JP3719417B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に適用されるトロイダル型無段変速機、特に、アッパリンクのトラニオン傾転軸方向の変位を規制するアッパリンク変位規制技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トロイダル型無段変速機としては、例えば、特開2001−182793号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この従来公報には、アッパリンク及びロアリンクとトラニオンとの交角変化により干渉したときに発生する干渉力によって、パワーローラにスリップが発生することがないようにすることを目的とし、アッパリンク及びロアリンクをトラニオンの傾転軸方向に変位可能に変速機ケースに支持すると共に、トラニオンの上側軸部にアッパリンクのトラニオンに対する傾転軸方向の変位を規制するストッパプレートをボルトにより固定し、アッパリンクがトラニオン以外の部品と干渉する弊害を回避し得るようにした技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のトロイダル型無段変速機にあっては、アッパリンクに開口した軸部挿入穴の内径より大きな外径を持つストッパプレートをボルトにより固定したものであるため、変速機の組み付け作業において、面倒で効率の悪い作業手順になるという問題点があった。
【0005】
詳細に説明すると、ストッパプレートの取り付けに際し、変速機ケースを頂壁が下になるように反転させ、変速機ケースの底部開口から、まず、ボルト及びストッパプレートを変速機ケースの頂壁の内面に落とし込む。次いで、アッパリンクを変速機ケースに取り付け、その後、トラニオンの上端軸部をアッパリンクに開口した軸部挿入穴に連節した状態で、変速機ケースの頂壁に形成された開口部(この開口部は変速機の完成後にトラニオンの傾転を検査するためのもの)から予め落とし込まれたボルト及びストッパプレートを所定位置に設定し、開口部から挿入した工具によりボルトを締結することでなされる。
【0006】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、アッパリンクのトラニオンに対する変位規制機能を確保しながら、効率的な組み付け作業を行うことができるトロイダル型無段変速機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、トラニオンの上側軸部に設けられ、アッパリンクがトラニオンに対して傾転軸方向に変位するのを規制するアッパリンク変位規制部材を備えたトロイダル型無段変速機において、前記アッパリンク変位規制部材を、アッパリンクに開口した軸部挿入穴の内径より小さい外径を持ち、かつ、傾転軸に直交する方向にスライド可能なストッパプレートと、該ストッパプレートをトラニオンに固定するプレート固定部材と、を有する構成とした。
【0008】
【発明の作用および効果】
本発明にあっては、変速機の組み立てに際し、まず、ストッパプレートの中心をトラニオンの傾転軸心と一致させた同心状態でプレート固定部材により仮固定する。この仮固定したストッパプレートを有するトラニオンの先端軸部を、予め変速機ケースに取り付けられているアッパリンクの軸部挿入穴に差し込む。このとき、ストッパプレートは、アッパリンクに開口した軸部挿入穴の内径より小さい外径を持つため、ストッパプレートを有するトラニオンの先端軸部を、そのままアッパリンクの軸部挿入穴に差し込むことができる。
【0009】
そして、各部品を組み付けた後、変速機ケースの頂壁に形成された開口部からの作業によりストッパプレートを傾転軸に直交する方向にスライドし、この状態でプレート固定部材によりストッパプレートをトラニオンに固定することで組み付けを完了する。
【0010】
よって、組み付け完了後はアッパリンクとオーバーラップするスライドした位置でストッパプレートがトラニオンの上側軸部に固定されることで、アッパリンクのトラニオンに対する変位規制機能を確保しながら、上記のように、組み付け作業を非常に簡便で効率的に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるトロイダル型無段変速機を実現する実施の形態を、請求項1,2,3,4に記載された発明に対応する第1実施例と、請求項1,2,3,4,5,6に記載された発明に対応する第2実施例と、請求項1,2,4,7,8に記載された発明に対応する第3実施例と、請求項1,4,7,9に記載された発明に対応する第4実施例と、に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施例)
図1は第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す縦断正面図、図2は第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す縦断側面図である。
