JP3722242B2 - 水性ボールペン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はインクを中綿等に吸蔵させないで直接貯溜するインクタンクを有し、又インクタンク内の空気が温度上昇等の原因によって膨張した場合にインクタンクから押し出されるインクを筆先部や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保溜するインク保溜体を付設した水性ボールペンの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインク直接貯溜方式の筆記具のキャップは、キャップの脱着時にシール筒内の容積変化を起こさないようにシール筒を軸方向に移動可能にしシール筒の開口縁部を筆記具軸筒の口金の円錐面に適宜な押し圧力で当接させ密封している。
【0003】
ここで中綿方式の筆記具のキャップは軸筒に被着しペン先と空気孔を密封するがシールを確実にするためキャップを軸筒に被着する時、被着が完了する直前より軸筒とキャップのシール部が密着嵌合し被着が完了する間にキャップの内部空間は縮小する。このためキャップ被着時はキャップ内が加圧される。又逆にキャップを脱着する時、シール部の密着嵌合部が外れる間はキャップ内は空間が拡大するため減圧する。しかし中綿方式の筆記具はキャップ内部と中綿が収納されている軸筒後半部とが軸筒の空気孔を介して空間としては連続しているため全体が加圧減圧されインク貯溜部もペン先も圧力は変わらず、キャップの着脱時にペン先や空気孔からインクが流出する作用が働かない。ところが直接貯溜方式の筆記具においてはキャップの着脱時にシール筒内の容積変化を起こさせないようにしているのは、キャップの着脱時にシール筒内が加圧減圧を起こすと、加圧された時にはシール筒内の空気が圧縮されその分だけ空気孔からインク保溜体を通ってインクタンク内に気泡として浸入しその分だけインクが溢れ出してインク保溜体に保溜される。また逆に軸筒からキャップを外す場合、シール筒内の空気は上記の現象とは逆に減圧される事になり、そのためインクタンク内のインクが引き出され、やはりインク保溜体に保留されたり、ペン先からインクを引き出す事になる。このようにキャップの着脱の度にインク保溜体のインク保溜量が増加していき最後には保溜能力を超過して空気孔からインクが流出したり、ペン先からインクが漏れ出したりする。そこで従来のインク直接貯溜方式の筆記具のキャップは、この現象を防ぐために上記のような構造を採用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記、従来の直接貯溜方式の筆記具のキャップは、キャップの脱着時にポリプロピレンやポリエチレンでできた比較的硬いシール筒内を加圧減圧させないでかつ密封するようにシール筒を軸方向に移動可能にして開口縁部を筆記具軸筒の口金の円錐面に密着させる構造のため、構造が複雑になり部品点数も多くなり製品単価の上昇と組立の煩雑さからくる組立費の上昇の要因にもなっている。本発明の目的はかかる弊害を解決した水性ボールペンを提供可能とすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために案出された本発明の水性ボールペンは、カップ状の弾性に富むゴム等で出来たシール筒をキャップ内に付設し、キャップを軸筒に被着した時、軸筒開口に装着した口金の軸心にほぼ直角な鍔部がシール筒の開口縁部に当接密着し、軸筒側の空気孔を含む先部を密閉するもので、口金の鍔部をシール筒に当接するとシール筒の開口縁部は圧縮されシール筒内の空間は加圧されるが、キャップの軸筒への被着停止位置を規制することによってシール筒の圧縮量を僅かな量にすることができるので実使用上問題とならず上記問題点を解消するものである。
【0006】
【実施例】
図1は本発明の一実施例を示したもので、以下図面に基づき詳説する。水性ボールペン本体はその軸筒1の後部をインク室2となし前方には外周面に多数の周溝3とその周溝3を連通させる縦溝4を有するインク保溜体5が装着され、そのインク保溜体5の中心部に軸方向に貫通する縦孔6にはインク誘導芯7が貫装され、更にインク誘導芯7の先は中芯8に当接又は刺さり、中芯8はその先のペン先9に接続されて、インクはインク室2よりインク誘導芯7を通り中芯8に渡りペン先9に供給されるようになっている。
【0007】
