JP3719164B2 - 射出成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲートチップが螺着されたノズルに沿ってノズル先端まで温度センサを配設するとともにゲートチップの加熱と放熱のバランスをとって、ノズル先端の温度管理を適切に行う射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の射出成形装置1’のノズル6の先端部分を図6(a)に示す。ノズル6の先端は相対的に接近する移動型21と固定型22により形成されるキャビティ3へ向かって開口しており、この開口部を形成するバルブゲート4はゲートチップ5に包囲され、このゲートチップ5はノズル6の先端に螺旋止めされている。ここで螺旋止めで係合しているのは、樹脂漏れを防止しノズル6の先端を確実に固定するためであり、螺旋止めにより固定され一体となったゲートチップ5とノズル6の中心にはバルブピン7が挿入され、このバルブピン7がノズル6の延設方向に沿った往復運動をすることでバルブゲート4の開閉を行う。
このノズル6により形成されるランナ11(流路)は、図外の成形機から供給された溶融樹脂をバルブゲート4へ導くが、導かれる溶融樹脂の温度を維持するためにノズル6の外側にはヒータ8が設けられるとともに、当該ノズル6の温度を検知する温度センサ9が設けられている。このような温度管理の下で溶融樹脂は、ランナ11、ゲートチップ5を通ってキャビティ3内部へ射出され、射出中又は保圧処理完了後の適当なタイミングにおいてバルブピン7がバルブゲート4を閉じ、冷却後に成形品を得る。
このように加熱と冷却とが繰り返されるノズル6の先端のゲートチップ5には、この温度変化を検知するための温度センサ9が設けられている。ノズル6先端の温度を管理する温度センサ9は、ノズル6の外周面に凹凸を形成しないように、ノズル6の延設方向に沿って形成された溝に埋め込まれている。ノズル6の構造を図6(b)に示すB−B断面図に基づいて説明すると、ノズル6の中心に位置するのはバルブピン7であり、その外周には溶融樹脂の流路となるランナ11が形成され、ランナ11とノズル6との間にはノズル6に螺着されたゲートチップ5が位置している。さらに、ノズル6の外側には温度センサ9用の溝が直線状に形成され、当該溝には温度センサ9が埋め込まれ、これらは一体としてヒータ8に包囲されている。このヒータ8がノズル6を加熱し、ノズル6に埋め込まれた温度センサ9がノズル6の温度変化を検知する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この構造では、温度センサ9は直接ゲートチップ5に接触せずに、螺着されたノズル6を介して間接的に温度検知をするため、温度を正確に検知することができないという問題があった。また、ゲートチップ5は固定型22に接触して温度低下を起こし易いにもかかわらず、当該ゲートチップ5は螺着されたノズル6を介してヒータ8に間接的に加熱されるために温度上昇が遅いという問題があった。このため、温度センサ9をノズル6に設けた構造ではゲートチップ5の正確な温度検知及び適切な温度管理をすることができず、その結果、ゲートチップの温度が低下し、コールドスラグ不良が発生して製品の外観品質を低下させるという不都合があった。
【0004】
一方、射出時のせん断発熱により発生した熱は、ゲートチップ5の温度を過度に上昇させ、糸引き等の成形不良を引き起こすという問題があった。特に、急激な温度低下を防止するために、ゲートチップ5と固定型22との接触面積を小さくした場合には他に放熱手段がないため、過熱したゲートチップ5の温度を下げることができないという不都合があった。
【0005】
