JP3716104B2 - 光モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光ファイバ通信や光インターコネクションといった光伝送の送受信に使用される光モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光信号の送受信に使用される光モジュールにおいては、部品構成を簡素化してコストを下げたり、その組み立て性を向上させるために、光半導体素子の給電用金属電極や光ファイバの固定用V溝がそれぞれ精密に形成された実装基板を使用する構造が多く用いられている。
【0003】
また従来より、光半導体素子と光ファイバの光結合には、所望の結合効率を得るために集光レンズが用いられてきたが、精密に加工された実装基板に両者を固定することで、光半導体素子と光ファイバが極めて近接して配置でき、集光レンズを用いなくとも所望の結合効率が得られるようにしている。
【0004】
一方、光半導体素子は湿気による特性劣化を防ぎ信頼性を高めるために、不活性ガスで充填された気密構造を用いる必要があるが、集光レンズを用いる結合構造の場合は、光半導体素子と集光レンズと光ファイバで構成される空間、すなわち結合長を長く確保できるため、光半導体素子を実装固定するパッケージに光信号を通すガラス窓を設けることで、気密構造と光信号の授受が両立できる。
【0005】
実装基板を用いる結合構造の場合、光半導体素子と光結合する光ファイバをそのまま筐体外へ引き出し、光ファイバとそれを挿通させるパッケージに形成された孔の間隙を何らかの方法で気密封止せざるを得ない。
【0006】
例えば、図8に示す光モジュールJ1のように、パッケージ51の上面部に形成した切り欠き61とパイプ溝55に、一部が保護被膜63で覆われた光ファイバ62とガラスパイプ58を配設し、パッケージ51の内側に形成した凹部54内に配設された実装基板60上に半導体レーザ52を実装固定して、光ファイバ62と半導体レーザ52とを光結合させるようにし、さらに、パッケージ51の上面に封止用金属板57及び蓋65を封着した後に、切り欠き溝61に配置した低融点ガラスの粉末を加熱し、それを溶融させて気密構造を形成している。この低融点ガラスの加熱には、CO2 (炭酸ガス)レーザ等の手段によって部分加熱を行うことが提案されている(例えば、特開平7-63957 号公報を参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示す光モジュールJ1の気密封止構造では、光ファイバ62とそれに装着したガラスパイプ58をパッケージ51に配設する構造を採用しているため、通常用いられる多層セラミックパッケージにおいては、薄板を積層する製法を用いることから、光ファイバ62が配設される切り欠き61とガラスパイプ58が配設されるパイプ溝55の中心軸がパッケージ51に対して大きくずれる。
【0008】
また、パッケージ51内に半導体レーザ52と光ファイバ62を搭載する実装基板60を固定するが、この実装基板60上に形成されるV溝66は、外形に対する位置精度が十分でないため、通常用いられる基板の外形を基準にして固定する方法では、V溝66に対する切り欠き61の中心軸とV溝66の中心軸とが大きくずれる。
【0009】
すなわち,シリコン等の実装基板は一般に数インチサイズのウエハーにエッチングでV溝を形成した後に、ダイシングにより個別の基板に分断するが、このようなダイシング工法ではV溝を基準にして外形精度を高く加工することは難しい。
【0010】
さらに、パッケージへの固定も接合材として使用するハンダもしくは接着剤の収縮などで固定時に変動するため、結果的にパッケージ及び切り欠きに対する実装基板、とりわけV溝の位置精度は低くなってしまう。
【0011】
したがって、V溝を基準に光ファイバを実装した場合には、パッケージの切り欠きとパイプ溝とV溝の位置関係が大きくずれるため、光ファイバとそれに装着したフェルールの軸が直線的に固定されない。これにより、光ファイバに不用意な曲げ、いわゆるマイクロベンドが生じ、光モジュールが受ける環境変化によってその曲げ位置から光ファイバが破断するという重大な問題点を抱えている。
【0012】
また、上記マイクロベンドを防止するためには、光ファイバとフェルールを切り欠き及びパイプ溝に対して精密に軸を位置決めすることも解決策であるが、そのためには、観察が容易なように光ファイバ自身に表面処理を施したり、軸を位置決めするための複雑で高機能な装置を用意する必要がある。このことは光モジュールの組み立てが煩雑となり問題である。
【0013】
