JP3716732B2 - 有機化合物及びそれを用いた素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、新規な有機化合物、特に、有機電界発光素子(以下、有機EL素子という)の発光材料やその他機能素子材料等として有用な有機化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、機能性有機膜としては、C66(ベンゼン環)やC−H結合を主体とした構造の化合物が一般的に用いられている。また、CとH元素の他に、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)等の元素を用い、多様な機能性の有機膜が形成されている。これらの有機材料、有機薄膜は、電気絶縁膜、非線形光学材料、有機EL素子の正孔輸送層、電子輸送層など、光デバイスや電子デバイス等の機能素子に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来用いられてきた機能性有機材料のC−H結合は、結合エネルギーがやや小さいため、紫外光照射や高電界が印加されることによって、C−H結合が切断され、材料の劣化が進むという欠点がある。
【0004】
一方、C−F結合を主体とした材料としてポリテトラフルオロエチレン(商標名「テフロン」)などの高分子材料は、耐熱性や化学的な安定性に優れているが、バンドギャップが大きい絶縁体であるため、用途が限定されている。特に、キャリア輸送性、発光性等の機能が要求される有機EL素子等のような機能素子において、要求される機能性有機材料として使用することはできなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされ、熱的、化学的な安定性を保ちつつ様々な機能を備えた新規な有機化合物を提供することを目的とする。また、他の目的は、上記新規有機化合物を用いた有機EL素子などの機能素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る新規有機化合物は、3個以上の芳香族環が互いの任意位置で結合した骨格を有し、炭素原子Cの数が18以上で炭素原子Cとフッ素原子Fのみから構成され、下記化合物A、B、C、E、F及びZのうちのいずれかである。
【化11】
Figure 0003716732
【化12】
Figure 0003716732
【化13】
Figure 0003716732
【0007】
本発明の更に別の特徴は、3個以上の芳香族環が互いの任意位置で結合した骨格を有し、炭素原子Cの数が18以上で炭素原子Cとフッ素原子Fのみから構成され、下記化学式(1)又は化学式(2)
【化14】
Figure 0003716732
【化15】
Figure 0003716732
に示す構造で表される有機化合物であることである。
【0008】
本発明の他の特徴に係る有機化合物は、ナフタレン環以上のポリアセン環が任意の位置で直接結合し、全ての水素がフッ素で置換され、下記化合物I〜Mのうちのいずれかである
【化16】
Figure 0003716732
【0009】
他の特徴は、上記有機化合物が、組成式C10n6n+2又はC14n8n+2又はC18n10n+2又はC22n12n+2のいずれかで表される化合物であることである。
【0010】
本発明の更に別の特徴は、有機薄膜を有する有機電界発光素子において、この有機薄膜が下記化合物Dあるいは上記有機化合物を含むことである。
【化17】
Figure 0003716732
【0011】
また更に別の特徴は、電極間に、少なくとも1層の有機化合物層が形成された有機電界発光素子において、前記有機化合物層が、上記化合物Dあるいは上記有機化合物を含む事である。
【0012】
上記本発明の有機化合物は、C−H結合を持たない芳香族環、例えばC66(フルオロベンゼン)が、いくつか結合し(少なくとも3個)、或いはC108(フルオロナフタレン)以上のアセン環が幾つか結合し、CとFのみから構成される。このようなC−CとC−Fのみから構成される化合物は、熱力学的な安定性が増し、ガラス転移温度や融点が上がる。従って、C−F結合を有する有機膜を用いたデバイスは、その耐久性や寿命を向上させることが可能となる。
【0013】
更に、本発明の有機化合物は、芳香族環が複数結合して構成されているので分子中にπ共役系が広がった構造を備えており、キャリア輸送性等の優れた特性を発揮する。また、本発明の有機化合物は、電子物性的にみるとFの電気陰性度がHに比べても非常に大きいため、芳香族環(例えばベンゼン環、ナフタレン環又はそれ以上のアセン環)からF側に電子が引き抜かれ、C−H化合物に比べて陰極からの電子の注入が容易になる。
【0014】
このようなキャリア(電子や正孔)輸送性は、上述のようにFの高い電気陰性度に起因して芳香族環(例えばベンゼン環)からF側に電子が引き寄せられ、分子のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)、HOMO(highest occupied molecular orbital)準位が低下し、電子の有機化合物層内への注入が容易になるためと考えられる。また、更に、分子中に共役系が広がっているため、層内に注入された電子や正孔の移動度が大きく、電子や正孔を効率よく運ぶことができるためであると考えられる。
