU10はS17でオン信号S2が前記条件で入力されないときには処理を終了する。従って、マスタキー4Aがキーシリンダに差し込まれた状態でイグニッションスイッチ16が前記条件で操作されるとコード登録処理が実行される状態となり、ドアカーテシスイッチ17が前記条件で操作されるとコード抹消処理が実行される状態となる。
【0037】
図4に示すように、コード登録処理において、CPU10はS20でキー検出信号SK が消失した後所定時間T3内に新たにキー検出信号SK を入力するかどうか判定する。つまり、マスタキー4Aがキーシリンダから抜かれ、新たに追加登録したいキーが差し込まれたかどうか判定する。S20で前記条件でキー検出信号SK を入力すると、CPUはS21でキーシリンダに新たに差し込まれているキー4のトランスポンダ5からキー側識別コードIDを入力する。一方、CPU10はS20でキー検出信号SK が消失した後所定時間T3内に新たにキー検出信号SK を入力しないときには処理を終了する。
【0038】
CPU10はS22で入力したキー側識別コードIDをすでに登録されている各サブキー4Bのキー側識別コードIDS と一致するかどうか判定し、いずれかのキー側識別コードIDS に一致するときには前記S13に移りエンジン駆動許可信号EAを出力する。反対に、S22で入力したキー側識別コードIDが各サブキー4Bのキー側識別コードIDS とも一致しないときには、CPU10はS23でマスタキー4Aのキー側識別コードIDM かどうか判定する。CPU10はS23でキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM であるときには処理を終了する。反対に、S23でキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM でないときには、CPU10はS24でそのキー側識別コードIDをEEPROM12に新たなサブキー4Bのイモビ側識別コードIDnとして記憶させる。従って、コード登録処理において、新たに追加するキー4のキー側識別コードIDがEEPROM12に登録される。
【0039】
次に、CPU10はS25でキー検出信号SK が一旦消失した後所定時間T4内に再び入力されるかどうか判定する。S25で前記条件でキー検出信号SK が入力されなかったときには、CPU10はS26でEEPROM12に記憶したイモビ側識別コードIDnを抹消した後、処理を終了する。反対に、S25で前記条件でキー検出信号SK を入力すると、CPU10はS27でそのキー4のキー側識別コードIDを入力する。CPU10はS28で入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM かどうか判定する。S28において、入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM であるときには、CPU10はコード数記録処理を実行する。反対に、S28において、入力したキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM でないときには、CPU10はS29で各サブキー4Bのキー側識別コードIDS かどうか判定する。
【0040】
S29でキー側識別コードIDがいずれかのサブキー4Bのキー側識別コードIDS であるときには、CPU10はS26でEEPROM12に記憶したそのイモビ側識別コードIDnを抹消する。反対に、S29でキー側識別コードIDがいずれのサブキー4Bのキー側識別コードIDS でないときには、CPU10は再びS24でそのキー4のキー側識別コードIDを入力してEEPROM12に登録する。従って、コード登録処理が実行されると、新たに追加登録しようとするキー側識別コードIDのキー4がキーシリンダに差し込まれる度にそのキー側識別コードIDがEEPROM12に登録される。
【0041】
一方、S28でキー側識別コードIDがマスタキー4Aのキー側識別コードIDM であるときに行うコード数記録処理において、図5に示すように、CPU10はS30でEEPROM12に記憶されている全てのイモビ側識別コードIDnの数NC をマスタキー4Aのトランスポンダ5のEEPROM23に記憶させる。そして、CPU10はS31でインジケータ18を所定時間T5だけ点灯させる。従って、コード数記録処理において、EEPROM12に登録されている全てのイモビ側識別コードIDnの数NC がマスタキー4AのEEPROM12に記録される。
【0042】
又、CPU10は前記S16でドアカーテシスイッチ17からのオン信号S2が所定時間T2内に所定回数N2だけ入力されるときにはコード抹消処理を実行する。図6に示すように、コード抹消処理において、CPU10はS40でEEPROM12に記憶する全てのサブキー4Bのイモビ側識別コードIDnを抹消するとともにマスタキー4AのEEPROM12に記録されている全てのイモビ側識別コードIDnの数NC のデータを抹消する。そして、CPU10はS41でインジケータ18を所定時間T6の間だけ点滅させる。従って、コード抹消モードにおいては、EEPROM12に登録されている全てのサブキー4Bのイモビ側識別コードIDn、及び、EEPROM12に記録されているイモビ側識別コードIDnの数NC のデータが抹消される。
