JP3719696B2 - リズム表示方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微妙な発音のタイミングのずれを表記できるリズム表示方法に関し、特にリズムボックスによる自動演奏のリズム譜として好適なリズム表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のリズム表示は、五線譜が主流であった。また、リズムボックスでは、図8に示すようなリズム譜(五線譜から音程を除いたもの)が使用されることもある。この種のリズム譜では1小節を複数の丸で示し、黒丸で示されるタイミングで発音するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の五線譜やリズム譜によるリズム表示方法では以下に示す欠点がある。すなわち、実際の演奏では、演奏者による微妙な発音のタイミングのずれがあり、これがグルーブ感(リズムのゆれ)やスイング感となって、演奏者固有の表現となっている。従来の五線譜やリズム譜による表記では、発音の微妙なタイミングのずれを表現することは困難である。
【0004】
また、殆どの音楽では、リズムパターンは同じものが繰り返されるため、五線譜などのシーケンシャルなデータ表現では無駄が多い。
更に、リズムボックスでは、前述の如く微妙なタイミングのずれを表現することができないため、リズム譜に従って自動演奏しても、機械的な演奏となってグルーブ感やスイング感を得ることは難しい。
【0005】
以上から本発明の目的は、微妙なタイミングのずれを簡単に表現できて、リズムボックス等によるリズムの自動演奏に適用可能なリズム表示方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、制御部とディスプレイと音源とを有し、リズム譜に従って発音するリズムボックスのリズム表示方法において、前記制御部は、基準点から一方向に延びる線を基準線とし、該基準線に対する角度により発音のタイミングを示すリズム譜を前記ディスプレイに表示することを特徴とするリズム表示方法により解決する。
この場合に、円の1周を1拍、1小節又は連続する複数の小節に対応させ、円周上の位置により発音のタイミングを示すリズム譜をディスプレイに表示することが好ましい。
【0007】
また、基準線に対する角度により発音のタイミングを示すとともに、前記基準点からの距離により音量を示すようにしてもよい。
更に、基準点又は基準線の位置をずらし、リズム譜の発音マークの位置を極座標変換することにより、発音のタイミングをずらしたリズムを表示してもよい。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明においては、1拍、1小節又は連続する複数の小節に対応させて、発音のタイミングを円周上の位置により表す。また、基準点から一方向に延びる線を基準線とし、該基準線に対する角度により発音のタイミングを表すようにしてもよい。このように、本発明においては、連続する円周上の位置又は角度により発音のタイミングを表記するので、微妙なタイミングのずれを正確に表現することができる。
【0008】
また、前記基準点又は基準線の位置をずらす(移動又は回転等)ことにより、発音のタイミングをずらしたリズム譜が生成される。例えば、リズムボックスによる自動演奏の際に該リズム譜を用いることにより、グルーブ感又はスイング感を変化させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態のリズム表示方法を示す図である。なお、本実施の形態は、本発明をドラムセットのリズム譜に適用した例を示す。
【0010】
本実施の形態では、円の中心点(基準点)Oから上に延びる直線を基準線とし、左回りの方向を時間軸として、基準線に対する角度により発音のタイミングを表現する。つまり、基準線の位置が小節の開始位置を示す。また、円周(360°)により1小節を示すものとする。図1では4分の4拍子の場合を示し、円を4等分する位置が各拍の開始位置を示す。
【0011】
本実施の形態においては4つの同心円を描き、各円の円周上のマークの位置(換言すると、基準線に対する角度)により、ドラムセットの各パーツの発音のタイミングを示す。すなわち、1番内側の円の円周上の×印でハイハットの発音のタイミングを示し、2番目の円の円周上の●印でバスドラムの発音のタイミングを示し、3番目の円の円周上の□でスネアドラムの発音のタイミングを示し、1番外側の円の円周上の▲印でシンバルの発音のタイミングを示す。なお、上述の如く、ドラムセットの各パーツの発音のタイミングを同心円状に描くとともに、各パーツ毎に色分けすると、視認性がより一層向上する。
【0012】
本実施の形態では、上述の如く、円形に表示したリズム譜(以下、円形リズム譜という)により、リズムを表示するので、ドラムセットの各パーツの発音のタイミングを1つのリズム譜で表示することができ、視覚的にわかりやすいという利点がある。
また、本実施の形態においては、各パーツの発音のタイミングが円周上の位置により表わされるので、例えば図2に示すように、発音のタイミングのずれを表現することができる。これにより、演奏者による発音のタイミングのずれを正確に表現することができて、グルーブ感及びスイング感を表現することができる。
【0013】
以下、リズムボックスによる自動演奏に本実施の形態を適用した例について説明する。
図3はリズムボックスの構成を示すブロック図である。このリズムボックスは、マイクロコンピュータにより構成された制御部10と、ディスプレイ11と、マウス又はタッチペン等の位置入力装置を含む操作部12と、音源13、アンプ14及びスピーカー15とにより構成されている。そして、制御部10はディスプレイ11に例えば図1に示す円形リズム譜を表示し、この円形リズム譜に従って音源13から所定の音を所定のタイミングで出力する。
【0014】
また、制御部10には予め複数のテンプレートが設けられている。テンプレートとは、リズム譜に対し所定の処理を行ってリズム譜を変形させるものである。図4はテンプレートの一例を示す図である。このテンプレートは、リズム譜の円の中心点OをO1 の位置まで、X方向にx、Y方向にyだけ移動する。そして、元の円形リズム譜(図1参照)のバスドラムの発音タイミングを基準として、各パーツの発音マークの位置を極座標変換する。