【0013】
図1において、1は変速機ケース、2はアッパリンクポスト、3はロアリンクポスト、4はロアカバー、10はアッパリンク変位規制部材、11はプーリ兼ロアワッシャ、12はスペーサ、40はカムフランジ、41はローディングカム、42は入力ディスク、43はCVTシャフト、44は出力ディスク、45はパワーローラ、46はギアハウジング、47は出力ギア、48は皿バネ、49はローディングナット、57は左右傾転同期ワイヤ、58は前後傾転同期ワイヤ、59はトラニオン、60はトラニオンシャフト、61はサーボピストン、62はアッパリンク、63はロアリンク、64は球面軸受、65はトラニオン軸部挿入穴、66はリンク側傾転角度ストッパ、Lは傾転軸である。
【0014】
第1実施例のトロイダル型無段変速機は、図2に示すように、車両前方位置に転動面を対向させて第1の入力ディスク42及び第1の出力ディスク44を配置し、車両後方位置に転動面を対向させて第2の出力ディスク44及び第2の入力ディスク42を配置したダブルキャビティ構成としている。
【0015】
前記パワーローラ45は、これら2組の入出力ディスク42,44間に動力伝達可能に挟圧されていて、第1の入出力ディスク42,44間の左右位置に一対配置され、第2の入出力ディスク42,44間の左右位置に一対配置される。
【0016】
前記トラニオン59は、パワーローラ45を支持すると共に、パワーローラ回転軸線と直交する傾転軸L(首振り軸線)の周りに傾転可能である。なお、このトラニオン59は、パワーローラ45の数に対応して、第1の入出力ディスク42,44間の左右位置に一対配置され、第2の入出力ディスク42,44間の左右位置に一対配置される。
【0017】
前記アッパリンク62は、アッパリンクポスト2に対して支持しないフリー状態であり、4個のトラニオン59の上側軸部59aを連結するために、4箇所の角隅部にトラニオン軸部挿入穴65が開口されている。そして、このアッパリンク62に開口したトラニオン軸部挿入穴65と、前記トラニオン59の上側軸部59aとの間には球面軸受64が介装されている。なお、アッパリンクポスト2からは、入出力ディスク42,44の転動面に向けて潤滑油が供給される。
【0018】
前記ロアリンク63は、ロアリンクポスト3に対して支持しないフリー状態であり、4個のトラニオン59の下側軸部59bを連結するために、4箇所の角隅部にトラニオン軸部挿入穴65が開口されている。そして、このロアリンク63に開口したトラニオン軸部挿入穴65と、前記トラニオン59の下側軸部59bとの間には球面軸受64が介装されている。
【0019】
前記アッパリンク変位規制部材10は、トラニオン59の上側軸部59aに設けられ、アッパリンク62がトラニオン59に対して傾転軸Lの方向に変位するのを規制する。なお、詳しい構成は後述する。
【0020】
前記プーリ兼ロアワッシャ11は、前記トラニオン59とロアリンク63との間に設けた球面軸受64の傾転軸L方向の位置を規制すると共に、前後傾転同期ワイヤ58のプーリを兼用する部材で、トラニオン59及びトラニオンシャフト60と一体に傾転する。
【0021】
前記左右傾転同期ワイヤ57は、左右のトラニオン59,59の傾転同期を図るべく、ロアリンク63の上部位置において、入出力ディスク間に配置された左右のトラニオン59,59間に8の字状に巻き付けられる。
【0022】
前記前後傾転同期ワイヤ58は、前後のトラニオン59,59の傾転同期を図るべく、前後のプーリ兼ロアワッシャ11,11間に8の字状に巻き付けられる。
【0023】
前記リンク側傾転角度ストッパ66は、アッパリンク62側に設けられ、図外のトラニオン側傾転角度ストッパとの当接により、パワーローラ45と入出力ディスクとの接触点が、それぞれの転動面から外れることがないようにトラニオン59の傾転範囲を規制する。
【0024】
図3〜図6は第1実施例のアッパリンク変位規制部材10を示す図である。このアッパリンク変位規制部材10は、図4に示すように、アッパリンク62に開口したトラニオン軸部挿入穴65の内径D1より小さい外径D2を持ち、かつ、傾転軸Lに直交する方向にスライド可能なストッパプレート70と、該ストッパプレート70をトラニオン59に固定するボルト71(プレート固定部材)と、を有する構成である。
【0025】
前記ストッパプレート70には、中央部にボルト71が挿通すると共に内径にスライド余裕代を持たせた長穴形状のスライド穴72を形成し、前記トラニオン59の上端面には、その中央位置にボルト螺合穴73を開穴している。そして、ストッパプレート70の中心をトラニオン59の傾転軸心と一致させた同心状態(図3及び図4の状態)でボルト71を仮締めすることにより、ストッパプレート70を径方向にスライド可能とし、ストッパプレート70を傾転軸Lに直交する方向(図4の矢印方向)へ偏心移動させた後、ストッパプレート70を図5及び図6に示す偏心状態とし、この位置にてボルト71を本締めすることで、ストッパプレート70をトラニオン59に固定するようにしている。
【0026】