【0015】
従って、上記本発明の有機化合物は有機EL素子等の機能素子の機能材料として用いることができ、また、この有機化合物の使用により素子抵抗を低減して、素子の動作電圧を低下させることが可能となる。例えば、有機EL素子の有機層、例えば電子輸送層に本発明の有機化合物を用いた場合、C−H系有機化合物からなる電子輸送層に比べ電子注入特性が向上するとともに、移動度が大きいため、有機EL素子の駆動電圧が低下する。
【0016】
本発明の別の特徴は、陽極と陰極との間に有機化合物層が形成された有機電界発光素子において、前記有機化合物層のうち、前記陰極と有機発光層との間には、上記化合物Dあるいは上記有機化合物を含む正孔遮蔽層を備えることである。
【0017】
本発明の有機化合物は、上述のように安定な化合物でありHOMOレベルが低い。よって、例えば有機EL素子において本発明の有機化合物を含む層は、一般的な正孔輸送層や発光層に比べてHOMOレベルが低いため、正孔をブロックすることができる。このため、このような正孔ブロッキング層として用いると、正孔を有機発光層に閉じこめることが可能となり素子の発光効率の向上を実現できる。
【0018】
なお、素子の電極に対する本発明のC−F化合物の障壁高さが小さくなるように電極材料を選択すれば、本発明のC−F化合物層への正孔注入が可能となり、注入された正孔の移動度は上述のように充分に大きいので、有機EL素子などの正孔輸送層として用いることも可能である。
【0019】
本発明の他の特徴は、電極間に有機化合物層を備える有機電界発光素子であって、該素子を覆う保護膜として上記化合物Dあるいは上記有機化合物を用いたことである。
【0020】
C−H系化合物を用いたデバイス保護膜に比べ、本発明のC−F化合物は、分子同士の相互作用が低く、表面エネルギーが低下するので、良好な撥水性の特性を示す。このためデバイス等への水分の侵入を防止する保護膜としての高い効果が現れる。例えば現在有機EL素子において水分がその素子寿命に非常に深刻な影響を及ぼすことが知られているが、このような耐水性の低い素子などの保護膜として上述のような本発明のC−F化合物を用いることで、その化合物の高い撥水性が素子中に侵入する水分量を減らすことができ、デバイスの耐久性・寿命を改善することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の好適な実施の形態(以下実施形態という)について説明する。
【0022】
[実施形態1]
本実施形態の有機化合物は、3個以上の芳香族環が互いの任意位置で結合した骨格を有し、炭素原子Cの数が18以上で炭素原子Cとフッ素原子Fのみから構成される。
【0023】
この化合物の一例としては、下記化学式
【化18】
Figure 0003716732
【化19】
Figure 0003716732
に示すような組成式がC6n4n+2で表される有機化合物A,B,C,D,E,F,Zが挙げられる。これらいずれの有機化合物も過フッ化芳香族環を3個以上有し、共役系の発達した構造を備える。
【0024】
また、本実施形態の有機化合物の他の例としては、下記化学式
【化20】
Figure 0003716732
【化21】
Figure 0003716732
に示す構造の化合物G、Hが挙げられる。
【0025】
上記化合物の内、例えば化合物B、化合物C、化合物E、化合物G、化合物Hなどは、特に、それらのパラ位に他の過フッ化芳香族環が結合して共役系が広く発達した分子構造を備えている。
【0026】
本実施形態の有機化合物の他の例は、ナフタレン環以上のポリアセン環が任意の位置で直接結合し、全ての水素がフッ素で置換されている有機化合物である。この化合物の一例としては、組成式C10n6n+2又はC14n8n+2又はC18n10n+2又はC22n12n+2のいずれかで表される化合物が挙げられる。より具体的には、下記に示すような構造の化合物I、J、K、L、Mが挙げられる。
【化22】
Figure 0003716732
【0027】
これら本実施形態の有機化合物は、撥水性を備えると共に熱力学的な安定性が高く、そのガラス転移温度や融点が高い。また、芳香族環が複数結合して構成されているので分子中にπ共役系が広がった構造を備えており、キャリア輸送性等において優れた特性を発揮する。特に、これらの有機化合物では、Fの電気陰性度がHに比べて非常に大きいため芳香族環(例えばベンゼン環、ナフタレン環又はそれ以上のアセン環)からF側に電子が引き抜かれ、分子のLUMO、HOMOレベルが低く、C−H化合物に比べてキャリア、特に電子移動性に優れる。
【0028】
[実施形態2]
本実施形態2では、上記実施形態1において例示した3個以上の芳香族環が任意位置で結合した骨格を有し炭素原子数が18以上、かつ炭素原子Cとフッ素原子Fのみから構成される有機化合物(フッ化化合物)を光デバイスや電子デバイスの有機薄膜の材料として用いる。
【0029】
これらのデバイスの具体例として、以下において、電極間に少なくとも1層の有機化合物層が形成されている有機EL素子を例に挙げて説明する。
