JP3715135B2 - アクティブフィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統に接続して高調波を抑制するアクティブフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図18にアクティブフィルタ主回路の回路図を示す。このアクティブフィルタ主回路においては、スイッチング素子aは制御回路bから送られてきた信号をもとにスイッチングし、電解コンデンサcに蓄積されている電圧をリアクトルd側に出力する。
【0003】
以上のように構成されたアクティブフィルタ主回路の動作を説明する。電解コンデンサcには、アクティブフィルタ主回路が電流を出力するために必要な直流電圧が蓄積されている。制御回路bからは目標とする電流を出力するために必要な電圧信号がPWM信号として出力され、スイッチング素子aはそのPWM信号をもとに電解コンデンサcに蓄積されている直流電圧をスイッチングする。このスイッチングされた電圧はリアクトルdで電流に変換され、アクティブフィルタ主回路全体としては電流源として動作する。
【0004】
図16は従来例のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものである。図16において、3相2相変換器101は、補償対象とする負荷電流中に含まれる瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。第1のローパスフィルタ102は、3相2相変換器101で算出した瞬時有効電力成分の直流分を抽出する。第1の減算器103は、3相2相変換器101で算出した瞬時有効電力成分から第1のローパスフィルタ102で抽出した瞬時有効電力成分の直流分を減算することで、瞬時有効電力成分の交流分を求める。
【0005】
第2のローパスフィルタ105は、3相2相変換器101で算出した瞬時無効電力成分の直流分を抽出する。第2の減算器106は、3相2相変換器101で算出した瞬時無効電力成分から第2のローパスフィルタ105で抽出した瞬時無効電力成分の直流分を減算することで、瞬時無効電力成分の交流分を求める。
【0006】
2相3相変換器109では、第1の減算器103で得られた瞬時有効電力変動成分(交流分)および第2の減算器106で得られた瞬時無効電力変動成分(交流分)をもとに3相の目標電流値を算出する。
【0007】
ここで、3相2相変換器101および2相3相変換器109の動作を数式を用いて説明する。3相2相変換器101では、3相の電圧信号・電流信号を瞬時空間ベクトルをもとに(数1)および(数2)を用いて2相の電圧信号および電流信号にそれぞれ展開する。
【0008】
【数1】
【0009】
ただし、vU ,vV ,vW は電源電圧、vα,vβはα相,β相に展開した電源電圧(電圧信号)を示す。
【0010】
【数2】
【0011】
ただし、iU ,iV ,iW は負荷電流、iα,iβはα相,β相に展開した負荷電流(電流信号)を示す。
【0012】
そして、2相に展開した電圧信号、電流信号より(数3)を用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める。
【0013】
【数3】
【0014】
ただし、vα,vβはα相,β相に展開した電源電圧(電圧信号)、iα,iβはα相,β相に展開した負荷電流(電流信号)、pは瞬時有効電力成分、qは瞬時無効電力成分を表す。
【0015】
このようにして求められた瞬時有効電力成分pおよび瞬時無効電力成分qは、その直流分が3相での基本波電力を表し、その交流分がその交流と次数が1だけ異なる交流電力(高調波電力)を表す。したがって、アクティブフィルタとして動作させる場合は、瞬時有効電力成分pと瞬時無効電力成分qの直流分(3相では、基本波分に相当する)を取り除き、瞬時有効電力成分pと瞬時無効電力成分qの交流分を出力する構成にすればよい。
【0016】
そして、求めた、出力したい瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を(数4)、(数5)に従って2相3相変換器9で3相信号に変換する。これがアクティブフィルタの出力目標電流となる。
【0017】
【数4】
【0018】
ただし、vα,vβはα相,β相に展開した電源電圧(電圧信号)、iαc,iβcはα相,β相に展開したアクティブフィルタの出力目標電流、pcは瞬時有効電力目標値、qcは瞬時無効電力目標値を表す。
【0019】
【数5】
【0020】
ただし、iαc,iβcはα相,β相に展開したアクティブフィルタの出力目標電流、iUc,iVc,iWcはアクティブフィルタの目標電流を示す。
【0021】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0022】
3相2相変換器101では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器101で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ102で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出する。そして、第1の減算器103において、3相2相変換器101で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ102で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0023】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器101で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ105で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出する。そして、第2の減算器106において、3相2相変換器101で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ105で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0024】
その後、第1の減算器103および第2の減算器106の演算結果は、2相3相変換器109に入力される。2相3相変換器109では、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分から、アクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のアクティブフィルタにおいては、補償対象とする負荷が安定している場合には良好な補償特性が得られるが、負荷が急激に変化した場合、制御回路で使用しているローパスフィルタの時間遅れにより、本来除去するべき瞬時有効電力成分の直流分および瞬時無効電力成分の直流分を除去できず、出力する必要のない瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を出力してしまう。
【0026】
この点を図17を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力は、図17(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ102,105の出力は、ローパスフィルタ102,105自体の時間遅れにより図17(b)に示す通り、図17(a)とは異なる値を出力する。その結果、減算器103,106の出力は、図17(c)のようにローパスフィルタ102,105の遅れによる成分が出力され、本来除去したい出力が現れている。その結果、2相3相変換器109の出力として、図17(d)のようにローパスフィルタ102,105の時間遅れが存在する期間、出力を発生してしまう。
【0027】
このようなローパスフィルタ102,105の時間遅れにより、負荷が安定していない時に、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)を構成している直流コンデンサの電圧が変動してしまう、過大な電流を出力してしまう、といった問題が生じていた。
【0028】
したがって、本発明の目的は、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生することができるアクティブフィルタを提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第2のローパスフィルタの出力変化分を監視する第2の変動監視部と、第1の変動監視部および第2の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の何れか少なくとも一方が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備えたことを特徴とする。上記の制御回路は、アクティブフィルタにおいて、アクティブフィルタ主回路以外の部分を言っている。以下において、同じである。
【0030】
請求項1の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力および基本波無効電力成分出力を抑制できる。
【0031】
また、本発明の請求項2記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第2のローパスフィルタの出力変化分を監視する第2の変動監視部と、第1の変動監視部および第2の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の何れか少なくとも一方が所定値を超えたときに応じてアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備え、この出力調整部にヒステリシス特性を持たせ、アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを開始する第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の値より、アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを停止する第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の値を小さくしたことを特徴とする。
【0032】
請求項2の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力および基本波無効電力成分出力を抑制することができる。特に、出力調整部にヒステリシス特性を持たせたことにより、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも、出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0033】
また、本発明の請求項3記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第2のローパスフィルタの出力変化分を監視する第2の変動監視部と、第1の変動監視部および第2の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の何れか少なくとも一方が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備え、この出力調整部にタイマ機能を持たせ、前記アクティブフィルタ主回路の出力を絞った状態を一定時間継続させたことを特徴とする。
【0034】
請求項3の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力および基本波無効電力成分出力を抑制することができる。特に、出力調整部にタイマ機能を持たせたことにより、負荷の急変が終了してからもしばらくの間、出力を絞った状態となり、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0035】
また、本発明の請求項4記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素と、3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素と、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第2のローパスフィルタの出力変化分を監視する第2の変動監視部と、第1の変動監視部および第2の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の何れか少なくとも一方が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備えたことを特徴とする。出力調整部としては、単に出力調整を行うだけものだけのもの、または、ヒステリシス特性を持たせたもの、または、タイマ機能を持たせたものがある。
【0036】
請求項4の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力および基本波無効電力成分出力を抑制することができる。それに加えて、アクティブフィルタ主回路の出力電流の位相を調節することができ、補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0037】
出力調整部にヒステリシス特性を持たせたものの場合には、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも、出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。また、タイマ機能を持たせたものの場合には、負荷の急変が終了してからもしばらくの間、出力を絞った状態となり、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0038】
また、本発明の請求項5記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素と、3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素と、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第2のローパスフィルタの出力変化分を監視する第2の変動監視部と、第1の変動監視部および第2の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の何れか少なくとも一方が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備え、第1の時間遅れ要素を第1の減算器の後段に配置し、第2の時間遅れ要素を第2の減算器の後段に配置し、第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素の後段に出力調整部を配置したことを特徴とする。出力調整部としては、単に出力調整を行うだけものだけのもの、または、ヒステリシス特性を持たせたもの、または、タイマ機能を持たせたものがある。
【0039】
請求項5の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力および基本波無効電力成分出力をより効果的に抑制できる。つまり、第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素を通過する前の第1のローパスフィルタおよび第2のローパスフィルタの信号をもとに負荷変動を監視し、その結果に応じて第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素を通過した後の出力調整部において出力を調整するため、監視の結果を時間的に過去にさかのぼって反映でき、第1の変動監視部および第2の変動監視部で負荷の変動を監視し出力調整部で反映させるのに必要な時間遅れによる出力制限の遅れを回避することができる。その結果、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を効果的に抑制できる。それに加えて、アクティブフィルタ主回路の出力電流の位相を調節することができ、補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0040】
