JP3716370B2 - 調理用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気炊飯器の内釜、電気グリル鍋の内鍋、電気ホットプレートのプレート等の調理用容器に係わり、特に調理容器の内面に被膜層を形成した調理用容器の改良に関するものである。また、調理用容器の内面に目盛、模様、文字等の表示体を形成した調理用容器の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電気炊飯器の内釜の内面には、非親和性の四弗化エチレン樹脂(ポリテトラフロロエチレン)の樹脂コーティングが形成されている。内面に形成された樹脂コーティングによって、炊飯後のご飯の内釜へのこびりつきが防止される。
一方、内釜の内面には、炊飯する米の容量に対して適量な水の水位を示す目盛りが設けられている。水位目盛りに付設された数字は、計量用のカップで計った米のカップ数を表示する。そして、研いだ米を内釜に移して水を米のカップ数に対応する水位まで入れてから、炊飯が行われるようになっている。
【0003】
図5は、登録特許第2887505号公報に示される従来の炊飯器における内釜の構成を示す断面図である。
図5において、1は調理用容器である炊飯器の内釜であり、2はアルミニウム、ステンレス等の金属素材、4は凹部、5は表示体、6は表示体5を形成するシリコン樹脂塗料被膜、8は弗素樹脂被膜である。
【0004】
前記のような構成された調理容器である炊飯器の内釜1においては、金属素材2の内面に、非親和性の四弗化エチレン樹脂(ポリテトラフロロエチレン)の樹脂被膜8が形成されている。四弗化エチレン樹脂は非親和性の性能を有するため、炊飯後のご飯の内釜へのこびりつきが防止される。
また、容器の内面に断層的に凹部4を形成するとともに、凹部の周面に金属素材の露出面を形成し、この凹部内に弗素樹脂被膜8と異なる色のシリコン樹脂塗料被膜6を入れ込んで表示体5を形成し、調理用容器を構成する。
【0005】
また、図6は、登録特許第3146536号公報に示される従来の炊飯器等の内鍋を示す要部断面図である。
図6において、2はアルミニウム、ステンレス等の金属素材、5は表示体、7は金属素材の表面に施された微細な凹凸、8は弗素樹脂被膜、9は弗素樹脂のトップコートである。
【0006】
前記のように構成された内鍋においては、金属素材2の上に少なくとも四弗化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体あるいは四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合体を含む弗素樹脂の被膜8を施し、この被膜表面上にプレス成型後に所望の位置になるようにあらかじめ設計された規定の位置に目盛、模様、文字等を印刷もしくは塗装して表示体5を構成する。さらにその後に、この印刷もしくは塗装した部分を含む全面にトップコートとして弗素樹脂のトップコート被膜9を設けている。トップコート被膜9の弗素樹脂被膜層は非親和性の性能を有するため、炊飯後のご飯の内釜へのこびりつきが防止される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の炊飯器の内釜等における調理用容器の内面塗装は、弗素樹脂による樹脂コーティングが施されているため、その非親和性の性能が高いという特徴により、金属素材との密着性が弱いという欠点があった。
また、弗素樹脂は硬度が柔らかく、鋭利な金属物で突かれた場合傷がついて調理用容器の金属素材が露出するという問題点があった。
これらの問題点を解決するために、弗素樹脂の替わりにセラミックスをコーティングして使用する例もあるが、セラミックスは非親和性の性能が低く、炊飯器の内釜用として使用された場合に、炊飯後のご飯の内釜へのこびりつきが発生するという問題点があった。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、調理用容器の内面の高い硬度と離型性の両立が達成される調理用容器を提供することを目的とする。