【0030】
図1に実施形態2に係る有機EL素子の概略構造を示す。有機EL素子は、透明基板10上に第1電極12と、電界の印加により発光する有機化合物層20と第2電極16とが順に積層されて構成されている。
【0031】
透明基板10としては、ガラス基板、透明セラミックス基板、ダイヤモンド基板等を用いることができる。第1電極12としては、高い光透過性および導電性を有する透明電極が用いられ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO2、In23、ポリアニリン等の薄膜材料を用いることができる。
【0032】
有機EL素子において、有機化合物層20は、電界の印加により発光する部位であり、例えば発光層の単層構造、正孔輸送層と発光層の2層構造、正孔輸送層と発光層と電子輸送層の3層構造などから構成される。単層、多層どちらで構成される場合もあり、有機化合物層20の厚みは、例えば数十から数百nmである。本実施形態2では、有機化合物層20は、陽極−陰極間に正孔輸送層22、発光層24、電子輸送層26の3層が形成された構成を採用しており、この内の電子輸送層26の材料として上記実施形態1にて説明したフッ化化合物(C−F化合物)を用いている。
【0033】
有機化合物層14の上に形成されている第2電極16としては、例えばMg、Ag、Mg−Ag合金、Al−Li合金、LiF/Al等の金属電極が用いられている。
【0034】
3層構造の有機化合物層20において、正孔輸送層22としては例えばトリフェニルアミン4量体(TPTE)が使用可能である。また、発光層24としては例えばキノリノールアルミ錯体(Alq3)が使用可能である。なおこれら正孔輸送層22及び発光層24には、上記例に限らず、現在知られている正孔輸送機能分子、発光機能分子を用いることができる。
【0035】
正孔輸送層材料としては、例えば、以下のような材料を用いることができる。芳香族第3級アミン、ヒドラゾン、カルバゾール、または、それらの誘導体。芳香族第3級アミンは、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(α−NPD)などのトリフェニルアミンやその多量体、または、分子内にスピロセンターを有するものや、トリアリールアミンなどの、いわゆるπ電子系スターバースト分子であってもよい。
【0036】
発光層材料としては、例えば、以下のような材料を用いることができる。薄膜状態において高い蛍光量子収量を与える材料、例えば、オキサチアゾール、フェナントレン、トリアゾール、キナクリドン、ルブレン、クマリンもしくはそれらの誘導体、あるいは、8−ヒドロキシキノリンなどのキノン誘導体とアルミニウム、亜鉛、ペリリウムなどとの金属錯体の単独または組み合わせ。
【0037】
また、電子輸送層26としては、上述のように実施形態1のC−F化合物を用いる。
【0038】
以上のような構成の有機EL素子において、第1電極12を陽極として、第2電極16を陰極として用い、陽極から注入される正孔を正孔輸送層が発光層に輸送し、陰極から注入される電子を上述のフッ化化合物からなる電子輸送層が高効率に輸送することで有機化合物層20に正孔及び電子が注入され、発光層24の層内で正孔と電子が再結合し、発光材料が励起されて蛍光が得られる。
【0039】
ここで、従来より電子輸送機能分子としても知られているAlq3と電子輸送層26として用いた上記実施形態1に示すC−F化合物とを比較すると、Alq3のLUMO準位を表す還元電位は、−2.38Vであるのに対して、C−F化合物は、−2.17〜−2.49Vである。電子輸送層26を構成する有機膜のLUMO準位は、それが低いほど、例えばAlを用いた陰極から電子が注入されやすいことを表す。従って、本発明のC−F化合物からなる電子輸送層26には、Al電極から容易に電子を注入することができ、C−F化合物を電子輸送層26として用いることで有機EL素子の立ち上がり電圧(発光閾値電圧)を低くすることが容易となる。
【0040】
特に、上記実施形態1のフッ化化合物の内、フルオロベンゼン環が互いのパラ位で結合して共役系が長く延びた構造の化合物、例えば化合物E、化合物H、化合物Gなどが高い電子移動度を示すため、これらは有機EL素子の電子輸送層の材料として優れている。
【0041】
また、実施形態1の化合物のなかで、例えば組成式C10n6n+2、C14n8n+2、C18n10n+2、C22n12n+2で表されるナフタレン環以上のポリアセンが任意位置で直接結合したフッ化化合物も優れている。例えば上述の化合物I、J、K、L、Mなどは、熱的・化学的安定性を保ちながらも、π共役系が非常に長く、高い電子移動度を示し、有機EL素子の電子輸送材料として優れている。
【0042】
また、本発明に係るC−F化合物は、C−F結合エネルギーがC−H結合より大きく熱的な安定性に優れる。このため有機EL素子の劣化の重要な要因として知られる素子駆動中の素子温度上昇に対し、本発明に係るC−F化合物を用いた電子輸送層は優れた耐熱性、即ち優れた膜安定性を示し、素子の輝度半減寿命の延長に大きく寄与する。
【0043】
[実施形態3]