尤も、ゲートチップ5の温度を直接検知するために、温度センサ9をゲートチップ5まで延長して設ければよいとも考えられるが、ノズル6及びゲートチップ5のそれぞれに予め設けられた温度センサ用の溝91は、螺着前後ではその位置がずれてしまうため、ゲートチップ5とノズル6との接合部分付近で温度センサ9が溝91からはみ出てしまい、ノズル6の外周に凹凸が生じてしまう。また、螺着前後に渡ってノズル6及びゲートチップ5の溝を一直線とするためには、ノズル6及びゲートチップ5を成形した後は一旦これらを組み立て、再度温度センサ9用の溝を同時に形成しなければならず、設置及び交換において多くの時間と労力を必要とするといった、新たな課題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ゲートチップ5の温度を直接的に検知しつつ、これを直接的に加熱又は放冷する手段を設け、ゲートチップの温度を正確に検知して、この温度を所定の温度域に制御することにより、コールドスラグ不良及び糸引き等の不具合のない外観品質の高い成形品を提供する射出成形装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、第1の発明によれば、ランナを介して供給された溶融樹脂をキャビティ内部に向けて射出するノズルと、ノズルの先端に螺着されたゲートチップと、ノズルの先端近傍の温度を検知する温度センサと、ノズルの延設方向に沿って当該ノズルに形成され、温度センサを収容する溝と、ゲートチップの延設方向に沿って当該ゲートチップに形成され、温度センサを収容する溝と、互いに螺着されたノズルと前記ゲートチップとの係合領域に沿って、温度センサを収容する溝とを有する射出成形装置が提供されるこの発明において、ゲートチップ及びノズルを包囲する加熱手段を有することが好ましく溝を複数有することが好ましい
【0008】
この第1の発明では、ノズルとこのノズルの先端に螺着されたゲートチップとに設けられた2つの溝と、さらにノズルとゲートチップの係合領域に沿って設けられた1つの溝を有している。これら3個所に設けられた溝は、ゲートチップの温度を測定する温度センサを収容する。温度センサはゲートチップの延設方向に沿って設けられた溝とこれと螺着するノズルの溝に嵌めこまれるが、螺旋の具合によりゲートチップの溝の位置とノズルの溝の位置とがずれている場合、すなわちゲートチップの溝とノズルの溝とが一直線とならない場合がある。この場合に、ゲートチップの溝に嵌められた温度センサは、ゲートチップとノズルとの係合領域に沿って特に設けられた溝においてノズルの溝へ向かって方向転換をし、ノズルの溝に嵌めこまれる。この発明において、溝とは、温度センサを収めるための空間をいい、特に形状及び寸法は限定されないが、温度センサの線径に応じて形成されることが好ましい。また、特に、ノズル及びゲートチップの外周に複数の溝が設けられている場合には、温度センサに無理な力がかからないように、ゲートチップからノズルに至るまでの最も曲げ量が少ない溝を選択し、温度センサを埋め込むことができる。
【0009】
これにより、ノズル及びゲートチップの溝の位置調整のための重複した工程を必要とすることなく、ノズルの先端に螺着されるゲートチップにまで温度センサを配置することができ、特に、温度低下が起きやすいゲートチップの温度を正確に検知してコールドスラグ等の不具合を防止することができる。
【0010】
また、上記の射出成形装置1の温度センサは、ノズルからゲートチップに至るまで所定の溝に収められノズル等の外周に凹凸を生じさせることがないため、加熱手段はゲートチップからノズルまでを隙間なく包み込むことができるとともに、ノズルのみならずゲートチップをも直接加熱し、ノズル及びゲートチップを適切に加熱することができる。
【0011】
(2)上記目的を達成するために、第2の発明によれば、ランナを介して供給された溶融樹脂をキャビティ内部に向けて射出するノズルと、ノズルの先端に螺着されたゲートチップと、ノズルの先端近傍の温度を検知する温度センサと、ノズルの延設方向に沿って当該ノズルに形成され、温度センサを収容する溝と、互いに螺着されたノズルと前記ゲートチップとの係合領域に沿ってノズルの外周を回転可能に設けられ、温度センサを収容するスリットを有するスリーブとを有する射出成形装置。
項4記載の射出成形装置が提供されるこの発明において、スリーブ及びノズルを包囲する加熱手段を有することが好ましくこのスリーブは、熱を伝導する伝導部材、たとえば黄銅からなることが好ましい
【0012】
