JP3718570B2 - 押出発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、微生物を利用して汚水を処理するようにした汚水処理装置等の流動床バイオリアクターにおける流動床用微生物固定化担体として好適に利用できる押出発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生化学反応を利用した汚水処理装置等の流動床バイオリアクターは、処理槽内に投入した担体を曝気操作により流動化させることにより、汚水処理に関与する微生物群(活性汚泥)を担体に固定化して、汚水を浄化するようにしたものである。
【0003】
この汚水処理装置の流動床用微生物固定化担体において、一般に要求される性質としては、第1に処理槽内で早期に水に馴染んで均一に流動できるように流動性に優れていること、第2に微生物が付着しやすいように多孔質であること、第3に流動に耐え得る強度、すなわち耐摩耗性等の耐久性に優れていること等が挙げられる。
【0004】
このような状況下において、従来の微生物固定化担体としては、珪藻土等の多孔性無機物質が用いられていたが、この担体は見掛け密度が2.0g/cm3 程度で水よりかなり重いので、流動化させるために強い旋回力を必要とし、担体流動化エネルギーの増大によりランニングコストの増大を来すものであった。しかも珪藻土は摩耗しやすく、流動時に互いに擦れ合って摩耗し、初期の形状を長期維持できず、耐久性にも劣るものであった。
【0005】
そこで近年になって、密度が水と近似して担体流動化エネルギーを小さくでき、かつ耐久性に優れた材料、すなわち合成樹脂からなるプラスチック製担体が開発され、その使用が急速に増加している。
【0006】
従来における樹脂系の流動床用微生物固定化担体を製造する場合、例えば滴下発泡法や、焼結法等の多孔質化技術を用いる方法が一般的であり、また一部においては、押出発泡を用いる方法も採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、滴下発泡法や焼結法を用いる従来の担体製造方法は、量産性に劣り、また使用する樹脂材料も制約されて安価な材料を選択できず、コストの増大を招くという問題があった。
【0008】
また押出発泡を用いる従来の担体製造方法は、十分な多孔質化を図ることができず、製造された担体は、水との馴染み性に劣り、流動性に劣るという問題を抱えていた。
【0009】
一方、近年においては、使用済みプラスチック製品の廃棄処理に伴い周辺環境への悪影響が懸念され社会問題化しているが、この問題は、流動床バイオリアクターの技術分野においても例外ではなく、廃棄処理時に周辺環境への悪影響が極めて少ない樹脂系担体の使用が強く臨まれているのが現状である。
【0010】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、水との馴染み性に優れて良好な流動性を有するとともに、安価で耐久性に優れ、更に廃棄処理時に周辺環境への悪影響が少ない樹脂系の流動床用微生物固定化担体を得ることができる押出発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、綿密な研究を行って、樹脂系の流動床用微生物固定化担体において、良好な流動性を得るための特定の多孔質(気泡)構造を解明した。引き続き、本発明者は、上記特定の気泡構造を基にして、綿密な実験、研究を繰り返し行い、鋭意努力した結果、上記目的を達成可能な最適な構成要件を見出だし、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、本発明における押出発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂と無機充填材との配合物に、ジニトロソペンタメチレンテトラミンからなる低温分解型発泡剤が0.15重量%以上、0.40重量%未満、アゾジカルボンアミドからなる高温分解型発泡剤が0.15重量%以上、1.50重量%未満、尿素からなる助剤が0.15重量%以上、0.40重量%未満添加された樹脂組成物を準備し、前記樹脂組成物を、押出発泡成形により熱成形して、連続気泡を有する押出発泡体を得るものである。
