JP3714607B2 - 光重合性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント回路板作製に用いるアルカリ現像可能な光重合性樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント回路作製用の光重合性樹脂組成物の製造方法はバインダー用樹脂、光重合可能な不飽和化合物、光重合開始剤、染料等を含む成分を、メチルエチルケトンに代表されるケトン類、酢酸エチルに代表されるエステル類、テトラヒドロフランに代表されるエーテル類等を主成分とする溶媒で均一に攪拌溶解することが一般的である。また、得られた調合液を、支持層であるポリエステルフィルム等上にダイコーター等を用いて均一に塗布し、乾燥工程で溶媒を乾燥させて光重合性樹脂組成物積層体を得ることもできる。さらに保護層としてポリエチレンフィルム等でラミネートして3層構造の光重合性樹脂組成物積層体を得ることもできる。これらの積層体を、一般にはドライフィルムフォトレジスト(以下DFRと略す)と呼ぶ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
メチルエチルケトンに代表されるケトン類等を、溶媒の主成分として用いる従来の製造方法では、バインダー用樹脂と光重合可能な不飽和化合物の溶解性及び染料等の添加剤の溶解性が不充分であり、調合液を濾過する際にフィルターが詰まることがしばしばあった。
そこで本発明は、特に溶解性が良好で生産性が向上し、有用なプリント回路板作製用の光重合性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、上記の調合液を作製する際に、エタノールを含む混合溶媒を用いて、光重合性樹脂組成物を作製すると、
染料等の添加剤成分の溶解性が向上し、かつ生産性が向上することを見いだし、
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
【0005】
(1) 光重合性樹脂組成物の製造方法であって、該組成物は
(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が2万〜50万であるバインダー用樹脂、
(b)光重合可能な不飽和化合物、
(c)光重合開始剤、
(d)塩基性染料
を含み、これらの成分を混合溶媒で均一に溶解した調合液から製造され、前記混合溶媒はエタノールとそれ以外の成分との混合物であり、該エタノールの比率が2〜50wt%であり、かつ前記調合液中の組成物の濃度が30〜80wt%であり、かつその調合液の粘度が25℃で500〜4000mPa・secである調合液を用いることを特徴とする光重合性樹脂組成物の製造方法。
【0006】
(2) 前記混合溶媒中の、アルコール以外の成分が、(i)メチルエチルケトンに代表されるケトン類、(ii)酢酸エチルに代表されるエステル類、(iii)テトラヒドロフランに代表されるエーテル類の群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、(1)記載の光重合性樹脂組成物の製造方法。
【0008】
(3) 前記(d)塩基性染料として、下記一般式(I)及び/または(II)で表される化合物を用いることを特徴とする(1)記載の光重合性樹脂組成物の製造方法。
【0009】
【化3】
(式中R1は同一でも異なっていてもよく、CH3またはC2H5を表す)
【0010】
【化4】
(式中R2は同一でも異なっていてもよく、CH3またはC2H5を表す)
【0011】
また、上記調合液を、支持層上に塗工し、乾燥することでDFRを製造する方法も提供する。
【0012】
さらに、支持層に積層した光重合性樹脂組成物層の表面に保護層を積層して、3層構造としたDFRを製造する方法も提供する。
【0013】
本発明について、以下具体的に説明する。
極性溶媒であるエタノールと、メチルエチルケトンに代表されるケトン類等との混合溶媒を用いた調合液は、メチルエチルケトンに代表されるケトン類等のみを用いた調合液と比較すると、染料等の溶解性が向上する。
【0014】
また、極性溶媒であるエタノールを使用すると調合液の粘度を下げることが可能となり、塗工時最低限必要な所定の粘度に合わせると、調合液中の組成物の濃度を、メチルエチルケトンに代表されるケトン類等のみを溶媒とした調合液を用いた場合と比較すると、高くすることが可能となる。この調合液を用いて塗工、乾燥し成膜する。エタノールとの混合溶媒を用いることにより、乾燥工程での溶媒を除去する能力が向上するため、塗工速度が上がり生産性を向上させることが可能となる。
【0015】
また、エタノールとの混合溶媒を用いることにより溶解性が向上し、調合液の濾過時のフィルター(目開き3〜20μm)詰まりも低減することが可能となる。
【0016】
バインダー用樹脂(a)は、溶液重合または懸濁重合によって得られるが、溶液重合によって得られるバインダー用樹脂は溶媒としてエタノールを含んでいても良い。その場合の溶媒は、調合液の溶媒としても作用するので、調合液中の組成物の濃度や粘度を求めるときには、溶媒として計算に加えるものとする。
【0017】
光重合性樹脂組成物の成分を含む調合液の混合溶媒中のエタノール比率は、溶解性の観点から2wt%以上であることが必要であり、レジストとしての感度の観点から50wt%以下であることが必要である。好ましいエタノール比率は2〜25wt%であり、さらに好ましくは2〜10wt%である。
【0018】
