JP3716118B2 - 光モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ等の光源、光ファイバ、集光レンズ及びフォトダイオード等の受光素子を基板上に搭載した双方向性の光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板上に光ファイバや受発光素子等の光部品を配設し、光学的に結合させた光モジュールが提案されているが、これらの光部品を簡易な構造で且つ低損失に光接続することはきわめて重要である。そこで、高精度な光接続を実現する技術として、シリコン基板上に異方性エッチング等を施し、V溝や導体パターンを精度良く形成する方法が検討されている。
【0003】
このような異方性エッチングは、一般に水酸化カリウム水溶液等を用いて(100)面シリコン基板をエッチングし、エッチングレートの遅い(111)面を出すことによって行われる。(100)面シリコン基板を異方性エッチングして得られるV溝は結晶方位を利用しているので、必然的にシリコン基板表面とV溝とのなす角は54.7°になる。
【0004】
そして、異方性エッチングしたシリコン基板上に半導体レーザ素子を搭載させる従来例として、光情報処理、光計測、光通信等に用いる半導体レーザ装置に関するものであって、〈110〉方向を軸として1〜11°のオフアングルを有する(511)面のシリコン基板と、シリコン基板上に形成された両側の斜面が(111)面で断面形状がV状等の溝と、その溝を形成する斜面のうちシリコン基板の表面に対する傾きが45°に近い反射ミラー面に対向する斜面の溝上端稜線に対して、端面がほぼ平行になるようにしてシリコン基板上に半導体レーザチップとを有することにより、レーザ光をほぼ垂直方向に取り出すことができ、出射方向の位置合わせが容易なものが提案されている(特開平5−315699号公報参照)。図12に前記半導体レーザ装置の部分断面図を示す。同図において、31はシリコン基板、32は反射ミラー面、33は半導体レーザ素子、34は光路である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例の半導体レーザ装置は図12に示すように、半導体レーザ素子(Laser diodeで、以下、LDと略す)33から出射したレーザ光の光軸高さと、反射ミラー面32の上端がほぼ同じ高さであり、このため上方へ取り出されるレーザ光の光量は半減してしまう。そこで、LD33を載置する面を反射ミラー面32の上端よりも低くして反射光量を増大させる為には、本発明のような光ファイバ及び集光レンズを基板31上に搭載するタイプの場合、LD33載置面、光ファイバ搭載用V溝の形成面、球レンズ等の集光レンズ搭載用V溝の形成面を、反射ミラー面32の上端に対して予めレーザビーム径の半分以上低くする必要がある。例えば、集光レンズとして直径600μmの球レンズを使用する場合最大300μm、直径800μmの球レンズの場合最大400μm低くすることになる。
【0006】
そして、LD33載置面、光ファイバ搭載用V溝の形成面及び集光レンズ搭載用V溝の形成面を低くする方法として、ダイシング法等の研削法、エッチング法等があるが、ダイシング法の場合ダイシング後の面が粗いために電極やV溝を形成することができない。
【0007】
従って、本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光量を低下させることなくほぼ垂直上方へ取り出すことができ、その結果きわめて高効率の光接続を行うことが可能で、上側基板を蓋体兼用としているため別個の蓋体が不要になり部品点数が低減され、また受発光素子が基板上部に搭載されているためワイヤーボンディング等による配線が容易なものとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光モジュールは、下側基板と透光性の上側基板とを有し、下側基板の上側主面に、レーザビームを出射する発光素子の搭載部と、発光素子に対向する位置に設けられた光ファイバ固定用のV溝aと、発光素子とV溝