JP3715970B2 - ヒンジ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯電話,モバイル等の電子機器に用いるヒンジ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば従来の折り畳み式の携帯電話は、数字キーやファンクションキーを配列した操作部を下側となる本体部の上面側に設け、この操作部のキー操作等により所定の表示がなされる液晶パネルなどのディスプレイ部を上側となる重合部の伏面側(重合側)に設け、この本体部と重合部とをヒンジ装置を介して連結して、本体部と重合部とを二つ折り重合して操作部を重合部により隠蔽した折り畳み閉塞状態から、ヒンジ装置により重合部を起伏回動して反転し、操作部とディスプレイ部とが露出した開放状態に切り替えできるように構成している。
【0003】
そのため、従来のこのような起伏回動する重合部で本体部の操作部を覆う電子機器においては、折り畳み重合してコンパクト化できるものの操作部を隠蔽した重合状態ではディスプレイ部も隠蔽してしまう構造となり、コンパクト化した状態での使用が制限されざるを得なく不便である場合も多い。
【0004】
また、操作部を操作する場合には、ディスプレイ部を設けた重い重合部を立ち起こし反転回動させなければならず、この開閉動作(特に開放動作)させずらい欠点もある。
【0005】
そこで、起伏回動により開閉動作するのではなく、重合面に沿って略水平方向に重合部を回動して開閉動作するように構成し、例えば不使用時あるいはキー操作不要時に折り畳んだ際においても、言い換えるとたとえディスプレイ部を設けた重合部を本体部に重合して操作部を隠蔽したコンパクト化状態においても、ディスプレイ部が上側に配設され、ディスプレイ部を視認したり、機能させたりすることが可能となり、また重合してコンパクト化した状態から操作部及びディスプレイ部を露出して本体部と重合部とを連設した状態に切り替える場合は、重合面に沿って略水平方向に重合部を回動することで行えるため、この開放動作も容易に行え、機器装置として使用用途が広がり、しかも前記開閉動作も容易となる携帯電話,モバイル等の電子機器が提案されている(例えば特開2002−158758)。
【0006】
しかしながら、このような水平回動タイプの電子機器は、重合した状態をストッパーや係止手段によって位置決め保持させることは容易であるが、起伏回動タイプのように閉じ付勢されてはいないため、重合状態で回動クリアランスや組み付けガタにより隙間が生じ、操作部のホールド性や重合部のガタ付き、回動がスムーズに行えないなど様々な問題を生じている。
【0007】
本発明は、水平回動タイプのこのような問題に着眼し、ヒンジ装置の改良により重合状態での起伏方向での閉じ付勢を自動的に生じさせ、重合状態では常にほとんど隙間を生じさせることなく重合保持され、ホールド性やガタ付きなどの問題が常に防止できると共に、回動時においては、この閉じ付勢が支障となることもなく、設計によってはフリーストップ状態での回動も容易に実現できる画期的なヒンジ装置を提供させることを目的としている。
【0008】
また、更に従来の水平回動タイプの電子機器では、重合部を起伏回動して本体部の上面の操作部と重合部の上面のディスプレイ部とを同方向に向けた使用状態では、ディスプレイ部が見易いように、ディスプレイ部が操作部面に対して90゜より小さい角度をなして立ち上がり傾斜した状態とするため、本体部と重合部との基端部を共にやや傾斜状態に構成し、この基端部にやや傾斜状態に回動軸部を設け、この回動軸部を軸に重合部を180度回動することで前記回動軸部の傾斜角度の2倍の相対角度をなして開かれるように構成されている。このように回動軸部を本体部に対して傾斜させるため、本体部および重合部の回動軸部近傍には、前述のように回動軸部に直交する傾斜面をそれぞれ設ける必要がある。すなわち、本体部と重合部とは、回動軸部に直交する傾斜面どうしを摺動させながら回動軸部回りに相対回転させられることになる。
【0009】
しかし、重合部はディスプレイ部を確保するための十分に幅広な寸法を有している。このため、重合部に対して本体部を、傾斜した回動軸部回りに回転させる場合には、重合部の幅方向の角部が、本体部の平坦上面と干渉する虞がある。この干渉を避けるためには、重合部が通過する本体部上面の領域に、回動軸部の中心から少なく非干渉領域を設けておかなければならない。
