JP3716991B2 - 2周波共用アンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2周波共用アンテナに係わり、特に、移動通信基地局アンテナや無線LAN(Local Area Network)のように、ほぼ倍の周波数帯域で使用する2周波共用アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
図21は、従来の2周波共用アンテナの一例の概略構成を示す側面図である。
同図に示す2周波共用アンテナでは、反射板1の反射面に対して、誘電体基板2が垂直になるように設けられる。
誘電体基板2の一方の面(裏面または表面)には、ダイポールアンテナ素子3、無給電素子9、および、給電回路を形成する分岐導体4が形成される。
ダイポールアンテナ素子3、および、分岐導体4は、例えば、プリント配線板で採用されているエッチング手法等を用いて形成される。
ダイポールアンテナ素子3は、第1および第2の放射素子(131,132)を有する。
分岐導体4には、長手方向のスロット21により、第1の分岐部141と、第2の分岐部142とが形成される。
ダイポールアンテナ素子3の第1および第2の放射素子(131,132)は、スロット21により分割された第1の分岐部141および第2の分岐部142に接続される。
5は、給電回路を構成する導体で、図21に示すように、誘電体基板2の他方の面(表面または裏面)に設けられる。
導体5は、分岐導体4の第1および第2の分岐部(141,142)とともに、分岐導体による平衡−不平衡変換回路(マイクロストリップ線路による平衡−不平衡変換回路)を構成する。
【0003】
図22は、図21に示す導体5の開放先端部の断面構造を示す断面図である。
図22に示すように、誘電体基板2における、導体5の開放先端部の位置にはスルーホール6が形成され、このスルーホール6内の導電体を介して、導体5の開放先端部は、第2の放射素子132に電気的に接続される。
反射板1には、コネクタ10が設けられ、その内部導体は、反射板1に穿った孔に挿入され、反射板1と電気的に接続される恐れがないようにして平衡−不平衡変換回路を構成する導体5に接続され、コネクタ10の外部導体は分岐導体4に接続される。
したがって、コネクタ10の芯線に入力された励振電力は、導体5、分岐導体4によるマイクロストリップ線路、およびスルーホール6内の導電体を経て、ダイポールアンテナ素子3に印加され、これにより、ダイポールアンテナ素子3が励振される。
図21に示す2周波共用アンテナでは、ダイポールアンテナ素子3に第1の周波数(f1)を共振させ、ダイポールアンテナ素子3から第1の周波数の電波を放射し、無給電素子9に、第1の周波数よりも高域の第2の周波数(f2;f2>f1)を共振させ、無給電素子9から第2の周波数の電波を放射する。
ここで、ダイポールアンテナ素子3を構成する導体の長さは、λ1/2(λ1は、第1の周波数(f1)の自由空間波長)に相当する長さとされる。
無給電素子9を構成する導体の長さは、λ2/2(λ2は、第2の周波数(f2)の自由空間波長)に相当する長さとされる。
なお、図21に示す2周波共用アンテナにおいて、図23に示すように、導体5の開放端側の折り返し部55の長さ(図23に示すL)を、λ1/4に相当する長さとして、図23に示すc点において、導体5を、第2の放射素子132に電磁的(交流的)に接続するようにしてもよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図21に示す従来の2周波共用アンテナでは、ダイポールアンテナ素子3に第1の周波数を共振させ、ダイポールアンテナ素子3から第1の周波数の電波を放射し、無給電素子9に、第1の周波数よりも高域の第2の周波数を共振させ、無給電素子9から第2の周波数の電波を放射することにより、2周波共用を図っている。
しかしながら、無給電素子9に充分な共振電流を流すためには、無給電素子9をダイポールアンテナ素子3に近接させる必要があり、無給電素子9の位置とダイポールアンテナ素子3の位置の調整が困難であった。