aとの間の光軸上に形成された光学フィルタ設置用の溝bと、該光学フィルタにより反射された光を略垂直上方へ反射させる反射面とを設け、且つ前記発光素子の搭載部は反射面上端よりも反射面側にあり、前記上側基板の下側主面に反射面による反射光を集光させる集光レンズ、上側主面に受光素子を設置し、前記上側基板の下側主面と下側基板の上側主面とを重ね合わせて成り、前記反射面のレーザビームのスポット部に反射を強める厚さの誘電体層を形成し、前記反射面の前記スポット部以外の箇所に反射を弱める厚さの誘電体層を形成していることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記構成により、発光素子からの光をほぼ完全に垂直上方へ取り出すことができ、その結果きわめて高効率の光接続が実現する。また、蓋体が不要になるので部品点数が低減され、受発光素子が基板上部に搭載されているためワイヤーボンディング等による配線が容易になり、作業性が向上する。更に、上側基板に反射光を集光させるフレネルゾーンレンズを成膜技術で形成でき、反射光集光用の集光レンズが不要になるため、上側基板を非常に薄型化でき、その結果全体が低背化する。
【0010】
本発明において、好ましくは、上側基板の下側主面に設けた集光レンズが、フレネルゾーンレンズである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の双方向性の光モジュールM1を図1〜図6に示す。図1は光モジュールM1の平面図、図2(a)は図1のA−A′線(LD15から出射されたレーザビームの光軸)における断面図、図2(b)は図1のB−B′線における断面図、図2(c)は図1のC−C′線における断面図、図3は下側基板1の平面図、図4(a)は図3のA−A′線における断面図、図4(b)は図3のB−B′線における断面図、図4(c)は図3のC−C′線における断面図、図5は上側基板2の平面図、図6(a)は図5のA−A′線における断面図、図6(b)は図5のB−B′線における断面図、図6(c)は図5のC−C′線における断面図である。
【0012】
これらの図において、1は下側基板、2は透光性の上側基板であり、下側基板1の上側主面には、反射面4用の逆台形状の溝3、レーザビームを略垂直上方へ反射する反射面4、光路を遮断しないように形成された溝8、発光素子であるLD15へ電力を供給する電極9、光ファイバ固定用(押圧用)のV溝a、球レンズ設置用の溝c、光学フィルタ16設置用の断面凹型の溝bがそれぞれ形成されている。また、上側基板2には、受光素子のフォトダイオード(以下、PDと略す)の出力を取り出す電極14、反射面4からの反射光を集光させる集光レンズとしてのフレネルゾーンレンズ21、光ファイバ17設置用のV溝a1、球レンズ18設置用の溝c1、光学フィルタ16設置用の断面凹型の溝b1がそれぞれ設けられている。本発明でいう発光素子搭載部とは、LD15が搭載され電極9が形成された面部である。
【0013】
本発明の光モジュールM1は双方向性のものであり、以下のように機能する。例えば、LD15から出射された光波長(以下、波長という)1.31μmのレーザビームは、波長選択フィルタである光学フィルタ16を透過し光ファイバ17に入射する。光ファイバ17は外部の光通信装置、情報処理装置又は計測装置等に接続されており、これらの装置から波長1.55μmの戻り光が返って来る。この波長1.55μmの光は光学フィルタ16によって反射され、反射面4で反射されPD20によって検出されて、光通信における情報、光計測における測定値として出力される。
【0014】
上記例では、光学フィルタ16を波長選択フィルタとしたが、偏光ビームスプリッタとしても良い。その場合、例えば、LD15から出射された直線偏光光は偏光ビームスプリッタを通過して光ファイバ17に入射し、光ファイバ17からのランダム偏光の戻り光は偏光ビームスプリッタによって反射されるように構成しても良い。
【0015】