【0013】
本発明において、上記樹脂組成物を周知の押出機を用いて、押出発泡成形することが可能である。そしてこの押出成形時において、上記樹脂組成物は押出機のシリンダ内でスクリューにより溶融混練されて次第に温度を上昇させて、発泡剤の分解が徐々に進行していき、金型から押し出された直後に膨張して、内部に連続気泡を有する成形体(押出発泡体)が形成される。この場合、本発明においては、上記2種類の発泡剤のうち発泡温度の低い発泡剤(DPT)と、発泡温度の高い発泡剤(ADCA)との間に分解発泡時期のずれが生じ、DPTが先に発泡して、それに続いてADCAが発泡することになる。つまりADCAは、押出機のシリンダや金型等からの外部熱によって徐々に加熱されて活性化状態に達し、そして発泡する際に、DPTの発泡時に発生する熱(内部熱)が加わることにより、飛躍的な勢いで発泡し、後に詳述する所望の連続気泡が多量に形成され、成形体内に特有の気泡構造が形成されるものである。
【0014】
こうして得られた押出発泡体は、多量の連続気泡を有しているため、流動床用微生物固定化担体として使用した場合、連続気泡内に水が浸透することにより、水との馴染み性に優れ、良好な流動性を得ることができる。
【0015】
また本発明の製造方法は、合成樹脂の押出成形を利用するものであるから、量産性に優れコストの削減を図ることができる。
【0016】
しかも本発明により得られた発泡体は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするものであるため、耐摩耗性に優れ、十分な耐久性を得ることができ、更にポリ塩化ビニル系樹脂のもの等と比べて、廃棄処理を支障なく容易に行えて、廃棄処理時に周辺環境への悪影響も少なくすることができる。
【0017】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0018】
本発明の製造方法における樹脂組成物は、主成分(母材)としてのポリオレフィン系樹脂と無機充填材との配合物に、DPTからなる低温分解型発泡剤と、ADCAからなる高温分解型発泡剤と、尿素からなる助剤とが所定の割合で添加されたものである。
【0019】
ここで、上記樹脂組成物の主成分であるポリオレフィン系樹脂は、押出成形に適しており、廃棄処理も容易で、しかも安価であり、本発明の必須要件である。なおこれらの効果を、より確実に得るために、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂の中でも特に、ポリプロピレン樹脂を使用するのが好ましい。
【0020】
本発明において、上記樹脂組成物中に配合される無機充填材は、特に限定されるものではなく、どのようなものでも使用できるが、安価で、化学的に安定なものを使用するのが良い。具体的には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ゼオライト、酸化チタン、チタン酸カリウム、水酸化アルミニウム等からなるものを好適に使用することができ、言うまでもなくこれらは2種以上のものを併用しても良い。
【0021】
更に無機充填材の配合量は、主成分のポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは下限値を8重量部以上、上限値を20重量部以下に設定するのが良い。すなわちこの規定範囲を逸脱すると、水に近似した見掛け密度を得ることが困難になり、担体として使用した場合、良好な流動性を得ることが困難になる恐れがある。
【0022】
また本発明において、主成分のポリオレフィン系樹脂に無機充填材を配合した配合物の溶融後の密度(材料密度)は、0.90〜1.20g/cm3 、好ましくは下限値を0.95g/cm3 以上、上限値を1.00g/cm3 以下に調整するのが良い。すなわちこの材料密度が、低過ぎる場合には、いくら発泡剤等で調整しようとも、良好な流動性を得るために、必要な所定の見掛け密度を得ることが困難になる恐れがある。逆に材料密度が高過ぎる場合には、適度な見掛け密度を得るために、押出成形時に発泡を過度に促進しなければならず、安定した状態で押出成形を行うことができない恐れがある。