【0010】
このような非干渉領域は、操作部を配置できない無駄な領域になるとともに、携帯端末の幅寸法の増大とともに大きくなるという不都合がある。
【0011】
本発明は、更にこのような問題点をも解決するために試行錯誤を重ね、これを容易に実現できるヒンジ装置を提供することをも目的としたものである。即ち、この開閉回動が可能となるように容易に製作できる上、この開閉回動が常にスムーズに行え、耐久性にも秀れると共に、一方に対して他方を回動することで自動的に傾斜させることができ、本体部,重合部の幅寸法に関わらず、厚さ寸法を小さく抑えて、薄くコンパクトに構成することもでき、しかも前述のように重合状態では伏方向に閉じ付勢が自動的に生じる画期的なヒンジ装置を提供することをも目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
第一部材2と第二部材4とを重合した状態から、前記第二部材4を相対的に重合面に対して略平行に回動して重合面を露出させることができるように枢着するヒンジ装置Hであって、前記第一部材2若しくは前記第二部材4の一方の部材に取付孔6を設けた第一の取付ベース5を設け、他方の部材に前記取付孔6に係合する回動軸部8を有する第二の取付ベース7を設け、前記第一部材2に対して前記第二部材4が相対的に回動することで、前記回動軸部8が前記取付孔6に対して回動し得るように構成し、前記回動軸部8は前記第二の取付ベース7に対して回り止め状態に設けられて前記第二部材4若しくは前記第一部材2の回動に伴ってこの取付ベース7と共に回動するように構成すると共に、この回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7は、前記第一部材2と前記第二部材4との重合伏方向に前記回動軸部8に対して相対的に傾動自在に構成し、前記第一部材2と前記第二部材4とが重合した状態のとき、前記第一部材2若しくは前記第二部材4を重合伏方向に付勢する弾性体9を備え、この弾性体9は前記第一部材2若しくは前記第二部材4を重合伏方向に付勢し得る方向に前記第二の取付ベース7を傾動させる付勢力が生じる形状に構成し、前記第二の取付ベース7側若しくは前記取付孔6を設けた第一の取付ベース5側に設けた当接部16が当接するガイド面17を設け、この当接部16を前記弾性体9によってガイド面17に摺動移動自在に圧接し、このガイド面17若しくは前記当接部16が相対する位置に、前記第一部材2と前記第二部材4とが重合した状態のとき、前記当接部16が落ち込み前記第二の取付ベース7が傾動することを許容する落ち込み部18を設け、前記弾性体9により前記当接部16を前記落ち込み部18へ落ち込み付勢することで前記第二の取付ベース7を傾動付勢して、前記第一部材2若しくは前記第二部材4を重合伏方向に付勢し得るように構成し、前記第二の取付ベース7側若しくは前記取付孔6を設けた第一の取付ベース5側に設けた前記当接部16が当接するカム面17を前記ガイド面17として前記取付孔6を設けた第一の取付ベース5側若しくは前記第二の取付ベース7側に設け、このカム面17は、前記第一部材2に対して前記第二部材4が相対的に回動することで、前記回動軸部8が前記取付孔6に対して回動する際、このカム面17の傾斜に沿って前記当接部16が摺動移動することによって前記回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7が相対的に傾動するように構成し、前記弾性体9は、生じる付勢力が一側へ片寄る変形皿バネ状に形成したことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0014】
また、前記第一部材2と前記第二部材4とが上下に略平行に重合した状態から前記第二部材4を相対的に重合面に対して略平行に180度回動して略直線状に連設状態となるように配設して重合面を露出させた際、前記カム面17の傾斜に沿って前記当接部16が摺動移動することによって前記回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7が相対的に傾動して、略水平に配置した前記第一部材2に対して前記第二部材4が自動的にやや立ち上がり傾斜して連設した状態となるように構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置に係るものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0016】
