JP3716483B2 - 発光ダイオード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定した光出力を得ることが可能な発光ダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上に量子井戸から成る発光層と、その発光層を挟んで位置させられてその発光層で発生した光を反射する光共振器を構成する反射層とを含む複数の半導体層が積層されて成り、それら複数の半導体層の両面に設けられた一対の電極間に通電することにより前記発光層で発生した光を前記基板とは反対側の半導体層の表面から取り出す形式のダブルヘテロ構造面発光型発光ダイオードが知られている。このような発光ダイオードでは、発光層内の電子波と光共振器内の光波が結合し、共振モードのみの光が発光層で発生する所謂キャビティQED効果によって、強指向性および狭線幅の光が射出されることとなるため、結晶表面での全反射がなく高い外部量子効率が得られるという利点がある。例えば、特開平4−167484号公報に記載されている光半導体装置等がそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発光ダイオードにおいては、光出力や発光波長が略一定に保たれることが望まれる。例えば、種々の表示装置に用いられる場合には、表示の見易さ等からその輝度が一定であることが望ましいためである。また、例えば、発光ダイオードで発生した光を所定距離隔てて設けられた受光素子で受光することによって、所定の物体の通過や存在を検出する種々の検出装置においては、その受光素子に入射させられた光が電子に変換させられる光電効果に基づいて検出が為される。そのため、その受光素子に入射させられる光は、光電効果を発生させるためにエネルギがその受光素子のバンドギャップエネルギよりも大きく(すなわち波長が所定値よりも短く)、且つ、回路に発生する電流値を設定範囲内とするために適切な光量であることが必要となるためである。
【0004】
ところが、一般に、発光ダイオードは通電される駆動電流に応じて、電流値に伴って増大するジュール熱(すなわち温度上昇)に基づき発光層において発生する光のスペクトルが長波長側に変化する(すなわち、発光スペクトルのピークが長波長側に変化する)と共に、電流値の増大量すなわち注入エネルギ量の増大量に応じて光出力も高められる。これに対して、前記特開平4−167484号公報に記載されている光半導体装置のように光共振器が備えられている発光ダイオードでは、発光層で発生する光のピーク波長の変化に拘わらず光共振器の共振波長の光のみが存在し得る構造であるため、例え駆動電流が種々の外的要因によって変動させられても、発光ダイオードの発光波長はその共振波長に保たれて一定の波長の光が射出されることとなる。しかしながら、このような構造の発光ダイオードにおいても、電流値の増大に伴って発光層における発光強度が高められることに起因して、安定した光出力が得られないという問題が未だあったのである。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は駆動電流が変動させられた場合にも光出力が略一定に保たれる発光ダイオードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、量子井戸から成る発光層と、その発光層を挟んで位置させられてその発光層で発生した光を反射する光共振器を構成する一対の反射層とを含む複数の半導体層が積層されて成り、それら複数の半導体層の両面に設けられた一対の電極間に通電することにより前記発光層で発生した光をそれら複数の半導体層の表面から取り出す形式のダブルヘテロ構造面発光型発光ダイオードであって、前記一対の電極間に所定の駆動電流が通電されることにより前記発光層で発生する光の連続スペクトルにおいてその光の連続スペクトルのピーク波長よりも短波長側における立ち上がりからそのピーク波長に至る波長帯であるその光の連続スペクトルの傾斜部分に共振波長が位置するように、前記光共振器の共振器長が設定されていることにある。
【0007】
【発明の効果】
