JP3719749B2 - 熱加工性テトラフルオロエチレンコポリマー - Google Patents
熱加工性テトラフルオロエチレンコポリマー Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱加工性テトラフルオロエチレンコポリマーに関する。より詳しくは、この発明は特に高温での機械特性が改良され、かつ優れた光学特性を併有するフルオロジオキソールとの熱加工性テトラフルオロエチレンコポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、非常に高い溶融粘度を示すので、熱加工性ポリマーに通常使用される技術によって(押出し、一次成形、射出等)で使用できないことが知られている。
この欠点を改良するためテトラフルオロエチレン(TFE)をヘキサフルオロプロパン(HFP)と共重合化することが知られている(例えば、米国特許第2,946,763号参照)。受容な機械特性と低い溶融粘度とを組み合わせ従って良好な加工性を得るには、高いHFP量、一般に7〜11モル%を導入する必要がある。しかし、このような高い量のHFPは二次溶融温度の明らかな低下を生じ、結果として高温での特に引張りとクレープ特性の性質を明らかに悪化させる。そのため、連続的な使用温度がPTFEの約260℃の値からTFE/HFPコポリマーの約200℃に低下する。
【0003】
他の熱加工性TFEコポリマーとしては、TFEがパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、特にパーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)と共重合化したものがある(例えば、米国特許第3,635,926号参照)。このようなコポリマーは、PPVE量が約2〜3モル%で機械特性と加工性との満足すべきバランスが得られる。
【0004】
TFE/HFPコポリマーについての上記の欠陥をなくする試みとして、ターポリマーが示唆されており、TFEがHFPの4〜12重量%とPPVEの0.5〜3重量%と共重合化されている(米国特許第4,029,868号参照)。
PPVEの使用は、熱加工性TFEコポリマーの性質、特に最大使用温度と加工性を実質的に向上させ、使用分野を広げるが、一方において、さらにその性質を拡大し、一方において、コポリマー合成の条件をより容易にする必要が感じられている。
【0005】
PPVEは、反応性が弱く、未変化のモノマーを回収するのに複雑な方法を必要とすることが知られている(例えば、英国特許第1,514,700号参照)。
各種のタイプのフッ素化ジオキソールで一般式
【0006】
【化2】
【0007】
(式中Y1とY2は−H、−F、又は−Cl、Y3とY4は−Fまたは−CF3)を有するものが知られている(例えば、米国特許3,865,845号、ヨーロッパ特許第76,581号、同第80,187号、同第95,077号、同第73,087号参照)。このような化合物は、ホモポリマー及び他のフッ素化モノマーとのコポリマーの製造に使用できる。特に、無結晶形及び結晶形コポリマーが、上記のジオキソールのTFEで作られることが記載されている(例えば、ヨーロッパ特許第73,087号、同第95,077号及び米国特許第4,558,141号参照)。
【0008】
ヨーロッパ特許出願第94109782.6号(本出願による)には、次式
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、RFは1〜5の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基、X1とX2は同一または異なって、−FまたはCF3)
