JP3716205B2 - 輪転印刷機の折機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット輪転印刷機等に設備される折機に関し、詳しくは輪転印刷機の立ち上がり時等における折機での不良折帳の紙詰まり防止技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
商業用オフセット輪転機は一般的に給紙部、印刷ユニット部、乾燥部、冷却部、及び折機から構成されている。このうち折機には、上流から搬送されるシートを折り畳んで折帳とする折部と、折部で折られた折帳を順に積み重ねて排紙する排紙部とが設けられている。ここで、図3は一般的な商業用オフセット輪転機に設けられる従来の折機の概略構成を示す図である。
【0003】
印刷ユニット部において印刷を終えたウェブ(帯状の連続紙)5は、折機2の入口部に設けられたスリッタ45にて切断され(或いはそのまま連続紙として)、三角板46に搬入されて折り畳まれる。次に、ウェブ5がスリッタ45にて切断され三角板46で折り畳まれて形成されたシート17は、三角板46の下方に配設されたリードインローラ3a,3b並びにニッピングローラ4a,4bに狭持されながら折部、すなわち咥え胴8と折胴9の中間へ送り込まれる。咥え胴8には咥え装置22が設けられるとともに、ゴム等の弾性体で形成したゴム台24が外周面へ軸方向に沿って設けられている。一方、折胴9には鋸状のナイフ(鋸刃)23、アーム先端に針18を備えた針装置、及び折ブレード26が設けられている。咥え胴8と折胴9とは通常同じ直径を持ち、ナイフ23とゴム台24とが対応し、咥え装置22と折ブレード26とが対応するよう位相が設定された状態で同期して回転すべく構成されている。
【0004】
針装置の針18は折胴9の回転と連動して所定の位相位置において折胴9の外周面から出入りするようになっている。つまり、シート17がナイフ23とゴム台24にて切断される直前に折胴9の表面から飛び出して後続するシート17の先端を突き刺し、切断後のシート17を引き込んで折胴9の外周面へ巻き付けるべく機能している。折胴9の回転によりシート17の中央部が咥え装置22に対応する位置に近づくと、上記した針18は次第に抜け、シート17は折ブレード26によって開口した咥え装置22の爪部へ押し込まれ把持される。続いて、略90度後方の位置ではシート17をナイフ23によって切断するとともに、針18が後続する下流側シート17の先端を突き刺すようになっている。
【0005】
なお、折ブレード26は折胴9に組み込まれた折軸に固設されており、折胴9の回転と連動して所定の位相位置において折胴9から出入りするようになっている。また、折ブレード26は、咥え胴8の咥え装置22に対応する位置で折胴9に巻きつけられたシート17を咥え装置22の爪部に押し込み、中央で二つ折りにすべく機能している。咥え装置22は折胴9の折ブレード26により押し込まれたシート17を咥えこみ、横折して折帳7として搬送コンベア10,13の中間へ移送している。
【0006】
搬送コンベア10,13による折部から排紙部である排紙装置21への搬送途中にはチョッパ折装置19が設けられている。このチョッパ折装置19は揺動アームを介して昇降するチョッパブレード32,折り込みローラ20a,20b及び位置決め板47から構成され、搬送コンベア10,13を介して搬送された折帳7に対し、位置決め板47にて位置決めを行い所定のタイミングでチョッパブレード32を振り下ろして搬送方向に沿って折り畳んだ後、下方の折り込みローラ20a,20bの中間に挿入させるよう機能している。折り込みローラ20a、20bは折帳7を狭持して直下部に位置する羽根車14に投入するようになっている。なお、チョッパ折装置19を使用しない場合には、折帳7は搬送コンベア10,13を介して搬送された後に羽根車11に投入される。
【0007】
排紙装置21は、上記羽根車14,11と排紙コンベア12とから構成されている。羽根車14,11は、複数枚のブレード(羽根)にて構成され、幅方向に複数列配置されている。羽根車14,11で受け取られた折帳7は所定のピッチで排紙コンベア12上へ移載され、屋根瓦状に積み重ねられて外部へ搬出される。羽根車14、11の回転数は咥え胴8から搬送コンベア10,13への折帳7の投入速度に対応しており、羽根車14,11の速度と排紙コンベア12の走行速度比によって排紙コンベア12上に並べる折帳7の積重ピッチが決定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の折機2では、咥え胴8の回転と同期走行する下側搬送コンベア10と上側搬送コンベア13とはともに位置固定的に配設されており、折胴9と咥え胴8との協働により折り畳まれた折帳7は、折り畳まれた直後から羽根車11或いはチョッパ折後の羽根車14へ投入されるまで、上下搬送ベルト10,13によって完全に拘束される。