本発明の光モジュールM1は下側基板1と透光性の上側基板2とを有しており、図1に示すように、下側基板1よりも上側基板2の面積を小さくして、下側基板1の少なくとも電極9及びLD15が外部へ露出する構成が良い。この構成により、LD15及び電極9と外部の駆動回路との接続がワイヤーボンディング等により容易に行える。また、下側基板1は異方性エッチング法により加工が容易なシリコンが良く、上側基板2は透光性材料であり、赤外光に対して透光性を有するシリコン,GaAs,SiO2 ガラス,水晶,ルチル等が良く、なかでも異方性エッチング法により加工が容易なシリコンが好ましい。
【0016】
また、下側基板1について、図4(c)に示すように、下側基板1の主面に垂直な方向においてLD15搭載部は反射面4の上端4tよりも反射面4側の位置にあり、その結果レーザビームは殆ど反射面4により垂直上方へ反射される(図2(c))。下側基板1の主面に垂直方向における前記上端4tとLD15の発光部との高さの差は、50〜250μmが良く、50μm未満では反射面に当たらない光が多くなり受光量が低下する。250μmを超えると、下側基板1の強度が弱くなり、溝b及び溝c等のパターン形成が困難になるため取り扱いが難しくなる。更に好ましくは、反射面4の上端4tは、更にV溝a、溝b及び溝cよりも高い位置にあるのが良い。
【0017】
前記反射面4は下側基板1の主面に対して45°程度傾斜しているのが良く、その場合反射光が略垂直上方へ反射される。そして、下側基板1がシリコンからなり反射面4を異方性エッチングにより形成する場合、(100)面を〈110〉方向を軸にして下側基板1の主面に対して9〜12°傾けることにより、反射面4である(111)面を前記主面に対して45°程度傾斜させることができる。前記角度範囲から外れると、垂直上方へ反射されない光が増加し、PD20の受光量が減少する。
【0018】
本発明において、フレネルゾーンレンズ21は光を集光するとともに、光透過率を高めより多くの光量をPD20に集光させることができる。例えば、上側基板2が赤外光に対して透光性のシリコンから成る場合、上側基板2上にSiO2 ,TiO2 等を成膜し、フォトリソグラフィー法によりピッチを中心から外側に向かって変えた同心円状のレジストパターンを形成し、反応性イオンエッチング法,電子ビームエッチング法,レーザビームエッチング法等により作製できる。また、フレネルゾーンレンズ21は誘電体多層反射防止層としても機能し得るため、より多くの光をPD20に集光可能となる。
【0019】
具体的には、上側基板2がシリコンから成り、波長λ=1.55μmでSiO2 をフレネルゾーンレンズ21に使用する場合、まずSiO2 を膜厚約3.42μm成膜し、最大3.16μmエッチングし、最も薄い部分を0.26μmとすることで約95%の透過率が得られる。これは、シリコン単体の透過率の69%よりも26%も高い値である。SiO2 の代わりにTiO2 を用いる場合は、最大膜厚1.05μm、エッチング膜厚0.91μm、最も薄い部分の膜厚0.14μmとして、約87.7%の透過率が得られる。
【0020】
また、本発明は、反射面4に反射防止のためのコーティング等を行い、反射率を高めるとともに光の散乱を防ぎ、また不要成分を吸収するといったことも可能である。例えば、反射面4にTiO2 ,SiO2 ,Ge,LiF等の誘電体層を形成することにより、反射率の制御等を行うことができる。また、まずAg,Au,Pt等の金属層を反射層として形成し、次いで上記誘電体層を積層することにより、反射率をより高めることができる。
【0021】
本発明においては、反射面4のレーザビームのスポット部に反射を強める厚さの誘電体層を形成し、スポット部以外の箇所には反射を弱める厚さの誘電体層を設けており、必要なスポット部の反射を強め、他の迷光や散乱光を減衰させることができる。また、金属反射層と誘電体層との構成でもって、特定波長に対する反射率の制御も可能であり、例えばAg反射層とTiO2層の2層構造の場合、λ=1.31μmのとき、TiO2 層の厚さ0.23μmで反射率約98.3%、TiO2層の厚さ0.10μmで反射率約88.3%となり、反射率を約10%制御できる。また、λ=1.55μmのとき、TiO2 層の厚さ0.27μmで反射率最大、TiO2 層の厚さ0.12μmで反射率最小とすることができる。