【0023】
上記樹脂組成物に添加される低温分解型発泡剤としてのDPTは、樹脂組成物中に0.15重量%以上、0.40重量%未満含有(添加)する必要があり、好ましくは、0.20重量%以上、0.31重量%未満含有させるのが良い。すなわち、この含有量が多過ぎる場合には、押出成形を安定させて行うことができず、本発明特有の気泡構造を有する発泡体を得ることが困難であり、また逆に少な過ぎると、水に近似した見掛け密度を得ることが困難になり、担体として使用した場合に良好な流動性を得ることが困難になり、好ましくない。
【0024】
更にDPTとしては、粒子径(平均粒子径、以下同じ)が10μm未満のもの、好ましくは、9μm未満のものを使用するのが良い。すなわちこの粒子径が大き過ぎるものでは、押出成形を安定させて行うことができず、所期の発泡体を得ることが困難である。なお粒子径が小さ過ぎても、格別な不利益は生じない。
【0025】
また高温分解型発泡剤としてのADCAは、樹脂組成物中に0.15重量%以上、1.50重量%未満含有(添加)する必要があり、好ましくは、0.2重量%以上0.31重量%未満含有させるのが良い。すなわちこの含有量が多過ぎる場合には、押出成形を安定させて行うことができず、所期の発泡体を得ることが困難であり、また逆に少な過ぎると、水に近似した見掛け密度を得ることが困難になるので、好ましくない。
【0026】
更にADCAとしては、粒子径が3μm以上、16μm未満、好ましくは下限値が3μm以上、上限値が11μm未満のものを使用するのが良い。すなわちこの粒子径が大き過ぎるものでは、連続気泡容積割合は増加するものの、貫通気泡容積割合が低下し、所期の発泡体を得ることが困難になり、逆に粒子径が小さ過ぎるものでは、連続気泡が形成され難く、担体として使用した場合に良好な流動性を得ることが困難になる。
【0027】
本発明においては、上記2種類の発泡剤の発泡温度を制御するために、尿素からなる助剤を、樹脂組成物中に添加する必要がある。
【0028】
この尿素は、樹脂組成物中の添加量を0.15重量%以上、0.40重量%未満に調整する必要があり、好ましくは上限値を0.31重量%未満に調整するのが良い。すなわち、尿素の添加量が上記規定範囲を逸脱すると、連続気泡容積割合が低下し、担体として使用した場合、良好な流動性を得ることが困難になる場合がある。
【0029】
更に本発明の樹脂組成物においては、必要に応じて、上記以外の添加剤を適宜添加するようにしても良い。
【0030】
本発明においては、以上の構成の樹脂組成物を、周知の押出機を用いて、押出発泡成形するものである。
【0031】
この押出成形時には、上記したように2種類の発泡剤の相乗効果によって、特有の気泡構造を有する押出発泡体が形成される。
【0032】
ここで上記押出成形時の条件は、特に限定されるものではなく、成形加工中の状況に応じて適宜設定すれば良いが、例えばシリンダ温度を180〜250℃、金型温度を200〜250℃に設定しておくのが良い。
【0033】
また本発明においては、図1及び図2に示すように、成形体をチューブ状に押し出して、チューブ状の流動床用微生物固定化担体(1)として使用するのが好ましい。
【0034】
こうして得られた流動床用微生物固定化担体(1)等の発泡体(1a)は、図3に示すように、周囲が完全に気泡壁に囲まれた独立気泡(2)と、少なくとも一部が発泡体(1a)の表面に通じる連続気泡とに区分され、更に連続気泡(3)は、発泡体(1a)の内表面及び外表面の双方に通じる貫通気泡(3a)と、発泡体(1a)の内表面及び外表面のうちいずれか一方のみに通じる半貫通気泡
(3b)とに区分される。
【0035】
そしてこの担体(1)においては、押出発泡体(1a)の全容積中における連続気泡(3)が占有する容積の割合(連続気泡容積割合)を、20〜70%、好ましくは下限値を40%以上、上限値が60%以下に調整するのが良い。すなわち連続気泡容積割合(多孔率)が低過ぎると、汚水処理装置における処理槽内に投入した場合に、担体(1)内に水分が十分に浸透せず、良好な流動性を得ることができず、更に微生物の付着効率も低下する恐れがある。逆に連続気泡容積割合が高過ぎると、担体強度の低下により、十分な耐久性等を得ることができない場合がある。