【0009】
しかしながら、輪転印刷機の運転においては、ジョブ替え時に新たにウェブ5を折機に入れ直す場合や、旧紙に新紙を紙継ぎしてウェブ5が新旧交換される場合がある。また、紙通しをした状態で長時間輪転印刷機を停止した時等には、湿ったウェブ5が折機2に搬入される場合がある。これらの場合には、折胴9と咥え胴8との間で本来断裁されるべきところが切断されなかったり、紙通し時のウェブ5の蛇行や引っ掛かり等に起因して所定の紙幅で折られなかったりすることが多い。そしてこれらが原因となってチョッパ折装置19や羽根車11,14において紙詰まりを起こす可能性が高かった。
【0010】
このため、従来は、運転開始前の緩動運転時にウェブ5の断裁や折り幅が安定するまで、搬送されてきた不良の折帳7を搬送コンベア10上から人手で強制的に取り除いていた。したがって、専用の人員(オペレータ)を準備する必要があった。また、紙詰りが発生した時には、構造上修理等の作業性が良くないためメンテナンスも困難で生産効率が低下してしまうという課題もあった。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、輪転印刷機の立ち上がり時等において発生する不良折帳による紙詰まりを防止できるようにした輪転印刷機の折機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の輪転印刷機の折機は、咥え胴及び折り胴の協働によりシートを折り畳んで折帳とする折部と、折部で折られた折帳を順に積み重ねて排紙する排紙部との間に、折帳を咥え胴から受け取り排紙部へ搬送する搬送コンベアが設けられた構成において、搬送コンベアの咥え胴側端部の折帳搬入部を揺動させることにより折帳を通常の搬送経路外へ排出する排出装置が設けられたことを特徴としている。このような構成によれば、通常運転時における折帳を搬送する通常の搬送経路と、輪転印刷機の立ち上がり時等において発生する不良折帳を排出する通常の搬送経路外とを選択でき、不良折帳が排紙部その他の装置に投入されることによる紙詰まり等の不具合の発生を防止することができる。
【0013】
つまり、上記排出装置は、搬送コンベアの折帳搬入部を咥え胴に対して接離させる装置とする。より詳しくは、折帳搬入部は、咥え胴の下方において、咥え胴の外周面に係合して折帳を案内するよう折帳搬入部が咥え胴に接近した状態となる姿勢と、折帳が搬送コンベアに受け渡されることのないよう折帳搬入部が咥え胴から離隔した状態となる姿勢とに揺動するように支点軸を有し、咥え胴から離隔した状態となる姿勢に設定されることにより、折帳を通常の搬送経路外へ排出する排出装置となる。
そして、折帳搬入部は、支点軸を支点として揺動するアームを備え、アームの先端にベルトローラを回転自在に取り付け、搬送コンベアのベルトを巻き掛けることにより折機搬入部の先端部を構成するとともに、アームに連結されて折帳搬入部を揺動させ、接近した状態と離脱した姿勢とを選択可能とするアクチュエータを備え、アクチュエータを作動させることにより、折帳搬入部が咥え胴に接近した状態では折帳は咥え胴から搬送コンベアに受け渡され、折帳搬入部が咥え胴から離隔した状態では折帳は咥え胴から搬送コンベア外部へ排出されることが好ましい。
【0015】
また、上記折帳搬入部の作動を制御する制御装置を備え、印刷機の運転開始時に折帳搬入部の作動を自動選択し、折帳の搬送タイミングに対応して折帳搬入部を動作させるような制御を行ってもよい。これにより輪転印刷機の立ち上がり時における折帳搬入部の作動を自動化することができ、折帳搬入部を操作するための専用の人員が不要となって無人化が可能となる。なお、より好ましくは、輪転印刷機が運転開始前に特定の運転状態にあった場合に折帳搬入部を作動させるようにする。特定の運転状態とは例えば長時間休止、ジョブ替え、或いは紙継ぎ等の運転状態であり、このような運転状態であった場合には、その運転状態を示す信号と運転開始信号が入力された場合に、折帳搬入部を作動させるようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる輪転印刷機の折機の要部構成を示す概略図である。なお、ここでは図3に示した従来の一般的な商業用オフセット輪転機に本発明を適用しており、図中において従来と同一の部位については同一の符号を付して示している。
