JP3714052B2 - 硬貨識別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨の正偽および種類を電気的に識別する硬貨識別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動販売機が普及し、これに使用される硬貨識別装置には高い識別性能が要求されている。
【0003】
従来、この種の硬貨識別装置は、硬貨の投入口と、この投入口に連結された硬貨通路と、この硬貨通路の側壁に配置されたセンサと、このセンサの出力から投入された硬貨の特徴を検知する検知手段と、硬貨の正偽及び種類の基準となるデータが予め記憶された記憶手段と、前記検知手段の出力と前記記憶手段の基準のデータとを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果により硬貨の正偽及び種類を判定する判定手段とを備えていた。センサとしては材質、厚み、外径センサから成り、検知手段としては各センサの出力の極大値や極小値を検知する手段を備えていた。そして、硬貨通過時の各センサの出力の極大値や極小値により硬貨の材質、厚み、外径を検知して識別を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の構成では、硬貨の特徴として検知していたのは硬貨全体に対する特徴であった。すなわち、硬貨全体がセンサの検知部を通過する際の、センサ出力の極大値或いは極小値を検知していた。そのため、外周部に形成された凸形状が顕著であるような硬貨に対して、外周部を除く部分(以下、内周部という)の特徴を正確に検知することが困難であった。
【0005】
このため、硬貨の内周部における特徴に正貨と差がある偽貨を不正使用されることがあった。例えば内周部の凹凸度合いは正貨と差があるが、硬貨全体の特徴(材質、外径、最大の厚み)や外周部の特徴がほぼ等しい変造硬貨や類似外国硬貨などである。
【0006】
本発明は、このような偽貨の不正使用を防止することが可能な硬貨識別装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の硬貨識別装置は、厚みセンサの出力から検知すべき第1の検知区間を定めるとともに、前記第1の検知区間におけるセンサの出力の平均値と前記厚みセンサの出力の2つの極大座標とから得られる直線によりしきい値を設定し、このしきい値と前記厚みセンサの出力とで硬貨内周部の特徴を検知する検知手段を備えた構成としたものである。
【0008】
そのため、硬貨内周部における特徴を検知できるので、硬貨全体の特徴や外周部の特徴は正貨とほぼ等しいが、内周部の特徴に差がある偽貨の不正使用を防止することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、硬貨の投入口と、この投入口に連結された硬貨通路と、この硬貨通路の側壁に配置された厚みセンサと、この厚みセンサの出力が供給された検知手段と、硬貨の正偽及び種類の基準となるデータが予め記憶された記憶手段と、前記検知手段の出力と前記記憶手段の基準のデータとを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果により硬貨の正偽及び種類を判定する判定手段とを備え、前記検出手段では、前記厚みセンサの出力から検知すべき第1の検知区間を定めるとともに、前記第1の検知区間におけるセンサの出力の平均値と前記厚みセンサの出力の2つの極大座標とから得られる直線によりしきい値を設定し、このしきい値と前記厚みセンサの出力とで硬貨内周部の特徴を検知する硬貨識別装置であり、硬貨内周部における特徴を検知できるので、硬貨全体の特徴や外周部の特徴は正貨とほぼ等しいが、内周部の特徴に差がある偽貨の不正使用を防止することができる。
【0010】
また、硬貨の通過挙動が安定せず硬貨とセンサ間の距離が変動しながら通過するような場合にも、しきい値をセンサ出力に追随させて正確に硬貨の特徴を検知することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、センサの出力と予め定められたしきい値との差に基づいて硬貨内周部の特徴を検知する請求項1記載の硬貨識別装置であり、センサの出力としきい値との差に基づいて検知するため、硬貨の表面部分の特徴を強調して検知することができる。