例えば第一部材2に第一の取付ベース5を設け、第二部材4に第二の取付ベース7を設け、第一の取付ベース5に設けた取付孔6に、第二の取付ベース7に設けた回動軸部8を貫通係合して第一部材2と第二部材4とを連結することで、このヒンジ装置によって、第一部材2と第二部材4とが重合した状態から、前記第二部材4を相対的に重合面に対して略平行に回動し重合面を露出させることができる。
【0017】
また、第一部材2と第二部材4とが重合した状態とすると、弾性体9により第二の取付ベース7の片側が押圧されてこの第二の取付ベース7は相対的に傾動付勢され、これにより第一部材2に対して第二部材4は重合伏方向に閉じ付勢されることとなる。
【0018】
即ち、弾性体9は、例えば生じる付勢力が一側へ片寄った変形バネとし、重合状態で第二部材4を伏方向に傾動させる側となる第二の取付ベース7の一側を常に押圧する形状に設定して、重合状態となったとき第二の取付ベース7が傾動可能となって且つ前記所定側を自動的に押圧するように構成すれば、重合状態でこの弾性体9により第二の取付ベース7が傾動付勢されて第一部材2に対して第二部材4は閉じ付勢されることとなる。
【0019】
具体的には、例えば前記第二の取付ベース7側若しくは前記取付孔6を設けた第一の取付ベース5側に設けた当接部16が当接するガイド面17を設け、この当接部16を前記弾性体9によって常にガイド面17に摺動移動自在に圧接し、このガイド面17若しくは重合状態で前記当接部16が相対する位置に(前記第一部材2と前記第二部材4とが重合した状態のとき)、前記当接部16が落ち込み前記第二の取付ベース7が傾動することを許容する落ち込み部18を設け、この重合状態のとき前記弾性体9により前記当接部16を前記落ち込み部18へ落ち込み付勢することで前記第二の取付ベース7を傾動付勢して、前記第一部材2若しくは前記第二部材4を重合伏方向に付勢し得るように構成する。
【0020】
これによって簡易な構成にして常に重合状態となる当接部16が落ち込み部18に位置して傾動可能となり、且つ常に第二の取付ベース7の一側を片寄り押圧している変形皿バネ状の弾性体9によって、重合状態でこの弾性体9により第二の取付ベース7が傾動付勢されて第一部材2に対して第二部材4は閉じ付勢されることとなる。
【0021】
また、前記第二の取付ベース7側若しくは前記取付孔6を設けた第一の取付ベース5側に設けた前記当接部16が当接するカム面17を前記ガイド面17として前記取付孔6を設けた第一の取付ベース5側若しくは前記第二の取付ベース7側に設け、このカム面17は、前記第一部材2に対して前記第二部材4が相対的に回動することで、前記回動軸部8が前記取付孔6に対して回動する際、このカム面17の傾斜に沿って前記当接部16が摺動移動することによって前記回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7が相対的に傾動するように構成し、例えば前記第一部材2と前記第二部材4とが上下に略平行に重合した状態から前記第二部材4を相対的に重合面に対して略平行に180度回動して略直線状に連設状態となるように配設して重合面を露出させた際、前記カム面17の傾斜に沿って前記当接部16が摺動移動することによって前記回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7が相対的に傾動して、略水平に配置した前記第一部材2に対して前記第二部材4が自動的にやや立ち上がり傾斜して連設した状態となるように構成すれば、回動に際してこのカム面17に当接している当接部16が摺動移動することによって前記回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7が相対的に傾動することとなり、この第二の取付ベース7の回動による傾動によって、略水平に配置した前記第一部材2に対して前記第二部材4が自動的にやや立ち上がり傾斜して略直線状に連設した状態となる。