前記ストッパプレート70には、図1に示す偏心位置にて球面軸受64の位置に開口する潤滑油穴74を設けている。なお、この潤滑油穴74は、図1に示すように、パワーローラ45に作用するスラスト力を球面軸受64が受ける位置、言い換えると、トラニオン59の傾転軸Lより外側位置(ケース側位置)に開口するのが望ましい。
【0027】
また、前記ストッパプレート70は、アッパリンク62がトラニオン59に対して傾転軸Lの方向に変位するのを規制すると共に、球面軸受64がアッパリンク62からトラニオン59の傾転軸Lの方向に移動しないように規制する軸受移動規制部材を兼用する。
【0028】
次に、作用を説明する。
【0029】
[無段変速作用]
トロイダル型無段変速機は、トラニオン59を傾転軸Lの方向に変位し、パワーローラ45を傾転させることによって変速比を無段階に変える。
つまり、図外のCVTコントローラからの制御指令に基づいてサーボピストン61の一方のサーボピストン室に作動油が導かれ、他方のサーボピストン室から作動油が排出されると、トラニオン59が傾転軸Lの方向に変位する。
これにより、パワーローラ45の回転中心がディスク回転中心位置に対してオフセットする。このオフセットによりパワーローラ45と入出力ディスクとの接触部で発生するサイドスリップ力によりパワーローラ45が傾転する。
この傾転運動およびオフセットは、図外のプリセスカムを介してフィードバックされ、所定の傾転角となった時点でトラニオン59に与えた変位が元のディスク回転中心位置に戻され、パワーローラ45の傾転動作を停止する。
【0030】
この変速の際には、入出力ディスク42,44とパワーローラ45との接触半径比が変化して連続的に無段階変速が行われるが、リンク側傾転角度ストッパ66を用い、トラニオン59の傾転範囲を最大増速側位置と最大減速側位置にて規制することで、トラニオン59が正規の傾転範囲を超えて傾転することが防止される。
【0031】
また、ストッパプレート70により覆われることでケース内飛散オイルが導入されずらいトラニオン59の上側の球面軸受64へのオイル供給については、ストッパプレート70に潤滑油穴74を開口したため、入出力ディスク42,44の回転により変速機ケース1内に飛散しているオイルがストッパプレート70の潤滑油穴74を介して球面軸受64へ供給される。
【0032】
しかも、この潤滑油穴74からは、球面軸受64の傾転軸Lより外側位置にオイルが供給されるため、このオイル供給位置は、パワーローラ45に作用するスラスト力を受ける球面軸受64の位置に一致し、潤滑性が改善され、安定した変速性能や耐久性の確保に有用である。
【0033】
[トロイダル型無段変速機の組み立て作用]
トロイダル型無段変速機の各部品を変速機ケース1に組み付ける際には、全てのものを変速機ケース1の中で組み付けるのではなく、下記の部品については、変速機ケース1の外で予めサブアッセンブリされる。
【0034】
▲1▼入力部品ユニット
図2に示すように、カムフランジ40と、ローディングカム41と、フロント側の入力ディスク42と、CVTシャフト43と、から構成される。
【0035】
▲2▼出力部品ユニット
図2に示すように、一対の出力ディスク44,44と、ギアハウジング46と、出力ギア47と、から構成される。
【0036】
これらの入出力部品ユニットを変速機ケース1の外で組み立てた後、変速機ケース1の下側から(実際は変速機ケース1を逆さまにして、)(1)アッパリンク62→(2)出力部品ユニット→(3)入力部品ユニット→(4)リア側の入力ディスク42→(5)トラニオン59の順に変速機ケース1に組み付ける。但し、トラニオン59は、リア側の入力ディスク42より先でも組み付け可能である。
【0037】
この組み付け手順でゆくと、変速機ケース1内でアッパリンク62に対してトラニオン59を挿通する必要がある。
【0038】
これに対し、予めストッパプレート70の中心をトラニオン59の傾転軸心と一致させた同心状態(図3及び図4の状態)で、ストッパプレート70をボルト71により仮固定しておく。このとき、ストッパプレート70の外径D2は、アッパリンク62に開口したトラニオン軸部挿入穴65の内径D1より小さいため、ストッパプレート70を有するトラニオン59の先端軸部59aを、そのままアッパリンク62のトラニオン軸部挿入穴65に差し込むことができる。
【0039】
そして、各部品を組み付けた後、変速機ケース1の頂壁に形成された開口部1aからの作業により、ストッパプレート70を傾転軸Lに直交する方向(図4の矢印方向)に偏心移動させた後、図5及び図6に示すストッパプレート70の偏心状態で、ボルト71を本締めすることによりストッパプレート70をトラニオン59に固定することで組み付けを完了する。なお、変速機ケース1の頂壁に形成された開口部1aは、変速機の完成後にトラニオン59の傾転を検査するために開けられたものである。
【0040】
よって、組み付け完了後は、図5及び図6に示すように、アッパリンク62とオーバーラップするスライドした位置でストッパプレート70がトラニオン59の上側軸部59aに固定されることで、アッパリンクポスト2に対しフリー状態のアッパリンク62が、トラニオン59から外れるように変位しようとしても、その変位はストッパプレート70により規制される。