を有する新規なフルオロジオキソールが記載されている。このようなジオキソールは、ホモポリマーと他のフッ素化モノマーとのコポリマーの製造に使用できる。特に、熱加工性TFEターポリマーで、TFEが式(I)のフルオロジオキソールとパーフルオロメチルビニルエーテルとで共重合化されることが知られている。その上、同出願の実施例9と10では、TFEと2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソールとを、後者を1.1モル%及び3.3モル%に相当する量をそれぞれ存在させて作った結晶性コポリマーが記載されている。この共重合化方法は、有機溶剤(CCl2FCF2Cl)の溶液中で行なわれる。得られるコポリマーは、非常に高い溶融粘度を示し、測定し得ないメルトフローインデックス値を有し、したがって、熱加工できないことがわかっている。このようなコポリマーの光学特性に関する特性化は与えられていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の出願人は、TFEと以後定義されるフルオロジオキソールを、HFP及び/又はパーフルオロアルキルビニルエーテル(例えば、パーフルオロプロピルビニルエーテル)と組み合わせて共重合させると、特に高温での改良機械特性を有するTFEの熱加工性ポリマーが得られることを意外にも見出した。このような性質は、放射線透過測定で示されるごとき優れた光学特性(透過率及び曇り価、transmittance and haze)を合わせ有するものである。このような性質の組み合わせは、公知の改質コモノマー、特に公知のフルオロジオキソールに関してのもので得られるものより予期に反して高いものである。
【0012】
この発明のフルオロジオキソールは、同じ導入量で、引っ張り特性及び高温での脆性破壊耐性の保持と組み合わして二次溶融点のより顕著な低下が認められる。
逆に、本出願人によって行った実験によれば、この発明のフルオロジオキソールは、公知のフルオロジオキソールより強い改質力を有し、そのため改質モノマーの低含量を持つコポリマーを作ることが可能となり、二次溶融温度が同じでも、特に降伏応力と改良熱クリープ値について優れた工学的性質を示すことが意外にもわかった。
【0013】
この発明のフルオロジオキソールの反応性は、モノマーの回収に複雑な方法を用いる必要がないほど高いものである。
したがって、この発明の主題は、
(A)式(I)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中RFは1〜5の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、X1とX2は同一または異なって−Fまたは−CF3、Zは−F、−H、−Clから選択される)のフルオロジオキソールの0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜9モル%、
(B)ヘキサフルオロプロパン(HFP)と式CF2=CF−OR'f(R'fはC2〜C4のパーフルオロアルキル)又はこれらの混合物から選ばれたパーフルオロ化モノマーの0〜15モル%好ましくは、0〜10モル%、
(C)残部を100%にするTFE、
(但し、モノマー(A)と(B)の合計量は、20モル%より低いかまたは等しく、好ましくは12モル%より低いか等しい)
とからなる熱加工性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記式(I)においてX1、X2とZは−F、RFは−CF3、−C2F5または−C3F7であるのが好ましい。RFが−CF3または−C2F5、かつX1、X2とZが−Fである式(I)のフルオロジオキソールが特に好ましい。
式CF2=CF−OR'fのパーフルオロアルキルビニルエーテルとしては、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)が特に好ましい。
【0017】
式(I)のフルオロジオキソールは、本出願人によるヨーロッパ特許出願第94109782.6号に記載されておりその内容をここに参照として導入する。Zが−Fの場合に、フルオロジオキソールは、次の工程によってつくることができる。
(a)式(II)
【0018】
【化5】
【0019】
(式中X1とX2は上記と同一意味)
のジオキソールと、式RFOF(RFは上記と同一意味)のフルオロキシ化合物とを−140℃〜+60℃(好ましくは−110℃〜−20℃)の温度で反応させて、式(III)
【0020】
【化6】
【0021】
のジオキソランを得、
(b)ジオキソラン(III)を中性の双極性溶剤中で金属と反応させて脱ハロゲン化することによって得ることができる。