【0022】
本発明の光モジュールM1の下側基板1は以下のような工程によって作製する。下側基板1の発光素子搭載部及び光ファイバ17固定面を予めエッチングにより反射面4の上端4tよりも低くなるよう形成する。次いで、V溝a,溝c,反射面4用の溝3を異方性エッチング法により形成する。電極9をフォトリソグラフィー法及び蒸着法により形成する。そして、溝b,溝8をダイシング法により作製する。
【0023】
また、上側基板2は以下のような工程で作製する。上側基板2のV溝a1が存在する面以外を予めエッチングする。次いで、V溝a1,溝c1を異方性エッチング法により形成する。電極14をフォトリソグラフィー法及び蒸着法により形成し、フレネルゾーンレンズ21をフォトリソグラフィー法及びエッチング法により設ける。そして、溝b1をダイシング法により作製する。
【0024】
上記電極9及び電極14は、Ti/Pt/Au等の3層構成のもの、Cr/Au等の2層構成のものが好ましく、これらは長期信頼性に優れ、密着強度も強い。
【0025】
また、図7〜図10は他の実施形態を示し、図7は光モジュールM2の平面図、図8(a)は図7のA−A′線(LD15から出射されたレーザビームの光軸)における断面図、図8(b)は図7のB−B′線における断面図、図8(c)は図7のC−C′線における断面図、図9は上側基板2の平面図、図10(a)は図9のA−A′線における断面図、図10(b)は図9のB−B′線における断面図、図10(c)は図9のC−C′線における断面図である。
【0026】
この光モジュールM2は、下側基板1は上記光モジュールM1と同様であり、上側基板2の集光レンズとして、フレネルゾーンレンズ21の代わりに球レンズ19及び球レンズ19設置用の先細りの貫通孔dを設けた構成である。この貫通孔dは異方性エッチング法により形成することにより、逆台形状の断面形状とされている。この実施形態では、球レンズ19を使用しているため、上側基板2は必ずしも透光性を有していなくても良く、また貫通孔dは逆円錐形状等の断面形状であっても構わない。この例では、光は貫通孔dを通過するので光の損失は小さいが、上側基板2の厚みは光モジュールM1よりも厚くなるうえ、貫通孔dを形成する手間がかかる。
【0027】
かくして、本発明は、光をほぼ完全に垂直上方へ取り出すことができ、きわめて高効率の光接続が実現する。また、蓋体が不要になるので部品点数が低減され、受発光素子が基板上部に搭載されているためワイヤーボンディング等による配線が容易になり、作業性が向上する。更に、上側基板に反射光を集光させるフレネルゾーンレンズを成膜技術で形成でき、反射光集光用の球レンズが不要になるため、上側基板を非常に薄型化でき、その結果全体が低背化する、という作用効果を有する。
【0028】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更は何等差し支えない。
【0030】
図1の光モジュールM1の下側基板1を以下の工程(1)〜(4)で作製した。
【0031】
(1)シリコンからなる厚さ1mmの下側基板1を用い、電極9を形成する面とV溝aが存在する面を、水酸化カリウム水溶液を使ってエッチングし、反射面4の上端4tよりも低くした。その際、球レンズ18の直径が600μmの時は約150μm、直径が800μmの時は約210μm程度エッチングすることで、光ファイバ17から返ってきた光を減衰させることなく反射面4に当てて、PD20へ入れることができる。LD15の光軸はLD15搭載面より8μm高い位置にあり、V溝a形成面からの高さも8μmであった。また、本例では深さは全て光軸からの深さである。
【0032】
(2)その後、V溝a,溝cを同じく水酸化カリウム水溶液により異方性エッチングした。溝cの深さは、球レンズ18により決定され、球レンズ18の直径が600μmの時深さは300μm程度、直径が800μmの時は400μm程度となる。V溝aは、深さ108μm、下側基板1主面における幅は142μmであった。