このようにすれば、発光ダイオードは、所定の駆動電流に対応する発光スペクトルのピーク波長よりも短波長側における立ち上がりからそのピーク波長に至る波長帯であるその光の連続スペクトルの傾斜部分に共振波長が位置するように、光共振器の共振器長が設定されて構成される。このため、駆動電流値の増大に伴って発光層における発光のピーク波長が長波長側に変化させられると同時に、その発光層におけるピーク波長の発光強度が高められると、そのピーク波長の発光強度の増大が、発光スペクトルの変化に基づいてその傾斜に沿って共振波長における発光強度が低下させられることによって相殺される。したがって、発光ダイオードの光出力が、駆動電流の変化に拘わらず略一定に保たれることとなるのである。
【0008】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記発光層は、前記光共振器内に形成される定在波の腹となる位置に設けられているものである。このようにすれば、最も高い結合効率が得られる定在波の腹の位置に発光層が設けられていることから、比較的高い発光効率が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例の発光装置10の構成を模式的に示す図である。図において、発光装置10は、発光ダイオード12とその発光ダイオード12に動作電圧を印加するための電源装置14とを備えている。なお、一般に、発光ダイオード12は前面にレンズを備えた樹脂モールド中に封入されているが、図1においては省略されている。上記の電源装置14から発光ダイオード12に通電される駆動電流値は、後述のように所定値IF に設定されている。
【0011】
上記の発光ダイオード12は、例えば、図2に示されるように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition :有機金属化学気相成長)法等のエピタキシャル成長技術によって、基板16上に順次結晶成長させられた基板側反射層18、第1バリア層20、活性層22、第2バリア層28、放射面側反射層30、クラッド層32、および電流阻止層34と、基板16の下面および電流阻止層34の上面にそれぞれ固着された下部電極36および上部電極38とから構成されている。
【0012】
上記基板16は、例えば 350μm 程度の厚さのn-GaAs単結晶から成る化合物半導体である。また、基板側反射層18は、例えば69nm程度の厚さのn-AlAs単結晶から成る化合物半導体と、例えば61nm程度の厚さのn-Al0.2Ga0.8As単結晶から成る化合物半導体とを、前者が基板16側となるように交互に例えば30組積層して構成された所謂分布反射型半導体多層膜反射層(DBR)である。なお、この基板側反射層18を構成する各層の厚さは、活性層22および第2活性層26で発生する光の波長の 1/4波長程度となるように決定されている。また、第1バリア層20は、例えば57nm程度の厚さのi-Al0.3Ga0.7As単結晶から成る化合物半導体である。また、活性層22は、例えば、厚さが10nm程度のi-GaAs単結晶から成る化合物半導体によって構成された所謂量子井戸であり、例えば、常温における値λpn=850nm 程度のピーク波長λp の光を発生させるものである。
【0013】
また、前記第2バリア層28は、例えば、厚さが57nm程度のi-Al0.3Ga0.7As単結晶から成る化合物半導体である。また、放射面側反射層30は、前記基板側反射層18と同様に、例えば厚さが69nm程度のp-AlAs単結晶から成る化合物半導体と、例えば厚さが61nm程度のp-Al0.2Ga0.8As単結晶から成る化合物半導体とが交互に10組積層されて構成されたDBRである。本実施例においては、これら基板側反射層18および放射面側反射層30が一対の反射層に相当し、その間隔すなわち光共振器長は、真空中(すなわち屈折率n=1)における長さに換算した値で例えばL=425nm 程度とされている。このため、活性層22で発生した光は、それら基板側反射層18および放射面側反射層30において繰り返し反射されることとなり、図に示されるように定在波39を形成することとなる。
【0014】
この場合において、前述のように本実施例においては、活性層22の常温における発光波長はλpn=850nm 程度であることから、光共振器の共振波長λr =λpnとなって、その活性層22が光共振器内に形成される定在波39の腹に位置するように、光共振器長L≒λpn/2 に設定されている。
【0015】