式(II)のジオキソールは公知の化合物で、例えばヨーロッパ特許出願公開第460,946号に記載の方法によってつくることができる。また、フルオロキシ化合物RF−OFも公知の物質である。CF3OFは、例えばG.H.キャディとK.B.ケロッグ:J.Am.Chem.Soc.70、3986(1948年)に記載の方法によってつくることができ、高級の同族体は、米国特許第4,827,024号に記載の方法でつくることができる。
【0022】
式(I)(Zが−F)のフルオロジオキソールをつくる前記方法の別法が、ヨーロッパ特許出願第94109782.6号に記載されており、その方法は
(a)式:RFO−CCl=CFCl (IV)
(式中RFは上記と同一意味)のオレフィンと
式:CX1X2(OF)2 (V)、
のビスフルオロキシ化合物とを−140℃〜+60℃(好ましくは−110℃〜−20℃)の温度で反応させ式(III)のジオキソランを得、
(b)次いでこのジオキソラン(III)を脱ハロゲン化することからなる。
【0023】
オレフィン(IV)は、化合物RF−OCCl2−CFCl2が得られるようにCCl2=CCl2とRFOFとを反応させ、次いで有機溶剤中で粉末状の亜鉛で脱クロル化反応さすことによって得ることができる。
式(I)(Zが−F)のフルオロジオキソールをつくる別法は、ヨーロッパ特許出願第94109782.6号にも記載されており、式(IV)
【0024】
【化7】
【0025】
のジオキソランを任意に式(VI)
【0026】
【化8】
【0027】
(RFは上記と同一意味)
のジオキソランとの混合で固形のKOHと50℃〜60℃の温度で反応させ、次いで脱ハロゲン化水素化をしてフルオロジオキソールを製造することからなる。ジオキソラン(VI)は、RFO−CHCl−CFCl2化合物を得るようにRFOFとトリクロロエチレンとを反応させ、次いで有機溶媒中、粉末の亜鉛で脱クロル化することにより得ることができる。このようにして得られた式RF−OCH=CFClのオレフィンは、オレフィン(IV)について上記したようなCX1X2(OF)2と最終的に反応さすことによってジオキソラン(VI)が得られる。
【0028】
ジオキソラン(VII)とジオキソラン(VI)との混合物は,次のことをしてつくることができる。オレフィンCHCl=CHClとCX1X2(OF)2とを反応させて式(VIII)
【0029】
【化9】
【0030】
のジオキソランを得、これを固形KOHで脱ハロゲン水素化して式(IX)
【0031】
【化10】
【0032】
のジオキソールとされる。
この最後のものを少なくともRFOFと反応さすと、ジオキソラン(VI)と(VII)との混合物が得られる。
フルオロジオキソール(I)の合成は、上記の方法と同様にジクロロエチレンまたはトリクロロエチレンとを利用し、
式:RF−OFとCX1X2(OF)2
のハイポフルオライトと反応させ、脱クロル化及び脱塩化水素化の反応のいずれかを行って上記した反応中間体を得ることができる。
【0033】
Zが−Clまたは−Hのとき、Z=−Fについて記載した方法と同様に、式(I)のフルオロジオキソールは次の方法によってつくることができる。1,1−ジクロロエチレンCH2=CCl2をハイポクロライトRFOClと反応させ、反応生成物を上記のように脱塩化水素化することによって式RF−OCCl=CHClのオレフィンが得られる。
【0034】
このものはオレフィン(IV)について上記したようにCX1X2(OF)2と反応させることにより式(X)
【0035】
【化11】
【0036】
のジオキソランを得る。
ジオキソラン(X)は、固形KOHで脱塩化水素化して、Z=−Clのフルオロジオキソール(I)を与え、有機溶媒中粉末のZnで脱クロル化して、X=−Hのフルオロジオキソール(I)を与える。
この発明のコポリマーは、適度のメルトフローインデックス(MFI)値と共に、公知の方法に従ってコポリマーを熱加工性にさせる溶融粘度を表す。特にASTM D−1238スタンダードにより測定したMFIは、一般に0.5〜50g/10’、好ましくは1〜30g/10’からなる。
【0037】
この発明のコポリマーは公知の方法に従って、対応するモノマー類を有機媒体中での懸濁液または水性エマルジョン中で適当なラジカル開始剤の存在下、0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で共重合化することによって得ることができる。反応圧は一般に0.5〜100バール、好ましくは5〜40バールである。