この第2の発明では、ノズルの延設方向に設けられた溝と、ノズルとゲートチップの係合領域に沿った部分にノズルに対して回転可能に設けられたスリーブを有し、このスリ−ブは温度センサを収容するスリットを有する。温度センサはノズルの溝からこれに連なるスリーブのスリット部分に嵌めこまれる。スリーブのスリットの位置とノズルの溝の位置とがずれている場合には、スリーブをノズルに対して適宜回転させることで、スリットの位置とノズルの溝の位置とは合わせられ、温度センサはノズルからスリーブに至るまで一直線に嵌めこまれる。また、スリーブ及びゲートチップを覆う加熱手段を有するため、加熱手段から与えられた熱はスリーブを介してゲートチップへ伝えられゲートチップを加熱する。
【0013】
この発明において、スリーブはノズルの外周に沿って配置されるが、ノズルの先端に螺着されるゲートチップを覆う位置に配置されることが好ましく、その素材は熱伝導性の良い黄銅等の伝導部材が適している。スリットとは温度センサを収めるための切り込み部分をいい、特に形状及び寸法は限定されないが、温度センサの線径に応じて形成されることが好ましい。
【0014】
これにより、ノズル及びゲートチップの溝の位置調整のための重複した工程を必要とすることなく、ノズルの先端に螺着されるゲートチップにまで温度センサを配置することができ、特に、温度低下が起きやすいゲートチップの温度を正確に検知してコールドスラグ等の不具合を防止することができる。
【0015】
(3)上記目的を達成するために、第3の発明によれば、ランナを介して供給された溶融樹脂をキャビティ内部に向けて射出するノズルと、前記ノズルの先端に設けられたゲートチップとを有し、前記キャビティに露呈する前記ゲートチップの先端外径は、前記ノズルの一般部の外径よりも大きい射出成形装置が提供されるさらに、この発明において、キャビティに対向するゲートチップの面には、少なくとも一以上の凹部が形成されることが好ましい
【0016】
ゲートチップは、射出時におけるせん断発熱によって高熱となりやすく、所定の温度を超えて加熱されると糸引き等の不具合が発生する。尤も、ゲートチップは固定型と接触することにより冷却されるが、この冷却は温度低下が急速すぎてコールドスラグ等の問題を引き起こすため、一般の射出成形装置は固定型とゲートチップとの接触面積を小さくするように構成されている。このため、射出時にいったん上昇したゲートチップの温度を低下させることは困難であった。これに対し、本発明は、ゲートチップのキャビティ側の面の面積を拡大することとし、キャビティに露呈するゲートチップの先端外径をノズルの一般部の外径よりも大きく構成し、ゲートチップの熱をキャビティ内の空気へ向けて緩やかに放熱させ、ゲートチップの過熱を防止しようとするものである。
【0017】
本発明におけるゲートチップの先端外径を、ノズルの一般部の外径との比較において特定したのは、放熱能力はゲートチップのキャビティに露呈する先端外径に応じ、ノズルが蓄えうる熱量は流路中の溶融樹脂及びノズルを包囲する加熱手段から受ける熱量、すなわちノズルの一般部の外径に応じると考えられるからである。このような観点から、ノズルの一般部の外径とはノズルを形成する管状の部分の代表的な部分の外径をいい、一箇所に限られない。また、その外径に差がある場合には、最も長い(多い)部分の外径、ノズル全体の略平均的な外径又は最も太い部分の外径のいずれであってもよい。
【0018】
また、放熱はキャビティに対向するゲートチップの面の表面積に応じることから、この面に一以上の凹部を形成することにより表面積を拡大させ、放熱能力を向上させることができる。
【0019】
これにより、射出時に過熱状態となるゲートチップの熱は、キャビティに露呈する先端から序々に空気を媒体として放熱し、次の射出の前までに適当な温度に低下し、ゲートチップの過度な温度上昇による糸引きが生じることなく、外観品質の高い射出成形装置を提供することができる。
【0020】
(4)上記目的を達成するために、第4の発明によれば、第の発明から第3の発明を兼ね備えた発明が提供され、上記発明に関し、ランナを介して供給された溶融樹脂をキャビティ内部に向けて射出するノズルと、ノズルの先端に設けられたゲートチップとを有し、キャビティに対向するゲートチップの先端外径は、ノズルの一般部の外径よりも大きい射出成形装置が提供される。また、この発明において、キャビティと対向するゲートチップの面には、少なくとも一以上の凹部が形成されることが好ましい
【0021】