また、センサの出力レベルが温度変動等の影響を受けても、しきい値も同様の影響を受け、これらの差は影響が相殺されて、硬貨内周部の特徴を精度良く検知することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、センサの出力と予め定められたしきい値との差の平均値を検知する請求項1記載の硬貨識別装置であり、硬貨内周部の特徴について容易に平均的な特徴を求めることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、センサの出力と予め定められたしきい値との差の作る面積を検知する請求項1記載の硬貨識別装置であり、硬貨内周部に凹凸模様を有するか平坦かといったような凹凸度合いを検知することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、センサの出力と予め定められたしきい値との差の絶対値の総和を検知する請求項1記載の硬貨識別装置であり、硬貨内周部の凹凸度合いを簡易な計算で求めることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、センサの出力と予め定められたしきい値との差の二乗の総和を検知する請求項1記載の硬貨識別装置であり、硬貨内周部の凹凸度合いのわずかな差を増幅して検知することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、センサの出力と予め定められたしきい値との差の極値に基づいて硬貨の特徴を検知する請求項1記載の硬貨識別装置であり、センサの出力としきい値との差の極値に基づくため、硬貨内周部の特徴を顕著に表す、いわば内周部の特徴を集約した値に基づいて硬貨を検知することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、センサの出力と予め定められたしきい値との交差回数を検知する請求項1記載の硬貨識別装置であり、センサの出力としきい値との交差回数により硬貨内周部の凹凸の個数を求めることができる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、予め定められた第2の検知区間に基づいて第1の検知区間を定める請求項1記載の硬貨識別装置であり、硬貨の特徴を検知する第1の区間をこの区間とは別の第2の区間に基づいて定めることにより、検知しようとする特徴に左右されず安定して第1の検知区間を定めることができる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、センサの出力が一定値以上である区間を第2の検知区間とする請求項9記載の硬貨識別装置であり、第2の検知区間を容易な手順で定めることができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、コイルを巻いた2つのコアを硬貨通路に対向して配置し、これらのコイルを相互インダクタンスが負になるように直列逆相接続して厚みセンサを構成した請求項1記載の硬貨識別装置であり、硬貨の厚みを硬貨通路の両側から検知できる。硬貨が硬貨通路の側壁沿いか或いは中央部分を通過するかといった硬貨の通過位置により、各コイルの出力は影響を受けて検知精度の低下要因となるが、両側から検知した場合にはこの影響が相殺され、高い検知精度が得られる。
【0021】
請求項12に記載の発明は、識別しようとする硬貨の中央部が通過する位置の近傍にセンサを配置した請求項1記載の硬貨識別装置であり、必ず硬貨中央の凹凸模様がセンサ部を通過するので、硬貨中央部に相当するタイミングで硬貨中央部の特徴を正確に検知することができる。また、硬貨中央部に対して確実に対称な部分で検知できるので、対称度合いを安定して得ることができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図6を用いて説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図2は本発明の一実施の形態における硬貨識別装置の概要を示した正面図である。図2において、硬貨識別装置本体1の上部には硬貨の投入口2が設けられており、この投入口2から下方に向かって硬貨の通路3が連結されている。通路3の側壁には厚みセンサ4と材質センサ5、及び外径センサ6が配置されている。また通路3は硬貨識別装置本体1の下部に位置する硬貨の出口7に連結されている。
【0024】
図1は本実施の形態における硬貨識別装置の制御回路の構成を示すブロック図である。厚みセンサ4は、通路3の側壁に対向して配置された2個のコアと、これらのコアの内部に巻回されたコイルと、これらのコイルを含んで形成される発振回路、及び発振波形が正弦波から発振レベルを示す信号に変換される整流回路により構成されている。この構成において2個のコアの間がセンサの検知部であり、この検知部を識別しようとする硬貨の中央部が通過する高さにコアを配置している。また、対向するコアに巻回されたコイルは相互インダクタンスが負になるように直列逆相接続され、その出力は厚み検知手段8及び内周部の特徴を検知する手段9に入る。