【0041】
次に、効果を説明する。
【0042】
(1) トラニオン59の上側軸部59aに設けられ、アッパリンク62がトラニオン59に対して傾転軸Lの方向に変位するのを規制するアッパリンク変位規制部材10を有するトロイダル型無段変速機において、アッパリンク変位規制部材10は、アッパリンク62に開口したトラニオン軸部挿入穴65の内径D1より小さい外径D2を持ち、かつ、傾転軸Lに直交する方向にスライド可能なストッパプレート70と、該ストッパプレート70をトラニオン59に固定するボルト71と、を有する構成としたため、アッパリンク62のトラニオン59に対する変位規制機能を確保しながら、効率的な組み付け作業を行うことができる。
【0043】
(2) ストッパプレート70には、中央部にボルト71が挿通すると共に内径にスライド余裕代を持たせた長穴形状のスライド穴72を形成し、トラニオン59の上端面には、その中央位置にボルト螺合穴73を開穴し、ストッパプレート70の中心をトラニオン59の傾転軸心と一致させた同心状態でボルト71を仮締めすることにより、ストッパプレート70を径方向にスライド可能とし、ストッパプレート70を傾転軸Lに直交する方向へ偏心移動させた後、ボルト71を本締めすることで、ストッパプレート70をトラニオン59に固定するようにしたため、ストッパプレート70をトラニオン59と一体とした形で組み付け作業を行えるので、組み付け作業を非常に簡便で効率的に行うことができる。
【0044】
(3) ストッパプレート70に、プレート偏心位置にて球面軸受64の位置に開口する潤滑油穴74を設けたため、潤滑油穴74の無いストッパプレート70により球面軸受64を塞ぐ場合に比べ、球面軸受64の潤滑性を改善し、安定した変速性能と耐久性の確保を達成することができる。
【0045】
(4) ストッパプレート70は、球面軸受64がアッパリンク62からトラニオン59の傾転軸Lの方向に移動しないように規制する軸受移動規制部材を兼用するため、トラニオン59の上部構造を簡潔にし、安価に構成することが可能である。さらに、トラニオン59をアッパリンク62のトラニオン軸部挿入穴65に挿入する時に、トラニオン59の上部の球面軸受64がトラニオン59から欄化するのを防止することができる。
【0046】
(第2実施例)
この第2実施例は、第1実施例のアッパリンク変位規制部材10を構成するストッパプレート70に、回転方向の移動を規制する回転移動規制部材を設けた例である。
【0047】
すなわち、図7及び図8に示すように、回転移動規制部材は、トラニオン59の上端面のうち、ボルト71を挟んで潤滑油穴74とは反対側位置に固定された位置決めピン75と、ストッパプレート70に開口された長穴76により構成される。この位置決めピン75と長穴76とは、ストッパプレート70とボルト71との軸心が一致している状態からストッパプレート70の偏心状態まで互いの嵌合が維持される。
【0048】
なお、第2実施例の他の構成及び作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0049】
次に、効果を説明する。
この第2実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1)〜(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0050】
(5) ストッパプレート70に回転方向の移動を規制する回転移動規制部材を設けたため、ストッパプレート70の下面とアッパリンク62の上面とが擦れ合う場合でもストッパプレート70の偏心位置が変わったり、ボルト71の緩みを誘発することを防止できる。
【0051】
(6) 回転移動規制部材を、トラニオン59の上端面に固定された位置決めピン75と、ストッパプレート70に開口され、位置決めピン75に嵌合する長穴76により構成したため、ストッパプレート70とボルト71との軸心が一致している状態からストッパプレート70の偏心状態までのスライド区間の全域でストッパプレート70に回転方向の移動を規制することができる。
【0052】
(第3実施例)
第3実施例は、アッパリンク変位規制部材10を構成するストッパプレート70を、トラニオン59とを2面幅で嵌合すると共に、トラニオン側傾転角度ストッパとして兼用させた例である。
【0053】
すなわち、図9及び図10に示すように、トラニオン59に2面幅突起77を設け、ストッパプレート70に2面幅突起77と嵌合する2面幅長穴78を形成し、ストッパプレート70をトラニオン59との間で2面幅で嵌合することにより、パワーローラ回転軸方向にスライド可能で、かつ、回転方向への移動は規制する構成とされている。
【0054】