また、図8の光モジュールJ1は、パッケージ51の切り欠き61に光ファイバ62を配列して、パッケージ51とそれを封着する蓋65によって形成される間隙に、低融点ガラス67を溶融して気密構造を得る構造のため、光ファイバ62の固定において軸対称な構造が形成されない。これにより、封止材の量の差に起因する熱収縮量もしくは熱膨張量に差を生じさせ、光ファイバ62の特定の方向に応力を与え、同じく光ファイバ62が破断するに至り問題である。
【0014】
さらに、パッケージ51と蓋65が異種の材料である場合は、封止材の接合強度も異なるため、熱収縮もしくは熱膨張によって接合材が剥離して封止部分に隙間を生じさせる場合があり、封止構造を長時間保つことができず、ひいては光半導体素子の信頼性を確保できない。
【0015】
そこで、本発明は上述のような光ファイバの破断と封止構造の破壊を極力防止できるだけでなく、光ファイバと光素子との光接続を正確に行うことが可能な、信頼性の高い優れた光モジュールを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の光モジュールは、上面に光ファイバ載置用のV溝を、下面に前記V溝に沿った凸状又は凹状の載置部を夫々異方性エッチングにより形成したシリコン基板と、前記シリコン基板の凸状又は凹状の載置部と合致する凹状又は凸状の軌条部を備えた良熱伝導性の基体および光ファイバが挿通される前記軌条部の中心線に沿った細孔を形成した側壁または横壁部を具備するパッケージとからなり、前記基体上に前記軌条部と前記載置部とを嵌合させ、前記V溝と前記細孔とを一直線上に配列して前記シリコン基板を搭載して成ることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の光モジュールは、上記基体の側壁または横壁部に前記光ファイバを挿通させる細孔部を形成し、該細孔部の中心軸に沿って基体の軌条部が形成されている。
【0018】
また、基体の側壁に細孔部に連通する太孔部を形成し、該太孔部に光ファイバの一部外周に装着した保護部材を挿入して成るとよい。
【0019】
また、基体を上部枠状体に形成した場合に、この上部枠状体を光素子に電気的に接続される配線が施された下部基体に接合するようにするとよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
まず、図1(a)〜(d)に示す本発明に係る光モジュールM1の構成について説明する。主にセラミックス等から成る基板状の配線を施した多層配線基板等の下部基体7に、予めセラミックスもしくは金属等の良熱伝導性材料から成る構造部品である枠状の上部基体(基体)3が接合され、さらに、この上部基体3に蓋体15が接合されており、これらの接合本体20がパッケージとして機能する。下部基体7には発光(又は受光)を行う光半導体素子14への電気信号授受の目的で電極パターン8が形成され、さらにその電極配線に電気的に接続されたリード9が装着されている。
【0022】
上部基体3には、光ファイバ1の外径よりわずかに太い内径を有する細孔4が、その側面を貫通する状態で形成されている。また、その細孔4と同軸構造にてフェルール2よりわずかに太い内径を有する太孔5が細孔4に連続する状態で形成されている。この上部基体3は、それを構成する材料としてセラミックスや金属が考えられ、これら両材料は射出成型(モールド)や切削加工により所望の形状に容易に形成できる。なお、異方性エッチングが可能である材料を用いて、エッチングにより、後記する上部基体3の軌条部6を形成してもよい。
【0023】
光モジュールに一般に用いられる平面型のパッケージは、薄板状のセラミックスを積層して形成されるが、その工法からして筒状の孔を形成することが困難である。また、たとえ孔の断面が矩形のものを形成したとしても、その幅の寸法公差は1/10mmオーダーであり精度が低い。従って、そこに形成した孔に沿って光ファイバ1とその保護部材であるフェルール2を配置すれば、自ずから両者の軸が必要以上にずれてしまい、光ファイバ1のマイクロベンドを起点とする破断を引き起こす。
【0024】
通常、光通信用の光ファイバ1には、外径すなわちクラッド径がφ125μmのものが用いられるので、細孔4はφ125μmよりもわずかに大きいか、大きくともφ400μm程度の内径を有することが好ましい。
【0025】