【0022】
即ち、例えば第一部材2を操作部1を設けた本体部2とし、第二部材4をディスプレイ部3を設けた重合部4とすれば、このヒンジ装置Hにより端部同志を重合して連結することで、本体部2に対して重合部4を略水平方向に回動自在に連結でき、前記操作部1を操作しない時にはコンパクト化するため、この操作部1を覆うように本体部2と重合部4とを上下に重合配設し、また、このコンパクト化された重合状態では、ディスプレイ部3は重合部4の上面側に配されているため、操作部1は操作できないにしてもディスプレイ部3を視認することができ、またディスプレイ部3を機能させるように構成すれば、例えば予め操作部1により設定するなどした日付やカレンダー表示をさせたり、またデータ通信表示(携帯電話では例えば着信表示など)を行うようにしたりすれば、ディスプレイ部3は視認できるため様々な使用が可能となり、使用用途が広がったり、機能性が向上し、非常に便利となり実用性(商品価値)が高まる。
【0023】
また、前記操作部1を操作するに際して前記重合部4を起伏回動させて前記操作部1を露出させるのではなく、前記重合部4を略水平方向に略180度回動することで前記操作部1を露出させることができる。
【0024】
従って、前述のように操作部1を重合部4により隠蔽した状態のとき露出側となる上面側にディスプレイ部3を設けて機能性を高めても、重合部4を水平回動することで操作部1を露出できるため、操作部1を露出させてもディスプレイ部3は露出状態のままであり、操作部1を操作してディスプレイ部3に表示させる従来通りの使用も可能となる。
【0025】
また、起伏回動でなく水平回動のため横押し操作により操作部1を露出できるため、開放動作が従来の起伏回動操作に比して容易に行え、扱い易い。
【0026】
また、この際、開放回動すれば自動的に重合部4がやや立ち上がり傾斜状態となってディスプレイ部3が見易くなる。
【0027】
従って、例えば従来のように第一部材2,第二部材4の双方の連結基端部を傾斜状態に重合したり、回動軸部8を傾斜配設したりする必要もなく、また、回動に際して基端部が互いに干渉しないように設計工夫する必要もほとんどなく、回動操作によってヒンジ装置の構成により自動的に一方に対して他方をやや立ち上げ傾斜させることが出来るため、非常に操作が容易で量産性に秀れ、コンパクト化も実現できる画期的なヒンジ装置となる。
【0028】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、重合コンパクト化の図れる携帯電話に本発明を適用したもので、回路基板,電源等の電子部品をケースに内装した板状の第一部材2(本体部2)の上面側に数字キーやファンクションキーなどを配列したキーボード機能を果たす操作部1を設け、この本体部2に重合して操作部1を覆う略同形の板状の第二部材4(重合部4)を略水平回動自在にヒンジ装置Hにより軸着連結した構成としている。
【0030】
この重合部4の上面側には予め設定した画面や前記操作部1の操作や着信等により所定の表示がなされる液晶パネルなどのディスプレイ部3を設けている。
【0031】
この本体部2と重合部4との連結は、双方の端部同志の重合部分を、上下方向に配される回動軸部8を有するヒンジ装置Hにより連結し、この回動軸部8を回動支軸として略水平方向に回動自在に連結している。
【0032】
また、本体部2と重合部4とを重合した状態から重合部4を略180度水平回動して本体部2と重合部4とが一直線状に連設した状態とした際、この回動によって自動的に重合部4のディスプレイ部3が本体部2に対してやや立ち起こされたように傾斜状態となり見易くなるように構成している。
【0033】
次に本実施例のヒンジ装置Hについて説明する。
【0034】
本体部2に取付孔6を設けた第一の取付ベース5を設け、重合部4に前記取付孔6に係合する回動軸部8を有する第二の取付ベース7を設け、前記本体部2に対して前記重合部4を略水平に回動することで、前記回動軸部8が前記取付孔6に対して回動し得るように構成している。
【0035】