【0025】
材質センサ5も厚みセンサ4と同様の構成であるが、対向するコアに巻回されたコイルは相互インダクタンスが正になるように直列同相接続され、その出力は材質検知手段10に入る。外径センサ6も材質センサ5と同様の構成で、コイルは直列同相接続され、出力は外径検知手段11に入る。各検知手段8〜11の出力はそれぞれ、比較手段12〜15に入る。比較手段12〜15は記憶手段16にも接続されている。比較手段12〜15の各出力は判定手段17に入り、判定手段17は判定信号18を出力する。
【0026】
以上のように構成された硬貨識別装置について、以下その動作を説明する。投入口2から投入された硬貨がセンサ4〜6に近づくと、コイルのインピーダンスが変化し、それにつれて発振回路の発振レベルが変化する。この変化量は、厚みセンサ4では主に硬貨の厚みによって、材質センサ5では主に硬貨の材質によって、外径センサ6では主に硬貨の外径によって異なるように形成されている。整流回路ではそれぞれ、発振回路の発振波形を正弦波から発振レベルを示す信号に変換する。各検知手段8,10,11では、硬貨通過時の発振レベルの変化量の極大値を検知して、それぞれ対応する比較手段12,14,15に出力する。
【0027】
次に、内周部の特徴を検知する手段9の動作を図3から図5を用いて説明する。図3は硬貨の断面図である。図4は硬貨通過時の厚みセンサの出力波形図であり、縦軸がセンサの出力変化量で横軸が時刻である。図3(a)及び図4(a)は正貨に対応しており、同様に(b)は第1の偽貨19a、(c)は第2の偽貨19bに対応している。正貨18aとしては図3(a)のような、日本の五百円硬貨を代表とする、外周部に凸形状が形成され、内周部に非同心円状の凹凸模様を有する硬貨の場合を示し、この通過時の厚みセンサの出力波形は図4(a)のように外周に相当する2箇所に顕著な極大を有し、内周に相当する部分には比較的微小で非同心円状の凹凸が形成される。
【0028】
偽貨としては、正貨と材質及び外径がほぼ等しく、外周部に凸形状が形成され、内周部の厚みが正貨より厚い外国硬貨を変造した硬貨の場合を示している。第1の偽貨19aは図3(b)のような、内周部の厚みを正貨に近づけるため外国硬貨の内周部を旋盤等で加工した変造硬貨であり、この通過時の厚みセンサの出力波形は図4(b)のように外周に相当する2箇所に顕著な極大を有し、内周に相当する部分には平坦な波形が形成される。なお、第2の偽貨19bについては実施の形態2で説明する。
【0029】
本実施の形態では、このような厚みセンサの出力波形の硬貨内周部に相当する部分における正貨18aと偽貨19aとの違いを、内周部の特徴を検知する手段9で検知しようとするものである。本実施の形態は、第1の偽貨19aのように内周部の平坦な偽貨を対象としたもので、硬貨内周部の凹凸度合い20を検知する。
【0030】
図5は実施の形態1における正貨通過時の厚みセンサの出力波形図であり、縦軸がセンサの出力変化量で、横軸が時刻である。まず硬貨内周部に相当する部分、すなわち凹凸度合い20を検知する第1の区間21を定めるために、本実施の形態では第2の区間22を利用している。第2の区間22は、外周部に相当する2つの極大23,24を用い、最初の極大値33を取った時刻43と最後の極大値34を取った時刻44の間としている。そして、第2の区間22の中央3分の2の区間を第1の区間21とする。具体的には、時刻43と時刻44を1対5の比率で内分する時刻45と、5対1の比率で内分する時刻46との間の区間とする。また、時刻43と時刻44の中央の時刻47も求めておく。
【0031】
次に、しきい値28を定める。本実施の形態ではしきい値28を時間の一次関数とし、その傾きは最初の極大23の座標(時刻43、最初の極大値33)と最後の極大24の座標(時刻44、最後の極大値34)の2点を通る直線29の傾きと同一としている。そして、中央の時刻47と、第1の区間21における厚みセンサの出力の平均値37とであらわされる座標27を通る直線を、しきい値28とする。
【0032】
最後に、第1の区間21において厚みセンサの出力波形としきい値28とが作る面積を求めると、内周部の凹凸度合い20が得られる。このようにして求めた硬貨内周部の凹凸度合い20は、五百円硬貨のように内周部に凹凸模様を有する硬貨では比較的大きな値をとり、第1の偽貨19aのように内周部の平坦な硬貨では微小な値となる。
【0033】
なお、しきい値を一定値(例えば第1の区間21におけるセンサ出力の平均値)としても硬貨内周部の特徴を検知可能であるが、本実施の形態ではしきい値を時間の関数とすることにより、硬貨の通過挙動が安定せず硬貨とセンサ間の距離が変動しながら通過するような場合にも、しきい値をセンサ出力に追随させて正確に硬貨の特徴を検知することができる。
【0034】