【0038】
各種のラジカル開始剤の中で特に次のものが使用できる。水溶性の無機パーオキシド、例えば過硫酸及び過リン酸のアンモニウムまたはアルカリ金属塩、特に過硫酸のアンモニウムまたはカリウム塩;有機または無機レドックス系、例えば過硫酸アンモニウム/亜硫酸ナトリウム、過酸化水素/アミノイミノメタンスルフィン酸;式(RF−CO−O)2(RFがC1〜C10の(パー)ハロアルキル)のビス−アシルパーオキシドまたはパーフルオロポリオキシアルキレン群、例えばビスートリクロロアセチルパーオキシドとビスージクロローフルオロアセチルパーオキシド;式(RF−O)2(RFはC1〜C10のパーハロアルキル)のジアルキルパーオキシド、例えばジーt−ブチルオキシド(DTBP)、等。
【0039】
懸濁共重合反応の場合に、反応媒体は有機相で形成され、それに反応中発生する熱分散のために水が通常加えられる。有機相としては、ハロゲン化炭化水素、特にハロゲン(クロロ)フルオロカーボン及びクロロフルオロカーボン;フロロポリオキシアルキレン;等が使用できる。
水性エマルジョン中での(共)重合反応の場合には、適当な界面活性剤の存在が必要とされる。最も普通に使用される界面活性剤は、次式
RfX-M+
(式中RfはC5〜C16(パー)フルオロアルキル鎖または(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖、X-は−COO-または−SO3 - 、M+はH+、NH4 +またはアルカリ金属イオン)を有するフッ化化合物である。これらの中でパーフルオロオクタン酸アンモニウム及び/またはナトリウム、1以上のカルボキシルの末端を有する(パー)フルオロポリオキシアルキレンが挙げられる。
【0040】
この発明の方法は、米国特許第4,789,717号及び同第4,864,006号に記載の方法に従って、パーフルオロポリオキシアルキレン エマルジョンまたはマイクロエマルジョンの存在下で有利に行うことができ、またヨーロッパ特許出願公開第625,526号に記載の方法に従って、水素化末端基及び/または水素化繰り返し単位を有するフルオロポリオキシアルキレン マイクロエマルジョンの存在下で行うことができる。
【0041】
最終物質の分子量及びそれによる溶融粘度を調節するために、適当な連鎖移動剤を反応系に添加することができ、例えばハロゲン、炭化水素;任意にハロゲンを含むもの、例えばメタン、エタン、クロロホルム、メチレンクロリド等;エステル、エーテルまたは脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、ジメチルマロネート等。連鎖移動剤が反応の当初に反応器に送られるかまたは重合反応中に連続的にあるいは分けて送られる。連鎖移動剤の量は、連鎖移動剤の有効性、反応温度、所望の分子量に従って幅広い範囲内で変化できる。
【0042】
次にこの発明を実施例によって説明するが、これによって発明が限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
実施例1
650rpmで作動する撹拌器付の5リットルAISI316スチール製クロム化加圧釜を排気し、脱ミネラル水3.0リットルと式
【0044】
【化12】
【0045】
の2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール(TTD)の0.67g/H2Oリットルに等しい量で導入した。次いで、パーフルオロポリオキシアルキレンのマイクロエマルジョンを米国特許第4,864,006号の実施例1に従い、パーフルオロポリオキシアルキレン界面活性剤が2.0g/H2Oリットルに等しい濃度になる量で添加した。加圧釜を75℃の使用温度にし、次いでエタンの0.24絶体バールを負荷し、連鎖移動剤として作用させる。次いで、加圧釜に、TFE/TTDガス混合物(モル比54.55/リットル)を供給して、21絶体バールの使用圧にした。反応の開始前に、気相をガスクロマトで分析すると、TFE97.9モル%、TTD2.1モル%の組成であった。0.00315モル/リットルに等しい濃度の過硫酸カリウム(KPS)液である重合開始剤を計量ポンプを用いて、88ミリリットル/時の流速で供給した。反応中、上記組成の反応混合物TFE/TTDを連続供給して、使用圧を一定に保持した。TFE/TTD混合物の1560gを供給後に反応を停止した。反応の終わりにおいて加圧釜に存在する気相は、TFE98.2モル%、TTD1.8モル%の組成を示した。反応器を室温に冷却した後に、エマルジョンを取出し、65重量%HNO3水溶液を加えて凝結させた。生成するポリマーを分離し、脱ミネラル水で洗浄し、乾燥した。ポリマーの特性は表1に示す。
