JP3716759B2 - 防音床暖房装置への配線や配管の連絡用下地材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部屋の床に防音床暖房装置を敷設したとき部屋の壁際等から電気配線や温水配管を連絡させる配線や配管を行うのに用いる連絡用下地材の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に防音床暖房装置Aは図6に示すように暖房用下地材1の上に木質床材等の床表層材2を敷設して形成されている。暖房用下地材1は繊維マットのようなマット材3の下に発泡樹脂等のクッション材4を積層一体化し、クッション材4の下に不織布等の裏打ち材5を積層して形成されており、温水暖房する場合には暖房用下地材1に配管溝6を凹設して配管溝6に温水パイプ7を配管すると共に必要に応じて温水パイプ7を配管溝6に粘着剤にて固定し、暖房用下地材1の上面全面にアルミニウム箔のような均熱シート9が貼られる。電気暖房の場合は、暖房用下地材1の上に面状ヒータ等が装着される。
【0003】
このような防音床暖房装置Aは部屋の床の上に直貼りで取り付け施工されるのであるが、暖房が必要な箇所だけに防音床暖房装置Aが敷設され、暖房が必要でない周辺等には暖房機能のない防音床が敷設される。実際の施工では図7に示すように床暖房の必要箇所に温水パイプ7や面状ヒータ等を装着した暖房用下地材1が敷設され、上記暖房用下地材1と同じであるが暖房機能のない防音下地材10が残りの部分に敷設され、暖房用下地材1及び防音下地材10の全面に亙るように床表層材2が敷設される。
【0004】
ところで、上記防音床暖房装置Aは部屋の中央部等の暖房の必要な部分に設けられるため、給電したり給湯したりするために部屋の壁際から防音床暖房装置Aまで配線や配管を通す必要がある。この配線や配管を通す場合、床表層材2と防音下地材10との間に通す必要があるが、配線や配管を通すために防音下地材10の上面に配線や配管を通す溝を穿設する必要があるが、現場でこのような溝を穿設するには非常に手間がかかると共に技術を要し、施工が困難になるという問題がある。
【0005】
そこで上記配線や配管を通す部分に用いる下地材として予め溝を凹設した連絡用下地材を用意しておき、これを敷設してから配線や配管を通すことが考えられるが、施工現場によって配線や配管を通す経路は様々であり、これに対応するために多数の種類の連絡用下地材を用意しておかなければならないという問題がある。
【0006】
本発明は叙述の点に鑑みてなされたものであって、1種類の部材で様々や連絡用の配線や配管の経路に対応でき、しかも施工者によってばらつきなく容易に施工できる防音床暖房装置への配線や配管の連絡用下地材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の防音床暖房装置への配線や配管の連絡用下地材B(以下、連絡用下地材Bという)は、部屋の床に敷設した防音床暖房装置Aに部屋の壁11際等から電気配線や温水配管を連絡させる配線や配管を行うのに用いる連絡用下地材であって、切断可能な材質で矩形板状に形成された下地材12に配線や配管を通して収納する上面開口の収納溝13が形成され、収納溝13は下地材12の幅方向の略中央で下地材12の長手方向に亙るように形成された直線収納溝13aと、下地材12の長手方向の両端部に下地材12の幅の略半分の半径で略1/4円状に形成された円弧状収納溝13b,13cとで構成され、直線収納溝13aの長手方向の端部と下地材12の長手方向の両端の端部の円弧状収納溝13b,13cの一端とが連通させられると共に円弧状収納溝13b,13cの他端は下地材12の側端で開口され、下地材12の幅Wと円弧状収納溝13b、13cの円弧の中心から下地材12の長手方向の端までの距離を同じとし、下地材12を円弧状収納溝13b、13cの円弧の中心を通る部分で幅方向に切断して得られる円弧状収納溝13cを備えた切断連絡用下地材の向きを逆にすると、該切断連絡用下地材の円弧状収納溝13cの一端部が直線状収納溝13aに連通され且つ該円弧状収納溝13cの曲げ方向が他方の円弧状収納溝13bとは逆向きになる連絡用下地材Bを組み立てることができることを特徴とする。上記のように連絡用下地材Bを形成したことにより、連絡用下地材Bをそのまま用いたり、下地材12の長手方向の適所で幅方向に切断することにより、直線状や種々の形状に曲がった収納溝13を有する切断材を形成でき、1種類の連絡用下地材Bにて様々な連絡用の配線や配管の経路に対応することができる。また予め収納溝13を設けてあると共に下地材12の長手方向の適所で切断するだけのために施工者によって施工のばらつきを生じたりすることなく容易に施工できる。