また、金属素材との密着性が強い調理用容器を提供することを目的とする。
また、調理が良好にできる調理用容器を提供することを目的とする。
また、表示体の表示が読み易い調理用容器を提供することを目的とする。
また、内壁の汚れの認識が容易で、清掃のし易い調理用容器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わる調理用容器は、金属素材を容器状に成型する調理用容器において、調理用容器の内表面にセラミックス被膜を形成し、該セラミックス被膜中にシリコン及びシリコーンオイルのうち少なくとも一方を混在させ、また、セラミックス被膜中にクロム、マンガン、銅、炭素のうち少なくとも一種を混在させるものである。
【0011】
また、請求項2に係わる調理用容器は、請求項1の調理用容器において、セラミックス被膜を形成するセラミックスが着色のないセラミックスであるものである。
【0012】
また、請求項3に係わる調理用容器は、請求項1の調理用容器において、セラミックス被膜中に白色顔料を混在させ、白色被膜とするものである。
【0017】
また、請求項4に係わる調理用容器は、金属素材を容器状に成型し、該成型容器の内表面に表示体を設ける調理用容器において、調理用容器の内表面に下層の有色のセラミックス被膜を形成し、また、該セラミックス被膜上に表示体を形成し、さらに、下層のセラミックス被膜及び表示体の上に着色のない上層のセラミックス被膜を形成し、セラミックス被膜中にシリコン及びシリコーンオイルのうち少なくとも一方を混在させるものである。
【0018】
また、請求項5に係わる調理用容器は、請求項4の調理用容器において、表示体は、下層のセラミックス被膜と異なる色のシリコーン樹脂塗料被膜で形成するものである。
【0019】
また、請求項6に係わる調理用容器は、請求項4の調理用容器において、表示体は、セラミックス被膜で形成し、下層のセラミックス被膜と異なる色とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係わる調理用容器の断面図である。
図1において、1は調理用容器である炊飯器の内釜であり、2はアルミニウム、ステンレス等の金属素材、3はセラミックス被膜、4は凹部、5は表示体、6は表示体5を形成するシリコーン樹脂塗料被膜、7は金属素材の表面に施された微細な凹凸である。
【0021】
次に、この炊飯器の内釜の製法を説明する。
アルミニウム素材として板厚1.2mmのものを用い、プレス成型して、内釜形状とした。この内面を電気化学的エッチング処理を行い、表面に微細な凹凸7を形成した。
次いで、粒径が10〜20μmのAl2O3、Si2O3が主成分のセラミックスをキシレン等の溶剤又は水に分散させたセラミックス塗料を吹き付け、又は刷け塗り等により、微細な凹凸上に塗布した。セラミックス塗料には、少量の粉末状(又は粒状)シリコン(Si)、又は少量のジメチルシリコーンオイルのようなシリコーンオイルを添加しておく。両者を添加してもよい。
所定の被膜厚(20〜50μm)が得られるよう塗布後、60℃で10〜20分乾燥し、200℃で20分焼付け、セラミックス被膜3が形成される。
【0022】
次いで、目盛、模様、文字等を表示する表示体5を形成するため、所定の位置に凹部4を形成する。内釜1の内面側から途中まで、表示体5に対応した形と幅のプレス刃で加圧する。プレス刃で内側から加圧すると、セラミックス被膜3と金属素材2が断層的に圧縮されて角溝状に陥没する。そして、図1に示すように、角溝状の凹部4の上及び下に、地金の金属素材2の露出面が形成される。
切り込まれた凹部4には、食品衛生法に適合したシリコーン樹脂塗料が塗布され、所定の温度で加熱されて、露出面を介して凹部4内に焼き付けられシリコーン樹脂塗料被膜6による表示体5が形成される。