本発明によれば、ゲートチップの温度を所定の温度領域に管理することができる射出成形装置を提供することができる。具体的には、ノズル先端に螺着されたゲートチップまで温度センサ及びヒータを配置するため、温度低下が起きやすいゲートチップの温度を正確に検知して適切に加熱することでコールドスラグ等の不具合を防止するとともに、ノズル先端の表面積を拡大し、射出により過熱状態となったゲートチップの熱を放熱させるため、過熱したゲートチップの温度を序々に下げることで糸引き等の不具合を防止することができ、外観品質の高い射出成形装置を提供することができる。
【0022】
【発明の効果】
本願発明によれば、ノズル及びゲートチップの溝の位置調整のための重複した工程を必要とすることなく、ノズルの先端に螺着されるゲートチップにまで温度センサ及び加熱手段を配置することができ、特に、温度低下が起きやすいゲートチップの温度を正確に検知し、加熱をしてコールドスラグ等の不具合を防止することができる。
【0023】
発明によれば、射出時に過熱状態となるゲートチップの熱は、キャビティに露呈する先端から序々に空気を媒体として放熱し、次の射出の前までに適当な温度に低下し、ゲートチップの過度な温度上昇による糸引きが生じることなく、外観品質の高い射出成形装置を提供することができる。
【0024】
発明によれば、ゲートチップの温度を所定の温度領域に管理することができる射出成形装置を提供することができる。具体的には、ノズル先端に螺着されたゲートチップまで温度センサ及びヒータを配置するため、温度低下が起きやすいゲートチップの温度を正確に検知して適切に加熱することでコールドスラグ等の不具合を防止するとともに、ノズル先端の表面積を拡大し、射出により過熱状態となったゲートチップの熱を放熱させるため、過熱したゲートチップの温度を序々に下げることで糸引き等の不具合を防止することができ、外観品質の高い射出成形装置を提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る射出成形装置1の全体構成を説明する図、図2は射出成形装置1の第1の例を説明する図、図3は図2に示した射出成形装置の斜視図、図4は本実施形態に係る射出成形装置の第2の例を説明する図、図5は本実施形態に係る射出成形装置の第3の例を説明する図である。
【0026】
まず、図1を参照して本実施形態に係る射出成形装置1の全体構成を説明し、図2から図5に示す第1から第4の実施形態において共通する基本的構成についてもここで説明をする。本実施形態に係る射出成形装置1は、少なくとも溶融樹脂を案内しホットランナブロック11に形成されたランナ10と、このランナ10と連通するゲートノズル61と、このゲートノズル61が嵌め込まれた固定型22と、この固定型22と一対となってキャビティ3を形成する可動型21を有している。この一対の可動型21及び固定型22を型締めすることによって、その間には密閉可能なキャビティ3が形成される。本例では、堅型式の射出成形装置1とし、ゲートノズル61が嵌め込まれた固定型22を固定としたので図外の型締め装置により可動型21が固定型22に対して上下に移動させられる。もちろん、成形型2は横型であっても良く、また固定型22を可動型21に対して移動させてもよい。ちなみに、図1に示したキャビティ3は板状のものであるが、実際は自動車のボディ等の成形品の形状に応じて型どられる。
【0027】
このキャビティ3を形成する固定型22には図示していないが複数のバルブゲート4が形成され、これを介して図外のホッパ、加熱シリンダ等から供給された溶融樹脂がキャビティ3へ充填される。この溶融樹脂をバルブゲート4へ案内するのはホットランナブロック9の内部に設けられたランナ10である。このランナ10はノズルの流路6と連通し、射出に必要な量の樹脂を送り込む。
【0028】
溶融樹脂を射出するゲートノズル61は、その先端にあるバルブゲート4をキャビティ3の開口部に臨ませた状態で固定型に埋め込まれており、固定されたゲートノズル61の中心部にはノズルの流路6が配置され、ノズルの流路6の中心にはバルブピン7が挿入されている。バルブピン7は往復運動によってバルブゲート4を開閉する。
【0029】