また、前記回動軸部8は前記第二の取付ベース7に対して回り止め状態に設けられて前記重合部4の回動に伴ってこの第二の取付ベース7と共に回動するように構成すると共に、この回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7は回動軸部8の回動軸方向と略直交する方向を揺動軸方向として前記回動軸部8に対して相対的に傾動自在に構成している。
【0036】
また、この第二の取付ベース7に当接部16を垂設し、この当接部16が当接するカム面17を前記取付孔6を設けた第一の取付ベース5側即ち、前記取付孔6の周辺部に周方向に沿って設け、このカム面17に弾性体9により前記当接部16をカム面17に沿って摺動移動自在に圧接した構成としている。
【0037】
具体的には、このカム面17は、前記本体部2に対して前記重合部4が相対的に回動することで、前記回動軸部8が前記取付孔6に対して回動する際、このカム面17の傾斜に沿って前記当接部16が摺動移動することによって前記回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7が相対的に傾動するように構成している。
【0038】
即ち、本体部2と重合部4とが上下に略平行に重合した状態から上側の重合部4を相対的に重合面に対して略平行に180度回動して略直線状に連設状態となるように配設して重合面を露出させた際、周方向に配設されていて登り傾斜面を有する前記カム面17に沿って前記当接部16が摺動移動することによって、このカム面17の傾斜により前記回動軸部8に対して前記第二の取付ベース7が相対的に傾動して、略水平に配置した前記本体部2に対して前記重合部4が自動的にやや立ち上がり傾斜して略直線状に連設した状態となるように構成している。
【0039】
また、前記回動軸部8の回動を重合状態(0度回動位置)と180度回動位置で位置決め係止する位置決め係止機構11を設けて、前記重合部4が前記本体部2を覆うように重合する位置と、本体部2と直線状に連設状態となる位置で位置決め係止されるように構成している。
【0040】
更に具体的に説明する。
【0041】
本実施例は、第一の取付ベース5に取付孔6を形成する軸受部5Aを設け、この軸受部5Aの取付孔6に第二の取付ベース7に設けた回動軸部8を回動自在に係合している。またこの回動軸部8は第二の取付ベース7の取付孔に縦長係合溝と係止爪との係合によって回り止め状態に係合すると共に、前記第一の取付ベース5の取付孔6に係合した回動軸部8の軸線に対して直交する方向に第二の取付ベース7が揺動可能(傾斜自在)となるように、第二の取付ベース7の取付孔に回動軸部8を支承する構成としている。
【0042】
また、この第二の取付ベース7には切り出された舌片を当接部16として垂設し、この当接部16が当接するカム面17は前記軸受部5Aの取付孔6の半周部上面に形成し、登り傾斜面に形成している。
【0043】
また、回動軸部8に被嵌して第二の取付ベース7を押圧する皿バネを弾性体9として抜け止め連結部13によって介在させ、この弾性体9によって第二の取付ベース7を押圧して当接部16をカム面17に圧接させている。
【0044】
これによって、当接部16はカム面17に沿って摺動移動すると共に、カム面17の傾斜に沿って第二の取付ベース7が傾動し、ディスプレイ部3が開放回動時に見やすいように自動傾斜するように構成している。
【0045】
また、この弾性体9によってふらつきなくフリーストップ状態で回動できることとなる。
【0046】
また、本実施例は、前記弾性体9を特に次のように構成している。
【0047】
本実施例では前記第一部材2(本体部2)に対して前記第二部材4(重合部4)を重合伏方向に付勢する弾性体9として機能させるべく、この前記重合部4を重合伏方向に付勢し得る方向に前記第二の取付ベース7を傾動させる付勢力が生じる形状に前記弾性体9を構成している。
【0048】
即ち、前記弾性体9は、生じる付勢力が一側へ片寄る変形皿バネ状に形成し、前述のように回動軸部8に被嵌配設して第二の取付ベース7の所定側のみを常に強く押圧する構成としている。
【0049】