【0033】
(3)Cr/Auからなる電極9をフォトリソグラフィー法及び蒸着法により形成した。
【0034】
(4)そして、溝b,溝8をダイシング法により作製した。溝bは深さ510μm、下側基板1主面における幅は50μmであり、溝8は深さ400μm、下側基板1主面における幅は100〜400μmであり、本例では200μmとした。
【0035】
また、上側基板2は以下の工程(5)〜(8)により作製した。
【0036】
(5)シリコンからなる厚さ800μmの上側基板2を用い、V溝a1が存在する面以外を予めエッチングし、その面の高さを低下させた。その際、直径600μmの球レンズ18の場合は約150μm程度低下させ、直径800μmの球レンズ18の場合は約210μm低下させる。
【0037】
(6)次いで、V溝a1,溝c1を水酸化カリウム水溶液による異方性エッチング法で形成した。このとき、球レンズ18の直径を600μmとすると、逆四角錐状の溝c1は深さ362μm、上側基板2主面において511.5μm×511.5μm角であり、V溝a1は深さ108μm、上側基板2主面における幅は142μmであった。また、溝c1は、球レンズ18の直径が800μmの時は、深さ462μm、上側基板2主面において653.0μm×653.0μm角となる。
【0038】
(7)電極14をフォトリソグラフィー法及び蒸着法により形成し、フレネルゾーンレンズ21をフォトリソグラフィー法及びエッチング法により設けた。このとき、使用波長λ=1.55μmとしてSiO2 をフレネルゾーンレンズ21に使用した。まずSiO2 を膜厚約3.42μm成膜し、最大3.16μmエッチングし、最も薄い部分を0.26μmとすることで約95%の透過率が得られた。フレネルゾーンレンズ21については、全体の直径を0.6mmとし、λ=1.55μm、NA(開口率)=0.3の場合、全ゾーン数は29、中心からm番目のゾーンの内半径rm はrm =(2mλf)1/2 (λは波長、fは焦点距離)となる。
【0039】
(8)そして、溝b1をダイシング法により作製した。その深さは510μm、上側基板2主面における幅は510μmであった。
【0040】
また、反射面4用の溝3は、反射面4をなす(111)面が異方性エッチング後に下側基板1の主面に対して45°程度傾斜した状態とするために、シリコン結晶の(100)面を〈110〉方向を軸にして下側基板1の主面に対して10°傾けたものを使用し、異方性エッチングを施した。そして、この反射面4にAg反射層(下層)とTiO2 層(上層)を設け、TiO2 層の厚さ0.27μmとしてλ=1.55μmに対する反射率を97.9%とした。
【0041】
このような下側基板1に光学フィルタ16、LD15を搭載し、上側基板2に光ファイバ17、球レンズ18、PD20をそれぞれ搭載した後、2枚の基板を重ね合わせて、紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂により接着固定した。その後、LD15及びPD20のワイヤーボンディングを一度に行うことができた。本例において、光学フィルタ16は波長選択フィルタであり、LD15の波長1.31μmの出射光を透過させ、光ファイバ17からの波長1.55μmの光を反射させる。
【0042】
また、図7の光モジュールM2を、上側基板2に球レンズ設置用の貫通孔dを設けた以外は上記と同様にして作製した。この場合、上側基板2の厚さが1mmと厚くなったが、光損失は光モジュールM1よりも小さかった。
【0043】
更に、図11は従来例を示し、(a)は下側基板1の平面図、(b)は(a)のA−A′線における断面図、(c)は(a)のB−B′線における断面図である。尚、上側基板2については省略する。
【0044】