また、光重合性樹脂組成物の成分を混合溶媒に溶解した調合液中の組成物の濃度は、30〜80wt%である必要がある。塗工速度向上の効果を得るためには、乾燥・蒸発させる溶媒の量をコントロールする必要があり、その観点から調合液中の組成物の濃度は30wt%以上であることが必要である。また、調合液の均一性の観点から、調合液中の組成物の濃度は80wt%以下であることが必要である。より好ましい調合液中の組成物の濃度は、40〜60wt%である。
【0019】
また、調合液の25℃での粘度は500〜4000mPa・secである必要がある。塗工時の塗工性(調合液と支持層との親和性)の観点から、調合液の25℃での粘度は500mPa・sec以上であることが必要である。また、調合液の均一性の観点から、4000mPa・sec以下であることが必要である。より好ましい範囲は、1000〜3000mPa・secである。
【0020】
本発明の光重合性樹脂組成物に含有されるバインダー用樹脂(a)の量は20〜90wt%の範囲であり、好ましくは30〜70wt%である。バインダー用樹脂(a)の量が20wt%未満または90wt%を超えると、露光によって形成される硬化画像が充分にレジストとしての特性、例えばテンティング、エッチング、各種めっき工程において充分な耐性を有しない。
本発明に用いられるバインダー用樹脂は、下記の二種類の単量体の中より各々一種またはそれ以上の単量体を共重合させることにより得られる。第一の単量体は分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸または酸無水物である。例えば(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等である。第二の単量体は非酸性で、分子中に重合性不飽和基を一個有し、光重合性樹脂組成物層の現像性、エッチング及びめっき工程での耐性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類がある。また、フェニル基を有するビニル化合物(例えばスチレン)も用いることができる。
【0021】
バインダー用樹脂(a)に含まれるカルボキシル基の量は酸当量で100〜600である必要があり、好ましくは300〜400である。ここで酸当量とはその中に1当量のカルボキシル基を有するポリマーの重量を言う。なお、酸当量の測定は電位差滴定法により行われる。バインダー用樹脂中のカルボキシル基はDFRにアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。現像耐性、解像性、密着性の観点から酸当量は100以上であることが必要であり、現像性や剥離性の観点から600以下であることが必要である。
【0022】
またバインダー用樹脂の重量平均分子量は2万〜50万である必要がある。50万を超えると現像性が低下し、2万未満ではテンティング膜強度、エッジフューズ性が悪化する。より好ましくは3万〜30万である。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
【0023】
本発明の光重合性樹脂組成物に含有される光重合可能な不飽和化合物(b)の量は3〜70wt%の範囲であり、好ましくは5〜60wt%である。3wt%未満では感度の点で充分ではなく、70wt%を越えると保存時の光重合性樹脂組成物層のはみ出しが著しくなるため好ましくない。
本発明で製造される光重合性樹脂組成物を構成する光重合可能な不飽和化合物(b)としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またテトラプロピレングリコールジアクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート及びウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレート等がある。
【0024】
ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートには例えば平均8モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート等がある。
【0025】
ウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレートには例えばヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製ブレンマーPP1000)とのウレタン化物等がある。
【0026】
また、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート等の単官能モノマーが挙げられる。
【0027】
本発明の光重合性樹脂組成物に含有される光重合開始剤(c)の量は、0.01〜30wt%であり、好ましくは、0.05〜10wt%である。光重合開始剤が30wt%を超えると光重合性組成物の活性吸収率が高くなり、光重合性樹脂積層体として用いた場合、光重合層の底の部分の重合による硬化が不充分になる。また、光重合開始剤の量が0.01wt%未満では充分な感度がでなくなる。