【0043】
以上詳述したように、本実施の形態の自動車用イモビライザシステムによれば、以下の効果を得ることができる。
(a) キーシリンダにマスタキー4Aを差し込んイグニッションスイッチ16の操作を所定時間T1 内に所定回数N1 だけ繰り返し行うと、イモビECU1のCPU10がコード登録処理を実行する状態となる。この状態で新たにキー側識別コードを登録しようとするキー4をキーシリンダに差し込むと、イモビECU1がそのキー4の識別コードをEEPROM12に追加登録する。識別コードの追加登録後に、改めてマスタキー4Aをキーシリンダに差し込むと、CPU10がEEPROM12に登録されている全てのイモビ側識別コードIDnの数NC をマスタキー4Aのトランスポンダ5に送信する。トランスポンダ5のトランスポンダIC22は、受信した数NC をEERPOM23に記録する。従って、イモビECU1に新たに使用可能にしようとするキー4のキー側識別コードを追加登録すると、登録処理の後にそれまでにEEPROM12に登録されている全てのイモビ側識別コードIDnの数NC がマスタキー4Aに記録される。つまり、マスタキー4Aに記録される数NC を読み取ることで、該マスタキー4Aを使用して追加登録したキー側識別コードIDの数を確認することができる。その結果、車両の盗難時には、手元にあるキー4の数とマスタキー4Aに記録されている数NC とを照らし合わせることにより、車両が正規にキー側識別コードが登録されたキー4を用いて盗まれたものなのか、それとも、不正にキー側識別コードIDを入力したキーを用いて盗まれたのかを判断することができる。
【0044】
(b) EFIECU3によるエンジンの燃料噴射制御がイモビECU1が出力するエンジン駆動許可信号EAに基づいて制御されることにより、未登録の識別コードIDを記憶するキー4によるエンジンの運転が防止される。従って、エンジンの運転を容易に規制することができる。
【0045】
(c) マスタキー4Aを用いた操作により、イモビECU1のEEPROM12に登録している全てのサブキー4Bのイモビ側識別コードIDnを抹消することができるようにした。従って、サブキー4Bが盗まれたときには、一旦登録されているイモビ側識別コードIDnを抹消し、手元にあるサブキー4Bの識別コードIDだけを改めて登録することにより、盗まれたサブキー4Bによる車両の盗難を防止することができる。
【0046】
(d) マスタキー4Aではエンジン駆動許可信号EAが出力されないようにしたので、マスタキー4Aを用いての車両の盗難を防止することができる。従って、車両の盗難時には、確実にマスタキー4Aから数NC を読み出すことができる。
【0047】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、以下のように構成することもできる。
(1) イグニッションキー4の代わりに固有の識別コードが登録されたICカードで車両を運転可能にしたシステムに実施してもよい。例えば、1つのマスタICカードと複数のサブICカードの各識別コードIDを車載側識別コードIDnとして登録しておき、両識別コードの照合により運転を許容する。そして、新たなサブICカードの識別コードIDを新たな車載側識別コードIDnとして登録させると、マスタICカードに車載側識別コードIDnの数NC が記録されるようにする。この例では、マスタICカードのCPUが追加登録信号の送信、及び、車載側識別コードIDnの数NC の記録を行い、同じくICメモリが車載側識別コードIDnの数NC の記憶を行う。この例の場合にも、登録された車載側識別コードIDnの数NC を管理することができる。
【0048】
(2) エンジン制御装置として、EFIECU3に限らず、その他、例えば、点火時期電子制御装置としてもよい。この場合には、エンジン駆動許可信号EAに基づいて点火時期を制御することにより、エンジンの駆動制御を規制することができる。
【0049】
(3) コード登録処理あるいはコード抹消処理を実行させるための方法は、イグニッションスイッチ16あるいはドアカーテシスイッチ17の操作に限らず、その他、例えば、ラジオスイッチ等の操作により行うようにしてもよい。
【0050】
(4) マスタキー4Aによるエンジンの始動ができないようにしたが、できるようにしてもよい。
(5) イモビECU1と送受信器2とを一体化されたユニットとしてもよい。
【0051】
(6) トランスポンダ5の代わりに、内蔵するバッテリからの電力により識別コードIDを発信し、又、イモビECU1から送信される数NC をEEPROM23に記録する発信器を用いてもよい。
【0052】