また、クラッド層32は、例えば厚さが 2μm 程度のp-Al0.2Ga0.8As単結晶から成る化合物半導体であり、電流阻止層34は例えば厚さが 1μm 程度のn-Al0.2Ga0.8As単結晶から成る化合物半導体である。これらクラッド層32および電流阻止層34の図に斜線で示される一部には、p型のドーパントである不純物(例えばZn等)が高濃度で拡散された高濃度拡散領域40が形成されており、その斜線に示される高濃度拡散領域40内においては、クラッド層32の導電性が高められると共に、電流阻止層34の導電型が反転させられてp型半導体にされている。このため、発光ダイオード12には、電流阻止層34が表面42からクラッド層32との境界まで導電型を反転させられた中央部の通電可能領域44を通る経路のみで通電可能な電流狭窄構造が形成されている。
【0016】
また、前記下部電極36は、例えば 1μm 程度の厚さであって、例えば基板16の下面全面にその基板16側から順にAu−Ge合金、NiおよびAuが積層形成されたものである。また、上部電極38は、電流阻止層34の表面42の中央部の円形領域を除く周縁部にその電流阻止層34側から順にAu−Zn合金およびAuが積層形成されたものである。これら下部電極36および上部電極38は、何れもオーミック電極である。
【0017】
また、上記電流阻止層34の上部電極38の内周側に位置する円形領域には、例えば、直径50μm 程度の凹部46が設けられている。前記の通電可能領域44はこの凹部46の直下に同様な径寸法で設けられており、光が射出される光取出部48の直径と通電可能領域44の直径とは略同様である。なお、この凹部46は、表面42側から不純物を拡散する際に通電可能領域44を形成する領域の拡散深さを深くする目的で、例えばエッチング等によって形成されているものである。
【0018】
ここで、図3は、発光装置10の光出力を測定した結果(a,b)を、光共振器を備えていない従来の発光ダイオード(比較例)と共に示す図であって、横軸は駆動電流(順方向電流)IF を、縦軸は光出力をそれぞれ表している。図から明らかなように、本実施例の発光装置10すなわち発光ダイオード12では、40〜80mA(符号a)或いは40〜90mA(符号b)程度の駆動電流IF の範囲で略一定の光出力が得られる。
【0019】
このため、例えば、電源装置14を駆動電流IF =60mA程度に設定しておくことにより、電圧変化等によって駆動電流IF が変動させられた場合にも、光出力が殆ど変化せず安定に保たれる。なお、図において、a,bはそれぞれ表面42から放射される光の波長が 855nm,830nm 程度のときの光出力の変化を示すものである。これらの発光波長は、それぞれ発光ダイオード12の共振器長Lが427nm ,415nm に設定されたときに得られるものであり、前記図2に示される構成の発光ダイオード12において、バリア層20,28の厚さを適宜設定することによって上記共振器長が得られることとなる。
【0020】
光出力が上記の範囲内で殆ど変化しない理由は、以下のように説明できる。先ず、本実施例のように光共振器を備えた発光ダイオード12においては、共振器長Lに対応する共振波長λr の光のみが存在し得ることから、表面42から放射される光の波長λは、活性層22で発生した光(連続スペクトル)のうちの共振モードの波長の光、すなわちその共振波長λr に等しい値に限定される。そのため、発光ダイオード12から放射される光は、図4に実線a,bで示されるように、比較的尖鋭度の高い発光パターンを有することとなる。これは、駆動電流IF に拘わらず一定の値である。なお、a,bは、前記図3の光出力のグラフに付されている符号に対応しており、図4は1つの発光ダイオード12から2つの波長λの光が放射されることを示すものではない。また、同図における『発光強度』は相対値である。
【0021】
これに対して、活性層22において発生する光は、上記図4に破線および鎖線SQWで示されるように、ある波長λp をピークとして比較的広い範囲に広がる連続スペクトルであるが、この発光スペクトルSQWは、駆動電流IF に応じて、電流値が増大する程ピーク波長λp が長波長側に移動すると共にそのピーク波長λp における発光強度が高まるように変化させられる。例えば、IF =40mAのときには、一点鎖線で示される発光スペクトルを示すが、電流値が増大してIF =60mAになると破線で示すように、更に増大してIF =80mAになると二点鎖線で示すように、発光スペクトルが図の右上方に移動するように変化させられる。これは、活性層22,26が量子井戸によって構成されていることから、駆動電流IF の増大に伴って発光強度が増大させられるのみならず、ジュール熱の変化に基づく温度変化に応じてピーク波長λp も変化させられるためである。