このように、図21に示す従来の2周波共用アンテナは、ダイポールアンテナ素子3の外側に無給電素子9を配置するだけあるので、一見簡単な構造に見えるが、実際は構造が複雑であるという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、簡単な構造で2周波共用を図ることが可能な2周波共用アンテナを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明は、図21に示す従来の2周波共用アンテナにおいて、ダイポールアンテナ素子の給電手段を構成していた分岐導体の各分岐部に、ダイポールアンテナ素子から放射される第1の周波数よりも高域の第2の周波数を放射するループアンテナ素子として機能する折り曲げ部あるいは湾曲部を設けたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の2周波共用アンテナの概略構成を示す側面図である。
本実施の形態の2周波共用アンテナは、無給電素子9が省略され、分岐導体4の各分岐部(141,142)が、折り曲げ部(401,402)を有する点で、図21に示す従来の2周波共用アンテナと相異する。
分岐導体4の各分岐部(141,142)の折り曲げ部(401,402)は、ダイポールアンテナ素子3から放射される電波の周波数よりも高域の周波数を放射するループアンテナ素子として機能する。
以下、分岐導体4の各分岐部(141,142)の折り曲げ部(401,402)を、ループアンテナ素子部という。
次に、図21に示す従来の2周波共用アンテナとの相異点を中心に本実施の形態の2周波共用アンテナについて説明する。
【0007】
図2は、本実施の形態の2周波共用アンテナの動作を説明するための図であり、図1において、導体5を省略した図である。
ダイポールアンテナ素子3から放射される電波の周波数をf1、波長をλ1とし、ループアンテナ素子部{各分岐部(141,142)の折り曲げ部(401,402)}の等価的な周囲長(図2に点線で示す長さ)が、f1の周波数の約2倍の周波数f2(f2≒2×f1)の1波長(λ2)とされる。
この場合に、ダイポールアンテナ素子3から放射されるf1の周波数に対しては、ループアンテナ素子部は、導体5とともに、分岐導体による平衡−不平衡変換回路(マイクロストリップ線路による平衡−不平衡変換回路)を構成する。
また、f2の周波数に対しては、ループアンテナ素子部は、ループアンテナ素子部の等価的な周囲長が1λ2となるので、1波長ループアンテナ素子として機能する。
このf2の周波数において、ダイポールアンテナ素子3の第1および第2の放射素子(131,132)は、先端開放半波長線路となるので、起電点(図2のA、B)から、ダイポールアンテナ素子3の第1および第2の放射素子(131,132)を見たときのインピーダンスは無限大となり、ダイポールアンテナ素子3と、ループアンテナ素子部とが、それぞれ独立した放射素子として機能する。
このように、本実施の形態の2周波共用アンテナは、図21に示す従来の2周波共用アンテナにおける、分岐導体の各分岐部の形状を変化させるだけの簡単な構造で、2周波共用を図ることが可能となる。
なお、分岐導体4の各分岐部(141,142)の折り曲げ部(401,402)に代えて、後述するような湾曲部を使用してもよい。
【0008】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2の2周波共用アンテナの概略構成を示す図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図である。
本実施の形態の2周波共用アンテナは、前述の実施の形態1の2周波共用アンテナをアレイ化し指向特性を改善したものである。
本実施の形態の2周波共用アンテナでは、反射板1の反射面に対して、スペーサ20を介して誘電体基板2が平行になるように設けられる。
誘電体基板2の一方の面(裏面または表面)には、第1および第2のダイポールアンテナ素子(31,32)、および、給電回路を形成する分岐導体(接地導体)4が形成される。
第1のダイポールアンテナ素子31と、第2のダイポールアンテナ素子32とは、誘電体基板2の中心点に対して線対称に形成される。
第1および第2のダイポールアンテナ素子(31,32)、および、分岐導体4は、例えば、プリント配線板で採用されているエッチング手法等を用いて形成される。
分岐導体4は、その中心が、誘電体基板2の中心点にほぼ一致しており、第1ないし第4の分岐部(141〜144)を有する。
ダイポールアンテナ素子31の第1および第2の放射素子(131,132)は、第1の分岐部141および第2の分岐部142に接続され、ダイポールアンテナ素子32の第1および第2の放射素子(131,132)は、第1の分岐部143および第2の分岐部144に接続される。
【0009】
51,52は、給電回路を構成する導体で、図3(a)に示すように、誘電体基板2の他方の面(表面または裏面)に、誘電体基板2の中心点に対して線対称に設けられる。
