JP3718583B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ホストコンピュータ上にある画像データを複数の周波数帯域に分解した係数を利用して文字(エッジ)領域と絵柄領域に分離し、分離されたエリアの種類毎にデータの圧縮処理を行なう画像データ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像データの圧縮方式としてはDCT(Discret Cosine Transform)などの直交変換によって画像データを周波数成分に変換し、その変換係数を量子化する方式が一般的である。このDCTは圧縮性能の優れた周波数変換方式であるが、低ビットデータにおいてブロック歪みやモスキートノイズという画像劣化を生じる。これに対してウェーブレット(Wavelet)変換のように変換基底がオーバラップした多重解像度変換ではこのような不具合は解消される。
【0003】
また、DCTやウェーブレット変換は、写真画像のような連続階調画像の圧縮には適した変換方式であるが、文字画像のように急峻な輝度変換が密集している画像では、圧縮効率を高めることはできない。このような画像にはよりシンプルな変換方式の方が高い圧縮効率を得ることができる。そのため、画像の種類によって変換方式を選択する方法が従来から行われているが、1ページの中に写真と文字とが混在しているような画像については適切な方式はなかった。
【0004】
一方、例えばインターネットFAXなどのようにイメージデータを転送する場合、送信側でスキャナから読み込んだ画像データを文字(エッジ)領域と絵柄領域に分離し、分離されたエリアの種類毎に圧縮方法を変えて符号化して転送したとき、受信側ではモニタ上に、まず先に確認したい文字データから高速で復元表示され、画像データはその後に原稿の上方から順次表示されていく。そのため、文字、絵柄混在画像のデータの場合、文字情報のみを早く得たいにもかかわらず、途中の画像領域も含んだ画像情報からゆっくり表示し終わるのを待つことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように文字、絵柄混在画像のデータの場合、文字情報のみを早く得たいにもかかわらず、途中の画像領域も含んだ画像上方からゆっくり表示し終わるのを待つことは、ユーザの待ち時間を長くし使用性を低下させていることになる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ユーザが文字情報の表示を待つことなく、先に転送した文字領域のページから表示可能とすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の手段は、入力画像データに圧縮処理を施す画像処理装置であって、前記入力画像データに多重解像度分解であるウェーブレット変換処理を施すことにより変換係数を得る第1のウェーブレット変換手段と、前記第1のウェーブレット変換手段で得られる高周波成分の変換係数を用いて文字領域と絵柄領域とを分離する像域分離手段と、前記像域分離手段によって分離された領域を、文字領域のみのページと絵柄領域のみのページとに分けるページ分け手段と、前記ページ分け手段で分けた夫々のページを、像域分離した領域に適した圧縮方式で圧縮し、該圧縮されたデータを文字ページの符号を先頭にし、かつ絵柄ページの最上位階層から順に並べる制御手段とを有し、前記制御手段が、前記文字領域のページにおける変換係数をウェーブレット逆変換するウェーブレット逆変換手段と、前記ウェーブレット逆変換手段で逆変換されたデータを2値化する2値化手段と、前記2値化手段で2値化されたデータをハフマン符号化するハフマン符号化手段と、前記絵柄領域のページの低周波成分について多重解像度分解であるウェーブレット変換を施すことにより変換係数を得る第2のウェーブレット変換手段と、前記第2のウェーブレット変換手段で変換された変換係数をエントロピー符号化するエントロピー符号化手段とをさらに有し、前記文字ページのハフマン符号を先頭にし、かつ絵柄ページのエントロピー符号を最上位階層から順に並べたコードストリームを生成することを特徴とする。
【0012】