【0022】
このため、図から明らかなように共振波長λr がピーク波長λp よりも短波長側の発光スペクトルの傾斜部分に位置させられている場合には、駆動電流IF が増大して発光スペクトルが長波長側に移動するに従って、共振波長λr の光すなわち発光ダイオード12から放射される光の強度は、その発光スペクトルの傾斜に沿って低下させられる。これにより、例えば、駆動電流IF を図に破線で示されるような発光スペクトルSQWが得られる値(本実施例においてはIF =60mA)に設定して、すなわち電源装置14から発光ダイオード12に通電される駆動電流IF をその値に設定して、発光装置10を作動させることにより、駆動電流IF が変化させられた場合にも、駆動電流IF の増大に伴う発光強度の増大分が相殺されて、光出力が略一定に保たれるのである。なお、以上のことは駆動電流IF が増大させられる場合だけでなく、減少させられる場合にも同様である。
【0023】
要するに、本実施例においては、発光ダイオード12は、例えば定格駆動電流のような実用時の所定の駆動電流IF (例えば60mA程度)が供給されたとき、その駆動電流IF に対応する活性層22の発光のピーク波長λp よりも短波長側のその光のスペクトルの傾斜部分、すなわちその発光スペクトルの短波長側における立ち上がりからピーク波長λp に至る波長帯内、好ましくはその発光スペクトルの短波長側の最大傾斜点からピーク波長λp に至る波長帯内に共振波長λr が位置するように、光共振器の共振器長Lが設定されている。このため、駆動電流値の増大に伴って活性層22における発光のピーク波長λp が長波長側に変化させられると同時に発光強度が高められると、そのピーク波長λp の発光強度の増大が、発光スペクトルの変化に基づいてその傾斜に沿って共振波長λr における発光強度が低下させられることによって相殺される。したがって、発光ダイオード12の光出力は、駆動電流IF の変化に拘わらず略一定に保たれることとなるのである。
【0024】
また、本実施例においては、活性層22は基板側反射層18,放射面側反射層30によって構成される光共振器内に形成される定在波39の腹となる位置に設けられているものである。このようにすれば、最も高い結合効率が得られる定在波39の腹の位置に活性層が設けられていることから、比較的高い発光効率が得られる。
【0025】
また、本実施例においては、発光装置10は、発光スペクトルのピーク波長λp よりも短波長側の傾斜部分に共振波長λr が位置するように光を発生させる所定の値に設定された駆動電流IF を、一対の電極36,38間に通電するための電源装置14を含んで構成される。そのため、発光ダイオード12の駆動電流IF が増大させられることに起因して、発光スペクトルが長波長側に変化させられると同時にピーク波長λp における発光強度が高められた場合には、その発光強度の増大量が、発光スペクトルの変化に基づいてその傾斜に沿って共振波長λr における発光強度が低下させられることにより相殺される。したがって、駆動電流IF が変動した場合にも光出力が略一定に保持される発光装置10が得られる。
【0026】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において、前述の実施例と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
図5は、前述の発光装置10に用いられ得る他の発光ダイオード56の構成を示す図である。図において、発光ダイオード56は、基板16上に順次結晶成長させられた基板側反射層18乃至電流阻止層34および第2クラッド層58と、基板16の下面および第2クラッド層58の上面にそれぞれ設けられた下部電極36および上部電極38とを備えている。なお、本実施例においては、上部電極38が表面42の中央部に円形に設けられている。
【0028】
上記基板16乃至電流阻止層34は、前記発光ダイオード12に備えられているものと同様なものである。したがって、下部電極36および上部電極38間に通電させられて活性層22で発生した光は、前述の実施例と同様に基板側反射層18と放射面側反射層30との間に形成される光共振器内で繰り返し反射させられることにより、活性層22が腹に位置する定在波39を形成することとなる。また、電流阻止層34上に設けられた第2クラッド層58は、クラッド層32と同様にn-Al0.2Ga0.8As単結晶から成る化合物半導体であり、厚さは 1μm 程度である。