ところで、この射出成形装置1の射出口となるゲートチップ5の温度は、樹脂の溶融温度及び固化温度に応じて所定の温度域に管理されることが望ましい。具体的には射出時にゲートチップ5の温度が所定温度に上昇していない場合には、ゲートチップ5内で樹脂が固化し、このコールドスラグが成形品に混入してコールドスラグ不良を引き起こし、一方、射出時におけるせん断発熱によりゲートチップ5の温度が過度に上昇するため、この熱が次の射出までに放熱されないときには、型抜き時の成形品の固化が不充分となってしまうことから糸引き等の不具合が生じてしまう。このような不具合が生じると成形品の外観品質が著しく低下することから、ノズル6の先端に位置するゲートチップ5の温度は高い精度で管理されることが好ましい。このように温度の高低のあるゲートチップ5の温度を管理するためには、ゲートチップ5の温度を正確に検知すること、検知した温度に基づきゲートチップ5を加熱又は冷却することが必要となる。以下に説明する3つの実施形態はこれらの点に鑑みて構成されたものである。
【0030】
特に、第1の実施形態では、温度センサ9をゲートチップ5にまで配置し、ゲートチップ5の温度を正確に検知する。具体的には、図2に示すように、一体となって固定型22に埋め込まれるノズル6の先端にはゲートチップ5が螺着されており、このノズル6及びゲートチップ5のそれぞれには温度センサ9を埋め込むための溝92及び溝91がその延設方向に沿って形成されている。この2つの溝91及び溝92の他に、ノズル6とゲートチップ5との係合領域に沿って(円周方向に沿って)第3の温度センサ用の溝93が設けられている。線状の温度センサ9はゲートチップ5の溝91に嵌めこまれ、溝93を経て、ノズル6の溝92へ渡り、ノズル6の溝92に嵌めこまれる。本実施形態では、ゲートチップ5及びノズル6には複数の溝(91’92’)が設けられているので、破損防止の観点から、このうち最も曲げ量が少ない溝(91、92)の組み合わせを選択して温度センサ9を配線することができる。また、この温度センサ9用の溝93の形状及び大きさは、温度センサ9の太さと可撓性に基づいて決定されることが好ましく、本実施形態では温度センサ9の径に対してやや深い溝とし、温度センサ9の径の3倍から5倍程度とした。
【0031】
この温度センサ9が嵌めこまれたノズル6及びゲートチップ5の斜視図を図3(a)に示し、ノズル6とゲートチップ5との螺着を解除した状態を図3(b)に示した。これらに示されるように、溝91から導かれた温度センサ9は溝93において方向転換されて溝92へ至る。このような第3の溝93を設けたのは、ゲートチップ5の溝91とノズル6の溝92とは同じ方向に沿って設けられるものの、これらの溝91、92は別々に形成されるため、螺着後その位置がずれてしまう場合があり、溝91と溝92との位置がずれると、ここを渡る温度センサ9が飛び出してしまい、飛び出した温度センサ9によって、ノズル6の側面には凸部ができ、これらを包囲するとヒータ8とノズル6との間に隙間が生じて入熱にむらが生じて不都合だからである。このように、本実施形態ではノズル6からゲートチップ5に至るまで、その外周に凹凸がなく滑らかな円柱となるため、加熱手段であるヒータ8は温度センサ9が嵌めこまれたゲートチップ5及びノズル6を包囲することができ、ゲートチップ5は直接ヒータ8から入熱されることとなる。なお、温度センサ9をノズル6及びゲートチップ5に渡って外周に凹凸なく配線するために、センサ溝を除く加工の終わったノズル6及びゲートチップ5を一旦組み立てて一体としてから再度加工により溝91、92を直線状に形成し、再度分解組み立てを行うということもできるが、本実施形態によれば、上記のような重複した工程を必要とせず、また交換も容易である。
【0032】
このように、本実施形態では、ノズル6の先端に螺着されるゲートチップ5にまで温度センサ9及びヒータ8を配置することができ、特に、温度低下が起きやすいゲートチップ5の温度を正確に検知するとともに、温度低下が起きた場合には直接的に加熱してコールドスラグ等の不具合を防止することができる射出成形装置1を提供することができる。
【0033】