導体51は、分岐導体4の第1の分岐部141と第2の分岐部142とともに、導体52は、分岐導体4の第3の分岐部143と第4の分岐部144とともに、それぞれ分岐導体による平衡−不平衡変換回路(マイクロストリップ線路による平衡−不平衡変換回路)を構成する。
反射板1の裏面には、コネクタ10が設けられ、その内部導体は、誘電体基板2に穿った孔に挿入され、分岐導体4と電気的に接続される恐れがないようにして平衡−不平衡変換回路を構成する導体(51,52)の各内端相互の接続点に接続され、コネクタ10の外部導体は、分岐導体4に接続される。また、コネクタ10の外部導体は反射板1にも接続される。
本実施の形態の2周波共用アンテナにおいても、分岐導体4の各分岐部(141〜144)が、折り曲げ部(401〜404)を有し、各分岐部(141〜144)の折り曲げ部(401〜404)は、ダイポールアンテナ素子(31,32)から放射される電波の周波数(f1)よりも高域の周波数(f2)を放射するループアンテナ素子として機能する。
以下、分岐導体4の各分岐部(141〜144)の折り曲げ部(401〜404)を、ループアンテナ素子部という。
本実施の形態の2周波共用アンテナによれば、指向特性を改善することが可能となる。
【0010】
[実施の形態3]
図4は、本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナの概略構成を示す図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図である。
同図に示すように、本実施の形態の2周波共用アンテナは、一対の無給電素子(71,72)を設けた点で、前述の実施の形態2のアンテナと相異する。
反射板付きアンテナでは、反射板1と誘電体基板2との間の間隔は、反射板付きアンテナから放射される電波の周波数に基づき最適な範囲が知られている。
前述の実施の形態2の2周波共用アンテナでは、反射板1と誘電体基板2との間隔は、2周波共用アンテナから放射される高域の周波数f2の電波の波長λ2に基づいて決定される。そのため、2周波共用アンテナから放射される低域の周波数f1の電波では、反射板1と誘電体基板2との間の間隔が、最適な間隔よりも狭い間隔となる。
例えば、前述の実施の形態2の2周波共用アンテナから放射される高域の周波数f2が5.2GHz、低域の周波数f1が2.45GHzである場合に、反射板1と誘電体基板2との間隔を、0.26λ2に決定した場合、2周波共用アンテナから放射される低域の周波数f1の電波では、反射板1と誘電体基板2との間隔は、0.12λ1に相当する。
しかしながら、反射板1と誘電体基板2の間の間隔を狭くすると、入力インピーダンスの周波数変化が大きくなり、帯域特性が狭くなる。
そのため、本実施の形態の2周波共用アンテナでは、一対の無給電素子(71,72)を設け、反射板1と誘電体基板2の間の間隔を狭くしたときに、帯域特性が狭くなるのを防止している。
【0011】
無給電素子(71,72)は、誘電体基板2の他方の面(表面または裏面)に形成され、この無給電素子(71,72)は、例えば、プリント配線板で採用されているエッチング手法等を用いて形成される。無給電素子(71,72)は、菱形形状とされ、誘電体基板2の中心に対して線対称に設けられる。
無給電素子(71,72)の一方の端部171から他方の端部172までの、無給電素子(71,72)を構成する導体の中心(幅方向の中心)に沿った全長は、ほぼ0.5λ1より長く、かつ、1.5λ1より短くされる。
また、無給電素子71は、反射板1に垂直な方向から見た場合に、少なくとも一部が、第1のダイポールアンテナ素子31の第1の放射素子131と、第2のダイポールアンテナ素子32の第2の放射素子132との間に位置するように設けられ、無給電素子72は、反射板1に垂直な方向から見た場合に、少なくとも一部が、第1のダイポールアンテナ素子31の第2の放射素子132と、第2のダイポールアンテナ素子32の第1の放射素子131の間に位置するように設けられる。
本実施の形態では、反射板1と誘電体基板2の間の間隔をより狭くした場合に、ダイポールアンテナ素子(31,32)が反射板1に近接することにより増大するダイポールアンテナ素子(31,32)の開放端の電界を無給電素子(71,72)に結合させることにより、複同調回路の原理を用いて広帯域化を実現することができる。
また、ダイポールアンテナ素子(31,32)、および無給電素子(71,72)から放射される電磁波の相乗作用により利得を増大させることができる。
【0012】