【0023】
なお、凹部4の形成は、内釜形状のプレス成型より前に行ってもよい。
また、調理用容器によっては、特に表示体5を必要としない場合は、凹部4の形成、シリコン樹脂塗料の塗布及び焼き付けを行わない。
更に、表示体5の形成は、シリコーン樹脂塗料被膜6の形成で行わず、セラミックス被膜3と同様にセラミックス被膜(但し、含まれる顔料は替える場合がある)で形成してもよい。
【0024】
本実施の形態によれば、金属素材2の表面に微細な凹凸7の加工を施し、セラミックス被膜3を形成しているため、金属素材2とセラミックス被膜3との密着性が高くなる。さらに、セラミックスは硬度が高いため、金属素材2とセラミックス被膜3との密着性がさらに高くなる。
また、セラミックス被膜3は、従来の弗素樹脂被膜8、9のように樹脂分を実質的に含まず、また、セラミックスは硬度が高いため、鋭利な金属物で突かれた場合でも傷つかない高い表面硬度が得られる。
しかも、セラミックス被膜3に混在されるシリコン、シリコーンオイル又は両者により、良好な離型性が得られる。即ち、炊飯器の場合、炊飯後のご飯の内釜へのこびりつきが防止される。従って、清掃性の良い内釜が提供できる。
また、表示体5は、凹部4に埋め込むように形成されるので、強固に結合できる。さらに、シリコン樹脂塗料被膜6の被膜形成では金属素材2の露出面に接触しているので、金属素材2との結合が強化される。セラミックス被膜3同様のセラミックス被膜の場合は下地のセラミックス被膜3と同様の材質であり、強固に接着する。
【0025】
また、セラミックスは遠赤外線を多量に放射する。遠赤外線は、なんの媒体も必要とせずに直接被加熱物体に熱が到達し、しかも熱を効率良く吸収する放射率が最も高い波長帯であるため、調理用容器が炊飯器の場合は、お米の芯まで加熱して、均一でおいしいご飯が炊ける。保温時においても、同様に内釜から遠赤外線がお米に照射されるため、いつまでもおいしいご飯のままで保温することができる。また、その他の調理用容器においても、加熱、保温が良好となり良好な料理が可能となる。
【0026】
本実施の形態は、セラミックス塗料にクロム(Cr)又は銅(Cu)の金属粉末、または、炭素(C)粉末を添加し、セラミックス被膜3にこれらの一種以上を含むようにすることで、遠赤外線の放射量を増す効果があり、調理をより良好にできる。
【0027】
また、本実施の形態は、セラミックス塗料に白色顔料、例えば、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)を添加し、セラミックス被膜3を白色とすることにより、容器の内壁を白色にでき、容器の内壁の色が白色であれば、汚れが付着した場合に汚れと認識できるので、清掃する上にも大変便利である。また、見た目の清潔さも向上し、いつまでもきれで清掃しやすい調理用容器を提供することができる。
【0028】
また、本実施の形態は、セラミックス塗料のセラミックスとして、着色のないセラミックス、例えば、Al2O3、あるいはSiO2を選定することにより、セラミックス被膜3を透明に近くでき、調理用容器としても内壁の内側がほぼ透明の容器が実現できる。容器の内壁の内側が透明であれば、汚れが付着した場合容易に汚れと認識できるので、清掃する上にも大変便利である。また、見た目の清潔さも向上し、容器の地材のアルミニウムやステンレスをそのまま見せることもできるため、いつまでもきれいな調理用容器を提供することができる。
【0029】
さらに、本実施の形態は、表示体5を形成するシリコーン樹脂塗料被膜6又はセラミックス被膜3と同様のセラミックス被膜は、表示体5以外のセラミックス被膜3と異なる色に着色させる。即ち、表示体5を形成するシリコーン樹脂塗料又はセラミックス塗料に着色顔料等を添加する。
このようにすることで、表示体5以外のセラミックス被膜3と表示体5の色が異なるため、表示体5が見易く、使いやすい調理用容器を提供できる。
【0030】
実施の形態2.