第2の手段は、入力画像データに圧縮処理を施す画像処理方法であって、前記入力画像データに多重解像度分解であるウェーブレット変換処理を施すことにより変換係数を得る第1の工程と、前記第1の工程で得られる高周波成分の変換係数を用いて文字領域と絵柄領域とを分離する第2の工程と、前記第2の工程で分離された領域を、文字領域のみのページと絵柄領域のみのページとに分ける第3の工程と、前記第3の工程で分けた夫々のページを、像域分離した領域に適した圧縮方式で圧縮し、該圧縮されたデータを文字ページの符号を先頭にし、かつ絵柄ページの最上位階層から順に並べる第4の工程とを有し、前記第4の手段は、第3の手段において、前記第4の工程が、前記文字領域のページにおける変換係数をウェーブレット逆変換する第5の工程と、前記第5の工程で逆変換されたデータを2値化する第6の工程と、前記第6の工程で2値化されたデータをハフマン符号化する第7の工程と、前記絵柄領域のページの低周波成分について多重解像度分解であるウェーブレット変換を施すことにより変換係数を得る第8の工程と、前記第8の工程で変換された変換係数をエントロピー符号化する第9の工程と、前記第7の工程で符号化された文字ページのハフマン符号を先頭にし、かつ第9の工程で符号化された絵柄ページのエントロピー符号を最上位階層から順に並べたコードストリームを生成する第10の工程とをさらに有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
まず、本実施形態として、図1に示すように2つのホストコンピュータ間でのデータの受け渡しにおけるデータ処理について説明する。図1に示すように2台のホストコンピュータ1、2がインターフェイスケーブル3を介してネットワーク上で接続されている場合に、第1のホストコンピュータ1においてビットマップ画像データを圧縮することを想定する。このとき、第1のホストコンピュータ1では、図2に示すようにビットマップの8ビットの画像データを第1のウェーブレット変換部201で周波数分解を行なう。ウェーブレット変換のようなサブバンド符号化では、多重解像度表現が可能であるが、ここではまず、分離のために1階層だけ処理を行なう。次いで、得られた1階層の高周波成分を用いて像域分離部202で文字(エッジ)領域と絵柄領域に像域分離処理を行なう。そして、さらに、分離された領域を文字領域のみのページ402と絵柄領域のみのページ403の2枚のページに分け、それぞれのページを分けた画像の種類に適した圧縮方式で圧縮する。
【0015】
例えば、文字領域を集めたページ402は周波数分解されている係数をウエーブレット逆変換部203でウエーブレット逆変換し、絵柄領域の濃度を0にして2値化処理部204において、あらかじめ設定した閾値、例えば128で白/黒の2値化を実行し、ハフマン符号化部205でハフマン符号化を行なって圧縮する。一方、絵柄データを集めたページ403は、前処理として第2のウェーブレット変換部206で図3に示す後述のLL成分についてさらに多重解像度分解を行ない、さらに、エントロピー符号化部207においてQM−coder等のエントロピー符号化を行って圧縮する。このように処理することによって画像1枚をそのまま圧縮するよりも、各領域毎に効率のよい符号化が実行され、画像全体として圧縮効率を上昇させることができる。
【0016】
像域分離部202では、ウェーブレット変換をかけると図3に示すように4種類の周波数成分に分解される。LLが低周波成分、LH、HL、HHが高周波成分である。この高周波成分を使用して像域の分離を行なう。すなわち、2次元画像データに対するウェーブレット変換は、まず、元画像の水平方向にローパスフィルタ、ハイパスフィルタをかけ、続いて垂直方向にも同様の処理をそれぞれ施し、水平高域HL、垂直高域LH、対角高域HH、および低域LLの4つの周波数帯域に分割する変換である。
【0017】
像域は、文字領域は階調差が激しいエッジ部分と白か黒のベタ部分とによって構成される。エッジの場合は、高周波成分に絶対値の大きな値が発生する。また、ベタ部分では、高周波成分は0の値となる。この特性を用いて4つの画素のブロック単位に分離していく。分離作業を進めていた結果、判定結果が回りのブロックの判定結果と異なり、孤立しているブロックが発生してくる。このような場合は、膨張処理を行い、回りのブロックと同じ領域種類に変更する。
【0018】
例えば、図4の左側に示す原画401があったとき、第1のウェーブレット変換部201でウェーブレット変換し、像域分離部202で像域分離を行なうと、図4の右側に示すように文字ページ402と絵柄ページ403とが分離される。この図では原画のビットマップデータのままのようであるが、実際は、係数に分解されて係数上で分離される。
【0019】
このようにして第1のホストコンピュータ1で圧縮されたデータは、コードストリームを図5のように文字ページ402の符号を先頭にし、続いて絵柄ページ403の最上位階層から順に並べる。このように並べられた符号データは第2のホストコンピュータ2で受信される。第2のホストコンピュータ2で受信したデータは図6に示すようにして表示される。すなわち、まず、文字データが表示され(601)、その後、絵柄部分がLL4からプログレシブ表示され(602)、次第に全てのデータが受信されて逆変換されると、解像度が上がって完全に復元される(603)。
【0020】