細孔4の内径寸法は、光ファイバ1と細孔4の間隙に充填して光ファイバ1を固定すると共に、パッケージの気密構造を形成するために用いる接合材の種類によって適切なものが設計される。また、ここに用いる接合材としてはハンダ材として錫63重量%:鉛37重量%のものが一般的に用いられるが、その場合は細孔4の内壁と光ファイバ1の外周に金や同一成分のハンダを薄く被着させるいわゆるメタライズを施す必要がある。また、接合材として超音波を印加する事によって、光ファイバ1と細孔4の内壁の両者にメタライズを施さなくとも接合が可能なハンダ材(商品名:セラソルザ/旭硝子株式会社製)を用いるとよい。さらに、接合材として樹脂製の接着剤を用いてもよい。いずれにしても、接合材の特性に合わせて細孔4の径を調整する。
【0026】
一方、細孔4に連続する形で形成される太孔5はフェルール2の外径よりもわずかに太い内径であり、例えば外径φ2.5mmのフェルール2の場合、φ2.51mm〜φ2.6mm程度、また外径φ1.25mmのフェルール2の場合、φ1.26mm〜φ1.35mm程度が好ましい。フェルール2の外径としては、上記以外のものも使用が可能であるが、上記の2つのタイプが標準的な寸法であり、容易に組み込むことができるので好ましい。
【0027】
光半導体素子14は実装基板10上にハンダなどを介して実装固定されるが、高い結合効率を得るためには、光ファイバ1との相対位置ずれを例えば1μm以内に抑える必要がある。そのため、光半導体素子14は実装基板10上に設けた所定形状のマーカーを用いて正確に位置決めした後に固定される。なお、図中18は光半導体素子14用の電極パターンである。
【0028】
通常、この接合に用いるハンダは金80重量%:錫20重量%の共晶ハンダであり、340℃近くまで加熱する必要があるため、この光半導体素子14を実装する作業は、実装基板10をパッケージに固定する前に行われる。また、実装基板10のハンドリングについても、このようにパッケージ20に固定する前の方が各種実装機での取扱いが容易であり、光半導体素子14を実装基板10に固定してからパッケージに固定する方が好ましい。
【0029】
次に、図2〜図4に基づき、光ファイバ1に生じる応力による光信号の劣化や破断の生じないマイクロベンド量を定量化し、フェルール2の外径よりわずかに太い内径を有する太孔5の中心軸Fと光軸Lとの軸ずれ量dについて検討し、太孔5の最適な寸法交差△dを決定した結果を説明する。
【0030】
図2にフェルール2が実装基板10に配置された光ファイバ1の中心軸、すなわち光軸Lに対して直交方向に位置ずれ(軸ずれ)し固定される場合を示し、図3に光ファイバ1に生じるマイクロベンド半径Rのグラフを、図4に光ファイバ1のマイクロベンドにより生じる応力のグラフを示す。
【0031】
実装基板10とフェルール2との間隔をX、上記軸ずれ量をdとしたとき、Xを変化させた場合に生じるマイクロベンド半径Rを解析した結果、図3に示すグラフとなった。すなわち、間隔Xを2mm から0.3mm へ0.2mm 刻みで、軸ずれ量dを0.3mm から0.02mmまで変化させた場合のマイクロベンド半径Rは図示の通りとなった。
【0032】
光モジュールに用いられる実装基板は、シリコン基板の場合、数μmオーダー以下の機械的精度で作製できるが、一方、セラミックパッケージの機械的精度は、数百〜数十μmでしか制御することは困難である。又、パッケージにシリコン基板を半田や、接着剤で固定する場合にも位置ずれが生じるために、いかなる場合においても、実装基板の光ファイバ部とフェルール2との間で構造的に位置ずれが生じる。
【0033】
また、マイクロベンド半径Rと光ファイバ1に生じる応力σmax の関係は、下記式(1)で表すことができる。
【0034】
σmax =4W/(πdf)+Efdf/(2R) ・・・ (1)
ただし、W:光ファイバの張力、df:光ファイバ外径、Ef:光ファイバのヤング率である。
【0035】
図4は、上記式(1)を用い、光ファイバ1に生じる応力を計算した結果である。光ファイバ1の破壊応力をσo とすると、光通信で用いられる石英系の光ファイバはσo =500kg/mm2 程度であるため、図4のグラフからマイクロベンド半径Rが1.2mm 以下になると破断することが解る。
【0036】
一方、光ファイバの許容応力は、破壊応力/安全係数で求められることから、安全係数を3とした場合において、光ファイバ1にかかる許容応力は167kg/mm2 となる。許容される応力を167kg/mm2 とした場合の間隔Xと位置ずれdとの関係から、フェルールが固定されるパッケージの太孔5の寸法公差△dに適用すると、下記式(2)の通りとなった。
【0037】
Δd≧20X4 −94X3 +184X2 −45X+7 ・・・ (2)
すなわち、太孔5を円穴もしくは角穴とし、円穴の場合、その内径がフェルール外径と同一かそれ以上とし、その寸法公差をプラス側の上記公差とする。また、角穴の場合、少なくとも一辺がフェルール外径と同一かそれ以上とし、その寸法公差をプラス側の上記公差で作製する。