出力調整部にヒステリシス特性を持たせたものの場合には、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも、出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。また、タイマ機能を持たせたものの場合には、負荷の急変が終了してからもしばらくの間、出力を絞った状態となり、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0041】
また、本発明の請求項6記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第1の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備えたことを特徴とする。
【0042】
請求項6の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力を抑制できる。
【0043】
また、本発明の請求項7記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第1の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備え、この出力調整部にヒステリシス特性を持たせ、アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを開始する第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の値より、アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを停止する第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の値を小さくしたことを特徴とする。
【0044】
請求項7の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力を抑制することができる。特に、出力調整部にヒステリシス特性を持たせたことにより、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも、出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0045】
また、本発明の請求項8記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第1の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備え、この出力調整部にタイマ機能を持たせ、前記アクティブフィルタ主回路の出力を絞った状態を一定時間継続させたことを特徴とする。
【0046】
請求項8の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力を抑制することができる。特に、出力調整部にタイマ機能を持たせたことにより、負荷の急変が終了してからもしばらくの間、出力を絞った状態となり、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0047】
また、本発明の請求項9記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素と、3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素と、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第1の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備えたことを特徴とする。出力調整部としては、単に出力調整を行うだけものだけのもの、または、ヒステリシス特性を持たせたもの、または、タイマ機能を持たせたものがある。
【0048】
請求項9の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力を抑制することができる。それに加えて、アクティブフィルタ出力電流の位相を調節することができ、補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0049】
出力調整部にヒステリシス特性を持たせたものの場合には、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも、出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。また、タイマ機能を持たせたものの場合には、負荷の急変が終了してからもしばらくの間、出力を絞った状態となり、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0050】
また、本発明の請求項10記載のアクティブフィルタは、制御回路中に、3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素と、3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素と、第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、第1の変動監視部の出力に基づき第1のローパスフィルタの出力変化分が所定値を超えたときにアクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備え、第1の時間遅れ要素を第1の減算器の後段に配置し、第2の時間遅れ要素を第2の減算器の後段に配置し、第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素の後段に出力調整部を配置したことを特徴とする。出力調整部としては、単に出力調整を行うだけものだけのもの、または、ヒステリシス特性を持たせたもの、または、タイマ機能を持たせたものがある。
【0051】
請求項10の構成をとったため、補償対象となる負荷が急激に変化した場合、アクティブフィルタの制御回路中のローパスフィルタの応答時間に起因してアクティブフィルタ主回路が発生する基本波有効電力成分出力をより効果的に抑制できる。つまり、第1の時間遅れ要素を通過する前の第1のローパスフィルタの信号をもとに負荷変動を監視し、その結果に応じて第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素を通過した後の出力調整部において出力を調整するため、監視の結果を時間的に過去にさかのぼって反映でき、第1の変動監視部で負荷の変動を監視し出力調整部で反映させるのに必要な時間遅れによる出力制限の遅れを回避することができる。その結果、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を効果的に抑制できる。それに加えて、アクティブフィルタ出力電流の位相を調節することができ、補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0052】
出力調整部にヒステリシス特性を持たせたものの場合には、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも、出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。また、タイマ機能を持たせたものの場合には、負荷の急変が終了してからもしばらくの間、出力を絞った状態となり、負荷の急変が短時間で繰り返し発生する場合にも出力状態から出力を絞った状態、または出力を絞った状態から出力状態への遷移回数を減らすことができ、安定した制御をすることができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0054】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項1に対応するものである。図1において、3相2相変換器1は、従来例の3相2相変換器101と同様の構成で、補償対象の負荷電流中に含まれる瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出、つまり負荷電流の3相成分を瞬時有効電力および瞬時無効電力の2相成分に変換する。第1のローパスフィルタ2は、3相2相変換器1で算出した瞬時有効電力成分の直流分を分離抽出する。第1の減算器3は、3相2相変換器1で算出した瞬時有効電力成分から第1のローパスフィルタ2で抽出した瞬時有効電力成分の直流分を減算、つまり差分を求めることで、瞬時有効電力成分の交流分を求める。第1の変動監視部4は、第1のローパスフィルタ2の出力変化分を監視し、その出力信号を出力調整部8に送る。具体的には、第1のローパスフィルタ2の出力変化分を検出し、検出した第1のローパスフィルタ2の出力変化分を出力調整部8に送る。
【0055】
第2のローパスフィルタ5は、3相2相変換器1で算出した瞬時無効電力成分の直流分を分離抽出する。第2の減算器6は、3相2相変換器1で算出した瞬時無効電力成分から第2のローパスフィルタ5で抽出した瞬時無効電力成分の直流分を減算、つまり差分を求めることで、瞬時無効電力成分の交流分を求める。第2の変動監視部7は、第2のローパスフィルタ5の出力変化分を監視し、その出力信号を出力調整部8に送る。具体的には、第1のローパスフィルタ2の出力変化分を検出し、検出した第1のローパスフィルタ2の出力変化分を出力調整部8に送る。
【0056】
出力調整部8では、第1の変動監視部4と第2の変動監視部7から送られてきた信号の大きさをもとに第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号を調節し、その結果を2相3相変換器9に送る。2相3相変換器9では、従来例の2相3相変換器109と同様に、出力調整部8で調整された瞬時有効電力成分と瞬時無効電力成分より3相の目標電流値を算出する。
【0057】
なお、アクティブフィルタ主回路の構成は従来例と同様である。
【0058】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0059】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0060】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0061】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送り、第2の変動監視部7では、第2のローパスフィルタ5の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送る。出力調整部8では、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0062】
出力調整部8は、第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合、または第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。一方、出力変動が所定値より小さいと判断した場合には、出力調整部8は、ゼロの代入を停止し、第1の減算器3および第2の減算器6の出力をそのまま出力する。
【0063】
ここで、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7と出力調整部8の構成および動作について、詳しく説明する。
【0064】
第1の変動監視部4では、図13に示すように、第1のローパスフィルタ2の出力をメモリまたはシフトレジスタなどからなるバッファ4aに保存しておき、現在の第1のローパスフィルタ2の出力とバッファ4aで保存している過去のデータとの差を減算器4bで求め、その差信号を出力調整部8に送る。
【0065】
また、第2の変動監視部7についても同様に、図13に示すように、第2のローパスフィルタ5の出力をメモリまたはシフトレジスタなどからなるバッファ7aに保存しておき、現在の第2のローパスフィルタ5の出力とバッファ7aで保存している過去のデータとの差を減算器7bで求め、その差信号を出力調整部8に送る。
【0066】
第1の変動監視部4および第2の変動監視部7ともに、現在のローパスフィルタ2,5の出力との差をとるための過去のデータは、設定により任意の時間だけさかのぼった過去の時点に設定できる。
【0067】
また、出力調整部8は、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7から送られてきた差信号を所定値(この場合、一定値)と比較し、その比較結果に基づいて差信号が所定値より大きく、したがってローパスフィルタ2または5の出力変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号に値ゼロを代入し、アクティブフィルタの出力をゼロにする。一方、第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、または第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より小さいと判断した場合は、出力調整部8において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力へのゼロの代入を停止する。上記における判断基準となる所定値は、第1および第2のローパスフィルタ2,5の出力変動について、同じ値であっても異なる値であってもよい。
【0068】
この点を図2を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力は図2(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図2(b)に示す通り図2(a)とは異なる値を出力する。ローパスフィルタ2,5の出力の変動分を変動監視部4,7で検出し、何れか少なくとも一方の変動が所定値より大きいと出力調整部8が判断した場合に、図2(c)のように出力調整部8が減算器3,6の出力にゼロを代入し、2相3相変換器9に渡す。その結果、2相3相変換器9の出力は、図2(d)のように出力調整部8で変動が所定値より大きいと判断し、出力調整部8でゼロを代入するまでの期間は出力を発生するが、出力調整部8で変動が所定値より大きいと判断した後は、出力をゼロに絞ることができる。
【0069】
また、出力調整部8で、第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さく、かつ第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、出力調整部8は第1の減算器3および第2の減算器6の結果をそのまま2相3相変換器9に出力する。その結果、2相3相変換器9は、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0070】
なお、本第1の実施の形態では、第1の変動監視部4または第2の変動監視部7の結果をもとに出力調整部8で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0071】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の2通りが考えられる。第1は、出力調整部8で変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0072】