この他に、第2のホストコンピュータ2では、第1のホストコンピュータ1から図5に示すようなコードストリームを受信する。その際、図7に示すように作成されたコードストリームの先頭には、文字ページの先頭アドレスCDADと絵柄ページの先頭アドレスIDADが明記されている。第2のホストコンピュータ2で文字情報のみを受信したい場合には、例えば、画面上の操作ボタンから「文字」を選択すれば、文字コードのコードのみが復号化され、画面に表示される。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、先に転送した文字領域のページから表示可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る2台のホストコンピュータの接続状態を示す図である。
【図2】本発明の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】ウェーブレット変換を説明するための図である。
【図4】原稿を文字(エッジ)領域のページと絵柄領域のページとに分離した状態を示す図である。
【図5】図4のように領域を分離したときのコードストリームを示す説明図である。
【図6】図5のコードストリームを復元するときの表示の状態を示す説明図である。
【図7】受信側で文字あるいは絵柄だけを表示する場合に送信されるコードストリームを示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1のホストコンピュータ
2 第2のホストコンピュータ
3 インターフェイスケーブル
201 第1のウェーブレット変換部
202 像域分離部
203 ウェーブレット逆変換部
204 2値化処理部
205 ハフマン符号化部
206 第2のウェーブレット変換部
207 エントロピー符号化部
401 原画像
402 文字ページ
403 絵柄ページ
Claims (2)
- 入力画像データに圧縮処理を施す画像処理装置であって、
前記入力画像データに多重解像度分解であるウェーブレット変換処理を施すことにより変換係数を得る第1のウェーブレット変換手段と、
前記第1のウェーブレット変換手段で得られる高周波成分の変換係数を用いて文字領域と絵柄領域とを分離する像域分離手段と、
前記像域分離手段によって分離された領域を、文字領域のみのページと絵柄領域のみのページとに分けるページ分け手段と、
前記ページ分け手段で分けた夫々のページを、像域分離した領域に適した圧縮方式で圧縮し、該圧縮されたデータを文字ページの符号を先頭にし、かつ絵柄ページの最上位階層から順に並べる制御手段と、
を有し、前記制御手段は、
前記文字領域のページにおける変換係数をウェーブレット逆変換するウェーブレット逆変換手段と、
前記ウェーブレット逆変換手段で逆変換されたデータを2値化する2値化手段と、
前記2値化手段で2値化されたデータをハフマン符号化するハフマン符号化手段と、
前記絵柄領域のページの低周波成分について多重解像度分解であるウェーブレット変換を施すことにより変換係数を得る第2のウェーブレット変換手段と、
前記第2のウェーブレット変換手段で変換された変換係数をエントロピー符号化するエントロピー符号化手段と、
をさらに有し、
前記文字ページのハフマン符号を先頭にし、かつ絵柄ページのエントロピー符号を最上位階層から順に並べたコードストリームを生成することを特徴とする画像処理装置。 - 入力画像データに圧縮処理を施す画像処理方法であって、前記入力画像データに多重解像度分解であるウェーブレット変換処理を施すことにより変換係数を得る第1の工程と、前記第1の工程で得られる高周波成分の変換係数を用いて文字領域と絵柄領域とを分離する第2の工程と、前記第2の工程で分離された領域を、文字領域のみのページと絵柄領域のみのページとに分ける第3の工程と、前記第3の工程で分けた夫々のページを、像域分離した領域に適した圧縮方式で圧縮し、該圧縮されたデータを文字ページの符号を先頭にし、かつ絵柄ページの最上位階層から順に並べる第4の工程とを有し、
前記第4の工程が、前記文字領域のページにおける変換係数をウェーブレット逆変換する第5の工程と、前記第5の工程で逆変換されたデータを2値化する第6の工程と、前記第6の工程で2値化されたデータをハフマン符号化する第7の工程と、前記絵柄領域のページの低周波成分について多重解像度分解であるウェーブレット変換を施すことにより変換係数を得る第8の工程と、前記第8の工程で変換された変換係数をエントロピー符号化する第9の工程と、前記第7の工程で符号化された文字ページのハフマン符号を先頭にし、かつ第9の工程で符号化された絵柄ページのエントロピー符号を最上位階層から順に並べたコードストリームを生成する第10の工程とをさらに有することを特徴とする画像処理方法。
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