【0038】
これにより、光ファイバ1にマイクロベンド起因の応力集中を極力避けるようにすることができ、ひいては光ファイバ1の破断を防止するだけでなく、光信号の損失増加を極力防止することができる。
【0039】
なお、上記関係式は安全係数を3として計算したが、これは、光ファイバのマイクロベンドによって生じる光損失が0.1dB 以下となり、かつ、実装時の実装精度等を考慮して得られた安全係数である。
【0040】
図5は図1の光モジュールM1の分解斜視図である。同図に示すように、光半導体素子14を実装固定した実装基板10は、セラミックス基板7と上部基体3から成るパッケージ20に同じくハンダや接着剤で固定される。この時、実装基板10の載置面(下面側)に載置部である凸部11が形成されている。この凸部11は様々な工法によって形成が可能であるが、実装基板10にシリコン単結晶を用いる場合は、その主面を(100)面とし、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液を使用した異方性エッチングによれば、(111)面が斜面に形成されたV溝を容易に正確に形成することができる。また、これによれば、光半導体素子14と光ファイバ1を実装固定する面に、V型の溝をエッチングによって1つ以上形成する工程により、同時に固定面に凸状の載置部である凸部11をその斜面をV溝12の斜面に同様な角度で正確かつ容易に形成することができるので好適である。又、上部基体3側の上記載置面に合致する凹状(又は凸状)の少なくとも軌条部を異方性エッチングが可能なシリコン等の材料で構成すれば、斜面6aが(111)面となって好適である。
【0041】
また、上記異方性エッチングによりV溝12と同時にV溝12に沿った位置に凸部11を形成することのもう一つのメリットは、実装面のV溝12と固定面の凸部11の相対位置を精度良く合わせることが可能な点である。
【0042】
通常、実装基板10は数インチサイズ・ウェハーの状態でV溝12や各種電極を形成し、その後、ダイシングにより個々の実装基板10に分断される。このダイシングにおいて、V溝12に対する外形の寸法精度は比較的低いため、必ずしも実装基板10の所定位置にV溝12が配置されるとは限らない。それに比較して、固定面の凸部11をV溝12と同じエッチングで形成することは、エッチングマスクを形成するフォトリソグラフィ工程において両方の面のマスク位置をコントロール出来るため、容易にV溝12と凸部11の相対位置がμm単位で正確に制御できる。
【0043】
こうして製作された実装基板10を、上部基体3に設けた凹部6に嵌め合わせるだけでその固定位置を正確に制御できる。ここで、実装基板10の下面に形成した載置部は凹状に形成してもよく、例えば、図6に示すように実装基板10の下面に凹部21を設け、上部基体3に凸部22を形成するようにしてもよい。
【0044】
かくして、本発明の光モジュールによれば、実装基板10を上部基体3に対して位置決めすることにより、その表面に形成した光ファイバ1を配列するV溝12と、上部基体3に形成した細孔4及び太孔5の基準が正確に一直線上に配列できる。また、上部基体3が良熱伝導性材料で構成されているので放熱性が良好となる。
【0045】
光ファイバ1には他端に上記のような外径を持つフェルール2が別工程にて装着される。この装着には上記と同様のハンダや樹脂接着剤が用いられる。フェルール2の内壁及び光ファイバ1の外周に施す表面処理も上記と同様に用いる接合材によって適切なものを選択する。フェルール2に装着した光ファイバ1の端面はフェルール2と同時に研磨加工され、平面状もしくは略球面状に加工される。
【0046】
また、光ファイバ1の光半導体素子14と光結合する端面は、必要とする結合効率に合わせて平坦に加工したり、レンズ状もしくは反射光を抑えるために斜面状に研磨加工を施す。
【0047】
フェルール2を設けた光ファイバ1は、その光半導体素子14と光結合する端面側から太孔5そして細孔4に通され、実装基板10上に形成したV溝12に配列してハンダや接着剤で固定される。そして、光ファイバ1と細孔4との間隙に上記のようなハンダないし樹脂製接着剤を充填して硬化することによって固定され気密構造を得る。
【0048】
最後に、パッケージの開口部に封着もしくはシーム溶接によって蓋体15を設ける。その際にはパッケージ内部を不活性ガスで充填することで、光半導体素子14の特性劣化を防ぎ信頼性を高めることができる。
【0049】