第2は、出力調整部8で変動の大きさを求め、出力調整フィルタ8で第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にその変動の大きさに応じてある係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。この場合の係数は、変動の大きさが小さいときは係数が大きく、変動の大きさが大きいときは係数が小さくなるような値に設定される。この場合、変動の大きさに応じて係数の値を変化させるために、比較器において、変動の大きさを順次異なる複数の基準値と比較することで、変動の大きさを分類している。
【0073】
また、出力調整部8では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0074】
また、出力調整部8で、負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)、および負荷が急変しているか定常状態であるかを第2のローパスフィルタ5の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0075】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0076】
同様に、第2の変動監視部7で第2のローパスフィルタ5の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第2のローパスフィルタ5の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第2のローパスフィルタ5の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0077】
また、本第1の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0078】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0079】
従来例で説明したように、瞬時有効電力を直流分と交流分に分けると、瞬時有効電力の直流分は3相変換すると基本波有効電力になり、瞬時有効電力の交流分は3相変換すると高調波有効電力となる。同様に、瞬時無効電力の直流分は3相変換すると基本波無効電力になり、瞬時無効電力の交流分は3相変換すると高調波無効電力となる。
【0080】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0081】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0082】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0083】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0084】
また、出力調整部8は2相3相変換器9の後段にあってもよい。
【0085】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、インバータ部の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。
【0086】
(第2の実施の形態)
図3は本発明の第2の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項2に対応するものである。出力調整部8がヒステリシスつき出力調整部10となったこと以外は本発明の第1の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0087】
ヒステリシスつき出力調整部10は、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7から送られてきた信号をもとに、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号を調整するのが目的であり、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7からの出力に応じてヒステリシス特性をもって調整動作を行う。
【0088】
図14にヒステリシスつき出力調整部10の具体的な構成を示す。図14に示すように、ヒステリシスつき出力調整部10は、ヒステリシス特性をもった比較器10a,10bと、比較器10a,10bの出力を基に演算を行う出力演算部10cとで構成され、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7の出力に応じて第1の減算器3および第2の減算器6からの信号を調整する。この場合、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7からの信号がヒステリシス特性をもった比較器10a,10bにそれぞれ入力されるため、出力演算部10cでの出力調整特性はヒステリシス特性をもったものとなる。
【0089】
なお、ここでいう出力演算部10cは本発明の第1の実施の形態で説明した出力調整部8の機能から、比較の機能を除いた機能を有することになる。したがって、ヒステリシスつき出力調整部10は、第1の実施の形態で説明した出力調整部8の内部にある比較器の部分がヒステリシス特性をもった比較器に置き換えられたものである。逆に、第1の実施の形態の出力調整部8は、図14において、ヒステリシス特性を有する比較器10a,10bを用いる代わりに、ヒステリシス特性をもたない比較器を用いた構成となる。
【0090】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0091】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0092】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0093】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果をヒステリシスつき出力調整部10に送り、第2の変動監視部7では、第2のローパスフィルタ5の出力変動を監視し、その結果をヒステリシスつき出力調整部10に送る。ヒステリシスつき出力調整部10では、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0094】
ヒステリシスつき出力調整部10が、第1のローパスフィルタ2の出力変動が第1の所定値(ヒステリシス特性の上側しきい値に対応する)より大きいと判断した場合、または第2のローパスフィルタ5の出力変動が第1の所定値(ヒステリシス特性の上側しきい値に対応する)より大きいと判断した場合は、ヒステリシスつき出力調整部10において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。
【0095】
一方、第1のローパスフィルタ2の出力変動が第2の所定値(ヒステリシス特性の下側しきい値に対応する)より小さいと判断した場合、または第2のローパスフィルタ5の出力変動が第2の所定値(ヒステリシス特性の下側しきい値に対応する)より小さいと判断した場合は、ヒステリシスつき出力調整部10において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力へのゼロの代入を停止する。上記における判断基準となる第1および第2の所定値は、第1および第2のローパスフィルタ2,5の出力変動について、同じ値であっても異なる値であってもよい。
【0096】
この点を図2を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力は図2(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図2(b)に示す通り図2(a)とは異なる値を出力する。ヒステリシスつき出力調整部10では、変動監視部4,7で検出したローパスフィルタ2,5の出力の変動分の何れか少なくとも一方が第1の所定値より大きいと判断した場合に、図2(c)のようにヒステリシスつき出力調整部10が減算器3,6の出力にゼロを代入し、2相3相変換器9に渡す。その結果、2相3相変換器9の出力は、図2(d)のようにヒステリシスつき出力調整部10で変動が第1の所定値より大きいと判断しヒステリシスつき出力調整部10でゼロを代入するまでの期間は出力を発生するが、ヒステリシスつき出力調整部10で変動が第1の所定値より大きいと判断した後は、出力をゼロに絞ることができる。
【0097】
また、ヒステリシスつき出力調整部10で第1のローパスフィルタ2の出力変動が第2の所定値より小さく、かつ第2のローパスフィルタ5の出力変動が第2の所定値より小さいと判断した場合、ヒステリシスつき出力調整部10は、値ゼロの代入を取り止め、第1の減算器3および第2の減算器6の結果をそのまま2相3相変換器9に出力する。その結果、2相3相変換器9は、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0098】
また、ヒステリシスつき出力調整部10には、ヒステリシス特性を持たせてあるため、負荷の変動が第1の所定値(ヒステリシス特性の上側しきい値に相当する)より大きいためヒステリシスつき出力調整部10でアクティブフィルタ主回路の出力制限をしている状態から、負荷変動が第2の所定値(ヒステリシス特性の下側しきい値に相当する)より小さくなってヒステリシスつき出力調整部10で出力制限が解除される場合と、負荷変動が第2の所定値より小さいためヒステリシスつき出力調整部10で出力制限が解除されている状態から、負荷の変動が第1の所定値より大きくなってためヒステリシスつき出力調整部10でアクティブフィルタ主回路の出力制限をしている状態になる場合について、状態が反転する負荷変動の大きさが異なる。したがって、負荷が変動−定常運転を短時間で繰り返し行っている場合にも、アクティブフィルタの状態遷移回数が減り、出力が不安定になりにくい。
【0099】
なお、出力制限の状態から出力制限を解除する場合には、段階的に出力制限の状態から出力状態に移行する方法をとってもよいことはいうまでない。
【0100】
なお、本第2の実施の形態では、第1の変動監視部4または第2の変動監視部7の結果をもとにヒステリシスつき出力調整部10で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0101】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の方法が考えられる。すなわち、ヒステリシスつき出力調整部10で変動が第1の所定値より大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0102】
また、ヒステリシスつき出力調整部10では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0103】
また、ヒステリシスつき出力調整部10で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)、およびヒステリシスつき出力調整部10で負荷が急変しているか定常状態であるかを第2のローパスフィルタ5の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0104】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0105】
同様に、第2の変動監視部7で第2のローパスフィルタ5の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第2のローパスフィルタ5の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第2のローパスフィルタ5の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0106】
また、本第2の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力成分と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0107】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0108】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0109】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0110】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0111】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0112】
また、ヒステリシスつき出力調整部10は2相3相変換器9の後段にあってもよい。
【0113】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0114】
(第3の実施の形態)
図4は本発明の第3の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項3に対応するものである。出力調整部8がタイマつき出力調整部13となったこと以外は本発明の第1の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0115】
タイマつき出力調整部13は第1の変動監視部4および第2の変動監視部7から送られてきた信号をもとに、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号を調整するのが目的であり、現在出力を調整しているか調整していないかにより動作が異なる。
【0116】
図15にタイマつき出力調整部13の具体的な構成を示す。図15に示すように、タイマつき出力調整部13は第1の変動監視部4および第2の変動監視部7の出力に応じて第1の減算器3および第2の減算器6から入力された信号を調整するが、本発明の第1の実施の形態で説明した出力調整部8と同等の機能を有する出力調整部13aの後段にタイマ13bが付加されている。このタイマ13bの働きは、出力調整部13aで第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合および第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より大きいと判断した場合に出力調整している状態を一定時間保持することである。出力調整状態になってからある時間が経過した時点で、さらに出力調整部13aで第1または第2のローパスフィルタ2,5の出力変動が所定値より大きいと判断した場合はさらにその時点から一定時間、出力調整状態が保持される。また、出力調整状態でない場合はタイマ13bは機能しない。
【0117】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0118】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0119】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0120】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果をタイマつき出力調整部13に送り、第2の変動監視部7では、第2のローパスフィルタ5の出力変動を監視し、その結果をタイマつき出力調整部13に送る。タイマつき出力調整部13では、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0121】