次に、第2の実施形態について説明する。図4(a)に示す第2の実施形態は、特に、ノズル6とゲートチップ5の係合領域に沿って設けられ、スリット95を有するC字状のスリーブ94を有している。また、第1の実施形態とは異なり、ゲートチップ5には溝が設けられておらず、ノズル6にのみ延設方向に沿って溝92が設けられている。このスリット95及び溝92は、ゲートチップ5の温度を測定する温度センサ9を収容する。具体的には、温度センサ9はスリーブ94のスリット95部分に嵌めこまれ、スリーブ94に連なるノズル6の溝92にも嵌めこまれる。スリーブ94はノズル6の外周に沿って回転可能であるため、スリーブ94のスリット95の位置とノズル6の溝92の位置とがずれている場合には、スリーブ94をノズル6に対して適宜回転させることで、スリット95の位置とノズル6の溝92の位置を合わせることができ、図4(a)に示すように温度センサ9はノズル6からスリーブ94に至るまで一直線に嵌めこまれる。スリット95の形状、寸法は特に限定されないが、温度センサ9を収めるため、温度センサ9の線径に応じて形成されることが好ましく、本実施形態では温度センサ9の径とほぼ同一とした。
【0034】
このように配置されたスリーブ94は、ゲートチップ5とノズル6とが螺合する螺旋部分を覆う。さらに、このスリーブ94及びゲートチップ5はヒータ8に覆われ、ヒータ8から与えられた熱は薄いスリーブ94を介してゲートチップ5へ伝えられる。よって、スリーブ94は熱を伝える材質であることが好ましく、本実施形態では黄銅を採用し、ゲートチップ5の加熱が迅速に行われるようにした。また、このスリーブ94はノズル6の外周に沿ってヒータ8と接触するため、ヒータ8がどの部品にも接触しないために過熱して破損することをも防止する。
【0035】
これにより、本実施形態によれば、ゲートチップ5に直接接触するように温度センサ9を配置することができ、特に、温度低下が起きやすいゲートチップ5の温度を正確に検知してコールドスラグ等の不具合のない外観品質の高い成形を行う射出成形装置を提供することができる。
【0036】
次に、図5を参照しつつ第3の実施形態について説明をする。本実施形態では、特に、キャビティ3へ露呈するゲートチップ5の面積を大きくし、さらにその表面積を拡大させるために複数の凹部51を設けている。ゲートチップ5の温度は射出時に生じるせん断発熱によって急速に上昇し過熱状態となりやすい。この過熱状態のまま成形を行うと糸引き等の不具合が発生する。ゲートチップ5の温度を低下させるため固定型22との接触面積を拡大することも考えられるが、この手法では温度低下が急速すぎて逆にコールドスラグ不良を招くことが経験的に知られているため、ゲートチップ5と固定型22との接触面積は一般には小さくなるように設計されている。
【0037】
これに対し、本実施形態では熱伝導性の低い空気に対してゲートチップ5の熱を放熱し、その温度を序々に低下させることとしている。具体的には、ゲートチップ5の先端外径aをノズル6の一般部の外径bよりも大きくし、さらに先端面に複数の凹部を設け表面積の拡大を図り、ゲートチップ5からキャビティ3すなわち空気に放熱させる構成としている。ちなみに、凹部によって形成された形状は成形品に残るが、タブを設けたバルブゲート4から射出するため、製品には影響を与えることはない。
【0038】
このように、ゲートチップ5の先端外径がノズル6の一般部の外径よりも大きければゲートチップ5の冷却効果を得られるが、図5に示した射出成形装置1を用いた発明者らによる実験によれば、特に、ゲートチップ5の先端外径がノズル6の一般部外径に対して1.2乃至1.3倍より大きく、1.8倍より小さいときにゲートチップ5の温度がスムースに低下し、得られた成形品の外観品質が良好であった。この結果によれば、この範囲において、ゲートチップ5の有する熱量と放熱とのバランスが良好であったことがわかるが、このバランスの最適値はゲートチップ5の材質、凹部の数等によって変更するため、これらに応じて適宜決定することが好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、ノズル6の太さはほぼ一定であるため、ノズル6の一般部の径とはノズル6の径としたが、ノズル6の太さに変化がある場合には、ノズル6の一般部の外径とは、ノズル6を形成する管状の部分の代表的な部分の外径、最も範囲の広い部分の外径、ノズル6全体の略平均的な外径又は最も太い部分の外径のいずれであってもよい。このようにゲートチップ5の先端外径を、ノズル6の一般部の外径との比較において特定したのは、放熱能力はゲートチップ5のキャビティに露呈する先端外径に応じ、ノズル6が蓄えうる熱量は流路中の溶融樹脂及びノズル6を包囲するヒータ8から受ける熱量、すなわちノズル6の一般部の外径に応じると考えられるからである。