上記実施形態2では、本発明のC−F化合物を有機EL素子の電子輸送層材料として用いているが、実施形態3においては、電極(陰極)と有機発光層との間に設けて正孔遮蔽層として用いる。図2は、本実施形態3に係る有機EL素子の概略構成を示す。基板10の上に第1電極12、有機化合物層20、第2電極16が形成され、有機化合物層20は、正孔輸送層22、発光層24及び電子輸送層28から構成されている。更に、陰極となる第2電極16と、発光層24との間、より具体的には電子輸送(Alq3)層28と発光(Alq3)層24との間に実施形態1において説明したC−F化合物を用いた正孔遮蔽層30を形成している。
【0044】
有機EL素子は、上述のように陰極と陽極から発光層に電子と正孔を注入し発光層で再結合させて発光を得る。このような有機EL素子において発光効率を向上させるためには、発光層内で効率的に電子と正孔とが再結合する必要がある。現在、発光材料として多用されているアルミキノリノール錯体(Alq3)は、電子輸送機能を兼用する発光材料として知られている。そして、このAlq3内は、電子を主として輸送するが、正孔も輸送する。従って、電子輸送層兼用の発光層としてAlq3層を形成した場合、陽極から正孔輸送層をへて発光層(Alq3層)に正孔が注入されても、発光層内で全て電子と再結合せずに陰極まで輸送されてしまう正孔が存在し、発光効率の低下につながる。
【0045】
図3は、本実施形態3のように、陰極と発光層との間に正孔遮蔽層30として上述のC−F化合物(CxFy)を形成した場合の正孔遮蔽効果を示している。陽極から注入される正孔は、有機化合物層のHOMOレベルを伝導して発光層であるAlq3層へ到達する。陽極と正孔輸送層(TPTE層)、正孔輸送層と発光層の間では、層間でのHOMOレベルのギャップが小さいため発光層に向かって陽極から正孔が注入される。しかし、図3のように、実施形態1で説明した本発明のC−F化合物はそのHOMOレベルが特に低いので、発光層とこのC−F化合物層との間の障壁を正孔が通ることができない。このため、C−F化合物層は正孔のブロック層として機能する。一方、このC−F化合物は共役系が発達しており、LUMOレベルも低いので電子を通し易く、正孔遮蔽層として機能すると共に電子輸送機能を発揮する。よって、陰極と発光層との間に形成された電子輸送機能兼用の正孔遮蔽層であるC−F化合物層の存在によって発光層に電子と正孔を効率的に閉じ込め発光させることが可能となる。
【0046】
この正孔遮蔽層としては、十分な正孔遮蔽性つまり十分にHOMOレベルが低いことが先ず要求される。このような条件は、上述の化合物A〜M及び化合物Zのいずれも満たす。また、陰極と発光層との間に配置されるので素子を発光させるためには電子輸送機能が高いことも要求される。上述の実施形態2のように電子輸送性は、互いのパラ位に芳香族環が長くつながっている構造が有利であり、正孔遮蔽層としても化合物Bよりは化合物C、化合物Cよりは化合物Eが優れており、化合物G、H等ではより良い特性を実現することが容易となる。
【0047】
[実施形態4]
本実施形態4では、上述の実施形態1において説明したようなC−F化合物を素子の保護膜として用いる。特に、素子の低い耐水性が問題となっている有機EL素子では、素子を覆う保護膜の材料として本発明のC−F化合物を用いることで素子寿命を飛躍的に延ばすことを可能としている。
【0048】
図4(a)は有機EL素子の保護膜として上述のC−F化合物を用いた場合の構成例を示している。なお、図4(b)は、一般的な有機EL素子保護のための構成を示している。
【0049】
第1電極12と第2電極16の間に有機化合物層20が形成され、本実施形態4では、少なくとも有機化合物層20が外気に曝されないよう、有機化合物層20上に第2電極16を形成した後、基板10の上に形成された素子のほぼ全面を覆うようにC−F化合物からなる保護膜40を形成している。本発明に係るC−F有機化合物は蒸着によって素子上に形成できるため、素子製造が非常に簡単となる。一方、一般的には有機EL素子を外気から遮断するために、図4(b)に示すように、素子形成後、乾燥窒素(N2)雰囲気で、基板10(実際には第1電極12)に素子を覆う筐体を接着して封止している。
【0050】
本発明のC−F有機化合物は、優れた撥水性を示す緻密な膜を形成することができるため、有機EL素子を覆うようにこのC−F化合物を用いて保護膜を形成するだけで、図4(b)のように有機EL素子を封止したのと同等の効果を得ることができる。また、有機化合物であるこのC−F化合物は、蒸着方法によって成膜できるため、特別な封止筐体などを取り付けなくても素子を保護することが可能となる。このため、有機EL素子の薄型化、小型化の点でも非常に有効であり、また簡易なプロセスにて素子を製造することが可能となる。
【0051】
なお、有機EL素子の有機化合物層20の材料としても上記実施形態2及び3のように本発明のC−F化合物を用い、保護膜としてもC−F化合物を用いることが可能であり、有機化合物層と保護膜を共通の製造装置で作製することも可能となる。保護膜の材料としては、実施形態1において説明したC−F化合物のいずれも使用することができるが、化合物E、H、Gよりも、ねじれや分岐の構造を持った化合物Aや、化合物Dなどがより優れている。