タイマつき出力調整部13における出力調整部13aが第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合、または第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より大きいと判断した場合は、タイマつき出力調整部13において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。
【0122】
この点を図2を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力は図2(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図2(b)に示す通り図2(a)とは異なる値を出力する。タイマつき出力調整部13では、ローパスフィルタ2,5の出力の変動分を検出し、何れか少なくとも一方の変動が所定値より大きいと判断した場合に、図2(c)のように減算器3,6の出力にゼロを代入し、2相3相変換器9に渡す。その結果、2相3相変換器9の出力は、図2(d)のようにタイマつき出力調整部13で変動が所定値より大きいと判断しタイマつき出力調整部13でゼロを代入するまでの期間は出力を発生するが、タイマつき出力調整部13で変動が所定値より大きいと判断した後は、出力をゼロに絞ることができる。
【0123】
また、タイマつき出力調整部13で第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さく、かつ第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、タイマつき出力調整部13は第1の減算器3および第2の減算器6の結果をそのまま2相3相変換器9に出力する。その結果、2相3相変換器9は、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0124】
また、タイマつき出力調整部13には、時間的な遅れを持たせてあるので、負荷の変動が所定値より大きいためにタイマつき出力調整部13でアクティブフィルタ主回路の出力制限をしている状態から、負荷変動が小さくなりタイマつき出力調整部13で出力制限が解除される場合には、いきなり出力制限を解除せずに一定時間経過後から出力を再開する。したがって、負荷が変動−定常運転を短時間で繰り返し行っている場合にも、アクティブフィルタ主回路の出力が不安定になることはない。
【0125】
なお、出力制限の状態から出力制限を解除する場合には、段階的に出力制限の状態から出力状態に移行する方法をとってもよいことはいうまでない。
【0126】
なお、本第3の実施の形態では、第1の変動監視部4または第2の変動監視部7の結果をもとにタイマつき出力調整部13で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0127】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の方法が考えられる。すなわち、タイマつき出力調整部13で変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0128】
また、タイマつき出力調整部13では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0129】
また、タイマつき出力調整部13で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)、およびタイマつき出力調整部13で負荷が急変しているか定常状態であるかを第2のローパスフィルタ5の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0130】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0131】
同様に、第2の変動監視部7で第2のローパスフィルタ5の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第2のローパスフィルタ5の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第2のローパスフィルタ5の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0132】
また、本第3の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力成分と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0133】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0134】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0135】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0136】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0137】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0138】
また、インバータ部にエネルギー蓄積要素を付加し、高調波補償の目的以外に有効電力の制御もできることはいうまでもない。
【0139】
タイマつき出力調整部13で出力を絞っている状態からタイマで設定している時間経過後、あるいは出力を絞っている状態からタイマで設定している時間が経過するまでの間にもタイマつき出力調整部13における判定結果をタイマつき出力調整部13に反映させることも可能である。
【0140】
ここで、タイマつき出力調整部13における判定結果をタイマつき出力調整部13に反映させる点について説明する。すなわち、タイマつき出力調整部13で出力調整開始時からタイマで設定している時間経過時、あるいは出力開始時からタイマ13bで設定している時間が経過するまでの間に、新たに第1のローパスフィルタ2の出力変動が大きいと判断した場合または、新たに第2のローパスフィルタ5の出力変動が大きいと判断した場合は、その結果をタイマつき出力調整部13に反映し、前記新たに出力変動が大きいと判断した時点でタイマ13bに再設定され、タイマ13bで再設定された時間が経過するまで出力調整状態は保持される。
【0141】
また、タイマつき出力調整部13は2相3相変換器9の後段にあってもよい。
【0142】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。
【0143】
(第4の実施の形態)
図5は本発明の第4の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項4に対応するものである。出力調整部8と2相3相変換器9の間に瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素11を備え、出力調整部8と2相3相変換器9の間に瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素12を備えたこと以外は本発明の第1の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0144】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0145】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0146】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0147】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送り、第2の変動監視部7では、第2のローパスフィルタ5の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送る。出力調整部8では、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0148】
出力調整部8で第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合、または第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より大きいと判断した場合は、出力調整部8において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入し、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12にゼロを引き渡す。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされる。したがって、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。
【0149】
また、出力調整部8で第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さく、かつ第2のローパスフィルタ5の出力変動が小さいと判断した場合、出力調整部8は第1の減算器3の結果をそのまま第1の時間遅れ要素11に引き渡し、第2の減算器6の結果をそのまま第2の時間遅れ要素12に引き渡す。
【0150】
第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12はそれぞれ必要時間だけ入力信号を遅らせて出力信号とし、2相3相変換器9に信号を渡す。2相3相変換器9では、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0151】
なお、本第4の実施の形態では、出力調整部8を用いた例で説明したが、ヒステリシス特性を持たせたヒステリシスつき出力調整部10を用いてもよいし、タイマ機能を持たせたタイマつき出力調整部13を用いてもよいことはいうまでもない。ヒステリシスつき出力調整部10とタイマつき出力調整部13の動作は、先の実施の形態で説明したのと同様である。
【0152】
上記のように、ヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13を用いることより、単なる出力調整部8を用いた場合に比べ、補償対象となる負荷の変動が繰り返す場合にも、アクティブフィルタ出力の発生・停止を繰り返さず、より安定した制御が可能となる。
【0153】
なお、本第4の実施の形態では、第1の変動監視部4または第2の変動監視部7の結果をもとに出力調整部8で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0154】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の2通りが考えられる。第1は、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0155】
第2は、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で変動の大きさを求め、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にその変動の大きさに応じてある係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。この場合の係数は、変動の大きさが小さいときは係数が大きく、変動の大きさが大きいときは係数が小さくなるような値に設定される。この場合、変動の大きさに応じて係数の値を変化させるために、比較器において、変動の大きさを順次異なる複数の基準値と比較することで、変動の大きさを分類している。
【0156】
また、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0157】
また、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)、および出力調整部8で負荷が急変しているか定常状態であるかを第2のローパスフィルタ5の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0158】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0159】
同様に、第2の変動監視部7で第2のローパスフィルタ5の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第2のローパスフィルタ5の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第2のローパスフィルタ5の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0160】
また、本第4の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力成分と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0161】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0162】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0163】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0164】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0165】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0166】
また、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12はアクティブフィルタ主回路の出力電流位相を制御するために使用するが、アクティブフィルタ主回路の出力側に接続されるトランスの結線または電圧信号を検出する計器用変圧器などの結線または電力系統と負荷の間に存在するトランスの結線がそれぞれ異なる場合にその位相を調節するためにも使用できることはいうまでもない。
【0167】
また、計器用変圧器などの検出器、検出回路に存在する位相遅れを調節するためにも使用できる。
【0168】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素11,12により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0169】
(第5の実施の形態)
図6は本発明の第5の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項5に対応するものである。第1の減算器3と出力調整部8の間に瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素11を備え、第2の減算器6と出力調整部8の間に瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素12を備えたこと以外は本発明の第1の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0170】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0171】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0172】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0173】