【0036】
また、上記担体(1)においては、連続気泡(3)の容積中における貫通気泡(3a)の割合(貫通気泡容積割合)を、20〜80%以上、好ましくは30%以上に調整するのが良い。すなわち貫通気泡(3a)は、半貫通気泡(3b)に比べて、水の浸透性が良いので、上記貫通気泡容積割合が、低過ぎる場合には、汚水への投入時、水との馴染み性に劣り、早期に良好な流動性を得ることが困難になる。また貫通気泡容積割合がいくら高くなろうとも、担体としての不利益は考えられないが、80%以上の貫通気泡容積割合を有する発泡体(1a)を、高い品質で押出発泡法により形成するのは困難である。
【0037】
更に担体(1)は、連続気泡(3)の容積を除外した押出発泡体(1a)の密度(見掛け密度)を、0.90〜1.00g/cm3 、好ましくは下限値を0.94g/cm3 以上、上限値を0.98g/cm3 以下に調整するのが良い。すなわち見掛け密度が、低過ぎる場合には、汚水内に投入した際に、上層部に浮遊してしまい、旋回流を強く与えても、均一に流動させることが困難になる恐れがある。逆に見掛け密度が高過ぎる場合には、均一に流動させるために強い旋回流を与える必要がある他、旋回流停止時には処理槽の底部に沈降するため、回収が困難になる恐れがある。
【0038】
なお参考までに、本発明により得られた発泡体からなる担体において全気泡を含む体積を基準とした密度(かさ密度)は、0.30〜0.70g/cm3 に調整される。
【0039】
また本発明の発泡体を、チューブ状の担体(1)として使用する場合、図2に示すように、外径(D)を、2〜20mm、好ましくは4mm以上、10mm以下に設定するのが良い。すなわち外径(D)が小さ過ぎるものは、押出成形により本発明特有の気泡構造を形成するのが困難であり、また逆に大き過ぎるものは、水との抵抗が大きくなり、流動性の点で不具合が生じる恐れがある。
【0040】
更に担体(1)の肉厚(T)は、外径(D)に対し4〜40%の厚さに、好ましくは5%以上、30%以下に設定するのが良い。すなわち肉厚(T)が厚過ぎるものは、貫通気泡(3a)を多量に形成できず、良好な流動性を得ることが困難になる恐れがある。
【0041】
なお押出成形においては、一般に、外径(D)が大きい方が押出速度が遅くなる。一方、本発明特有の気泡構造を形成するにあたって、押出速度が早過ぎると成形体表面に厚いスキン層が形成されて特有の気泡構造を形成するのが困難になってしまうので、押出速度は早い場合よりも遅い方が、つまり外径が小さいよりも大きい方が、肉厚(T)を薄く形成することができる。従って本発明においては、上記のように肉厚(T)は、外径(D)との関係で特定するのが最も適切であるが、具体的数値で特定した場合には、肉厚(T)は0.2〜2.0mm、特に下限値を0.3mm以上、上限値を1.5mm以下に設定するのが良い。
【0042】
また担体(1)の長さ(L)は、外径(D)に対し50〜200%、好ましくは100%以上、200%以下に設定するのが良い。すなわちこの長さが長過ぎる場合、水との抵抗が大きくなり、良好な流動性を得ることができない恐れがあり、また短かくカットしようとすると、成形体に割れ等が生じて、良好な品質の成形品が得られない恐れがある。なお、担体(1)の長さ(L)は、具体的数値で特定した場合、1〜40mm、好ましくは4mm以上、20mm以下に調整するのが良い。
【0043】
【実施例】
以下、本発明に関連した実施例、及びその効果を立証するための比較例について詳細に説明する。
【0044】
<実施例1>
【表1】
Figure 0003718570
上表1に示すように、ポリプロピレン(PP)樹脂100重量部に対し、炭酸カルシウムからなる無機充填材10重量部を配合し、更に高温分解型発泡剤として粒子径3μmのADCAが0.15重量%、低温分解型発泡剤として粒子径1μmのDPTが0.15重量%、助剤として尿素0.15重量%添加された担体用樹脂組成物を準備した。
【0045】
一方、担体製造装置として、図4に示すように、口径40mm、L/D=32のフルフライトスクリュータイプの単軸押出機(11)と、その押出機(11)によって発泡成形されたチューブ状の押出発泡体(1a)を冷却するための冷却水槽(12)と、冷却水槽(12)により冷却された発泡体(1a)を切断してペレット化するペレタイザー(13)とからなるものを準備した。