【0029】
上記の上部電極38の外周側の部分には、クラッド層32の中間部までの深さにp型のドーパントであるZn等の不純物が高濃度で拡散させられた高濃度拡散領域40が形成されており、その部分のクラッド層32および第2クラッド層58の導電性が高められると共に、電流阻止層34の導電型が反転させられてクラッド層32等と同様なp型半導体半導体とされている。そのため、下部電極36および上部電極38間に所定の動作電圧が印加されると、その導電型が反転させられた電流阻止層34の直下の領域、すなわち上部電極38の外周側の領域のみを通る経路で電流が流れ、活性層22のその直下の領域で発光させられることとなる。
【0030】
本実施例の発光ダイオード56においても、実用に供される定格の駆動電流IF が供給されたとき、その駆動電流IF に対応する活性層22,26の発光スペクトルにおいて、そのピーク波長λp よりも短波長側の傾斜部分、すなわちその発光スペクトルの短波長側における立ち上がりからピーク波長λp までの波長帯内に共振波長λr が位置するように、光共振器の共振器長Lが設定されている。
【0031】
図6は、上記の発光ダイオード56の駆動電流IF に対する光出力の変化を示す光出力特性図である。図においてa,bは前述の実施例と同様に異なる共振器長Lに対応する。図から明らかなように、本実施例においても、発光ダイオード56が光共振器を備えると共に活性層22が量子井戸から構成されているため、ある駆動電流IF を中心とする比較的広い範囲に光出力が略一定になる領域(a,b共にIF =80〜100mA 程度)があり、電源装置14から通電される駆動電流IF を上記領域内、好ましくはその領域の中心である90mA程度に設定しておくことにより、駆動電流IF が変化させられた場合にも略一定の光出力が得られることになる。
【0032】
また、本実施例においても、前記活性層22は、前記光共振器内に形成される定在波39の腹となる位置に設けられているものである。このようにすれば、最も高い結合効率が得られる定在波39の腹の位置に活性層22が設けられていることから、比較的高い発光効率が得られる。
【0033】
図7は、他の実施例の発光ダイオードの要部である光共振器60の構成を示す図である。図において、光共振器60は、図示しない基板上に基板側反射層62、第1バリア層64、第1活性層66、第2バリア層68、第2活性層70、第3バリア層72、第3活性層74、第4バリア層76、放射面側反射層78が順次結晶成長させられて構成されている。この放射面側反射層78の上側には、前述の発光ダイオード12等と同様なクラッド層32や電流阻止層34等が設けられている。
【0034】
上記の基板側反射層62は、例えば厚さが69nm程度のn-AlAs単結晶および厚さが61nm程度のn-Al0.2Ga0.8As単結晶が交互に例えば30組積層されたものであるが、図においては、第1バリア層64側の1組のみを示している。また、放射面側反射層78は、p-AlAs単結晶およびp-Al0.2Ga0.8As単結晶が交互に例えば10組積層されたものであり、基板側反射層62と同様に第4バリア層76側の1組のみを示している。これらは、前述の実施例の基板側反射層18および放射面側反射層30と同様に、 1/4波長の厚さの半導体層が積層されたDBRである。
【0035】
また、第1バリア層64は、例えば、厚さが42nm程度のi-Al0.3 Ga0.7 As単結晶から成る化合物半導体である。また、第1活性層66、第2活性層70、および第3活性層74は、それぞれ厚さが10nm程度のi-GaAs単結晶から成る化合物半導体により構成された所謂量子井戸である。これらの第1活性層66乃至第3活性層74は、何れも定在波39の腹の近傍に位置するように設けられている。
【0036】
また、第2バリア層68、第3バリア層72、および第4バリア層76は、例えば、厚さがそれぞれ 5nm程度のi-Al0.3Ga0.7As単結晶から成る化合物半導体である。したがって、本実施例においても、基板側反射層62と放射面側反射層78との間隔すなわち光共振器長Lが、屈折率n=1 に換算した値で 425nm程度とされている。このため、上記のように構成された第1活性層66乃至第3活性層74の発光波長λp は、常温における波長λpn=850nm 程度であることから、図に示されるように、光共振器長L=λpn/2 (=425nm 程度)となっている。