第1の時間遅れ要素11は第1の減算器3で求めた瞬時有効電力成分の交流分を一定時間遅らせた後、出力調整部8に信号を送り、第2の時間遅れ要素12は第2の減算器6で求めた瞬時無効電力成分の交流分を一定時間遅らせた後、出力調整部8に信号を送るという働きをする。
【0174】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送り、第2の変動監視部7では、第2のローパスフィルタ5の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送る。出力調整部8では、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7の結果をもとに第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12で得られた値を調整する。
【0175】
出力調整部8が第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合、または第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より大きいと判断した場合は、出力調整部8において、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。
【0176】
この点を図7を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力成分は図7(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図7(b)に示す通り図7(a)とは異なる値を出力する。その結果、減算器3,6の出力は図7(c)のようになり、何も対策をしなければ、出力調整部8の出力が図7(d)に点線で示すようになり、その結果、図7(e)に点線で示すようなこの減算器3,6の出力に起因する電流を2相3相変換器9が発生してしまう。ところが、変動監視部4,7では図7(b)に示すローパスフィルタ2,5の出力を監視し、ローパスフィルタ2,5の出力が変化している場合、出力調整部8で図7(d)のようにゼロを代入する。変動監視部4,7は時間遅れ要素11,12の前にあり、出力調整部8は時間遅れ要素11,12の後にあることから、変動監視部4,7でローパスフィルタ2,5の出力の変動を検出し、図7(d)のように出力調整部8に反映させることにより、2相3相変換器9の出力として、図7(e)のように変動監視部4,7の判定にかかる時間に起因する過渡電流を抑制することができる。
【0177】
また、出力調整部8で第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さく、かつ第2のローパスフィルタ5の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、出力調整部8は第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の結果をそのまま2相3相変換器9に出力し、2相3相変換器9では、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0178】
なお、本第5の実施の形態では、出力調整部8を用いた例で説明したが、ヒステリシス特性を持たせたヒステリシスつき出力調整部10を用いてもよいし、タイマ機能を持たせたタイマつき出力調整部13を用いてもよいことはいうまでもない。ヒステリシスつき出力調整部10とタイマつき出力調整部13の動作は、先の実施の形態で説明したのと同様である。
【0179】
上記のように、ヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13を用いることより、単なる出力調整部8を用いた場合に比べ、補償対象となる負荷の変動が繰り返す場合にも、アクティブフィルタ出力の発生・停止を繰り返さず、より安定した制御が可能となる。
【0180】
なお、本第5の実施の形態では、第1の変動監視部4または第2の変動監視部7の結果をもとに出力調整部8で第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の出力にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0181】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の2通りが考えられる。第1は、出力調整部8で変動が大きいと判断した場合に、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0182】
第2は、出力調整部8で変動の大きさを求め、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12から送られてきた信号にその変動の大きさに応じてある係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。この場合の係数は、変動の大きさが小さいときは係数が大きく、変動の大きさが大きいときは係数が小さくなるような値に設定される。この場合、変動の大きさに応じて係数の値を変化させるために、比較器において、変動の大きさを順次異なる複数の基準値と比較することで、変動の大きさを分類している。
【0183】
また、出力調整部8では、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の出力にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0184】
また、出力調整部8で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)、および出力調整部8で負荷が急変しているか定常状態であるかを第2のローパスフィルタ5の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0185】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0186】
同様に、第2の変動監視部7で第2のローパスフィルタ5の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第2のローパスフィルタ5の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第2のローパスフィルタ5の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0187】
また、本第5の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0188】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0189】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0190】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0191】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0192】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0193】
また、インバータ部にエネルギー蓄積要素を付加し、高調波補償の目的以外に有効電力の制御もできることはいうまでもない。
【0194】
また、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12はアクティブフィルタ主回路の出力電流位相を制御するために使用するが、アクティブフィルタ主回路の出力側に接続されるトランスの結線または電圧信号を検出するトランスなどの結線または電力系統と負荷の間に存在するトランスの結線がそれぞれ異なる場合にその位相を調節するためにも使用できることはいうまでもない。
【0195】
また、本第5の実施の形態では、第1の時間遅れ要素11と2相3相変換器9の接続点および第2の時間遅れ要素12と2相3相変換器9の接続点に出力調整部8を備える例で説明したが、出力調整部8は第1の時間遅れ要素11または第2の時間遅れ要素12の後段であればよいので、2相3相変換器9の後段に備える構成でも同じ働きができることはいうまでもない。
【0196】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素11,12により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0197】
特に、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12を通過する前の第1のローパスフィルタ2および第2のローパスフィルタ5の信号をもとに負荷変動を監視し、その結果に応じて第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12を通過した後の出力調整部8において出力を調整するため、監視の結果を時間的に過去にさかのぼって反映でき、第1の変動監視部4および第2の変動監視部7で負荷の変動を監視し出力調整部8で反映させるのに必要な時間遅れによる出力制限の遅れを回避することができる。その結果、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を効果的に抑制できる。
【0198】
(第6の実施の形態)
図8は本発明の第6の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項6に対応するものである。図8において、3相2相変換器1は、従来例の3相2相変換器101と同様の構成で、補償対象の負荷電流中に含まれる瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出、つまり負荷電流の3相成分を瞬時有効電力および瞬時無効電力の2相成分に変換する。第1のローパスフィルタ2は、3相2相変換器1で算出した瞬時有効電力成分の直流分を分離抽出する。第1の減算器3は、3相2相変換器1で算出した瞬時有効電力成分から第1のローパスフィルタ2で抽出した瞬時有効電力成分の直流分を減算、つまり差分を求めることで、瞬時有効電力成分の交流分を求める。第1の変動監視部4は、第1のローパスフィルタ2の出力変化分を監視し、その出力信号を出力調整部8に送る。具体的には、第1のローパスフィルタ2の出力変化分を検出し、検出した第1のローパスフィルタ2の出力変化分を出力調整部8に送る。
【0199】
第2のローパスフィルタ5は、3相2相変換器1で算出した瞬時無効電力成分の直流分を分離抽出する。第2の減算器6は、3相2相変換器1で算出した瞬時無効電力成分から第2のローパスフィルタ5で抽出した瞬時無効電力成分の直流分を減算、つまり差分を求めることで、瞬時無効電力成分の交流分を求める。
【0200】
出力調整部8では、第1の変動監視部4から送られてきた信号の大きさをもとに第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号を調節し、その結果を2相3相変換器9に送る。2相3相変換器9では、従来例の2相3相変換器109と同様に、出力調整部8で調整された瞬時有効電力成分と瞬時無効電力成分より3相の目標電流値を算出する。
【0201】
なお、アクティブフィルタ主回路の構成は従来例と同様である。
【0202】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0203】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0204】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0205】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送る。出力調整部8では、第1の変動監視部4の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0206】
出力調整部8は、第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。一方、出力変動が所定値より小さいと判断した場合には、出力調整部8は、ゼロの代入を停止し、第1の減算器3および第2の減算器6の出力をそのまま出力する。
【0207】
第1の変動監視部4および出力調整部8の構成は第1の実施の形態で詳しく説明したので、説明を省略する。
【0208】
ここで、上記の各部の動作を図2を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力は図2(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図2(b)に示す通り図2(a)とは異なる値を出力する。ローパスフィルタ2の出力の変動分を変動監視部4で検出し、変動が所定値より大きいと出力調整部8が判断した場合に、図2(c)のように出力調整部8が減算器3,6の出力にゼロを代入し、2相3相変換器9に渡す。その結果、2相3相変換器9の出力は、図2(d)のように出力調整部8で変動が所定値より大きいと判断し、出力調整部8でゼロを代入するまでの期間は出力を発生するが、出力調整部8で変動が所定値より大きいと判断した後は、出力をゼロに絞ることができる。
【0209】
また、出力調整部8で、第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、出力調整部8は第1の減算器3および第2の減算器6の結果をそのまま2相3相変換器9に出力する。その結果、2相3相変換器9は、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0210】
なお、本第6の実施の形態では、第1の変動監視部4の結果をもとに出力調整部8で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0211】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の2通りが考えられる。第1は、出力調整部8で変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0212】
第2は、出力調整部8で変動の大きさを求め、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にその変動の大きさに応じてある係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。この場合の係数は、変動の大きさが小さいときは係数が大きく、変動の大きさが大きいときは係数が小さくなるような値に設定される。この場合、変動の大きさに応じて係数の値を変化させるために、比較器において、変動の大きさを順次異なる複数の基準値と比較することで、変動の大きさを分類している。
【0213】
また、出力調整部8では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0214】
また、出力調整部8で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0215】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0216】