【0046】
この担体製造装置を用いて、上記樹脂組成物を成形加工し、外径4mm、肉厚0.5mm、長さ4mmのチューブ状の押出発泡体(1a)を得、樹脂系の担体とした。
【0047】
このときの押出条件は、スクリュー回転速度30rpm、シリンダ温度200〜250℃、金型温度250℃を基準として、成形体の状態により適宜変更して行った。
【0048】
<物性測定>
こうして得られた担体について、材料密度(g/cm3 )、見掛け密度(g/cm3 )、連続気泡容積割合(%)、貫通気泡容積割合(%)を以下の方法により測定した。
【0049】
(1)材料密度は、PP樹脂と無機充填材とを配合した組成物を、ラボプラストミルにより混練した後、圧縮成形にて100mm角の板に成形して、その重量と厚さから密度を求めた。
【0050】
(2)見掛け密度は、ガス置換式密度計を用いて測定した。従ってこの密度は、連続気泡の容積が除外された発泡体の密度に相当する。
【0051】
(3)連続気泡容積割合(多孔率)
電子顕微鏡により観察して、単位面積当たりの連続気泡のサイズを測定して容積を求め、その容積から連続気泡容積割合を求めた。
【0052】
(4)貫通気泡容積割合
電子顕微鏡により観察して、単位面積当たりの貫通気泡のサイズを測定して容積を求め、その容積と上記連続気泡の容積とから貫通気泡容積割合を求めた。
【0053】
<実施例2〜4>
上表1に示すような配合割合の樹脂組成物を、上記と同様にそれぞれ成形して、押出発泡体からなる担体をそれぞれ得、各担体に対して上記と同様に物性を測定した。
【0054】
<実施例5>
上表1に示すように、粒子径が3μmのADCAをやや多く添加するようにして、上記実施例2と同様に担体を得、同様に物性を測定した。
【0055】
<実施例6>
上表1に示すように、粒子径が14μmとやや大きい目のADCAを使用して、上記実施例4と同様に担体を得、同様に物性を測定した。
【0056】
<実施例7>
上表1に示すように、粒子径が10μmと大きめのDPTを使用して、上記実施例1と同様に、担体を得、同様に物性を測定した。
【0057】
<実施例8>
上表1に示すように、粒子径が15μmと大きめのADCAを使用して、上記実施例1と同様に、担体を得、同様に物性を測定した。
【0058】
<実施例9>
上表1に示すように、粒子径が2μmと小さめのADCAを使用して、上記実施例3と同様に、担体を得、同様に物性を測定した。
【0059】
<実施例10>
製造する担体の肉厚が1.5mm(外径に対し37.5%)と厚くなるように成形し、上記と同様に物性を測定した。
【0060】
<実施例11>
製造する担体の肉厚が0.18mm(外径に対し4.5%)と薄くなるように成形し、上記と同様に物性を測定した。
【0061】
<比較例1>
【表2】
Figure 0003718570
上表2に示すように、実施例に比べてADCAの添加量が過少の樹脂組成物を作製して、上記と同様に成形して担体を得、物性を測定した。
【0062】
<比較例2>
DPTの添加量が過少の樹脂組成物を作製し、上記と同様に成形して担体を得、物性を測定した。
【0063】
<比較例3>
尿素添加量が過少の樹脂組成物を作製し、上記と同様に成形して担体を得、物性を測定した。
【0064】
<比較例4>
ADCA添加量が過多の樹脂組成物を作製して、上記と同様に成形して担体を得、物性を測定した。
【0065】
<比較例5>
DPT添加量が過多の樹脂組成物を作製して、上記と同様に成形して担体を得、物性を測定した。
【0066】
<比較例6>
ADCA添加量及び尿素添加量が過多の樹脂組成物を作製して、上記と同様に成形して担体を得、物性を測定した。
【0067】
<比較例7>
DPTを添加せずに組成物を作製して、上記と同様に、成形して担体を得、物性を測定した。
【0068】
<評価>
上記の方法により得られた各担体に対して下記の評価を行った。
【0069】
(1)成形性
上記の押出機(11)において、高品質の発泡成形体が得られた場合は「○」、所定の品質の発泡成形体が得られた場合は「△」、押出条件を変更しても所定の品質の成形体が得られない場合は「×」として評価した。