【0046】
ポリマーの組成は、マスバランスで測定した。二次溶融温度(T2m)は示差走査熱量法(DSC)で、メルトフローインデックスは5kg負荷でASTM D−1238−52Tスタンダードにより測定した。
光学特性、すなわち曇り価と透過度は、ASTM D−1003スタンダードにより測定した。
【0047】
機械特性は、ASTM D−3307−81スタンダードで圧縮成形した厚み1.58±0.08mmのサンプルについて、50mm/分の引張速度で、ASTM D−1708スタンダードにより23℃と250℃で測定した。示した値は3つの測定の平均である。
実施例2
実施例1を同一条件下、但し、反応開始前に供給したエタンの量は0.52絶体バールで、繰り返した。得られたポリマーの特性を表1に示す。さらに、圧縮成形し200℃で48時間予備加熱したサンプルについて、ASTM D−2990に従い、275℃で1.6MPaの力で引張応力を付し、クリープ測定を行った。結果は表1に示す。
【0048】
実施例3
実施例1を、反応開始前に供給したエタンの量が0.57絶体バールに等しいものであった以外、同一条件下で繰り返した。得られたポリマーの特性を表1に示す。
実施例4(比較)
実施例1と同じ加圧釜を用い、排気し、脱ミネラル水3.0リットルと米国特許第4,864,006号の実施例1によって得たパーフルオロポリオキシアルキレンのマイクロエマルジョンを、2.0g/H2Oリットルのパーフルオロポリオキシアルキレン界面活性剤等しい濃度が得られるように導入した。加圧釜を75℃の使用温度にし、連鎖移動剤として作用するエタンの0.57絶対バールを充填した。加圧釜に、TFEと式
【0049】
【化13】
【0050】
2,2,4,5−テトラフルオロ−1,3−ジオキソール(PD)のガス混合物(TFE/PDのモル比54.55/リットル)を供給して、21絶体バールの使用圧にした。反応開始前に気相をガスクロマトで分析すると、TFE98.2モル%、PD1.8モル%の組成を示した。過硫酸カリウム(KPS)の溶液(0.00315モル/リットルに等しい濃度)からなる開始剤を計量ポンプを用いて、88ミリリットル/時の流速で供給した。反応中、上記組成の反応混合物TFE/PDを連続供給した。使用圧を一定に保持して、TFE/PD混合物の780gを供給した後、反応を停止した。反応終わりの気相は、TFE99.1モル%、PD0.9モル%の組成を示した。得られたポリマーの特性は表1に示す。
実施例5(比較)
実施例1と同じ加圧釜を排気し、脱ミネラル水3.0リットルと、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)(3.67g/H2Oリットルに相当)を導入した。次いで、米国特許第4,868,006号の実施例1により得たパーフルオロポリオキシアルキレンのマイクロエマルジョンを、パーフルオロポリオキシアルキレンが2.0g/H2Oリットルの濃度になる量で添加した。加圧釜を75℃の使用温度にし、連鎖移動剤として作用するエタンを0.35絶体バールを充填した。次いで、加圧釜は、TFE/PPVE(モル比54.55/リットル)のガス混合物を供給して、21絶体バールの使用圧にした。反応前の気相をガスクロマトで分析するとTFE94.52モル%とPPVE5.2モル%の組成を示した。過硫酸カリウム(KPS)の溶液(濃度:0.00315モル/リットル)からなる開始剤を計量ポンプを用いて、88mリットル/時の流速で供給した。反応中、前記組成を有するTFE/PPVEの反応混合物を連続供給して、使用圧を一定にした。TFE/PPVE混合物の1560gを供給した後、反応を停止した。反応終了時の気相は、TFE94.3モル%、PPVE5.7モル%の組成を示した。反応器を室温に冷却し、エマルジョンを取出し、65重量%のHNO3水溶液を添加して凝結させた。ポリマーの特性は表1に示す。このポリマーについてのホットクリープ測定を上記と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例6(比較)