【0040】
さらに、本実施形態は、ゲートチップ5の放熱手段とともにゲートチップ5及びノズル6との係合領域付近に溝93を有し、温度センサ9はノズル6から溝93を経由してゲートチップ5にまで延設され、さらにヒータ8がゲートチップ5及びノズル6を包囲している。
【0041】
このように、本実施形態によれば、温度センサ9がゲートチップ5の温度を直接的に検知しつつ、温度低下の際にはヒータ8がノズル6及びゲートチップ5を直接的に加熱し、設定温度範囲の下限を管理するとともに、射出時に過熱状態となった際にはゲートチップ5の先端が射出時に発生する熱を放熱して、設定温度範囲の上限を管理し、溶融樹脂が射出されるゲートノズル5の温度を所定の温度範囲に維持して、コールドスラグ及び糸引きといった不具合のない成形を行う射出成形装置1を提供することができる。
【0042】
なお、以上説明した実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施例に開示された各要素および各数値は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る射出成形装置の全体構成を説明する図である。
【図2】本実施形態に係る射出成形装置の第1の例を説明する図である。
【図3】図2に示した射出成形装置の斜視図である。
【図4】本実施形態に係る射出成形装置の第2の例を説明する図である。
【図5】本実施形態に係る射出成形装置の第3の例を説明する図である。
【図6】従来の射出成形装置を示す図である。
【符号の説明】
1、1’…射出成形装置
2…型
21…可動型
22…固定型
3…キャビティ
4…バルブゲート
5…ゲートチップ
51…凹部
6…ノズルの流路
61…ゲートノズル
7…バルブピン
8…ヒータ
9…温度センサ
91、92、93、91’、92’…(温度センサ用)溝
94…スリーブ
95…スリット
10…ホットランナブロック
11…ランナ
12…シリンダー

Claims (8)

  1. ランナを介して供給された溶融樹脂をキャビティ内部に向けて射出するノズルと、
    前記ノズルの先端に螺着されたゲートチップと、
    前記ノズルの先端近傍の温度を検知する温度センサと、
    前記ノズルの延設方向に沿って当該ノズルに形成され、前記温度センサを収容する溝と、
    前記ゲートチップの延設方向に沿って当該ゲートチップに形成され、前記温度センサを収容する溝と、
    互いに螺着された前記ノズルと前記ゲートチップとの係合領域に沿って、前記温度センサを収容する溝とを有する射出成形装置。
  2. 前記ゲートチップ及び前記ノズルを包囲する加熱手段を有する請求項1記載の射出成形装置。
  3. 前記溝を複数有する請求項1又は2記載の射出成形装置。
  4. ランナを介して供給された溶融樹脂をキャビティ内部に向けて射出するノズルと、
    前記ノズルの先端に螺着されたゲートチップと、
    前記ノズルの先端近傍の温度を検知する温度センサと、
    前記ノズルの延設方向に沿って当該ノズルに形成され、前記温度センサを収容する溝と、
    互いに螺着された前記ノズルと前記ゲートチップとの係合領域に沿って前記ノズルの外周を回転可能に設けられ、前記温度センサを収容するスリットを有するスリーブとを有する射出成形装置。
  5. 前記スリーブ及び前記ノズルを包囲する加熱手段を有する請求項4記載の射出成形装置。
  6. 前記スリーブは、黄銅からなる請求項4又は5記載の射出成形装置。
  7. ランナを介して供給された溶融樹脂をキャビティ内部に向けて射出するノズルと、
    前記ノズルの先端に設けられたゲートチップとを有し、
    前記キャビティに対向する前記ゲートチップの先端外径は、前記ノズルの一般部の外径よりも大きい請求項1〜6記載の射出成形装置。
  8. 前記キャビティと対向する前記ゲートチップの面には、少なくとも一以上の凹部が形成された請求項7記載の射出成形装置。
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