【0052】
なお、以上実施形態2−4においては、実施形態1に示すC−F化合物のみに限らず、1個又は2個の芳香族環を有し炭素とフッ素のみからなるC−F化合物も利用しうる。
【0053】
【実施例】
以下に本発明の実施例についてそれぞれ説明する。
【0054】
[実施例1]
実施例1として、本発明に係るC−F化合物の合成例について合計10個のフルオロベンゼンが結合した構造の化合物A(C6042)を例に、下記反応式
【化23】
Figure 0003716732
を参照して以下説明する。
【0055】
(i)化合物1(1,3,5-trifluoro-2,4,6-tris(2,4,6-trifluorophenyl)benzene)の合成
アルゴン気流下、マグネシウム(2.91g,120mmol)と1−ブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゼン[1-bromo-2,4,6-trifluorobenzene](25.3g,120mmol)からTHF(120ml)中で調整したGrignard試薬に無水臭化銅(34.4g,240mmol)を加え、室温で一時間攪拌した後、ジオキサン(30ml)を加えさらに一時間攪拌した。この懸濁液に1,35−トリブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゼン[1,3,5-tribromo-2,4,6-trifluorobenzene](9.22g,25.0mmol)のトルエン(200ml)溶液を加え、80℃で4日間攪拌した。反応混合物をろ過し、溶媒を減圧留去した後、残渣をトルエンに溶解した。このトルエン溶液を3M塩酸で洗浄、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、トルエンを減圧留去した。得られた反応混合物をエタノール/水から再結晶して目的とする化合物1:1,3,5−トリフルオロ−2,4,6−トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ベンゼン[1,3,5-trifluoro-2,4,6-tris(2,4,6-trifluorophenyl)benzene](7.61g,58%)を得た。さらにろ液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により分離精製することにより化合物1(1.40g,11%)を得た。
【0056】
この化合物1の融点を測定したところ、Mp.=157℃−158℃であり、重クロロホルム中で19F−核磁器共鳴スペクトル(19F−NMR(470.4MHz,CDCl3))を測定すると,化学シフトδが,56.50−56.58(m,3F)、56.28−56.37(m,3F)、54.96−55.06(m,6F)の位置に観察された。また、重クロロホルム中で1H−核磁器共鳴スペクトル(1H−NMR(500MHz,CDCl3))では、δが、6.80−6.86(m,6H)の位置に観察された。質量分析(EIMS(m/z,relative intensity))の結果、522(M+,100%)、261(M+−2C623,33.5%)のピークが観察された。これらの分析より、化合物1は、C24612であると確認できた。
【0057】
(ii)化合物2(1,3,5-trifluoro-2,4,6-tris(3,5-dibromo-2,4,6-trifluorophenyl)benzene)の合成
上記化合物1(5.60g,12.4mmol)と還元鉄の混合物に臭素を室温で滴下し、60℃で3日間攪拌した。この反応混合物にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた反応混合物をヘキサンから再結晶し、目的とする化合物2:1,3,5−トリフルオロ−2,4,6−トリス(3,5−ジブロモ−2,4,6−トリフルオロフェニル)ベンゼン[1,3,5-trifluoro-2,4,6-tris(3,5-dibromo-2,4,6-trifluorophenyl)benzene](9.71g,79%)を得た。
【0058】
この化合物2の融点を測定したところMp:269℃−270℃であり、重クロロホルム中で19F−核磁器共鳴スペクトル(19F−NMR(470.4MHz,CDCl3))を測定すると、化学シフトδが、70.35(s,3F),60.61(s,6F)、59.04(s,3F)の位置に観察された。質量分析(EIMS(m/z,relative intensity))の結果では、989(M+,3.4%)、991(M++2,30.1%)、993(M++4,56.9%)、995(M++6,100%)、997(M++8,54.8%)、999(M++10,38.2%)のピークが観察された。これらの分析より、化合物2は、C24Br612であると確認できた。
【0059】
(iii)化合物A(1,3,5-trifluoro-2,4,6-tris(3,5-bis(pentafluorophenyl)-2,4,6-trifluorophenyl)benzene)の合成