【0017】
本実施形態にかかる折機1Aは、従来の折機における咥え胴8の下方において、咥え胴8の外周面に係合して折帳7を案内する下側搬送コンベア10の折帳搬入部10aを咥え胴8に対して接離(着脱)できるよう構成し、通常運転時における搬送コンベア10,13への折帳7の搬送と、特定運転時における搬送コンベア10,13外部への不良折帳の排出とを選択できるような構造とすることで、折部から排紙部への折帳7の搬送経路において選択により折帳7を通常の搬送経路外へ排出する排出装置を実現したものである。
【0018】
具体的には、本実施形態では、下側搬送コンベア10の折帳搬入部10aに軸15を支点として揺動するアーム27を設け、このアーム27の先端にベルトローラ6を回転自在に取り付け下側搬送コンベア10のベルトを巻き掛けて折帳搬入部10aの先端部としている。アーム27の一部にはピン28を介してエアシリンダ29のヘッド部を連結させ、エアシリンダ29の後端は支点軸30を介して図示略のフレームに取り付けている。これによりエアシリンダ29を作動させることで折帳搬入部10aは軸15を支点として揺動し、咥え胴8に対して接離するようになっている。なお、ベルトローラ6は、エアシリンダ29の作動による折帳搬入部10aの揺動に際して下側搬送コンベア10のベルトの張り過ぎや弛みが発生しないよう軌跡が設定されている。この機能は、別位置においてベルトテンション調整ローラを設ける等他の方法にて代替することも可能である。
【0019】
また、折胴9の下方にはシートガイド31,33が設けられている。これらシートガイド31,33は共に折胴9の外周面に沿って移送されるシート17を安定的に案内すべく機能している。なお、咥え胴8と折胴9とのニップ出口に位置するシートガイド31は、アーム27の先端部に固定されており、エアシリンダ29の作動によりアーム27と一体的に揺動するようになっている。
【0020】
次に、上述のように構成された折機1Aの動作について図2の動作説明図を用いて説明する。エアシリンダ29を作動させることで、下側搬送コンベア10の折帳搬入部10aの姿勢として、図2(a)に示すように咥え胴8に接近した状態(着状態)と図2(b)に示すように咥え胴8から離脱した状態(脱状態)の何れかの状態が選択される。
【0021】
通常の印刷運転時には、図2(a)に示すように下側搬送コンベア10の折帳搬入部10aは咥え胴8に接近した着状態に設定される。この状態では、咥え胴8と折胴9の中間へ送り込まれたシート17は、咥え胴8と折胴9との協働により切断されると共に進行方向中央で二つ折りされ、折帳7が形成される。形成された折帳7は咥え胴8に把持されて咥え胴8から搬送コンベア10,13に受け渡され、従来の折機と同様に羽根車或いはチョッパ折装置と羽根車を経由して排紙コンベア上へ積み重ねられて外部へ搬出される。
【0022】
一方、輪転印刷機の立ち上がり時等、不良折帳7が発生する状況においては、図2(b)に示すように下側搬送コンベア10の折帳搬入部10aは咥え胴8から離脱した脱状態に設定される。これによって、咥え胴8及び折胴9を介して送り出される不良折帳7′は搬送コンベア10,13に受け渡されることなく、そのまま真下に或いは下側搬送コンベア10,シートガイド31上を滑落して装置外へ排出される。
【0023】
以上のように、本実施形態にかかる折機1Aによれば、輪転印刷機の立ち上がり時等において発生する不良折帳7′を咥え胴8の下方へ自動的に落下排出させることが可能であり、下流の羽根車やチョッパ折装置での紙詰まりを防止することができる。その結果、不良折帳7′を除去するための人員が不要となるという効果や、輪転印刷機をスムーズに立ち上がらせることができるという効果や、構造上、紙詰まり等のトラブル処理が容易になって保守点検や修理等のメンテナンスが簡単になるという効果も得られる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施形態では折帳搬入部10aを揺動させるための手段としてエアシリンダ29を用いているが、折帳搬入部10aの姿勢として少なくとも着状態と脱状態とを選択可能であれば他のアクチュエータを用いてもよい。