また、本第6の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0217】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0218】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0219】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0220】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0221】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0222】
また、出力調整部8は2相3相変換器9の後段にあってもよい。
【0223】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の変動は補償し、インバータ部の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。
【0224】
(第7の実施の形態)
図9は本発明の第7の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項7に対応するものである。出力調整部8がヒステリシスつき出力調整部10となったこと以外は本発明の第6の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。上記のヒステリシスつき出力調整部10については、第2の実施の形態で示したものと同じである。
【0225】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0226】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0227】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0228】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果をヒステリシスつき出力調整部10に送る。ヒステリシスつき出力調整部10では、第1の変動監視部4の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0229】
ヒステリシスつき出力調整部10が、第1のローパスフィルタ2の出力変動が第1の所定値(ヒステリシス特性の上側しきい値に対応する)より大きいと判断した場合は、ヒステリシスつき出力調整部10において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。
【0230】
一方、第1のローパスフィルタ2の出力変動が第2の所定値(ヒステリシス特性の下側しきい値に対応する)より小さいと判断した場合は、ヒステリシスつき出力調整部10において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力へのゼロの代入を停止する。
【0231】
この点を図2を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力は図2(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図2(b)に示す通り図2(a)とは異なる値を出力する。ヒステリシスつき出力調整部10では、変動監視部4で検出したローパスフィルタ2の出力の変動分が、第1の所定値より大きいと判断した場合に、図2(c)のようにヒステリシスつき出力調整部10が減算器3,6の出力にゼロを代入し、2相3相変換器9に渡す。その結果、2相3相変換器9の出力は、図2(d)のようにヒステリシスつき出力調整部10で変動が第1の所定値より大きいと判断し、ヒステリシスつき出力調整部10でゼロを代入するまでの期間は出力を発生するが、ヒステリシスつき出力調整部10で変動が第1の所定値より大きいと判断した後は、出力をゼロに絞ることができる。
【0232】
また、ヒステリシスつき出力調整部10で第1のローパスフィルタ2の出力変動が第2の所定値より小さいと判断した場合、ヒステリシスつき出力調整部10は、値ゼロの代入を取り止め、第1の減算器3および第2の減算器6の結果をそのまま2相3相変換器9に出力する。その結果、2相3相変換器9は、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0233】
また、ヒステリシスつき出力調整部10には、ヒステリシス特性を持たせてあるため、負荷の変動が第1の所定値(ヒステリシス特性の上側しきい値に相当する)より大きいためヒステリシスつき出力調整部10でアクティブフィルタ主回路の出力制限をしている状態から、負荷変動が第2の所定値(ヒステリシス特性の下側しきい値に相当する)より小さくなってヒステリシスつき出力調整部10で出力制限が解除される場合と、負荷変動が第2の所定値より小さいためヒステリシスつき出力調整部10で出力制限が解除されている状態から、負荷の変動が第1の所定値より大きくなってヒステリシスつき出力調整部10でアクティブフィルタ主回路の出力制限をしている状態になる場合について、状態が反転する負荷変動の大きさが異なる。したがって、負荷が変動−定常運転を短時間で繰り返し行っている場合にも、アクティブフィルタの状態遷移回数が減り、出力が不安定になりにくい。
【0234】
なお、出力制限の状態から出力制限を解除する場合には、段階的に出力制限の状態から出力状態に移行する方法をとってもよいことはいうまでない。
【0235】
なお、本第7の実施の形態では、第1の変動監視部4の結果をもとにヒステリシスつき出力調整部10で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0236】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の方法が考えられる。すなわち、ヒステリシスつき出力調整部10で変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0237】
ヒステリシスつき出力調整部10では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0238】
また、ヒステリシスつき出力調整部10で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0239】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0240】
また、本第7の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力成分と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0241】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0242】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0243】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0244】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0245】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0246】
また、ヒステリシスつき出力調整部10は2相3相変換器9の後段にあってもよい。
【0247】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力の変動は補償し、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0248】
(第8の実施の形態)
図10は本発明の第8の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項8に対応するものである。出力調整部8がタイマつき出力調整部13となったこと以外は本発明の第6の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。タイマつき出力調整部13については第3の実施の形態で示したものと同様である。
【0249】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0250】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0251】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0252】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果をタイマつき出力調整部13に送る。タイマつき出力調整部13では、第1の変動監視部4の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0253】
タイマつき出力調整部13における出力調整部13aが第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合は、タイマつき出力調整部13において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。
【0254】
この点を図2を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力は図2(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図2(b)に示す通り図2(a)とは異なる値を出力する。タイマつき出力調整部13では、ローパスフィルタ2の出力の変動分を検出し、変動が所定値より大きいと判断した場合に、図2(c)のように減算器3,6の出力にゼロを代入し、2相3相変換器9に渡す。その結果、2相3相変換器9の出力は、図2(d)のようにタイマつき出力調整部13で変動が所定値より大きいと判断しタイマつき出力調整部13でゼロを代入するまでの期間は出力を発生するが、タイマつき出力調整部13で変動が所定値より大きいと判断した後は、出力をゼロに絞ることができる。
【0255】
また、タイマつき出力調整部13で第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、タイマつき出力調整部13は第1の減算器3および第2の減算器6の結果をそのまま2相3相変換器9に出力する。その結果、2相3相変換器9は、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0256】
また、タイマつき出力調整部13には、時間的な遅れを持たせてあるので、負荷の変動が所定値より大きいためにタイマつき出力調整部13でアクティブフィルタ主回路の出力制限をしている状態から、負荷変動が小さくなりタイマつき出力調整部13で出力制限が解除される場合には、いきなり出力制限を解除せずに一定時間経過後から出力を再開する。したがって、負荷が変動−定常運転を短時間で繰り返し行っている場合にも、アクティブフィルタ主回路の出力が不安定になることはない。
【0257】
なお、出力制限の状態から出力制限を解除する場合には、段階的に出力制限の状態から出力状態に移行する方法をとってもよいことはいうまでない。
【0258】
なお、本第8の実施の形態では、第1の変動監視部4の結果をもとにタイマつき出力調整部13で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0259】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の方法が考えられる。すなわち、タイマつき出力調整部13で変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0260】
タイマつき出力調整部13では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立にゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0261】
また、タイマつき出力調整部13で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0262】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0263】
また、本第8の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力成分と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0264】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力を制御できることはいうまでもない。
【0265】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0266】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0267】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0268】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0269】
タイマつき出力調整部13で出力を絞っている状態からタイマで設定している時間経過後、あるいは出力を絞っている状態からタイマで設定している時間が経過するまでの間にもタイマつき出力調整部13における判定結果をタイマつき出力調整部13に反映させることも可能である。上記の判定結果をタイマつき出力調整部13に反映させる点は、第3の実施の形態と同様である。
【0270】
また、タイマつき出力調整部13は2相3相変換器9の後段にあってもよい。
【0271】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の変動は補償し、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0272】
(第9の実施の形態)
図11は本発明の第9の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項9に対応するものである。出力調整部8と2相3相変換器9の間で瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素11を備え、出力調整部8と2相3相変換器9の間で瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素12を備えたこと以外は本発明の第6の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0273】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0274】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0275】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0276】
第1の変動監視部4では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送る。出力調整部8では、第1の変動監視部4の結果をもとに第1の減算器3および第2の減算器6で得られた値を調整する。
【0277】