本発明で製造される光重合性樹脂組成物を構成する光重合開始剤(c)としては、各種の活性光線、例えば紫外線などにより活性化された重合を開始する公知の化合物が挙げられる。例えば2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどがある。また例えばチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類と、ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル化合物等の三級アミン化合物との組み合わせもある。また例えば9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類、2,4,5−トリアリ−ルイミダゾール二量体には例えば2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等がある。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とp−アミノフェニルケトンを併用する系は好ましく、p−アミノフェニルケトンとしては例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0028】
また、本発明で製造される光重合性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、光重合性組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましいことである。このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0029】
本発明の光重合性樹脂組成物に含有される塩基性染料(d)の量は0.005〜10wt%であり、好ましくは0.01〜5wt%である。塩基性染料が0.005wt%未満では色相が安定せず、10wt%を超えると充分な感度が出なくなる。
本発明に用いられる塩基性染料(d)としては、例えば、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、メチルオレンジ、マリーンブルー、ナイルブルー2B、ベイシックブルー20、ビクトリアブルー(保土ヶ谷化学)、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学)、ダイヤモンドグリーン(保土ヶ谷化学)等が挙げられる。
【0030】
一般式(I)においてはR1がすべてC2H5であるダイヤモンドグリーンが好ましい。また、一般式(II)においてはR2がすべてCH3であるマラカイトグリーンが好ましい。
【0031】
また光照射により発色する発色系染料を本発明の光重合性組成物に含有させることもできる。発色系染料としては、ロイコ染料またはフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせがある。ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。一方ハロゲン化合物としては臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、4臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物、等が挙げられる。
【0032】
トリアジン化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。
【0033】
また、このような発色系染料の中でもトリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。また本発明の光重合性組成物に必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。そのような添加剤としては、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類が挙げられる。
【0034】
光重合性樹脂組成物をDFRとする場合は上記光重合性樹脂組成物の成分を含む調合液を支持層上に塗工する。支持層としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。活性光を透過する支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム、等が挙げられる。これらのフィルムは必要に応じ延伸されたものも使用可能である。厚みは薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から10〜30μmのものが一般的である。
【0035】
支持層に積層した光重合性樹脂組成物層の表面に、必要に応じて保護層を積層してもよい。支持層よりも保護層の方が光重合性樹脂組成物層との密着力が充分小さく容易に剥離できることがこの保護層としての重要な特性である。このような保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
【0036】
光重合性層の厚みは用途において異なるが、プリント回路板作製用には5〜100μm、好ましくは、5〜50μmであり、光重合性樹脂組成物層が薄いほど解像力は向上する。また、光重合性樹脂組成物層が厚いほど膜強度が向上する。DFRを用いたプリント回路板の作製工程はエッチング法、めっき法等公知の技術により行われる。
【0037】
【実施例】
[実施例1]
表1に記載の光重合性樹脂組成物の成分を調合し、溶解槽において攪拌溶解し、フィルターを通して調合液を濾過した。次いで調合液をポンプでダイコーターに送液し支持層であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、乾燥ゾーンに送り溶媒を乾燥させた。その後、保護層であるポリエチレンフィルムでラミネートし、感光層が40μmのDFRを得た。上記過程において下記に示す方法で溶解性評価、塗工速度、塗工性評価、感度試験を行った。結果を表1に示す。
【0038】