【0015】
このテンプレートを使用すると、1拍目及び2拍目の発音のタイミングは若干遅れ、3拍目及び4拍目の発音のタイミングは若干早くなる。このように、制御部10には予め円の中心位置や角度等を変化させるテンプレートが複数種類用意されており、ユーザが操作部12により所望のテンプレートを指定してリズム譜を変形させることができる。また、マウス又はタッチペン等により、各パーツの発音タイミングをユーザが直接指定することもできる。
【0016】
以下、上述のリズムボックスの動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS11において、ユーザは、操作部12を操作して、所定のリズム譜をディスプレイ11に表示させる。また、ユーザは、所望に応じてテンプレートを使用し、リズム譜を変形させる。更にユーザは、演奏のテンポを設定する。
【0017】
次に、ステップS12に移行し、制御部10のマイクロコンピュータは設定されたテンポから1小節の時間を計算する。また、制御部10のマイクロコンピュータは、基準点と各パーツの発音マークとを結ぶ線と基準線とのなす角度を計算する。そして、前記1小節の時間と前記角度から、各パーツの発音タイミングを計算する。
【0018】
次いで、ステップS13に移行し、制御部10のマイクロコンピュータは、発音タイミングのデータと各パーツの音色のデータとを音源13に出力する。音源13は、制御部10から入力したデータに基づいてオーディオ信号を発生する。このオーディオ信号は、アンプ14により増幅されて、スピーカー15から出力される。
【0019】
本実施の形態のリズム表示方法をリズムボックスのリズム譜に適用した場合、円周上の位置により発音のタイミングを示すので、リズムを視覚的に認識できるとともに、微妙なタイミングのずれを正確に表現することができる。
また、上述したテンプレートを使用することにより、リズムを容易に変更することができる。これにより、グルーブ感やスイング感を得ることができる。例えば、プロの演奏家による演奏を解析し、その結果により発音のタイミングのずれを数値化してテンプレートを作成すると、よりスイング感のある人間的な演奏を再現することができる。従って、本実施の形態は、リズムボックスによる自動演奏に極めて好適である。
【0020】
(第2の実施の形態)
図6は本発明の第2の実施の形態のリズム表示方法を示す図である。本実施の形態は、円の中心点Oから上側に延びる線を基準線とし、該基準線に対する角度により発音のタイミングを示すとともに、中心点Oからの距離により音量を示す。
【0021】
すなわち、図6に示す例では、1〜3拍目の発音を若干小さい音量とし、4拍目の発音を若干大きい音量とすることを表わしている。
本実施の形態では、発音のタイミングだけでなく、音量を表現することができるので、リズムボックスの自動演奏に適用すると、よりグルーブ感のある演奏が再現できる。
【0022】
なお、本実施の形態においても、音量を変化させるテンプレートを用意してリズム譜を変形させることが可能である。例えば図7に示すテンプレートは、1拍目及び3拍目の音量を低減するものである。また、音量を変化させるとともに、発音のタイミングをずらすテンプレートの作成も可能である。
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、いずれも円の一周を1小節に対応させる場合について説明したが、円の1周を2小節又はそれ以上の連続する小節に対応させてもよい。また、円の1周を1拍に対応させてもよい。更に、半円又は楕円等の弧又は周長を1拍、1小節又は連続する複数の小節に対応させてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、円の円周上若しくは弧上の位置、又は基準線に対する角度により発音のタイミングを示すので、演奏における微妙なタイミングのずれを正確に表現することができるとともに、各発音のタイミングを視覚化することができる。また、本発明はリズムを繰り返し演奏するようなリズムボックスの自動演奏に適用することが可能である。この場合に、基準点又は基準線の位置をずらすことによって発音タイミングをずらしたリズム譜を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のリズム表示方法を示す図である。
【図2】第1の実施の形態において、発音のタイミングのずれを表現した例を示す図である。
【図3】リズムボックスの構成を示すブロック図である。
【図4】テンプレートの一例を示す図である。
【図5】リズムボックスの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態のリズム表示方法を示す図である。
【図7】音量を変化させるテンプレートの例を示す図である。
【図8】従来のリズム譜を示す図である。
【符号の説明】
10 制御部、
12 ディスプレイ、
13 音源、
14 アンプ、
15 スピーカー
Claims (3)
- 制御部とディスプレイと音源とを有し、リズム譜に従って発音するリズムボックスのリズム表示方法において、
前記制御部は、基準点から一方向に延びる線を基準線とし、該基準線に対する角度により発音のタイミングを示すリズム譜を前記ディスプレイに表示することを特徴とするリズム表示方法。 - 前記制御部は、円の1周を1拍、1小節又は連続する複数の小節に対応させ、円周上の位置により発音のタイミングを示すリズム譜を前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1に記載のリズム表示方法。
- 前記制御部は、前記基準線に対する角度により発音のタイミングを示すとともに、前記基準線からの距離により音量を示すリズム譜を前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1に記載のリズム表示方法。
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- 1997-10-27 JP JP29395397A patent/JP3719696B2/ja not_active Expired - Fee Related
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