アルゴン気流下、マグネシウム(0.292g,12.0mmol)とブロモペンタフルオロベンゼン[bromopentafluorobenzene](2.97g,12.0mmol)とからTHF(30ml)中で調整したGrignard試薬に、無水臭化銅(3.44g,24.0mmol)を加え、室温で一時間攪拌した後、ジオキサン(15ml)を加えさらに一時間攪拌した。この懸濁液に化合物2(0.996g,1.00mmol)のトルエン(30ml)溶液を加え、80℃で24時間攪拌した。反応混合物をろ過し、溶媒を減圧留去し、残渣をトルエンに溶解した。このトルエン溶液を3M塩酸で洗浄、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、トルエンを減圧留去した。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/トルエン=20/1)で分離精製することにより目的とする化合物A:1,3,5−トリフルオロ−2,4,6−トリス(3,5−ビス(ペンタフルオロフェニル)−2,4,6−トリフルオロフェニル)ベンゼン(1.29g,85%)を得た。
【0060】
この化合物Aの融点を測定したところ、Mp:273℃−274℃と非常に高かった。また、重クロロホルム中で19F−核磁器共鳴スペクトル(19F−NMR(470.4MHz,CDCl3))を測定したところ、化学シフトδが、61.04(s,3F)、60.67(s,6F)、60.43(s,3F)、24.26−24.49(m,12F)、13.31(t,J=21.6Hz,6F)、2.42−2.60(m,12F)の位置に観察された。質量分析(EIMS(m/z,relativeintensity))の結果では、1518(M+,100%)のピークが観察された。これらの分析より、化合物Aは、C6042であると確認できた。
【0061】
[実施例2]
実施形態2に示すように本発明のC−F有機化合物を電子輸送層材料として用いて有機EL素子を作製した例について、以下実施例2−1及び2−2として説明する。
【0062】
(素子の作製)
素子構成は、上述の図1に示す通りである。基板10としては、第1電極12となるITOがパターンニングされているガラス基板を用いた。この基板10を有機アルカリ洗浄剤セミコクリーン56(フルウチ化学)、純水、アセトン、エタノールの順で超音波洗浄後、ITO表面の有機汚染物質を除去するために、UVオゾン処理を行い、すばやく蒸着装置にセットした。次に、真空中で有機化合物層用のマスクを装着し、その後カーボンるつぼ加熱により、有機化合物層20として、まず正孔輸送層22[トリフェニルアミン4量体]を60nm、発光層24[キノリノールアルミ錯体(Alq3)]を40nm、電子輸送層26[C−F化合物]を20nmの順で成膜した。成膜レートは、2〜6nm/minとした。
【0063】
次に、真空中でマスクを陰極電極(第2電極)用に変更し、LiFをTaボートから3nm/min、AlをPBNルツボから10nm/minの堆積速度で、それぞれ0.5nmと160nm成膜し、積層構造の第2電極16を得た。素子を構成する各膜は、真空度に関し5×10-7Torr以下の条件で成膜した。
【0064】
電子輸送層26としては、実施例2−1について上述の化合物A、B、C、D、E、F、Zをそれぞれ用いた7種類の有機EL素子を作製した。また実施例2−2については、電子輸送層26として上述の化合物I、Jをそれぞれ用いて2種類の有機EL素子を作成した。
【0065】
比較例1として、図1において電子輸送層26の代わりにAlq3を20nm成膜した構造の素子を作製した。
【0066】
(特性評価)
上述の方法で作製した有機EL素子について、十分に窒素置換したチャンバー内において、印加電圧と発光輝度、注入電流密度と発光輝度の関係を測定し、発光効率についても算出した。また、初期輝度が2400cd/m2になるように電流を注入し、輝度の駆動電圧依存性も測定した。
【0067】
実施例2−1についての評価結果を図5〜図7に示す。これらの有機EL素子は,すべて発光層Alq3からの緑色発光が得られた。比較例1では、Alq3が発光層と電子輸送層を兼ねており、立ち上がり電圧が4Vである。本実施例2−1では、C−F化合物からなる電子輸送層26を備えた素子は、比較例1ほど立ち上がり電圧が低くないものが多いが、それでも十分にAl電極から電子がC−F電子輸送層に注入されている。また、図6に示すように、本実施例2−1の素子は、いずれも1000cd/m2以上の発光輝度が得られており、電子が発光層24(Alq3)まで輸送されていることがわかる。特に、フルオロベンゼンが、パラ位に結合して供役系が長く延びた化合物Eを用いた素子はその特性が最も優れており、図5〜図7に示したEL特性は、ほとんどAlq3の比較例と同等となっている。
【0068】
また、初期輝度を2400cd/m2としたときの輝度の半減寿命も、比較例1の15時間に対し、実施例2のC−F電子輸送層26が形成された各素子は、20時間程度の半減寿命を示した。
【0069】