図2は本発明の実施の形態2に係わる調理用容器の要部断面図である。
図2において、2はアルミニウム、ステンレス等の金属素材、3はセラミックス被膜、5は表示体、6は表示体5を形成するシリコーン樹脂塗料被膜、7は金属素材の内表面に形成した微細な凹凸である。
【0031】
次に、この調理器用容器の製法を説明する。
アルミニウム素材として板厚1.2mmのものを用い、プレス成型して、容器形状とした。この内面を電気化学的エッチング処理を行い、表面に微細な凹凸7を形成した。
次いで、目盛、模様、文字等を表示する表示体5を形成するため、所定の位置に食品衛生法に適合したシリコーン樹脂塗料が塗布され、所定の温度で加熱後、シリコーン樹脂被膜6による表示体5が形成される。
次いで、表示体5の上及び表示体5以外の容器内表面の微細な凹凸上に、粒径が10〜20μmのAl2O3、Si2O3が主成分のセラミックスをキシレン等の溶剤又は水に分散させたセラミックス塗料を吹き付け、又は刷け塗り等により、塗布した。セラミックス塗料には、少量の粉末(又は粒状)シリコン(Si)、又はジメチルシリコーンオイルのようなシリコーンオイルを添加しておく。両者を添加してもよい。
所定の被膜厚(20〜50μm)が得られるよう塗布後、60℃で10〜20分乾燥し、200℃で20分焼付け、セラミックス被膜3が形成される。
【0032】
なお、表示体5の形成は、シリコーン樹脂塗料被膜6の形成で行わず、セラミックス被膜3と同様にセラミックス被膜(但し、顔料は替える場合がある)で形成してもよい。この場合は、セラミックス塗料を塗布後、乾燥及び焼付けは、前記のセラミックス被膜3の形成と同条件で行う。
【0033】
また、最外層のセラミックス被膜3は、セラミックス塗料のセラミックスとして、着色のないセラミックス、例えば、Al2O3、又はSiO2を選定することにより、ほぼ透明に近くできる。
また、表示体5は適当な顔料の添加により、金属素材2と異なる色とする。
そこで、表示体5は、金属素材2を下地とし、また、ほぼ透明とした被膜を通して、異なった色で表示され、清潔感のある、読み易い表示となり、見やすく使いやすい調理用容器を提供できる。また、表示体5が最外層のセラミックス被膜3でカバーされているため、表示体5の印刷落ち、塗装落ちのない極めて信頼性の高い表示体5が提供できる。
【0034】
なお、本実施の形態においても、セラミックス被膜3は、金属素材2との密着性は高く、離型性と高い表面硬度の両立ができ、料理が作り易い等は実施の形態1と同じである。
【0035】
実施の形態3.
図3は本発明の実施の形態3に係わる調理用容器の要部断面図である。
図3において、2はアルミニウム、ステンレス等の金属素材、3はセラミックス被膜、5は表示体、7は金属素材2の内表面に形成した微細な凹凸である。
【0036】
次に、この調理用容器の製法を説明する。
アルミニウム素材として板厚1.2mmのものを用い、プレス成型して、容器形状とした。この内面を電気化学的エッチング処理を行い、表面に微細な凹凸7を形成した。
次いで、容器内表面の微細な凹凸上に、粒径10〜20μmのAl2O3、Si2O3が主成分のセラミックスをキシレン等の溶剤又は水に分散させたセラミックス塗料を吹き付け、又は刷け塗り等により、塗布した。セラミックス塗料には、少量の粉末(又は粒状)シリコン(Si)、又は少量のジメチルシリコーンオイルのようなシリコーンオイルを添加しておく。両者を添加してもよい。
所定の被膜厚(20〜50μm)が得られるよう塗布後、60℃で10〜20分乾燥する。
次いで、目盛、模様、文字等を表示する表示体5を形成するため、所定の位置にセラミックス塗料を塗布又は印刷して、60℃で10〜20分乾燥後、200℃で20分焼付け、セラミックス被膜(顔料は替える場合があるが、セラミックス被膜3と同様のセラミックス被膜)による表示体5が形成される(同時に、セラミックス被膜3の焼付けも行う)。
なお、表示体5の形成は、食品衛生法に適合したシリコーン樹脂塗料を塗布し、所定の温度で加熱後、所定の温度で焼き付けシリコーン樹脂塗料被膜を形成してもよい。
【0037】
本実施の形態では、表示体5は顔料の添加により、セラミックス被膜3と異なる色とすることにより、セラミックス被膜3を下地に表示体5が露出して見えるため、清潔感のある、見やすい、使いやすい調理用容器を提供できる。
【0038】
なお、本実施の形態においても、セラミックス被膜3は、金属素材2との密着性は高く、離型性と高い表面硬度の両立ができ、料理が作り易い等は実施の形態1と同じである。
【0039】
実施の形態4.