更に説明すれば、前記第二の取付ベース7に設けた当接部16が当接するガイド面17たるカム面17を第一の取付ベース5の取付孔6半周辺に設け、この当接部16を設けた側を常に前記弾性体9によってガイド面に摺動移動自在に圧接し、このカム面17に、前記本体部2と前記重合部4とが重合した状態のとき、前記当接部16が落ち込み前記第二の取付ベース7が傾動することを許容する落ち込み部18を設け、前記弾性体9により常に当接部16側を押圧して、この当接部16を前記落ち込み部18へ落ち込み付勢することで前記第二の取付ベース7を傾動付勢して、重合部4を重合伏方向に閉じ付勢し得るように構成している。
【0050】
即ち、前記第二の取付ベース7は前記回動軸部8の回動軸方向と略直交する方向を揺動軸方向として前記回動軸部8に対して相対的に傾動自在に構成し、本体部2と重合部4とが重合した状態のとき、前記当接部16が落ち込み部18に位置して第二の取付ベース7が傾動し得る状態となり、この当接部16側を常に押圧している変形皿バネ状の弾性体9によって第二の取付ベース7は傾動付勢されて本体部2に対して重合部4を重合伏方向に閉じ付勢するように構成している。
【0051】
従って、弾性体9は、例えば生じる付勢力が一側へ片寄った変形バネ、具体的に複数枚の変形皿バネとして、回動軸部8に回り止め被嵌されて回動軸部8及び第二の取付ベース7と共に回動するように構成し、重合状態で第二部材4を伏方向に傾動させる側となる第二の取付ベース7の一側を常に押圧する形状に設定している。即ち、本実施例では、常にこの取付ベース7の当接部16を設けた側を押圧している。そして、重合状態となったとき第二の取付ベース7が傾動可能となって且つ前記所定側が自動的に押圧されているように構成することで、重合状態でこの弾性体9により第二の取付ベース7が傾動付勢されて第一部材2に対して第二部材4は閉じ付勢されるように構成している。
【0052】
即ち、重合状態となると、押圧されている当接部16が落ち込み部18に落ち込むことが可能となることで、この第二の取付ベース7が回動軸部8に対して(第一部材2に対して)傾動許容状態となり、片寄りバネの弾性体9によって常に当接部16は押圧されていることによって、第二の取付ベース7が傾動付勢されて第一部材2に対して第二部材4は閉じ付勢されるように構成している。
【0053】
また、前記位置決め係止機構11とし、軸受部5Aの取付孔6周辺に係合突起を配設し、この係合突起に係合する係合凹部を回動軸部8と共に回動するように構成し、前記所定位置で回動ロックされるように構成している。
【0054】
本実施例では、第一の取付ベース5と軸受部5Aの間に係合突起と係合凹部を設けた部材を介在した構成としたが、当接部16が係合する係合凹部をカム面17に設けて弾性体9による押圧で係止保持する構成としても良い。
【0055】
また、本実施例では、回動軸部8の軸方向に空洞孔部8Aを形成し、電気コードなどをこの空洞孔部8Aに挿通配設して重合部4を回動する構成としても配線に支障がないように構成している。
【0056】
また、本実施例では、第一の取付ベース5,第二の取付ベース7及び回動軸部8等を導電性の金属材で構成しているため、このヒンジ装置H自体を導電部として第一部材2(本体部2)側と第二部材4(重合部4)側とを電気的に接続するように構成しても良い。
【0057】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0058】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、水平回動タイプの電子機器を容易に実現でき、しかもこの開閉回動が可能となるように容易に製作できる上、この開閉回動が常にスムーズに行え、耐久性にも秀れた画期的なヒンジ装置となる。
【0059】
しかも、重合状態での起伏方向での閉じ付勢を自動的に生じさせ、重合状態では常にほとんど隙間を生じさせることなく重合保持され、ホールド性やガタ付きなどの問題が常に防止できると共に、回動時においては、この閉じ付勢が支障となることもなく、設計によってはフリーストップ状態での回動も容易に実現できる画期的なヒンジ装置となる。
【0060】
また、更に、例えば従来のように第一部材,第二部材の双方の連結基端部を傾斜状態に重合したり、回動軸部を傾斜配設したりする必要もなく、また、回動に際して基端部が互いに干渉しないように設計工夫する必要もほとんどなく、回動操作によってヒンジ装置の構成により自動的に一方に対して他方をやや立ち上げ傾斜させることが出来るため、非常に操作が容易で量産性に秀れ、コンパクト化も実現でき、しかも前述のように重合状態では伏方向に閉じ付勢が自動的に生じる画期的なヒンジ装置となる。