出力調整部8が第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合は、出力調整部8において、第1の減算器3および第2の減算器6の出力にゼロを代入し、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12にゼロを引き渡す。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされる。
【0278】
また、出力調整部8で第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、出力調整部8は第1の減算器3の結果をそのまま第1の時間遅れ要素11に引き渡し、第2の減算器6の結果をそのまま第2の時間遅れ要素12に引き渡す。
【0279】
第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12はそれぞれ必要時間だけ入力信号を遅らせて出力信号とし、2相3相変換器9に信号を渡す。2相3相変換器9では、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0280】
なお、本第9の実施の形態では、出力調整部8を用いた例で説明したが、ヒステリシス特性を持たせたヒステリシスつき出力調整部10を用いてもよいし、タイマ機能を持たせたタイマつき出力調整部13を用いてもよいことはいうまでもない。ヒステリシスつき出力調整部10とタイマつき出力調整部13の動作は、先の実施の形態で説明したのと同様である。
【0281】
上記のように、ヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13を用いることより、単なる出力調整部8を用いた場合に比べ、補償対象となる負荷の変動が繰り返す場合にも、アクティブフィルタ出力の発生・停止を繰り返さず、より安定した制御が可能となる。
【0282】
なお、本第9の実施の形態では、第1の変動監視部4の結果をもとに出力調整部8で第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0283】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の2通りが考えられる。第1は、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で変動が大きいと判断した場合に、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0284】
第2は、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で変動の大きさを求め、第1の減算器3および第2の減算器6から送られてきた信号にその変動の大きさに応じてある係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。この場合の係数は、変動の大きさが小さいときは係数が大きく、変動の大きさが大きいときは係数が小さくなるような値に設定される。この場合、変動の大きさに応じて係数の値を変化させるために、比較器において、変動の大きさを順次異なる複数の基準値と比較することで、変動の大きさを分類している。
【0285】
また、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13では、第1の減算器3および第2の減算器6の計算結果にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0286】
また、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0287】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0288】
また、本第9の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力成分と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0289】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力成分を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力成分を制御できることはいうまでもない。
【0290】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0291】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0292】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0293】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0294】
また、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12はアクティブフィルタ主回路の出力電流位相を制御するために使用するが、アクティブフィルタ主回路の出力側に接続されるトランスの結線または電圧信号を検出する計器用変圧器などの結線または電力系統と負荷の間に存在するトランスの結線がそれぞれ異なる場合にその位相を調節するためにも使用できることはいうまでもない。
【0295】
また、計器用変圧器などの検出器、検出回路に存在する位相遅れを調節するためにも使用できる。
【0296】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の変動は補償し、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素11,12により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0297】
(第10の実施の形態)
図12は本発明の第10の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図を示すものであり、これは請求項10に対応するものである。第1の減算器3と出力調整部8の間に瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素11を備え、第2の減算器6と出力調整部8の間に瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素12を備えたこと以外は本発明の第6の実施の形態と同じ構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0298】
以上のように構成されたアクティブフィルタについて、その動作を説明する。
【0299】
3相2相変換器1では、負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い、負荷の瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出する。3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第1のローパスフィルタ2で瞬時有効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第1の減算器3で3相2相変換器1で求めた瞬時有効電力成分と第1のローパスフィルタ2で求めた瞬時有効電力成分の直流分との差分を求める。
【0300】
瞬時無効電力成分についても同様に、3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分に含まれる高調波成分を算出するため、第2のローパスフィルタ5で瞬時無効電力成分中に含まれる直流分を算出し、第2の減算器6で3相2相変換器1で求めた瞬時無効電力成分と第2のローパスフィルタ5で求めた瞬時無効電力成分の直流分との差分を求める。
【0301】
第1の時間遅れ要素11は第1の減算器3で求めた瞬時有効電力成分の交流分を一定時間遅らせた後、出力調整部8に信号を送り、第2の時間遅れ要素12は第2の減算器6で求めた瞬時無効電力成分の交流分を一定時間遅らせた後、出力調整部8に信号を送るという働きをする。
【0302】
出力調整部8では、第1のローパスフィルタ2の出力変動を監視し、その結果を出力調整部8に送る。出力調整部8では、第1の変動監視部4の結果をもとに第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12で得られた値を調整する。
【0303】
出力調整部8が第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より大きいと判断した場合は、出力調整部8において、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の出力にゼロを代入する。その結果、負荷に含まれる瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分はゼロとみなされ、2相3相変換器9の出力もゼロとなり、アクティブフィルタ主回路は出力を出さない。
【0304】
この点を図7を例にとって説明する。負荷の起動によりアクティブフィルタが検出する負荷の瞬時電力成分は図7(a)のように変化する。これに対し、ローパスフィルタ2,5の出力はローパスフィルタ2,5自体の時間遅れにより図7(b)に示す通り図7(a)とは異なる値を出力する。その結果、減算器3,6の出力は図7(c)のようになり、何も対策をしなければ、出力調整部8の出力が図7(d)に点線で示すようになり、その結果、図7(e)に点線で示すようなこの減算器3,6の出力に起因する電流を2相3相変換器9が発生してしまう。ところが、変動監視部4では図7(b)に示すローパスフィルタ2の出力を監視し、ローパスフィルタ2の出力が変化している場合、出力調整部8で図7(d)のようにゼロを代入する。変動監視部4は時間遅れ要素11の前にあり、出力調整部8は時間遅れ要素11の後にあることから、変動監視部4でローパスフィルタ2の出力の変動を検出し、図7(d)のように出力調整部8に反映させることにより、2相3相変換器9の出力として、図7(e)のように変動監視部4の判定にかかる時間に起因する過渡電流を抑制することができる。
【0305】
また、出力調整部8で第1のローパスフィルタ2の出力変動が所定値より小さいと判断した場合、出力調整部8は第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の結果をそのまま2相3相変換器9に出力し、2相3相変換器9では、入力された瞬時有効電力成分の交流分および瞬時無効電力成分の交流分からアクティブフィルタ主回路で出力するべき目標電流値を算出し、アクティブフィルタ主回路は負荷の高調波をキャンセルする高調波電流を出力する。
【0306】
なお、本第10の実施の形態では、出力調整部8を用いた例で説明したが、これに代えてヒステリシス特性を持たせたヒステリシスつき出力調整部10を用いてもよいし、タイマ機能を持たせたタイマつき出力調整部13を用いてよいことはいうまでもない。ヒステリシスつき出力調整部10とタイマつき出力調整部13の動作は、先の実施の形態で説明したのと同様である。
【0307】
上記のように、ヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13を用いることより、単なる出力調整部8を用いた場合に比べ、補償対象となる負荷の変動が繰り返す場合にも、アクティブフィルタ出力の発生・停止を繰り返さず、より安定した制御が可能となる。
【0308】
なお、本第10の実施の形態では、第1の変動監視部4の結果をもとに出力調整部8で第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の出力にゼロを代入する方法について説明したが、ゼロを代入する代わりにある係数をかけて出力を減少させる方法をとってもよいことはいうまでもない。
【0309】
ある係数をかけて出力を減少させる方法には、以下の2通りが考えられる。第1は、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で変動が大きいと判断した場合に、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12から送られてきた信号にある一定の係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。
【0310】
第2は、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で変動の大きさを求め、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12から送られてきた信号にその変動の大きさに応じてある係数をかけることであり、これによってアクティブフィルタの出力を絞ることができる。この場合の係数は、変動の大きさが小さいときは係数が大きく、変動の大きさが大きいときは係数が小さくなるような値に設定される。この場合、変動の大きさに応じて係数の値を変化させるために、比較器において、変動の大きさを順次異なる複数の基準値と比較することで、変動の大きさを分類している。
【0311】
また、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13では、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12の出力にそれぞれ独立してゼロを代入したり、ある係数を乗じることで、出力を独立して調整できることはいうまでもない。
【0312】
また、出力調整部8またはヒステリシスつき出力調整部10またはタイマつき出力調整部13で負荷が急変しているか定常状態であるかを第1のローパスフィルタ2の出力結果より判定するレベル(所定値)は任意に設定できることはいうまでもない。
【0313】
第1の変動監視部4で第1のローパスフィルタ2の出力を監視する際、アナログ的手法を用いアナログ回路により第1のローパスフィルタ2の出力の変化分だけを抽出する方法、デジタル的手法を用い第1のローパスフィルタ2の現時点での出力データと一定時間前の出力データとの差分を求める方法などがある。本実施の形態では、後者のデジタル的手法を用いた例について説明した。
【0314】
また、本第10の実施の形態では、3相2相変換器1で負荷電流および系統電圧信号より瞬時空間ベクトルを用い瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を求める方法を例にあげて説明したが、負荷電流と系統電圧そのものを用いて瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を算出してもよいし、負荷電流と、系統電圧に同期した正弦波信号を用いて瞬時有効電力成分と同位相の成分および瞬時無効電力と同位相の成分を算出してもよいことはいうまでもない。
【0315】
また、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の働きを選択することにより、アクティブフィルタを高調波補償の目的に加えて負荷の力率に応じて無効電力を制御したり、あるいは高調波補償の目的以外に負荷の力率に応じて無効電力成分を制御できることはいうまでもない。
【0316】
高調波だけを補償するアクティブフィルタは、アクティブフィルタの目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力交流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および高調波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0317】