実施例1を同じ条件下、但し、TTDの当初量を0.6g/H2Oリットルに、TFE/TTD混合物のモル比を61.5/リットルにして、繰り返した。得られたポリマーの特性を表2に示す。
実施例7(比較)
実施例4を同じ条件下、但し、反応開始前に供給したエタンの量を0.15絶体バールにし、繰り返した。得られたポリマーの特性を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例8
実施例1を、TTDを0.427g/リットル(H2O)を用いて繰り返した。供給ガス混合物のTFE/TTDのモル比は60.73/リットルであった。導入したエタンの量は0.375バールであった。得られたポリマーの特性は、表3に示すが、実施例4と比較できる。
実施例9(比較)
実施例4を繰り返した。但し、次の変更を加えた。供給ガス混合物TFE/PDのモル比を45.95/リットルとし、エタン量を0.627バールとした。得られたポリマーの特性データを表3に示すが、実施例2と比較できる。
実施例10(比較)
実施例4を繰り返した。但し、次の変更を加えた。供給ガス混合物TFE/PDのモル比を45.95/リットルとし、エタン量を0.64バールとした。得られたポリマーの特性のデータを表3に示すが、実施例3と比較できる。
実施例11
実施例1を繰り返した。但し、エタン量を0.336バールとした。
【0055】
ポリマーの特性のデータを表3に示す。
実施例12
実施例11を繰り返した。但し、PDを用い、TFE/PDのモル比を45.91/リットルとし、エタン量を0.619バールとした。
得られたポリマーの特性データを表3に示すが、実施例11と比較できる。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
特に高温での機械特性が改良され、かつ優れた光学特性を併有するフルオロジオキソールとの熱加工性テトラフルオロエチレンコポリマーを提供する。
Claims (9)
- (A)式(I)
(B)ヘキサフルオロプロパン(HFP)と式CF2=CF−OR' f(R' fはC2〜C4のパーフルオロアルキル基)のパーフルオロアルキルビニルエーテル、またはこれらの混合物から選ばれたパーフルオロ化モノマーの15モル%まで(但し、0モル%を除く)、および
(C)残部で100%とするTFE
(但し、モノマー(A)と(B)の合計量は、20モル%以下)
とからなる熱加工性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー。 - パーフルオロアルキルビニルエーテルが、パーフルオロプロピルビニルエーテルである請求項1によるコポリマー。
- 式(I)のフルオロジオキソールが、0.5〜9モル%の量で存在する請求項1または2によるコポリマー。
- パーフルオロ化モノマー(B)が、10モル%まで(但し、0モル%を除く)の量で存在する請求項1〜3の何れか1つによるコポリマー。
- モノマー(A)と(B)の含量が、12モル%以下である請求項1〜4の何れか1つによるコポリマー。
- 式(I)のフルオロジオキソールで、X1とX2が共に−Fである請求項1〜5の何れか1つによるコポリマー。
- 式(I)のフルオロジオキソールで、RFが−CF3、−C2F5または−C3F7である請求項1〜6の何れか1つによるコポリマー。
- ASTM D1238−52Tスタンダードにより測定したメルトフローインデックス(MFI)値が、0.5〜50g/10’であるような溶融粘度を有する請求項1〜7の何れか1つによるコポリマー。
- メルトフローインデックスが、1〜30g/10’の間である請求項8によるコポリマー。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
ITMI950012A IT1272863B (it) | 1995-01-04 | 1995-01-04 | Copolimeri termoprocessabili del tetrafluoroetilene |
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