そして、ストッパプレート70には、2箇所位置にトラニオン側傾転角度ストッパ面79,79が形成され、アッパリンク62の上面には、リンク側傾転角度ストッパ66',66'が形成される。このストッパ面79とストッパ66'との当接により、トラニオン59の傾転角度が最大変速比及び最小変速比の傾転角度位置の範囲に規制される。
【0055】
なお、第3実施例の他の構成及び作用については、第1実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
次に、効果を説明する。
この第3実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(2),(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0057】
(7) ストッパプレート70は、トラニオン59との間で2面幅で嵌合し、パワーローラ回転軸方向にスライド可能で、かつ、回転方向への移動は規制する構成としたため、ストッパプレート70の偏心位置を4つのトラニオン59で簡潔に揃えられ、かつ、トラニオン59が変速による傾転動作時にストッパプレート70の下面とアッパリンク62の上面とが擦れ合う場合でも2面幅部分で力を受けることで、ストッパプレート70の偏心位置が変わったり、ボルト71の緩みを誘発するのを防止することができる。
【0058】
(8) ストッパプレート70は、トラニオン59の傾転角度を最大変速比及び最小変速比の傾転角度位置の範囲に規制するトラニオン側傾転角度ストッパを兼用するようにしたため、トラニオン59に傾転角度ストッパを直接加工する場合に比べ、ストッパプレート70は容易に加工できる分、安価に実現できる。加えて、アッパリンク62の上面側に傾転範囲規制機能を移すことで、アッパリンク62とロアリンク63との上下間隔(=トラニオン59の上下支持間隔)を狭めることが可能である。アッパリンク62とロアリンク63との上下間隔を狭めることで、トラニオン59の変形を抑制することができるし、特に、パワーローラ45の耐久性向上に有利である。
【0059】
(第4実施例)
第4実施例は、アッパリンク変位規制部材10の構成要素であるプレート固定部材を、トラニオン59に止められるスナップリング81とした例である。
【0060】
すなわち、図11及び図12に示すように、第4実施例のアッパリンク変位規制部材10は、プレート固定部材をトラニオン59のプレート軸部80のリング溝に止められるスナップリング81としている。そして、ストッパプレート70には、中央部にトラニオン59のプレート軸部80が挿通すると共に内径にスライド余裕代を持たせたスライド穴82を形成している。なお、このプレート軸部80とスライド穴82とは、第3実施例と同様に、2面幅にて嵌合する。
【0061】
前記トラニオン59のプレート軸部80には、ストッパプレート70を偏心位置で位置決めするピン83を傾転軸Lに直交するピン穴84に挿入している。そして、前記トラニオン59の上端面には、その中央位置にピン穴84が連通するボルト螺合穴73を開穴している。ここで、このボルト螺合穴73に螺合するボルト71'は、その先端部形状を、傾斜面案内によりピン83を押し込む先細り形状としている。なお、他の構成は第1実施例と同様であるので対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
次に、作用を説明する。
【0063】
第4実施例のアッパリンク変位規制部材10は、変速機の組み付けの際、図11に示すように、ストッパプレート70の中心をトラニオン59の傾転軸心と一致させた同心状態でスナップリング81により止めることで、ストッパプレート70を径方向にスライド可能とする。これにより、トラニオン59の先端軸部59aをアッパリンク62に開口したトラニオン軸部挿入穴65にそのまま差し込むことができる。
【0064】
そして、トラニオン59の組み付け後、変速機ケース1の頂壁に形成された開口部1aからの作業により、ボルト螺合穴73にボルト71'を差し込み螺合することで、図12に示すように、ボルト71'に押されて飛び出すピン83によりストッパプレート70を傾転軸Lに直交する方向へ偏心移動させ、この偏心状態でのスナップリング81の止め力により、ストッパプレート70をトラニオン59に固定する。
【0065】
次に、効果を説明する。
【0066】
この第4実施例のトロイダル型無段変速機にあっては、第1実施例の(1),(4)及び第3実施例の(7)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0067】