次にキャップ13は開口縁近傍内面に軸筒1の凸部15と係合するための係合突起14が形成され軸筒1の凸部15に係合すると共にキャップ13の内壁に設けられた複数のリブ16の当接段部17が軸筒1に密着嵌合している口金10の鍔部11に当接し軸筒1に対し定位置に被着されるようになっている。更にキャップ13のリブ16に係止段部18が形成され、コップ状のゴムで出来たシール筒19の段部20が係止段部18に付き当てられリブ16に嵌合しキャップ13内の定位置に係止されている。ここでシール筒19の開口縁部21はキャップ13の当接段部17より僅かな距離A突出しておりキャップ13が被着され鍔部11がキャップ13のリブ16の当接段部17に当接するとシールゴム19の開口縁部21は距離Aだけ圧縮され口金10の鍔部11と密着し空気口12とペン先9を密封する。距離Aは0.01から0.5mm程度で好ましくは0.05から0.1mmがよい。更にペン先9の先端をシール筒19の底に押し当てペン先9のインク流出部を閉塞する事でペン先からの衝撃等による流出を確実に防止するようにしても良い。
【0008】
また図4に他の実施例を示す。この実施例は当接段部22を軸筒23の開口端部24に当接させキャップ21を軸筒23に位置決めしシール筒27の開口縁部28を口金25の鍔部26に当接密着させ空気口とペン先を密封するものであり、前記実施例と同じくシール筒28の開口縁部28は口金25の鍔部26に当接する際0.01から0.5mm程度で好ましくは0.05から0.1mm圧縮され開口縁部28と鍔部26が密着する。
【0009】
【作用】
以上の如く構成された水性ボールペンに於て、水性ボールペン本体にキャップ13を装着するとペン先9と空気孔12を含む先部がシール筒19の中に入り込みシール筒19の開口縁部21が口金10の鍔部11にまず当接しその後更に極微少軸筒1がキャップ13に入り込み、鍔部11がキャップ13の当接段部17に当接し停止すると同時に、軸筒1の凸部15にキャップ13の係合突起14が係合し軸筒1とキャップ13の被着状態を保ち、シール筒19の開口縁部21が僅かに圧縮され鍔部11に密着し空気孔12及びペン先9を密封する。ここで口金10の鍔部11がシール筒19の開口縁部21に当接密着する際、開口縁部21が圧縮しシール筒19の内容積が小さくなりシール筒内19の内圧が上昇するが、口金10の鍔部11のシール筒19開口縁部21の押し圧長は極僅かな量であるためシール筒19内は僅かに圧縮されるだけですみ、保溜体5へのインクの流入も極僅かで、実使用上筆記によりインクが消費される事により保溜体5へ入ったインクはインク室2に戻るため、保溜体5にインクが満杯になり空気孔12よりインクが流れ出すことは無い。
【0010】
【発明の効果】
本発明の構成及び作用は以上の通りであり、従来の内キャップのようにキャップ内で押し圧力を作用させながら移動可能とする必要がないため、部品点数が少なくなり組み立ても簡単になる。このため安価で良好な品質を維持する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水性ボールペンの縦断面図である。
【図2】図1の軸本体を外したキャップの部分断面図である。
【図3】図2のBB断面図
【図4】本発明の他の実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
1 軸筒
2 インク室
3 周溝
4 縦溝
5 インク保溜体
6 縦孔
7 インク誘導芯
8 中芯
9 ペン先
10 口金
11 鍔部
12 空気孔
13 キャップ
14 係合突起
15 凸部
16 リブ
17 当接段部
18 係止段部
19 シール筒
20 段部
21 開口縁部
22 当接段部
23 軸筒
24 開口端部
25 口金
26 鍔部
27 シール筒
28 開口縁部
Claims (1)
- 軸筒後部にインクを直に貯溜するタンクを有し、かつ軸筒前方にはインク保溜体を有したインク直接貯溜方式の水性ボールペンにおいて、キャップを軸に被着したときキャップ内部に装着した弾性に富んだ樹脂又はゴムで出来たシール筒の開口縁部を軸筒の開口部に装着した口金の軸心にほぼ直角な鍔部面に当接密着し口金に設けられた空気孔とペン先を密封する際、軸筒とキャップの被着時の当接位置をキャップの中程に設けた段部又は複数のリブを口金の鍔部又は軸筒の開口端部に当接させ位置決めすることを特徴とする水性ボールペン。
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
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1996
- 1996-01-24 JP JP02874696A patent/JP3722242B2/ja not_active Expired - Fee Related
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