高調波と無効電力を補償するアクティブフィルタは、目標値として2相の状態で瞬時有効電力の交流分と瞬時無効電力の交流分と瞬時無効電力の直流分、つまり3相に変換すると高調波有効電力および無効電力全般を取り出して出力することにより実現できる。
【0318】
無効電力だけを補償する場合は、目標値として2相の状態で無効電力の直流分、つまり3相に変換すると基本波無効電力だけを取り出して出力することにより実現できる。
【0319】
また、アクティブフィルタは装置内部にある直流コンデンサなどのエネルギー蓄積要素が小さいため、エネルギーを消費する有効電力を出力することはできないが、装置内部に大きなエネルギー蓄積要素を持たせるか、または装置に有効電力を供給する別の手段を付け加えることにより、高調波補償や無効電力補償以外に有効電力の制御も可能となる。
【0320】
また、インバータ部にエネルギー蓄積要素を付加し、高調波補償の目的以外に有効電力の制御もできることはいうまでもない。
【0321】
また、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12はアクティブフィルタ主回路の出力電流位相を制御するために使用するが、アクティブフィルタ主回路の出力側に接続されるトランスの結線または電圧信号を検出するトランスなどの結線または電力系統と負荷の間に存在するトランスの結線がそれぞれ異なる場合にその位相を調節するためにも使用できることはいうまでもない。
【0322】
また、本第10の実施の形態では、第1の時間遅れ要素11と2相3相変換器9の接続点および第2の時間遅れ要素12と2相3相変換器9の接続点に出力調整部8を備える例で説明したが、出力調整部8は第1の時間遅れ要素11または第2の時間遅れ要素12の後段であればよいので、2相3相変換器9の後段に備える構成でも同じ働きができることはいうまでもない。
【0323】
以上の構成をとることにより、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の変動は補償し、アクティブフィルタ主回路(インバータ部)の直流コンデンサ電圧が変動せず、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。つまり、ローパスフィルタの時間遅れに起因する直流コンデンサの電圧の変動を防止するとともに、過大な電流の出力を防止することができる。また、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素11,12により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0324】
特に、第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12を通過する前の第1のローパスフィルタ2および第2のローパスフィルタ5の信号をもとに負荷変動を監視し、その結果に応じて第1の時間遅れ要素11および第2の時間遅れ要素12を通過した後の出力調整部8において出力を調整するため、監視の結果を時間的に過去にさかのぼって反映でき、第1の変動監視部4で負荷の変動を監視し出力調整部8で反映させるのに必要な時間遅れによる出力制限の遅れを回避することができる。その結果、第1のローパスフィルタ2または第2のローパスフィルタ5の応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を効果的に抑制できる。
【0325】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。
【0326】
本発明の請求項2記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0327】
本発明の請求項3記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0328】
本発明の請求項4記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。特に、出力調整部がヒステリシス特性を持っている場合または、タイマ機能を持っているには、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0329】
本発明の請求項5記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を抑制することができ、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0330】
特に、第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素を通過する前の第1のローパスフィルタおよび第2のローパスフィルタの信号をもとに負荷変動を監視し、その結果に応じて第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素を通過した後の出力調整部において出力を調整するため、監視の結果を時間的に過去にさかのぼって反映でき、第1の変動監視部および第2の変動監視部で負荷の変動を監視し出力調整部で反映させるのに必要な時間遅れによる出力制限の遅れを回避することができる。その結果、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を効果的に抑制できる。
【0331】
また、出力調整部がヒステリシス特性を持っている場合または、タイマ機能を持っているには、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0332】
本発明の請求項6記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の補償を行い、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生するアクティブフィルタを実現できる。
【0333】
本発明の請求項7記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の補償を行い、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0334】
本発明の請求項8記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の補償を行い、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0335】
本発明の請求項9記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の補償を行い、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0336】
特に、出力調整部がヒステリシス特性を持っている場合または、タイマ機能を持っているには、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【0337】
本発明の請求項10記載のアクティブフィルタによれば、急激な負荷変動に対し、第1のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分を抑制することができ、過渡的な瞬時無効電力成分の補償を行い、負荷が安定した場合だけ必要な出力を発生し、高調波特性で問題となるアクティブフィルタの時間遅れも時間遅れ要素により補正し高調波補償特性のよいアクティブフィルタを実現できる。
【0338】
特に、第1の時間遅れ要素を通過する前の第1のローパスフィルタの信号をもとに負荷変動を監視し、その結果に応じて第1の時間遅れ要素および第2の時間遅れ要素を通過した後の出力調整部において出力を調整するため、監視の結果を時間的に過去にさかのぼって反映でき、第1の変動監視部で負荷の変動を監視し出力調整部で反映させるのに必要な時間遅れによる出力制限の遅れを回避することができる。その結果、第1のローパスフィルタまたは第2のローパスフィルタの応答時間に起因して誤って算出される瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分を効果的に抑制できる。
【0339】
また、出力調整部がヒステリシス特性を持っている場合または、タイマ機能を持っているには、負荷変動と負荷安定状態が繰り返すような場合でも出力の安定したアクティブフィルタを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のアクティブフィルタの動作を表す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態のアクティブフィルタの動作を表す説明図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図12】本発明の第10の実施の形態のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図13】第1および第2の変動監視部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図14】ヒステリシスつき出力調整部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図15】タイマつ出力調整部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図16】従来例のアクティブフィルタにおける制御回路のブロック図である。
【図17】従来例のアクティブフィルタの動作を表す説明図である。
【図18】アクティブフィルタ主回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 3相2相変換器
2 第1のローパスフィルタ
3 第1の減算器
4 第1の変動監視部
5 第2のローパスフィルタ
6 第2の減算器
7 第2の変動監視部
8 出力調整部
9 2相3相変換器
10 ヒステリシスつき出力調整部
11 第1の時間遅れ要素
12 第2の時間遅れ要素
13 タイマつき出力調整部
Claims (10)
- 補償対象とする負荷電流の3相成分を瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分の2相成分に変換する3相2相変換器と、
前記3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分から直流分を分離する第1のローパスフィルタと、
前記3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分から直流分を分離する第2のローパスフィルタと、
前記3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分と前記第1のローパスフィルタの出力との差分を求める第1の減算器と、
前記3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分と前記第2のローパスフィルタの出力との差分を求める第2の減算器と、
前記第1の減算器の出力と前記第2の減算器の出力を3相成分に変換することにより目標電流値を算出する2相3相変換器と、
前記2相3相変換器の出力に応じた補償用電流を出力するアクティブフィルタ主回路と、
前記第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、
前記第2のローパスフィルタの出力変化分を監視する第2の変動監視部と、
前記第1の変動監視部および前記第2の変動監視部の出力に基づき前記第1のローパスフィルタの出力変化分および前記第2のローパスフィルタの出力変化分の何れか少なくとも一方が所定値を超えたときに前記アクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備えたアクティブフィルタ。 - 出力調整部にヒステリシス特性を持たせ、アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを開始する第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の値より、前記アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを停止する前記第1のローパスフィルタの出力変化分および前記第2のローパスフィルタの出力変化分の値を小さくしたことを特徴とする請求項1記載のアクティブフィルタ。
- 出力調整部にタイマ機能を持たせ、前記アクティブフィルタ主回路の出力を絞った状態を一定時間継続させたことを特徴とする請求項1記載のアクティブフィルタ。
- 3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素と、前記3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素とを付加したことを特徴とする請求項1,2または3記載のアクティブフィルタ。
- 第1の時間遅れ要素を第1の減算器の後段に配置し、第2の時間遅れ要素を第2の減算器の後段に配置し、前記第1の時間遅れ要素および前記第2の時間遅れ要素の後段に出力調整部を配置したことを特徴とする請求項4記載のアクティブフィルタ。
- 補償対象とする負荷電流の3相成分を瞬時有効電力成分および瞬時無効電力成分の2相成分に変換する3相2相変換器と、
前記3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分から直流分を分離する第1のローパスフィルタと、
前記3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分から直流分を分離する第2のローパスフィルタと、
前記3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分と前記第1のローパスフィルタの出力との差分を求める第1の減算器と、
前記3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分と前記第2のローパスフィルタの出力との差分を求める第2の減算器と、
前記第1の減算器の出力と前記第2の減算器の出力を3相成分に変換することにより目標電流値を算出する2相3相変換器と、
前記2相3相変換器の出力に応じた補償用電流を出力するアクティブフィルタ主回路と、
前記第1のローパスフィルタの出力変化分を監視する第1の変動監視部と、
前記第1の変動監視部の出力に基づき前記第1のローパスフィルタの出力変化分が所定値を超えたときに前記アクティブフィルタ主回路の出力を絞る出力調整部とを備えたアクティブフィルタ。 - 出力調整部にヒステリシス特性を持たせ、アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを開始する第1のローパスフィルタの出力変化分および第2のローパスフィルタの出力変化分の値より、前記アクティブフィルタ主回路の出力の絞りを停止する前記第1のローパスフィルタの出力変化分および前記第2のローパスフィルタの出力変化分の値を小さくしたことを特徴とする請求項6記載のアクティブフィルタ。
- 出力調整部にタイマ機能を持たせ、前記アクティブフィルタ主回路の出力を絞った状態を一定時間継続させたことを特徴とする請求項6記載のアクティブフィルタ。
- 3相2相変換器で得られた瞬時有効電力成分に時間遅れを与える第1の時間遅れ要素と、前記3相2相変換器で得られた瞬時無効電力成分に時間遅れを与える第2の時間遅れ要素とを付加したことを特徴とする請求項6,7または8記載のアクティブフィルタ。
- 第1の時間遅れ要素を第1の減算器の後段に配置し、第2の時間遅れ要素を第2の減算器の後段に配置し、前記第1の時間遅れ要素および前記第2の時間遅れ要素の後段に出力調整部を配置したことを特徴とする請求項9記載のアクティブフィルタ。
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