【0033】
また、折機の排出装置(即ち、折帳搬入部)を電気的な制御により輪転印刷機と連動させるようにしてもよい。すなわち、排出装置の作動を自動制御する制御装置を設け、輪転印刷機の運転開始時に輪転印刷機から運転開始信号が入力されると排出装置の作動を自動選択し、折帳の搬送タイミングに対応して排出装置を動作させるようにする。このような制御を行うことで、輪転印刷機の立ち上がり時における排出装置の作動を自動化することができ、排出装置を操作するための専用の人員が不要となって無人化が可能となる。
【0034】
なお、上記のように排出装置の作動を自動制御する場合、排出装置の作動は輪転印刷機が運転開始前に特定の運転状態(例えば長時間休止、ジョブ替え、或いは紙継ぎ等の不良折帳が発生しやすい運転状態)にあった場合に限定してもよい。この場合は、特定運転状態を示す信号と運転開始信号とが輪転印刷機から制御装置に入力された場合にのみ排出装置を作動させる。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の輪転印刷機の折機によれば、排出装置の作動を選択することによって、輪転印刷機の立ち上がり時等において発生する不良折帳を通常の搬送経路外へ排出することができ、不良折帳が排紙部その他の装置に投入されることによる紙詰まり等の不具合の発生を防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかる輪転印刷機の折機の要部構成を示す概略図である。
【図2】 図1の折機の動作説明図であり、(a)は搬送コンベアの折帳搬入部の着状態を示す図、(b)は搬送コンベアの折帳版入部の脱状態を示す図である。
【図3】 一般的な商業用オフセット輪転機に設けられる従来の折機の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1A 折機
6 ベルトローラ
7 折帳
7′ 不良折帳
8 咥え胴
9 折胴
10 下側搬送コンベア
10a 折帳搬入部
11,14 羽根車
12 排紙コンベア
13 上側搬送コンベア
17 シート
19 チョッパ折装置
21 排紙装置
27 アーム
29 エアシリンダ
31,33 シートガイド
Claims (3)
- 咥え胴と折り胴とが設けられ上記咥え胴及び上記折り胴の協働によりシートを折り畳んで折帳とする折部と、
上記折部で折られた折帳を順に積み重ねて排紙する排紙部と、
上記折部から上記排紙部への折帳の搬送経路に設けられ、折帳を上記折部の上記咥え胴から受け取り上記排紙部へ搬送する搬送コンベアとを備える輪転印刷機の折機であって、
上記搬送コンベアは、上記咥え胴側端部に折帳搬入部を有しており、
上記折帳搬入部は、上記咥え胴の下方において、上記咥え胴の外周面に係合して折帳を案内するよう上記折帳搬入部が上記咥え胴に接近した状態となる姿勢と、折帳が上記搬送コンベアに受け渡されることのないよう上記折帳搬入部が上記咥え胴から離隔した状態となる姿勢とに揺動するように支点軸を有し、上記咥え胴から離隔した状態となる姿勢に設定されることにより、折帳を通常の搬送経路外へ排出する排出装置となる
ことを特徴とする、輪転印刷機の折機。 - 上記折帳搬入部は、
上記支点軸を支点として揺動するアームを備え、上記アームの先端にベルトローラを回転自在に取り付け、上記搬送コンベアのベルトを巻き掛けることにより上記折機搬入部の先端部を構成するとともに、
上記アームに連結されて上記折帳搬入部を揺動させ、上記接近した状態と上記離脱した姿勢とを選択可能とするアクチュエータを備え、
上記アクチュエータを作動させることにより、上記折帳搬入部が上記咥え胴に接近した状態では折帳は上記咥え胴から上記搬送コンベアに受け渡され、上記折帳搬入部が上記咥え胴から離隔した状態では折帳は上記咥え胴から上記搬送コンベア外部へ排出される
ことを特徴とする、請求項1記載の輪転印刷機の折機。 - 上記折帳搬入部の作動を制御する制御装置を備え、
上記制御装置は印刷機の運転開始時に上記折帳搬入部の作動を自動選択し、折帳の搬送タイミングに対応して上記折帳搬入部を動作させるように構成されている
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の輪転印刷機の折機。
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