図5は、本実施の形態の2周波共用アンテナの反射減衰量の周波数特性の一例を示すグラフである。
図6は、本実施の形態の2周波共用アンテナにおいて、ダイポールアンテナ素子(31,32)のみの場合の反射減衰量の周波数特性の一例を示すグラフである。なお、この図6では、無給電素子(71,72)は省略されている。
図7は、本実施の形態の2周波共用アンテナにおいて、ループアンテナ素子部のみの場合の反射減衰量の周波数特性の一例を示すグラフである。
図5〜図7に示すグラフは、ダイポールアンテナ素子(31,32)から放射される電波の周波数(f1)が2.45GHz、ループアンテナ素子部から放射される電波の周波数(f2)が5.2GHz、反射板1と誘電体基板2の間隔を、0.26λ2としたときの、コネクタ10から見た、負荷側の反射減衰量の周波数特性を測定した結果を示すグラフである。
図5、図6のグラフから分かるように、無給電素子(71,72)を設けることにより、VSWRが1.5以下となる帯域が広がっており、広帯域化が図られていることが分かる。
また、図5、図7のグラフから分かるように、ループアンテナ素子部のみの場合に比して、本実施の形態の2周波共用アンテナは、5.0GHz帯において、VSWRが1.5以下となる帯域がより広がっていることが分かる。
【0013】
図8は、本実施の形態の2周波共用アンテナにおける、ダイポールアンテナ素子(31,32)から放射される電波の電界面内指向性(図4に示すX−Z面)を示すグラフである。
図9は、本実施の形態の2周波共用アンテナにおける、ダイポールアンテナ素子(31,32)から放射される電波の磁界面内指向性(図4に示すY−Z面)を示すグラフである。
図8、図9のグラフはともに、周波数が2.45GHzの時の測定結果を示している。
図10は、本実施の形態の2周波共用アンテナにおける、ループアンテナ素子部から放射される電波の電界面内指向性(図4に示すX−Z面)を示すグラフである。
図11は、本実施の形態の2周波共用アンテナにおける、ループアンテナ素子部から放射される電波の磁界面内指向性(図4に示すY−Z面)を示すグラフである。
図10、図11のグラフはともに、周波数が5.2GHzの時の測定結果を示している。
これらのグラフから分かるように、本実施の形態の2周波共用アンテナは、Z軸方向の放射となる特性となっている。
【0014】
なお、本実施の形態において、無給電素子(71,72)の形状は、菱形形状に限定されるものではなく、無給電素子(71,72)は、図12に示すような四角形形状、または、図13に示すようなループ形状、あるいは、図14に示すような三角形形状であってもよい。
さらに、無給電素子(71,72)は、誘電体基板2の一方の面(裏面または表面)に形成してもよい。但し、本実施の形態のように、誘電体基板2の他方の面(表面または裏面)に形成したほうが、ダイポールアンテナ素子(31,32)と接触することがないので、無給電素子(71,72)を配置する場合の自由度が高くなる。
また、各分岐部(141〜144)の折り曲げ部(401〜404)に代えて、図15に示すように、湾曲部(501〜504)を使用してもよい。
【0015】
[実施の形態4]
図16は、本発明の実施の形態4のアンテナの概略構成を示す図である。
本実施の形態は、菱形形状の無給電素子(71,72)をX−Z面に対して対称になるよう分割した点で、前述の実施の形態3と相違する。
本実施の形態では、菱形形状の無給電素子71は、第1の分割素子701と第2の分割素子702とから構成され、同様に、菱形形状の無給電素子72は、第1の分割素子703と第2の分割素子704とから構成される。
前述の実施の形態3に示す菱形形状の無給電素子(71,72)は、無給電素子(71,72)を構成する導体の中心に沿った全長が、0.5λ1より長く、1.5λ1より短いため、無給電素子(71,72)には、ダイポールアンテナ素子(31,32)を構成する導体によって結合され、2つの定在波分布が形成される。
この定在波分布は、X−Z面において、電流分布が最小になる部分があるため、この部分で、菱形形状の無給電素子(71,72)を分割して、4つの分割素子(701,702,703,704)に置き換えても何ら特性に差異を生じない。本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様な作用・効果を得ることが可能となる。
なお、本実施の形態において、無給電素子(71,72)の形状は、菱形形状に限定されるものではなく、無給電素子(71,72)は、図17に示すような四角形形状、または、図18に示すようなループ形状、あるいは、図19に示すような三角形形状であってもよい。