実施例2−2についての評価結果は、図8及び図9に示す。まず、化合物I又は化合物Jを電子輸送層に用いたいずれの有機EL素子も、発光層Alq3からの緑色発光が得られた。そして、図8に示すように、Alq3が発光層と電子輸送層を兼ねた比較例1が立ち上がり電圧4Vであるのに対し、化合物I、Jを電子輸送層に用いた実施例2−2に係る有機EL素子は4V以下が達成されており、立ち上がり電圧が低く、Al電極から十分な電子が過フッ化化合物(C−F)の電子輸送層に注入されていることが分かる。また実施例2−1の各素子と比較しても、非常に低い立ち上がり電圧が実現されていることが分かる。発光輝度に関し、図9に示すように実施例2−2の有機EL素子では、10000cd/m2以上が達成されており、比較例1と完全に同等又はそれ以上の特性が得られ、電子が発光層Alq3まで輸送されていることがわかる。
【0070】
[実施例3]
実施形態3に示すように本発明のC−F有機化合物を正孔遮蔽層材料として用いて有機EL素子を作製した例について、以下実施例3として説明する。
【0071】
(素子の作製)
本実施例3の有機EL素子の構成は図2に示すとおりである。基板10としては、上記実施例2と同じ洗浄済みITO(12)付きガラス基板10を用いた。真空中で有機膜用のマスクを装着後、カーボンるつぼを加熱することで、有機膜として、正孔輸送層22[トリフェニルアミン4量体]を60nm、発光層24[アルミキノリノール錯体(Alq3)]を20nm、次に正孔遮蔽層30として上述の実施形態1に示すようなC−F有機化合物(化合物B及びC)を5nm、電子輸送層28としてAlq3を35nm成膜した。これら成膜レートは、2〜6nm/minとした。
【0072】
次に、真空中でマスクを陰極電極用に換え、LiF電子注入層をTaボートから2nm/minで0.5nm、AlをPBNルツボから10nm/minの堆積速度で160nm成膜し、積層構造の第2電極16を得た。なお、素子を構成する各膜は、真空度に関し5×10-7Torr以下の条件で成膜した。
【0073】
また、比較例2として、正孔遮蔽層のない有機EL素子(有機化合物層:TPTE/Alq3)を作製した。
【0074】
(特性評価)
上述の方法で作製した有機EL素子について、十分に窒素置換したチャンバー内において、注入電流密度と発光輝度、印加電圧と発光輝度の関係を測定し、発光効率についても算出した。また、初期輝度が2400cd/m2になるように電流を注入し、輝度の駆動電圧依存性も測定した。
【0075】
評価結果を図10、図11に示す。実施例3のように化合物B、Cをそれぞれ正孔遮蔽層30として用いた素子は、その駆動電圧がAlq3の比較例2と同程度の電圧まで低下している。このことから、正孔遮蔽層として用いたC−F化合物が充分に電子輸送層としても働いていることがわかる。さらに、上記実施例2のようにAl陰極と発光層としてのAlq3層との界面に電子輸送層としてのC−F化合物層を形成した素子と比べて、本実施例3の素子では、化合物B及びCのいずれについて着目しても発光輝度が各段に向上している。従って、正孔遮蔽層に本発明のC−F化合物を用いた有機EL素子を作製することで発光効率が向上し、比較例2のように正孔遮蔽層のない素子と同等以上の発光効率(cd/A)を容易に達成できることが分かる。
【0076】
また、初期輝度を2400cd/m2としたときの輝度の半減寿命も、比較例2の15時間に対して、実施例2に係る各素子では20時間以上に延び、長寿命化が可能となった。
【0077】
[実施例4]
実施形態4に示すように本発明のC−F有機化合物を有機EL素子の保護膜として利用した例について、以下実施例4として説明する。
【0078】
(素子の作製)
素子の作製は、Al陰極を作製する工程まで、上述の実施例2及び3の比較例1及び2と同一であり、TPTEとAlq3の2層構造の有機化合物層20を備える素子を作製した(図4(a)参照)。その後、本実施例4では、図4(a)に示すように保護膜40として実施形態1において説明した本発明のC−F化合物(化合物A,B,D)を堆積速度5nm/minで300nm形成した。また比較例3及び4として、図4(b)のように保護膜を形成していない素子及び封止筐体によって乾燥窒素で封止した素子を作製した。
【0079】
(特性評価)
図12に示すように、保護膜を全く形成していない素子(比較例3)と比べて、本実施例4のように保護膜40を形成した有機EL素子は、化合物A,B,Dいずれを用いたものも、その素子の輝度半減寿命が各段に延びており、有機化合物層等の劣化に伴って発生する発光欠陥であるダークスポットもほとんど成長しない。そして、この実施例4に係るC−F化合物を保護膜40として形成した素子は、乾燥窒素中で駆動した素子(比較例4)とほとんど同じ寿命を示した。従って、蒸着によって保護膜を形成するという簡単な工程の追加によって乾燥窒素と封止筐体によって素子を封止した素子と同等以上の長寿命の素子を実現することが可能であることがわかる。
【0080】
また、このように素子寿命が延びるのは、本発明に係るC−F化合物は、撥水性に優れており、大気中の水分の侵入を防ぐ効果が高いためであり、保護膜として優れていることがわかる。
【0081】
【発明の効果】
この発明に係るC−F化合物は、熱的、化学的な安定性が非常に高く、また電子・正孔等のキャリア輸送性、或いは正孔遮蔽性などの機能を発揮することができる。
【0082】