【0061】
また、請求項2記載の発明では前記作用・効果を確実に発揮するヒンジ装置を一層容易に構成することができ、極めて実用性に秀れたヒンジ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の操作部とディスプレイ部と共に露出させた状態(本体部と重合部とが直線状に連設した状態)の斜視図である。
【図2】本実施例のヒンジ装置の分解斜視図である。
【図3】本実施例のヒンジ装置の組み付け状態の斜視図である。
【図4】本実施例のヒンジ装置の組み付け状態の正面図である。
【図5】本実施例の説明側面図である。
【図6】本実施例の重合状態(0度回動状態),90度回動状態,180度回動状態の拡大説明側面図である。
【図7】本実施例の重合状態(0度回動状態),180度回動状態の説明拡大断面図である。
H ヒンジ装置
2 第一部材
4 第二部材
5 第一の取付ベース
6 取付孔
7 第二の取付ベース
8 回動軸部
9 弾性体
16 当接部
17 ガイド面,カム面
18 落ち込み部

Claims (2)

  1. 第一部材と第二部材とを重合した状態から、前記第二部材を相対的に重合面に対して略平行に回動して重合面を露出させることができるように枢着するヒンジ装置であって、前記第一部材若しくは前記第二部材の一方の部材に取付孔を設けた第一の取付ベースを設け、他方の部材に前記取付孔に係合する回動軸部を有する第二の取付ベースを設け、前記第一部材に対して前記第二部材が相対的に回動することで、前記回動軸部が前記取付孔に対して回動し得るように構成し、前記回動軸部は前記第二の取付ベースに対して回り止め状態に設けられて前記第二部材若しくは前記第一部材の回動に伴ってこの取付ベースと共に回動するように構成すると共に、この回動軸部に対して前記第二の取付ベースは、前記第一部材と前記第二部材との重合伏方向に前記回動軸部に対して相対的に傾動自在に構成し、前記第一部材と前記第二部材とが重合した状態のとき、前記第一部材若しくは前記第二部材を重合伏方向に付勢する弾性体を備え、この弾性体は前記第一部材若しくは前記第二部材を重合伏方向に付勢し得る方向に前記第二の取付ベースを傾動させる付勢力が生じる形状に構成し、前記第二の取付ベース側若しくは前記取付孔を設けた第一の取付ベース側に設けた当接部が当接するガイド面を設け、この当接部を前記弾性体によってガイド面に摺動移動自在に圧接し、このガイド面若しくは前記当接部が相対する位置に、前記第一部材と前記第二部材とが重合した状態のとき、前記当接部が落ち込み前記第二の取付ベースが傾動することを許容する落ち込み部を設け、前記弾性体により前記当接部を前記落ち込み部へ落ち込み付勢することで前記第二の取付ベースを傾動付勢して、前記第一部材若しくは前記第二部材を重合伏方向に付勢し得るように構成し、前記第二の取付ベース側若しくは前記取付孔を設けた第一の取付ベース側に設けた前記当接部が当接するカム面を前記ガイド面として前記取付孔を設けた第一の取付ベース側若しくは前記第二の取付ベース側に設け、このカム面は、前記第一部材に対して前記第二部材が相対的に回動することで、前記回動軸部が前記取付孔に対して回動する際、このカム面の傾斜に沿って前記当接部が摺動移動することによって前記回動軸部に対して前記第二の取付ベースが相対的に傾動するように構成し、前記弾性体は、生じる付勢力が一側へ片寄る変形皿バネ状に形成したことを特徴とするヒンジ装置。
  2. 前記第一部材と前記第二部材とが上下に略平行に重合した状態から前記第二部材を相対的に重合面に対して略平行に180度回動して略直線状に連設状態となるように配設して重合面を露出させた際、前記カム面の傾斜に沿って前記当接部が摺動移動することによって前記回動軸部に対して前記第二の取付ベースが相対的に傾動して、略水平に配置した前記第一部材に対して前記第二部材が自動的にやや立ち上がり傾斜して連設した状態となるように構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
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