【0037】
本実施例においても、前述の実施例と同様に活性層が量子井戸から構成されるため、温度上昇によって第1活性層66乃至第3活性層74の発光波長λp が長波長側に変化すると同時に、その活性層66乃至74における発光強度が増大させられることから、前記図3或いは図6に示される駆動電流IF と光出力との関係図において、グラフの傾きが略水平な領域内にその駆動電流IF を設定しておくことにより、駆動電流IF の変化に拘わらず光出力が略一定に保たれることとなる。
【0038】
また、本実施例においては、活性層が第1活性層66乃至第3活性層74の3つ設けられているが、活性層の数は、発光ダイオード12等に示されるような1つに限られず適宜変更し得るものである。すなわち、本実施例のように3つとされても良く、2つ或いは4つ以上とされても差し支えない。但し、その数に拘わらず、全ての活性層が定在波39の腹の近傍に位置するように、活性層相互の間および反射層との間に設けられるバリア層の厚さが設定されることが好ましい。
【0039】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施される。
【0040】
例えば、前述の実施例においては、発光ダイオード12等に通電する駆動電流IF が一定値に設定された電源装置14が用いられていたが、例えば、電源装置14に駆動電流IF の値を適宜変更する電流値設定器を設けて、接続される発光ダイオードの活性層における発光スペクトルや共振波長に応じて設定するようにしても良い。
【0041】
また、基板側反射層18,62や、放射面側反射層30,78或いは、基板16等を構成する半導体は、実施例で示したものに限られず適宜変更される。例えば、各半導体層が GaAsP単結晶や InGaAsP単結晶等の化合物半導体から構成されても良い。
【0042】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の発光ダイオードが用いられた発光装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の発光ダイオードの構成を示す図である。
【図3】図1の発光装置における駆動電流と光出力との関係を示す図である。
【図4】光出力が略一定に保たれる原理を説明する図である。
【図5】図1の発光装置に用いられ得る他の発光ダイオードの構成を示す図である。
【図6】図5の発光ダイオードの駆動電流と光出力との関係を示す図である。
【図7】図1の発光装置に用いられ得る更に他の発光ダイオードの要部である光共振器の構成を示す図である。
【符号の説明】
10:発光装置
12:発光ダイオード
14:電源装置
Claims (3)
- 量子井戸から成る発光層と、該発光層を挟んで位置させられて該発光層で発生した光を反射する光共振器を構成する一対の反射層とを含む複数の半導体層が積層されて成り、該複数の半導体層の両面に設けられた一対の電極間に通電することにより前記発光層で発生した光を該複数の半導体層の表面から取り出す形式のダブルヘテロ構造面発光型発光ダイオードであって、
前記一対の電極間に所定の駆動電流が通電されることにより前記発光層で発生する光の連続スペクトルにおいてその光の連続スペクトルのピーク波長よりも短波長側における立ち上がりから該ピーク波長に至る波長帯である該光の連続スペクトルの傾斜部分に共振波長が位置するように、前記光共振器の共振器長が設定されていることを特徴とする発光ダイオード。 - 前記発光層は、前記光共振器内に形成される定在波の腹となる位置に設けられているものである請求項1の発光ダイオード。
- 前記光共振器の共振器長は、前記一対の電極間に所定の駆動電流が通電されることにより前記発光層で発生する光の連続スペクトルにおいてその光の連続スペクトルのピーク波長よりも短波長側における最大傾斜点から該ピーク波長に至る波長帯内に前記共振波長が位置するように設定されているものである請求項1または2の発光ダイオード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6289296A JP3716483B2 (ja) | 1996-03-19 | 1996-03-19 | 発光ダイオード |
Applications Claiming Priority (1)
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