また、このようなC−F結合を有する有機化合物を有機EL素子等のデバイスの機能材料として用いれば、耐久性が良くかつ高性能な素子が得られる。有機EL素子の有機化合物層、一例として電子輸送層に本発明の有機化合物を用いた場合、C−H系有機化合物からなる電子輸送層に比べ電子注入特性高く、層内での電子移動度が大きいため、発光効率の向上が図れ、駆動電圧の低下等が可能となり、素子の寿命も向上する。また、有機EL素子の正孔遮蔽層として用いれば更なる素子の発光効率向上を図ることもできる。
【0083】
保護膜としても本発明の有機化合物は有用であり、デバイス保護用に用いると素子の長寿命化に寄与すると共に、ディスプレイパネルの薄型化等の点で非常に有効である。また、この保護膜は蒸着などによって形成できるため簡単に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態2に係る有機EL素子の構成を示す図である。
【図2】 本発明の実施形態3に係る有機EL素子の構成を示す図である。
【図3】 本発明の実施形態3に係る有機EL素子の正孔ブロック機能を説明する図である。
【図4】 本発明の実施形態4及び比較例に係る有機EL素子の構成を説明する図である。
【図5】 実施例2−1及び比較例1の素子の印加電圧と電流密度との関係を示す図である。
【図6】 実施例2−1及び比較例1の素子の印加電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図7】 実施例2−1及び比較例1の素子の注入電流密度と発光輝度との関係を示す図である。
【図8】 実施例2−2及び比較例1の素子の印加電圧と電流密度との関係を示す図である。
【図9】 実施例2−2及び比較例1の素子の印加電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図10】 実施例3及び比較例2の素子の印加電圧と電流密度との関係を示す図である。
【図11】 実施例3及び比較例2の素子の電流密度と発光効率との関係を示す図である。
【図12】 実施例4及び比較例3の素子の駆動時間と発光輝度との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 基板(透明基板)、12 第1電極(陽極)、16 第2電極(陰極)、20 有機化合物層、22 正孔輸送層、24 発光層、26 CxFy層(電子輸送層)、28 電子輸送層、30 正孔遮蔽層(CxFy層)。

Claims (7)

  1. 3個以上の芳香族環が互いの任意位置で結合した骨格を有し、炭素原子Cの数が18以上で炭素原子Cとフッ素原子Fのみから構成され、下記化合物A、B、C、E、F及びZのうちのいずれかである有機化合物。
    Figure 0003716732
    Figure 0003716732
    Figure 0003716732
  2. 3個以上の芳香族環が互いの任意位置で結合した骨格を有し、炭素原子Cの数が18以上で炭素原子Cとフッ素原子Fのみから構成され、下記化学式(1)又は化学式(2)
    Figure 0003716732
    Figure 0003716732
    に示す構造で表される有機化合物。
  3. ナフタレン環以上のポリアセン環が任意の位置で直接結合し、全ての水素がフッ素で置換され、下記化合物I〜Mのうちのいずれかである有機化合物。
    Figure 0003716732
  4. 有機薄膜を有する有機電界発光素子であって、
    該有機薄膜が、下記化合物Dあるいは上記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の有機化合物を含む有機電界発光素子
    Figure 0003716732
  5. 電極間に、少なくとも1層の有機化合物層が形成された有機電界発光素子において、
    前記有機化合物層が、下記化合物Dあるいは上記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の有機化合物を含む有機電界発光素子。
    Figure 0003716732
  6. 陽極と陰極との間に、有機化合物層が形成された有機電界発光素子において、
    前記有機化合物層のうち、前記陰極と有機発光層との間には、下記化合物Dあるいは上記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の有機化合物を含む正孔遮蔽層を備えることを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003716732
  7. 電極間に有機化合物層を備える有機電界発光素子であって、
    該素子を覆う保護膜として、下記化合物Dあるいは上記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の有機化合物を用いたことを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 0003716732
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