【0008】
また上記下地材12に防音床暖房装置Aの下地と同等の防音性能を付与したことを特徴とすることも好ましい。この場合、連絡用下地材Bを敷設して連絡用の配線や配管を通した部分も防音床暖房装置Aと同等の防音性能を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
連絡用下地材Bは図1や図2に示すように切断可能な材料にて矩形状に形成せる下地材12に収納溝13を穿設して形成されており、この連絡用下地材Bの長さLは例えば1818mmであり、幅Wは例えば150mmである。下地材12はマット材15の下にクッション材16を積層一体化し、クッション材16の下に裏打ち材17を積層一体化して形成されている。マット材15は、麻、綿、パームなどの天然繊維やPET、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成繊維、或いはそれらの混合繊維とバインダーなどからなる繊維系マットである。クッション材16は独立気泡または連続気泡の樹脂発泡体等であり、独立気泡樹脂発泡体としては例えば発泡ポリエチレン、連続気泡発泡体としては例えば発泡ウレタンが用いられる。裏打ち材17としては不織布が用いられ、PETやレーヨンなどからなるものが用いられる。
【0010】
下地材12の上面には上面を開口せる収納溝13が形成されるが、下地材13の長手方向の両端部を除く部分には下地材12の幅方向の略中央で下地材12の長手方向に亙る直線収納溝13aが形成され、下地材12の長手方向の両端では下地材12の幅の略半分の半径で1/4円状の円弧状収納溝13b,13cが形成されている。そして円弧状収納溝13b,13cの一端は直線収納溝13aに連通しており、円弧状収納溝13b,13cの他端は下地材12の長手方向と平行な側端面に開口している。上記のように収納溝13が形成されるが、収納溝13はマット材15を貫通するように形成してあり、この収納溝13の底部のクッション材16に対応する部分には粘着剤8を装着してある。
【0011】
図1に示す連絡用下地材Bは温水暖房するとき連絡用の配管を通すものであり、図2に示す連絡用下地材Bは電気暖房するとき連絡用の配線を通すものであるが、基本的に同じである。ただ温水暖房用の連絡用下地材Bと電気暖房用の連絡用下地材Bとは、温水暖房用の方が収納溝13の幅広いが電気暖房用の方が収納溝13の幅が狭く、また温水暖房用の方が下地材12の厚さが厚いが電気暖房用の方が下地材12の厚さが薄い点が異なる。温水暖房用の連絡用下地材Bの場合、連絡用の配管としての往路用及び復路用の温水パイプ18a,18bを図1(b)のように通して収納され、粘着剤8に粘着して保持される。電気暖房用の連絡用下地材Bの場合、連絡用の配線としてのケーブル19が図2(b)のように通して収納され、粘着剤8に粘着して保持される。
【0012】
上記のように構成せる連絡用下地材Bはそのままの状態で用いることができるが、下地材12が切断可能な材料にて形成されているために下地材12の長手方向の適宜の位置で幅方向に切断することができ、図3に示すように様々な収納溝13の形態を有する切断連絡用下地材B1,B2、B3…を形成できる。なお、図3(g)のように円弧状収納溝13b,13cの円弧の中心を通る部分で切断して向きを逆にすると、図1(a)や図2(a)の想像線に示すように円弧状収納溝13bと円弧状収納溝13cが逆向きになる連絡用下地材Bを組み立てることができる。
【0013】
図4は温水床暖房を行うときの施工途中の状態を示す。図4で20は部屋の入口であり、11は部屋の周囲の壁である。部屋の床暖房の必要な箇所には温水暖房用の温水パイプ7が装着された暖房用下地材1が敷設され、ボイラーからの配管が部屋に導入される壁11際から暖房用下地材1の温水パイプ7のヘッダー23まで配管する経路に沿って連絡用下地材Bが並べて敷設される。このとき切断しない連絡用下地材Bや適宜位置で切断した切断連絡用下地材B1,B2,B3…が並べられて配管する経路に沿って敷設される。そして収納溝13に沿って往路用及び復路用の温水パイプ18a,18bを通して収納される。連絡用下地材Bを敷設した後、床の残りの部分に防音下地材が敷設され、暖房用下地材1、連絡用下地材B及び防音下地材の上面の全面に亙って床表層材が敷設される。
【0014】