また本実施の形態では、内周部の凹凸度合いをしきい値とセンサ出力との差が作る部分の面積で検知しているが、差の平均や、差の絶対値の総和、或いは差の二乗の総和などでも検知できる。さらに、しきい値とセンサ出力との差の極大・極小値を利用したり、しきい値とセンサ出力との交差回数を求めることで、硬貨内周部の凹凸度合いを検知することも可能である。
【0035】
内周部の特徴を検知する手段9は、検知した値を示す信号を比較手段13に出力する。記憶手段16には、正貨の種類毎に基準となる値が記憶されている。比較手段12〜15では各検知手段8〜11からの入力と記憶手段16の基準とを比較し、許容範囲内で一致していればその正貨18aの種類を示す信号を出力し、どの種類の基準値とも一致しない場合には偽貨であることを示す信号を出力する。判定手段17では、比較手段12〜15からの信号が全て同じ正貨の種類を示す場合に限りその正貨の種類を示す信号を出力し、それ以外の場合には偽貨19aを示す信号を判定信号18として出力する。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、硬貨内周部の特徴を検知する手段により内周部の凹凸度合いを検知することができる。そのため、内周部が平坦な第1の偽貨19aのように凹凸度合いの異なる偽貨を区分し、不正使用を防止することが可能になる。
【0037】
(実施の形態2)
実施の形態2における硬貨識別装置は、実施の形態1における硬化識別装置と同様の構成であり、内周部の特徴を検知する手段9の動作のみが異なるので、同様な部分の説明は省略する。
【0038】
内周部の特徴を検知する手段9の動作を図3、図4と図6を用いて説明する。図3は硬貨の断面図である。図4は硬貨通過時の厚みセンサの出力波形図であり、縦軸がセンサの出力変化量で横軸が時刻である。図3(a)及び図4(a)は正貨18aに対応しており、同様に(b)は第1の偽貨19a、(c)は第2の偽貨19bに対応している。正貨18aとしては図3(a)のような、日本の五百円硬貨を代表とする、外周部に凸形状が形成され、内周部に非同心円状の凹凸模様を有する硬貨の場合を示し、この通過時の厚みセンサの出力波形は図4(a)のように外周に相当する2箇所に顕著な極大を有し、内周に相当する部分には比較的微小で非同心円状の凹凸が形成される。
【0039】
偽貨としては、正貨と材質及び外径がほぼ等しく、外周部に凸形状が形成され、内周部の厚みが正貨より厚い外国硬貨を変造した硬貨の場合を示している。第1の偽貨19aは本実施の形態には関連しないため説明を省略する。第2の偽貨19bは図3(c)のような、内周部の厚みを正貨に近づけるため外国硬貨の内周部を旋盤等で中央部は浅く、他の部分は深く同心円状に加工した変造硬貨であり、この通過時の厚みセンサの出力波形は図4(c)のように外周に相当する2箇所に顕著な極大を有し、内周に相当する部分には中央部の比較的微小な凸部を含む対称な波形が形成される。
【0040】
本発明は、このような厚みセンサの出力波形の硬貨内周部に相当する部分における正貨と偽貨との違いを、内周部の特徴を検知する手段9で検知しようとするものである。本実施の形態は、第2の偽貨19bのように内周部の凹凸模様が同心円状な偽貨を対象としたもので、硬貨内周部の凹凸模様の対称度合い50を検知する。
【0041】
図6は実施の形態2における正貨通過時の厚みセンサの出力波形図であり、縦軸がセンサの出力変化量で、横軸が時刻である。まず、硬貨内周部の凹凸模様の対称度合い50を検知する第3の区間54と第4の区間55を定めるために、本実施の形態ではしきい値61を用いている。しきい値61はセンサの出力変化量の最大値62から一定値63を減じた値とし、このしきい値61とセンサ出力との最初の交点51、及び最後の交点52における時刻をそれぞれ時刻71、時刻72とする。
【0042】
次に、これらの時刻71,72の間を1対4の比率で内分した時刻73から、2対3の比率で内分した時刻74までの区間を第3の区間54とする。そして、第4の区間55は2つの時刻71,72の間を3対2の比率で内分した時刻75から、4対1の比率で内分した時刻76までの区間とすることで、第3の区間54と硬貨中央に対して対称としている。
【0043】
最後に、第3の区間54におけるセンサ出力の平均値64と、第4の区間55におけるセンサ出力の平均値65との差の絶対値を求めると、内周部の凹凸模様の対称度合い50が得られる。このようにして求めた硬貨内周部の凹凸模様の対称度合い50は、五百円硬貨のように内周部に非同心円状の凹凸模様を有する硬貨では比較的大きな値をとり、第2の偽貨19bのように内周部の凹凸模様が同心円状である硬貨では微小な値となる。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、硬貨内周部の特徴を検知する手段により内周部の凹凸模様の対称度合いを検知することができる。そのため、内周部に同心円状の凹凸模様を有する第2の偽貨19bのように対称度合いの異なる偽貨を区分し、不正使用を防止することが可能になる。