図4は本発明の実施の形態4に係わる調理用容器の要部断面図である。
図4において、2はアルミニウム、ステンレス等の金属素材、3はセラミックス被膜、5は表示体、7は金属素材2の内表面に形成した微細な凹凸である。
本実施の形態では、セラミックス被膜3が上層、下層と2層形成されている。即ち、実施の形態3の表示体5及びセラミックス被膜3上にさらに上層のセラミックス被膜3が形成されている。
【0040】
次に、この調理用容器の製法は、実施の形態3の表示体5及びセラミックス被膜3上に、さらにセラミックス塗料を塗布し、60℃10〜20分の乾燥後、200℃20分の焼付けを行い、上層のセラミックス被膜3が形成されている。
【0041】
下層のセラミックス被膜は、セラミックス塗料に着色顔料を添加し、着色被膜とする。
表示体5は顔料を添加して、下層のセラミックス着色被膜と異なる色で構成する。
さらに、その上に、トップコートとして着色のないセラミックスを選定して、ほぼ透明のセラミックス被膜3を施す。
このようにすることで、下層の着色セラミックス被膜3を下地として、これと異なる色の表示体を、上層のほぼ透明のセラミックス被膜3は被膜を通して見ることができ、清潔感があり、見やすい、使いやすい調理用容器を提供できる。
また、表示体5が上層のセラミックス被膜3で覆われているため、表示体5の印刷落ち、塗装落ちのない、極めて信頼性の高い表示体が提供できる。
【0042】
なお、本実施の形態においても、セラミックス被膜3は、金属素材2との密着性は高く、離型性と高い表面硬度の両立ができ、料理が作り易い等は実施の形態1と同じである。
【0043】
なお、前記の実施の形態1から実施の形態4までは、主として電気炊飯器の内釜の例にて説明したが、電気グリル鍋の内鍋、電気ホットプレートのプレート、電磁調理器用の鍋のような調理用容器全般に適用できる。また、内面に水位を示す目盛りや数値或いは調理の種類を示す文字、記号等の表示体を設けた調理用容器にも適用できる。
【0044】
また、前記の実施の形態では、セラミックス被膜3を形成するセラミックス塗料は樹脂分を含まないもので記載したが、塗布のし易さ及び塗布後の乾燥時の接着性を向上するため、少量の熱分解し易い樹脂、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等を添加してもよい。また、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等でもよい。樹脂を含む場合は、焼付け温度等は、若干高くする等、適宜条件は検討する。
さらに、セラミックス塗料用のセラミックスの種類、シリコーンオイルの種類(例えば、耐熱性が必要な場合は、メチルフェニルシリコーンオイル等)及び着色顔料の種類の選択、粉末粒径、乾燥条件及び焼付け条件の設定、微細な凹凸7の形成方法及び塗布・塗装方法の選定等は、本発明の趣旨に合致するように適宜行う。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる調理用容器は、金属素材を容器状に成型する調理用容器において、調理用容器の内表面にセラミックス被膜を形成し、該セラミックス被膜中にシリコン及びシリコーンオイルのうち少なくとも一方を混在させ、また、セラミックス被膜中にクロム、マンガン、銅、炭素のうち少なくとも一種を混在させるので、金属素材との密着性が良好で、表面硬度が高く、かつ、離型性があり、さらに、調理時に遠赤外線の放射を増すことができ良好な調理が可能となる調理用容器が得られる。
【0047】
本発明の請求項2に係る調理用容器は、請求項1の調理用容器において、セラミックス被膜を形成するセラミックスが着色のないセラミックスであるので、セラミックス被膜を透明に近くでき、汚れの認識が容易で、清掃がし易い、清潔な調理用容器が得られる。
【0048】