さらに、無給電素子(71,72)は、誘電体基板2の一方の面(裏面または表面)に形成してもよい。
【0016】
[実施の形態5]
図20は、本発明の実施の形態5のアンテナの概略構成を示す図である。
本実施の形態では、菱形形状の無給電素子(71,72)を、X−Y面において、180°回転させた点で、前述の実施の形態3のアンテナと相違する。
前述したように、実施の形態3に示す菱形形状の無給電素子(71,72)は、無給電素子(71,72)を構成する導体の中心に沿った全長は、ほぼ0.5λ1より長く、1.5λ1より短いため、菱形形状の無給電素子(71,72)には、ダイポールアンテナ素子(31,32)を構成する導体によって結合され、2つの定在波分布が形成される。そのため、本実施の形態においても、前述の実施の形態3と同じ特性を得ることができる。
なお、図12〜図19に示すアンテナにおいても、無給電素子(71,72)を、X−Y面において、180°回転させることが可能である。
さらに、無給電素子(71,72)は、誘電体基板2の一方の面(裏面または表面)に形成してもよい。
【0017】
なお、前述の各実施の形態では、導体(5,51,52)の先端部と、ダイポールアンテナ素子(3,31,32)の放射素子とは、誘電体基板2に形成されたスルーホール内の導電体を介して電気的に接続されるが、導体(5,51,52)と、ダイポールアンテナ素子(3,31,32)の放射素子との間の電気的な接続は、図23に示すような、電磁的(交流的)な接続方法であってもよい。
以上説明したように、本実施の形態3〜4の2周波共用アンテナでは、簡単な構造で2周波共用を図ることが可能となる。
また、本実施の形態3〜4の2周波共用アンテナによれば、高域で指向特性を劣化させることなく、かつ、高利得で、低姿勢平面アンテナを実現することが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範図において種々変更可能であることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、構造が簡単な多周波共用アンテナを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の2周波共用アンテナの概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の2周波共用アンテナの動作を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態2の2周波共用アンテナの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナの反射減衰量の周波数特性の一例を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナにおいて、ダイポールアンテナ素子のみの場合の反射減衰量の周波数特性の一例を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナにおいて、ループアンテナ素子部のみの場合の反射減衰量の周波数特性の一例を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナにおける、ダイポールアンテナ素子から放射される電波の電界面内指向性を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナにおける、ダイポールアンテナ素子から放射される電波の磁界面内指向性を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナにおける、ループアンテナ素子部から放射される電波の電界面内指向性を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナにおける、ループアンテナ素子部から放射される電波の磁界面内指向性を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナの変形例の概略構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナの変形例の概略構成を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナの変形例の概略構成を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態3の2周波共用アンテナの変形例の概略構成