(9) アッパリンク変位規制部材10は、プレート固定部材をトラニオン59のプレート軸部80に止められるスナップリング81とし、ストッパプレート70には、中央部にトラニオン59のプレート軸部80が挿通すると共に内径にスライド余裕代を持たせたスライド穴82を形成し、トラニオン59のプレート軸部80には、ストッパプレート70を偏心位置で位置決めするピン83を傾転軸Lに直交するピン穴84に挿入し、トラニオン59の上端面には、その中央位置にピン穴84が連通するボルト螺合穴73を開穴し、ストッパプレート70の中心をトラニオン59の傾転軸心と一致させた同心状態でスナップリング81により止めることで、ストッパプレート70を径方向にスライド可能とし、ボルト螺合穴73にボルト71'を差し込み螺合することで、ボルト71'に押されて飛び出すピン83によりストッパプレート70を傾転軸Lに直交する方向へ偏心移動させ、この偏心状態でのスナップリング81の止め力により、ストッパプレート70をトラニオン59に固定するようにしたため、ストッパプレート70の偏心作業が非常に簡便になり、効率的な作業が行えると共に、偏心方向も4つのトラニオン59で揃えることが容易である。
【0068】
(他の実施例)
以上、本発明のトロイダル型無段変速機を第1実施例〜第4実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これら第1実施例〜第4実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0069】
例えば、アッパリンク変位規制部材は、アッパリンクに開口した軸部挿入穴の内径より小さい外径を持ち、かつ、傾転軸に直交する方向にスライド可能なストッパプレートと、該ストッパプレートをトラニオンに固定するプレート固定部材と、を有する構成であれば、実施例に記載した構成に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す縦断正面図である。
【図2】第1実施例のトロイダル型無段変速機を示す縦断側面図である。
【図3】第1実施例のトロイダル型無段変速機の組み付け時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大断面図である。
【図4】第1実施例のトロイダル型無段変速機の組み付け時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大平面図である。
【図5】第1実施例のトロイダル型無段変速機の組み立て完了時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大断面図である。
【図6】第1実施例のトロイダル型無段変速機の組み立て完了時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大平面図である。
【図7】第2実施例のトロイダル型無段変速機の組み立て完了時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大断面図である。
【図8】第2実施例のトロイダル型無段変速機の組み立て完了時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大平面図である。
【図9】第3実施例のトロイダル型無段変速機の組み付け時と組み立て完了時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大断面図である。
【図10】第3実施例のトロイダル型無段変速機の組み立て完了時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大平面図である。
【図11】第4実施例のトロイダル型無段変速機の組み付け時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大断面図である。
【図12】第4実施例のトロイダル型無段変速機の組み立て完了時におけるアッパリンク変位規制部材を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 変速機ケース
1a 開口部
2 アッパリンクポスト
3 ロアリンクポスト
4 ロアカバー
10 アッパリンク変位規制部材
11 プーリ兼ロアワッシャ
12 スペーサ
40 カムフランジ
41 ローディングカム
42 入力ディスク
43 CVTシャフト
44 出力ディスク
45 パワーローラ
46 ギアハウジング
47 出力ギア
48 皿バネ
49 ローディングナット
57 左右傾転同期ワイヤ
58 前後傾転同期ワイヤ
59 トラニオン
59a 上端軸部
60 トラニオンシャフト
61 サーボピストン
62 アッパリンク
63 ロアリンク
64 球面軸受
65 トラニオン軸部挿入穴
66 リンク側傾転角度ストッパ
L 傾転軸
70 ストッパプレート
71 ボルト(プレート固定部材)
72 スライド穴
73 ボルト螺合穴
74 潤滑用油穴
75 位置決めピン
76 長穴
77 2面幅突起
78 2面幅長穴
79 トラニオン側傾転角度ストッパ面
80 プレート軸部
81 スナップリング
82 スライド穴
83 ピン
84 ピン穴

Claims (9)

  1. 同軸に対向配置された入力ディスク及び出力ディスクと、
    これら入出力ディスク間に動力伝達可能に挟圧したパワーローラと、
    該パワーローラを支持すると共に、パワーローラ回転軸と直交する傾転軸の周りに傾転可能な複数のトラニオンと、