次に、図7に示す本発明に係る光モジュールの他の実施形態について説明する。同図に示すように、光モジュールM2は、セラミックス製ケーシングである下部基体33の一部分に開口部33aを設け、この開口部33aに、上記光モジュールM1と同様にして光ファイバ1を挿通する細孔(不図示)と該細孔に連通しフェルール2を挿通させる太孔35を形成した横蓋部34と、この横蓋部34に連接され凹部を形成した引出し部36から成る上部基体37を挿入し、さらに、この金属やセラミックス製の良熱伝導性材料から成る上部基体37の凹部36aに、光モジュールM1と同様な実装基板10を載置し、さらに、上部基体37及び下部基体33の上面を蓋体15で覆うことにより構成されている。なお、光モジュールM1と同様な部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0050】
このように、上部基体33には実装基板10の凸部11に合致させた凹部36aが形成されており、両者を嵌め合うことにより実装基板10と上部基体37の細孔及び太孔35が精密に位置決めされる。この嵌め合いにおいても光モジュールM1と同様な作用効果を奏することができる。また、下部基体33と上部基体37の接合は、同時に焼結して一体化することも可能であるし、ろう付けなどの方法を用いて接合してもよい。なお、図中、38は光素子に電気的に接続される電極パターンであり、39はこの電極パターンに接続されるリードである。また、図中、光モジュールM1と同様な部材については同一の符号を付し説明を省略する。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光モジュールによれば、実装基板を基体に対して正確に位置決めできるだけでなく、放熱性の良好な優れた光モジュールを提供できる。
【0052】
さらに、基体に正確に細孔部を形成することで、光ファイバの位置決めの基準となるV溝と、光ファイバを挿通させる細孔の中心軸とが極めて正確に位置合わせすることができ、光ファイバを破断に至らしめるような曲げが発生しない。
【0053】
また、光ファイバとその周囲に装着したフェルール等の保護部材を保持する太孔部の中心軸に対して細孔部の中心軸を一致させることで、光ファイバと細孔部、保護部材と太孔部の間隙に充填する接合材の分量が軸に対して略均等に出来、これら孔を構成する材料も軸対称とすることができるため接合材との接合性にも差異が無く、特定の箇所から剥離が生じることも無い。
【0054】
従って、光ファイバの破断が生じにくく、封止構造が長く保たれるため信頼性の高い優れた光モジュールを容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光モジュールの一実施形態を説明する図であり、(a)は上面部分断面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A線断面図、(d)は(a)のB−B線断面図、(e)は(a)のC−C線断面図である。
【図2】フェルールが実装基板に配置された光ファイバの中心軸(光軸)に対して直交方向に軸ずれし固定される様子を示す模式図である。
【図3】軸ずれと光ファイバに生じるマイクロベンド半径との関係を示すグラフである。
【図4】光ファイバに生じるマイクロベンド半径と応力との関係を示すグラフである。
【図5】図1に示す光モジュールの分解斜視図である。
【図6】本発明に係る光モジュールの他の一実施形態を説明する概略断面図である。
【図7】本発明に係る光モジュールの他の一実施形態を説明する分解斜視図である。
【図8】従来の光モジュールの分解斜視図である。
【符号の説明】
1:光ファイバ
2:フェルール
3:上部基体
4:細孔
5:太孔
6:凹部(軌条部)
7:セラミックス基板
8:電極配線
9:リード
10:実装基板
11:凸部(載置部)
12:V溝
13:金属電極
14:光半導体素子
15:蓋体
M1,M2:光モジュール
Claims (1)
- 上面に光ファイバ載置用のV溝を、下面に前記V溝に沿った凸状又は凹状の載置部を夫々異方性エッチングにより形成したシリコン基板と、前記シリコン基板の凸状又は凹状の載置部と合致する凹状又は凸状の軌条部を備えた良熱伝導性の基体および光ファイバが挿通される前記軌条部の中心線に沿った細孔を形成した側壁または横壁部を具備するパッケージとからなり、前記基体上に前記軌条部と前記載置部とを嵌合させ、前記V溝と前記細孔とを一直線上に配列して前記シリコン基板を搭載して成ることを特徴とする光モジュール。
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