を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態4の2周波共用アンテナの概略構成を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態4の2周波共用アンテナの変形例の概略構成を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態4の2周波共用アンテナの変形例の概略構成を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態4の2周波共用アンテナの変形例の概略構成を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態5の2周波共用アンテナの概略構成を示す図である。
【図21】従来の2周波共用アンテナの一例の概略構成を示す図である。
【図22】図21に示す導体の開放先端部の断面構造を示す断面図である。
【図23】従来の2周波共用アンテナの他の例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1…反射板、2…誘電体基板、31,32…ダイポールアンテナ素子、4…分岐導体、51,52…導体、6…スルーホール、71,72,9…無給電素子、10…コネクタ、131,132…放射素子、141〜144…分岐部、171,172…端部、20…スペーサ、21…スロット、401〜404…折り曲げ部、501〜504…湾曲部、55…折り返し部、701〜704…分割素子。
Claims (5)
- 第1および第2の放射素子を有し、第1の周波数の電波を放射するダイポールアンテナ素子と、
前記ダイポールアンテナ素子に励振電力を供給する給電手段とを備え、
前記給電手段は、先端部が前記第1の放射素子に接続される第1の分岐部と、先端部が前記第2の放射素子に接続される第2の分岐部とを有する分岐導体を有し、
前記各分岐部は、前記第1の周波数よりも高域の第2の周波数を放射するループアンテナ素子として機能する折り曲げ部あるいは湾曲部を有することを特徴とする2周波共用アンテナ。 - 反射板と、
前記反射板の前面に配置される誘電体基板と、
前記誘電体基板の一方の面に設けられ、第1の周波数の電波を放射する第1および第2のダイポールアンテナ素子と、
前記ダイポールアンテナ素子に励振電力を供給する給電手段とを備え、
前記各ダイポールアンテナ素子は、第1および第2の放射素子を有し、
前記給電手段は、前記誘電体基板の一方の面に設けられる分岐導体を有し、
前記分岐導体は、先端部が前記第1のダイポールアンテナ素子の前記第1の放射素子に接続される第1の分岐部と、先端部が前記第1のダイポールアンテナ素子の前記第2の放射素子に接続される第2の分岐部と、先端部が前記第2のダイポールアンテナ素子の前記第1の放射素子に接続される第3の分岐部と、先端部が前記第2のダイポールアンテナ素子の前記第2の放射素子に接続される第4の分岐部とを有し、
前記第1および第2の分岐部は、前記第1の周波数よりも高域の第2の周波数を放射する第1のループアンテナ素子として機能する折り曲げ部あるいは湾曲部を有し、
前記第3および第4の分岐部は、前記第2の周波数を放射する第2のループアンテナ素子として機能する折り曲げ部あるいは湾曲部を有することを特徴とする2周波共用アンテナ。 - 前記誘電体基板の一方の面、あるいは他方の面に設けられる第1および第2の無給電素子とを備え、
前記各無給電素子の幅方向の中心に沿った長さをL、前記第1の周波数の自由空間波長をλ1とするとき、0.5λ1≦L≦1.5λ1を満足することを特徴とする請求項2に記載の2周波共用アンテナ。 - 前記第1の無給電素子は、前記反射板に垂直な方向から見た場合に、少なくとも一部が、前記第1のダイポールアンテナ素子の第1の放射素子と、前記第2のダイポールアンテナ素子の第2の放射素子との間に位置するように設けられ、
前記第2の無給電素子は、前記反射板に垂直な方向から見た場合に、少なくとも一部が、前記第1のダイポールアンテナ素子の第2の放射素子と、前記第2のダイポールアンテナ素子の第1の放射素子との間に位置するように設けられことを特徴とする請求項3に記載の2周波共用アンテナ。 - 前記各無給電素子の少なくとも一方は、中央部で2つに分割されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の2周波共用アンテナ。
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