(1)溶解性評価
調合液をフィルターを介して濾過する際にフィルターの詰まり具合を下記のランクで評価した。詰まりが少ない場合は溶解性が良好で有ることを示す。
なお、フィルターの目開きは5μmである。
○ :全く詰まりが無く良好である。
△ :やや詰まりが生じるが濾過可能である。
△×:フィルター詰まりが生じ、1時間以内に濾過が不可能となる。
× :濾過する際に10分以内に詰まりが生じて濾過が不可能となる。
【0039】
(2)塗工速度
メチルエチルケトンのみの溶媒時の塗工速度を1として、その比率で速度を示す。1より大であるときは、メチルエチルケトンのみの溶媒時に比べて塗工速度が速いことを示す。
【0040】
(3)塗工性評価
調合液をダイコーターを用いて支持層であるポリエステル上に塗布する際の塗布された感光層の状態を下記ランクで評価した。
○:未塗工部分がなく均一かつ平滑に塗布されている。
△:一部未塗工部分がある。
×:未塗工部分が殆どである。
【0041】
(4)感度試験
35μm圧延銅箔を積層した銅張り積層板を湿式バフロール(スリーエム社製、商品名スコッチブライト#600 2連)研磨した表面に上記工程で得られたDFRの保護層であるポリエチレンフィルムを剥がしながら光重合性樹脂組成物層をホットロールラミネーターにより105℃でラミネートして積層体を得た。次いでこの積層体にステップタブレット(ストーファー社製21段ステップタブレット)を通して超高圧水銀ランプ(オーク製作所、HMW−201KB)により80mJ/cm2で露光した。その後、支持層であるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、積層体に30℃、1wt%炭酸ナトリウム水溶液を50秒間スプレーした。
この時のステップタブレットの完全に膜が残っている最大段数を読む。
【0042】
[実施例2〜10、比較例1〜6]
実施例1と同様の方法により、表1記載の組成の光重合性樹脂組成物の成分を調合し、DFRを得、溶解性評価、塗工速度、塗工性評価、感度試験を行った。結果を表1に示す。
【0043】
表1中、記号は以下のことを示す。
<記号説明>
P−1:溶液重合で得られるメタクリル酸メチル70wt%、メタクリル酸23wt%、アクリル酸ブチル7wt%の三元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分重量比率30%、重量平均分子量10万、酸当量374)
P−2:溶液重合で得られるメタクリル酸メチル70wt%、メタクリル酸23wt%、アクリル酸ブチル7wt%の三元共重合体のメチルエチルケトンとエタノール混合溶液(溶媒重量比率:メチルエチルケトン/エタノール=90/10、固形分重量比率40%、重量平均分子量10万、酸当量374)
P−3:懸濁重合で得られるメタクリル酸メチル70wt%、メタクリル酸23wt%、アクリル酸ブチル7wt%の三元共重合(固形分重量比率100%、重量平均分子量10万、酸当量374)
M−1:トリメチロールプロパントリアクリレート
M−2:ノナエチレングリコールジアクリレート
M−3:β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート
M−4:平均8モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート
M−5:ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製ブレンマーPP1000)とのウレタン化物
A−1:ベンゾフェノン
A−2:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
A−3:2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
B−1:マラカイトグリーン
B−2:ダイヤモンドグリーン
B−3:ロイコクリスタルバイオレット
B−4:トリブロモメチルフェニルスルフォン
S−1:メチルエチルケトン
S−2:エタノール
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
本発明の光重合性樹脂組成物の製造方法は溶解性が良好で、調合液の濾過時のフィルター詰まりを低減することが可能で且つ生産性が向上し、アルカリ現像型プリント回路板作製用DFRの製造方法として有用である。
Claims (3)
- 光重合性樹脂組成物の製造方法であって、該組成物は(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が2万〜50万であるバインダー用樹脂、(b)光重合可能な不飽和化合物、(c)光重合開始剤、(d)塩基性染料、を含み、これらの成分を混合溶媒で均一に溶解した調合液から製造され、前記混合溶媒はエタノールとそれ以外の成分との混合物であり、該エタノールの比率が2〜50wt%であり、かつ前記調合液中の組成物の濃度が30〜80wt%であり、かつ前記調合液の粘度が25℃で500〜4000mPa・secである調合液を用いることを特徴とする光重合性樹脂組成物の製造方法。
- 前記混合溶媒中の、アルコール以外の成分が、(i)メチルエチルケトンに代表されるケトン類、(ii)酢酸エチルに代表されるエステル類、(iii)テトラヒドロフランに代表されるエーテル類の群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項1記載の光重合性樹脂組成物の製造方法。
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