    前記複数のトラニオンの上側軸部及び下側軸部をそれぞれ連結するアッパリンク及びロアリンクと、
    前記アッパリンク及びロアリンクに開口した軸部挿入穴と、前記トラニオンの上側軸部及び下側軸部との間にそれぞれ介装された球面軸受と、
    前記トラニオンの上側軸部に設けられ、アッパリンクがトラニオンに対して傾転軸方向に変位するのを規制するアッパリンク変位規制部材と、
    を備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記アッパリンク変位規制部材を、アッパリンクに開口した軸部挿入穴の内径より小さい外径を持ち、かつ、傾転軸に直交する方向にスライド可能なストッパプレートと、該ストッパプレートをトラニオンに固定するプレート固定部材と、を有する構成としたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 請求項1に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記アッパリンク変位規制部材は、プレート固定部材をトラニオンに螺合固定されるボルトとし、
    前記ストッパプレートには、中央部にボルトが挿通すると共に内径にスライド余裕代を持たせたスライド穴を形成し、前記トラニオンの上端面には、その中央位置にボルト螺合穴を開穴し、
    前記ストッパプレートの中心をトラニオンの傾転軸心と一致させた同心状態で前記ボルトを仮締めすることにより、ストッパプレートを径方向にスライド可能とし、ストッパプレートを傾転軸に直交する方向へ偏心移動させた後、前記ボルトを本締めすることで、ストッパプレートをトラニオンに固定することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  3. 請求項2に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパプレートに、偏心位置にて前記球面軸受の位置に開口する潤滑油穴を設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパプレートは、前記球面軸受がアッパリンクからトラニオンの傾転軸方向に移動しないように規制する軸受移動規制部材を兼用することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパプレートの回転方向の移動を規制する回転移動規制部材を設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  6. 請求項5に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記回転移動規制部材は、トラニオンの上端面に固定され、ストッパプレートに開口された長穴に嵌合する位置決めピンであることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  7. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパプレートは、トラニオンとの間で2面幅で嵌合し、パワーローラ回転軸方向にスライド可能で、かつ、回転方向への移動は規制する構成であることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  8. 請求項7に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記ストッパプレートは、トラニオンの傾転角度を最大変速比及び最小変速比の傾転角度位置の範囲に規制するトラニオン側傾転角度ストッパを兼用することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  9. 請求項1に記載のトロイダル型無段変速機において、
    前記アッパリンク変位規制部材は、プレート固定部材をトラニオンのプレート軸部に止められるスナップリングとし、
    前記ストッパプレートには、中央部にトラニオンのプレート軸部が挿通すると共に内径にスライド余裕代を持たせたスライド穴を形成し、前記トラニオンのプレート軸部には、ストッパプレートを偏心位置で位置決めするピンを傾転軸に直交するピン穴に挿入し、前記トラニオンの上端面には、その中央位置にピン穴が連通するボルト螺合穴を開穴し、
    前記ストッパプレートの中心をトラニオンの傾転軸心と一致させた同心状態でスナップリングにより止めることで、ストッパプレートを径方向にスライド可能とし、前記ボルト螺合穴にボルトを差し込み螺合することで、ボルトに押されて飛び出すピンによりストッパプレートを傾転軸に直交する方向へ偏心移動させ、この偏心状態でのスナップリングの止め力により、ストッパプレートをトラニオンに固定することを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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