同図(c)に示すように、反射面4の上端4とLD15搭載面がほぼ同じ高さになっているため、光学フィルタ16で反射された光は反射面4で完全に反射されず、半分程度の光量が失われた。また、反射面4には何等のコーティング等も設けていないため、反射率も43.3%程度と低かった。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、下側基板の上側主面に、レーザビームを出射する発光素子の搭載部と、発光素子に対向する位置に設けられた光ファイバ固定用のV溝aと、発光素子とV溝aとの間の光軸上に形成された光学フィルタ設置用の溝bと、光学フィルタで反射された光を略垂直上方へ反射させる反射面とを設け、且つ発光素子の搭載面は反射面上端よりも反射面側にあり、上側基板の下側主面に反射面による反射光を集光させる集光レンズ、上側主面に受光素子を設置し、前記上側基板の下側主面と下側基板の上側主面とを重ね合わせて成り、反射面のレーザビームのスポット部に反射を強める厚さの誘電体層を形成し、反射面のスポット部以外の箇所に反射を弱める厚さの誘電体層を形成していることにより、光量を低下させることなくほぼ垂直上方へ光を取り出すことができ、その結果きわめて高効率の光接続を行うことが可能で、上側基板を蓋体兼用としているため別個の蓋体が不要になり部品点数が低減され、また受発光素子が基板上部に搭載されているためワイヤーボンディング等による配線が容易なものとなる。
【0046】
また、上側基板に集光レンズとして、薄膜形成法によるフレネルゾーンレンズを設けた場合、高い光透過率を維持して上側基板がきわめて薄型化できるという作用効果も有する。前記集光レンズとして、球レンズを設けた場合光損失をより小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光モジュールM1の平面図である。
【図2】(a)は図1のA−A′線における断面図、(b)は図1のB−B′線における断面図、(c)は図1のC−C′線における断面図である。
【図3】本発明の下側基板1の平面図である。
【図4】(a)は図3のA−A′線における断面図、(b)は図3のB−B′線における断面図、(c)は図3のC−C′線における断面図である。
【図5】本発明の上側基板2の平面図である。
【図6】(a)は図5のA−A′線における断面図、(b)は図5のB−B′線における断面図、(c)は図5のC−C′線における断面図である。
【図7】本発明の他の実施例であり、光モジュールM2の平面図である。
【図8】(a)は図7のA−A′線における断面図、(b)は図7のB−B′線における断面図、(c)は図7のC−C′線における断面図である。
【図9】光モジュールM2の上側基板2の平面図である。
【図10】(a)は図9のA−A′線における断面図、(b)は図9のB−B′線における断面図、(c)は図9のC−C′線における断面図である。
【図11】 従来例を示し、(a)は下側基板1の平面図、(b)は(a)のA−A′線における断面図、(c)は(a)のB−B′線における断面図である。
【図12】従来の半導体レーザ装置の部分断面図である。
【符号の説明】
1:下側基板
2:上側基板
3:逆台形状の溝
4:反射面
8:溝
9:LD用の電極
14:PD用の電極
15:LD
16:光学フィルタ
17:光ファイバ
20:PD
21:フレネルゾーンレンズ

Claims (2)

  1. 下側基板と透光性の上側基板とを有し、下側基板の上側主面に、レーザビームを出射する発光素子搭載部と、発光素子に対向する位置に設けられた光ファイバ固定用のV溝aと、発光素子とV溝aとの間の光軸上に形成された光学フィルタ設置用の溝bと、該光学フィルタにより反射された光を略垂直上方へ反射させる反射面とを設け、且つ前記発光素子搭載部は反射面上端よりも反射面側にあり、前記上側基板の下側主面に反射面による反射光を集光させる集光レンズ、上側主面に受光素子設置し、前記上側基板の下側主面と下側基板の上側主面とを重ね合わせて成り、前記反射面のレーザビームのスポット部に反射を強める厚さの誘電体層を形成し、前記反射面の前記スポット部以外の箇所に反射を弱める厚さの誘電体層を形成していることを特徴とする光モジュール。
  2. 前記上側基板の下側主面に設けた集光レンズが、フレネルゾーンレンズである請求項1記載の光モジュール。
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