前記実施の形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(1) 請求項2に記載の自動車用イモビライザシステムにおいて、コード送信手段、第1指令信号送信手段、第2指令信号送信手段及びコード数記録手段はトランスポンダ5にて構成されるものとする。このような構成によれば、イグニッションキー4Aにバッテリ等の電源を設ける必要がない。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、登録される識別コードの数を管理することができる。その結果、不正に識別コードが登録されたキーによる車両の盗難を検出することができる。
【0054】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、イグニッションキーだけで識別コードの送信、識別コードの登録・抹消、及び、コード数の記録を行うことができるため、各操作が容易になる。
【0055】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、エンジンの運転を容易に規制して車両の盗難を確実に防止することができる。
【0056】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、燃料噴射制御の制御によりエンジンの運転を規制して車両の盗難を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自動車用イモビライザシステムの電気ブロック図。
【図2】 マスタキーのトランスポンダの電気ブロック図。
【図3】 コード照合処理及びモード選択処理のフローチャート。
【図4】 コード登録処理のフローチャート。
【図5】 コード数記録処理のフローチャート。
【図6】 コード抹消処理のフローチャート。
【符号の説明】
3…エンジン制御手段としての燃料噴射電子制御装置、4A…イグニッションキーとしてのマスタキー、5…コード送信手段、追加登録送信手段及びコード数記録手段としてのトランスポンダ、10…制御手段、コード登録手段及び登録数送信手段としてのCPU、12…記憶手段としてのEEPROM、23…コード数記憶手段としてのEEPROM、EA…制御信号としてのエンジン駆動許可信号、ID…識別コードとしてのキー側識別コード、IDM …識別コード及び追加登録信号としてのキー側識別コード、IDS …識別コードを構成するキー側識別コード、IDn…車載側識別コードとしてのイモビ側識別コード、NC …数。

Claims (4)

  1. 識別コード(ID)を送信するコード送信手段(5)と、
    前記識別コード(ID)と同じ内容のコードを車載側識別コード(IDn)として予め登録した記憶手段(12)と、
    前記コード送信手段(5)からの識別コード(ID)を受信し、該識別コード(ID)と前記記憶手段(12)に記憶した車載側識別コード(IDn)とを比較し一致したときにエンジンを制御可能にする制御信号(EA)を出力する制御手段(10)と、
    前記記憶手段(12)に対して新たなコード送信手段(5)からの新たな識別コード(ID)を車載側識別コード(IDn)として追加登録するための追加登録信号(IDM )を送信する追加登録送信手段(5)と、
    前記追加登録信号(IDM )に基づいて新たなコード送信手段(5)から受信した新たな識別コード(ID)を新たな車載側識別コード(IDn)として前記記憶手段(12)に追加登録するコード登録手段(10)と
    からなる自動車用イモビライザシステムにおいて、
    前記コード登録手段(10)にて追加登録が行われたとき、前記記憶手段(12)に登録されている車載側識別コード(IDn)の数(NC )を前記追加登録送信手段(5)に送信する登録数送信手段(10)と、
    前記追加登録送信手段(5)に設けられ前記車載側識別コード(IDn)の数(NC )を記憶するコード数記憶手段(23)と、
    前記追加登録送信手段(5)に設けられ前記登録数送信手段(10)からの車載側識別コード(IDn)の数(NC )を受信し前記コード数記憶手段(23)に登録するコード数記録手段(5)と
    を備えた自動車用イモビライザシステム。
  2. 請求項1に記載の自動車用イモビライザシステムにおいて、
    前記コード送信手段(5)、追加登録送信手段(5)、コード数記憶手段(23)及びコード数記録手段(5)はイグニッションキー(4A)に内蔵した自動車用イモビライザシステム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の自動車用イモビライザシステムにおいて、
    前記制御手段(10)から制御信号(EA)を入力したとき、エンジンを駆動制御するための処理動作を可能にし、該制御信号(EA)が消失しているとき、前記エンジンを駆動するための処理動作を不可能にするエンジン制御手段(3)を備えた自動車用イモビライザシステム。
  4. 前記エンジン制御手段(3)は、燃料噴射電子制御装置である請求項3に記載の自動車用イモビライザシステム。
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