【0045】
なお、実施の形態1及び2では、硬貨通過時の発振レベル変化を識別に用いた例を示したが、硬貨によるコイルのインピーダンス変化を利用したものであれば、インダクタンス、周波数、位相等の変化を用いることもできる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、検出手段では、前記厚みセンサの出力から検知すべき第1の検知区間を定めるとともに、前記第1の検知区間におけるセンサの出力の平均値と前記厚みセンサの出力の2つの極大座標とから得られる直線によりしきい値を設定し、このしきい値と前記厚みセンサの出力とで硬貨内周部の特徴と検知するため、硬貨内周部における特徴を検知できるので、硬貨全体の特徴や外周部の特徴は正貨とほぼ等しいが、内周部の特徴に差がある偽貨の不正使用を防止することが可能である。
【0047】
また、硬貨の通過挙動が安定せず硬貨とセンサ間の距離が変動しながら通過するような場合にも、しきい値をセンサ出力に追随させて正確に硬貨の特徴を検知することができる。
【0048】
これらにより、内周部の特徴に差がある偽貨の不正使用を防止することが可能な硬貨識別装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における硬貨識別装置の制御回路の構成を示すブロック図
【図2】 同、硬貨識別装置の概要を示す正面図
【図3】 (a)正貨の断面図
(b)第1の偽貨の断面図
(c)第2の偽貨の断面図
【図4】 (a)正貨通過時の厚みセンサの出力波形図
(b)第1の偽貨通過時の厚みセンサの出力波形図
(c)第2の偽貨通過時の厚みセンサの出力波形図
【図5】 本発明の実施の形態1における正貨通過時の厚みセンサの出力波形図
【図6】 本発明の実施の形態2における正貨通過時の厚みセンサの出力波形図
【符号の説明】
1 硬貨識別装置本体
2 投入口
3 硬貨通路
4 厚みセンサ
9 内周部の特徴を検知する手段
13 比較手段
16 記憶手段
17 判定手段
20 硬貨内周部の凹凸度合い
21 第1の検知区間
22 第2の検知区間
28 しきい値
50 硬貨内周部の凹凸模様の対称度合い
54 第3の検知区間
55 第4の検知区間
61 しきい値
Claims (12)
- 硬貨の投入口と、この投入口に連結された硬貨通路と、この硬貨通路の側壁に配置された厚みセンサと、この厚みセンサの出力が供給された検知手段と、硬貨の正偽及び種類の基準となるデータが予め記憶された記憶手段と、前記検知手段の出力と前記記憶手段の基準のデータとを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果により硬貨の正偽及び種類を判定する判定手段とを備え、前記検出手段では、前記厚みセンサの出力から検知すべき第1の検知区間を定めるとともに、前記第1の検知区間におけるセンサの出力の平均値と前記厚みセンサの出力の2つの極大座標とから得られる直線によりしきい値を設定し、このしきい値と前記厚みセンサの出力とで硬貨内周部の特徴を検知する硬貨識別装置。
- センサの出力と予め定められたしきい値との差に基づいて硬貨内周部の特徴を検知する請求項1記載の硬貨識別装置。
- 検知手段は、センサの出力としきい値との差の平均値を検知する請求項1記載の硬貨識別装置。
- 検出手段は、センサの出力としきい値との差の作る面積を検知する請求項1記載の硬貨識別装置。
- 検出手段は、センサの出力としきい値との差の絶対値の総和を検知する請求項1記載の硬貨識別装置。
- 検出手段は、センサの出力としきい値との差の二乗の総和を検知する請求項1記載の硬貨識別装置。
- 検出手段は、センサの出力としきい値との差の極値に基づいて硬貨の特徴を検知する請求項1記載の硬貨識別装置。
- センサの出力と予め定められたしきい値との交差回数を検知する請求項1記載の硬貨識別装置。
- 予め定められた第2の検知区間に基づいて第1の検知区間を定める請求項1記載の硬貨識別装置。
- センサの出力が一定値以上である区間を第2の検知区間とする請求項9記載の硬貨識別装置。
- コイルを巻いた2つのコアを硬貨通路に対向して配置し、これらのコイルを相互インダクタンスが負になるように直列逆相接続して厚みセンサを構成した請求項1記載の硬貨識別装置。
- 識別しようとする硬貨の中央部が通過する位置の近傍にセンサを配置した請求項1記載の硬貨識別装置。
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