【0070】
(2)流動性
直径20cm、高さ40cmの水槽に5リットルの水と0.5リットルの担体を入れて、水槽の底部より空気を毎分3リットルの割合で曝気を行い、1週間以内で均一に流動した場合は「○」、それよりも流動性は劣るものの、汚水処理として実用化できる程度に流動した場合は「△」、流動しない場合又は均一に流動しない場合は「×」として評価した。
【0071】
各評価結果を、上表1、2に併せて示す。
【0072】
以上の評価から理解できるように、本発明に関連した実施例の担体は、流動性及び成形性に優れている。特に各成分の配合割合や大きさ等を特定の範囲に設定したもの(実施例1〜4)は、より優れた流動性及び成形性を備えるものであった。また実施例7〜9に示すように、発泡体の粒子径の大きさが多少小さかったり、大きかったりすると、若干、成形性は劣るものの、所定の流動性を得ることが可能であった。更に実施例10に示すように担体の肉厚を厚くしたものは、若干、流動性は劣るものの実用化は可能であると考えられ、実施例11に示すように肉厚を薄くしたものは、若干、成形性は劣るものの、良好な流動性を得ることが可能であった。
【0073】
これに対し、本発明の要旨を逸脱する比較例の担体は、水槽への投入後、1週間が経過しても、均一に流動させることができず、水馴染み性に劣り、良好な流動性が得られなかったり、また押出成形さえできないものもあった。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、本発明の押出発泡体の製造方法によれば、水との馴染み性に優れて良好な流動性を有するとともに、安価で耐久性に優れ、更に廃棄処理時に周辺環境への悪影響が少ない流動床用微生物固定化担体を製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に関連した流動床用微生物固定化担体を示す斜視図である。
【図2】同図(a)は図1のA−A線断面図、同図(b)は図1のB−B線断面図である。
【図3】図2(a)の一点鎖線で囲まれる部分を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明方法に基づく担体製造装置を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1…担体
1a…発泡体

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂と無機充填材との配合物に、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)からなる低温分解型発泡剤が0.15重量%以上、0.40重量%未満、アゾジカルボンアミド(ADCA)からなる高温分解型発泡剤が0.15重量%以上、1.50重量%未満、尿素からなる助剤が0.15重量%以上、0.40重量%未満添加された樹脂組成物を準備し、
    前記樹脂組成物を、押出発泡成形により熱成形して、連続気泡を有する押出発泡体を得る一方、
    前記押出発泡体を流動床用微生物固定化担体として使用することを特徴とした押出発泡体の製造方法。
  2. 前記DPTとして、平均粒子径が10μm未満のものが使用されてなる請求項1記載の押出発泡体の製造方法。
  3. 前記ADCAとして、平均粒子径が3μm以上、16μm未満のものが使用されてなる請求項1又は2記載の押出発泡体の製造方法。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂と前記無機充填材との配合物における溶融状態の密度(材料密度)が、0.90〜1.20g/cm 3 に調整されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の押出発泡体の製造方法。
JP00449997A 1997-01-14 1997-01-14 押出発泡体の製造方法 Expired - Fee Related JP3718570B2 (ja)

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