図5は電気床暖房を行うときの施工途中の状態を示す。部屋の床暖房の必要な箇所には電気暖房用のヒータ21が装着された暖房用下地材1が敷設され、電源がある壁11際からヒータ21まで配線する経路に沿って連絡用下地材Bが並べて敷設される。このときも、切断しない連絡用下地材Bや適宜位置で切断した切断連絡用下地材B1,B2,B3…が並べられて配線する経路に沿って敷設される。そして収納溝13に沿ってケーブル19を通して収納される。連絡用下地材Bを敷設した後、床の残りの部分に防音下地材が敷設され、暖房用下地材1、連絡用下地材B及び防音下地材の上面の全面に亙って床表層材が敷設される。
【0015】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明の連絡用下地材は、切断可能な材質で矩形板状に形成された下地材に配線や配管を通して収納する上面開口の収納溝が形成され、収納溝は下地材の幅方向の略中央で下地材の長手方向に亙るように形成された直線収納溝と、下地材の長手方向の両端部に下地材の幅の略半分の半径で略1/4円状に形成された円弧状収納溝とで構成され、直線収納溝の長手方向の端部と下地材の長手方向の両端の端部の円弧状収納溝の一端とが連通させられると共に円弧状収納溝の他端は下地材の側端で開口され、下地材の幅と円弧状収納溝の円弧の中心から下地材の長手方向の端までの距離を同じとし、下地材を円弧状収納溝の円弧の中心を通る部分で幅方向に切断して得られる円弧状収納溝を備えた切断連絡用下地材の向きを逆にすると、該切断連絡用下地材の円弧状収納溝の一端部が直線状収納溝に連通され且つ該円弧状収納溝の曲げ方向が他方の円弧状収納溝とは逆向きになる連絡用下地材を組み立てることができるものであるので、連絡用下地材をそのまま用いたり、下地材の長手方向の適所で幅方向に切断することにより、直線状や種々の形状に曲がった収納溝を有する切断材を形成でき、1種類の連絡用下地材にて様々な連絡用の配線や配管の経路に対応することができるものであり、また予め収納溝を設けてあると共に下地材の長手方向の適所で切断するだけのために施工者によって施工のばらつきを生じたりすることなく容易に施工できるものである。
【0016】
また本発明の請求項2の発明は、請求項1において、下地材に防音床暖房装置の下地と同等の防音性能を付与したので、連絡用下地材を敷設して連絡用の配線や配管を通した部分も防音床暖房装置と同等の防音性能を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の連絡用下地材の一例の平面図、(b)は収納溝に配管を施した状態の連絡用下地材の断面図である。
【図2】(a)は同上の連絡用下地材の他例の平面図、(b)は収納溝に配線した状態の断面図である。
【図3】(a)乃至(g)は連絡用下地材を切断した状態の例の平面図である。
【図4】同上の連絡用下地材の敷設状態の一例を示す平面図である。
【図5】同上の連絡用下地材の敷設状態の他例を示す平面図である。
【図6】防音床暖房装置の一部切欠断面図である。
【図7】床を施工する状態を説明する分解斜視図である。
【符号の説明】
A 防音床暖房装置
B 連絡用下地材
11 壁
12 下地材
13 収納溝
13a 直線収納溝
13b 円弧状収納溝
13c 円弧状収納溝
Claims (2)
- 部屋の床に敷設した防音床暖房装置に部屋の壁際等から電気配線や温水配管を連絡させる配線や配管を行うのに用いる連絡用下地材であって、切断可能な材質で矩形板状に形成された下地材に配線や配管を通して収納する上面開口の収納溝が形成され、収納溝は下地材の幅方向の略中央で下地材の長手方向に亙るように形成された直線収納溝と、下地材の長手方向の両端部に下地材の幅の略半分の半径で略1/4円状に形成された円弧状収納溝とで構成され、直線収納溝の長手方向の端部と下地材の長手方向の両端の端部の円弧状収納溝の一端とが連通させられると共に円弧状収納溝の他端は下地材の側端で開口され、下地材の幅と円弧状収納溝の円弧の中心から下地材の長手方向の端までの距離を同じとし、下地材を円弧状収納溝の円弧の中心を通る部分で幅方向に切断して得られる円弧状収納溝を備えた切断連絡用下地材の向きを逆にすると、該切断連絡用下地材の円弧状収納溝の一端部が直線状収納溝に連通され且つ該円弧状収納溝の曲げ方向が他方の円弧状収納溝とは逆向きになる連絡用下地材を組み立てることができることを特徴とする防音床暖房装置への配線や配管の連絡用下地材。
- 上記下地材に防音床暖房装置の下地と同等の防音性能を付与したことを特徴とする請求項1記載の防音床暖房装置への配線や配管の連絡用下地材。
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