本発明の請求項3に係る調理用容器は、請求項1の調理用容器において、セラミックス被膜中に白色顔料を混在させ、白色被膜とするので、汚れの付着が容易に認識でき、清掃し易い、清潔な調理用容器が得られる。
【0053】
また、請求項4に係わる調理用容器は、金属素材を容器状に成型し、該成型容器の内表面に表示体を設ける調理用容器において、調理用容器の内表面に下層の有色のセラミックス被膜を形成し、また、該セラミックス被膜上に表示体を形成し、さらに、下層のセラミックス被膜及び表示体の上に着色のない上層のセラミックス被膜を形成し、セラミックス被膜中にシリコン及びシリコーンオイルのうち少なくとも一方を混在させるので、金属素材との密着性が良好で、表面硬度が高く、かつ、離型性がある調理用容器が得られる。また、有色の下地をバックに表示体を透明に近い上層被膜を通して見ることができ、表示の読取が容易となり、また、表示体を上層のセラミックスでカバーしているので、表示体の印刷落ち、塗装落ちのない調理用容器が得られる。
【0054】
また、請求項5に係わる調理用容器は、請求項4の調理用容器において、表示体は、下層のセラミックス被膜と異なる色のシリコーン樹脂塗料被膜で形成するので、表示体の表示が見易い調理用容器が得られる。
【0055】
また、請求項6に係わる調理用容器は、請求項4の調理用容器において、表示体は、セラミックス被膜で形成し、下層のセラミックス被膜と異なる色とするので、表示体の表示が見易い調理用容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の調理用容器である炊飯器の内釜を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態2の調理用容器を示す要部断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態3の調理用容器を示す要部断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態4の調理用容器を示す要部断面図である。
【図5】 従来の炊飯器の内釜を示す断面図である。
【図6】 従来の調理容器を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 調理用容器、2 金属素材、3 セラミックス被膜、4 凹部、5 表示体、6 シリコーン樹脂塗料被膜。
Claims (6)
- 金属素材を容器状に成型する調理用容器において、
前記調理用容器の内表面にセラミックス被膜を形成し、該セラミックス被膜中にシリコン及びシリコーンオイルのうち少なくとも一方を混在させ、
また、前記セラミックス被膜中にクロム、マンガン、銅、炭素のうち少なくとも一種を混在させることを特徴とする調理用容器。 - 前記セラミックス被膜を形成するセラミックスが着色のないセラミックスであることを特徴とする請求項1に記載の調理用容器。
- 前記セラミックス被膜中に白色顔料を混在させ、白色被膜とすることを特徴とする請求項1に記載の調理用容器。
- 金属素材を容器状に成型し、該成型容器の内表面に表示体を設ける調理用容器において、
前記調理用容器の内表面に下層の有色のセラミックス被膜を形成し、また、該セラミックス被膜上に表示体を形成し、さらに、前記下層のセラミックス被膜及び前記表示体の上に着色のない上層のセラミックス被膜を形成し、前記セラミックス被膜中にシリコン及びシリコーンオイルのうち少なくとも一方を混在させることを特徴とする調理用容器。 - 前記表示体は、前記下層のセラミックス被膜と異なる色のシリコーン樹脂塗料被膜で形成することを特徴とする請求項4に記載の調理用容器。
- 前記表示体は、セラミックス被膜で形成し、前記下層のセラミックス被膜と異なる色とすることを特徴とする請求項4に記載の調理用容器。
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